2015年11月6日金曜日

第十四回の七句会の結果報告 2015年11月06日

 七句会のみなさま
 第十四回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
  今回の5 点句から3 点句は、下記のようでした。
  5 点句
(026)   雑踏の人波避けて路地の秋              秋岡04
(114)   風が啼く 秋発つ 野辺に 友の 逝き。       小野寺03
  4 点句
(002)   穂の波の秋の稔りのうれしさよ            秋岡03
(048)   秋刀魚焼く煙なつかし昭和かな            深瀬15
(112)   哀しみは 遥かな秋の 鰯雲(いわしぐも)      小野寺10
 3 点句
(008)   ひとの世の波風強し老いてなほ            深瀬08
(010)   さざ波に 中秋の月 揺らめいて           橋本03
(077)   潮待やいにしえ偲ぶ鞆の浦              内野05
(086)   はらはらと 散りゆく 野辺に 秋も逝き。      小野寺05
(097)   彼岸花 紅い 焔(ほむら)に秋の居り        小野寺08
(098)   落葉踏む 秋移ろうや 散歩道            橋本07

  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人
の名前とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付
します。
  次回については、来年1 月上旬ころにご連絡したいと思っていますの
で、よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありま
したら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
 今回の選句には、下記の17名が参加しました。
  澤藤さん、秋岡さん、中津川さん、秋元さん、古川さん、吉良さん、野澤さ
ん、豊さん、内野さん、宮澤さん、森 (杜瑯) さん、橋本さん、志方さん、柳
町さん、藤原さん、小野寺さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた勉強会について
 今回の句会の結果を踏まえて、顧問の豊さんを囲む感じで、下記の要領で勉
強会を行いたいと思います。
 参加者は、11月14日 (土) までにご連絡いただければ幸いです。
  勉強会の後、有志で飲み会を予定しています。
・日時  11月25日(水)17時~19時
・場所  喫茶室ルノアール ニュー新宿3 丁目店  貸会議室
      (予約名: 駒東七句会)
          新宿三丁目駅 (東京メトロ丸の内線、副都心線、都営地下鉄新宿線
         )の近傍
     HOME PAGE URL
          http://standard.navitime.biz/renoir/Spot.act?dnvSpt=S0107.121
・費用    一人り2,000 円前後 (飲み物代を含みます。参加人数によって若干
         変動します)
  2015.11.06
      代表   橋口侯之介 (休会中)
      顧問  豊  宣光
      事務方 深瀬久敬




   1.兼題  波
   
(001)   御意ですと 妻の波長に 合わす今          野澤04
1 秋岡  嫁さんというのは歳と共に段々強くなっていく
  んですね。併せて旦那は段々細かいことを決めるのが
  面倒臭くなってくる。
(002)   穂の波の秋の稔りのうれしさよ            秋岡03
1 吉良  農業従事者は勿論ですが、お米を美味しく食べ
 る立場の我々の喜びが素直にあらわれています。
2 深瀬  冷夏などで立ったままの稲穂をみると本能的不
 安を感じます。
3 橋本
4 藤原
(003)   七十路も寄る年波にもうまぢか            深瀬10
(004)   カモメとび波間の先の千切れ雲            志方04
1 古川
2 内野
       通勤する皆さんの服装が、だんだん秋色に
     なっていく様を表現してみました
(005)   改札の 人の波にも 秋を知る            柳町01
1 宮澤  初夏は「甍の波と雲の波」で知り、秋は「人の
 波」で知るのですね。
(006)   熟年の婚活秋波どはくりょく             深瀬02
       なんだか政治家の知性や気概が全く感じら
     れない時代をむかえたようです。
(007)   波乗りに 思想信条 放り投げ            志方05
(008)   ひとの世の波風強し老いてなほ            深瀬08
1 吉良  生来ている限り、もめごと、迷いなど様々な悩
 みはつきないもの。悟りの世界は彼岸にあるのでしょ
 うか。
2 豊  「老いてなほ」に作者の感慨がよく出ています。
3 宮澤  団塊の世代は死ぬまで波風にもまれ続けるので
 しょう。
(009)   七かまど 見渡し歩く 早瀬波            中津川01
1 志方
2 柳町
      家の直ぐ近くの川に映る中秋の月 '添付ポ
     ケットデジカメ写真' をご覧ください
(010)   さざ波に 中秋の月 揺らめいて           橋本03
1 秋岡  何度見ても、どこで見てもいい月でしたね。
2 深瀬  写真の迫力に感銘しました。
3 藤原
      麻布十番夏祭り
(011)   人波に押されて歩く夏祭り              秋元03
1 古川
2 藤原
(012)   北斎の波の見おろす富士の峰             深瀬05
1 豊  北斎の名画をうまく切り取りました。
       愁波ばかりで声も掛けられない純情派であ
     りました
(013)   若い頃愁波を送る誰かれと              澤藤01
(014)   たんぽぽや町を飲みこむ大津波            豊02
1 吉良  大津波の被災地に「たんぽぽ」が生命の復活を
 示すように咲いている様子が印象的です。
(015)   ざんぶりこ波音岩に秋の海              深瀬03
       幼い頃、麻布新網町のガキ大将だった良太
     郎さんに、40歳台の十年間、彼の名前を冠
     したクルーザーに月二回乗せていただき海洋
     生活を十分楽しませていただき感謝しており
     ます。以下、5句。
(016)   波超えて 面舵一杯 良太郎             古川01
(017)   船出する 良太郎に 光る海             古川02
(018)   荒波に 夢を満タン 船出する            古川03
(019)   我が道は 波乱万丈 道半ば             古川04
1 柳町
2 小野寺  人それぞれ己の生涯は危うい道を歩んできて
 おり先はまだ長いな~と 立ち止まるのでしょうか。
(020)   天つ風 波を押しのけ 吹き進め           古川05
      パラオボートダイビング
(021)   浮上して波間に探す船の影              秋元01
(022)   地震波に本崩れるをただ見つめ            深瀬09
1 中津川
(023)   波しずか 天まで伸びし 月明かり          志方03
1 澤藤 秋の凛とした清明をかんじました。
    なりふり構わぬ数の論理は政治屋でしかあ
   りません
(024)   与党の波安保増税尽きるなし             澤藤02
(025)   秋の夜寄る年波にじっと耐え             深瀬06
1 秋岡  なんか辛い句ですが”夜””寄る”がいいリズ
 ムで面白いです。
2 野澤  実感。思い知らされます。
(026)   雑踏の人波避けて路地の秋              秋岡04
1 秋元 秋と色彩のテーマ
2 古川
3 吉良  都会にも路地裏にちょとした秋が感じられる観
 察力が素晴らしい。
4 藤原
5 小野寺 雑踏の人波と 路地裏の秋の対比が面白い。
      渋谷スクランブル交差点
(027)   人波がランダムクロス交差点             秋元02
1 橋本  英語で旨く詠みましたね
(028)   波風にもまれたどりしこの境地            深瀬04
1 野澤  人によりそれぞれ違った境地にたどり着くので
 しょうが,お互いどんな境地か語り合ってみたいもの
 です。
      健康のために始めた散歩だが、他人に負け
     まいと速足になっても置いていかれる自分の
     老化を感じるこの頃です
(029)   散歩する 歩数に感ずる 歳の波           柳町02
(030)   波紋呼ぶ 上から目線の 取り調べ          野澤03
(031)   老いてなほ秋波飛び交ふケアホーム          深瀬01
(032)   波寄せて 五輪に夢を 老サーファー         中津川03
1 宮澤  やっと五輪種目になりそうだと思ったら間に合
 わない。寄る年波で夢は砕けるのでしょうか。
(033)   波はみな エネルギー伝え 果てるなり        橋本04
1 深瀬  理系の句のようですが、祖父母、父母、自分た
 ち夫婦、子ども、孫という連鎖も波のようなものであ
 り、自分もいずれ果てるのだ、と再認識しました。
       高円寺での阿波踊りの見学の時の感激です。
     以下、2句。
(034)   阿波踊り囃子にあわせる白き足袋           志方01
1 中津川
2 古川
(035)   渓流に 見上げてゆれる 波もみじ          中津川02
1 秋元 秋と色彩のテーマ
2 内野
(036)   形変え寄せては崩る波波波              深瀬11
(037)   鳥追いの 指先妖し ほの明かり           志方02
1 小野寺 鳥追いの指先妖しとほのあかりの感覚に 作
 者の感性を感じます
(038)   雨戸打つ 波音高し 祖父の家            野澤05
1 吉良  都会に住む我々には地方の素晴らしい自然が時
 に荒々しく感じられることもあるのかもしれません。
(039)   波の花砕ける風の日本海               豊01
1 古川
2 志方
(040)   望郷の秋霧ながる波止場かな             深瀬07
1 豊  ロマンチックな雰囲気が伝わりますが、文法的に
 は「ながる」は「ながるる」でしょう。字余りになる
 のでほかの言葉をひと工夫する必要がありそうです。
2 志方

   2.兼題  秋刀魚
   
(041)   秋刀魚まで獲りに来るのかお隣さん          秋岡02
      NHK'ためしてガッテン' お薦め旨み(脂)
     を出しすぎない焼き方、試してみたら美味い
(042)   美味しいと いう秋刀魚焼き 試すなり        橋本02
(043)   好物をきかれて秋刀魚よき時代            深瀬14
1 秋岡  今は美味しいものが多すぎて、秋刀魚を好物と
 いう人は少なくなってきたでしょうね。
(044)   秋刀魚食べ 秋の憂鬱 吹き飛ばせ          古川07
1 柳町
       先日初物の秋刀魚の塩焼きをいただきまし
     た
(045)   刺し身とか蒲より秋刀魚は塩焼きか          澤藤05
(046)   留守居酒 一人観戦 サンマ缶            中津川05
1 内野
2 深瀬  定年退職者の日常が活写されていると感じまし
 た。
      台湾・中国の公海上での大量先獲り、日本
     近海の安くておいしい旬の秋刀魚に黄信号…
     ウナギの二の舞は避けたい
(047)   先獲られ 旬の秋刀魚 ほろ苦し           橋本01
1 中津川
(048)   秋刀魚焼く煙なつかし昭和かな            深瀬15
1 秋岡  昭和は本当に遠くなりました。 
2 野澤  3句(048、056 、061)纏めて:母が炭で焼いて
 くれた幼き頃の光景が目に浮かびます。魚焼き器で焼
 かれ焦げ目のない秋刀魚にも臭いだけは換気扇を通し
 て伝わってきます。
3 豊  おっしゃるとおり、秋刀魚を焼く姿は昭和を感じ
 させますね。
4 橋本  家の中で秋刀魚焼きの煙が漂ったのはいつ頃ま
 でか思い出します
(049)   若き日の下宿の味や秋刀魚食ふ            豊03
(050)   焼秋刀魚おろしとにがみに一家言           深瀬16
1 橋本  料理人はそれが一番おいしいと信じているので
 しょうが
(051)   幼き日 サンマのホネも カルシウム         野澤02
(052)   におい来る 目黒に並ぶ 焼きさんま         中津川04
(053)   目黒川秋刀魚届ける江戸水路             深瀬13
1 中津川
(054)   炭おこし 旬の秋刀魚に 舌鼓            野澤01
1 古川
(055)   競り売りの声高らかに初秋刀魚            豊04
1 藤原
       小学生の頃は夕方になると近隣の家で焼く
     秋刀魚の煙が外まで漂い、秋を感じることが
     できましたが、今はマンション生活の身とな
     り煙を嗅ぐこともなく、昔が懐かしく思われ
     ます。以下、4句。
(056)   秋刀魚焼く 秋を振り撒く 換気扇          吉良01
1 澤藤  さんまの焼く匂いは他の魚にない世の中の秋を
  感じさせてくれます。
2 野澤  (048) に記載。
(057)   夕煙 右も左も 秋刀魚食う             吉良02
(058)   玄関を 入ると香る 秋刀魚かな           吉良03
1 藤原
(059)   年重ね 秋刀魚の小骨 身に染みる          吉良04
1 森
       江戸時代はともに安価なご馳走だったよう       澤藤03
     です
(060)   鯵鰯秋刀魚は庶民の応援団              澤藤04
(061)   七輪で 焼いた秋刀魚の あの日々や         古川06
1 野澤  (048) に記載。
(062)   秋刀魚さん高級魚ねと妻の言う            秋岡01
(063)   小粒化す秋刀魚に日本重ねけり            深瀬12
1 豊  確かに最近の日本は、政治家の人格も精神も小粒
 になりました。
2 宮澤  みんな小さくなって、寂しくなって、秋になる
 のです。

