2018年2月21日水曜日

七句会 第23回ネット句会 選句結果のご報告です。

 七句会のみなさま
 第二十三回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
 6 点句
(092) 堂々と孫の筆先初日の出                治部
 5 点句
(047) 雪帽子すましほほえむ地蔵かな             深瀬
 4 点句
(018) 雪積みし汽車ほえきたり上野駅             深瀬
 3 点句
(055) 雪やみて 太古の世界 都市黙す            吉良
(064) いらだてる心の隅にのこり雪              深瀬
(070) 天国の入試気になる老いの冬              深瀬
 2 点句 
(001) 氷雪の 彼方を 北斗 回りけり            小野寺
(002) 静寂に眠れぬ夜の雪の声                秋岡
(006) 雪の朝救急車の音ひとりお茶              深瀬
(009) 降る雪を耐えて生命 (いのち) の紅き薔薇        小野寺
(011) 見送りの駅舎の祖父に 雪は降り            小野寺
(016) 雪原の鉄路消えゆく地平線               深瀬
(027) 陽だまりにサクサクきらり霜の華            志方
(036) 雪止みぬ 古都眠らせて 寒の月            小野寺
(040) 雪の原 凍鶴 (いてづる) 啼きて 夕日落つ       小野寺
(041) 雪解けの陽やまぶしけりビルの窓            深瀬
(050) 日だまりや雪掻きもせず眺めおり            橋本
(052) 風花の儚き命雲間より                 秋岡
(061) 雪ダルマ 溶けて凍って 涙顔             宮澤
(077) 夢に向け 初の日の出を 飲みほして          森杜瑯
(080) 元旦の若き山茶花初めじろ               橋本
(096) 飾焚く海にわき立つ狼煙かな              治部
(097) 一月も終わり消えゆく去年の日々            深瀬
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
  次回については、今年4 月中旬ころにご連絡したいと思っていますので、よ
ろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連
絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
 今回の選句には、下記の13名が参加しました。
  秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、志方さん、治部さん、中津川
さん、橋本さん、宮澤さん、森杜瑯さん、柳町さん、豊さん、深瀬。
 齋藤宏文さん。私の誤りで、投句依頼のメールをお送りしませんでした。た
いへん申し訳なく、失礼しました。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
  今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては3 月9 日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
  これまで、句会の後、勉強会としての集まりを企画していましたが、参加者
が少ないこともあり、改めることにしました。集まっての勉強会も適宜、行い
たいとは思っていますが、よろしくお願いします。
  2018.02.21
      代表   橋口侯之介 (休会中)
      顧問  豊  宣光
      事務方 深瀬久敬
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   兼題  雪
(001) 氷雪の 彼方を 北斗 回りけり            小野寺15
1 豊  雪の大地と夜空が合体した世界が目に浮
 かびます。スケールの大きな発想に感心しま
 した。
2 治部
(002) 静寂に眠れぬ夜の雪の声                秋岡05
1 森
2 深瀬  雪の降る夜、いつもと違い静かすぎで
 眠れないというのは、人間の微妙な心理だと
 感じます。
(003) バケツ湯で フロントガラス 雪融かし         中津川01
(004) 残雪にしかばねの山夕陽燃え              深瀬11
1 森
(005) 群青に 粉雪舞ひて 海は暮れ             小野寺17
1 柳町
(006) 雪の朝救急車の音ひとりお茶              深瀬03
1 吉良 救急車の音とお茶を飲んでいる静けさ
 のコントラストが印象的。お茶を飲みながら
 何を感じているのでしょうか。
2 宮澤  他人事ながらこんな日に大変だな。無
