2016年11月6日日曜日

七句会 第十八回 選句結果

 七句会のみなさま
 第十八回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
 5 点句
(072) 秋の陽と雲切り取りし水たまり            深瀬
  4 点句
(001) 夢何処酒杯に映る山紅葉               秋元
(033) 酔ふほどにうさの晴れゆくおでん酒          豊
  3 点句
(008) 朝の陽を 浴びて 深酒悔やみけり          小野寺
(024) 献杯に 逝きし友への 刈穂かな           志方
(042) 孫はさみ妻と散歩の秋の夕              深瀬
(049) チャンバラもめんこも遠き昭和かな          豊
(052) かくれんぼ隠れしままに朧月             豊
(058) 遊ぶ声 響かぬ団地や 法師蝉            中津川
(069) もみじ葉の散っては流る万華鏡            深瀬
(086) 木漏れ日を まとひて紅し 彼岸花          小野寺
(094) 風に舞う 金木犀の 香りかな            藤原
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人
の名前とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付
します。
  次回については、来年 1月上旬ころにご連絡したいと思っていますの
で、よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありま
したら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
 今回の選句には、下記の15名が参加しました。
  秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、小幡さん、吉良さん、志方さん、中津川
さん、野澤さん、橋本さん、藤原さん、宮澤さん、森杜瑯さん、柳町さん、豊
さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた勉強会について
 今回の句会の結果を踏まえて、顧問の豊さんを囲む感じで、次の要領で、勉
強会を行いたいと思っています。参加される方は、11月中旬ころまでにご連絡
をお願いします。
・日時   11月30日(水)17時~19時
・場所    喫茶室ルノアールニュー新宿3 丁目店
  http://standard.navitime.biz/renoir/Spot.act?dnvSpt=S0107.121
・費用    一人1,000 円前後 (予想)
  2016.11.06
      代表   橋口侯之介 (休会中)
      顧問  豊  宣光
      事務方 深瀬久敬