   3.自由題
(064)   懐かしき 玉藻の庭に 白芙蓉            中津川06
1 秋元 秋と色彩のテーマ
2 小野寺 懐かしいのは 芙蓉の花の白さでしょうか
(065)   群れをなす 昔農協 今チャイナ           野澤08
(066)   しののめに 過ぎし 夜寒の 秋の風         小野寺01
1 秋元 秋と色彩のテーマ
      人生の再挑戦に際して、織田信長が桶狭間
     の戦いに行く前に詣でた熱田神宮に参拝して
(067)   熱田宮 誓い立ており 蝉の飛び           杜瑯02
1 古川
(068)   夕まぐれ 浅瀬の岸に 秋 騒ぎ           小野寺09
1 橋本  どんな秋が騒いでいるのか想像力を掻きたてら
 れます
      小布施にて 以下2 句
(069)   北斎と正則しのぶ岩松院               秋元04
(070)   栗づくし小布施の味に舌鼓              秋元05
(071)   来しかたの 秋の彼方に 陽が沈み          小野寺04
1 内野
2 志方
(072)   線香の煙に笑ふ父母遺影               深瀬19
1 野澤  仮住まいのため,仏壇に線香を上げることも出
 来ず我が両親は渋い顔をしているものと思われます。
 ご先祖様に申し訳ない気持ちにさせられました。
      瀬戸内海は豊後水道、紀伊水道から満ち潮
     が入り、干潮時には両水道から潮が引きます。
     そのため古代から大阪付近を出帆した舟は満
     ち潮で鞆の浦まで容易に航行できました。鞆
     の浦で次の干潮を待てば更に西に容易に航海
     できるのです。この秋、友人のヨットで鞆の
     浦に停泊して古代の瀬戸内海の海運の重要性
     を認識し、さらにいにしえの遣隋使を思い偲
     びました。以下、9句。
(073)   秋の日やあかね染まれる瀬戸の海           内野01
(074)   あかね雲波は静かに瀬戸の海             内野02
(075)   あかね空しばしまどろみ潮をまつ           内野03
1 柳町
(076)   鞆の浦いにしえ人は潮を待つ             内野04
(077)   潮待やいにしえ偲ぶ鞆の浦              内野05
1 豊  「鞆の浦」の歴史を感じさせます。
2 深瀬  鞆ノ浦の長く深い歴史的情感がわき上がってく
 る感じです。
3 小野寺 潮待ちの情景が浮かんでくるようです。
(078)   秋潮を待ち休みたる遣隋使              内野06
(079)   潮を待ち船とまどろむ鞆の浦             内野07
1 秋元  ゆったりした情景が思い浮かぶようで選びまし
 た。
(080)   波静かいにしえしのぶ鞆の浦             内野08
(081)   流星妹子も見たり瀬戸の海              内野09
(082)   酔い暮れて月夜に揺れる影法師            秋岡06
1 吉良  月明かりのもと、海辺か船上で気持ち良く酒に
 酔える経験をしてみたいものです。
(083)   滔々と 流れて深き 秋が暮れ            小野寺07
(084)   虎落笛(もがりぶえ)鳴る日山姥来ると言ふ      豊06
(085)   山里のあぜ道そってコスモスが            志方08
(086)   はらはらと 散りゆく 野辺に 秋も逝き。      小野寺05
1 内野
2 志方
3 柳町
(087)   お彼岸は 孫に手ひかれ 墓参り           野澤06
      中秋の月が水面に映るはずなのに、川沿い
     の樹木の影が未だ邪魔をしている
(088)   名月を 木立に隠す 水面かな            橋本05
1 小野寺 余情を誘う 風景です。歯切れの良さが水面
 のトーンを 心地良さに誘います。
(089)   弥勒像思惟の指先秋の風               深瀬17
1 秋岡  弥勒菩薩の半跏思惟像の指先は秋の雰囲気にマ
 ッチしますね。
2 中津川
(090)   荒涼と 秋発つ 沢に 雲流れ            小野寺11
(091)   お呼ばれで 勇んで行くと 孫の世話         野澤09
1 深瀬  落差表現の切り口が見事だと思います。
(092)   仏壇に線香流れる秋の朝               深瀬18
(093)   朝泳ぎ 昼寝をしては 眠れぬ夜           野澤10
(094)   10.21 デロリアン飛ぶ 未来かな        古川08
(095)   オリオンの 星降る 夜に秋 流る。         小野寺12
1 柳町
      よく見れば川沿いの葉の落ちた桜の木の枝
     先という枝先に赤とんぼが止まっている
(096)   空に向く 枝先埋める 赤とんぼ           橋本06
(097)   彼岸花 紅い 焔(ほむら)に秋の居り        小野寺08
1 中津川
2 秋元 秋と色彩のテーマ
3 宮澤  赤いよだれかけのお地蔵さんと、紅い彼岸花は
 秋のお寺によく似合います。
(098)   落葉踏む 秋移ろうや 散歩道            橋本07
1 秋元 秋と色彩のテーマ
2 藤原
3 小野寺 何気ない秋の風景ですが 踏んだ落ち葉の散
 歩道がしみじみとした共感を誘います。
(099)   朝霧が山襞に沿いて立ちのぼる            志方07
(100)   若き日の母の遺影に歳忘れ              深瀬20
1 野澤  いま,私は父母の遺品を整理していますが,古
 び,色褪せた写真にあれこれと思い巡り,若かりし日
 の思い出に浸っています
2 柳町
(101)   自転車は 歩道も車道も 我が物顔          野澤07
(102)   波はなく 朝もや深く 乙女像            中津川07
      小川のひだまりに羽をやすめる 瑠璃色の
     蝶一服の絵のようです。
(103)   ルリタテハ 秋の小川に休みおり           小野寺06
1 内野
(104)   さびしさに秋夕焼をながめをり            豊05
      出張に出会ったスイスでは すでに秋は白
     夜でした。
(105)   はろばろと 白夜の夜に 秋眠り。          小野寺13
(106)   屁理屈に 論理通じぬ もどかしさ          野澤12
1 橋本
      現状に別れを告げる秋、満月でも光の届か
     ない闇がある
(107)   満月に 遠吠え聞こえ 別れ闇            杜瑯01
1 深瀬  月明かりのもと、決意を新たにするという独特
 の感性に幻惑されました。
(108)   もみじ葉の紅(くれない)に満ち 秋が逝く      小野寺02
(109)   数ミリの 段差に躓く 老いた足           野澤11
(110)   金木犀 愛しく薫る 今年また            志方06
1 秋岡  金木犀の香りは私も大好きです。
(111)   寺田屋で竜馬に会いし京の秋             秋岡07
       友人を亡くした日は 秋晴れでした。
(112)   哀しみは 遥かな秋の 鰯雲(いわしぐも)      小野寺10
1 吉良  いわし雲も時々の人の感情により様々な風景を
 作るものだと思いました。
2 豊  叙情性たっぷりですが、「秋」と「鰯雲」は季語
 が重なっているので、「秋」の代わりに違う言葉を考
 えたほうがいいと思います。
3 橋本
4 志方
(113)   きじ鳩の何鳴き交わす秋静か             秋岡05
1 宮澤  浅草の鳩ほど群れず静かだから鳴き声は聞こえ
 るし、ちょっとしゃれた羽の色具合、土鳩は羨ましい
 でしょうね。
       秋の日に 旧い友人を亡くしました。
(114)   風が啼く 秋発つ 野辺に 友の 逝き。       小野寺03
1 中津川  私も10月の初めに旧友を亡くしました
2 内野
3 宮澤  今年は元の会社のゴルフ仲間が3 人も逝き、身
 につまされます。
4 森
5 志方

   4.川柳
(115) ・ハイタッチ上がらぬ腕に悲鳴上げ           秋岡08
(116) ・安倍さんを覗いてみたい腹の中            秋岡09



- 補足  選句とともに、下記のようなコメントが寄せられました。
・中津川さん ---- なかなか決められません。選句は大変ですね。
・野澤さん ---- みなさんがどんな俳句を詠まれたか,毎回楽しみにしていま
す。100句を超すと選句も一苦労ですが,これも又楽しい作業です。
  今回は48,56,61の同じような思いを詠った3句の選別ができません
でしたが,7句までよしと云うことなので3句とも選んでしまいました。ご容
赦下さい。
・内野さん ---- 選句の理由付けは出来ませんが、どれも深みのある句だと思
います。
・橋本さん ---- 俳句は勉強していませんので上手くはなりませんが、頭の体
操?と皆さんの句を楽しむことができますので続けて行きたいと思います。
  土川さんには下手な素人句でも我慢してお付き合いして頂けたらと思います
が、退会残念です。
・志方さん ---- 多くの句が、秋が持つ特有の風情を上手く表現されているよ
うに感じました。

- 訂正とお詫び
  詞書き「友人を亡くした日は 秋晴れでした。」は、(112) にかかるもの
でした。誤って、(106) の前にしてしまいました。修正し、お詫びします。
  ----
                                      
       

2015年8月5日水曜日

第十三回の七句会の選句結果をご報告いたします。


 七句会のみなさま
 第十三回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
  今回の6 点句から3 点句は、下記のようでした。
  6 点句
(008)  薄墨の雲間染め抜く緋の光              志方04
 
  4 点句
(034)  蝉しぐれ 夢まぼろしの 光堂。           小野寺09
(048)  飛魚の群れ飛ぶいまや海光る             豊01
(065)  風送る団扇の先に孫の息               柳町02
(148)  道端の蝉の抜け殻夏盛り               秋元03
  3 点句
(015)  月山に残雪光り神宿る                秋岡05
(017)  光 (こう) 合成いのちと宇宙むすびけり        深瀬07
(036)  ひかり射す雨戸ふしあな朝ろうか           深瀬03
(044)  海鳴りの 怒涛彼方に 光見え。           小野寺14
(045)  光陰もしずかにわれを抜いていく           深瀬06
(046)  一撃の閃光走り夏来たる               秋岡01
(050)  記念日に妻の欲しがるひかりもの           小幡05
(058)  風鈴を  団扇で鳴らす  孫娘             野澤11
(071)  眠る子に母の手動く団扇風              豊04
(078)  隣席の団扇の風をもらい受け             澤藤01
(082)  打ち水に誘われ団扇背に仕舞う            柳町03
(091)  芳醇な甘みうれしや庭トマト             橋本04
(154)  捨てるなと言っても捨てる世話女房          秋岡13

