七句会のみなさま
第二十四回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
6 点句
(023) 頬杖の少女は春の愁ひかな 豊
3 点句
(009) 隅田川たゆとう灯春うれい 秋元
(030) 夢一夜 (ひとよ) 超え来し峰に山桜 小野寺
(046) 卒業や はかまの列に 夢が起ち 中津川
(073) 暮れなずみ 香ほのかに 沈丁花 志方
高千穂神社
(086) 雷電に 浮かぶ妖しき 闇神楽 森杜瑯
2 点句
(019) 鳥啼きて春愁の湖 (うみ) 暮れにけり 小野寺
(024) 既視感も老ひて違和感春愁ふ 深瀬
(044) 鯉のぼり少年の夢大空へ 豊
(054) 飲み込まる時の津波に追いつかれ 深瀬
(060) 夢問われ笑ひごまかす老ひの春 深瀬
(062) 菜の花や群青の海光をり 小野寺
(066) 手入れして心和みぬ春の庭 橋本
(076) 奥津城 (おくつき) を風しのび哭き春の月 小野寺
(077) 遠雷が 切り裂く能登の 暗き海 志方
(079) 花衣 (はなごろも) ほつれし髪は風に揺れ 小野寺
(104) 荒城の堀埋めつくし花筏 小野寺
下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
次回については、今年7 月中旬ころにご連絡したいと思っていますので、よ
ろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連
絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
今回の選句には、下記の12名が参加しました。
秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、志方さん、治部さん、中津川
さん、橋本さん、宮澤さん、柳町さん、豊さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては6 月9 日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
これまで、句会の後、勉強会としての集まりを企画していましたが、参加者
が少ないこともあり、改めることにしました。集まっての勉強会も適宜、行い
たいとは思っていますが、よろしくお願いします。
2018.05.20
代表 橋口侯之介 (休会中)
顧問 豊 宣光
事務方 深瀬久敬
----------------------------------------------------------------------
1.兼題 春愁
(001) 散り桜 入日に消える 梢かな 志方05
(002) 風止みて川面に映る暑さかな 秋元02
(003) 朋去りて春愁の妻翳りあり。 小野寺12
1 志方 連合いの心情を思いやる気持ちが深く訴えかける。
(004) 春愁ふ青さ無縁の老境地 深瀬04
(005) 春愁や 霞のごとく 我を抱く 宮澤01
1 秋岡 ”我を抱く”とは中々言えない言葉ですが、何となく
分けの判らない春愁の思いが伝わってきます。
(006) 花が散り 思いの筏 うずを巻き 中津川02
1 秋元
(007) 晩鐘に 春の誘い 水ぬるむ 志方01
1 宮澤 ゴーンという音色も何やらまろやかに、そういえば水
もぬるみ、恋の憂いの春がきた・・・ならいいな。
(008) 春愁や木漏れ日の蒼滲みけり 小野寺08
1 深瀬 春愁と木漏れ日の蒼が滲むという情景の取り合わせが、
心象風景として奥深いものがあるように感じました。
(009) 隅田川たゆとう灯春うれい 秋元01
1 豊 隅田川の桜並木でしょうか。夜桜を照らす明かりが揺
れて、作者のうれい心を一層強めます。
2 宮澤 心に浮かぶ憂いのように、川面の灯りがゆれている
3 小野寺 隅田川に揺れる灯が、醸し出す春愁、味わい深いもの
があります
(010) 竹とんぼ 孫の瞳(目)高く 春の夕 志方02
1 柳町
(011) 眠れずの老ひの春愁ながき夜 深瀬01
1 秋岡 15番目の句の”老年のうつ”にもあるように歳をと
ると眠れない春の日がありますね
(012) 日だまりに 土手の土筆や 草いきれ 中津川01
(013) 春愁は土の匂いと白牡丹 小野寺19
(014) 春愁を 肴に一人 酒くらう 吉良01
1 志方 老境のひそかな楽しみと寂しさがしみじみです。
(015) 春愁や老年のうつ始まりぬ 豊 01
(016) 春愁に 水面に映ず 山桜 志方03
(017) 春愁を置き去りし日よ波の音 小野寺07
1 吉良
(018) 春愁や我が身に難し季題なり 橋本01
(019) 鳥啼きて春愁の湖 (うみ) 暮れにけり 小野寺11
