小野寺さん、吉良さん、志方さん、豊さん
CC 平島さん、桑子さん、中津川さん、柳町さん
七句会 第2 回 自由連句
昨年12月下旬にはじめた第2 回自由連句は、独自ルールですが、26句目をも
ち満尾を迎えることができました。たいへんありがとうございました。
1 句あたり約 2.4日 (=62 日/26 句) のペースでした。
次回の参考に資することを目的に、感想、批判、反省、等、なんでも結構で
すので、3 月1 日を目処にお送りいただけると幸いです。
よろしくお願いします。
深瀬
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01 沖縄のこころ焼けたり曼珠沙華 (豊)
02 くねる白壁主 (しゅ) 待ちたたずむ (深瀬)
03 白砂と珊瑚哀しみ土砂が降る (志方)
04 赤道線に陽はまた昇る (吉良)
05 除夜の鐘古都にて偲ぶ首里の海 (小野寺)
06 屠蘇を飲み過ぎ二日酔いして (豊)
07 時止まり凍鶴の背に青き空 (深瀬)
08 風鳴く梢月影淡し (志方)
09 蕗の薹夢より醒めよ土跳ねよ (吉良)
10 凍て土に耐え牡丹の芽紅し (小野寺)
11 ランドセル背負いて少女春を待つ (豊)
12 夢ふくらましいつか世界へ (深瀬)
13 凧あげて孫のくやしさ風まかせ (志方)
14 枯れ葉踏みしめ老婆微笑む (吉良)
15 凛と咲く冬薔薇愛 (めで) し孫の声 (小野寺)
16 嫁ぐすがたに想ひ馳せらし (深瀬)
17 いざ待たん桜の花の咲くまでは (豊)
18 桜吹雪に夢追いし日よ (小野寺)
19 汗水漬 (あせみずく) めざす嶺や山青し (吉良)
20 見はるかす雲白さも白し (志方)
21 冬空のカンヴァスに立つ欅 (けやき) かな (深瀬)
22 闘病の身に勇気もらいて (豊)
23 霜柱割りて水仙朝陽浴び (小野寺)
24 ギリシャの空に思いを馳せる (吉良)
25 睡蓮の儚き命モネの絵に (志方)
26 無の心知る禅寺の庭 (豊)
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七句会 第2 回 自由連句 補注
・01補注 (豊) 19年11月14日
沖縄の歴史と文化には以前から関心を持っていました。辺野古埋め立てと首
里城の焼失、沖縄県 民の続く受難に深く同情します。
まさか最高点になるとは思っていませんでしたが、皆さん沖縄に想いがある
ことを知ってうれしく思いました。
・02補注 (深瀬) 19年12月18日
首里城の城壁は白い琉球石灰岩で作られ、地形に合わせてゆるやかなカーブ
を描いています。首里城が再建されるまで、この城壁がじっとその完成を見守
るのではないか、という気持ちです。
・03補注 (志方) 19年12月21日
かって沖縄を訪れた時の、辺野古の海の美しさがおもいだされます。碧い空
と純白の雲が天地返しのように映っていた辺野古の海。戦禍に失われた命、夥
しい慰霊の鎮魂を踏みにじって恥じない土砂埋め。それでも美しい国をと唱え
る鉄面皮。桜を汚して恥じない誰かのおつむには響くはずもないか。
・04補注 (吉良) 19年12月24日
自然の破壊は人間の業とも言えます。以前船で赤道線を越えた経験がありま
すが、広い海の自浄力に期待したいものです。
・05補注 (小野寺) 20年01月01日
京都の年の瀬は秀吉とねねの縁の寺高台寺で除夜の鐘を聴きました。僧侶達
の般若心経の読経を聴きながら、打たれる除夜の鐘は悠久の時を超えて心に響
きました。
今こうして京都の地で鐘を聴く平和は太平洋戦争で日本の防波堤となり、失