  1.兼題  酒
  
(001) 夢何処酒杯に映る山紅葉               秋元01
1   吉良
2   中津川
3   藤原
4   小野寺
(002) いつまでか 酒を交わして 友と我          吉良04
(003) 昼ビールゴルフ迷走秋の雲              深瀬10
1  宮澤
(004) 宵待月 酒酌みし女 (ひと)  夢枕          小野寺21
1  秋元
(005) 酒ありて 友ありて 夜長宿             中津川04
1   橋本
(006) 酔い暮れて月見の酒に想う秋             秋岡05
(007) 初ものの地酒ようやく封を切る            橋本01
1   志方
(008) 朝の陽を 浴びて 深酒悔やみけり          小野寺15
1   橋本
2   秋岡  何度経験してもまたやってしまうんで
    すよね。
3   宮澤
(009) 眼を閉じよ 新酒かおり 秋夜なが          吉良03
1   柳町
(010) ワイン飲み夜更けのテレビ居間ひとり         深瀬11
(011) 木樽から 琥珀に映える 新酒かな          志方05
(012) すすき野を酒ぶらさげて流浪びと           深瀬08
(013) 利き酒の盃重ね日が暮れる              秋岡03
(014) やけ酒も 遠い昔の 秋左遷             中津川02
      孫からお酌をしてもらうその日が来るのを期待して--
      -。無理かな????
(015) 孫の手の猪口に染みいるうまし酒           柳町03
1   志方
(016) 朋ありて 薬缶 (やかん) で 酒を沸かし日よ     小野寺11
(017) 呑まずとも  肴嗜む  秋の宵             野澤01
1   橋本
(018) なんとなく秋の夜長に酒を飲む            小幡02
1   秋岡  何となく酒を呑みボーとしているのは、
    暑さから解放された秋の気分ですね。
2   宮澤  酒好きが酒を兼題として選句すると、
    実体験として’同感’度の高い句を選んでし
    まいます。「中七」を‘春のどかにて’、’
    夏汗ばみて’’冬のこたつで’と替えれば1
    年中使えるのが良い。
(019) 下心  見え隠れする  甘い酒             野澤02
(020) 囲碁終えてみなで酒飲む秋の夜            深瀬12
1   藤原
(021) 酒なくて何の楽しき年の暮              豊02
1   秋岡  四季折々、健康で酒を楽しく飲めるの
    はやっぱり幸せです。特にサラリーマン時代
    は、年の暮はよく飲みました。
(022) のどかなり公園の桜ひとり酒             橋本02
1   吉良
2   小幡
(023) 秋寂し友ありてこそ美味き酒             秋岡06
1   柳町
2   秋元
(024) 献杯に 逝きし友への 刈穂かな           志方04
1   柳町
2   野澤  「酒」38句のなかで唯一心情が理解
    できる句でした。 (注。野澤さんはお酒は飲
    まれません。)
3   小野寺
(025) 暑さ去りふとため息の独り酒             秋岡02
(026) しやわせは一杯のさけに虫のこえ           小幡03
1   深瀬  幸福論、GNH 、等の議論もありますが、
  老化を実感する最近、こういう心境や境遇に
  も、共感を感じます。
(027) 宵の酒 友と飲み干す 月明り            吉良05
(028) 風呂上がり遊び疲れて缶ビ-ル            小幡01
(029) 酔ひまわりどぢょうすくひの秋の夜          深瀬09
1   豊  「酒」という題はさすがに皆さん作り
  やすかったようですね。それぞれに酒への愛
  着が詠まれていますが、とくにこの句にはユ
  ーモアを感じました。
(030) バッカスの 微笑み満ちて 酒かわす         吉良02
1   深瀬  飲み会の後、どうでもいいことを大げ
    さに言って顰蹙を買ったのでは、と後悔する
    ことがよくあります。「バッカスの微笑み」
    に、なにかそういうものを感じました。作者
    の意図と、全く違うかもしれません。
(031) 涙ため満月の夜濁り酒                秋岡04
      下流から冷たい風が吹きあがり飲みながらの川下りでし
    た
(032) 酒いも煮 歌もさかなに 最上川           中津川03
1   橋本
(033) 酔ふほどにうさの晴れゆくおでん酒          豊01
1   志方
2   中津川
3   秋岡  おでん酒は憂さが晴れるのですね。今
    度やってみます。
4   小幡
(034) 秋の夜を 語り尽くせぬ 濁り酒           小野寺20
1   秋元
(035) 酔うほどに 白髪見ゆる 濁り酒           吉良01
(036) アラ古希のゴルフと酒の楽しさよ           橋本03
(037) 新蕎麦を酒の肴にもう一献              秋岡01
1   中津川
2   豊    かなり酒通、酒好きの方とお見受けし
  ます。いい日本酒を揃えた蕎麦屋は、蕎麦も
  おいしいはずです。
(038) 男厨や 秋刀魚の匂い 盗み酒            中津川01
    2.兼題  遊び
(039) 群れ遊ぶ 山寺の句碑 赤とんぼ           中津川05
1   藤原
2   小野寺
(040) 「ジィジィ」と孫にひかれて砂遊び          柳町01
1   豊    孫と遊ぶ句がほかにもいくつかありま
  したが、お孫さんのかわいい動きが感じられ
  たので、この句を選びました。
(041) カルタ取り  孫を相手に  負け戦さ          野澤04
(042) 孫はさみ妻と散歩の秋の夕              深瀬02
1   柳町
2   小幡
3   野澤  ほほえましい光景が目に浮かぶ句です。
(043) 林間に 吹く風あそぶ 落ち葉かな          志方02
1   吉良
2   深瀬  落ち葉が、林のなかをざぁっーと風に
    吹かれていく光景が鮮明に思い起こされまし
    た。
(044) 遊ぶほど寂しさ募る老いの秋             秋岡07
1   宮澤
      大好きな山登りも、年を重ねると苦行になりますね!!
(045) 山登り「遊び」のはずが超苦行            柳町02
1   小幡
(046) 夏休み ゲーム機にらみ 詰将棋           中津川07
1   藤原
(047) 遊々のはずの老後をうつ襲う             深瀬06
1   小幡
2   野澤  来年は我々も古希を迎える歳になりま
    す。悠々自適と思っていたら,自身あるいは
    家族に突然病が襲ってくるのでしょうか・・・
(048) 夕立や鬼と遊ぶよ楽しけれ              小幡04
(049) チャンバラもめんこも遠き昭和かな          豊04
1   志方
2   柳町
3   野澤  今の時代の遊びはハイテクで本当に昭
    和の遊びが懐かしく感じます。
(050) 秋の陽に遊休施設仁王立ち              深瀬04
(051) プラレール 孫の遊びは 限りなく          志方01
(052) かくれんぼ隠れしままに朧月             豊03
1   志方
2   吉良
3   小野寺
(053) 預かった孫と遊びし秋の夕              深瀬01
(054) 清流や変わらぬ親子の川遊び             橋本04
(055) 孫とする  テレビゲームで  カエルの子        野澤03
(056) 東山哲学の道を遊歩する               小幡05
(057) 成果主義卒し遊びの秋の日々             深瀬03
1   中津川
      団地の高齢化がすすんでいます
(058) 遊ぶ声 響かぬ団地や 法師蝉            中津川06
1  森
2   秋岡  最近こんな風景をよく見るようになっ
    た気がします。
3   宮澤  年をとり、遊ぶとなると、自分の遊び
    でも、子供の遊びでも昔を思いつつ、カウン
    トダウンを意識してしまいます。
(059) 秋散歩また遊休地ひとけなく             深瀬07
1   豊    散歩の途中で遊休地を通った。秋の寂
  しさのためか、人がいない。「また」という
  表現が雰囲気をうまく伝えています。
(060) 夕映えに 風にあそびて 彼岸花           志方03
1   柳町
2   小野寺
(061) 釣り人の近くでボラの跳ね遊ぶ            橋本05
(062) 湖畔行くもみじに染まる遊覧船            深瀬05
1   橋本
2   秋岡  関西では必ず琵琶湖の風景がニュース
    になります
    3.雑詠 (含、川柳)
(063) 故郷は 車窓の彼方 夜が明け            小野寺09
1   深瀬  子供のころ、両親と夜行列車で秋田に
    帰郷しました。山形の板谷峠あたりで夜があ
    け、両親が神妙な顔をしていたのを思い出し
    ます。
(064) 朝の森向こう明々こちら日暮し            橋本07
(065) 透きとおる 台風一過 月あかり           藤原01
1   豊    きれいな句です。台風一過の雲のない
    夜空に月が光っている。「透きとおる」がう
    まい。
(066) 逝く夏や 墓標の如く 芒 (すすき) 満つ       小野寺04
1   秋元
(067) 秋涼に  便りを託す  友ありき            野澤07
(068) 虹架かる くぬぎの香り 通り雨           小野寺17
(069) もみじ葉の散っては流る万華鏡            深瀬18
1  森
2   吉良
3   宮澤
(070) 秋雨の途切れて清し鰯雲               橋本06
1   柳町
2   小野寺
(071) 昏き森 祠 (ほこら) に白く 曼殊沙華        小野寺05
1   秋元
(072) 秋の陽と雲切り取りし水たまり            深瀬16
1   志方
2   中津川
3   豊    雨上がりの水たまりに太陽と雲が映っ
    ている光景でしょうか。目の付け所がユニー
    クです。
4   橋本  上手いですね、公園でしょうか、田舎
  の田圃道かな
5   小野寺
(073) 秋灯に背表紙そろふ書棚かな             豊05
1   中津川
2   深瀬  最近は本棚の本を取り出すことはほと
    んどないのですが、背表紙が揃っているか、
    気になることがあります。
(074) カッコウの こだまとなりぬ 夏木立         小野寺10
(075) すすき野や過疎化の波の置きみやげ          深瀬14
1  森
(076) 便りなき  友を気遣う  秋の夜            野澤09
1   退職した後の秋の夜長は、友を思う秋でもあ
    りますね。
(077) 華やかに 灯籠流れ いのち 問ふ          小野寺18
(078) 朽ちはてし墓標の下のきりぎりす           豊06
1   小幡  特に共感しました。当家の墓は寂れた
  ところにあり、まわりには参る人もなく、傾
  いた墓石が二三ある。秋には、それこそキリ
  ギリスが跳びはねそうなところです。
(079) のどかなる 夕日に映える いわし雲         藤原02
1   野澤  素晴らしい人生を送られる方の詠まれ
    た句なのでしょうか。穏やかな気持ちが伝わ
    ってきます。
(080) 赤蜻蛉 消えにし生命 (いのち) 乗せて飛び      小野寺19
1  森
      青春のかけら三題
(081) 胸ゆする 青春挽歌 なおあつく           森01
1   藤原
(082) 青春や 灯下の夢に 女郎花             森02
(083) 青春の 消えゆく灯り 祭りの音           森03
(084) かそやかに 水引き草に 秋渉る           小野寺06
1   野澤  私などにはとても詠むことのできない
    高尚な句に思われます。これぞ俳句と教えら
    れます。
(085) 大川に往きかう屋形江戸の夢             秋元03
(086) 木漏れ日を まとひて紅し 彼岸花          小野寺07
1   志方
2   吉良
3   秋元
(087) 月あかり廃屋の屋根漏れこぼる            深瀬13
1   中津川
(088) 夕菅や 日暮れて 蒼き闇に咲き           小野寺01
(089) 雨の日も  コスモスに水  孫娘            野澤06
1   小幡
(090) 秋蝶はくぬぎの幹に 息を吐き            小野寺13
(091) 秋涼に  耳を澄ませど  便りなし           野澤10
1  森
(092) 気がつけばデパート売り場秋の色           深瀬15
(093) 地に落ちて 羽風に揺れ 秋の蝶           小野寺14
(094) 風に舞う 金木犀の 香りかな            藤原03
1   深瀬  金木犀の香りがすると、いつも周囲を
    見回します。沈丁花とともに、あの花のメッ
    セージ力はすごいといつも思います。
2   宮澤  視覚、嗅覚という五感を感じ取れるこ
    とを大事にしたいと思い選句しました。五感
    が衰えると、酒にも、遊びにも興味を失くし
    てしまうので、大事にしたいと思います。
3   野澤  一年前には我が家にも金木犀があり,
    その香りがとても懐かしく感じられます。
(095) 早朝の川鵜鷺鴨食事会                橋本08
(096) 秋の夜に 野の花生ける 女 (ひと) のあり      小野寺22
(097) 秋寂し愚妻の指にふと触れる             秋岡08
1  森
(098) 静寂を 破りて 古都の 朝が明け          小野寺16
1   秋元
(099) さざ波に燦めく陽射し朝の夢             秋元02
(100) 蟷螂 (とうろう) の斧力尽き 冬化粧         小野寺12
1   吉良
2   豊    「蟷螂の斧」とは、文字通り「カマキ
    リの斧」のことでしょうか。それとも「自分
    の力の弱さの象徴」として使っているのでし
    ょうか。私は素直に「カマキリの斧」と理解
    して、カマキリの命が力尽きたとき、野は冬
    化粧の季節になった、と解釈しました。カマ
    キリと冬化粧の取り合わせが一つの世界を作
    っています。
(101) 若き日の  思い出つきぬ  秋の宵           野澤08
(102) 色褪せて リンとして咲く 百日紅          志方07
(103) 霧深き 谷川の瀬に 赤蜻蛉             小野寺08
1   深瀬  人気のない谷川に、赤蜻蛉が乱舞する
    さまは、美しさと寂しさが感じられます。(0
    80) と響きあって、そういう思いを強くしま
    した。
(104) 六義園木漏れ陽満つる江戸の秋            深瀬17
(105) 光降る 水面の底を 鮎走り             小野寺03
1   橋本 雑魚は見たことがありますが、やはり
  鮎ですね
(106) 御仏に  安らかなれと  彼岸花            野澤05
(107) 秋の暮れ 雲それぞれに 流れゆく          志方06
(108) 東雲 (しののめ) に鰯雲満ち 朋の逝き        小野寺02
  
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2016年8月6日土曜日

第十七回 七句会の選句結果

 七句会のみなさま
 第十七回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
  今回は、小野寺さんの句がかなり高得点でした。6 点句から3 点句は下記の
ようでした。
 6 点句
(102) 打ち水を またげば 古都の街が暮れ         小野寺
  4 点句
(011) 戦場 (いくさば) に木霊 (こだま) となりぬ 蝉時雨  小野寺
(035) 幼な児が手拍子遅れる盆踊り             志方
  3 点句
(001) 鎮魂の 読経静かに 夾竹桃             小野寺
(010) 終戦日慰霊碑の影濃くなりぬ             豊
(037) 佳き日々へ 熱くいざなう 囃子の音         山田
(043) 夏祭り ほつれし髪の 艶めきて           小野寺
(047) 息をのむ 足もと揺らり 大提灯           中津川
(061) 床に就き耳に響くや阿波踊り             古川
(066) 亡き母とさんさ踊りの遠い夏             澤藤
(068) 夕菅 (ゆうすげ) や 原野 (はらの) の彼方 夏木立  小野寺
(085) 生垣を過ぎる親子の夏帽子              豊
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人
の名前とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付
します。
  次回については、今年10月上旬ころにご連絡したいと思っていますの
で、よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありま
したら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
 今回の選句には、下記の16名が参加しました。
  秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、澤藤さん、志方さん、中津川
さん、野口さん、野澤さん、橋本さん、藤原さん、古川さん、宮澤さん、森杜
瑯さん、豊さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた勉強会について
 今回の句会の結果を踏まえて、顧問の豊さんを囲む感じで、次の要領で、勉
強会を行いたいと思っています。参加される方は、8 月中旬ころまでにご連絡
をお願いします。
・日時   8 月31日(水)17時~19時
・場所    喫茶室ルノアールニュー新宿3 丁目店
  http://standard.navitime.biz/renoir/Spot.act?dnvSpt=S0107.121
・費用    一人1,000 円前後 (予想)
  2016.08.06
      代表   橋口侯之介 (休会中)
      顧問  豊  宣光
      事務方 深瀬久敬