 事が一番と言い聞かせお茶を飲む老境の身。
 お茶にむせないよう気を付けましょう。
(007) 東雲 (しののめ) に雪煌めきて (きらめきて) 寒椿    小野寺21
(008) 深雪に足下とられ急ぐ街                秋元01
(009) 降る雪を耐えて生命 (いのち) の紅き薔薇        小野寺03
1 森
2 秋岡  白い雪と赤いバラのコントラストが耐
 えて生命という言葉で巧くつながっていると
 思います
(010) 膝に置く 黒い鞄に 雪二つ              宮澤01
1 橋本
(011) 見送りの駅舎の祖父に 雪は降り            小野寺05
1 吉良 田舎の祖父に会いに行ったのでしょう
 か。もしかしたらもう会えないかも知れない
 という予感が「雪は降り」に表されている気
 がします。
2 宮澤  しんしんと降る雪は、後悔、わだかま
 り、何もかも包み込んで絵にしてしまいます。
(012) 見る間にも降り積む港午後の雪             治部04
(013) 残り雪沈丁花が顔をだし                志方02
1 治部  
(014) 雪が降るアダモの歌や耳の奥              深瀬12
1 中津川 私の耳にも聞こえてきました
(015) 夜明け前 漢 (おとこ) の夢に 雪は積む        小野寺12
1 森
(016) 雪原の鉄路消えゆく地平線               深瀬06
1 柳町
2 吉良 北国の冬景色が目の前に浮かびあがる
 句です。
(017) 奥津城 (おくつき) に雪降り積もり 時空 (とき) が逝く 小野寺18
1 中津川 積もった雪がご先祖とのタイムマシ
 ンでしょうか
(018) 雪積みし汽車ほえきたり上野駅             深瀬01
1 橋本  雪の中を走り切ってたどり着いた終着
 上野駅、吠える(SL ですね) がいいです、懐
 かしい
2 宮澤  東京の皆さん、大変な思いで走ってき
 ました、雪国のお土産だよ、ポッポー。
3 秋岡   "汽車ほえきたり" はいいですね。東
 北本線の終着駅の上野駅のイメージそのもの
 です。
4 小野寺  イメージとして集団就職の時代を彷
 彿とさせます。
(019) 凍てついた噴水池に雪ダルマ              秋元02
(020) 凍蝶 (いてちょう) は 蛹となりて 雪の納屋      小野寺10
1 秋元  言葉のカッコよさと情景を感じられて、
(021) 六甲山朝日を浴びて光る雪               秋岡04
(022) 漁火に雪降りやまぬ暗き海               志方03
1 小野寺  寒い北の海の厳しい冬の漁場が切な
 く映ります
(023) 雪残り川を頼りて鳥来たる               橋本02
(024) 鈍色 (にびいろ) の宙 (そら) より雪の 光舞ひ     小野寺07
1 秋元  言葉のカッコよさと情景を感じられて、
(025) 敵味方 かまわず雪は 降り積もり           森杜瑯04
1 深瀬  敵味方というのは、穏やかではありま
 せんが、降る雪を見ながら秘めた闘志を確認
 するというのは新鮮な感じです。
(026) 老いてなお 思い出紡ぐ 峰の雪            吉良04
1 橋本 
(027) 陽だまりにサクサクきらり霜の華            志方01
1 秋岡  今年は公園での犬の散歩時にはこの光
  景をよく見ますが "サクサクきらり" ですね。
2 治部  
(028) 底冷えの 雪の夜路に 月のあり。           小野寺02
(029) 雪原を狩人と犬獲物追ひ                深瀬05
(030) 落日の 雪降る天 (そら) を雁 (かり) 渡る       小野寺13
1 志方 
(031) 雪道を滑りながらの犬散歩               秋岡01
(032) 湧き出ずる 闇夜の雪よ 顔を打つ           吉良02
1 橋本  暗闇の中、足下は照らしても舞う雪に
 はなすがまま、巧いです
(033) 山や河降り積む雪の静かさや              深瀬08
1 秋元  雪の静寂さを感じられて、
(034) 荒海や 昏き波濤に雪の華               小野寺09
(035) 蒼き鷺雪の白さに何想う                志方04
(036) 雪止みぬ 古都眠らせて 寒の月            小野寺20
1 秋元  雪の静寂さを感じられて、
2 治部  
(037) 雪景色 どこか見慣れた 江戸の朝           宮澤03
(038) 降る雪や 泣いて故郷を出でにけり。          小野寺06
1 豊  いま降っている雪を見て、かつて泣く泣
 く故郷をあとに上京してきたことを思い出し
 ているのでしょうか。それとも、雪の降る故
 郷をあとにしたいま、寂しさで涙が出ている
 のでしょうか。
(039) 吹雪くなか犬ぞり吠えてひた走る            深瀬14
