2016年11月6日日曜日

七句会 第十八回 選句結果

 七句会のみなさま
 第十八回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
 5 点句
(072) 秋の陽と雲切り取りし水たまり            深瀬
  4 点句
(001) 夢何処酒杯に映る山紅葉               秋元
(033) 酔ふほどにうさの晴れゆくおでん酒          豊
  3 点句
(008) 朝の陽を 浴びて 深酒悔やみけり          小野寺
(024) 献杯に 逝きし友への 刈穂かな           志方
(042) 孫はさみ妻と散歩の秋の夕              深瀬
(049) チャンバラもめんこも遠き昭和かな          豊
(052) かくれんぼ隠れしままに朧月             豊
(058) 遊ぶ声 響かぬ団地や 法師蝉            中津川
(069) もみじ葉の散っては流る万華鏡            深瀬
(086) 木漏れ日を まとひて紅し 彼岸花          小野寺
(094) 風に舞う 金木犀の 香りかな            藤原
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人
の名前とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付
します。
  次回については、来年 1月上旬ころにご連絡したいと思っていますの
で、よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありま
したら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
 今回の選句には、下記の15名が参加しました。
  秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、小幡さん、吉良さん、志方さん、中津川
さん、野澤さん、橋本さん、藤原さん、宮澤さん、森杜瑯さん、柳町さん、豊
さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた勉強会について
 今回の句会の結果を踏まえて、顧問の豊さんを囲む感じで、次の要領で、勉
強会を行いたいと思っています。参加される方は、11月中旬ころまでにご連絡
をお願いします。
・日時   11月30日(水)17時~19時
・場所    喫茶室ルノアールニュー新宿3 丁目店
  http://standard.navitime.biz/renoir/Spot.act?dnvSpt=S0107.121
・費用    一人1,000 円前後 (予想)
  2016.11.06
      代表   橋口侯之介 (休会中)
      顧問  豊  宣光
      事務方 深瀬久敬


  1.兼題  酒
  
(001) 夢何処酒杯に映る山紅葉               秋元01
1   吉良
2   中津川
3   藤原
4   小野寺
(002) いつまでか 酒を交わして 友と我          吉良04
(003) 昼ビールゴルフ迷走秋の雲              深瀬10
1  宮澤
(004) 宵待月 酒酌みし女 (ひと)  夢枕          小野寺21
1  秋元
(005) 酒ありて 友ありて 夜長宿             中津川04
1   橋本
(006) 酔い暮れて月見の酒に想う秋             秋岡05
(007) 初ものの地酒ようやく封を切る            橋本01
1   志方
(008) 朝の陽を 浴びて 深酒悔やみけり          小野寺15
1   橋本
2   秋岡  何度経験してもまたやってしまうんで
    すよね。
3   宮澤
(009) 眼を閉じよ 新酒かおり 秋夜なが          吉良03
1   柳町
(010) ワイン飲み夜更けのテレビ居間ひとり         深瀬11
(011) 木樽から 琥珀に映える 新酒かな          志方05
(012) すすき野を酒ぶらさげて流浪びと           深瀬08
(013) 利き酒の盃重ね日が暮れる              秋岡03
(014) やけ酒も 遠い昔の 秋左遷             中津川02
      孫からお酌をしてもらうその日が来るのを期待して--
      -。無理かな????
