2021年4月23日金曜日

七句会 第三十五回目のネット句会 選句結果をご報告します。

 

 七句会のみなさま

 

 第三十五回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。

今回の選句結果をご報告いたします。

 

  7 点句

(007) 春待つや白寿の母の希望の絵           小野寺

 

  5 点句

(067) 蕗の薹苦みも美味し夫婦酒            吉良

 

  4 点句

(006) 散り際をわれも追ひたし落ち椿          深瀬

(062) あの彼女(ひと)も今年限りと年賀状       中津川

 

  3 点句

(028) 春浅し振鈴駆ける永平寺             深瀬

(029) 十年を経て静かなり春の海            豊

(036) ためらひて言葉呑みけり春の宵          小野寺

(081) 付箋紙にすること書いて春昼寝          深瀬

(088) ぬるま湯の朧月夜にもの思う           藤原

(094) 花吹雪ほほえみ残し恩師逝く           吉良

 

  2 点句

(002) 春めいてクラブ磨いて誘い待つ          深瀬

(010) 鶯にひととき静まる花見かな           橋本

(012) 巣作りの雀守りて春の雨             小野寺

(014) 静かさや茶釜の脇の椿かな            深瀬

(016) 梅枝をまだ咲かぬかとメジロ飛び         中津川

(019) 鶯の初音背に受けティーショット         桑子

(024) 韃靼の夏野駆けるや青き月            小野寺

(025) 幼児 (おさなご) が菜の花畑まあだだよ      志方

(030) 夜桜は淡く輝き雨霞               宮澤

(031) 花を愛で鶯を聞く贅の時             橋本

(038) 春暁や牡丹の花芽目覚めをり           小野寺

(045) 手術台パンツ下ろされ覚悟決め          深瀬

(079) 訃報次ぐ恩師の授業春の夢            深瀬

(113) したためし文の墨の香木の芽時          小野寺

(118) 囀りに陽射し明るき樹間かな           橋本

 

  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前

とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。

  次回については、今年6 ~7 月ころにご連絡したいと思っていますので、よ

ろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連

絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。

 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。

 

(1) 選句参加者

 今回の選句には、下記の14名が参加しました。

  新井さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さん、中津川

さん、橋本さん、平島さん、藤原さん、宮澤さん、柳町さん、豊さん、深瀬。

 

(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について

  今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので

はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り

たいと思います。一応、期限としては  5 月14日とし、事務方にメールでいた

だき、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/

 

  2021.04.23

      代表   橋口侯之介

      顧問  豊  宣光

      事務方 深瀬久敬

 

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(001) 葉山牛食べ放題と四月馬鹿            新井 0115

(002) 春めいてクラブ磨いて誘い待つ          深瀬  1216

      1 新井    ウキウキした感じが伝わってきます。

      2 吉良    ようやく冬が終わり、ゴルフシーズンを迎えるゴルフ

           愛好家の気持ちが良く表現されています。

(003) 石垣に花散りしくや鬨 (とき) の声        小野寺0220

(004) 花見酒画面相手に酔いつぶれ           宮澤  0902

(005) パスポート更新すませ春の旅           豊    1107

(006) 散り際をわれも追ひたし落ち椿          深瀬  1204

      1 桑子    ピンピンコロリと理解しました。同感です。

      2 中津川

      3 柳町

   4 小野寺  実際に死に直面したらわかりませんが限りある命が終

       わる時は椿の花の様に端然と逝きたいものです。

(007) 春待つや白寿の母の希望の絵           小野寺0206

      1 新井    心が温まる作品です。

      2 吉良   待ちわびた春の花を、白寿の母親ご自身が絵に描かれ

           るエネルギーが皆に希望を与えると解釈しました。素晴

           らしいことです。

      3 桑子    希望の絵とはどういう絵でしょうか?興味をそそりま

           す。

      4 治部    お母様の絵拝見したことありますよ。お元気で何より

           です。

      5 中津川

      6 橋本

      7 深瀬    説得力に溢れている感じがしました。

(008) 菜の花や海の青さに負けぬほど          豊    1102

      1 志方

(009) コロナ禍に桜見るのも命懸け           桑子  0406

(010) 鶯にひととき静まる花見かな           橋本  0702

      1 吉良   鶯の声は都会では珍しいものとなりましたが、花見の

           客が一瞬静寂に鳴き声に聞き入っている様子が感じられ

           ます。

      2 志方 

(011) 万愚節たてまえ本音見え隠れ           深瀬  1214

(012) 巣作りの雀守りて春の雨             小野寺0222

      1 橋本

      2 豊      軒先に雀の巣ができているのを見つけた。卵を生み雛

           が生まれるまで、どうか無事であってほしい。そんな作

           者のやさしい気持ちが出ています。

(013) 山門の花散りゆくも大師像            橋本  0706

(014) 静かさや茶釜の脇の椿かな            深瀬  1206

      1 中津川

      2 藤原

(015) 大輪の椿の香る八幡宮              新井 0108

(016) 梅枝をまだ咲かぬかとメジロ飛び         中津川0601

      1 橋本

      2 宮澤    枝から枝を飛び回るメジロの目は大きく、いつもキョ

           ロキョロ何かを探している。そうか、梅の咲くのを待っ

           ているのか?