  1.兼題  戦争
(001) 鎮魂の 読経静かに 夾竹桃             小野寺
1   森
2   吉良
3   秋岡  静かに手を合わせ黙するなかで赤白
  の夾竹桃が鮮やかに咲いている。いいですね。
(002) 盆提灯 戦死の叔父と 読経聞く           中津川
1   宮澤  戦後生まれで、写真でしか知らない
  叔父と年1 回会えるのですね。
2   野口
(003) いつの日か 争いの無き世 また一年         吉良
(004) 夏の日に終わりし戦いはや七十年           澤藤
1  藤原
(005) 沖縄戦日差しの中のきび畑              秋岡
1   野口
2   深瀬    息子の連れ合いの父親が沖縄出身で
  あり、その実家は砂糖きび農家のようです。
  ひとごとではないと感じました。
(006) 自爆テロ戰の時期はもうそこに            小幡
(007) 七夕に平和の願い笹に記す              秋岡
1   古川   
(008) リオ五輪 何と戦う ブリックス           宮澤
(009) 父遺し戦争写真セピア色               深瀬
1   志方    戦争を俳句に表現するのは難しいと
  思っておりますが、幼き日々、父の黒いアル
  バムで北支戦線での軍服姿の写真がセピア色
  だったのを思い出しました。
(010) 終戦日慰霊碑の影濃くなりぬ             豊
1   秋岡    終戦後時間が経ち、木々も大きくな
    り、戦後も遠くなってきたというイメージで
    すか。
2   藤原
3   橋本
(011) 戦場 (いくさば) に木霊 (こだま) となりぬ 蝉時雨  小野寺
1   吉良
2   豊      太平洋戦争で南の島に戦死した兵士
    の魂がいま蝉時雨となって激しく慟哭してい
    る。戦争の悲惨をうまく象徴しています。
3   宮澤  蝉時雨が木霊となって鎮魂の読経を
  あげている様子、うるさいはずが静けさを感
  じます。
4   野口
(012) 戦争の狂気滲ます九段線               深瀬
1   秋元
2   橋本
(013) 真夏日や遠のく戦さ無言館              古川
1   小野寺  信州の無言館ですね。画学生の戦争
  に駆り出された無念の思いがひしひしと胸を
  打ちます。
(014) 指輪はめ家庭の平和取り戻す             秋岡
1   野澤    この歳になると家族への思いがとて
    も強くなります。
2   野口
(015) 戦争の 悲しさ薄れ 夏は去り            吉良
(016) 終戦の日置き去りにし山の日か            橋本
(017) 散歩かね 平和を託し 夏選挙            中津川
1   古川   
(018) 戦争を 知らぬ大人の 改憲論            宮澤
1   野澤
(019) 世の中の格差社会が死を招き             小幡
(020) 争いの火種の狂気如何に消す             橋本
(021) 戦争を語れば熱きビアホール             秋岡
1   深瀬    団塊の世代は、戦前派と戦後派の板
  挟みの微妙な立場にいる感じがします。しか
  し、安倍政権は、なにかお友達集団的で大丈
  夫なのでしょうか。
(022) 戦争を  ゲームで学ぶ  平成児            野澤
1   澤藤
(023) 終戦日 今年も来たかと 蝉しぐれ          宮澤
1   小野寺 今の平和は無残に死んでいった英霊
  の人柱としての犠牲にあります。忘れてはな
  らない事と思います。
(024) 戦なき地球に群れる揚羽蝶              豊
1   吉良
2   中津川
(025) やばいぞよ戦さの香りアベノミス           古川
(026) 衣川 戦 (いくさ) 遥かに 蝉時雨          小野寺
1   澤藤
      太平洋戦争末期の南方戦線を想ひ (5 句)
(027) 夏草や髑髏の眼からなにを見る            深瀬
1   宮澤  南方戦線、硫黄島、アッツ島と随分
  方々で玉砕しているが、収容されていない遺
  骨が報われぬまま朽ち果てるのは切ないです。
(028) 夏草を添えて朽ちにし鉄かぶと            深瀬
1   吉良
2   野口
(029) 錆びつきし戦車に夏陽無人島             深瀬
1   中津川
(030) 密林に遺骨眠らす波の音               深瀬
1   豊      これも、戦場で死んでいった多くの
    無名兵士たちを追悼する句になっています。
    「波の音」との取り合わせがいいですね。
2   小野寺
(031) 沖縄の浜埋めつくし阿鼻叫喚             深瀬
  2.兼題  祭り
(032) コンチキチン祇園祭に光る汗             秋岡
(033) 男なら 浴衣着こなし 夏祭り            宮澤
     子どもの頃の宮祭り
(034) 金魚逃げ 破れて悔し 夕社             中津川
(035) 幼な児が手拍子遅れる盆踊り             志方
1   秋岡    なんかよく見るほほえましい光景で
    す。
2   宮澤  未だに音痴なのは、この頃に原因が
  あったのか。
3   野澤    見様見真似で音に合わせて手拍子す
    るお孫さんの仕草が目に浮かびます。
4   野口
(036) 外人も 神輿はやして 夏祭り            吉良
     八王子の街を歩いていたら、祭囃子が聞こえて来ました。
     今は昔、祭りに熱中していた頃を、思い出しました。
(037) 佳き日々へ 熱くいざなう 囃子の音         山田
1   森
2   橋本
3   古川   
(038) にぎわひを逃れてひとり祭りの夜           豊
1   秋元
2   小野寺
(039) 雨上がり夏の夜空の屋台店              秋元
(040) 祭りの日 山車曳く孫の 背を押して         野澤
(041) 白塗りで鈴打ち鳴らし稚児の列            秋元
1   古川   
(042) 友と会い祭りの後の千鳥足              秋岡
1   中津川
(043) 夏祭り ほつれし髪の 艶めきて           小野寺
1   森
2   秋元
3   志方
(044) 夏祭り 孫に手渡す ワンコイン           野澤
1   澤藤
2   志方     (前の043 とともに) 両句とも祭り
  が持つ人と人との繋がりを深める手段が適確
  に表現されています。
(045) 幼子の 祭り着熱く だし車             吉良
     一昨年に行った東北三大祭りを思い出して (3 句)
     青森ねぶた
(046) 収穫 (みのり) 待つ灯籠明 (あ) かく浴衣跳ね     中津川
     秋田竿灯
(047) 息をのむ 足もと揺らり 大提灯           中津川
1   森
2   野澤
3   古川   
     仙台七夕
(048) 大飾り つづく歩道や 星祭り            中津川
(049) まつりの日日頃の仮面酒で捨て            深瀬
(050) 参道の祭り半纏人熱れ                秋元
(051) 祇園祭 (さい) 屋台と人で山車はこず         小幡
1   宮澤  先日、近所に阿波踊りが来ると言う
  ので見に行ったら、もう通り過ぎた後でした。
(052) ひな祭り 娘が継いだ ちらし寿司          野澤
      やっと覚えた踊りでした
(053) 盆踊り やっと輪の中 炭坑節            中津川
1   橋本
2   深瀬    自宅の近くの公園で、毎年、盆踊り
  が行われます。東京音頭、花笠音頭、炭坑節
  のほぼくり返しです。しかし、踊ったことは
  ないと気づきました。
(054) 夏祭り祇園の街に群れる人              小幡
(055) ガス灯に 透ける綿菓子  祭り待つ         吉良
(056) 祭りより浴衣の君が気にかかり            橋本
1   藤原
2   宮澤  イイね、昔から美人に見えるのは「
  夜目、遠目、傘の内」と言うけど、浴衣姿も
  そうだよね。想像力がかきたてられるからか
  な。
(057) 星祭り戦なき世と笹に結う              秋岡
1   小野寺
(058) 宵の町祭囃子に華やぎぬ               豊
(059) 鮮やかに祭りを飾る花火かな             橋本
1   藤原
(060) 祇園山車曳き手の風に気圧されて           秋元
(061) 床に就き耳に響くや阿波踊り             古川
1   吉良
2   橋本
3   深瀬    祭りの喧騒も終わり、寝静まった夜
  中、ふとそれが耳の奥によみがえる体験とい
  うのは、なにか普遍性があると思います。
(062) 盆踊り終わり田舎は秋気配              橋本
1   志方    季節の移ろいのはかなさがうまく表
    現されています。
(063) 夜祭のあやしき気分闇に這う             深瀬
1   森
(064) 双眸に 光湛えて 初節句              小野寺
(065) サマージャンボ 後の祭りの はずれくじ       宮澤
1   藤原
(066) 亡き母とさんさ踊りの遠い夏             澤藤
1   森
2   豊      さんさ踊りは、東北盛岡に伝わる伝
  統的な踊り。毎年八月にはパレードも開かれ
  ます。作者は東北の出身者でしょうか。それ
  とも、旅人として参加したのでしょうか。亡
  きお母さんとの夏の思い出です。
3   野澤
(067) 太陽に生贄のごと夏まつり              深瀬
1   吉良
2   中津川
  3.雑詠 (含、川柳)
(068) 夕菅 (ゆうすげ) や 原野 (はらの) の彼方 夏木立  小野寺
1   秋元
2   吉良
3   中津川
(069) 歳重ね  互い気遣う  夫婦旅             野澤
(070) 稲穂伸び風通り行く夏の田や             古川
1   志方  田舎のありふれた風景が懐かしく表現
(071) 生きていて疑問なかりし夏休み            深瀬
(072) 空蝉の 日暮れの祠 朋は逝き            小野寺
1   野澤
(073) 垣根越し金魚きんぎょの声行けり           深瀬
1   秋岡    最近は金魚売りの声はほとんど聞か
    なくなりましたが、昔はこんな光景もありま
    した。
2   豊      私たちの子どものころ、金魚売は夏
    の風物詩の一つでした。懐かしいです。
(074) 銀漢を 仰げば遥か 時が逝く            小野寺
1   橋本
(075) 夏休みはじめおわりの落差かな            深瀬
     東日本大震災から6年目、一輪の百合が今年は六輪に
(076) あの年に植えし山百合六輪咲             橋本
(077) 稲妻の 雲駆け抜けて 夏来る            小野寺
1   藤原
(078) 意に添わぬ  結果を前に  悪足掻き          野澤
(079) 波濤越え 夜のしじまに 銀河落つ          小野寺
(080) 遠雷に涼をいざなう夏の暮れ             志方
1   秋元
2   野澤
(081) 大花火映して黒き隅田川               豊
1   秋元
(082) みじかかる命ゆったり金魚かな            深瀬
(083) 梔子に思い残して半世紀               志方
(084) 空蝉や 涙で朋を 送りけり             小野寺
(085) 生垣を過ぎる親子の夏帽子              豊
1   秋岡    これもまた夏らしくてほほえまし光
    景です。
2   小野寺
3   深瀬    マンション暮らしが長いと、板塀や
  生け垣で仕切られた空間に郷愁を覚えます。
  親子の夏帽子だけが通りすぎていく眺めに想
  像が膨らみます。
(086) うきくさの黒き根揺らす金魚かな           深瀬
(087) 大文字 旅路の宿に 檜風呂             小野寺
(088) 路地裏に朱きホオズキ佃島              志方
1   中津川
(089) 夏来たり続く余震は早や三月             秋岡
(090) 黒雲や 雨降りたちぬ 白き道            小野寺
(091) 朝日来るカエル泣き止み蝉時雨            古川
(092) 紫陽花の雨にうたれて色深し             深瀬
(093) 蝉時雨 社 (やしろ) の森に 鎮まれり。       小野寺
(094) リンクスのマッチプレイに固唾のむ          秋元
(095) 紫陽花の葉にかたつむりふたつみつ          深瀬
(096) ほの暗き 夜明けに 淡く白椿            小野寺
1   古川   
(097) 闇はない都の夜に蝉時雨               古川
(098) 遠雷の瞬く一筋闇き海                志方
1   小野寺 稲妻と暗い海の対比が美しい。情景
  が浮かびます。 
(099) 渓流の 瀬音 密かに 山女魚 (ヤマメ) 跳ね。    小野寺
1   秋元
2   古川   
(100) 月面のドームの基地に金魚鉢             深瀬
1   豊      ここにも金魚が出てきます。ただし、
    金魚鉢。「月面のドーム」とあるのは、文字
    通り、月面着陸した宇宙飛行士のドームのこ
    となのか、それとも、月面の形をした「東京
    ドーム」のことなのか。月面の宇宙基地のほ
    うが、金魚鉢との関係に意外性があります。
(101) 老いらくの恋もスマホもままならぬ          志方
1   宮澤  今はイライラすると思うけど、その
  うち何も覚えられなくなるから大丈夫。
2   深瀬    そろそろ人生の終活のときですが、
    一方に、欲のかたまりみたいになってあがい
    ている自身がいることに思い至りました。
(102) 打ち水を またげば 古都の街が暮れ         小野寺
1   澤藤
2   秋岡    日中の猛暑が去り、打ち水で涼を取
    る。京都らしいしっとりしたいい句ですね。
3   豊      打ち水で涼しさを演出するのは、暑
  い夏の京都の街にふさわしい。「またげば」
  がなんともうまいです。「街が暮れ」とした
  のもいい雰囲気でまとまりました。
4   志方  まさに夏の古都の路地
5   橋本
6   深瀬    「打ち水をまたげば」の感覚が新鮮
    です。遠い幻のような風景です。どこから湧
    いてくるのか不思議です。
(103) 夕照が梔子紅に雲も染め               志方
1   中津川
(104) 山百合の 強き香りや 露の朝            小野寺
1   豊      きれいな句です。山百合ですから、
    自宅の庭ではないのかもしれません。露は、
    夏の雨上がりでしょうか、それとも秋の深ま
    ったやや寒い朝の露でしょうか。山百合 (夏
    の季語) 、露 (秋の季語) どちらにアクセン
    トを置くかによって、イメージが変わるよう
    に思います。
2   山百合の存在感が霧との対比で際だ出させて
    いる。
(105) ままごとで  家の内輪を  丸出しに          野澤
(106) 宵宮に 束ねし髪は 風に舞ひ            小野寺
1   森
(107) 団塊の戦後生まれも老いの道             秋元
(108) 薄蒼き 微光の中を 蜂が飛び            小野寺
(109) 政治家の  資質と問われ  二枚舌           野澤
(110) 常夏の異国の娘デング熱               秋岡
(111) みどり児の 瞳に強く 光在り            小野寺