(040) 雪の原 凍鶴 (いてづる) 啼きて 夕日落つ       小野寺08
1 柳町
2 吉良 鶴と雪の白色が夕日の中で溶け合って
 美しい情景を作り出しています。
(041) 雪解けの陽やまぶしけりビルの窓            深瀬09
1 中津川 都会の雪解けの様子が浮かびます
2 秋元  現代の街の情景を感じられて
(042)  (白根山噴火して) 逃げ惑う ゲレンデに跳ね 雪しぶき 中津川03
(043) しんしんと降り積む雪夜ひとり酒            深瀬02
1 小野寺  独り酒を飲みながらら更けゆく雪の
 夜の哀感がうかがわれます。
(044) 冬薔薇 (ふゆそうび) 生命 (いのち) 紡ぎて 雪の朝   小野寺01
(045) 風花に大口開けて舞う児らよ              秋岡02
1 吉良 子供の頃の自分を思い出させてくれま
 す。
(046) 降る雪や肩を寄せ合ひ二人酒              豊01
(047) 雪帽子すましほほえむ地蔵かな             深瀬04
1 吉良 この頃はあまりお地蔵様を見ることは
 ありませんが、昔の田舎の情景が思い出され
 ます。
2 志方  特に、最高ですね。
3 豊  道ばたにたたずむ石地蔵の頭に雪が積も
 っている。帽子ほどですから、薄くもなく高
 くもなくといった感じでしょうか。白い雪、
 地蔵の赤い頭巾とよだれかけ。色の対比もき
 れいです。
4 治部  
5 小野寺  雪のなかにたたずむ地蔵の帽子にか
 かる雪は心を温かくしそうです。
(048) 星月夜 板戸の街は 雪の中              小野寺16
1 橋本  似た句に036 がありますが、こちらを
 採りました
2 深瀬  降り続いた雪がやみ、古都の街はすっ
 ぽりと雪に覆われ、夜空には月や星が輝いて
 いるという様は、なにか蕪村的で印象に残り
 ます。
(049) 雪だるま 子供集いて 競いおり            吉良01
(050) 日だまりや雪掻きもせず眺めおり            橋本01
1 中津川 私も何もせず眺めていました
2 秋岡  今年は東京も雪かきが大変みたいでし
  たが、雪景色を楽しんでる余裕がいいですね。
(051) 粉雪を払わで越えし 峠路               小野寺04
(052) 風花の儚き命雲間より                 秋岡06
1 森
2 志方
(053) 夜空から湧き出る雪に吸い込まれ            深瀬07
1 宮澤  雪を街頭の下から見上げると、雪は降
 っているのか、雪が吸い込まれいるのか、不
 思議で神秘的な光景です
(054) 雪道に上弦の月寒々と                 秋岡03
(055) 雪やみて 太古の世界 都市黙す            吉良03
1 秋元  雪の静寂さを感じられて、
2 深瀬  都会がすっぽり大雪に覆われ、都市機
 能が麻痺して太古のようだというのは、風刺
 的な感じもします。
3 小野寺  降る雪の風景を 太古の世界から都
 市も黙らせるとした対比がにくい句です。
(056) 百舌鳥 (もず) 啼きて 静寂 (しじま) の底に 雪明かり 小野寺19
1 志方
(057) 残雪に街路まぶしき日本橋               深瀬10
1 志方
(058) 雪景色朝の光に清められ                豊02
(059) 孫はしゃぎ 小雪だるま 門前に置き          中津川02
1 柳町
(060) 葬列の 雪踏みしめて 風が泣き            小野寺14
(061) 雪ダルマ 溶けて凍って 涙顔             宮澤02
1 秋岡  情景が目に浮かび面白くて楽しい句で
  すね
2 深瀬  子供のころによく見た光景のように感
 じられ、なつかしい。
(062) 静かなり物音包み雪が降る               橋本03
1 宮澤  雪は、色彩、音を吸収し何もかもモノ
 トーンしてしまう。
(063) 吹雪越え 眼下に 峠ひかりおり。           小野寺22
(064) いらだてる心の隅にのこり雪              深瀬13
1 秋元  何やら謎のある感じがして
2 橋本 
3 豊  何かいらだつ出来事があった。それが後
 悔として心に残っている。心情を雪に託した
 見事な作品です。
(065) 月一輪 雪の鉄路を照らしけり             小野寺11
1 治部  


   兼題  受験
(066) インフル恐れ マスク並ぶ 模擬試験          中津川06
(067) 志望校落ちて身にしむ寒さかな             豊04
(068) 朝冷えを 受験に急ぐ 白い息             宮澤04
(069) 冬晴れや 合格祈願 寺社めぐり            中津川05
(070) 天国の入試気になる老いの冬              深瀬15
1 柳町
2 中津川 終活が天国への受験準備ですね
3 豊  天国に入るのにも入試があるとは驚きで