(017) 地蔵さま柳にうたれ知らぬ顔           深瀬  1210

      1 志方 

(018) 海鳴りに春雷和すや鐘とほく           小野寺0205

(019) 鶯の初音背に受けティーショット         桑子  0404

      1 深瀬    冬の寒さが和らぎ、ゴルフシーズン到来の雰囲気を実

           感します。

      2 小野寺  鶯の初音聞きながらのドライバーショットは心晴れて

       爽快でしょう。

(020) 散る桜醍醐の宵に想い馳せ            小野寺0211

(021) 距離感を互いに気にす花見かな          深瀬  1221

(022) 子等の聲桜吹雪の舞う奥に            柳町  1004

      1 宮澤    宴会が禁止された花見では、子供の声がいつもに増し

           て聞こえてくる。大人はこれで満足するしかなさそうで

           す。

(023) 春の陽に去年 (こぞ) と変わらぬコロナかな    深瀬  1218

(024) 韃靼の夏野駆けるや青き月            小野寺0201

      1 柳町

      2 豊      モンゴルの英雄チンギスハンを詠んだものですね。「

           青き月」がうまく効いています。

(025) 幼児 (おさなご) が菜の花畑まあだだよ      志方  0503

      1 吉良   菜の花畑でかくれんぼをしている可愛らしい句です。

      2 平島    週刊新潮の表紙の絵 とか サトー ハチローの詩の

           世界。郷愁を誘います。童心も蘇ります。

(026) 新緑のランニングシャツ軽やかに         新井 0102

(027) 石畳ミモザ敷き詰め春祝う            吉良  0305

(028) 春浅し振鈴駆ける永平寺             深瀬  1201

      1 平島    春とはいえまだ寒い北国の凛とした空気を振るわせ済

           んだ音で鈴を鳴らせて階段を駆け上がる若い修行僧。日

           本の禅宗美。

      2 藤原

      3 小野寺  春まだ浅い永平寺の境内の石段を駆け抜ける鈴の音が

       晴れやかに聞こえる気配ですね。

(029) 十年を経て静かなり春の海            豊    1106

      1 桑子   

      2 治部   震災から10年。うそのように静かな海が見えてきます。

      3 中津川

(030) 夜桜は淡く輝き雨霞               宮澤  0905

      1 新井    美しい光景が浮かびます。

      2 小野寺  暖かい春雨の中にふわりと浮かぶ夜桜はコロナの時代

       しみじみとした感慨を誘います。

(031) 花を愛で鶯を聞く贅の時             橋本  0703

      1 藤原

      2 宮澤    いいですね。花を見て、鶯聞いて幸せが満たされたら、

           後は酒となれば贅の極みですが、家飲みで我慢しましょ

           う。

(032) 春暮れて熱きを恃み海渡る            小野寺0207

(033) バレンタインデー高級チョコの似合うかな     新井 0111

(034) 「黙食」とそば屋の春は味気なし         中津川0604

      1 橋本

(035) 春暁の流れる雲に夜があける           藤原  0801

(036) ためらひて言葉呑みけり春の宵          小野寺0215

      1 治部   何を言おうとしたのかがとても気になります。

      2 平島    これだけは言おうと思って来たのに何故か言えずつい

           呑み込んでしまい、またしてもチャンスを捉えらえなか

           ったもどかしい悔しい暖かい春の宵 

      3 深瀬    なにをためらったのか、いろいろ想像を膨らまされま

           した。

(037) 止まらない特例国債万愚節            深瀬  1213

(038) 春暁や牡丹の花芽目覚めをり           小野寺0219

      1 新井    春の訪れ第一歩、はっとしたような感じを受けます。

      2 中津川

(039) 春光に浅緑の風漂いて              志方  0506

      1 藤原

(040) 長閑なり浜辺に戯れる親子づれ          桑子  0405

      1 柳町

(041) 垣根沿ひ椿ひっそり過疎の村           深瀬  1207

(042) 東北の真夏にうなる豪速球            新井 0105

(043) 胸元に桜吹雪の着地点              宮澤  0901

(044) 花散りて青葉に沈む寺のあり           小野寺0210

      1 吉良   桜が散りはて、人のいない静寂さを取り戻した寺の様

           子を「青葉に沈む寺」とピッタリ表現した良い句です。

(045) 手術台パンツ下ろされ覚悟決め          深瀬  1225

      1 新井    ものすごくリアルに伝わってきます。

      2 桑子    まな板の鯉ですね、面白いです。

(046) 野に舞える蝶となりたる夢を見し         豊    1101

      1 小野寺  蝶になって野原を舞う夢は心が軽くなるような想いへ

       の憧れでしょうか。

(047) パンジーの風に揺れるや春浅し          新井 0109

(048) 夜明け前春の足音密やかに            宮澤  0906

(049) 花びらの散っては埋まる地をみつめ        深瀬  1222

(050) 黒髪の匂ひ乱れて花吹雪             小野寺0209

      1 吉良   色っぽい句ですね。

(051) 下萌えの岸水満ちて鯉の群れ           橋本  0707

      1 桑子   

(052) 倉敷の柳の下に踊る傘              新井 0112

(053) ウイルスと平和条約万愚節            深瀬  1215

(054) 桜散る吹き寄せられて山となり          豊    1104

(055) 奥津城の風哭き止みて寒椿            小野寺0204

      1 柳町

(056) 糸柳孫三郎のお出迎え              新井 0113

(057) 今年又近場巡りの花見かな            桑子  0401

      1 平島    コロナで身動きの取れない最近の日々。それでも桜は

           咲き自然の営みは淀みなく続いて行く。毎年同じなのに

           それも身近に今年は何か違うものが見えて嬉しい。

(058) 菜の花の絨毯織りし利根堤            吉良  0304

      1 志方 

(059) 災いも箱根も越える紫紺の旗           新井  0101

(060) 水面に輪池の主が春知らせ            宮澤  0904

(061) 桜咲く早めの春や気ぜわしく           柳町  1003

(062) あの彼女(ひと)も今年限りと年賀状       中津川0603

      1 桑子    欠礼の挨拶が続く中、特に数少ない?女友達からはシ

           ョックが大きいです。

      2 志方 

      3 深瀬    小学校か大学かの同級生か。老いの心境の吐露だと同

           感します。

      4 小野寺  続いて来た年賀状も今年限りとする彼女には人に言え

       ない未練でもあったのでしょうか。

(063) 春の宵甘い香りの頬なでる            新井 0116

(063) 1 宮澤    春は、花鳥の見聞で、感じられることが多いと思って

           いましたが、香りという臭覚だけでなく、肌の触覚でも

           感じられるとは羨ましいです。

(064) 光降る雪解の小径疾風 (はやて) 舞ひ       小野寺0202

      1 志方 

(065) 春浅し断捨離の本山に積み            深瀬  1202

(066) 桜並木ゴルフショット天高し           藤原  0802

(067) 蕗の薹苦みも美味し夫婦酒            吉良  0302

      1 志方 

      2 橋本

      3 平島    長年連れ添ってお互い酸いも甘いも味わい尽くし蕗の

           苦みも美味しいなあと酌み交わす酒の旨さよ。お互いの

           思いやりがほんのりと出て人生も良いなあ!