  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人
の名前とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付
します。
  次回については、10月上旬ころにご連絡したいと思っていますので、
よろしくお願いいたします。やり方について、ご意見がありましたら、
ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。


 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 参加者について
 秋岡さん、秋元さん、澤藤さん、橋本さん、水谷さん、宮澤さん、森 (杜瑯
) さんは、駒場東邦卒ではありませんが、これまでに適宜、ご紹介させていた
だいておりますので、よろしくご参照方お願いいたします。
(2) 兼題の募集について
  前回同様、次回の句会の兼題を募集します。9 月25日 (金) までに、事務方
まで送っていただければ幸いです。
  2015.08.05
      代表   橋口侯之介 (休会中)
      事務方 深瀬久敬



     1. 兼題 光
(001)  歳嵩ね頭頂部には光指す               中島06
(002)  新幹線  ひかりとこだまの  50年          野澤06
1 柳町 
2 治部  いつの間にか50年。無j 戸で本当にご苦労様です。
 作者もともにひかりこだまのごとき50年の速さを感じて
 いることでしょう。卒業後50年ほんとに早いものです。
(003)  うまおいの 眼に光満ち 夏が逝く。         小野寺08
(004)  光速を 超えて宇宙に 飛び出すぞ          古川03
(005)  光さす 窓辺にひとり 胡蝶蘭            吉良06
1 深瀬  胡蝶蘭は、開店祝いとか、華やかな雰囲気のとこ
 ろでよく見かけます。日常のなかでの隙間時間なのか、
 心がふと内面に向かったときの一瞬を切り取ったように
 感じました。
         自然の営みには人知を超え圧倒される崇高
       なものがあります。夏木立の向こうの積乱雲
       は光を呼吸しており落日の空には神が住んで
       いるのでしょう。以下、2句。
(006)  夏木立 雲は光を 呼吸せり。            小野寺03
1 古川 
(007)  夕焼けの神住む空に 光消え。            小野寺04
1 森 
(008)  薄墨の雲間染め抜く緋の光              志方04
1 治部 この景色は我が家からも見ることがあります。い
 つもここで一句と思うのですが・・・ これなのですよ
 私の言いたかった光景は。ありがとうございます。
2 豊  日本画の風景を見ているような色彩感覚があります。
3 内野  神々しい心象風景です。
4 秋岡  薄墨と緋の色彩バランス、”染め抜く”が素晴ら
 しいと思います。
5 橋本 
6 小野寺 薄墨の彼方にある緋の光は一服の絵のような情
 景です。
(009)  光満つ絵を前にした涼しさよ             水谷01
(010)  歳重ね  光り輝く  おでこかな            野澤07
(011)  稲光竜巻豪雨過ぎ去りて               秋元02
(012)  梅雨あけの青きひかりやお盆まで           深瀬09
1 澤藤 
(013)  星流れ、漆黒の闇 光裂く。             小野寺11
(014)  夏の夜街のひかりに君の顔              小幡04
(015)  月山に残雪光り神宿る                秋岡05
1 土川 月山の神秘さが伝わってきます。
2 内野 清々しさを感じます。
3 小野寺 月山の残雪が神の存在を確信させる、心に響く
 息をのむ光景です。
(016)  天窓に月の光の授かりて               土川01
1 志方 
(017)  光 (こう) 合成いのちと宇宙むすびけり        深瀬07
1 澤藤 
2 豊  大いなるものと小さいものを結びつけたところが見
 事です。
3 小幡 
(018)  遠去りて 哀しみ遥か 海光り。           小野寺12
(019)  鮨ネタで  欠かせないのは  光り物          野澤08
1 橋本 
(020)  日の光 紫に沈む 赤道線              吉良05
(021)  早朝のグランドゴルフ光る汗             秋岡02
(022)  世の中に光があるから生きている           橋本01
(023)  たまゆらの光残して 夏が逝き。           小野寺05
(024)  夏ひかり不動のとかげシルエット           深瀬01
1 小幡 
(025)  「月光」を弾く指白きピアニスト           豊02
(026)  ゆるぎなく、 光見据えて 雲流る。         小野寺07
(027)  木洩れ陽の  先に見出す  希望の光          野澤12
1 澤藤 
(028)  安倍晋三平和賞の光消す               中島08
(029)  夏木立 木漏れ日光(こもれびひかり) 沈まれり。  小野寺01
1 中津川 
(030)  ひかり満つ雲の峰越ゆジェット機影          深瀬02
1 橋本 
(031)  梅雨空に 光の予感 夏が来る            宮澤01
1 小幡 
(032)  空を飛ぶ光の線は宇宙駅(ステーション)       澤藤03
(033)  光と闇レンブラントの絵の世界            深瀬05
(034)  蝉しぐれ 夢まぼろしの 光堂。           小野寺09
1 志方 
2 古川 
3 秋元  歴史ものに敬意
4 中津川 
(035)  夜明け前山の鞍部に光指す              中島05
1 土川 鞍部から光が走る夜明けは感動的ですね。
2 小幡
(036)  ひかり射す雨戸ふしあな朝ろうか           深瀬03
1 治部  この場面は田舎の実家に里帰りした時のものです
 かね。私も経験があります。今の雨戸はアルミだし、庭
 に面した廊下はないし。とても懐かしい気持ちになりま
 した。
2 宮澤  雨戸の建てつけが悪ければ漏れる光は線になり、
 建てつけが良ければ節穴通して点になる。昔の朝はそう
 でした。
3 秋元  昭和風景への憧憬
(037)  乳飲み児の 生命(いのち)想いて 光在り。     小野寺13
(038)  朝露の真珠の光りはかなげに             秋岡04
1 橋本 
(039)  雨露が光をはじくアジサイや             志方02
(040)  晴れ上がり宇宙をひかり突き抜けり          深瀬08
1 秋岡  梅雨空が晴れ上がり、光が宇宙を突き抜けるスケ
 ールの大きさが素晴らしいと思います。
       現在の住まいは宝塚の山裾にあり、緑が多
      く朝には色々な鳥が飛んで来る。以下、3句。
(041)  嵐去り朝のひかりに燕かな.             小幡01
1 志方 
2 小野寺  嵐のあとに生きていた燕はきっと命の希望でし
 ょうか。
(042)  姿なく声とひかりはウグイスか            小幡02
(043)  目に見えぬ暁光に啼くホ-ホケェキョ         小幡03
(044)  海鳴りの 怒涛彼方に 光見え。           小野寺14
1 古川 
2 内野 
3 宮澤 荒々しき明け方の渚に1人佇み光を感じるとはこ
 んな状況でしょうか。
(045)  光陰もしずかにわれを抜いていく           深瀬06
1 土川 光陰は早いものとばかり思っていました。
2 森 
3 秋岡  共感します。
(046)  一撃の閃光走り夏来たる               秋岡01
1 豊  夏を告げる一瞬の雷光。鋭い季節感にあふれていま
 す。
2 秋元  刹那の切り取りに感動
3 小野寺  黒雲の中に一瞬輝く 稲妻の躍動感が盛夏の力
 強さをみせて歯切れがいい。
(047)  黒き眼に 光湛えて(たたえて)夏は過ぎ。      小野寺10
(048)  飛魚の群れ飛ぶいまや海光る             豊01
1 志方 
2 秋岡 ”光”のきらきら感が嫌というほど感じます。
3 中島 
4 深瀬 真夏の海の突き刺すようなきらきらした様子が眼
 前に迫ってくるようです。子供のことに行った伊東の海
 を思い出しました。
(049)  ティショット光跡残し姿消す             中島07
1 治部  これは!!・・・カップに直接消えたホールインワ
 ンはたまた300 ヤードオーバーナイスショット それと
 も・・・もしや残念な消えかたをしてしまったのでしょ
 うか。(小生はいつもこれです)
(050)  記念日に妻の欲しがるひかりもの           小幡05
1 野澤  我が家では娘がやたらと欲しがりますが,妻は全
 く興味を示しません。一度でもねだられて,そんな物は
 何の役にも立たない,と云ってみたかった。
2 宮澤  そうですね、あじ、イワシなら腹いっぱい食わせ
 ても良いが、堅くて食えない光りものを何で欲しがるの
 でしょうか
3 中島 
(051)  近頃は朝の光も眩しけれ               澤藤02
1 野澤  実感。私もやたらと光りが眩しく,清々しさを感
 じられなくなりました。
(052)  光り満ち 眩しき渚 子が走る            宮澤03
1 内野  渚は若きエネルギーに満ちています。
2 小野寺 渚を走る子供に生命の輝きをみる。素直な希望
 が満ちていますね。
(053)  林間に浅緑踊る初夏の光               志方01
(054)  蛍群れ 灯ともし役を 舞うひかり          宮澤02
(055)  海峡のグリーンの向こう光る夏            秋岡03
(056)  白百合の 花弁 ゆたかに 光揺れ。         小野寺02
1 中津川 
(057)  ひかりあれ希望と恐怖おどりいで           深瀬04
   
   
      2.兼題 団扇
(058)  風鈴を  団扇で鳴らす  孫娘             野澤11
1 秋元  愛らしさに感動
2 小幡 
3 深瀬  童話の絵本でみるような情景であり、なにかこど
 もの原風景的な思いに引き込まれました。
(059)  団扇持つ白き二の腕艶めいて             秋岡07
1 宮澤  大原 麗子、大地 喜和子、夏目 雅子。二の腕
 の艶めいた女はみんな死んじゃった。いあやー、昔は良
 かった。
(060)  トリス翁団扇の中でウィスキー            中島03
(061)  団扇持ち縁に端座す父思う              水谷02
1 柳町 
2 中津川 
(062)  冷や汗に  右手ハンカチ  左手団扇          野澤10
(063)  団扇もつ 乙女の姿 夢のあと            吉良02
(064)  団扇風 梅雨空飛ばせ 明日ゴルフ          古川02
         孫が昼寝をしているので、団扇でそよ風を
       おくっています
(065)  風送る団扇の先に孫の息               柳町02
1 野澤  目に浮かぶ光景です。さぞかしい気持ちよさそう
 に寝込んでいるのでしょうね。
2 宮澤  風送る方が虫の息にならないよう、頑張りましょ
 う
3 中島 
4 小幡 
         若い頃は、団扇で蝿をたたき落とせたので
       すがーーーーー???
(066)  蝿を追う団扇の振りに歳を視る            柳町01
1 野澤  昔は叩き落とせた蝿も,動きが緩慢になり落とせ
 ない。やっぱり年をとったと実感させられる出来事の1
 つ。
(067)  腕まくり 浴衣の帯に 団扇差し           宮澤05
1 柳町
(068)  縁側で  団扇片手に  夕涼み             野澤05
(069)  金髪の 夜店にぎわう 団扇かな           吉良04
(070)  蒸し暑き夜半活躍美女団扇              中島04
(071)  眠る子に母の手動く団扇風              豊04
1 土川 ゆっくりとした手の動きに母の愛情が伝わってき
 ます。
2 内野  母の愛ですね。
3 深瀬  赤ん坊を世話している女性の姿には神々しいもの
 を感ずることがあります。
(072)  湯上りに涼を求め団扇取る              中島01
(073)  街角で 左うちわを 配りおる            宮澤04
(074)  退職後  左団扇は  淡い夢              野澤13
1 志方
2 澤藤
(075)  手放せぬ風いろいろの団扇かな            橋本02
1 豊 最初に読んだときは「手放せぬ風」とは何かと思い
 ましたが、「手放せぬ」で一度切るのですね。「風いろ
 いろ」の表現がすばらしい。
(076)  風呂上り団扇の風がなつかしく            秋岡08
(077)  肉汁の炎鼓舞する渋団扇               土川02
(078)  隣席の団扇の風をもらい受け             澤藤01
1 土川 これは嬉しいもらい物ですね。
2 野澤  省エネで気持ちいいですね。といっても私は臨席
 組ですが。
3 宮澤  焼き鳥のにおいも一緒に送ってください。
(079)  はっけよい  団扇で捌く  孫相撲           野澤09
1 土川 家族の笑顔が見えるようです。
(080)  浮世絵のうちわ美人で夕涼み             深瀬10
1 橋本  同じ団扇ならこちらがいいけど、最近は少ないの
 では
2 中島 
(081)  浴衣地の 青に浮ける 赤団扇            吉良01
1 柳町 
         浴衣姿の少女が、打ち水の効果か思わず団
        扇を背中の帯に差しました
(082)  打ち水に誘われ団扇背に仕舞う            柳町03
1 秋元  昭和風景への憧憬
2 中津川 
3 小野寺  打ち水の中を 思わず背中に団扇を仕舞う少女
 の浴衣姿が微笑ましい。
(083)  和服美女茶碗をまえにうちわ手に           深瀬11
1 治部  この場面は目を閉じて想いうかべたものでしょう
 か。まさか、目の前で起きている事実ではないですよね。
 常々こういう場面に同席したいと思っています。
(084)  若き日の女優輝く古団扇               中島02
1 柳町 
(085)  団扇なき家族に昭和遠くなり             豊03
(086)  団扇振り腰振り踊る阿波の熱             秋岡06
1 中津川 
(087)  外人の 団扇あおげる おもてなし          吉良03

