七句会のみなさま
第十九回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
5 点句
(089) 陽だまりに身体膨らせ寒雀 秋岡
4 点句
(001) 朝冷えで きしむ身体に 古希を知る 志方
(002) 古希迎え我が身に咲いたボケの花 野澤
(053) 凪 (なぎ) の海静かに明けて初日の出 豊
3 点句
(006) 凍て空に 青春挽歌 古希吠える 杜瑯
(014) 古希迎へはるばる来たり先あおぐ 深瀬
(050) 初春やすれ違ふ人みな笑顔 豊
(064) 蒼鉛の 遥か雲より 冬日射し 小野寺
(078) どんど焼き秘めた願ひの煙追ふ 深瀬
(087) 同居者は猫一匹や冬籠 豊
下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
次回については、4 月上旬ころにご連絡したいと思っていますので、よろし
くお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連絡を
いただきたく、よろしくお願いいたします。
事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
今回の選句には、下記の14名が参加しました。
秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、小幡さん、吉良さん、志方さん、中津川
さん、野澤さん、橋本さん、宮澤さん、森杜瑯さん、柳町さん、豊さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた勉強会について
3 月下旬ころに予定したいと思っています。
別途、ご案内しますので、よろしくお願いします。
2017.02.12
代表 橋口侯之介 (休会中)
顧問 豊 宣光
事務方 深瀬久敬
1.兼題 古希
(001) 朝冷えで きしむ身体に 古希を知る 志方
1 秋元 共感
2 秋岡 確かに朝起きるときに関節の潤滑油の切れを
つくづく感じます。
3 宮澤 同感です。朝きしむなら、寝坊すればいいの
ですが、目が覚めてしまいます。
4 野澤 実感!
(002) 古希迎え我が身に咲いたボケの花 野澤
1 中津川 自分のことを言われたようで思わずニヤッと
しました
2 豊 思わず笑ってしまいました。ユーモアのセン
スに拍手。
3 宮澤 夢は古希で開くのでしょうか、ボケの花も綺
麗な花です。咲いて良かった。
4 小幡
(003) 枯れ葉ごし陽のあたたかき古希の朝 深瀬
1 吉良 古稀を迎え、これからも平穏な日々が続くよ
うにとの祈りの気持ちが出ています。
2 志方 古希を迎える明るさと穏やかさが滲んでいる
と思います。
(004) 古希迎え国旗掲げて腰をコキッ 宮澤
1 秋岡 ユーモアがあっていいですね。
(005) 今年より 古希になりて 鏡みる 小幡
(006) 凍て空に 青春挽歌 古希吠える 杜瑯
1 吉良 これからもまだ若者に負けないぞとの気概を
感じます。
2 深瀬 みなぎる闘争心というのか、気合というのか、
圧倒されます。喝を入れられた思いです。(095) の心
境に、拍車がかかった感じです。
3 小野寺 古稀をむかえてある種気概に同感です。
(007) 入園の孫の手を引き古希の春 豊
1 志方 古希を迎える明るさと穏やかさが滲んでいる
と思います。
(008) 古希なれば 心澄ませよ 人は言う 吉良
1 深瀬 これからなにをすればいいのかとか、ますま
す迷いを深めています。心澄ませる心境に憧れますが、
結構、みな同じかなとか、少し安心もしました。
(009) なにをする古希の寒気 (かんき) に答へなく 深瀬
1 橋本
(010) 古希遠く成人式の晴れ着かな 豊
(011) 古希とても団塊世代溢れけり 深瀬
1 秋岡 古希の希少価値はもうないですね。
(012) 道半ば 古希を迎えて 道半ば 志方
(013) 仙人の 墨絵憧れ 古希臨む 吉良
(014) 古希迎へはるばる来たり先あおぐ 深瀬
1 豊 古希まで生きてきた人生を振り返る。心境、
よくわかります。「来たり先」は「来たる道」とでも
したほうがよかったのではないでしょうか。
2 橋本
3 志方 古希を迎える明るさと穏やかさが滲んでいる
と思います。
2.兼題 冬の花
(015) 木枯らしが 枯れ野吹き抜け 黄水仙 志方
(016) 凍て土に 牡丹の赤芽 呼吸 (いき) を吹き 小野寺
1 秋元 庭先の情景を思い浮かべました