      4 深瀬    長年連れ添った夫婦愛をしみじみ感じます。

      5 豊      蕗の薹のお浸しをつまみにして、なかむつまじく酒を

           酌み交わしている夫婦。平和な風景が目に浮かびます。

(068) 絨毯のごとビルの隣に梨花の棚          中津川0606

(069) 春風の都の社にツーシーム            新井 0104

(070) 生き死にを超えて仏師の能面 (おもて)       小野寺0213

(071) 桜なき入学式の不可思議さ            柳町  1001

(072) 三度笠柳なで切るわらじびと           深瀬  1209

(073) 朧夜や昔の女(ひと)の面影が          豊    1105

      1 小野寺  春の朧月夜、ふと心をよぎるのはあの人との切ない別

       れだったのでしょうか。

(074) 今年また花大根のそぞろ道            志方  0505

      1 豊      散歩の途中で、ふと道端に花大根の花が咲いているの

           を見つけた。そういえば、去年も同じ所に咲いていたっ

           け。「そぞろ道」がうまいですね。

(075) 月冴えて菜の花の海天に尽き           小野寺0217

(076) 座禅して時の重みに耐えるかな          深瀬  1224

(077) 彩雲の山の端遠く朧月              志方  0507

(078) 椿姫白い帽子のそっと咲く            新井 0107

(079) 訃報次ぐ恩師の授業春の夢            深瀬  1217

      1 治部   今年は二人の恩師が相次いで旅立ちました。

      2 柳町

(080) 花筏ライトアップの夜の川            豊    1103

(081) 付箋紙にすること書いて春昼寝          深瀬  1219

      1 新井    覚えると役に立つ、実践的な句です。たくさんの方に

           ご紹介したいです。

      2 中津川

      3 宮澤    今日はこれをしようと決めて安心、一休み。目覚めて、

           付箋紙がどこかへいってしまい、明日の予定を書いても

           う一休み。

(082) 宴無くも花を求むる人出かな           橋本  0705

(083) 花は盛り掟破りの送別会             中津川0607

(084) 初蝶は光の風に流れをり             小野寺0221

      1 豊      春らしい明るい風景が詠み込まれていて、いい句だと

           思います。「光の風に流れをり」が、蝶の飛んでいる様

           子をきれいに表現しています。

(085) 雪洞に色香を誘う宵桜              志方  0502

(086) やなぎ背に羽織袴の女子大生           深瀬  1212

(087) 春の月濡れにし髪の艶めきて           小野寺0212

      1 藤原

(088) ぬるま湯の朧月夜にもの思う           藤原  0803

      1 橋本

      2 平島    ぬるい湯にのんびりと足を伸ばし見上げる月はおぼろ

           に霞んでいる。何を思うのかなあ!ぼんやりと はっき

           りしない!  それがいろいろと思いの内容の想像を巡ら

           せてくれます。

      3 柳町

(089) つぼみ見てふくらむ希望春浅し          新井 0110

      1 藤原

(090) 社会性ぬぎすて身軽あの世へと          深瀬  1226

(091) カサカサと夜のしじまに蚕(こ)の咀嚼      桑子  0402

      1 豊      いまや、蚕を飼っていた農家があったことなどすっか

           り忘れられています。昔の人の苦しい生活が思い出され

           ます。

(092) 豆撒けず檀徒まばらに節分会           中津川0602

(093) 活け椿掛け軸の虎あいまみえ           深瀬  1205

      1 吉良   茶室の掛け軸の虎が生きているようにツバキを見てい

           る発想が面白く感じました。

(094) 花吹雪ほほえみ残し恩師逝く           吉良  0301

      1 橋本

      2 深瀬    「ほほえみ残し」に恩師の人柄を感じます。

      3 藤原

(095) 餌とれぬ老ライオンの死を見る眼         深瀬  1223

(096) 桜咲き黄砂禍悲し花筏              柳町  1002

(097) 春うらら惰眠の夢は幸多し            宮澤  0903

(098) 文やぶる眸の奥に春は過ぎ            小野寺0208

(099) はくれんがピンクの中に主張せり         中津川0605

(100) 岩に散る波濤の飛沫 (しぶき) 花筏        小野寺0214

(101) 風光る梅に戯れるメジロかな           藤原  0804

(102) ビル風にさえづり乗せて燕舞う          吉良  0303

      1 新井    都会でたくましく、生き生きと生きる燕たちの様子が

           目に浮かびます。

(103) ぶりっこのバブルを引きずる令和の日       新井 0106

(104) お堀端柳に刻む動乱史              深瀬  1208

(105) 落城の今際 (いまわ) の鬨 (とき) か花吹雪    小野寺0218

(106) 何処までも初音に乗せてティーショット      橋本  0701

      1 桑子    ナイスショットの光景が目に浮かびます。

(107) 犀星忌ぶらり探策旧居跡             桑子  0403

      1 深瀬    「ふるさとは遠きにありて思ふもの/ そして悲しくう

           たふもの」の金沢出身室生犀星の旧居とは、文学的雰囲

           気に引き込まれます。

(108) 西陽さす富士の白肌春霞             志方  0501

(109) 五十女ノースリーブの四月馬鹿          新井 0114

(110) 突然死うわさ身に沁む浅き春           深瀬  1203

      1 柳町

(111) 渺然と白波寄せる由比ヶ浜            志方  0504

(112) 看護士の緊迫走る春深夜             深瀬  1220

(113) したためし文の墨の香木の芽時          小野寺0216

      1 治部   墨の香と山椒の香なんと香しき一時か

      2 平島    心を込めて書いた筆の手紙。正座して墨をすりその香

           りと同時に感じる木の芽の香りやら成長の兆しなど自然

           は更に奥深いなあ。

(114) 母実家柳目印訪ねけり              深瀬  1211

(115) また一つ空室増えてビルの春           豊    1108

      1 治部   不動産経営の大変な春ですね。

(116) 春風にひよっこ踊る競技場            新井 0103

(117) 花冷えや夜更けて窓を風が哭き          小野寺0203

(118) 囀りに陽射し明るき樹間かな           橋本  0704

      1 中津川

      2 宮澤    葉の影の風で動く様が、姿は見えない鳥の囀りと同期

           しているようような気がします。

 

 

  追記

  選句をお寄せいただいたときの、コメントをご紹介しておきます。

 

・新井さん

  お陰様で、大変楽しくすべての句を読ませていただきました。

  日常の一コマから、文学的に格調高いとかんじるものまであり、楽しいです

ね。

  皆さんのお心を生き生きと映し出す素晴らしい作品ばかりでした。

 

・橋本さん

  松山がマスターズで優勝し、日本人もメジャーで勝てることを示してくれま

した。一ゴルフ愛好者としても喜ばしい限りです。

  コロナ禍は未だ未だ気が抜けませんね、ワクチン接種まで何とか乗切たい。

  以下選句しましたので、ご連絡致します。

  春の句で、”ほんわかとした”、”ユーモアのある”、”物憂い”等を詠ん

だ句を選びました。

 

・宮澤さん

  気持ちの良い季節になってきましたが、コロナのおかげで今一つすっきりし

ない日々が続きます。いかがお過ごしですか。

  白金台一丁目前町会長が昨年末亡くなり、高齢化による後継者不足で小生に

お鉢が待ってきました。4 月10日に新会長に選出され、想定以上の手続きで忙

しくバタバタしています。

 それでも、そこそこ元気で過ごしています。

 

・柳町さん

  コロナウィルスも新型となりなかなか収束の気配がありませんね!!  そん

な訳でしばらくは静かにして居ましょう。

  PS: 先日、風呂で倒れ、家内が慌てて救急車を呼ぶ騒ぎを起こしました。暑

い風呂で「湯あたり」を起こしたようです。お互い体に注意しましょう。

 

 

2021年2月16日火曜日

七句会 第5 回 自由連句プロセス

  七句会 第5 回 自由連句プロセス


 初折表

01 発句  秋   白菊を一輪供え別れかな           (豊) 

02 脇   月     酒盃に映る下弦の月も              (志方) 

03  第三    秋     秋の空希望の灯り照らすらん        (新井)  

04  四句目  雑             駿馬疾駆せん草原の夢                    (吉良) 

05  月の座 夏  韃靼の夏野翔けるや蒼き月                    (小野寺) 

06  折端  夏       蛍となりし義経あわれ                  (豊) 


 初折裏

07  折立   雑   屋島にはうどんに欠かせぬネギ生姜          (志方) 

08  二句目  恋             肩寄せ聞いた「青春時代」              (深瀬) 

09  三句目  恋     カキツバタ笑み忘れしや君と老ゆ             (吉良) 

10 四句目  雑        早朝のさざ波青く今井浜                      (新井) 

11  五句目  雑    母として初めての子を抱く笑顔                 (豊) 

12 六句目  雑       夭夭たる子華燭の日待つ                      (小野寺) 

13  月の座  冬月   家出してひとり見上げし冬の月                (深瀬) 

14  八句目  冬             孫の靴跡霜柱踏み                         (志方) 

15  九句目  雑      光降る雪解の小径疾風 (はやて) 舞ひ       (小野寺) 

16  十句目  雑          大河をたどり黄金郷へ                   (吉良) 

17  花の座  花       としまえん回転木馬の華は散り                (新井) 

18  折端    春                一年生は胸膨らませ                       (豊) 


  名残表

19  折立    春       春陽うけ修羅場くぐりし過去想ふ           (深瀬) 

20  二句目  雑             つくしの頭目じりが下がり              (新井) 

21  三句目  雑      雲に乗り幸せ探す旅に出る                  (豊) 

22  四句目  雑            春雷和すや鎮魂の鐘                   (小野寺) 