(015) 孫の手の猪口に染みいるうまし酒           柳町03
1   志方
(016) 朋ありて 薬缶 (やかん) で 酒を沸かし日よ     小野寺11
(017) 呑まずとも  肴嗜む  秋の宵             野澤01
1   橋本
(018) なんとなく秋の夜長に酒を飲む            小幡02
1   秋岡  何となく酒を呑みボーとしているのは、
    暑さから解放された秋の気分ですね。
2   宮澤  酒好きが酒を兼題として選句すると、
    実体験として’同感’度の高い句を選んでし
    まいます。「中七」を‘春のどかにて’、’
    夏汗ばみて’’冬のこたつで’と替えれば1
    年中使えるのが良い。
(019) 下心  見え隠れする  甘い酒             野澤02
(020) 囲碁終えてみなで酒飲む秋の夜            深瀬12
1   藤原
(021) 酒なくて何の楽しき年の暮              豊02
1   秋岡  四季折々、健康で酒を楽しく飲めるの
    はやっぱり幸せです。特にサラリーマン時代
    は、年の暮はよく飲みました。
(022) のどかなり公園の桜ひとり酒             橋本02
1   吉良
2   小幡
(023) 秋寂し友ありてこそ美味き酒             秋岡06
1   柳町
2   秋元
(024) 献杯に 逝きし友への 刈穂かな           志方04
1   柳町
2   野澤  「酒」38句のなかで唯一心情が理解
    できる句でした。 (注。野澤さんはお酒は飲
    まれません。)
3   小野寺
(025) 暑さ去りふとため息の独り酒             秋岡02
(026) しやわせは一杯のさけに虫のこえ           小幡03
1   深瀬  幸福論、GNH 、等の議論もありますが、
  老化を実感する最近、こういう心境や境遇に
  も、共感を感じます。
(027) 宵の酒 友と飲み干す 月明り            吉良05
(028) 風呂上がり遊び疲れて缶ビ-ル            小幡01
(029) 酔ひまわりどぢょうすくひの秋の夜          深瀬09
1   豊  「酒」という題はさすがに皆さん作り
  やすかったようですね。それぞれに酒への愛
  着が詠まれていますが、とくにこの句にはユ
  ーモアを感じました。
(030) バッカスの 微笑み満ちて 酒かわす         吉良02
1   深瀬  飲み会の後、どうでもいいことを大げ
    さに言って顰蹙を買ったのでは、と後悔する
    ことがよくあります。「バッカスの微笑み」
    に、なにかそういうものを感じました。作者
    の意図と、全く違うかもしれません。
(031) 涙ため満月の夜濁り酒                秋岡04
      下流から冷たい風が吹きあがり飲みながらの川下りでし
    た
(032) 酒いも煮 歌もさかなに 最上川           中津川03
1   橋本
(033) 酔ふほどにうさの晴れゆくおでん酒          豊01
1   志方
2   中津川
3   秋岡  おでん酒は憂さが晴れるのですね。今
    度やってみます。
4   小幡
(034) 秋の夜を 語り尽くせぬ 濁り酒           小野寺20
1   秋元
(035) 酔うほどに 白髪見ゆる 濁り酒           吉良01
(036) アラ古希のゴルフと酒の楽しさよ           橋本03
(037) 新蕎麦を酒の肴にもう一献              秋岡01
1   中津川
2   豊    かなり酒通、酒好きの方とお見受けし
  ます。いい日本酒を揃えた蕎麦屋は、蕎麦も
  おいしいはずです。
(038) 男厨や 秋刀魚の匂い 盗み酒            中津川01
    2.兼題  遊び
(039) 群れ遊ぶ 山寺の句碑 赤とんぼ           中津川05
1   藤原
2   小野寺
(040) 「ジィジィ」と孫にひかれて砂遊び          柳町01
1   豊    孫と遊ぶ句がほかにもいくつかありま
  したが、お孫さんのかわいい動きが感じられ
  たので、この句を選びました。
(041) カルタ取り  孫を相手に  負け戦さ          野澤04
(042) 孫はさみ妻と散歩の秋の夕              深瀬02
1   柳町
2   小幡
3   野澤  ほほえましい光景が目に浮かぶ句です。
(043) 林間に 吹く風あそぶ 落ち葉かな          志方02
1   吉良
2   深瀬  落ち葉が、林のなかをざぁっーと風に
    吹かれていく光景が鮮明に思い起こされまし
    た。
(044) 遊ぶほど寂しさ募る老いの秋             秋岡07
1   宮澤
      大好きな山登りも、年を重ねると苦行になりますね!!