われた幾多の英霊と市民達の犠牲の上にあり、沖縄の海を忘れてはならない事
と思いを馳せました。
・06補注 (豊) 20年01月06日
5句までの流れを変えて詠んでみました。実際は屠蘇で二日酔いをすること
はないと思いますが、そこは一つのユーモアとして理解してください。
・07補注 (深瀬) 20年01月06日
凍鶴 (いてづる) は、鶴が厳寒に耐えるため、微動だにせず、一本脚で立ち
、頭を翼のなかに埋め込んでいる様です。こうすることで体温の喪失を少しで
も防ぎます。そうしたじっとしている鶴の群の向こう側に、青い冬空が広がっ
ている様を詠みました。朝とか昼間に、こうした光景が見られるか、やや疑問
もありますが想像です。
前句の七七は、前々句の大晦日からお正月への単純な時間的推移を示したも
のと捉え、お屠蘇気分からの転換を指向してみました。
・08補注 (志方) 20年01月09日
凍てつく冬の静止画のような情景が浮かび素晴らしい上句で、何を繋げるか
まよいました。
青天の中に、葉を落としきった枝(冬木立)が風に揺れ、その先に白く淡い
月影がぼんやりと映っている様が、静の中に動きとまた滲んだような情景を対
比させてみました。
・09補注 (吉良) 20年01月10日
凍てつく雪原の下にも生命の活動が始まっています。蕗の薹が芽吹き土から
顔を出す春が早く来てほしい気持ちを読みました。
・10補注 (小野寺) 20年01月14日
冬枯れの殺風景な庭のなかで枯れ木の様に黒く立つ牡丹の幹に厳しい寒さを
ものともせずにひときわ赤くて硬い花芽が幾つも付いておりました。毎年4 月
末に満開となる牡丹の華の、自然の運行の確かさを感じました。
・11補注 (豊) 20年01月14日
前句の牡丹の紅い芽を、新一年生になる少女と見立ててみました。また、前
々句からの植物の流れを変えて、人間の描写にしました。買ってもらったピカ
ピカのランドセルを背負って、早く学校に行きたいなと希望あふれる春を待っ
ている少女です。
・12補注 (深瀬) 20年01月16日
今は肩幅よりランドセルの方が大きい少女も、どんどん成長し、いずれは社
会人として世界に羽ばたくときがくるだろうという期待を込めました。
・13補注 (志方) 20年01月20日
13日の成人の日、娘の家の前の広場で、どんど焼きががその付近の町内会の
皆様の主催でおこなわれていました。
多分60年ぶりに見る光景で、懐かしく幼き頃の楽しみと思い出しました。
広い野原で、孫たちが近所の友達と凧揚げをはじめましたが、あいにく風を
読めなくで、悪戦苦闘の中真剣に取り組むさまに感動しました。
『おじいちゃん、風を止む方法を教えてほしい』といわれて、『耳を澄まし
て風に聞いてごらん』苦し紛れにと答えました。
こうした自然現象を肌で感じるようになったかと、孫の成長を実感した嬉し
さを表現してみました。
風が止んだら、凧が上がらないことを気が付いて欲しいけど
・14補注 (吉良) 20年01月22日
風で散った枯れ葉の積もった公園の林から、子供たちの凧あげを見ていた老
婆が楽しそうに微笑んでいる様子をよみました。
・15補注 (小野寺) 20年01月24日
冬枯れの殺風景な庭に薔薇が一輪見事な真紅の花をつけておりました。背筋
を正す様な凛とした佇まいでした。たまたま来ていた孫娘がわーっ綺麗!と感
嘆の声を上げました。小学生ながら少女になってきた孫娘の冬薔薇に感動する
声に、孫娘の成長を感じ詠んでみました。
・16補注 (深瀬) 20年01月26日
特に説明は不要と思いますが、孫の結婚式に出席できるようにがんばりたい
という気持ちも踏まえました。