23 五句目 夏  東北のマウンドに立つメジャー球         (新井) 

24  六句目  夏                 六甲おろしよ七夕飾れ                 (志方) 

25  七句目  雑        琵琶の音の諸行無常もコロナ禍に         (深瀬) 

26  八句目  恋                 一人寂しく「枯れ葉」を歌う      (吉良) 

27 九句目  恋      寒い朝思い続けて半世紀                    (志方) 

28  十句目  雑                 オペラ座へ行くフランス旅行      (豊)   

29  月の座  月    天空に恋路映せる月あかり                 (吉良) 

30 折端  秋           相撲部屋にて別れの秋に             (新井) 


  名残裏

31  折立    秋      丸型の七輪にのせ秋刀魚焼く                (豊)  

32  二句目  雑           ニシン御殿の大漁いずこ              (小野寺) 

33  三句目  雑   老い桜切り株哀し池影なく                (志方) 

34  四句目  雑              アクリル板に世相行き交う           (深瀬) 

35 花の座  花   感染の鬱吹き飛ばせ散る桜                (小野寺) 

36  挙句  春           川みず温み命はぐくむ                (吉良) 




  ご参考  詠み手による付け筋


01 発句  駒東の同級生をはじめ、有名無名に限らず、コロナに感染して亡

     くなった人が出た一年でした。その人たちへの追悼の思いを込めま

     した。 (豊さん。20.11.25) 

02 脇   コロナ下で、墓参もままならぬ酒好きの朋に、捧げた一杯を繋い

     でみました。 (志方さん。21.02.16) 

03  第三     秋になれば、ワクチンの効果も表れ、今よりずっと安心で経済も

                活発化しているのではないか…、という期待です。

                   …、本心としましては、ちょっと幼いですが、まあいつも幼いと

                 思います。それから、ちょっと「悼む」感じの句が続いていたので、

                 急に明るくすると不謹慎かと思ったのですが、そういう気を回す必要

                 はなさそうですね。 (新井さん。21.02.18)

                (はじめにいただいた句が、亡くなった人を偲ぶような感じでしたので、

                僣越ですが、わたしから少しコメントしました。深瀬) 

04  四句目    雲一つない澄んだ秋空は果てしない草原を想像させます。漢文の

     清田先生、河村先生の授業で男のロマンを掻き立てるこんな話を聞いた

     ように思います。 (吉良さん。21.02.19)

05  月の座     やはり、川村先生の漢文の授業を思い出しております。モンゴル

              大高原を疾駆して東西に大帝国を築いた元民族の興亡の歴史を眺めた蒼い

              月に思いを馳せます。   (小野寺さん。21.02.20)

06  折端    蒼き狼チンギスハーンは源義経ではないかという伝説があります。

               表六句には人名を詠んではいけないという式目があるようですが、

               前句までの流れに関連させてあえて入れてみました。 (豊さん。21.02.20)


 初折裏

07  折立     瀬戸内は源平の戦跡が、観光名所として八百年の時空を超え、当

              時を偲んで変わらぬ輝きを放っております。現在は、讃岐うどんの

              名店があり、本四架橋工事時代によく通いました。源平といえば主役は

              義経、讃岐うどんといえば釜揚げに、ネギと生姜。うどんの発生は、

              空海が唐から持ち込んだものとされており、西域を通してローマにも伝

              わり、パスタになったようです。あの白いうどんが、日本、中国、西欧

             と繋がっていることに、何かしら壮大なロマンを感じます。転換が自由

             過ぎますかね? 志方より(今日は禁酒日です) (志方さん。21.02.20)

08  二句目   前句が、視覚、味覚、嗅覚という感じですので、触覚と聴覚にしました。

      「青春時代」は森田公一とトップギャランの1976年ころのヒットです。70歳を過

      ぎた今聞いてもかなり新鮮な感じがします。歌詞概要は「卒業までの 半年で

        答を出すと言うけれど  二人が暮らした年月 (としつき) を  何で計ればい

      いのだろう  青春時代が夢なんて  あとからほのぼの想うもの  青春時代の真

      ん中は  道に迷っているばかり。二人はもはや 美しい  季節を生きてしまっ

      たか  あなたは少女の時を過ぎ  愛を悲しむ女 (ひと) になる  青春時代が夢

      なんて  あとからほのぼの想うもの  青春時代の真ん中は  胸に刺 (とげ) さ

      すことばかり。」  (深瀬。21.02.21)

09  三句目 青春時代とは真逆の老人の恋。認知症になり顔の表情が乏しくなっ

    てもなお、昔の思い出を懐かしんでいる老人。カキツバタは幸せの花言葉で、

    高校の古文で習った在原業平の和歌で覚えています。もともと恋は苦手で

    難しいテーマ。  (吉良さん。21.02.22)

10 四句目 カキツバタの青さを思い浮かべたときに、20年程前に行った今井浜

    での海の青さを思い出しました。   (新井さん。21.02.23)

11  五句目   「青春時代」「君」「旅の思い出」と続いたので、恋人同士で旅を

    した二人が結婚して子供が生まれた喜びを詠んでみました。   (豊さん。21.02.23)

12 六句目    中国最古の詩集 詩経の中にある漢詩 桃夭 (とうよう) の一節 

       桃の夭夭たる  芍芍たる其の華  之の子 ゆき帰がば (この子ゆき嫁がば)

    其の室家に宜しからん。

      桃の木の若々しく華やぎの花のような娘が嫁に行けば、きっと嫁ぎ先で幸せ

    に行くでしょう。と娘の結婚の喜びの詩で漢文の河村先生の授業のくだりでし

    た。

      二句青春時代から五句で子供の誕生がありその娘がやがて華やかに成長して、

    嫁いでゆく喜びを詠いました。   (小野寺さん。21.02.27)

13  月の座    家族とはいろいろあるなかで、成長していくもののように

    感じます。死ぬときはどうなるのか、少し気になります。 (深瀬。21.02.27)

14  八句目 冬の陽ざしが和らいだ朝、孫二人を連れて朝の散歩時、落ち葉が敷き詰めら

    れた道での霜柱。サクサクという音が珍しいのが、二人ではしゃいで足跡を大

    地に刻んでおりました。自然環境が比較的保存されている散策路で、幼き日の

    孫とのふれあいでした。 (志方さん。21.03.01)

15  九句目   志方さんの霜柱を孫達と踏んだ句を受けて、厳しい冬場が過ぎた雪解け

    水流れる岩手釜石の小道を祖父に手を引かれて歩いた祖父の手の温もりの風景を思

    い出します。  (小野寺さん。21.03.04)

16  十句目   雪に反射した光はまるで黄金のような輝きを連想させます。スペインの

    大航海時代、アマゾンの奥地に黄金郷 (エル・ドラード) があるとの伝説がヨーロ

    ッパに広まり、アンデスの雪解け水をたたえたアマゾン川を辿り、多くの探検

      家が命を亡くしたと言われています。  (吉良さん。21.03.05)

17  花の座   エルドラドといえば、閉園したとしまえんの回転木馬「カルーセル

  エルドラド」を思い描きました。このご時世、回転木馬の夢のような華やぎも

      散ってしまったようです。    (新井さん。21.03.07)

     『としまえん』カルーセルエルドラド、最終運転を終了 解体しメンテナン

      スへ  (ORICON NEWS) 

      https://www.oricon.co.jp/news/2170643/full/ 

 注。「花」と「華」はやや異なりますが、事務方の依頼時の手違いもあり、

よろしくお願いします。 (深瀬) 

