2014年11月23日日曜日

第十回の七句会の選句結果をご報告いたします。

 七句会  各位
 第十回の七句会の選句結果をご報告いたします。
  今回の6 点句から3 点句は、下記のようでした。
 6 点句
(023)   秋の山 燃え立つ赤に 奮い立つ                柳町
 5 点句
(006)   鉄橋の川辺の秋や子ら跳ねる                  深瀬
 4 点句
(022)   半そでもセーターもいる秋の朝                 深瀬
(064)  団塊も背中を見せて消えんとす                 深瀬
(071)  ノータイの首にひんやり秋の風                 深瀬
(094)  地下迷路 利用者無視の 渋谷駅                野澤
 3 点句
(017)   秋空や エカテリーナの 夢のあと               古川
(030)   秋色に 心も染まる 川辺かな                 橋本
(035)  籾入りの木箱なつかしりんご便                 深瀬
(074)  落葉踏み たそがれせまる 帰り道               内野
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選ん
だ人の名前とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したも
のを添付します。
  次回については、来年4 月中旬ころにご連絡したいと思っていま
すので、よろしくお願いいたします。やり方について、ご意見があ
りましたら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
  2014.11.23
  事務方      深瀬

 第十回  七句会選句結果      
 秋
(001)   秋風に 池辺のかも群 一列座                 中島
(002)   秋の夕赤黒灰の雲の列                     深瀬
1 治部 こんな光景を今年はよく見ました。
(003)   富士の嶺姿容を刻む秋の朝                   志方
1 橋本
2 古川
(004)   百手読む棋士の正座や秋気満つ                 土川
1 森
(005)   過ぎ去りし 日々よみがえる 秋の酒              吉良
1 志方
2 小幡
(006)   鉄橋の川辺の秋や子ら跳ねる                  深瀬
1 治部 列車の中から見た光景でしょうか。
2 吉良 電車からみた風景でしょうか?        
3 柳町
4 内野 モネが描いたアルジャントゥイユの鉄橋のそ
ばで跳ねる子供を連想しました。
5 古川
(007)   灯影が水面にゆらぐ秋の暮れ                  志方
(008)   未だみぬ空の青さで秋をしる                  小幡
(009)   台風が 嫌らしさ増し “秋”が来た              中島
(010)   秋夜空 星の彼方に 夢運べ                  古川
1 森
(011)   秋風や やさしく吹けと 爺が言い               中島
1 野澤 ちょっと強い風が吹くと背中を押される感じ
を受ける今日この頃です。
2 小幡
(012)   ビルの森 濃き秋空を 埋め尽くす               吉良
1 土川
2 内野 真っ青な秋空とビルの対比がみごとです。
(013)   日本海 夕陽沈みて 秋暮れる                 鳥海
1 内野 しみじみとした日本海の黄昏が思い浮かびま
す。
2 志方
(014)   秋来たり カラーボールに 冬が来た              中島
(015)   山寺は 蝉の声無し 錦秋で                  鳥海
1 土川
2 志方
(016)   秋雨の窓の水滴追いにけり                   深瀬
1 土川
(017)   秋空や エカテリーナの 夢のあと               古川
1 鳥海
2 森
3 中島
       神戸長田区美玲ちゃん・六歳の殺人犯人君野容疑者は、
       生活保護費で大酒を飲み、なんの罪もない、人なつっこ
       い、あどけない美玲ちゃんを殺害し、遺体をバラバラに
       したと言う報道に接して、強い憤りを感じる。納税者の
       一人として、国の税金で殺人者を養う、現行の生活保護
       制度は間違っていると思う。米国の如く、本当に困って
       いる人には、現金を支給するのではなく、フードスタン
       プを支給すべき。また、体が動ける者は、社会に対する
       恩返しで、一週間に一回、公園の清掃などのボランテイ
       ア活動を強制すべき。米国では、ボランテイア活動をし
       ない者には生活保護費を打ち切っている
(018)   殺人鬼 生活保護で 爪研ぐ秋                 杜瑯
1 中島
(019)   秋深し ロシア帰りに 軟き風                 古川
(020)   秋三昧 サンマ松茸 紅葉狩り                 野澤
1 内野 食欲の秋ですね。
2 橋本
(021)   人の縁はかなさを知る秋の夜                  小幡
1 深瀬  人間関係というのは、一筋縄ではいかないも
ののようです。こっちとしては、向こうに原因がある
としか思えませんが、客観的に見れば、こちらにもな
にか原因があるのかもしれません。秋の気配のなかで
は、それも仕方ないとあきらめられるということでし
ょうか。
(022)   半そでもセーターもいる秋の朝                 深瀬
1 土川
2 中島
3 橋本
4 澤藤 秋の朝のひんやりとした心地よさも長続きし
ない昨今の異常気象ですね
       紅葉をみて、「人生がしぼむ前の一花」を咲かせたいと
       いう思いがわき立ちます
(023)   秋の山 燃え立つ赤に 奮い立つ                柳町
1 森
2 中島
3 内野 作者のfighting spiritsに敬意を表します。
まだまだ頑張れる! 