(017) 亡き父の育てし花や寒牡丹 豊
1 小幡
2 深瀬 花をみて、既に亡くなった肉親を想う気持ち
は、心の奥深くに共通するものなのでしょうか。牡丹
の花は迫力がありますから、余計、印象深いと思いま
した。
3 小野寺 若い頃には十分に語り合えなかった父と今は
亡き父が丹精した寒牡丹を通じて哀惜の心が伝わって
きます。父と息子はこういうものかもしれません。
(018) 紅色に 悲しさ隠す 寒つばき 吉良
1 杜瑯
(019) ビル街の山茶花ひそり人の波 深瀬
1 秋元 都会の隙間にある情景を思い浮かべました
(020) 山茶花の 絨毯映える 老夫婦 吉良
庭に植えた紅と白の山茶花2句
(021) 山茶花の白清々し文化の日 橋本
(022) 雨洗う山茶花の紅際立ちぬ 橋本
1 中津川
2 小野寺 冬枯れの時雨の景色の中、紅い山茶花は鮮や
かな対比をみせてひきたちます。
(023) 仏壇のまんりょうの実に遺影笑み 深瀬
1 野澤 詠み手の人柄が感じられます
(024) 山茶花に降り積もる雪しんしんと 秋岡
(025) 白霜の枯野にありて寒椿 秋元
1 志方 冬の山水画のようにすっきりしていると思い
ます。
(026) 寒い朝 旭に映える 寒椿 小幡
(027) 凍て土に 薔薇一輪の 夜は明け 小野寺
(028) 老年と老人 切り裂く 寒椿 杜瑯
(029) 春暁に 星瞬いて (またたいて) 白椿 小野寺
1 柳町
(030) 色あせてなお咲にけり冬薔薇 秋岡
(031) 凛として佇む椿いとおかし 柳町
1 豊 椿の凛とした姿に感じ入った作者。「おかし」
だと現代語での意味になってしまいますから「をかし」
と古語にしたほうがいいでしょう。
(032) 冬萌えの 牡丹は生命 (いのち) 宿しけり。 小野寺
1 杜瑯
(033) まんりょうの実を孫とみる自然園 深瀬
(034) 松に寄せ千両活けたる飾り花 秋元
1 豊 松の緑と千両の赤の取り合わせ。美しさが伝
わります。「活けたる」だと字余りになるので、「活
けし」でよかったのでは。
(035) 寒つばき 葉は艶やかに ポツと落つ 吉良
1 橋本
2 宮澤 寒椿の葉は本当に艶やかな緑です。何十年前
に緑という名の艶やかな娘が、惚れた何人もの男に花
を一輪一輪ポチポツと落として行きました。
(036) 初霜を押し上げ咲きし桜草 小野寺
1 小幡
2 深瀬 霜や残雪の間から小さな花がのぞく光景とい
うのは、生命力の凄さを実感します。子供のころの新
鮮な体験を思い出しました。
(037) 寒椿 梅に追われて 散り急ぐ 宮澤
1 秋元 春なんですがなんとなく移ろいを感じます
2 吉良 冬といえども色々な花が咲き、目を楽しませ
てくれます。
3 志方
(038) 水仙のごとき清しさ聖少女 豊
(039) 冬夜道 月光浴びて 寒椿 小野寺
(040) 寒椿 息吹き伝える 残り雪 志方
1 小野寺 寒さのなかの紅い椿と残り雪の対比が美しい
(041) 寒椿香りを観つつ初詣 柳町
3.新年
(042) 初詣 孫のお願い なんだろう 志方
(043) 初詣 寒さに耐えて 知恩院 小幡
(044) この春は トランプばかり カルタ無し 宮澤
1 小幡
(045) 初富士が 稜線刻む 薄茜 志方
1 中津川
2 豊 新春のめでたい雰囲気がよく出ています。
「初富士が稜線を刻む」でもイメージは伝わりますが、
「初富士や」もしくは「初富士の」ではいけないので
しょうか。
(046) 初雑煮杵つき餅の味深し 橋本
(047) 初打ちや 土竜の穴へ 大オービー 宮澤
(048) 新年や箱もの寂し新市場 橋本
(049) 七十路 孫にひかれて 初詣 柳町
(050) 初春やすれ違ふ人みな笑顔 豊
1 秋岡 今年は天候にも恵まれ穏やかな新年だったで
す。
2 橋本
3 小野寺 初詣の己の心の動きが人の笑顔になって現れ
てます。
(051) 初日の出 足長おじさん 影法師 宮澤
1 中津川
2 橋本
(052) お正月透き通る空人眠る 深瀬
(053) 凪 (なぎ) の海静かに明けて初日の出 豊
1 秋元 昔、正月の色紙をみているような気分になり
ます
2 柳町
3 志方 無駄のない情景表現ですね。
4 野澤 穏やかな新年を迎えられ,心が清められる思
いがします
4.雑詠 (含、川柳)
(054) 大晦日世の静けさに物思ひ 深瀬
1 秋岡 大晦日は紅白歌合戦もいいですが、やはり静
かに何か物思いに耽りたい気分です。
(055) 湯船にて痣の勲章 競う冬 野澤
1 深瀬 若かりしときのスキー場での想い出だと思い
ます。大胆さを競うことはなくなった感じです。老化