18  折端     としまえんは子供たちにとって楽しい遊園地でした。閉園は、一種の

     卒業だと言えるでしょう。卒業の後は新入学です。小学、中学、高校、大学、

     一年生は皆新しい経験に胸を膨らませています。     (豊さん。21.03.07)


  名残表

19  折立     時間は一気に飛んで老境に入り、春の庭先などで、過去に数々の

        修羅場をくぐり抜けてきた体験を想い起こし、感慨にふけっている様を

          詠みました。   (深瀬 。21.03.08)

20  二句目     過去の想い出として、子供の時、近所の空き地で三月に出始めたつ

           くしを見つけるのが楽しみでした。新しい季節を思ってうきうきして微笑

          みが浮かんだものです。また幼くてすみません。   (新井さん 。21.03.13)

21  三句目      幸せな気分になると目じりが下がります。つくしは野に生えるので、

           それと反対に対応させて、空の雲を入れました。ここまでの句の流れを転換

             させたつもりです。   (豊さん 。21.03.13)

22  四句目     豊さんの雲に乗りの展開を受けて  

             昨日は関東から東北にかけて春の雷雨が激しく轟きました。おりしも、

           あの大震災から10年の歳月がながれて故郷釜石では3.11の大震災復興

            支援の梵鐘が希望への願いを込めて、市民により打ち鳴らされました。

            激しく走る雷光の轟きは、鐘の音と唱和して新しい再生の未来に向けての

            号砲の様でもありました。    (小野寺さん 。21.03.14)

23 五句目   プロ野球、この夏はヤンキース帰りの田中投手の投球が楽しみです。

             東北も活気づいて皆さんが元気になると思います。再生への応援をこめ

             ました。   (新井さん 。21.03.14)

24  六句目    田中投手は甲子園や仙台に育てられたとおもっております。

        例年、わが阪神タイガースは、春先好調でも、フアンとしてはせめて、

        鯉幟が泳ぐまで、紫陽花が散るまでと儚い望みをたくしておりましたが、

         今年は陸奥の七夕(8月) までは楽しませてくれるかなと、控えめな願望

         をいだいています。 

         (本当はぶっちぎりの優勝を確信していますが、せめてコロナウィルスと

         巨人とだけは退治して欲しい。)      (志方さん 。21.03.15)

25  七句目     野球の応援のにぎやかさと頑張ってもうまくいかないことも

           あることを対比してみました。ややネガティブな見方かもしれません

            が、いろいろな変化に柔軟に対応できることが大切ではないかと

            感じています。   (深瀬。21.03.15)

26  八句目    コロナ禍で仲間とカラオケにも行けない独身の男性が、有名

          なシャンソン「枯れ葉」 (ジョゼフ・コズマ作曲、ジャック・プレ

          ベール歌詞:「愛し合った二人の砂の足跡も、とどまることなく波

          間に消えてゆく」)を歌います。方丈記「ゆく河の水は絶えず

          して・・・」に通ずる心境でしょうか。    (吉良さん 。21.03.16)

27 九句目 さゆりストを自称して、はや半世紀を上回り、二人でいれば

        暖かくなるフレーズ。青春は遠く過ぎ去りましたが、心に残る歌謡

         曲です。   (志方さん 。21.03.26)

28  十句目     「枯れ葉」「寒い朝」と歌が続いたので、オペラを連想

      しました。さらに、句の視野を世界に広げてみました。

          20年ほど前パリに旅行したことがあります。その時はオペラ座の

        中には入らず外から建物を見ただけでしたが。  (豊さん 。21.03.26)

29  月の座     オペラ座の天井にはシャガールのほんのりとした恋人の絵

         が描かれています。月明りが二人の行くてを照らし、行く末を祝って

          いる様子を描きました。    (吉良さん 。21.03.28) 

30 折端    パリでのシャガールが描いた恋人…ということで、アナウン

      サーの河野景子さんを思い浮かべました。フジテレビの社員時代にパリ

      に駐在し、貴乃花と結婚して相撲部屋の女将になったものの、二年前程

       秋に離婚されていました。

          一人の人生を語るには無理があるかと思いましたが…。思いつくま

      まの楽しみで詠みました。河野さんは最近、「コトバノケイコ」という

      本を出版なされていて、ちらっと立ち読みしましたが、アナウンサー時代

      に会得した、腹式呼吸や発声について書かれていて、おもしろかった

     です。    (新井さん 。21.03.28) 


  名残裏

31  折立     相撲の土俵は丸くなっています。「あはれ秋風よ 情あらば伝へ

       てよ…」佐藤春夫の有名な詩「秋刀魚の歌」の書き出しです。焼き秋刀魚

        を見ると、いつもこの詩を思い出します。    (豊さん 。21.03.28) 

32  二句目   豊さんの秋刀魚の句から近年は海流の異変や近隣諸国の乱獲により

     秋刀魚の取れ高が減ってきてます。満州から引き上げて来たなかにし礼に

      とっても、ひと頃隆盛を極めた、ニシン漁の失敗の苦悩から石狩挽歌の

      名曲が生まれました。北原ミレイの哀調の調べです。 

                                                           (小野寺さん 。21.04.03) 

33  三句目   栄枯盛衰世の常なれど、何故かものの哀れを誘う。井之頭

     公園の池に、例年その水面を飾っていた老い桜、今年の花見に姿なく。

      新しい切り株だけが、その老木の痕跡。  (志方さん 。21.04.05)

34  四句目   コロナ感染予防のためいたるところにアクリル板の仕切り

    がおかれています。これまでにはありえなかったような世相が写し出

     されているような感じがします。    (深瀬。21.04.06)

35 花の座   世の中感染の恐れ一色で、春の日差しが眩しい。昨今外出

     もままならない世相ですが怖いのは感染そのものもさる事ながら人の

     心に忍び寄る鬱屈した感情です。散りゆく桜に、日本人としてのもの

     の哀れを喚起し舞い散る花びらに人の心に宿る鬱を連れ去って欲しい

     という願いを込めて、この句を創りました。  (小野寺さん 。21.04.11) 

36  挙句  コロナ禍、世の中がどんなに混乱しても春になると生命の

     営みが始まります。我々も耐えて努力すればいつか春が訪れることを

      信じたいものです。

   発句で人の死について詠まれており、挙句には生命の誕生を読み

     ました。   (吉良さん 。21.04.12) 


七句会 第5 回自由連句の要領

  七句会  第5 回自由連句の要領


  第5 回目の自由連句を、豊さんとご相談し、下記の要領ではじめたいと思い

ます。


・参加者 新井さん、小野寺さん、吉良さん、志方さん、豊さん、深瀬(6名) 

 