4 深瀬  紅葉をみて、先の見えてきた人生にもう一花
咲かせたいという作者の前向きな姿勢にエールを送り
たい気持ちになりました。春に咲く花と紅葉の輝きと
では、同じ美しさでもその意味は180 度異なりますが、
その相違を超越できるというのは、すごいと思います。
5 小幡
6 古川
(024)   秋風が遠く去りゆく夕映えや                  志方
(025)   嗅覚で 秋の味覚を 満喫す                  野澤
(026)   秋雨に 魂鎮めよ 御嶽山                   吉良
1 治部 自然の怒りは計り知れません。犠牲者のご冥
福をお祈りします。
2 森
(027)   賑やかに つくつく法師の 初秋なり              橋本
(028)   秋一番 ゆるキャラ一番 グンマちゃん             古川
1 森
(029)   秋の朝陽の温かさ服に貯め                   深瀬
1 土川
2 野澤 退職し,朝から外出する事はほとんど無くな
りましたが,ひんやりする日には太陽の日を一杯服の
中にため込みたいと感じた日が懐かしく思い出されま
す。
(030)   秋色に 心も染まる 川辺かな                 橋本
1 吉良 紅葉の季節の美しさが目に浮かびます   
2 柳町
3 内野
(031)   秋が来て緋の色褪せた百日紅                  志方
1 澤藤 十年前の夏、胃ガン手術の退院のタクシーか
ら見た百日紅の赤さに胃が痛み出しました
       10月初旬、サンクトペテルブルグとモスクワ訪問しま
       した。特に、1991年ソ連が崩壊する、今から23年
       前までは、世界革命を推進する共産党の中心であった、
       クレムリン赤の広場の見学は感慨深いものがありました。
       なにせ、当時のクレムリンには共産党幹部でなくては入
       れない場所でしたから。ロシア人ガイドさんが言うには、
       ロシアの通貨、ルーブルは信用がおけなくて、US/EU ド
       ルで貯金しているそうです
(032)   秋雨に 夢は烟(けむ)りぬ クレムリン            杜瑯 
1 深瀬 団塊世代のわたしたちは、米ソ冷戦構造とい
う極端なイデオロギー対立のなかを長く生きたため、
確かにクレムリンということばには、なにか威圧的な
響きがあるように感じます。それがいまや観光で気軽
に訪れることができるというのは隔世の感もします。
強権的一党独裁の中国も、数10年後は、どうなってい
るのか、気になります。
(033)   夏は去り萩の花咲く秋の風                   志方
 りんご
(034)  もやもやをスパッと切れし林檎かな               水谷
1 吉良 「スパッと切れし」は あまり俳句らしから
ぬ表現で面白く思いました
(035)  籾入りの木箱なつかしりんご便                 深瀬
1 野澤 祖母の実家の青森からリンゴの木箱が送られ
てきたのを思い出しました。
2 橋本
3 澤藤 今や発泡スチロールクッションと段ボール箱
入り、故郷岩手からのりんご便が待ち遠しい五十年前
の秋でした
(036)  瓜二つ孫の可愛さと姫りんご                  澤藤
(037)  時過ぎて 林檎の歌を 誰ぞ知る                鳥海
1 柳町
2 志方
(038)  手でくるむ赤いリンゴに秋想う                 柳町
1 小幡
(039)  りんごもぎ両手にあふる里の秋                 澤藤
(040)  夕食のあとのりんごを妻むきぬ                 深瀬
(041)  りんご剥き 実習時代を 懐かしむ               中島
(042)  秋田出の父母の遺影にりんご置く                深瀬
1 土川
(043)  早よしいな(椎名)林檎が落ちる期限切れ            澤藤
(044)  外見良しも 手にも持ってみる リンゴかな           橋本
(045)  齧(かじ)られし林檎の芯や砂時計               土川
1 吉良 句を読んだ状況は想像しずらいのですが、画
になるような情景に思います
2 深瀬 齧られた林檎や砂時計は、シュールレアリズ
ムの絵画などによく見られるように思います。作者が
どういう気持ちで詠んだのか定かではありませんが、
なにかそうした超現実世界の不安感みたいのがあるの
だろうか、とひかれました。
(046)  山眠る前に微(頬)笑むりんごかな               澤藤
1 深瀬 東北の地では、秋も深まり冬が近づくと、空
の雲は重たくたれこめ、みぞれがふりだします。そう
いうなかで真っ赤なりんごが微笑んで気持ちを癒して
くれるというのはなにかほのぼのとしたものが感じら
れました。
(047)  戦後すぐ リンゴの気持ち 皆理解               古川
(048)  りんごの実かつては禁断神の知恵                深瀬
 人体
(049)  脇甘い 女性閣僚 押し出され                 橋本