      3.自由題
(088)  つかのまの 涼をとりたり 夏木立          内野02
1 古川 
2 橋本 
(089)  頑固さも  孫の前では  腰砕け            野澤01
1 澤藤 
(090)  二輪草の 見上げる峰は 奥穂高           森04
(091)  芳醇な甘みうれしや庭トマト             橋本04
1 野澤  丹精込めて作られたもぎたてのトマトの味が伝わ
 ってきます。
2 古川 
3 秋元  手作りの味がでていて感動
(092)  子規の句を訪ねて歩く伊予の夏            秋岡09
1 豊  俳句好きの作者の素直な旅情が出ていると思います。
(093)  白百合の むせぶ香りに 夏来たり。         小野寺06
(094)  明滅に我が息合はす蛍籠               土川07
1 中島
2 小野寺  蛍籠の中の明滅は きっと己の心の鼓動なので
 しょうか。
(095)  梓川夏山望む上高地                 秋元07
1 森 
(096)  新緑路 憂い深くも 定まらず            森09
(097)  鬼平も 八つ目うなぎで つつじ愛(め)で      森03
(098)  良き友と別れた後の満ちた月             秋岡10
(099)  君と立つ 穂高極めし 夏の夢            森07
(100)  財布みて  ジジ金あるのと  気付かわれ        野澤03
(101)  ゴルフ好き何より勝る爽快さ             橋本06
(102)  紫陽花や跨げるほどの水溜              土川05
1 秋岡  雨が上がったあとの澄んだ空気に、少しの水たま
 りの感じがいいです
(103)  深緑(ふかみどり)湖面に映る山姿          秋元05
1 内野  心が落ち着きますね。
       孫(4 年生男子)が彩の国プラチナキッヅ
      (JOC サポートプロジェクト)に選ばれまし
      た。以下、3句。
(104)  何とまあ小学生から世界見る             治部01
(105)  孫の夢わが夢として余生生く             治部02
(106)  東京の次の五輪を見たい我              治部03
(107)  さくらんぼ受粉は人手ラブタッチ           深瀬16
1 中島 
(108)  黄昏や 大地を染めし あかねいろ          内野04
1 志方 
(109)  涼しきは十割 (とわり) 蕎麦なり最上川        土川03
(110)  山肌に残雪眺め露店風呂               秋元06
1 中津川
(111)  孫育も  嫁の目線に  気を遣い            野澤04
1 澤藤 
(112)  山寺の閑かさ今も夏景色               秋岡11
(113)  バラの香は 青春の思い 甘くのせ          森08
(114)  縁台に雨音過ぎて土埃                秋元01
1 深瀬  雨が降り出した直後のほこりっぽい独特なにおい
 は、遠い過去の想い出でしかありません。なにかタイム
 スップしたような気持ちになりました。
(115)  玄海に漁り火遠く拉致未だ              志方06
(116)  戦場の死屍累々になにを見る             深瀬17
(117)  上高地 思い惹(ひ)くのは 誰袖草(たがそでそう) 森06
(118)  さくらんぼ籤 (くじ) 引くごとく摘 (つま) みけり   土川04
(119)  盆休み静寂の中爪を見る               秋岡12
(120)  ごきぶりや気配をなにで感じとり           深瀬13
(121)  粉カレー 期待外れの 資生堂            古川01
(122)  熟しつつ 落ちるリンゴや 富実重ね         森10
(123)  透きとほるガラスの器夏料理             豊05
1 内野  涼しさを感じます。
(124)  黄昏(たそがれ)に 竹林揺れる たおやかに     内野03
        毎年、三浦の農家にトマトを買いに行きま
       す。以下、2句。
(125)  納屋の中家族でトマトの出荷待つ           治部04
(126)  梅雨明けて今年もおいしい紅トマト          治部05
(127)  献灯が山笠照らすほの明かり             志方05
(128)  冷気満つ残雪の月山露天風呂             橋本03
1 秋元  修験道までも感じさせる佇まい感
(129)  月山や梅雨の残雪志津の風呂             深瀬15
(130)  急坂の 息はずむ先 すべて青            内野01
1 森
2 宮澤  晴れた日に上る急坂の先に見える希望の青空?
 それとも、急坂を上って交差点の信号で休もうと思うと
 何故かいつも青で「行け行け」と、尻を叩かれているの
 かな?
(131)  夏休み 孫に精出す じじとばば           野澤14
        息子が引っ越しました。以下、2句。
(132)  雨の中転居通知が嬉しげに              治部06
(133)  あらかわい孫の笑顔に息子見ゆ            治部07
1 柳町 
(134)  五色沼モリアオガエル泡を吹く            秋元04
1 土川 カタカナ表現がとてもグロテスクですね。
(135)  幾千年しずかに坐る弥勒像              深瀬14
1 森 
2 豊  背後に長い歴史を感じながら弥勒仏と向き合ってい
 る姿が浮かびます。
(136)  春の宵 まぼろし誘う 根津老女           森02
1 深瀬  ややあやしい雰囲気もありますが、おとこたるも
 の、老いても異性への関心をるのか、とも感じました。
(137)  古希前に  頑固さ改め  円くなる           野澤02
1 森 
(138)  夏草やフクシマ被曝跡地にも             豊06
1 中島 
(139)  ひと吠えで 穂高残雪 崩れ落つ           森05
1 古川 
       庭に1 本あるアメリカ楓に野鳩が3mくら
      いの高さに巣を架け6 月初めから抱卵、下旬
      には2 羽の雛が誕生、親交互に給餌して7 月
      中旬に無事巣立って行きました。居間から3
      m 位の近さなので写真も撮りました。驚きで
       す。
(140)  我が庭に野鳩巣を架け子巣立つとは          橋本05
1 秋岡  野鳩の成長を見届け、巣立った驚きに共感し
  ます。
(141)  ドア開けしわれとごきぶりすれ違う            深瀬12
(142)  翼広げ漁後の川鵜羽を干す              橋本07
(143)  クチナシの香り漂う散歩道              志方07
(144)  戦ひの島を思ひてゴーヤ植う             土川06
(145)  芭蕉翁よくぞ粗食で幾千里              深瀬18
(146)  さわさわと 内股なぞる 春の闇           森01
(147)  燃える緋がクチナシ染める雲間から          志方03
1 森 
(148)  道端の蝉の抜け殻夏盛り               秋元03
1 志方
2 古川
3 秋岡  夏の盛りと蝉の抜け殻に季節の移ろい、命のはか
 なさを感じます。
4 小幡 

     4. 川柳
(149)  客観力たかめ人間どこへ行く             深瀬22
(150)  熟年旅行 朝かと起きたら 妻まだテレビ       林03
1 柳町 
(151)  人はなに宇宙にいのち普遍知り            深瀬23
(152)  ひざ痛い 目も歯も痛い 腰痛い           林02
(153)  マイナンバーIoTのチップ埋め           深瀬21
(154)  捨てるなと言っても捨てる世話女房          秋岡13
1 野澤  私はもう諦めて,今では私の見ていないときに捨
 てるようにとお願いしています。
2 豊  愚痴を言っているようで、そのくせ世話好きの女房
 を愛している。川柳の味わいです。
3 深瀬  なにか完全に奥さんのコントール下にある感じで
 す。サラリーマン現役時代とのギャップの大きさを受け
 入れるしかないということでしょうか。
(155)  押し寄せる便利べんりの先になに           深瀬19
(156)  同窓会 誰も来てない 明日だった          林01
(157)  それぞれに硬き殻つけ譲歩せず            深瀬20
1 橋本 建前は譲れないものなのでしょうか、、、いろい
 ろ難しいものです)


 追記
 選句に多少、関係したコメントがありましたので、ご参考までに掲載させて
いたたきます。
〇中津川さん
 投句をしてみましょうと思っているうちに締め切 りが過ぎていました。
 また、選句して送信しようと思ったらモデムが故障してパソコンが使えずギ
リギリになりました。
 普段使い慣れないスマホを使ってお送りします。
 とりあえず番号だけ連絡します。ご容赦ください。
〇秋元さん
 本日、旅行から帰り、慌てて選句しました。
〇中島さん
 何時もの共感できることに分かり易さと調子の良さを基準に加え選びました。
〇秋岡さん
 こちらは関西の茹だるような暑さにうんざりしていますが元気にやっており
ます。何とか共感する7句を選句をさせて頂きました。宜しくお願いいたしま
す。
〇内野さん
 良い句がおおく選ぶのが大変でした。心に響く句を基準に選びました。よろ
しくお願い致します。
〇豊さん
 30日から8月3日まで東京を留守にするので、早めに選句を送ります。よ
ろしくお願いします。
〇志方さん
 本当に暑いですね。何事にも億劫になり、気力がなえます。
 今回の句には、写実的に優れた表現が多いような気がします。選定に苦労し
ました。
 特に041と048のくは、光の眩さが強く感じさせられました。
〇野澤さん
 皆さんのようにうまく詠むことが出来ませんが,とても愉しませてもらって
います。今回も,身近に感じられる出来事を詠っている句を選びました。
〇柳町さん
 皆さん上手なので選ぶのが大変です。
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2015年6月16日火曜日