・発句  白菊を一輪供え別れかな

  前回句会 (第34回) の豊さんの句です。

  駒東の同級生をはじめ、有名無名に限らず、コロナに感染して亡くなった人

が出た一年でした。その人たちへの追悼の思いを込めました。


・座      各座の季節、等は前回と同じです。ネット連句では、満尾まで1 ~

2 ケ月の月日がかかりますので、伝統形式にこだわらないものとしました。各

座の詠み手は、多少入れ替えました。



座 ------ 初折表六句

     01 発句   秋   豊

     02 脇    月  志方

     03 第三   秋  新井

     04 四句目  雑  吉良

     05 月の座  夏  小野寺

     06 折端   夏  豊


      初折裏十二句

     07 折立   雑  志方

     08 二句目  恋  深瀬

     09 三句目  恋  吉良

     10 四句目  雑  新井

     11 五句目  雑  豊

     12 六句目  雑  小野寺

     13 月の座  冬月 深瀬

     14 八句目  冬  志方

     15 九句目  雑  小野寺

     16 十句目  雑  吉良

     17 花の座  花  新井

     18 折端   春  豊


      名残表十二句

     19 折立   春  深瀬

     20 二句目  雑  新井

     21 三句目  雑  豊

     22 四句目  雑  小野寺

     23 五句目  夏  新井

     24 六句目  夏  志方

     25 七句目  雑  深瀬

     26 八句目  恋  吉良

     27 九句目  恋  志方

     28 十句目  雑  豊

     29 月の座  月  吉良

     30 折端   秋  新井


      名残裏六句

     31 折立   秋  豊

     32 二句目  雑  小野寺

     33 三句目  雑  志方

     34 四句目  雑  深瀬

     35 花の座  花  小野寺

     36 挙句   春  吉良


・式目  特に前回と変わりません。同じ語句の使用は避ける、付合において

場面の繰り返しや後戻りはしない、付合の背景の補足コメントを簡単に付記す

る、といった程度です。


  なにか、お気づきの点などありましたら、対応したいと思いますので、ご連

絡方、よろしくお願いします。


  深瀬 (事務方) 

                                   

2021年1月18日月曜日

七句会 第三十四回目のネット句会 感想、自句自解をお送りします。

  七句会のみなさま


 第三十四回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、

たいへんありがとうございました。

 およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ

てお届けします。

 今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。

 七句会のweb  http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。

  今後とも、よろしくお願いいたします。

  深瀬 (事務方) 