1 鳥海
(050)  山寺で 足痛みて 句は出来ず                 鳥海
1 中島 「静けさや岩にしみ入る蝉の声」のたいそう
立派な石碑を前にして句が出来ない無念さに言い訳し
たくなる気持ち分かります。
2 橋本
(051)  よくみれば手のしわめだつ秋の夜                深瀬
1 小幡
(052)  そっと見た わが手掌に 希望湧く               古川
(053)  寒風と 踵の荒れに 秋感ず                  中島
(054)  足の爪切ればひからぶ音したる                 深瀬
(055)  湯上りの 櫛毛数ふる 秋の宵                 吉良
(056)  急かされて 段差に躓 老いた足                野澤
(057)  高齢者 腕・腰・足が 痛むなり                鳥海
(058)  電車内ネイルアートの秋の花                  深瀬
    加齢による膝の痛みをテーマに3部作をつくりました
(059)  朝散歩痛む膝で秋を知る                    柳町
(060)  痛む膝引きずりながら秋感ず                  柳町
(061)  痛む膝かばって歩く秋の朝                   柳町
(062)  ひからびし脛に白粉 (はくふん) 秋来たり            深瀬
    東名高速道路でスリップの自損事故を起こし
(063)  自損事故我にかえりて手をながむ                小幡
(064)  団塊も背中を見せて消えんとす                 深瀬
1 吉良 実感!
2 森
3 柳町
4 志方
(065)  秋寒や手をポケットに早足で                  水谷
(066)  脚腰や からだケアして ゴルフかな              橋本
(067)  秋の夜はグラス右手に本左                   水谷
1 深瀬 静かな秋の夜、洋室のソファに座り、ウィス
キーでも飲みながら、ひとり、読みたかったミステリ
ーとか歴史物とかの本を読んでいる。たいへん雰囲気
のある相当贅沢な至福の時間だと思いました。
(068)  左手の白き気になるゴルフ焼け                 深瀬
1 鳥海
(069)  無表情 ロシアの民に 笑顔見せ                古川
1 鳥海
(070)  耳遠く 大きな声に なりにけり                鳥海
1 野澤 確かに耳が遠くなると,自分では普通に話し
ているつもりでも,声が大き過ぎると注意されます。
(071)  ノータイの首にひんやり秋の風                 深瀬
1 土川
2 治部 ここ数年ネクタイをすることがなくなりまし
た。
3 野澤 あんなに窮屈に感じていたネクタイも,しめ
なくなると首がひんやりします。
4 中島
(072)  秋雨や 老いし肩より 沁み込みぬ               吉良
 自由題
(073)  天高く 鳥が群がる 庭の柿                  野澤
1 古川
(074)  落葉踏み たそがれせまる 帰り道               内野
1 治部 帰り道は好きですが、落ち葉を踏むと寂しさ
を感じます。
2 野澤 物事に耽りながら落ち葉の感触を愉しんだも
のです。
3 志方
(075)  散弾を受けしごとくに石榴(ざくろ)爆(は)ず         土川
1 吉良 ザクロの赤い実が裂け散る感じが見事にうた
われています 
(076)  紅葉と白樺映す雲場池                     水谷
    台風一家が過ぎ去った後の、どこまでも青く澄んだ空に、
    吾が志は高く昇華する、晩秋
(077)  野分け去り わが志気高く 青く澄み              杜瑯
(078)  優雅なり 水面の十五夜 連れ歩き               橋本
1 吉良 子供のころを思い出します
2 深瀬 なにかの用で夜外出し、池か川の近くを歩い
ていると、夜空の満月が足元近くの水面に写り、まる
で一緒に歩いてくれているようで、心奪われているの
だと思いました。たしかに、これほど贅沢というのか
雅びな”連れ”はいないかもしれません。
    人生は、小さい夢、大きい夢に挑戦する連続。短い一生
    を終える蝉でも、夢に向かって飛んで行く。その蝉のご
    とく、一生を終えるその日まで、夢を持ち続けたい、早
    秋。
(079)  夢目指し 一直線に 蝉のとび                 杜瑯
1 古川
(080)  野分去り夕照(セキショウ)淡く芒かな             志方
1 橋本 格調高いですね
    日光を代表する竜頭ノ滝ですが、紅葉の美しさには勝て
    ないと感じます
(081)  竜頭滝いろはもみじに鳴いている                柳町
1 古川
(082)  どの山も神の寝姿吾亦紅(われもこう)             土川
(083)  五色沼 湖面に映える 紅葉かな                鳥海