七句会勉強会(15.06.10)報告

 七句会勉強会(15.06.10)報告
  七句会の勉強会は、下記のように行われました。
1.日時   2015年6 月10日 (水) 午後5 時半~午後8 時
2.場所   路じ 溝口南口店 (うどん店)
3.参加者 内野さん、志方さん、治部さん、土川さん、深瀬。
4.内容
(1) 季語と句会
  俳句上達のバロメーターを、句会で選句される度合いに求める場
合には、選者の季語に対する姿勢を事前に確認しておく必要がある。
  例えば、朝日新聞の俳壇では、4 人の選者のうち、少なくとも金
子兜太は無季語を認めている。
  明治以降になり、有季定型が強調されるようになった。
 季語は結社によって異なるし、自由律俳句や無季語俳句の考え方
も結社によって異なる。さらに、実際の季節とずれていることもあ
る。したがって、季語に高い厳密性を求めることには、あまり意味
がないとも言えそうである。
(2) 金子兜太と無季語俳句 (資料A参照。土川氏提供。)
  金子兜太は、人間性や社会性に関する厳しい無季語の俳句を評価
する。
  例えば、次のような句である。
- なんといふこひしさ魚を焼いてゐる
- 暗闇の眼玉濡さず泳ぐなり
- 戦争が廊下の奥に立つてゐた
 虚子の考え方とは異なるし、どちらが正しいという根拠も不明で
ある。
(3) 無季語俳句と川柳
  感動を素直に俳句に表現したいとき、季語の制約を受けたくない
と思うことがある。
  七句会は無季語も可であるが、その投句には季重なりの句が目立
つ。許容される場合も多いが、季節の違う季語が混在しているのは
矛盾であり、適当とは言えない。
  無季語俳句と川柳は、全く別物である。七句会の選句表では、同
一の土俵で扱われているが異様である。投句者に申告させ別物とし
て扱うべきである。
(4) 俳句における表現
  俳句を始めた動機として、自然の泰然さに強く打たれた体験があ
る。原発事故で、ゴーストタウンとなった地域のなかの自然の美を
詠みたいと思った。
  短歌には、戦争の悲惨さを非常にリアルに詠んだものがあり、戦
争の悲惨さに胸が打たれる。
  俳句は、文字数が少ないこともあり、読み手の想像力に訴えるこ
とも大切である。科学技術分野における説明とは180 度異なる。設
計図のような絵であったり、絵はがきのようでは困る。また、その
人のオリジナリティーも大切である。いちょうの落ち葉を黄色い絨
毯と表現するのは、はじめて作る人のみに許容される。芸人の世界
と同じである。
(5) 俳句の上達とは
  俳句上達のマイルストーンを考える上で、句会の先生の作品が選
ばれないこともあるという状況が存在することにも注意したい。俳
句は、同人が集まった座の文学という側面もある。そういう中で、
その同人に評価されやすい句を作るという努力もあるだろう。投句
する句会の特性を踏まえて、投句する句を選ぶということもある。
  また、例えば、システム設計と同じように捉え、枠はめにこだわ
らないで、言葉の組み合わせのおもしろさを追求するという信念に
基づく作り方もある。
  次の句は、妄想の世界の最高傑作だと思っている。
- 触れもせず 小百合の寝顔 朝陽さす 
(6) 現代俳句の師系 (資料B参照。土川春穂作成。)
  師匠を選ぶに際して、その師系を把握しておくことも有意義であ
る。
 今現在の主な俳句団体の協会は、日本伝統俳句協会、現代俳句協
会、俳人協会の三つである。
 カルチャーセンターのようなところは、辞めたりかけもちするこ
とに寛容だが、結社となると辞めるのがむずかしいところもあるよ
うである。主宰者の人柄などに留意することも大切そうである。
 以上 文責深瀬



2015年5月6日水曜日

七句会 第十二回の結果をご報告します。

 七句会のみなさま
 第十二回の七句会に参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
  今回の4 点句から3 点句は、下記のようでした。
 4 点句
(040)   嘘ですと 言った言葉に 紅がさす         秋岡03
(041)   亡き母に嘘つき記憶老ひてなほ           深瀬03
(067)   南禅寺はやき疎水に春の風             小幡04
(092)   読み掛けをまた読み返す春麗(うらら)       土川03
 3 点句
(004)   春霞 花散る 野辺に 友の逝き          小野寺08
(005)   霞野に春告げ蛙田植え待つ             秋元32
(007)   朝かすみ父母のふるさとひっそりと         深瀬01
(008)   花霞 分け入る子らの 声包む           吉良02
(050)   気落ちして折れる心に春つなぐ           秋元08
(062)   折れてなお 春風受けて 夢に立つ         杜瑯05
(069)   春半ば 宿りし生命(いのち) 風はらみ。     小野寺07
(073)   山椒の 若芽の先に 春薫り            小野寺01
(088)   畔道(あぜみち)の 轍(わだち)の跡に 春蓮華  小野寺02
(109)   花びらの空飛び地這う万華鏡            深瀬13
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人
の名前とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付
します。
  次回については、7 月上旬ころにご連絡したいと思っていますので、
よろしくお願いいたします。やり方について、ご意見がありましたら、
ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 今回から本格的に投句/ 選句に参加された駒東卒以外の方のご紹介 (再掲)
・秋岡さん  阪大、川崎重工 (長谷川さんと仕事仲間) 、霞光会、現在神戸に
ご在住。
・秋元さん  白金小学校 (古川さんと同級) 、早大機械、日本航空、霞光会。
・野口さん  早大政経、川崎重工 (長谷川さんと仕事仲間) 。NPO 環境ベテラ
ンズファーム( http://www.evfjp.org/ ) にも参加。
(2) 兼題の募集について
  前回同様、次回の句会の兼題を募集します。6 月26日 (金) までに、事務方
まで送っていただければ幸いです。
(3) 投句や選句の数の公平性について
  一人で何句まで投句できるかという規定を設けてはいますが、運用はかなり
柔軟です。句会本来の選句という立場からはやや問題があるようにも思います
が、俳句の発表の場でもあるといった位置づけもあると思い、今回も厳密には
適用しませんでした。
  この辺について、ご意見等ありましたら、よろしくお願いいたします。
  2015.05.07
      代表   橋口侯之介 (休会中)
      事務方 深瀬久敬


