七句会のみなさま
第二十五回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
5 点句
(010) 蚊と暑さ逃れし蚊帳の夜の在りし 橋本
4 点句
(033) 白き帆の速き滑走夏光る 豊
(039) 陽(ひ)を沈め 群青の海 燃え上がる 吉良
3 点句
(009) 火の玉が 窓を突き抜け 燃える夏 宮澤
(015) 寒さにも 暑さにも負け 年を知る 宮澤
(044) 夏の海夕陽の影絵船の行く 深瀬
(079) ゆるやかに 蛍の生命 (いのち) 闇流る。 小野寺
(082) 手を広げ 入道雲に 夢と飛ぶ 杜瑯
2 点句
(006) 涼しとはいつの季語かと俳句読む 治部
(011) 老いてなお 暑さ蹴散らせ 道半ば 吉良
(021) 炎天に汗したたりて 蝉しぐれ。 小野寺
(028) シュノーケル海の生命 (いのち) の濃さを知り 橋本
(030) 鎮魂の 読経の声か 夏の海 小野寺
(031) 暑さ溜め 黒く漂う 夜の海 宮澤
(051) 亡き友の 画に咲いており 夏の薔薇 小野寺
(052) 夏めいて老母の脛の細きかな 深瀬
(065) 紫陽花の 露に宿りて 虹光り 小野寺
(070) 絽に足袋で 打ち水渡り 古都は暮れ 小野寺
(091) 暮れなずむ五十路まぶしき浴衣かな 治部
(096) 夕闇の 殻脱ぎ捨てて 青き蝉 小野寺
下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
次回については、今年10月中旬ころにご連絡したいと思っていますので、よ
ろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連
絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
今回の選句には、下記の12名が参加しました。
秋元さん、小野寺さん、吉良さん、志方さん、治部さん、中津川さん、橋本
さん、宮澤さん、森杜瑯さん、柳町さん、豊さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては9 月9 日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
これまで、句会の後、勉強会としての集まりを企画していましたが、参加者
が少ないこともあり、改めることにしました。集まっての勉強会も適宜、行い
たいとは思っていますが、よろしくお願いします。
2018.08.19
代表 橋口侯之介 (休会中)
顧問 豊 宣光
事務方 深瀬久敬
----------------------------------------------------------------------
1.兼題 暑さ
(001) 政権も猛暑も豪雨も歯止無し 橋本
(002) シェルターに閉じ籠もりたき暑さかな 深瀬
(003) コンチキチン 歩む浴衣や 熱帯夜 中津川
(004) 炎天の熱射浴びたる無帽の子 豊
(005) 熱帯夜今や懐かし死語となり 秋元
(006) 涼しとはいつの季語かと俳句読む 治部
1 中津川
2 橋本
(007) 十字架の入り江に沈む暑き夕 深瀬
1 治部 この句は素晴らしいと思います。十字架の入り江に沈
むとはなんと詩的な表現でしょう。天草の世界遺産にある小さ
な教会の向こうに沈んでゆく夕日(沈むとは夕日の事だと勝手
に)がくっきりと見えますね。ここもまた暑い夏なのですね。
隠れキリシタン(潜伏キリシタンではありません)の厳しい夏
もあったことでしょう。十字架の入り江に沈むとは、悲しい歴
史をも想像させる奥の深さを感じます。
(008) 一筋の 汗流れ落つ 大暑かな。 小野寺
1 秋元
(009) 火の玉が 窓を突き抜け 燃える夏 宮澤
1 吉良 今年の夏の異常な暑さが感じられます。
2 治部 火の玉が窓を突き抜けるとはすごい。今年はメチャク
チャ暑い。この句を見て比喩がそのメチャクチャ感をしっかり
表していると思います。よく思いついたと感動しました。
3 深瀬 今夏の暑さは、地球最後の日を想わせる感じがしまし
た。「火の玉が窓を突き抜け」はそれに相応しい感じです。
(010) 蚊と暑さ逃れし蚊帳の夜の在りし 橋本
1 豊 昔は蚊帳は夏の必需品でした。幼いころを思い出しま
す。
2 宮澤 年のせいか足は良くつるようになりましたが、蚊帳は
吊らなくなりました。そういえば、豚の蚊取り線香入れもどこ
へ行ったのでしょう。
3 秋元
4 小野寺 子供の頃の蚊帳は懐かしい夏の風物詩でしたね。暑さ
の記憶のなかに 蚊帳の匂いの夜は確かにありました。
5 深瀬 今の子供に蚊帳は分かるのでしょうか。子供のころ、
蚊帳を吊った中は別世界のように感じられたのがなつかしいで
す。
(011) 老いてなお 暑さ蹴散らせ 道半ば 吉良
1 志方 老いと猛暑に対する気概と自己認識が相対しているよ
うです。
2 柳町
(012) 打ち水も苦しき我が家の戦ぶり 治部
(013) 声がせぬ 学校プール 40度 中津川
1 宮澤 ブロック塀が倒れたり、暑さで中止になったり、学校