1 柳町
(084)  風さやか竜胆そよぐ野辺の路                  志方
1 古川
(085)  ざゝと湯の溢れて静か銀やんま                 土川
(086)  野分来て 枝葉かまわず 落としけり              橋本
(087)  梢揺れ猛暑連れ去る野分かな                  志方
(088)  紅葉の 賑わい何処(いずこ) 落葉かな            内野
                                             無季語、川柳
(089)  子育ての 反省込めて 孫の世話                野澤
1 鳥海
2 治部 おっしゃる通りです。
       長い海外旅行から帰国して
(090)  ホットするなじみの店のニホンソバ               小幡
1 柳町
(091)  億年のなかの一瞬我が命                    深瀬
1 内野 本当に生命は不思議です。
(092)  特養の 屋上から観る スカイツリー              野澤
       平成26年8月5日朝日新聞の従軍慰安婦記事が根拠の
       無い捏造だったと言う記事は衝撃であった。韓国の朴大
       統領は強制連行されたとする朝鮮売春婦に対する日本の
       歴史認識と賠償を執拗に責め立て、米国各地では日本軍
       に強制連行された朝鮮売春婦像が立ち並び、世界人権委
       員会からは日本人による強制的性奴隷を非難され、私達
       日本人としては世界で、誠に肩身の狭い思いをしていた。
       しかし、その根拠となる30年以上に及ぶ朝日新聞の従
       軍慰安婦記事が証拠のない、捏造であったとは?? 朝
       日新聞を信じていたのに・・・
(093)  日本国 捏造メデイアで 末(うら)枯れる           杜瑯
(094)  地下迷路 利用者無視の 渋谷駅                野澤
1 治部 何回も迷いました。駒東に通っているころは
簡単でした。
2 中島 作句が被らなくて良かった。
3 志方
4 橋本
(095)  人口で 超大国とは 片腹痛                  中島
       原発再稼働予定                                 (096)  川内に 人知を尽くし 明日がある               橋本
1 鳥海
(097)  ノーベル賞 人格までは 評価せず               野澤
(098)  重ねると難しさ増す俳句かな                  志方
1 鳥海
2 野澤 私はこれまで相手にしていたものとのギャップに戸惑っ
ています。
(099)  クラブハウス 聳える浅間山 向い打つ             橋本
(100)  自分との 歳を比べて 席を立つ                野澤
1 柳町
2 小幡
       意識について三句
(101)  偶然にいのちの意志の生まりょうか               深瀬
(102)  人間のいのちの意志の奇怪さ                  深瀬
(103)  ものでない意識の起源いずこにか                深瀬
(104)  見掛けでは 判断出来ぬ ひとごころ              野澤
(105)  黄昏や 大地まぶしき 地平線                 内野

  補足1.選句にあたっての、全体的なコメントには、次のような
ものがありました。 (やや無関係のものもありますが。)
・土川さん: すみません。また鑑賞は書けませんでした。
・森 (杜瑯) さん: 今回は、激戦ですね。 
・野澤さん: 自分も詠みたいような句,光景が浮かべるようま句
を各群から選びました。皆さんのレベルからはほど遠く,お荷物
かもしれませんが自分なりに愉しんでおりますので,今後とも宜
しくお願いいたします。
・柳町さん: このところ相続の関係で、毎週のように実家に行っ
てます。財産 [特に土地!!) は持たない方がよいと痛感するこ
のごろです。
・中島さん: 何時も通り共感できる寂しくない句を選びました。
・内野さん: よい句が多く、選句に難渋しました。
・志方さん: 秋から受ける情感はなんだか、還暦すぎてみな同じ
かなとあらためて感じた次第です。林檎の歌でもうたってもう少
し頑張るかの心境です。
・橋本さん: 小さな我が庭ですが、四季咲きのバラと紅葉のアメ
リカ楓が並ぶ晩秋です。以下の7句を選びました。少し笑いのあ
る句も良いですね。
・澤藤さん: 素人なりに三句選ばさせて頂きました。
  補足2.水谷さんと澤藤さんのご紹介
 水谷さんは、古川充さんと白金小学校の同級生であり、早稲田
大学機械科を卒業され、自動車用の特殊パイプ、等を設計開発す
る会社を経営されています。
  澤藤さんは、東北大学法学部を卒業し、第一勧業銀行に勤めら
れ、今現在、セコム関係会社で深瀬と同僚です。お父さんが岩手
県出身のプロ野球選手であったこともあり、大学・社会人野球で
投手として活躍されるなど、多彩な趣味をお持ちです。
 以上