(045) 山登り「遊び」のはずが超苦行            柳町02
1   小幡
(046) 夏休み ゲーム機にらみ 詰将棋           中津川07
1   藤原
(047) 遊々のはずの老後をうつ襲う             深瀬06
1   小幡
2   野澤  来年は我々も古希を迎える歳になりま
    す。悠々自適と思っていたら,自身あるいは
    家族に突然病が襲ってくるのでしょうか・・・
(048) 夕立や鬼と遊ぶよ楽しけれ              小幡04
(049) チャンバラもめんこも遠き昭和かな          豊04
1   志方
2   柳町
3   野澤  今の時代の遊びはハイテクで本当に昭
    和の遊びが懐かしく感じます。
(050) 秋の陽に遊休施設仁王立ち              深瀬04
(051) プラレール 孫の遊びは 限りなく          志方01
(052) かくれんぼ隠れしままに朧月             豊03
1   志方
2   吉良
3   小野寺
(053) 預かった孫と遊びし秋の夕              深瀬01
(054) 清流や変わらぬ親子の川遊び             橋本04
(055) 孫とする  テレビゲームで  カエルの子        野澤03
(056) 東山哲学の道を遊歩する               小幡05
(057) 成果主義卒し遊びの秋の日々             深瀬03
1   中津川
      団地の高齢化がすすんでいます
(058) 遊ぶ声 響かぬ団地や 法師蝉            中津川06
1  森
2   秋岡  最近こんな風景をよく見るようになっ
    た気がします。
3   宮澤  年をとり、遊ぶとなると、自分の遊び
    でも、子供の遊びでも昔を思いつつ、カウン
    トダウンを意識してしまいます。
(059) 秋散歩また遊休地ひとけなく             深瀬07
1   豊    散歩の途中で遊休地を通った。秋の寂
  しさのためか、人がいない。「また」という
  表現が雰囲気をうまく伝えています。
(060) 夕映えに 風にあそびて 彼岸花           志方03
1   柳町
2   小野寺
(061) 釣り人の近くでボラの跳ね遊ぶ            橋本05
(062) 湖畔行くもみじに染まる遊覧船            深瀬05
1   橋本
2   秋岡  関西では必ず琵琶湖の風景がニュース
    になります
    3.雑詠 (含、川柳)
(063) 故郷は 車窓の彼方 夜が明け            小野寺09
1   深瀬  子供のころ、両親と夜行列車で秋田に
    帰郷しました。山形の板谷峠あたりで夜があ
    け、両親が神妙な顔をしていたのを思い出し
    ます。
(064) 朝の森向こう明々こちら日暮し            橋本07
(065) 透きとおる 台風一過 月あかり           藤原01
1   豊    きれいな句です。台風一過の雲のない
    夜空に月が光っている。「透きとおる」がう
    まい。
(066) 逝く夏や 墓標の如く 芒 (すすき) 満つ       小野寺04
1   秋元
(067) 秋涼に  便りを託す  友ありき            野澤07
(068) 虹架かる くぬぎの香り 通り雨           小野寺17
(069) もみじ葉の散っては流る万華鏡            深瀬18
1  森
2   吉良
3   宮澤
(070) 秋雨の途切れて清し鰯雲               橋本06
1   柳町
2   小野寺
(071) 昏き森 祠 (ほこら) に白く 曼殊沙華        小野寺05
1   秋元
(072) 秋の陽と雲切り取りし水たまり            深瀬16
1   志方
2   中津川
3   豊    雨上がりの水たまりに太陽と雲が映っ
    ている光景でしょうか。目の付け所がユニー
    クです。
4   橋本  上手いですね、公園でしょうか、田舎
  の田圃道かな
5   小野寺
(073) 秋灯に背表紙そろふ書棚かな             豊05
1   中津川
2   深瀬  最近は本棚の本を取り出すことはほと
    んどないのですが、背表紙が揃っているか、
    気になることがあります。
(074) カッコウの こだまとなりぬ 夏木立         小野寺10
(075) すすき野や過疎化の波の置きみやげ          深瀬14
1  森
(076) 便りなき  友を気遣う  秋の夜            野澤09
1   退職した後の秋の夜長は、友を思う秋でもあ
    りますね。