   1.兼題  霞
   
(001)   春霞重ねて見たいこの景色             橋本01
(002)   雪一夜露天に眺む春霞               秋元02
(003)   山裾に 霞たなびき 墨絵かな           鳥海02
       西行のように花のころに 逝きたいといいながら、
      現実に野辺送りとなった友を悼み
(004)   春霞 花散る 野辺に 友の逝き          小野寺08
1 森
2 吉良
3 深瀬  だらだらと長生きすることには抵抗がありますが、
 比較的若くして、老いの境涯を味わうことなく逝ってし
 まうことにもなにかさみしさを禁じ得ません。友のそう
 した無念のようなものを強く感じました。
(005)   霞野に春告げ蛙田植え待つ             秋元32
1 野口
2 秋岡  ほのぼのとした昔の風景と音が思い浮かべられま
 す。
3 小野寺  歯切れのいい リズミカルな語感が遠い記憶の
  蛙の声と重なり春待ちの心に響きます。
(006)   後期高齢に雲霞の如し弱気かな           澤藤02
(007)   朝かすみ父母のふるさとひっそりと         深瀬01
1 志方  しみじみとした情感がつたわってきます。
2 治部  春の彼岸に里帰りをしたのでしょう。懐かしい気
 持ちになります。
3 小幡
(008)   花霞 分け入る子らの 声包む           吉良02
1 土川  声だけが聞こえるほどの濃い霞でしょうか。
2 治部  一面の菜の花畑が目にうかびます。
3 中島
(009)   朝霧に車窓に霞む屋根瓦              秋元31
1 橋本
(010)   音無しや 佐久平には 春霞            古川14
1 中島
(011)   鳥騒ぎ霞流れる霞台                中島01
1 鳥海
(012)   山河あり 霞まといて 水墨画           鳥海03
1 中津川
2 小野寺 春霞の山河そのものが水墨の絵の世界です。
(013)   桜咲く成田の里の春霞               秋元01
1 治部  桜咲くは受験合格の合言葉でした。この場合はス
 タートホールのナイスショットですかね。
(014)   瀬戸内の 霞の向こう 光る海           秋岡01
1 土川  手前が霞で、遠くが晴れている高台からの眺めで
 しょうか。
2 柳町
(015)   わが眼鏡度数も合わず春霞かな           澤藤01
1 野澤
(016)   雨止みて霞となりて花飾る             中島02
1 澤藤
(017)   古都霞み 鴨川ひと筋 流れけり          吉良03
1 土川  京都の情景がイメージできますね。
(018)   ゆらゆらと霞みの向こうの高きビル         小幡01
(019)   尻上がり晴れて霞をやり過ごす           秋元03
(020)   霞立つ里山めぐる夕の鐘              深瀬02
1 秋元
2 吉良
(021)   霞から透けし下界の小ささよ            土川01
(022)   通帳を 眺める瞼に 春霞             野澤02
1 鳥海
2 橋本  春が霞むのでしょうか、春霞がかかったように見
 えたのか
(023)   霞みゆく 山部の夕日や 我ひとり         吉良01
1 志方  しみじみとした情感がつたわってきます。
2 柳町
(024)   霞光会(カコウカイ) 楽しい時よ 何時までも   鳥海01
       仲間内しかわかりませんが、、、
(025)   楽しみがゴルフで廻る霞光会            橋本03
1 鳥海
(026)   梅の香を 漂いかくす 春霞            柳町02
1 秋元
(027)   嘘隠す 霞立ち込め 過ぎた春           鳥海11
1 柳町
        最近は自然現象の黄砂以外にPM2.5 も一緒に運ば
      れて来るらしい
(028)   黄砂外粒子も混じる霞む空             橋本02
(029)   大利根のたゆとう流れ春霞             秋元33
1 吉良
2 中津川
(030)   春霞 君の回復 待ちわびる            古川13
1 鳥海
       色あせたアベノミックスに一言
(031)   バズーカも霞のかなたに消え失せた         志方07
(032)   霞立つ春はうららの雪の中             秋元17
1 柳町
(033)   瀬戸内の 霞に浮かぶ 新子ぶね          秋岡02
   2.兼題  嘘
(034)   思案する相手も痛まぬ上手い嘘           橋本06
1 野澤
(035)   おじいさん鏡の中のうそだろう           小幡02
(036)   初詣 鷽替え願い 嘘を付き            鳥海04
(037)   妻に嘘見抜かれたかと春の宵            深瀬04
(038)   嘘あらば髭撫づる癖葱坊主             土川02
(039)   実像虚像いずれが嘘の人生か            澤藤04
(040)   嘘ですと 言った言葉に 紅がさす         秋岡03
1 鳥海
2 柳町
3 深瀬  「紅がさす」のは、言った人なのか、言われた人
 なのか、安堵のためか、怒りのためか、などいろいろな
 解釈があると思いました。そうした複雑な心情が「紅が
 さす」にやわらかく包み込まれているように思いました。
4 小幡
(041)   亡き母に嘘つき記憶老ひてなほ           深瀬03
1 吉良
2 中津川
3 治部  振り返れば母にはずいぶんと嘘をついてきたなあ。
 でもばれていたろうな。
4 橋本
(042)   春の雪季節はずれの怖い嘘             中島03
(043)   うそ泣きす孫の顔みて消防車            小幡03
(044)   相続は 嘘つく者の 一人勝ち           野澤03
        私はバーディーはおろか、パーもほとんどないんで
      すが。以下2句。
(045)   嘘つきさ バーディーなのに パーといい      古川07
1 中島
(046)   大嘘さ イーグルなのに パーといい        古川08
(047)   嘘が嘘 何が真実 霞かな             鳥海05
   3.兼題  春
(048)   春雨に 矢切の渡し のどかなり          鳥海06
(049)   春の宵 乱れし髪に 風光り            小野寺04
(050)   気落ちして折れる心に春つなぐ           秋元08
1 森
2 秋岡  何か元気をなくす出来事があっても春になればま
 た元気を出そうというところがいいです。
3 橋本
(051)   春が来て 四十年目の 花粉症           野澤01
       先日気の合った仲間との野辺歩きに。以下2 句。
(052)   春雨にさえずる雲雀畑中を             志方05
(053)   逝く春に矢切りの渡しで水紀行           志方06
(054)   重き過去わき上がりきて春愁ふ           深瀬09
1 小野寺 春の愁いを引きずる切ない情感が浮かびあがっ
  てくる深い句ですね。人生はいつも悔いとの綱引きです。
(055)   丹田に入れたる力春を呼ぶ             秋元05
1 鳥海
(056)   春うらら、まつ毛に宿る 金鳳花(きんぽうげ)   小野寺05
(057)   川堤桜揃いて春満開                橋本05
1 野澤
(058)   赤城背に 菜の花畑 春到来            古川10
1 柳町
(059)   春雨に 薔薇の若芽 は眠りおり。         小野寺11
(060)   ゆきやなぎ 白くふくれて 春を知る        柳町03
1 小幡
(061)   お掘り越し高層ビルや春陽受け           深瀬06
1 中津川
(062)   折れてなお 春風受けて 夢に立つ         杜瑯05
1 志方  奮い立つ気持ちが素直につたわります
2 深瀬  ややひるんだ気持ちを、春風を受けながら毅然と
 して前を向いて克服していく姿勢が力強く詠まれている
 と感じました。
3 小野寺 春風駘蕩 一敗地にまみれても 立ち上がる強
  い思いを感じます。
        かってこの時期、上智大学の土手のレンギョウをよ
      く丸の内線の車窓から眺めていたことを思い出し
(063)   レンギョウに去りゆく春の八重桜          志方04
1 秋元
2 小野寺 春が来ると、ソフィアの土手はレンギョウの黄
 色と桜の花びらでした。恬淡として媚びないしなやかな
 心の動きを感じます。
(064)   花咲きて 鶯鳴きて 春きたり           鳥海13
(065)   野いばらの 淡い緑を 春が逝き。         小野寺03
(066)   春の宵汗ばむからだ湯に沈め            深瀬11
1 中島
       久しぶりに京都を散策して。以下2 句。
(067)   南禅寺はやき疎水に春の風             小幡04
1 秋元
2 土川  哲学の道に春が来ていますね。
3 深瀬  「南禅寺」と「はやき疎水」に、京都の春の風情
 が、ありありと描写されていて、日本の伝統的な美意識
 を強く感じました。
4 小野寺 南禅寺の清らかな疎水の瀬に春を感じる心の余
  裕がいいですね。
(068)   春霞み湯葉の味覚と鐘の音             小幡05
1 秋元
2 治部  湯葉大好きです。鐘の音が聞こえるところでいた
 だけば尚更に美味しいでしょう。
(069)   春半ば 宿りし生命(いのち) 風はらみ。     小野寺07
1 土川  初めての子どもでしょうか、喜びとともに不安も
 感じられます。
2 吉良
3 中津川
(070)   季節春夏の初めの別称哉              中島04
(071)   春愁や深夜テレビに独り言             深瀬08
(072)   春一番 吹いてさそう 眠気さま          柳町01
1 野澤
(073)   山椒の 若芽の先に 春薫り            小野寺01
1 秋元
2 志方  山椒の味わいが想像されます。
3 治部  山椒の香りは春ですね。我が家の庭にもいつの間
 にか山椒の落ち生えが。
(074)   若葉寒 春のいたずら 雪桜            古川12
(075)   飯館村 春一番の 美しさ             中島05
       あっという間に花満開で、もう葉桜の季節で、今年
      の花見は当て外れた人が多いようです。以下3 句。
(076)   花散らし芽吹いた若葉に老い桜           志方01
1 森
(077)   春宵に水面に映る残照や              志方02
(078)   春惜しむ煙雨の中の芽ヤナギが           志方03
(079)   風香る 春の夕べに 生命(いのち)萌え。     小野寺06
1 森
(080)   春愁やガラス窓落つ雨の粒             深瀬10
1 野口
(081)   目を閉じて 春や故郷 赤城山           古川11
(082)   春風や樫の葉揺れて光舞う             橋本04
1 吉良
1 中島
(083)   朝霧に蛙鳴く田に春を告げ             秋元30
1 志方  田舎の懐かしい風景が思い出されます
(084)   春雷を いまわの際に 空(そら)で 聴き。    小野寺09
(085)   春一番最後に吹かせ大風を             澤藤03
(086)   飲み会のはめ外したし春の宵            深瀬07
(087)   風誘う梢の芽吹き春近し              秋元13
(088)   畔道(あぜみち)の 轍(わだち)の跡に 春蓮華  小野寺02
1 秋元
2 深瀬  畦道の轍の跡に蓮華の花が咲いているという普通
 ではあまり気づかない情景だと思います。芭蕉の「よく
 みればなずな花咲く垣根かな」も連想されましたが、人
 間の生活のなかでの自然の営みであり、ユニークだと思
 いました。
3 中津川
(089)   木洩れ日に春待ち望む木瓜蕾            秋元14
(090)   河川敷友と笑いつ春ゴルフ             深瀬05
1 秋岡  楽しい句です
(091)   春風に腰折れゴルフ今一つ             秋元18
(092)   読み掛けをまた読み返す春麗(うらら)       土川03
1 野口
2 澤藤
3 治部  あるある。なかなか先へ進めない今日この頃です。
4 野澤
(093)   鶯や 初鳴きの春 飛球行く            古川09
1 橋本  鶯の初鳴きを聞きながらのティーショット、行方
 はともかく、、、
(094)   花冷えの白い 椿に 春が暮れ。          小野寺10
(095)   氷雨降る春の椿事は葉桜に             秋元16
1 森
   
   4.雑詠 (有季語)
   
(096)   菜の花の店先ならぶ旬の風             秋元12
1 土川  旬の風の表現がとてもいいですね。
(097)   さえずりの空に響きてしみ入れり          深瀬16
(098)   荒(すさ)ぶ南風(はえ) わが胸ゆする 夢運び  杜瑯01
(099)   白鷺の桜に映える白壁の              秋元04
1 中津川
(100)   ゆずられて 陽だまり寂し シルバー席       杜瑯04
1 秋岡  席を譲ってもらい温かい心に触れた反面年寄り扱
 いされるのも寂しいものです
2 野澤
(101)   寒戻り 凍える手には 椿かな           鳥海09
(102)   葉桜の雨にうたるる夢の跡             深瀬12
1 土川  葉桜に雨は悲しいですね。
2 志方  往く春の余韻が伝わります
(103)   寒戻り 雪と桜の 二重奏             鳥海10
(104)   便りなき子らを思ひて夕桜             土川04
1 小幡
(105)   川原に露天楽しむ雪の中              秋元10
(106)   締められる 前に返そう ホワイトディ       鳥海08
(107)   のどかさに地球宇宙の過去思ふ           深瀬25
(108)   うりずん(若夏)と 歌いし友に 花開く      杜瑯06
(109)   花びらの空飛び地這う万華鏡            深瀬13
1 秋岡  花弁の飛ぶ姿を万華鏡につなげて色鮮やかさが想
 像できます
2 吉良
3 橋本
(110)   さえずりに孫の笑顔を重ねけり           深瀬15
(111)   胸元に薔薇の香りが麗しき             秋元09
1 野口
2 中島
(112)   無限といふ時空の中の蚊の交尾           土川06
1 深瀬  驚愕の一句でした。無限の時空と蚊の交尾の取り
 合わせには、科学や文学を超越した宇宙と生命を一括り
 に包摂する深遠さを感じました。
(113)   白梅の うつり香残し 別れ酒           杜瑯03
(114)   新緑に あとを託して 散る桜           治部01
1 澤藤
2 秋岡  桜の落花とあわせ老境の境地を言い表しているか
 のようで寂しいですが現実です。
(115)   さえずりや生のよろこび斜め聞く          深瀬14
(116)   しぐれ陽に寒さこらえる寒椿            秋元15
1 小幡
(117)   友と行く 野菊の路に ヒバリ鳴く         鳥海07
(118)   釣り堀に魚跳ねる音空のどか            深瀬17
(119)   草津の湯湯畑けむる雪一夜             秋元11
(120)   西表(いりおもて) 回想破る 熱き風       杜瑯02
(121)   那覇の夜舜の間に咲く酔い桜            秋元07
(122)   紅梅の一輪だけが我を向く             土川05
1 中島
(123)   うりずん (若夏)に散る桜花さわやかに       秋元06
   5.雑詠 (無季語、川柳)
(124)   ゴルフとはへたとは云えず我が道を         秋元20
(125)   再会を 約して握る 老いたる手          秋岡05
1 野澤
(126)   ロボットに託す思いは裏切られ           秋元24
(127)   めがねどこ額にかけて探しおり           深瀬22
1 林
(128)   てんこ盛り季語にうつけるもの知らず        秋元26
       永遠の零というテレビ映画を見て、以下3 句。
(129)   永遠(とわ)の零 とわれる作者の 評価ゼロ    古川01
(130)   制作者 問われる学習 能力ゼロ          古川02
(131)   問われれば アベノミックス 価値はゼロ      古川03
(132)   爆買いで 尖閣残し 他買われ           鳥海12
1 橋本  何事もほどほどにしてほしいものですが、、、
(133)   何故と問う深瀬の底に清き水            秋元29
        この物質界は、物質と反物質の対称性が崩れた結果、
      生まれたと聞いて
(134)   意識にもあるか問いたし反意識           深瀬20
(135)   潮流は開発盾に覇権主義              秋元36
(136)   集いしは 投資セミナー 老いばかり        秋岡04
1 小幡
(137)   けつの穴身体に咲かす徒花か            秋元23
(138)   六十路坂くだりて老境垣間見る           深瀬24
       右翼街宣車の騒音に悩まされ、以下3 句。
(139)   主張せよ 領土返せと モスクワで         古川04
(140)   主張せよ 竹島返せ ソウルにて          古川05
(141)   主張せよ 尖閣は日本 北京にて          古川06
(142)   ゴルフ道スコアアップはアプローチ         秋元22
1 鳥海
(143)   介護終え 次は我が身と 遺書記す         野澤06
1 深瀬  なにかその痛切さに胸騒ぎを覚えました。介護の
 果ての看取りは、喪失感と安堵感の入り交じった複雑な
 ものがあると思います。そういうなかで、次は我が身と
 思う気持ちには、なにかさみしいものを感じてしまいま
 した。
2 小幡
(144)   背泳で触れたる手先八十路かな           秋元28
(145)   残り日々いかに生きるか重き問ひ          深瀬18
1 秋岡  重い句だと思います。ずしんと胸に来ます。
(146)   母偲ぶ 四十九日に 姉妹なし           野澤05
(147)   ゴルフ道道具にかけるわが命            秋元21
(148)   安倍君の嘘付番付日本一              中島07
(149)   父母の遺志 継いで残った ローンかな       野澤04
1 野口
(150)   ふと見れば老いの装い足元に            秋元25
(151)   人間の言葉意識を客観化              深瀬21
(152)   丹田に入らぬ力ミスショット            秋元19
(153)   安倍君は国会内の放射能              中島06
1 志方  除染しなっくちゃ
(154)   円安の恵み偽る日本買               秋元35
(155)   死に向かい安逸願ひ俳句詠む            深瀬23
(156)   尖閣の意趣返しか日本買              秋元34
(157)   どう生きてどう死ぬか問ふ老後日々         深瀬19
(158)   チリワイン飲めば飲むほどはまり込む        秋元27
1 野口