私のところは、5 歳と2 歳の男子ですが、相当な努力が必要な感じです。
・17補注 (豊) 20年01月28日
前句につなげて、嫁ぐ日を桜が咲く日になぞらえました。皆さん、桜にはさ
まざまな思いを託していることでしょう。まだ1月、いまは苦しくても哀しく
ても、桜が咲くまでの辛抱です。
・18補注 (小野寺) 20年01月31日
前句を引き継いで若い頃、春爛漫の桜が舞い散る日には先々の人生の夢を思
い描き船出の希望に満ちた日がありました。古希の坂道を越えてきた今幾人も
の友人達の死や、沢山の挫折にも出会い、西行の句 願わくは花の下にて春死
なんその望月の如月の頃の様に満開の桜と満月の日に、自分も逝きたいものだ
と思う反面桜吹雪に見た、夢に向かう自分を思いだし、いろいろな事に挑戦す
る気持ちを鼓舞しようとも思いこの句を詠みました。
・19補注 (吉良) 20年02月03日
前句から、若い頃にはやった「青い山脈」が連想され読みました。高い目標
を目指して汗を流す若さが懐かく思いだされます。
・20補注 (志方) 20年02月03日
鎌倉のハイキングコースの一つで、天園コースがありますが、何年かに一度
歩きます。円覚寺裏からけっこうきつい山道ですが、登り切った後に相模灘が
一望できます。
山青きを受けて、水平線上に浮かぶ雲の白さを目にした感激を素直に表現し
てみました。
・21補注 (深瀬) 20年02月05日
これまで、少女、孫、老婆なども登場しますが、基本的には、自らの挑戦者
としての体験を踏まえ、そうしたなかで出会った風景に想いをよせているよう
に感じました。
欅 (けやき) は幹が太く、細かいたくさんの枝を伸ばし、比較的独立して立
っているように思います。子どものころは近くの古い大きなお屋敷の跡地に幾
本かありましたし、今でも駅までの途中に何本かの大きな欅があります。冬の
青空や曇り空に細かい枝をたくさん伸ばした欅の大木をみると、なにか絵画を
みるような幻想的郷愁的な想いにさせられます。
・22補注 (豊) 20年02月06日
葉を落として直立する冬の欅は凜々しさを感じさせます。闘病中の人が病室
の窓から冬空に立つ欅を見て、「ああ、自分もがんばらなくてはいけないな」
と勇気を与えられた気持ちを付けてみました。
・23補注 (小野寺) 20年02月12日
深瀬さんの欅の木から、昔国分寺に住んでいた頃府中の欅並木が有名で新緑
もさることながら自分も冬の欅の風景が好きで、この大自然を身近に置きたい
と欅の盆栽を随分作りました。冬の空に屹立する大木も雄々しさを感じますが
、固く閉じた霜柱をかき分け朝陽に向かう水仙の可憐な白い花にも欅に負けず
劣らず自然の強さを感じました。
・24補注 (吉良) 20年02月13日
水仙はギリシャ神話では青年ナルキッソスが呪いにかけられ生まれたといわ
れ、原産地は地中海沿岸です。日本の冬の寒さに耐え太陽を浴びて咲き誇って
も、故郷の暖かい空を思いを馳せていることでしょう。
・25補注 (志方) 20年02月14日
先日神代植物園に行き、越前水仙が可憐い咲き誇っておりましたが。園内の
池にに睡蓮が2株ほど桃色と白の花が顔を出しておりました。睡蓮の花の命は
短くて、3日程との説明書きがあり。モネの睡蓮の絵の印象が強かったので、
そのはかなさに、思わず感じいった次第です。そんな思いを読んでみました。
・26補注 (豊) 20年02月17日
「ギリシャ」「モネ」と西洋の思考が続いたので、本当の哲学は東洋にある
と思い、句を付けました。
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