(077) 華やかに 灯籠流れ いのち 問ふ          小野寺18
(078) 朽ちはてし墓標の下のきりぎりす           豊06
1   小幡  特に共感しました。当家の墓は寂れた
  ところにあり、まわりには参る人もなく、傾
  いた墓石が二三ある。秋には、それこそキリ
  ギリスが跳びはねそうなところです。
(079) のどかなる 夕日に映える いわし雲         藤原02
1   野澤  素晴らしい人生を送られる方の詠まれ
    た句なのでしょうか。穏やかな気持ちが伝わ
    ってきます。
(080) 赤蜻蛉 消えにし生命 (いのち) 乗せて飛び      小野寺19
1  森
      青春のかけら三題
(081) 胸ゆする 青春挽歌 なおあつく           森01
1   藤原
(082) 青春や 灯下の夢に 女郎花             森02
(083) 青春の 消えゆく灯り 祭りの音           森03
(084) かそやかに 水引き草に 秋渉る           小野寺06
1   野澤  私などにはとても詠むことのできない
    高尚な句に思われます。これぞ俳句と教えら
    れます。
(085) 大川に往きかう屋形江戸の夢             秋元03
(086) 木漏れ日を まとひて紅し 彼岸花          小野寺07
1   志方
2   吉良
3   秋元
(087) 月あかり廃屋の屋根漏れこぼる            深瀬13
1   中津川
(088) 夕菅や 日暮れて 蒼き闇に咲き           小野寺01
(089) 雨の日も  コスモスに水  孫娘            野澤06
1   小幡
(090) 秋蝶はくぬぎの幹に 息を吐き            小野寺13
(091) 秋涼に  耳を澄ませど  便りなし           野澤10
1  森
(092) 気がつけばデパート売り場秋の色           深瀬15
(093) 地に落ちて 羽風に揺れ 秋の蝶           小野寺14
(094) 風に舞う 金木犀の 香りかな            藤原03
1   深瀬  金木犀の香りがすると、いつも周囲を
    見回します。沈丁花とともに、あの花のメッ
    セージ力はすごいといつも思います。
2   宮澤  視覚、嗅覚という五感を感じ取れるこ
    とを大事にしたいと思い選句しました。五感
    が衰えると、酒にも、遊びにも興味を失くし
    てしまうので、大事にしたいと思います。
3   野澤  一年前には我が家にも金木犀があり,
    その香りがとても懐かしく感じられます。
(095) 早朝の川鵜鷺鴨食事会                橋本08
(096) 秋の夜に 野の花生ける 女 (ひと) のあり      小野寺22
(097) 秋寂し愚妻の指にふと触れる             秋岡08
1  森
(098) 静寂を 破りて 古都の 朝が明け          小野寺16
1   秋元
(099) さざ波に燦めく陽射し朝の夢             秋元02
(100) 蟷螂 (とうろう) の斧力尽き 冬化粧         小野寺12
1   吉良
2   豊    「蟷螂の斧」とは、文字通り「カマキ
    リの斧」のことでしょうか。それとも「自分
    の力の弱さの象徴」として使っているのでし
    ょうか。私は素直に「カマキリの斧」と理解
    して、カマキリの命が力尽きたとき、野は冬
    化粧の季節になった、と解釈しました。カマ
    キリと冬化粧の取り合わせが一つの世界を作
    っています。
(101) 若き日の  思い出つきぬ  秋の宵           野澤08
(102) 色褪せて リンとして咲く 百日紅          志方07
(103) 霧深き 谷川の瀬に 赤蜻蛉             小野寺08
1   深瀬  人気のない谷川に、赤蜻蛉が乱舞する
    さまは、美しさと寂しさが感じられます。(0
    80) と響きあって、そういう思いを強くしま
    した。
(104) 六義園木漏れ陽満つる江戸の秋            深瀬17
(105) 光降る 水面の底を 鮎走り             小野寺03
1   橋本 雑魚は見たことがありますが、やはり
  鮎ですね
(106) 御仏に  安らかなれと  彼岸花            野澤05
(107) 秋の暮れ 雲それぞれに 流れゆく          志方06
(108) 東雲 (しののめ) に鰯雲満ち 朋の逝き        小野寺02
  
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