  付記
  選句に際して、次のようなコメントもいただきました。古川さんのご意見は
七句会のあり方にも関係しますので、一応、ご紹介しておきます。
・吉良さん -- 機械文明の発展とうらはらに、人間はく進歩しないどころか益
々退化しているのではないかと危惧されます。武力による紛争解決方法を放棄
する日がいつになったら来るのだろうか。今回のテーマは俳句としては重いも
のとなりましたが以下を選びました。
・志方さん -- 段々全体のレベルがあがっているのを実感しております。
・野澤さん -- データを失ったショックから、徐々に立ち直りつつあるという
状況です。歳を取り何事にもやたらと時間がかかってしまいます。
・野口さん -- 皆さんの言葉の多さに驚くとともに、うまいなーと、楽しい選
句ができました。戦争との兼題で多くの句を選ばさせていただきました。昭和
22年生まれで、終戦の傷跡がわずか残る子供時代を過ごし、やはり思い出す
からと思います。楽しい時間をありがとうございます。
・柳町さん -- 本日までドイツ、オーストリーを巡ってきて先ほど帰国したば
かりです。今回は投句もせず申し訳けありませんでした。そのような事情です
ので、今回の選句は遠慮させていただきます。
・古川さん -- なお季題の決定について私の意見を申し上げたいと思います。
私のように俳句を作るのもこの7句会が初めてのものに取って、季題はできる
だけ作りやすい、平凡な季語を選んでいただければと思っております。もっと
もポピュラーの物がありがたい、ちょっとひねって、難しくないものがよいで
す。深瀬君達のように難しい季題にも,俳句の発想できるものには、凝ったも
のを希望される方もいるかもしれませんが、これ以上凝っていくと間違いなく
、私はリタイアーです。それからできるだけ明るい季題を選んでいただきたく
思います。川柳でも、戦争といわれ、気持ちのいい発想で句を作る気にはなり
ません。戦争などは不要と思います。現代は景気も悪く、格差社会で、あまり
明るくない時代ですが、俳句ぐらいは気持ちよい思いで考えて作ってみたいの
です。以上ですが、今後は季題によっては、自分に合わないものは不参加とさ
せていただきます。
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2016年5月7日土曜日