1.第34回  ネット句会  作品集


(01)新井さん

・友の顔浮かべて癒す新酒かな

・新酒飲み鍋を囲むや家族愛

・憂国忌激情したたる若気かな

・不理解の極みに至る憂国忌

・秋の空風を飲み込み芝生触れ

・赤緑過ぎゆく小道爽やかに

・文化祭笑み笑みあふれ友家族

・洋館の銀杏のマントはんなりと


(02)小野寺さん

・秋高く鳶の眼 (まなこ) は尾根を追い

・小夜時雨京の町屋に灯が燈り

・鎌切りに食われし雄の覚悟観る

・破れ寺の紅葉 (もみじ) 踏む音風に消え

・朋去りぬ虫哭き送る独り酒

・幽谷の村流れゆく霧の音

・夕霧が古都の紅葉 (もみじ) も濡らしけり

・雲速し朋逝きし日に野分荒れ

・墓碑朽ちて無縁仏に曼珠沙華

・月光を浴びて薄 (すすき) は銀の海

・古都暮れて路地裏深く紅葉 (もみじ) 踏み

・北斗星無窮の闇に傾きて

・梟は夜のしじまを偲び啼き

・栗飯の甘い匂ひに孫はしゃぎ

・紅葉舞う散りゆく生命 (いのち) 煌めきて

・星冴ゆる沖の漁火窓に揺れ

・浪の音恋せし夜の冬銀河

・故郷の夜汽車の汽笛冬近し

・月冴えて墨の匂ひに筆を執り

・雁の声波浪の岬風に消え

・ふるさとは港の汽笛夜泣き蕎麦

・散る銀杏黒き枝えだ天に透き

 A さんの復帰を祝って一句、

・柿紅葉 (かきもみじ) 陽に照り映えて朋還る


(03)吉良さん

・あるじ待つあくまで白きとろろ汁

・初登山新蕎麦すする麓茶屋

・宅配のオリーブの実や風光る

・柿干せる母の手細し今は亡き

・河豚ちりや孫と同じ身摘まみけり


(04)桑子さん

・球打てばファーを聞くなり秋の空

・天高く筑波と富士がにらめっこ

・紫が天下取りたる秋の庭

・小春日や木漏れ日まぶし散歩道

・冬晴にタワークレーン富士摘まむ


(05)志方さん

・風に問うコロナの行くへ秋茜

・棘隠すバラの花園古女房

・木漏れ陽と風にゆられて梢かな

・今年また同じ紅葉の花舞台

・冠雪に薄紅染める朝の富士

・畦みちに直立不動の彼岸花

・熱燗も独酌続く胡麻和えと


(06)治部さん

・病む友を励ます文や暮れの秋

・霜降や日々の河原の草々も

・秋惜しむ何はなくとも茸鍋

・都庁までくっきり高尾の紅き秋

・雨後の蹊雫の出会う十三夜

・郷に入り吾もしてみむと吊るし柿

・木枯らしや塵もコロナも知らぬまま


(07)中津川さん

・すすき原泡立ち草が天下取り

・刈田道活きているごと立つ案山子

・民宿の香るどぶろく焼きイワナ

・実りたる街の畑に猪 (しし) 出でる

・落栗を踏んで登るや木曽の路

・天満宮合格祈る神無月

・半袖にダウンベストの小春日や


(08)橋本さん

・秋雨や川面に隈無く輪の並ぶ

・一輪の白ばら冴えて月夜かな

・色付く葉残し剪定秋惜しむ

・晩秋の夕暮れ澄みて富士の峰

・三密を逃れてゴルフ天高し

・GoToはコロナ微笑む処方箋


(09)宮澤さん

・懐かしやコロナ不在の去年の冬

・老いらくの思いかみしめ落ち葉踏む

・散髪し襟元抜ける冬の風

・ふつふつと牡蠣鍋を待つ箸二膳

・濡れ落ち葉拾い集めて我を知る


(10)森杜瑯さん

・紅葉は命の光照り返し

・紅梅は泪をたたえ君誘う

・散り急ぐ紅きもみじに吾重ね


(11)柳町さん

  「きんぎょそうの種って、怖いね!」と孫に言われ

てしみじみ見ました。本当にドクロでした

・金魚草ドクロ顔の種哀し

・流星群願いをこめて祈る空


(12)豊さん

・冬来たる富士山頂の薄化粧

・小春日やベンチに並ぶ老夫婦

・白菊を一輪供え別れかな

・冬木立掃きたる空の青深し

・トナカイの鈴の音遠き聖夜かな

・吐く息や初霜の朝窓曇る

・良き人の逝きし一年除夜の鐘


(13)深瀬

・死の形さまざまと問ふ憂国忌

・金閣寺夕陽に浮かぶ憂国忌

・憂国忌白手はち巻きなにを問ひ

・ただ死ぬを待つ身のときの重さかな

・生きている疑問すらなき時もあり

・温暖化百鬼夜行の野分かな

・新酒呑みトイムトラベル古老団

・仏壇の新酒に割れる父母遺影

・潮の香や海底 (うなぞこ) の夢秋の空

・来し方の岐路振り返る残暑かな

・頭上飛ぶ残暑の機影重たげに

・太極拳モザイクかかる残暑かな

・老ひ深むこころやすらぐ残暑かな

・ひぐらしや山河にこだま瑞穂国

・ひぐらしや子守の少女空見上げ

・ひぐらしや遠き夕陽を呼び起こし

・七十路に「君といつまでも」聞きひたり

・役目終へ風に舞ひ散る落ち葉かな

・ひとひねり蛇口から水手で受ける

・濡れ落ち葉朝陽に燃えるきよらかさ

・落ち葉ごとひそり消えたし老ひの朝

・城ヶ崎岩にくだける秋の波

・秋の陽に大島望む城ヶ崎




2.第34回  ネット句会  自句自解


◎  新井さんの感想


  108 句拝見し、本当に楽しかったです。古典的な美しい情緒あふれる日本語

に触れられる句から、現代のコロナ苦を詠ったものまでじっくり味わえました。

壮大な年月の移り変わりが感じられて、大満足でした。

  新年ということで、一句浮かびました。このプロジェクトに参加させて頂け

た、お礼の気持ちを表すためお伝えします。

  『新春の陽光まぶし腰重し』

  …年が明け、明るい日差しを感じられるのですが、このご時世で出かける気

分になれません…。今後ともよろしくお願いいたします。


  このような楽しみに参加させていただけて嬉しいです。上智のクラスメイト

の間でも、賀状に「俳句素晴らしいですね」なんて書かれています。



◎  小野寺さんの自句自解


 仕事の他、河村先生の奥様との先生との生い立ちの再確認の電話やいろいろ

あって遅れましたが自分の句は選句結果を中心に下記します。


・浪の音恋せし夜の冬銀河  (015) 

 真冬の浜辺危い恋に燃えた日夜の海に息を呑む様な満天の冬銀河が横たわっ

ておりました。


・ふるさとは港の汽笛夜泣き蕎麦  (078) 

 故郷北の街釜石の冬、港の汽笛が遠く消えぎえに聞こえて父に連れられて食

べた夜泣き蕎麦の暖かい味が切なく思いだされます。


・月冴えて墨の匂ひに筆を執り  (008) 

 煌々と冴えた月が上がった冬の夜半、走らせた筆の運びに墨の香りが立ち込

め師への奉書の返信に想いを馳せました。


・北斗星無窮の闇に傾むきて  (032) 

 北風張り詰めた冬の夜更けに無窮のしじまを北斗七星は傾きながら沈んでゆ

き大自然の確かな運航に身がすくむ思いでした。


・故郷の夜汽車の汽笛冬近し  (038) 

 豊さん、治部さんの感想の通りです。北の故郷の夜汽車の汽笛が確かな音と

して聞こえ出すと冬がそこまでやって来てました。夜汽車の紅いテールランプ

との追憶です。


・秋高く鳶の眼 (まなこ) は尾根を追い  (043) 

  秋の深く高い天空を翔る鳶の眼からはあかね色に紅葉した遥かな山の稜線が

走り去る風景として眺められるだろうと、思いました。


・月光を浴びて薄 (すすき) は銀の海  (062) 

 一面の薄の原野は月の光を浴びさながら銀色に輝く海にも似て寂寥と耽美が

交錯する美しくも哀しい風景でした。


・朋去りぬ虫哭き送る独り酒  (065) 

 酒が好きだった友人は確かに良い奴でした。何故にと嘆いてみても外では虫

達が葬送の調べの様に哭くばかりで。独り酒で送るしかなかったのです。


・小夜時雨京の町屋に灯が燈り  (082) 

 私の好きな京都の町屋の夕暮れのひとときぽつりぽつりと灯りが燈るり暖か

な温もりの風景です。


・紅葉舞う散りゆく生命 (いのち) 煌めきて  (084) 

 華やかに見える紅葉の散りゆく様は命を、燃やして最後の煌めきを放つ 人

の一生にも似て限りある己のあり様にも思えます。


・墓碑朽ちて無縁仏に曼珠沙華  (087) 

 訪れる人もなく朽ち果てた無縁仏の墓碑の傍に一面真っ赤な彼岸花が咲いて

いて、人の世の無常と寂寥が、この世のものとも思えない程辺りを支配してお

りました。


・古都暮れて路地裏深く紅葉 (もみじ) 踏み  (095) 

 京都の下町の路地裏に散り敷かれた紅葉を踏み入ると千年の古都のそこはか

とない息吹きが、足の底から伝わる想いがしました。


・星冴ゆる沖の漁り火窓に揺れ  (102) 

 海辺の旅の宿です。外は満天の星が冴え曇った窓ガラスに遠く漁り人が揺れ

て旅情を誘いました。


・散る銀杏黒き枝えだ天に透き  (021) 

 秋空に燦然と輝きをみせた黄金いろの葉達は衣を脱ぎ捨てたように散り果て

後に寒風に立ち向かう裸木が堂々と屹立する姿を描きました。平島さんの寸鉄

の鋭い批評に感服です。


・柿紅葉 (もみじ) 陽に照り映えて朋還る  (071) 

 死生を彷徨う大病をした友人が病を乗り越えて戻ってきた。まるで祝福する

ように柿の葉が紅く色づき陽に照り映えて光っておりました。


・破れ寺の紅葉 (もみじ) 踏む音風に消え  (049) 

 人里離れた破れ寺の紅葉を踏みしめながら歩くとカサコソという音が風にか

き消されて、志方さんの寸評の様に寅次郎が雪駄で歩く風景が言い得て妙です。



◎  桑子さんの自句自解


  コロナ禍の中で、健康維持のため近所の散歩やゴルフをしています。今回は

それらにちなんで詠んだものが多いです。


・球打てばファーを聞くなり秋の空

 3密の回避かゴルフ場も混んでおり、あるゴルフ場ではあちこちからファー

の声が聞こえてきていました。子規の「柿食えば・・・」をちょっとまねてみ

ました。


・紫が天下取りたる秋の庭

 秋の我が家の小さな庭は紫色の花が多く (ノボタン、アメジストセージ、そ

の他 [実はあまり花の名前は知らない] ) それらが咲き乱れているのを詠みま

した。


・小春日や木漏れ日まぶし散歩道

 以前は感じなかったが、 木漏れ日が眩しく年には勝てません。


・天高く筑波と富士がにらめっこ

 散歩の途中、公園の丘から天気の良い日には、北に筑波山、西に富士山が見

えます。

 やはり富士山の方が堂々として睨み付けている感じでしたが、表現としては

「にらめっこ」の方が良いかと?


・冬晴にタワークレーン富士摘まむ

 これも散歩の途中、建設中ビルの屋上にあるタワークレーンと遠くにある富

士山の位置関係が面白かったので。



◎  中津川さんの感想、自句自解


  今回、投句のご案内を見逃してしまい、リマインドメールで気付き急いでほ

ぼ1日で作ったため、ほとんど推敲せず送付してしまい反省しています。

  コロナの流行の中、密にならない様に9月・11月に中山道、10月に甲州

街道を歩いたことを中心に作ってみました。

 いつも皆さんの幅広い句を楽しんでいます。



◎  橋本さんの自句自解


・三密を逃れてゴルフ天高し (4点句) 

 ラウンド中は三密は忘れて楽しめるゴルフ、秋たけなわのコースが嬉しい (

私が参加している団塊世代が中心のゴルフ仲間の会「霞光会」 (長谷川会長) 

は、桑子さん、秋元さん、宮澤さん、深瀬さん、、、もメンバーで、3密を避

けてゴルフを続けており、おかげで一人住まいの身も解放されています。) 


・一輪の白ばら冴えて月夜かな  (2点句) 

 晩秋の夕暮れ、庭には四季咲きの白ばらが一輪くっきりと浮び、空を見上げ

れば半月の白い月


・秋雨や川面に隈無く輪の並ぶ  (1点句) 