  追記
  選句にあたってのみなさんからの一言です。
  参考になるように思いましたので、無断ですが、掲載させていただきました。
順不同です。
・中島さん
  やはり理解でき共感できる観点からです。
・橋本さん
  力作多く困りましたが、以下の七句を選びました。
・野澤さん
  引っ越し先の関係でメールアドレスを換えました。
  今回の選句は番号のみでコメント無しで申し訳ありません。
・治部さん
  皆さん上手で恐れ入りますね。
  次は、自分も頑張ります。
・中津川さん
  初めて選句してみます。
  すごい数ですね。頭が混乱します。
  読んでみてふっと情景が浮かんだ句を選んでみました。
・柳町さん
  皆さんとても上手なので選ぶのに苦労しました。
・吉良さん
  絵画的で、感傷的な俳句を好むため毎回同じような傾向になっているかもし
れません。宜しくお願いします。
・秋岡さん
  奥の深い、味わいのある句ばかりで、なかなか選句するのも難しいのですが
、共感するというただその一点から以下の7句を選句させて頂きました。
・志方さん
  新メンバーも加入されたようで、一気にれべるが高くなったようで、アマチ
ア野球に大リーガーが入ったみたいです。選句に苦労します。俳句として洗練
されているかはどうかとして、自分の感性に響くかどうかで選んでみました。
・澤藤さん
  今年も季節の移ろぎを静かに穏やかに感動しました。
  春の美しさを詠んだ三句を選びました。
・野口さん
  感想 現在は時々、指を折って、5・7・5に入るか試している最中です。
とても季語などは知らず、川柳から入ろうかなと思っております。兼題をいた
だければ何とかなるかな。
  情報 チリワインでアルパカの商品名が安くておいしいそうです。小生はフ
ランジア、一本やりです。
・鳥海さん
  今回は、秋元さんのお蔭か?数が多い気がします。
  さっさと選句をしてしまいました。
 レベルの高い句は選んでいません。私のレベルに近い共感出来る句を選びま
した。
・林さん
  次回、川柳を3~4出します。
 (とのことであったので、選句に参加しませんか、とお誘いしたところ)
  小生に可能なのは、自虐的な川柳しかありません。
  妻からみか病気からみか老い絡み以外はありません。
  今回はメガネが面白いと思いました。この程度ですがよろしいでしょうか?
・土川さん
  米国ノースキャロライナより。
・秋元さん
  五感に訴える句を選びました。
・小野寺さん
  選句はしてあったのですが、選句に対する自分のコメントが遅れました。先
ほどまでスペインのおやじ達との交渉が長引き、いつも締切ぎりぎりですみま
せん。ご容赦下さい。
  絵画の発表もそうですが他人の目にさらすということはより厳しく 己をみ
つめなおすことにもつながり、おろそかに作品をつくれなりますね。
 追伸  6月7日(日)~13日(土)、有楽町の交通会館一階のパールルー
ムにて会社時代の先輩に母が特別参加して個展を開きます。案内状ができたら
七句会のメンバーにもご紹介くだされれば幸甚です。

  以上



2015年2月11日水曜日

第十一回の七句会の選句結果をご報告いたします。

 七句会のみなさま
 第十一回の七句会に参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
  今回の5 点句から3 点句は、下記のようでした。
 5 点句
(076)  夢追いて戦後の日本われら駆け             深瀬02
 4 点句
(045)  触れもせず 小百合の寝顔 朝陽さす          志方07
(101)  寒稽古面の内より女児の声               土川03
 3 点句
(006)  蝉しぐれ 逝く夏の日に 夢も過ぎ           小野寺08
(008)  夢萎えて 星降る夜に 寒さ知る            柳町01
(031)  お正月初孫抱いて夢ごこち               深瀬01
(040)  紅き薔薇 群青に咲く 夢一夜(ひとよ)        小野寺02
(083)  夢に見て夢で終わるかパープレー            治部02
(095)  凧ひとつ夕陽と富士背に空高く             深瀬16
(100)  木枯らしに 耐えて弧空に 残り柿           志方08
(103)  石垣や 師走の古道 百合一輪             橋本05
(105)  一年の無かりしやうに鶴立てり             土川01
(108)  安倍晋三 オレオレ詐欺と 何処違う          中島03
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人
の名前とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付
します。
  次回については、4 月上旬ころにご連絡したいと思っていますので、
よろしくお願いいたします。やり方について、ご意見がありましたら、
ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 新たな参加 (予定) 者のご紹介
 今回から秋岡さんが選句に参加されました。次回からは投句にも参加
される予定です。また、野口さんと宮澤さんの参加意向がありましたが、
具体的な参加は次回以降ということになりました。三人の方の簡単なプ
ロフィールは、下記の通りです。
・秋岡稔さんは、阪大経済を卒業され、川崎重工で長谷川さんとお仕事
をし、本社の財務本部長を務められました。ゴルフの霞光会のメンバー
です。駒東11回生相当です。
・野口眞佐 (しんすけ) さんは、早大政経を卒業され、川崎重工で長谷
川さんとお仕事をし、営業& 資材部長を務められました。現在、午前中
はアルバイト的な仕事をされ、さらに、NPO で環境ベテランズファーム
 (略称EVF)に参加され、毎月環境 (広く解釈して) に関する見学会、セ
ミナーを行っておられます。
・宮澤猛さんは、東工大を卒業され、橋本さんと同じIHI に勤務されま
した。霞光会のメンバーです。駒東 6回生相当です。
(2) 兼題の募集について
  橋本さんから、兼題をみなさんから一人5 つほど募集し、各会の兼題
はそのなかから適宜、2 つ程選定してはどうか、というご提案がありま
した。事務方としては、このご意見には大賛成です。
 つきましては、3 月27日 (金) までに、事務方まで送っていただけれ
ば幸いです。
  なお、兼題は、一般的に季語そのものとすることが多いですが、必ず
しも季語である必要はありません。季語的な兼題は、4 月上旬ころを意
識したものが好ましいように思います。
  なお、兼題とはなにかについては、下記URL 等を参照願います。
  http://haiku-nyuumon.com/article/155219160.html
  http://www.nhk.or.jp/tankahaiku/haiku_tokusen/index.html
(3) 投句や選句の数の公平性について
  投句の数はアンバラスである一方、選句の数は7 句と固定的であるこ
とについて、公平性に欠けるのではないか、というご指摘を受けました。
市井の句会や俳句教室といった指導者 (宗匠) 的な人が行っている句会
では、たしかに、ありえないことのように思います。一方、七句会は、
互いの俳句を通して交流を深めたり、たのしむことを第一義としている
と思います。こうした理解に立ち、当面はあまり句会としての公平性と
いう側面にはこだわらず、現状の感じで進めたいと思っています。その
他ご意見があればよろしくお願いいたします。
  2015.02.11
      代表   橋口侯之介 (休会中)
      事務方 深瀬久敬