1 志方 湖面に暮れゆく様が、鳥の声に伴奏されている。
2 中津川
(020) 七十路の朝餉にむせて春愁ふ 深瀬02
(021) 春愁の畔 (あぜ) の轍 (わだち) に雲雀 (ひばり) 啼く 小野寺15
(022) 皺深し 春愁もはや 逃げ去りぬ 吉良02
1 深瀬 かなりストレートな言い回しですが、なにか素直で磊
落な雰囲気が感じられました。
(023) 頬杖の少女は春の愁ひかな 豊 02
1 柳町
2 橋本
3 秋岡 いつまでもこんな句が詠めればいいですね。
4 秋元
5 宮澤 一丁前に頬杖ついた少女が考え事。君にも悩みはある
のだね。
6 治部
(024) 既視感も老ひて違和感春愁ふ 深瀬03
1 中津川
2 豊 かつては既視感として気分が盛り上がったのに、いま
は年老いて同じ感覚が違和感として感じられる。固い言葉が並
んでいま すが、老境の一端をうまくとらえています。
(025) アン二ュイな嵐の風の残り香が 秋元03
(026) 山路きて 逝く春惜しむ 影法師 志方04
1 治部
(027) 誰が知る 夢追い人の 春愁を 宮澤01
1 小野寺 漢の気概を深い詠嘆てして切ないものを感じます。
2.兼題 夢
(028) ぼけた夢めざめ安堵の妻ふつう 深瀬05
1 宮澤 ウ~っとうなって目が覚めた。隣で妻はスヤスヤ。若
い時と違って、醒めてほしい夢ばかり見ます。
(029) 孫の夢 叶えたくて 小銭もつ 柳町01
(030) 夢一夜 (ひとよ) 超え来し峰に山桜 小野寺21
1 吉良
2 志方 山桜の背景に新緑の出番が待ち受けいる情景が浮かび
ます。
3 秋元
(031) 春風に 夢儚けく 空に舞う 宮澤01
(032) 両岸の桜に舟の夢ごこち 深瀬08
(033) 庭に汽車 夢がかなって 一区切り 柳町02
(034) 時ながれ昭和平成夢に消え 深瀬11
(035) 花盛り 武将が夢の 出世城 中津川07
1 小野寺 桜の花の盛りに、戦国武将がかけた夢の城址、荒城の
月が偲ばれます。
(036) 山桜朝日に映えて夢つづき 深瀬09
1 小野寺 夢の続きはソメイヨシノではなくやはり山桜です。
(037) 鬼八石 夢で貫く 夏の風 森杜瑯02
(038) 七十年ふりかえみれば夢のごと 深瀬12
(039) 𣜿葉 (ゆずりは) は深き翠 (みどり) に夢を追い 小野寺09
1 柳町
(040) 陽だまりに 猫夢見てか 独り言 宮澤01
1 治部
(041) 夢のなかに入りませんかと陽水は 深瀬07
1 豊 無季の句ですが、ヒット曲をうまく取り入れておしゃ
れです。
(042) 若人(わかびと)や 若竹のごと 夢伸ばし 中津川04
(043) 七十年夢のまた夢歩みけり 深瀬13
1 秋岡 人生幾つになっても夢を作り、追いかけ生きて行くも
のですね。
(044) 鯉のぼり少年の夢大空へ 豊 03
1 吉良
2 秋岡 鯉のぼりが風に乗り大空を舞っている。少年の夢が大
きく広がっている。いいですね。
(045) 夢追いし 思いは遠く 春うらら 吉良03
(046) 卒業や はかまの列に 夢が起ち 中津川05
1 柳町
2 豊 卒業式は未来へ旅立つ第一歩。袴姿の女学生たちの胸
に夢が膨らんでいます。
3 橋本
(047) 衣川一期の夢か桜舞う 小野寺16
1 豊 「夏草や兵どもが夢の跡」。芭蕉のこの句も舞台は岩
手・衣川。きっと作者も意識したのでしょう。夏草と桜、季節
は違いますが、思いは一緒です。
ゴルフの句を以下二つ
(048) いつの日か夢はエージシュートなり 橋本02
(049) 鶯とかえるの歌に快ショット 橋本03
(050) 春光や何を夢見る新生児 豊 04
1 宮澤 春の日を浴びスヤスヤ。時々動く手足は、夢の中で何
か面白いこと見つけたのかな。
(051) 人を見て隠れる夢の胸騒ぎ 深瀬06
(052) アイドルが 夢をこわして 春の終 中津川06
1 橋本
(053) 春の夢 行きつ戻りつ 夜明け知り 宮澤01
1 深瀬 夜中になんかいもトイレに起きますが、春めいてくる
とややほっとした気持ちになります。
(054) 飲み込まる時の津波に追いつかれ 深瀬15
1 中津川 無季語ですが切迫感を感じました 悪夢でしょうか
2 秋元
(055) 春霞み 夢見る瞳 輝けり 吉良04
(056) 夢追いて一期の別れ花吹雪 小野寺18
(057) 時奔流先端もがき七十年 深瀬14
1 橋本
(058) 春議会 官僚の雄 夢くずし 中津川03
(059) ドイツのSL 撮って一つの 夢かなう 柳町04
1 治部
(060) 夢問われ笑ひごまかす老ひの春 深瀬10
1 中津川
2 橋本
3.自由題、無季語、川柳
(061) 新緑に 花ダイコンの 重ね刷り 志方10
1 秋元
(062) 菜の花や群青の海光をり 小野寺02
1 吉良