七句会 第十六回の選句結果

 七句会のみなさま
 第十六回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
  今回は、ややばらけました。6 点句から2 点句は下記のようでした。
  6 点句
(041)  知恵の輪に  力で挑む  孫諭し           野澤13
  4 点句 (以下3 句を一つの句とみなしました。)
(068)  嬉しさと寂しさの中春爛漫             秋岡01
(069)  満開の桜の下を娘発つ               秋岡02
(070)  春愁や娘の声の華やかさ              秋岡03
  3 点句
(012)  がんよりも痴呆告知の怖き今            深瀬01
(058)  隣家越え居間に陽の射す春来たり          深瀬12
(097)  微笑みて 赤児の眉に ちから在り。        小野寺16
(114)  花の雲まとひて山の薄化粧             豊06
  2 点句
(006)  人の世の  悲しさ知らず  桜舞う        吉良02
(011)  石垣の 知恵打ち砕き 揺れ強し          中津川01
(013)  知らぬ間に桜並木の異邦人             秋元04
(036)  老いてなお 行くかた知らず 旅つづく       吉良04
(047)  老松の梢に丸き春の月               豊04
(057)  晴れ晴れと退職する友春爛漫            秋岡05
(060)  琉球の雨風荒ぶ春雷や               秋元06
(064)  春の宴一分咲きとて酩酊す             秋岡04
(074)  芽吹く木々 春を繋いで 桜散る          橋本03
(087)  御仏の化身のごとく大桜              豊05
(088)  薄紅の 牡丹は朝に 息を吐き           小野寺08
(100)  誰ひとり 観るひともなく 山櫻          小野寺22
(101)  遅咲きの  御室桜に  京時雨            野澤04
(109)  夕闇の 迫りし路地に 白椿            小野寺14
(116)  老妻のテレビの横の内裏雛             深瀬15
(124)  たゆとうて 岸辺に淡き 花筏。(はないかだ)   小野寺10
(127)  夜桜の かかりし 女性(ひと)の今はなく     小野寺23
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人
の名前とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付
します。
  次回については、今年7 月上旬ころにご連絡したいと思っていますの
で、よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありま
したら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
 今回の選句には、下記の15名が参加しました。
  秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、小幡さん、吉良さん、澤藤さん、志方さ
ん、中津川さん、野澤さん、橋本さん、古川さん、宮澤さん、柳町さん、豊さ
ん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた勉強会について
 今回の句会の結果を踏まえて、顧問の豊さんを囲む感じで、勉強会を行いた
いと思っています。日時、場所、等は未定です。追って、ご連絡する予定です
ので、よろしくお願いいたします。
  2016.05.07
      代表   橋口侯之介 (休会中)
      顧問  豊  宣光
      事務方 深瀬久敬


   1.兼題  知
(001)  汗ぬぐい 強く浮き出よ 知能線          中津川03
1 深瀬   思わずこちらも力んでしまうような
 不思議な迫力を感じました。
(002)  知と技が 揃わずもがく ゴルフかな        橋本10
1 宮澤
(003)  西洋知格物致知と相容れず             深瀬07
1 豊      私も、西洋の知よりも東洋の知のほ
 うが奥が深いと思っています。無季の句です
 が、「 知」 という題をユニークな視点で詠み
 ました。
(004)  STAPは知る人ぞ知る闇の中             秋元05
(005)  AIの疲れ知らずに戦意失せ            深瀬05
1 野澤
(006)  人の世の  悲しさ知らず  桜舞う        吉良02
1 小幡
2 秋元
(007)  知技忘れ 爽快求め ティーショット        橋本11
(008)  知床の蝦夷オゴジョ棲む雪渓や           秋元03
(009)  知とは何 病の中で もがいてる          宮澤05
(010)  知の世界人の手によりビッグバン          深瀬08
       崩れそうもない熊本城壁が無残
(011)  石垣の 知恵打ち砕き 揺れ強し          中津川01
1 橋本  清正公がどう思われているか聞いて
 みたいですね
2 志方    技術者の端くれとして、自戒してお
 ります。
(012)  がんよりも痴呆告知の怖き今            深瀬01
1 小幡
2 宮澤
3 野澤
(013)  知らぬ間に桜並木の異邦人             秋元04
1 秋岡    本当にどこに行っても外国人だらけ
 で 櫻の下も例外ではないようです。
2 柳町
(014)  知識欲衰えつつも眼鏡取る             秋岡06
1 吉良    作者のまじめな性格がにじみ出て、
 ほほえましく思います。
(015)  答申を  蔑ろにする  有識者            野澤17
(016)  予知すらも できない地震 どこかしこ       志方04
1 野澤
(017)  駒東の学舎の窓に知の光              柳町01
(018)  みひらきし目に知ひかる西洋画           深瀬10
(019)  知床の残雪踏んで頂へ               秋元02
1 古川
      人口頭脳と人間の「碁」の戦いを思って
(020)  巧者の知コンピュータにも勝りたる         柳町02
(021)  反知性世界席巻ポピュリズム            深瀬04
(022)  知の拠点  願い叶わぬ  地方大           野澤11
(023)  知るべきか知らざるべきか自問せり         深瀬03
(024)  神護寺を のぼり来りて 老いを知る        志方01
(025)  朧夜やロボットになき認知症            豊01
1 中津川
(026)   春うらら人人人の知恩院              小幡01
(027)  一夜漬け 知識とならぬが サクラサク       中津川02
1 宮澤
      原発再稼働 司法の場で争うべきものか、判決は割れ
     ている
(028)  知を超える 司法判断 右左               橋本08
(029)  因果の知深層学習人を超へ             深瀬02
1 中津川
(030)  この地震 自然の脅威 思い知る          志方03
(031)  地が揺れて 知と血がたぎり 復興へ        宮澤04
(032)  知識から  知恵に進化の  コンピュータ       野澤12
1 柳町
(033)  知恵浅き総理の顔や万愚節             豊02
(034)   認知症年を忘れて山登り              小幡03
(035)  思ひ出や「知的生活」しゃぼんだま         深瀬06
1 吉良    シャボン玉のように儚く消えゆく若
  き日々。同感です。
(036)  老いてなお 行くかた知らず 旅つづく       吉良04
1 志方    西行が芭蕉の心境みたい
2 深瀬   謙虚で前向きな気持ちは、これから
 の理想だと思いました。
(037)  SFが  身近に迫る  囲碁AI           野澤10
(038)  人工知能 過ぎれば地球 熱くなる         橋本09
(039)  民知るや アベノウィルス 何処に行く       志方10
1 澤藤
(040)  ソフトの知ハードの脳とヒトつくる         深瀬09
(041)  知恵の輪に  力で挑む  孫諭し           野澤13
1 小幡
2 宮澤
3 橋本  
4 豊      これも無季の句ですが、「 知恵の輪」
  という発想が面白いです。「 孫諭し」もいい
  ですね。ほのぼのとした情景が浮かびます。
5 秋岡   "知" と "力" の対比が幼い孫を通じ
  て情景が伝わってきました。
6 柳町
      漱石「草枕」に因み、以下二句
(042)  知情意にバランスとれず年を食う          澤藤01
(043)  人ぞ言う知と智の違いは天地の差          澤藤02
(044)  痴の虚頭 アベクロ脳は 花散らし         志方02
(045)  足るを知り老境の今泰然と             秋岡07
1 吉良    実際はなかなか出来ないものですが、
  そのような心境になりたいものです。