 す。天国に行くか地獄に落ちるかは生きてい
 る間の成績次第ですから、そうなのかもしれ
 ません。ユーモアと皮肉が効いています。
(071) 初詣大吉引いた受験生                 豊03
(072) 受験終え母とフルーツセピア色             深瀬17
(073) 絵馬重ね 梅の社や 受験生              中津川04
1 柳町
(074) 入試落ち駅のベンチに佇めり                深瀬16
1 秋岡  受験は人生の最初の試練ですね。受験
  生はこのベンチから立ち上がる力で頑張って
  欲しいものです。
(075) 受験生 滑らぬように 凍てる道            中津川07


   雑詠、無季語
(076) 笛ひびく工事現場の時雨れかな             深瀬25
(077) 夢に向け 初の日の出を 飲みほして          森杜瑯01
1 中津川
2 橋本  なんとも豪快です
(078) 皸 (あかぎれ) や手をかざし見る痛さかな        治部05
(079) 時雨れ聞き老後のゆとり妻に問ひ            深瀬26
(080) 元旦の若き山茶花初めじろ               橋本04
1 志方
2 小野寺  なんだか元旦から、若き山茶花と初
 メジロで映像が冴えいい事がありそうな気分
 になります。
(081) 熊撃ちて猟師合掌陽のひかり              深瀬23
1 吉良  最近は熊が町に出没するようになり、
 やむを得ず撃ち殺されたのでしょうか。合掌
 している背中に陽の光が仏様の光背のように
 見えたのでしょうか。
(082) 初日の出 夢にきらめく 天の竜            森杜瑯02
1 深瀬  初日の出のきらめきが、天に昇る竜の
 ようだという心象風景は、スケールが大きい
 と感じます。
(083) 手袋をスマートホンの指が脱ぎ             豊06
(084) 七十路の自転車漕ぎし三が日              深瀬22
(085) 男らの裸祭や寒の入                  豊05
(086) 風呂出ればテレビに笑ふ妻の声             深瀬24
(087) 残照に頭上の紅葉輝けり                橋本06
(088) 白き朝行く手を望む新成人               治部03
(089) 三が日ひかりも音も別世界               深瀬20
1 豊  正月三が日は、日本列島全体が活動を休
 む祝日。まさに光も音もいつもと違います。
 正月の風景を巧みに象徴しました。
(090) 初富士を眺める坂や日向ぼこ              橋本05
(091) 静かさや時間の止まる三が日              深瀬19
(092) 堂々と孫の筆先初日の出                治部01
1 森
2 柳町
3 中津川 立派な書初めができたのがよくわか
 ります
4 豊  「初日の出」は書き初めで必ず書かされ
 る文字です。小学生でしょうか中学生でしょ
 うか、お孫さんがしっかりとした筆さばきで
 書いた。それを喜んでいるおじいさん、おば
 あさんの顔が目に浮かびます。
5 秋岡  いつもながら孫がかわいくて仕方がな
  いという句ですね。
6 深瀬  お孫さんがいつのまにかこんなに逞し
 くなったかという感慨が伝わってきます。
(093) 柵越しに手をふる園児母を待ち             深瀬27
1 志方
(094) 凧揚げて 向かう行方は まだ知らず          森杜瑯03
(095) 木立越しスーパームーンの三が日            深瀬21
1 治部
(096) 飾焚く海にわき立つ狼煙かな              治部02
1 柳町
2 小野寺  焚いた正月飾りの煙を海の狼煙と見
 立てたところに切々とした情感を感じます。
(097) 一月も終わり消えゆく去年の日々            深瀬18
1 森
2 宮澤  引きずっていた去年のわだかまりも、
 年が明け1 か月でゆっくりと消えていく。時
 間が必要です。

  追記 
  選句にあたって、次のようなコメントがありました。ご参考までです。
- 各人のレベルが上がっていますね。 (森杜瑯さん)
- 本日までICELAND に行ってまして。投句のことを全く忘れていました。 (柳
町さん)
- 「雪」については数も多く、また力作く多く迷いました。 (中津川さん)
- もう23回目とは月日の過ぎる早さに驚きます。 (吉良さん)
- 私同様、「受験」の句は少なかったようですね。 (橋本さん)
- 今回は「雪」の句に詩情あふれるいい作品が多かったように思います。それ
に対して「受験」は少し難しかったのでしょうか。 (豊さん)
- いつものように選句の理由ではなく、こんなイメージが湧いたので選句しま
したということを記しました。 (宮澤さん)
 
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