2 志方 菜の花の鮮やかな色彩が上手くうたわれている
(063) 佐保姫が来ているらしき富士の嶺 治部02
(064) 既視感になにか不穏の散り桜 深瀬16
(065) 瀬音食 (は) み風に消ゆるか花筏 小野寺13
1 柳町
(066) 手入れして心和みぬ春の庭 橋本04
1 豊 春は庭の花壇が彩られる季節。丹精込めて育てた花が
咲きそろって、作者の心をさぞいやしてくれたことでしょう。
2 深瀬 部屋のなかも掃除をすると気持ちがかなり変わります。
庭の手入れもたぶん同じだと思います。
(067) 普段着でベッド寝ころぶ春嬉し 深瀬18
1 秋岡 やっと暖かくなった喜びが溢れていていいですね。
(068) 風の色青くなりゆく五月かな 豊 05
1 深瀬 風の色が変わるという表現は、かなり心象的なものだ
と思いますが、同感したい気持ちです。
天岩戸が開く
(069) 手力男 古代のなぞを 開けし夏 森杜瑯03
(070) 北条の定めも載せて花筏 治部03
1 小野寺 北条氏の栄枯盛衰を花筏に観るなかなかの着想です。
(071) 古都の宵すべりてかろき花衣 (はなごろも) 小野寺20
1 中津川
(072) 花の森白き満月昇りたる 橋本05
(073) 暮れなずみ 香ほのかに 沈丁花 志方06
1 吉良
2 橋本
3 秋元
(074) 懸案の片づき窓に忘れ雪 深瀬21
1 中津川
(075) 石垣の残る古城やすみれ草 豊 06
(076) 奥津城 (おくつき) を風しのび哭き春の月 小野寺10
1 柳町
2 志方 月と奥津城の重なる情景が山水画のようですね。
(077) 遠雷が 切り裂く能登の 暗き海 志方07
1 秋元
2 小野寺 遠雷と暗い裏日本の能登の海の一瞬の稲光りの対比が
美しい、
(078) 京想う御室桜のただ一本 治部04
(079) 花衣 (はなごろも) ほつれし髪は風に揺れ 小野寺17
1 志方 実にそこはかとなく色っぽい(半世紀前に置き去った
心象風景がよみがえったような)
2 深瀬 花衣は花見用の華やかな衣裳のことのようですが、女
性の艶やかさが絵画的に切り取られていると感じました。
(080) ドア開けて新緑とびこむ朝静か 深瀬20
(081) 雪嵐 桜吹雪と 言う総理 志方11
(082) 追善の手桶に白き桜舞ひ 小野寺04
1 治部
(083) 夫婦して 我が世の春の 行く先は 志方13
(084) 軒先の鉢の草の芽ひかり受け 深瀬23
(085) こぶし越し 群雲淡き 紅に染む 志方08
高千穂神社
(086) 雷電に 浮かぶ妖しき 闇神楽 森杜瑯04
1 治部
2 深瀬 高千穂神社は、九州の神話時代に遡る史跡だと思いま
す。神話時代の神秘的魔界的雰囲気に引き込まれる感じがしま
した。
3 小野寺 稲妻の光に浮かんだ闇神楽の妖しさ。切り取った風景
が絵の様に浮かびます。
(087) 新緑や門前の空海苔纏う 橋本07
(088) がん告知帰路に草の芽ひかりおり 深瀬24
1 吉良
(089) 薄紅の牡丹ひらきて春の星 小野寺05
(090) 晴天に桜真っ赤な新車来る 治部05
(091) 新緑のひかりまばゆき日比谷かな 深瀬19
(092) 春爛漫 類は類呼ぶ お友達 志方12
(093) 群青を流して岬春霞 小野寺01
1 柳町
(094) 忘れ雪木窓の桟にひかり積む 深瀬22
(095) 瀬を速み伏し目の奥に花筏 小野寺06
(096) 黄砂飛ぶ日和洗濯物たまる 治部01
1 中津川 十七文字に日常感、生活感が表現されています
(097) 草の芽に紅きくちびる女子高生 深瀬25
(098) 物憂くて 孫の添い寝で ひと眠り 柳町03
二百トンの鬼岩
(099) 高千穂の 仙人涼し 岩飛ばす 森杜瑯01
(100) 白梅に 吹く風ぬるむ 散歩道 志方09
(101) 青鷺がカウカウと啼き春暮れぬ。 小野寺03
1 治部
(102) 雨上り春光煌めく水面かな 橋本06
(103) 花筏笑顔たたえる目黒川 深瀬17
(104) 荒城の堀埋めつくし花筏 小野寺14
1 豊 古城、堀、花筏。三つの材料がきれいにそろって、詩
的な風景を描き出しています。完成度の高い作品です。
2 橋本
----------
ご参考 選句におけるコメントです。
・吉良さん ---- 「春愁」の季語が今ひとつ実感できず句作、選句ともに苦
労しました。
・橋本さん ---- いつものことながら、素人には読んですっと入る句ばかり
となりました。
・秋岡さん ---- 今回は投句できませんでしたが、皆さん難しい兼題に対し
て上手に作られているので感心致しました。
・柳町さん ---- 来月の「ななめの会」は、家内とアイルランドへ行く予定
ですので参加できません。さらに、「七夕会」も先約があり参加できません。
とほほっーーーーーです!