で転んでできた痣を自慢するようにはなりたくない。
(056) 浪の華 砕けて哀し いのち尽き 小野寺
1 宮澤 浪の華は、大きい強い波ほど美しく綺麗で、
はかないものです。
(057) 夕日暮れ薄紅 (うすくれない) に映える富士 秋元
(058) 海鳴りや オリオンとほく 浪砕け。 小野寺
1 宮澤 オリオンは本当にに神秘的です。海鳴りとい
う聴覚にも。砕ける浪という視覚にもぴったりとマッ
チします。
(059) 冬の午後きょう一日の時流る 深瀬
(060) 冬夜寒 潮の遠鳴り恋しかり。 小野寺
(061) 末法の枯野のドーム夕陽浴び 深瀬
(062) 渺茫と 木枯らし哭きて 原野 (げんや) 暮れ。 小野寺
(063) 寒気 (かんき) 舞ふ空調機音頼りなし 深瀬
(064) 蒼鉛の 遥か雲より 冬日射し 小野寺
1 吉良 ヨーロッパの冬景色の絵画を思い浮かばせる
句です。
2 中津川
3 柳町
(065) 抱き上げて にっこり眼(まなこ)の 孫愛し 志方
1 小幡
2 野澤 孫の笑顔はまさに天使
(066) 着ぶくれて人待ち顔の女かな 豊
(067) 冬銀河 おもひつる娘の 今はなく 小野寺
1 杜瑯
(068) 枯れ草の夕陽を受けて山遠く 深瀬
(069) まじまじと成人の日の娘見る 秋岡
(070) 大寒の明けゆく空に ひかり満つ 小野寺
1 杜瑯
2 吉良 冬の明け方の透き通った朝、身が引き締まる
感じがします。
(071) 暮れ泥 (なず) み青いそ餌に沙魚 (はぜ) を釣る 秋元
(072) 木枯しや猫陽だまりにまるく居り 橋本
1 小幡
2 小野寺 外の木枯らしと暖かい家の陽だまりに猫の対
比はさながらに作者の温かい心目でしょうか。
(073) 青空のひろがりまぶし冬木立 深瀬
四国ドライブ一人旅から3句
(074) 鳴門から室戸足摺空海と 橋本
(075) 道後館湯船もうれし掛け流し 橋本
(076) 四万十に生かされ生きる沈下橋 橋本
1 深瀬 沈下橋を改めて確認しました。増水時は沈む
訳ですから、飾り気のない力強さが強調されている感
じです。人間の生き方にも通ずるのでしょうか。
(077) 尼寺は 時雨れて 古都の街が暮れ 小野寺
1 宮澤 尼寺と言う言葉でもう駄目。時雨、古都とく
れば、日本に生まれて本当に良かったです。
(078) どんど焼き秘めた願ひの煙追ふ 深瀬
1 吉良 遠い子供の頃を思い出させてくれました。
2 秋岡 ”秘めた願いの煙追う”はいいですね。
3 豊 「秘めた願い」とは何でしょう。恋の成就か、
病の治癒か、それとも…。
(079) 川鵜追う小ボラの群れや鷺も待つ 橋本
(080) 筆とれば 小窓の外に 霙 (みぞれ) 落つ 小野寺
1 秋元 切り取られた一瞬のひらめきでしょうか
2 中津川 年賀状、書初めそれとも絵画の筆でしょうか
(081) 風花に空を見上げて深呼吸 秋岡
(082) 夕富士に双発ジェット茜色 橋本
(083) 初場所に日本が湧いた稀勢の里 秋岡
(084) 荒海や 波濤けぶりて 冬銀河 小野寺
1 秋元 月に照らされた凍てつく海と黒い天空でしょ
うか
(085) 枯れ草の池にとけこむ鷺一羽 深瀬
1 柳町
(086) 底冷えの 京のまちやに 寒の月 小野寺
(087) 同居者は猫一匹や冬籠 豊
1 吉良 猫と日向ぼこをした将来の我々の姿が目に浮
かびます。
2 秋岡 寂しいけれど、相棒のネコが居れば冬籠りも
また楽し(?)
3 橋本
(088) 冬バナナ色とにほひに思ひ馳す 深瀬
(089) 陽だまりに身体膨らせ寒雀 秋岡
1 中津川
2 豊 うまい。まさに俳句らしい句です。欠点がな
いのが欠点でしょうか。
3 小幡
4 深瀬 冬の雀は、いかにもまるくなって暖をとって
いる感じがします。ヒートテックの下着やコートのな
い生き物の摂理がすごいと思います。水墨画的世界の
ような感じもしました。
5 小野寺 冬の陽だまりに静かに羽を膨らませる雀は居
心地の良い穏やかな風景です。
(090) 冬の海 鳶一羽 舞ひ 陽はくれぬ。 小野寺
1 橋本
(091) 早朝の雪道歩む老夫婦 秋岡
(092) 海蒼し 木枯らし騒ぎ 百舌の啼く 小野寺
(093) 枯れ草や池に高層映えわたり 深瀬
(094) 独り往く枯野の路に冬の月 小野寺
1 杜瑯
2 志方
(095) 夢託す、古希の第二の、船出かな 藤原
(096) 塩香る、パークゴルフの、楽しさや 藤原
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