 細い秋雨が座生川の静かな水面に落ち、大小の水滴の輪が適度な隙間を保ち

出来ては消える。繰り返すその様子が面白い。


・色付く葉残し剪定秋惜しむ  (1点句) 

 庭のアメリカ楓を剪定しすっきり、風が通り程良く残した色づく葉が風にそ

よいでいる。


・GoToはコロナ微笑む処方箋 (1点句:川柳) 

 経済回復の目的で繰り出すGo To キャンペーン (処方箋) は人出と気の緩み

を誘発し、新型コロナがほくそ笑み、感染の波が大きくなってしまった。



◎  平島さんの感想


  沢山の句から選ぶのは容易では無く最初は考えながらボツボツ進めましたが

時間が限られているので見た目の直感と言うかパっと閃くものがあればチェッ

クを入れて七句に絞り込んだ結果です。

  それにしても皆さんお上手ですよ。

  外国におりますと日本的なものが目の前になくどうしても観念俳句になって

しまうので句想が貧困で作るのは諦めています。

  でも選句は楽しいので今後とも宜しくお願いします。



◎  宮澤さんの感想、自句自解


  年初から始まったコロナ騒ぎは、収束を見ることなく年末を迎え、今冬に至

っても、人に会えない寂しい日々が続いています。

  こんな中、少しほっこりとした気分が欲しくて詠んだ牡蠣鍋が5 点句に選ば

れ、驚きながら喜んでいます。

  コロナの陰にどっぷり浸かっていても、つかの間の幸せでも享受して前向き

に生きたいという思いです。

  箸二膳の相手がどこかの美人だといいなという妄想をあとどのくらい持てる

でしょうか?


  落ち葉に関して2句し投句し、1 句が4 点句に選句されました。これも驚き

です。

  落ち葉の色具合、乾燥度、重なり合って横たわる様子を見るたび、役目を終

え「お勤めご苦労さん」というイメージが年長者の思いに同期します。

  寒くなる秋から冬にかけ落葉するため、人生の末期に合わせ、ますますその

感を強くしますが、翌年の為に葉を落とした樹木は、また来春、希望に溢れた

新芽を出します。

  そんな思いもこめたっかたのですが、句の印象は暗くなってしまったようで

す。


  新年を迎え、コロナの状況は改善されていませんが、早く平穏な日常に戻る

ことを祈るばかりです。



◎  豊さんの感想、自句自解


 今回は評価が分散したようですね。憂国忌の句がいくつかありましたが、三

島由紀夫は川端康成や大江健三郎にも劣らない作家だと私は思っています。演

劇的な自殺は評価しませんが、「金閣寺」「豊饒の海」は傑作です。

 さて、自句自解。

・白菊を一輪供え別れかな

・良き人の逝きし一年除夜の鐘

 有名無名に限らず、コロナに感染して亡くなった人が出た一年でした。追悼

の句です。

・吐く息や初霜の朝窓曇る

 「吐く息や初霜の朝」まではすぐにできたのですが、あとをどうするかで迷

いました。「窓曇る」が良かったとは思っていません。



◎  深瀬の自句自解


・死の形さまざまと問ふ憂国忌 (1点句) 

・金閣寺夕陽に浮かぶ憂国忌  (1点句) 

・憂国忌白手はち巻きなにを問ひ (2点句) 

 三島由紀夫氏の文学作品について、詳しい知識はないのですが、美意識、重

視した権威、人間とはどような存在なのかという認識、等について独自の理解

があり、それに殉じた自決であったのではないかと思います。なにか自らを追

い詰めてしまった心境に、時代的なものがあったようにも感じます。


・ただ死ぬを待つ身のときの重さかな (2点句) 

  この句は、11月末に心筋梗塞を起こす前に作ったものですが、高齢者が身近

に増えるなかで、ひとごととは思えない気持ちもあり詠みました。


・生きている疑問すらなき時もあり

  60歳ころ以前は、社会の荒波と格闘することに精一杯で、いずれ死がやって

くるなどといったことは意識すらしませんでした。今思えば、そういうものな

のかなと複雑な心境になります。


・温暖化百鬼夜行の野分かな (1点句) 

  台風の進路が、温暖化の影響で逆行してきたりとこれまでにはなかった径路

をたどることがあるようです。温暖化の深刻さを実感します。


・新酒呑みタイムトラベル古老団

  タイムトラベルを使ってみたいと思いました。古老団が抽象的すぎるかもし

れません。


・仏壇の新酒に割れる父母遺影

  お酒とたばこを巡っては、父と母はいつも対立していました。


・潮の香や海底 (うなぞこ) の夢秋の空 (2点句) 

  井上陽水の「積み荷のない船」が潜在意識にあったかもしれません。


・来し方の岐路振り返る残暑かな (1点句) 

  季節の変わり目を意識すると同時に、我が身をふり返っての気分のようなも

のを詠みました。


・頭上飛ぶ残暑の機影重たげに (1点句) 

  夕方、頭上近くを羽田に着陸する飛行機がよく飛んでいます。残暑のころに

はその機影が、気持ち的になにか重たげに見えるという感覚です。


・太極拳モザイクかかる残暑かな

  残暑とモザイクの組み合わせをイメージしてみました。


・老ひ深むこころやすらぐ残暑かな

  焼けつくような真夏が終わり残暑の気配が漂ってくると、老いの身には、安

心するような淋しいような複雑な心境になります。


・ひぐらしや山河にこだま瑞穂国

・ひぐらしや子守の少女空見上げ (1点句) 

・ひぐらしや遠き夕陽を呼び起こし (1点句) 

  ひぐらしは夕刻になるとすんだ遠くまで響くような声で鳴くというイメージ

があります。なにかもの悲しい郷愁的な気持ちになります。


・七十路に「君といつまでも」聞きひたり (2点句) 

  大学に入り、柔道部の新入生歓迎会のとき、ひとりの先輩が熱唱していまし

た。今はベンチャーズの演奏版をよく聞いています。


・役目終へ風に舞ひ散る落ち葉かな (4点句) 

  たくさんの落ち葉が目の前を風に舞い散っているのを見て、あの葉っぱも太

陽の光を受けて輝いていたときもあったのだ、と我が身にひきよせて詠みまし

た。


・ひとひねり蛇口から水手で受ける

  蛇口を回すと水が出てくるというのは、すごいことだなと噛みしめたいと思

いました。尾崎放哉の「入れものがない両手でうける」も無意識にあったかも

しれません。


・濡れ落ち葉朝陽に燃えるきよらかさ

  濡れ落ち葉は定年退職し自宅にずっといて、奥さんにまとわりつく亭主を象

徴するものになっていますが、そのイメージに逆らってみようと思いました。


・落ち葉ごとひそり消えたし老ひの朝

  最近、どういう死に方が適当なのか、ふと思うことがあります。


・城ヶ崎岩にくだける秋の波 (1点句) 

・秋の陽に大島望む城ヶ崎 (1点句) 

  11月下旬ころ、駒東の同級生4 人で伊東に一泊し、翌日、レンタカーで城ヶ

崎の方に行きました。絶好の観光日和で、岩に打ち寄せ砕け散る波のコバルト

ブルーと白い泡、間近に見える大島の島影が印象的でした。 (心筋梗塞を発症

する一週間前でした。ご迷惑をかけずに済み安堵しています。)