     2.兼題  春
(046)  春の宵  弥次喜多偲び  宿場町         中津川05
(047)  老松の梢に丸き春の月               豊04
1 小野寺 
2 野澤
(048)  春けぶり 崖の小路の 菫草(すみれそう)     小野寺20
1 秋元
      咲き乱れならば歓迎なのですが、、、
(049)  温暖化 春の花々 乱れ咲き               橋本04
1 中津川
(050)  逝く春や 花散る里の おぼろ月          小野寺02
1 古川
(051)  春うらら  睡魔の先に  孫の顔           野澤09
1 小幡
(052)  花こぼれ  川面を染めし  春の風        吉良01
1 秋元
(053)  春はたけ地震の裂け目走りおり           深瀬11
1 中津川
(054)  目黒川  人並減りて  春の雨          中津川06
(055)  春の川 浅瀬で鯉の 恋バトル           橋本02
(056)  春の宵  桜舞い散る  窓屏風            野澤01
(057)  晴れ晴れと退職する友春爛漫            秋岡05
1 小野寺 
2 橋本  
(058)  隣家越え居間に陽の射す春来たり          深瀬12
1 橋本  
2 野澤
3 豊      冬は太陽が低いので日ざしが隣家に
  遮られていた。それが春になって太陽が高く
  なったので、自分の家まで日ざしが届くよう
  になった。実際の体験か想像かはわかりませ
  んが、春を感じる一コマだと思います。「春
  来たり」 は「 春来たる」のほうがいいのでは
  ないでしょうか。
(059)  春の陽に 透きとおる若葉 雑木林         橋本06
1 古川
(060)  琉球の雨風荒ぶ春雷や               秋元06
1 柳町
2 古川
(061)  春まだき 轍(わだち)の跡に 蓮華草       小野寺12
(062)  春風を運ぶピアノの調べかな            豊03
1 秋岡    何か力の抜けた春らしい句だなあと
  感じました。
(063)  菜の花の 岬に哀し 春が暮れ           小野寺15
1 志方    水墨画にわずか薄紅の色彩がにじん
  でいるような
(064)  春の宴一分咲きとて酩酊す             秋岡04
1 宮澤
2 橋本  一部咲きでも待ち遠しかった楽しい
 宴、酔いますね
(065)  春の空 ツグミは帰り ツバメ来る         橋本05
(066)  春が来た 猫がベッドで 大文字          宮澤01
1 深瀬   猫が大文字という大胆さに、度肝を
 抜かれました。これぞ春。
(067)  入社式  紺の軍団  春の色           中津川04
       今年の4月に上の娘が海外に留学し、下の娘が地方の
     大学に出発した際読んだ句です。 (以下3 句)
(068)  嬉しさと寂しさの中春爛漫             秋岡01
1 深瀬   以下の2句も含めて、子離れ、親離
 れの微妙なすれ違いの情感の深さに共感しま
 した。
(069)  満開の桜の下を娘発つ               秋岡02
1 小野寺 満開の桜の中を大切に育てた娘が巣
 立っていく、父親の心境を切々と表していま
 す。
2 豊     「春」という題なのでその字が入って
  いないのが残念ですが、それは別にして、詞
  書きがなくても一つの句として味わうことの
  できる雰囲気があると思います。
(070)  春愁や娘の声の華やかさ              秋岡03
1 中津川
(071)  やわらかな 緑に染めて 春が行く         橋本07
1 秋岡    何事も盛りを過ぎて名残惜しいとこ
  ろがいいですね。
(072)  淑女らが 色軽やかに 春を着る          宮澤02
(073)  春霞 蓮華の畔に ひばり啼き           小野寺11
(074)  芽吹く木々 春を繋いで 桜散る          橋本03
1 小野寺 桜は散ってもやがて緑の葉が新しく
  生まれ変わっていきます。
2 志方    春の去りゆくさみしさがうまく表現
  されている
(075)  春の宵  桜吹雪の  舞う夜道            野澤05
(076)   菜の花や春待ち遠し陽だまりに           秋元01
          (Flowers of canola waiting Spring in the Sun)
1 野澤
(077)   春の京聞こえてくるのは中国語           小幡02
       一年間 丹精を込めて育てた牡丹が咲きました。
(078)  春暁の蒼き光に 牡丹咲き。            小野寺07
1 秋元

     3.自由題、無季語
(079)  木漏れ日を あびて 赤児を抱きにけり       小野寺06
(080)  白内障治り桜も透きとおり             深瀬20
1 橋本  よかったですね、視界良好、桜も透
 き通って見えるほど
(081)  青モミジ 宴の余韻 拭い去る           志方07
(082)  万緑の ひかりまといて 山桜           小野寺05
1 吉良    春のさわやかな風が感じられます。
(083)  ふり積る 桜を踏みて 友おくる          吉良03
1 小野寺 桜の散るように逝った野辺送りの友
  に重なります。
(084)  法の網  すくった魚を  取り逃がし         野澤18
1 豊      季語はありませんが、現代社会を風
  刺した辛口の味わいがいいですね。
(085)  神宿る 祠(ほこら)の陰に やま櫻        小野寺17
1 小幡
(086)  ロボスーツ  老老介護の  救世主          野澤14
(087)  御仏の化身のごとく大桜              豊05
1 澤藤
2 深瀬   やや大上段ですが、満開の大きな桜
 には超現実的な畏怖を感じます。
(088)  薄紅の 牡丹は朝に 息を吐き           小野寺08
1 中津川
2 深瀬   蕪村の「閻王の口や牡丹を吐んとす」
 を思い浮かべましたが、牡丹のなにか迫力に
 満ちた生命力が感じられます。
(089)  若草の水玉に陽のひかりおり            深瀬17
1 小野寺 朝の光のなかの若草の水玉は心の高
  揚でしょうか。
(090)  再生と  ロボに託する  高齢化           野澤15
(091)  白椿 祠(ほこら)の木霊(こだま)眠りおり。   小野寺19
(092)  夜桜を  見事に捉えた  窓屏風           野澤08
(093)  ランニング 土手道白い 梨の花          中津川08
(094)  夢さそふ 桜吹雪の 京の宿            小野寺03
(095)  阿蘇の山 ミヤマキリシマ 咲き誇れ        志方05
1 秋元    九重山に登った時、咲き乱れていた
 のを思い出しました。また、なぜ咲き誇れな
 のか、地震災害への応援歌とも受け取れまし
 た。
(096)  遊歩道  桜を青葉に  模様替え           野澤07
1 古川
(097)  微笑みて 赤児の眉に ちから在り。        小野寺16
1 小幡
2 宮澤
3 吉良    幼さのなかにしっかりした顔つき。
  祖父としても安心できますね。
(098)  朧月 甍の先の 夕間暮れ             志方09
(099)  古老手を腰に若草見つめおり            深瀬18
1 豊      自分にも昔はこんな若草のような時
  があった、としみじみ述懐している老人。そ
  の心境、よくわかります。
(100)  誰ひとり 観るひともなく 山櫻          小野寺22
1 秋岡    寂しい句ですがそんな瞬間もまた風
  情があります
2 志方    いい句ですね。本当に
(101)  遅咲きの  御室桜に  京時雨            野澤04
1 小野寺 遅い春を象徴した桜に降る雨はしみ
  じみとした風情を感じます
2 秋元
(102)  花水木 せせらぎの音 一万歩           中津川07
(103)  高層の居間に目まわす内裏雛            深瀬14
(104)  散る桜 古城の松を 仰ぎおり。          小野寺01
(105)  サクラ去り 梢彩る 青もみじ           志方06
(106)  駒場野の 里桜(カンザン)の路 薄日差し     野澤02
1 柳町
(107)  みどり児の 眉 涼やかに 花菖蒲         小野寺21
(108)  涙目に  くしゃみ鼻水  花粉症           野澤06
(109)  夕闇の 迫りし路地に 白椿            小野寺14
1 志方    この時期椿の位置取りが端的にあら
  われている
2 古川
(110)  水温み水底 (みなそこ) の生めざめだし       深瀬16
1 吉良    春の小川に様々な生き物がうごめい
  ている感じがします。
(111)  菜種梅雨  母を偲んで  空見上げ          野澤03
1 深瀬   春の長雨の空に、深い情感を漂わせ
 ていることに引き込まれました。絶唱です。
(112)  ひかり降る 月夜の闇に 櫻花           小野寺04
(113)  つつじ咲く 我も我もと 超満員          宮澤03
(114)  花の雲まとひて山の薄化粧             豊06
1 野澤
2 志方    どんな化粧かなぞめいている
3 中津川
(115)  菜の花の 群青の海 けぶりけり          小野寺18
(116)  老妻のテレビの横の内裏雛             深瀬15
1 宮澤
2 秋岡    内裏雛は老妻の嫁入道具それとも娘
  さんたちの物だったのか愛妻家の穏やかな気
  分が伝わってきます。
(117)  花見酒 花雪の道 夢うつつ            橋本01
(118)  朝露に 白き牡丹の 生命(いのち) 咲き     小野寺09
(119)  遊歩道覆い隠すや花吹雪              秋元07
(120)  教典の 教えは何処  テロ行為           野澤16
(121)  浅緑に 吹く風染める 青モミジ          志方11
(122)  山百合の 強き香りや 暗き杜           小野寺13
(123)  奥座敷ガラス戸越しの雛飾り            深瀬13
(124)  たゆとうて 岸辺に淡き 花筏。(はないかだ)   小野寺10
1 秋元
2 吉良    桜の花びらが筏のように連なってい
  る美しい情景が感じられます。
(125)  桜散りみどり深まり老ひを追ふ           深瀬19
(126)  花は未だ 栄華をしのぶ 御室かな         志方08
1 豊      桜が有名な京都の仁和寺。まだ花は
  咲いていないが、かつて栄えた宇多天皇の御
  代がしのばれる。歴史を感じさせます。
(127)  夜桜の かかりし 女性(ひと)の今はなく     小野寺23
1 小幡
2 橋本


  追記
 選句とともに、お送りいただいたコメント、等を勝手ですが、追記させてい
だたきました。ご参考までです。  深瀬
・柳町さん:明日から、家内とチェコ、オーストリア旅行です。思いっきりク
ラシック音楽をたのしんできます。「七夕会」参加は微妙です。
・志方さん:知の兼題はなかなか難しいかなと思いましたが、結構秀句が多か
ったようです。
・秋岡さん:今回の兼題の "春" と "知" はなかなか曲者ですね。 "春" は "
花" や "桜" や "菜の花" らと季重なりになりやすく、どこまで許されるもの
か良くわからないのであまり気にしないで選句しましたが、結果的にはあっさ
りした句に共感しました。 "知" はどうしても川柳ぽくなってしまいがちでそ
れも楽しいものでした。
・野澤さん:情感溢れ,共感できる作品が非常に多く,選句に悩まされました
。残したい句は20以上もあり,果たしてこれが本当にベストなのかと何度も何
度も詠み返しては差し替えて,時間切れ寸前まで,愉しむことができました。
・宮澤さん:全て、我が思うことよく詠んでいただきましたということで選ば
していただきました。
・藤藤さん:すみませんが今回は選句パスさせいただきます。
・小野寺さん:ぎっくり腰は庭仕事につい夢中になりすぎでした。医者にいっ
てそのあと なんとか頑張って絵を描きにいきます。
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2016年2月11日木曜日