   兼題句  夢 (兼題「凧」ももつものを含む。)
(001)  今どきは、悪夢もなしに隙な秋             小幡04
(002)  渾身の 冬薔薇の紅(あか)夢となり          小野寺03
(003)  今年こそ 年始の夢を 叶えるぞ            鳥海03
1 古川
(004)  ゲバ棒とヘルメットの夢冬の空             深瀬13
1 鳥海
(005)  雪の朝 老いさばらえて 夢を追う           柳町03
(006)  蝉しぐれ 逝く夏の日に 夢も過ぎ           小野寺08
1 秋岡
2 志方  完成された秀作だと思います。
3 森
(007)  正月に 夢追いかけて 冬しぼみ            鳥海01
(008)  夢萎えて 星降る夜に 寒さ知る            柳町01
1 吉良
2 森
3 橋本
(009)  薔薇匂う 夜明けの空に 夢むすび           小野寺14
(010)  昇龍の中国の夢空おおう                深瀬11
(011)  富士さんと 風切る凧に 夢かける           中島01
1 古川
(012)  星月夜 轍(わだち)遥かに 夢のあと         小野寺16
1 吉良
(013)  また、一つ消え失す青き春の夢             小幡01
1 志方  若いときには、夢がたくさん実現したのか、泡
ときえたか?
2 橋本
(014)  子や孫の夢が叶うが老いの夢              治部01
1 柳町
(015)  夢叶え と叫ぶわが身の 侘しさよ           柳町02
(016)  初雪や 軌跡を残し 夢紡む              吉良03
1 吉良
2 小野寺  初雪の語感が美しい。
(017)  待ちわびて 夢み心地の 伏し睫毛           小野寺12
(018)  消え失せた  思いや夢を今一度             小幡02
1 古川
(019)  もろともに 生きよと 夢の旅支度(じたく)      小野寺20
1 柳町
(020)  偶然と 思いで出会う 夢景色             橋本02
(021)  夢枕  睫毛の奥に 冬の薔薇             小野寺13
(022)  初詣 夢を願いて 幾年か               鳥海02
1 橋本
(023)  冬夜寒 夢見るがごと 星ながれ            小野寺17
1 吉良
(024)  自由とな 紐付き凧や 夢の夢             中島06
1 小野寺  空に舞う凧に己の気持ちをこめていて楽しい。
(025)  夢にまで追いかけし恋枯れすすき            深瀬07
1 澤藤
(026)  僕の夢 いつも裏切る 年の暮れ            鳥海04
(027)  木枯らしや 夢去り独り 北の海            小野寺19
1 志方  風の冷たさと夢の対比がすぐれていますね。
(028)  僕がヒーロー、夢物語の夢をみた            澤藤02
1 古川
(029)  新年に 毎年同じ 夢願い               鳥海09
1 治部  毎年叶う小さな夢に感謝しつつ、なかなか叶わ
ない大きな夢をあきらめない様子がわかります。
(030)  髪ときし 夢まぼろしの 夏の宵            小野寺10
(031)  お正月初孫抱いて夢ごこち               深瀬01
1 治部  孫は夢を見させてくれますね。このここちよく
解ります。
2 鳥海
3 橋本
(032)  初詣 夢夢夢に 輝りかえる              吉良02
1 古川
2 治部  活気のある初詣。毎年エネルギーをもらいます。
(033)  小春日に甘き夢みて老いもせず             澤藤01
1 治部  いつまでも忘れることなく若々しくありたいも
のです。
2 小幡
(034)  ひとしれず 逝くときは皆 夢一期           小野寺23
1 深瀬 辞世の句には「夢」がよく使われています。人
生は夢のようなものだとする日本人的意識があるようで
す。「~皆  夢一期」はどう解釈するのか迷いますが、
大乗仏教的な示唆があるのでしょうか。
(035)  年初め それでも僕は 夢をみる            鳥海06
1 古川
(036)  六十路朝「いつでも夢を」口ずさむ           深瀬03
1 土川  あれから50年、この歌の軽快さと吉永小百合の
すがすがしさは変わりませんね。
2 中島
     大きな夢に挑戦する苦難の山道も、良き友人達と登れば
     必ず達成し、紅葉に彩られ、整った山の様になる。山整
    うが季語です。大事を成さんと欲するならば、年老いて
     も青年でなければならない。青年は夢に生き、老人は回
     想に生きる。
(037)  夢を追い 友と登りし 山整う             杜瑯01
1 古川
2 秋岡
(038)  北風や戦後を埋めし夢の島               土川04
(039)  年の暮れ 正月の夢 裏切られ             鳥海05
(040)  紅き薔薇 群青に咲く 夢一夜(ひとよ)        小野寺02
1 志方  夢と色彩の表現が見事にマッチ
2 深瀬  群青の空を背景に紅き薔薇が咲いているのでし
ょうか。そうすると夢一夜の雰囲気とややずれますが、
群青と紅い薔薇とが、なにかシュルレアリスム的な雰囲
気を強く醸しだしているのにひかれました。
3 森
(041)  移民船夢満載し未知の国                深瀬05
1 土川 いつの時代もその人たちは決して幸せではなか
ったと思いますが、新しい時代を作りました。今の若者
が海外に行きたがらないのが心配です。
(042)  海鳴りの 底にたゆとふ 碧き夢            小野寺07
1 吉良
(043)  軍刀の叔父の遺影や夢無惨               深瀬08
1 小幡
(044)  寒き冬夢なき夜をもて余す               小幡05
    究極の妄想といえる夢。
(045)  触れもせず 小百合の寝顔 朝陽さす          志方07
1 治部  この小百合さんとは、あの小百合さんですよね。
考えすぎですか?
2 中島
3 小野寺  妄想でも微笑ましい。人間恋する気持ちが大
事かも。
4 橋本 幾つぐらいの小百合ちゃんなのでしょうか
(046)  みはるかす 銀河の夢に 身をゆだね。         小野寺22
1 柳町
(047)  お年寄り 介護なしでと 夢同じ            鳥海10
(048)  土地バブルすすき野原の夢の跡             深瀬06
1 澤藤
(049)  孫の夢 空にとどけと 凧が舞う            吉良04
1 小幡
(050)  冬薔薇の大輪の色 夢に似て              小野寺01
1 澤藤
2 秋岡
(051)  切れ凧や 風を捉えて 夢運べ             古川02
(052)  あす発つと 夢の彼方に 枯れ野かな          小野寺25
1 志方  寂寥感がしみじみと訴えかけます。
(053)  正月の 夢追いかけて 年末に             鳥海07
(054)  冬薔薇の いのちまといて 夢に咲き          小野寺04
(055)  ふと目覚め昼夜わからず夢ごこち            深瀬04
1 澤藤
(056)  夢遥か ふと来し方の 蓮華草(れんげそう)      小野寺05
1 吉良
(057)  軍靴鳴り学徒出陣夢凍る                深瀬10
1 鳥海
(058)  夢のごと さりにしひとの 眉の影           小野寺15
(059)  夢のごと白黒テレビ家族で見              深瀬12
(060)  齢重ね 夢で覚めるは 希有となり           橋本01
1 中島
(061)  孫生まれ 成人式は 無理な夢             鳥海08
(062)  玲瓏と 夢黒髪の 風に舞ひ              小野寺11
1 土川 やはり黒い柔らかい髪が一番ですよね。香まで
伝わってきます。
2 柳町
    夢に落ちて流され溺れたところで                 
(063)  夢から醒めて、夢夢夢の我が人生            澤藤01
(064)  鹿島立ち 夢の実現 目指す道             古川01
(065)  東雲に(しののめ)に 蟷螂夢を しまいけり。     小野寺21
1 深瀬  明け方、朝日が昇りだすころ、緑色の蟷螂 (か
まきり) がじっとして、そろそろ草むらのなかにでも引
き上げようとしているのでしょうか。これだけで、なに
か幻想的な物語風的世界であり、強く印象に残りました。
    かって日本人の品格は嗜みと謙虚さで、それが美しい日
    本の原点のような気がしておりました。そんな風格と真
    逆な総理の顔をみていると、新年の酒がまずくてなりま
    せん。少し政治的な句になりましたがご容赦下さい。以
    下6 句。
(066)  管底に 沈む空夢、いつ浮かぶ             志方01
1 中島
(067)  夢の夢 津々浦々に 届けます             志方02
1 小幡
(068)  当たり前 タコ糸きれて 宙に舞う           志方03
1 澤藤
(069)  空手形 どこまで出せば 気が済むか          志方04
(070)  心臓に つける薬は 鎮静剤              志方05
(071)  孫と飲む 夢の実現 果たせるか            志方06
1 治部  前向きですね。小生もこの夢いただきます。
(072)  微笑みて 銀河の果てに 夢を置き           小野寺24
1 志方  壮大な構図ですね
(073)  初夢やクラウドついに神になり             深瀬14
(074)  政治家は 原発の夢 追い続け             鳥海11
(075)  夢なかで 夢また夢の 万華鏡             中島07
(076)  夢追いて戦後の日本われら駆け             深瀬02
1 澤藤
2 秋岡
3 鳥海
4 小野寺  われわれの足跡でもありました。遠くきたも
のです。
5 橋本 若かりし頃は仕事に夢がありました
(077)  夢遠く はろばろと 銀河ながれをり          小野寺18
(078)  初夢を 見ることもなき 皺数う            吉良01
(079)  初夢を見ずに今年も動き出し              水谷02
(080)  雑音に夢声の語り蒲団中                土川05
1 深瀬  兼題の「夢」が徳川夢声の夢とは戸惑いました。
吉川英治の宮本武蔵は、日本人の精神的原風景でしょう
か。子供のころは、雑音の多いラジオドラマにひきこま
れていました。
(081)  逝く春や ひと恋しとて 夢に哭き           小野寺09
1 柳町
(082)  軍歌聞き帝国の夢再吟味                深瀬09
(083)  夢に見て夢で終わるかパープレー            治部02
1 中島
2 鳥海
3 橋本  相当ハードルは高い夢ですね、私の夢はエージ
シュートですが
(084)  ほととぎす 夢のかなたの 夏木立           小野寺06
  兼題句  凧
(085)  いくほんも空にカテナリー凧の列            深瀬15
1 土川 凧糸に注目し、天から幾筋も垂れている描写は
新鮮で広がりを感じます。
(086)  安倍の凧 アメに煽られ 迷走か            中島05
(087)  凧の糸 切れたと言われ 俺凧か            鳥海12
1 森
(088)  飛行機を 凧を翻弄 乱気流              橋本03
(089)  真夏日に二人で上げた恋の凧              小幡06
1 深瀬  真夏の凧が全く破天荒な感じです。若き頃の奥
さんとの想い出なのでしょうか。周囲のことなど気にし
ない若さゆえの特権が大胆に詠まれていると感じました。
(090)  凧上げに 喜ぶ息子 思い出し             鳥海13
1 小幡
(091)  凧と指 阿吽の呼吸 糸介し              古川03
(092)  ゴルフ凧 今年は何処に 舞い落ちる          中島02
1 鳥海
(093)  春の空輝き乗せたヤッコ凧               小幡03
(094)  見上げれば風を孕んで昇る凧              水谷01
(095)  凧ひとつ夕陽と富士背に空高く             深瀬16
1 土川 絵ハガキのようにきれいな表現です。
2 柳町
3 志方  陰影が脳裡に浮かびます。
  自由題句 (有季語)
(096)  我が脚も 木立になりぬ 落陽射し           橋本04
1 澤藤
2 中島
(097)  耳掻けば海底の音冬籠                 土川02
1 小野寺  耳と海底の音の対比が軽妙。
(098)  街頭のビンに活けたる菊の花              深瀬17
(099)  庭菜園 鳥害糞害で 冬休み              橋本07
(100)  木枯らしに 耐えて弧空に 残り柿           志方08
1 秋岡
2 柳町
3 森
(101)  寒稽古面の内より女児の声               土川03
1 秋岡
2 治部  女子が強くなる所以ですかね。男子ガンバレ。
3 中島
4 小幡
(102)  湯にひたり顔をぬぐいて除夜の鐘            深瀬20
       紀州路・熊野古道を師走に訪ね以下2 句。
(103)  石垣や 師走の古道 百合一輪             橋本05
1 秋岡
2 深瀬  師走とはいっても石垣のならぶひっそりした古
道で、色彩豊かな一輪の百合の花に目をとめている作者
の姿には、なにか異次元的超越が感じられました。
3 小野寺  しみじみとした絵のような情景が浮かびます。
(104)  紀州路は みかん梅柿 迎えをり            橋本06
(105)  一年の無かりしやうに鶴立てり             土川01
1 吉良
2 深瀬  鶴が川辺かどこかで餌をついばんでは、じっと
立っている姿には、静寂と落ち着きを感じます。人間社
会は、今や秒単位で追われています。人間は、自然界か
ら追放された存在になってしまったのでしょうか。
3 小野寺  鶴の飛翔にかけた息災がいい得て妙です。
  自由題句 (無季語) 、川柳
(106)  晋三くん 国会詐欺で なに褒賞            中島04
(107)  漆黒の月平線に蒼地球                 深瀬18
(108)  安倍晋三 オレオレ詐欺と 何処違う          中島03
1 志方  まさに痛快な川柳
2 小幡
3 鳥海
(109)  弧を描く地球見おろすステーション           深瀬19
  以上

 追記
 選句における全体的なコメットとしては、下記のようなものがありま
した。鳥海さんの訂正、橋本さんの兼題募集については、踏まえました。
・澤藤さん
 60才半ばを過ぎると、「夢」はどうしてもアズナブールの「過ぎ去り
し青春」と同義語になってしまいます。私だけでしょうか?
・土川さん
 好きな句だけを選びました。7句には足りませんがご容赦ください。
・秋岡さん
 共感する句という観点から下記の句 (選句表参照) を選びました。小
生も勉強します。また自由句では下記の句 (選句表参照) が感じ入りま
した。
・治部さん
  夢というお題は難しかったですね。夢はしぼむもの、壊れるものとし
て詠まれたものが多かったと思います。中でも前向きな句を選びました。
次は小生も頑張ります。
・柳町さん
  皆さん上手で選ぶのが大変でした。2 年前からPSA の値が高くなり、
昨日の診察でついにMRI を撮りましょうと言われました。いよいよ本格
的な老化が始まったのでしょうか?? 歳はとりたくないですね。
・志方さん
  夢という主題はそれぞれに各自の思いがつまり秀句が多いようで、評
価に苦慮します。我々年代にはどちらかというと、バラ色の色彩をもつ
夢が少ないようです。
・吉良さん
 いつもにわか仕事になりますが、選句しました。高齢期に入り皆それ
ぞれの思いが伝わる句でした。
・中嶋さん
  いつも通り分かり易く共感できる句を選びました。
・小幡さん
  今回は、季語が無いものが多く、今一納得が…、  自分がステレオタ
イプなのが残念です以下選句しました。
・鳥海さん
  私の(061) は、ミスでした。「初」ではなく、「孫」でした。最初「
初孫」で作ったのを直す際ミスしました。慌てて作るとミスしますね。
・橋本さん
  なお、兼題の件ですが私は素人なので、何か決まり事の様なものがあ
るようでしたらそれを提示して頂いたうえで、皆様から一人5 つほど募
集してみる案などは如何でしょうか。各回の選定( 2つくらいまで) は
お任せ致します。
・野澤さん (選句時ではありませんが、ご連絡をいただきました。)
  何句か詠んだものがありますが,母の様態が悪く整理できていません。
今回はパスさせて下さい。
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