 七句会のみなさま
 第十五回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
  今回の8 点句から3 点句は、下記のようでした。
  8 点句
(010) 青き闇 白く染め抜く 寒の月            吉良01
  5 点句
(083) 閑かさを求めて冬の一人旅              豊05
  4 点句
(035) 空碧く 冬芽は 命 宿しけり。           小野寺18
 3 点句
(004) 紺碧の海峡の先初日の出               秋岡03
(006) 古伊万里の藍の牡丹や床框 (とこがまち)        豊01
(055) 温暖化青い地球に影落とす              秋元08
(068) 江南の春風に舞う藍染布               秋元02
(082) 漁火 (いさりび) の波頭の闇に 星流れ。       小野寺06
(091) 年明けてなにか軽やか過去を捨て           深瀬18
(092) 朝日背に 孫と背比べ 初詣             野澤03
(112) 潮鳴りを 故郷 (ふるさと) とほく 夢で聴き。    小野寺15
(113) 雑煮食べ 亡き母偲ぶ 一周忌            野澤01
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人
の名前とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付
します。
  次回については、今年4 月上旬ころにご連絡したいと思っていますの
で、よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありま
したら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
 今回の選句には、下記の18名が参加しました。
  秋岡さん、秋元さん、内野さん、小野寺さん、小幡さん、吉良さん、澤藤さ
ん、志方さん、中津川さん、野澤さん、橋本さん、藤原さん、古川さん、宮澤
さん、森 (杜瑯) さん、柳町さん、豊さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた勉強会について
 今回の句会の結果を踏まえて、顧問の豊さんを囲む感じで、下記の要領で勉
強会を行いたいと思います。
 参加者は、2 月14日 (日) までにご連絡いただければ幸いです。
  勉強会の後、有志で飲み会を予定しています。
・日時   3 月2 日(水)17時~19時
・場所  未定
・費用    一人り2,000 円前後 (予定)
  2016.02.07
      代表   橋口侯之介 (休会中)
      顧問  豊  宣光
      事務方 深瀬久敬


  1.兼題 青 (紺、藍)
(001) 青空に 南天赤の 点描画              宮澤03
1 秋元
2 深瀬   青い空に赤い南天の色彩感と、点と
 天の掛詞がたのしい。
(002) 群青の波頭遥かに 友の逝き。            小野寺08
1 吉良  海を愛した亡き友人と思いますが、
 波間に今もなおその姿が見えているように感
 じたのでしょうか?
2 中津川 西牟田君の散骨の様子が浮かびます
(003) 青空にからす飛び交う麦畑 (ゴッコ絵画)        深瀬05
      元旦の朝近くの高台から見た明石海峡の先
    の初日の出は印象的でした。
(004) 紺碧の海峡の先初日の出               秋岡03
1 吉良  初日の出が目の前に見えるように感
 じます。
2 内野   きっと素晴らしい光景だったことで
 しょう。
3 豊   海峡の先に昇る初日の出の美しさが
 目に浮かびます。
(005) また一つふえる空地 (あきち) と青い空        小幡03
1 宮澤
(006) 古伊万里の藍の牡丹や床框 (とこがまち)        豊01
1 中津川 家の中にも藍の牡丹が咲いてます
2 柳町
3 小野寺 古伊万里の藍の牡丹と床框の対象が
 藍の抑えられた色調を一層静謐な風情におき
 かえて心地よい。
(007) 吹雪さり紅梅匂い空青く               内野03
(008) 氷上に青き輝き願いこめ               秋元07
(009) 蒼き朝 牡丹の冬芽 眠りおり。           小野寺19
1 深瀬   蒼と絢爛豪華な牡丹の色彩感、そし
 て、じっと時をまつ姿勢に共感。
(010) 青き闇 白く染め抜く 寒の月            吉良01
1 秋岡  月は、夏は赤く、秋は黄色く、そし
 て冬は本当に白い寒々しい月なんですね。
2 宮澤
3 豊   冬の夜の月の姿がうまくとらえられ
 ています。「白く染め抜く」がいいですね。
4 橋本  絵画的ですね
5 柳町
6 小野寺 白い月を浮かび上がらせる青い闇夜
 が深い夜更けの静けさを引き立てます
7 志方
8 小幡
(011) 青空や 北風我に 吹きぬけよ            古川03
(012) 群青の 海 切り裂きて 百舌が啼き。        小野寺10
1 秋元
2 小幡
(013) ヨットの帆輝く海の青さかな             豊02
1 藤原
2 古川
(014) 寝転んで 見上げる空は 青一色           古川05
1 秋岡  寒い中でもご本人の何か嬉しげな楽
 しげな心持ちを感じます
(015) 青学が箱根路走る晴れ晴れと             秋岡01
(016) 群青に旗竿染める藍の郷               秋元01
1 中津川 約40年前に行った徳島の藍住を思
 い出しました
(017) 蒼穹の かなた山の端 紅淡く            志方02
1 小野寺 明け方の東雲時の荘厳さを 絵のよ
 うに伝えてくれます。
(018) 空青き登りゆく坂白富嶽               内野02
1 吉良  澄んだ青空に聳える山に向かって登
 っている様子が、読み人の人生の歩みを映し
 ているように思います。
2 澤藤  寒波一幕が終わり、二幕はあるので
 しょうか。
(019) 晴天に北風小僧が演舞する              小幡01
1 秋岡  "小僧が演舞する" は楽しくて、気分
 をほっとさせてくれる句です。
2 橋本  北風は何で舞っているのか
(020) 熱燗に デルフトブルー 揺ら揺らと         宮澤02
(021) 年老いて更に求める空の青              澤藤02
(022) 雲海を 押しのけ坐る 青き峰            吉良02
1 志方
(023) 春画展永青文庫男女群れ               深瀬02
(024) 晴天に木枯らしが泣く寒さかな            小幡02
1 秋岡   あまりの寒さに木枯らし自身が泣く
 のでしょうか。
2 小野寺 木枯らしを泣くと表した寒さが青い
 空にふと感慨を呼びます。
(025) 初春や梅の香りと空の青               澤藤01
(026) 凛として 北アルプスに 青空や           古川04
(027) 太古より 青く静まる 大氷河            吉良03
1 豊   季語のない無季俳句ですが、悠久の
 歴史を大きなスケールで詠んでいます。
(028) 明星を 抱きて (いだきて) 蒼く 夜が明け。     小野寺11
     庭の樫の木を剪定し、窓からの青空の眺め
    復活、気持ち良し
(029) 剪定に 青空すっきり 戻りけり           橋本03
1 深瀬   樹木の剪定作業をし、すっきりした
 空を見上げたときの爽快感と新鮮さ。
2 古川
(030) 茶と青の陸海軍服セピア色              深瀬03
(031) イーゼルに映す山肌青の影              秋元04
(032) 青空を背にしてキリリ冬木立             秋岡05
(033) 青海に イルカ飛び跳ね 船の伴           吉良05
(034) 初めてのダンスステップブルーライト横浜       澤藤04
(035) 空碧く 冬芽は 命 宿しけり。           小野寺18
1 杜瑯
2 吉良  厳寒の中にも命の息吹を感じさせる
 句です
3 中津川
4 柳町
(036) 藍染に 浸るわが手や 青き皺            吉良06
1 宮澤
2 内野   皺に作者の人生を感じます。
(037) 青き海 白波よせて カモメ鳴く           志方04
(038) 雪景色 木枯らし寒く 青が澄む           宮澤01
(039) 群青の 海朱け染めて (あけそめて) 冬の朝      小野寺12
1 秋元
2 内野   冬の朝の見事さを見事に表現してい
 ますね。
(040) 寒風の青空の中泳ぐ凧                秋岡04
1 野澤
2 古川
     三年前ギリシャのサントリーニ島を旅行し
    たが、青い海と白亜のホテルが記憶に深く刻
    まれました。
(041) 青と白夏の思い出エ-ゲ海              小幡04
(042) 月一輪 蒼き光の 夜を往く。            小野寺16
      駒場東邦の教室から富士山が見えたことを
    おもいだして
(043) まなび屋の窓から望む青き富士             柳町01
1 藤原
2 志方
(044) 今日もまた株価ながめて青ざめる (川柳)        秋岡07
1 宮澤
2 小幡
(045) 青空を 伸び行く白線 突き進む           吉良04
(046) おもちゃ箱青いビー玉異邦人             深瀬04
(047) 空青く白く輝く富嶽かな               内野01
      転んで作った青あざで、駒場東邦の棒倒し
    を思い出しました。歳をとると転びやすくな
    ります。お互い気をつけましょう
(048) 青あざを見つめて想う棒倒              柳町01
1 小幡
(049) 箱根路を青き躍動駆け抜ける             秋岡02
(050) 青と白 水の惑星 我ありき             古川01
     若かりし頃の山行、南アに出かけ初日は土
    砂降りも翌日は梅雨明けの素晴らしい青空
(051) 碧空の 南アルプス 梅雨明ける           橋本02
(052) 藍染の 肩の向こうに 大文字。           小野寺07
(053) 青二才成人式に羽目外し               秋岡06
1 野澤
(054) 青色に 染まり続けろ 我が星や           古川02
(055) 温暖化青い地球に影落とす              秋元08
1 藤原
2 橋本  言い得て妙!
3 野澤
     残照の時刻、いつもの公園の紅葉が映え、
    碧空に白い月が美しい
(056) 碧空に 映える紅葉 白い月             橋本04
(057) 青と赤寒暖男女危機度合い              深瀬01
(058) 南仏の抜ける青空画家の丘              秋元05
(059) 挑戦も 意味なき連呼 青吐息            志方03
1 野澤
2 柳町
(060) 南仏の降り注ぐ青燦燦と               秋元03
(061) 青氷  踏みてふれあう  道すがら           柳町01
1 秋元
2 深瀬   霜柱かつららの落ちたものか、いろ
 んな人が足元を注意しながら行き交っている
 風景がなつかしい。
(062) 友逝きて 散骨されし 青海原            志方06
1 小野寺 青海原に帰した友の死はいつまでも
 己の死と重なり自分が生きることの理を教え
 ているようです。
     まだ若い頃、八ヶ岳山頂で体験、感激しま
    した。
(063) 雲海に浮かぶ青島 (あおしま) 夏の富士        小幡05
1 橋本  独立蜂だからこその富士の雄姿です
 ね、何回か見ています
(064) どちらに軍配あげようか空の青さと海の碧 (あお)    澤藤03
(065) 時雨空青空覗き薄日射す               秋元06
1 藤原
(066) 空青く 梢の先の 富士白き             志方01
1 宮澤
     小笠原旅行での、美しい海の色に浮かぶ島
    々を思い出して
(067) 小笠原 コバルトブルーに 浮かぶ島         橋本01
1 野澤
(068) 江南の春風に舞う藍染布               秋元02
1 柳町
2 小野寺 春風に舞う藍染の布は、絵のように
 心を揺さぶられるようです。
3 志方

    2.兼題 地球
(069) 地球の美改めて知るお正月              深瀬10
(070) 春浅し地球を壊す温暖化               豊03
1 野澤
(071) にごり陽の北京もパリも人の業            深瀬09
1 橋本  にごり陽がいいですね、パリはディ
 ーゼル車(VW)が主要因?
2 中津川 まさににごり陽の大気ですね
(072) クォークは 地球の裏の 夏も知る          宮澤05
     北朝鮮の水爆実験は狂気の沙汰としか思え
    ない。テロといい北朝鮮といい悩ましい限り
    です。 (以下、2 句)
(073) 北鮮の狂気に悩む地球人               秋岡08
(074) 地球儀で小さき祖国再確認              秋岡09
(075) どう処方地球の微熱ヒト菌禍             深瀬06
1 豊    地球の危機をうまく風刺しています。
 社会派俳句ですね。
(076) 地球儀に つつがなき世を 初詣で          宮澤04
1 柳町
(077) 地球四季さくらにすいか栗に葱            深瀬07
      COP21パリ協定は出来たが温暖化は抑
    制できるのか、以下二句。
(078) 温暖化 行方定まぬ 地球号             橋本05
1 澤藤  みんなで考え、行動しましょう。
2 豊   文法としては「行方定まらぬ」もし
 くは「行方定めぬ」だと思います。「地球号」
 という言葉がいいです。
(079) 温暖化 地球は一つ 逃げられぬ           橋本06
(080) われらみな銀河の中の地球人             豊04
1 小幡
(081) 流氷にやっとたどりし白熊や             深瀬08

  3.自由題
(082) 漁火 (いさりび) の波頭の闇に 星流れ。       小野寺06
1 秋元
2 内野   地球、宇宙、人間の営みの描写が見
 事です。
3 古川
(083) 閑かさを求めて冬の一人旅              豊05
1 秋元
2 内野   どうして一人旅なのでしょうか。気
 になります。
3 中津川
4 志方
5 小幡
(084) 冴えわたる 夜寒に白く 月の在り。         小野寺04
(085) 寄り添いし 白梅ほのか 香り立ち          杜瑯02
(086) 元旦の障子や松の影うつし              深瀬13
1 内野  静かな正月だったようですね。
2 豊   正月のめでたさをきれいに表現した、
 完成度の高い句だと思います。
(087) 蕾梅 いつまで待つか 野辺歩き           志方05
(088) 朋ひとり 枯れ野の果つる 野辺に逝き。       小野寺21
1 志方
(089) 寂しさに うつり香求め 梅の咲く          杜瑯01
(090) 三世代 我が常識は 非常識             野澤07
1 古川
(091) 年明けてなにか軽やか過去を捨て           深瀬18
1 秋岡   新年は幾つになっても軽やかな気分
 で迎えたいものです。
2 橋本  こうありたいとは思いますが、、、
 一時でしょうか
3 野澤
(092) 朝日背に 孫と背比べ 初詣             野澤03
1 吉良  正月の朝日を背に孫の成長を願う気
 持ちが感じられます。
2 秋岡   今年の正月は天気も良く家族揃って
 の初詣が多かったです。楽しそうでいいです
 ね。
3 宮澤
(093) 朝焼けの 光ほのかに 薔薇は咲き。         小野寺03
(094) 陽のひかり寒気の朝に顔に受け            深瀬16
(095) 薄紅の 光まといて 冬の薔薇。           小野寺02
1 秋元
2 志方
(096) 妻と屠蘇悲観楽観老ひの影              深瀬11
(097) 暁に 星たずさえて 陽はのぼり。          小野寺13
(098) のこり雪ふみしめかみしめ登る坂           内野04
(099) 暖冬と 云えども寂し 懐が             野澤05
(100) 月冴えて 銀の 雪夜を 歩きけり。         小野寺05
1 吉良  学生時代に行ったスキー場の夜を思
 い出しました。
(101) 満員もスマホ溢れて疎空間              深瀬19
1 中津川 久しぶりに満員電車に乗ったときも
 回りはスマホばかり
(102) 万感の 想い託して 歳が暮れ。           小野寺20
(103) 孫曰く 僕は勉強 アレルギー            野澤06
1 深瀬   こういう反発がでる子どもの柔軟性
 がすごい。
(104) 海鳴りを 銀河流るる 果てに聴き。         小野寺09
(105) 元旦にひとりパン焼き茶を淹れる           深瀬17
1 秋岡   寂しいけれど何か強さも感じ、唸っ
 てしまいました。
(106) 銀漢を 仰げば耳に 潮の音             小野寺14
1 志方
(107) 餅つきも 孫の世代は 押しボタン          野澤04
(108) 潮ひきて 浅瀬に迷う クジラかな          志方07
(109) 百舌 (もず) 啼きて 月 天心にかかりおり。     小野寺01
(110) 正月の おせちに残る 母の味            野澤02
1 豊   亡くなった母親の味がお嫁さんに引
 き継がれている、ほのぼのとした感じが出て
 います。
2 小幡
(111) 桟道橋電車見おろし初詣               深瀬15
(112) 潮鳴りを 故郷 (ふるさと) とほく 夢で聴き。    小野寺15
1 杜瑯
2 内野   海から上陸した生命体。人間の故郷
 も海ですね。
3 橋本  いつも聞いていた潮鳴りは夢でも聴
 けるとは。山育ちには無理です
(113) 雑煮食べ 亡き母偲ぶ 一周忌            野澤01
1 吉良  最近の正月のおせち料理は出来合い
 が多くなりましたが、やはり母親の手作りの
 味が忘れられません。
2 柳町
3 深瀬   引き継がれる伝統が急減するなかで、
 食事は身近に残っています。
(114) 夕陽凧遠い昔にすいこまれ              深瀬12
(115) 荒海に 蝶一羽舞い 秋は暮れ。           小野寺17
(116) 目覚ましや家人は留守の冬座敷            豊06
1 宮澤
2 深瀬   なにか私小説的な異空間的の雰囲気
 にひかれます。
(117) 初風呂の夜のしじまに顔拭ふ             深瀬14
1 小野寺 元旦の夜の風呂で顔を洗い、今年一
 年を静かに迎えるのだという心の気概がいい
 ですね。
(118) この一年  俳句に心  和まされ            野澤08
  ----  以上 ----