のプールから聞こえる子供たちの声を最近聞きません。ラジオ
体操も夏休み前半で終わりのようで、子供たちの姿を見るには
塾へ行くのが一番のようです。
(014) 川下り暑さ吹き飛ぶ水飛沫 深瀬
(015) 寒さにも 暑さにも負け 年を知る 宮澤
1 吉良 年はとっても気持ちが大切です。お互いに頑張りまし
ょう。
2 橋本
3 志方 老いと猛暑に対する気概と自己認識が相対しているよ
うです。
(016) アルプスの霊峰仰ぎ暑気払い 深瀬
(017) 打ち水に涼を求める猛暑かな 秋元
1 小野寺 季重なりの句ですが、猛暑を癒す打ち水は静かで密や
かな涼に違いありません。
(018) 雑草(くさ)むしり 蚊さえ飛べぬ 猛暑かな 中津川
1 橋本
(019) 行水の 盥もお湯に 暑熱かや 柳町
(020) 命懸け 公園目指す 夏吟行 中津川
(021) 炎天に汗したたりて 蝉しぐれ。 小野寺
1 吉良 都会の公園にもセミ時雨が聞かれ、情景が共感できま
す。
2 治部 季語が三つも入っていることに、どうなの?と思いな
がらなぜか素直に暑さを感じてしまう。いい句なんでしょうね。
(022) ニュース見てますます苦しき暑さかな 治部
(023) 暑き朝ジョギングびとの口への字 深瀬
(024) 空の鳥灼かれて墜ちる真昼かな 豊
1 柳町
(025) 海風にあたりて凌ぐ暑さかな 秋元
(026) 窓の外 暑さ溢れて 散歩止め 宮澤
1 橋本
2.兼題 海
(027) 故郷の 海鳴りとほく 風立ちぬ 小野寺
1 森
(028) シュノーケル海の生命 (いのち) の濃さを知り 橋本
1 豊 陸と同じように海の中にも様々な生物がいます。ふだ
んはあまり気にしませんが、潜るとそれがよくわかるのです。
「生命の濃さ」という表現がいいですね。
2 深瀬 上五のシュノーケルによって海底世界に引き込まれ、
色鮮やかな海牛などが目に見える感じです。海は生きものの故
郷を実感しました。
(029) 帰る日や散骨されて海の底 深瀬
1 治部 帰る日の意味がよくわかりませんでした。無季語の句
はもう少しわかりやすい方がいいのかもしれません。
(030) 鎮魂の 読経の声か 夏の海 小野寺
1 中津川
2 柳町
(031) 暑さ溜め 黒く漂う 夜の海 宮澤
1 吉良 夜のは涼しさを感ずるもの。暑さを黒く漂うと表現し
ている点が面白く読みました。
2 小野寺 暑さを溜めた海が黒く漂うという表現が暑い夜の海の
風景画です。
(032) 富士を背に土肥まで海路夏合宿 深瀬
(033) 白き帆の速き滑走夏光る 豊
1 中津川
2 橋本
3 小野寺 夏の海の輝きを白い帆の流れで的確に捉えて軽快なリ
ズムを生み出してます。
4 深瀬 強い陽差しを照り返している夏ならではの海の様子が、
足早に進む白い帆とともに眼に浮かびました。
(034) 海水浴 似合わぬ 老いの腹 中津川
(035) 横浜の港見え消え大花火 治部
(036) けだるげに 寄せる波音 夏の海 宮澤
(037) 海旅館花火くだけて波しぶき 深瀬
(038) 夢一期 銀河の海に 星流れ 小野寺
1 森
(039) 陽(ひ)を沈め 群青の海 燃え上がる 吉良
1 治部 無季語の句が多いと思いますが、句としてはそれぞれ
味わえますね。
2 豊 鮮やかな描写です。作者の情熱を感じます。
3 志方 なつの海の情景描写が秀逸
4 柳町
(040) 居酒屋化 水着はぬれず 海の家 中津川
(041) 夏の海さかなの声に耳澄ます 深瀬
(042) 白南風 (しらはえ) や 紺碧の海 帆が競い 小野寺
1 秋元
(043) 啼く海の 音に震える 宿の夜 柳町
1 治部 無季語の句が多いと思いますが、句としてはそれぞれ
味わえますね。
(044) 夏の海夕陽の影絵船の行く 深瀬
1 吉良 情景が目の前に浮かびます。
2 宮澤 ベトナムの水上人形劇やインドネシアの影絵の劇の世
界を思い出します。
3 志方 なつの海の情景描写が秀逸
(045) 黯き (くらき) 海 稲妻光り 夏来たる。 小野寺
(046) 海ゆかば五十六無念終戦忌 深瀬
1 柳町
(047) 千キロの海様々に小笠原 橋本
1 治部 無季語の句が多いと思いますが、句としてはそれぞれ
味わえますね。
(048) 行く夏を惜しみて海の夕日かな 豊
1 小野寺 海に落ちゆく真っ赤な夕日はそこはかとなく夏の終わ
りを告げる光と感じたのでしょう。
(049) 大花火横浜港の見え消えて 治部
(050) 海底 (うなぞこ) に生のふるさと見る車窓 深瀬
1 治部 無季語の句が多いと思いますが、句としてはそれぞれ
味わえますね。
3.雑詠
(051) 亡き友の 画に咲いており 夏の薔薇 小野寺
1 吉良 人の命は限りあるものですが、芸術作品は作者の亡き
あともを感動を残してくれるのでしょう。
2 深瀬 亡き友の描いた絵と静かに対面している作者の気持ち
の奥深くが伝わってくるように思いました。
(052) 夏めいて老母の脛の細きかな 深瀬
1 豊 かなりレベルの高い句だと思いますが、同じような内
容で誰か俳人がすでに詠んでいたような気がするのですが、誤
解でしょうか。
2 橋本
(053) 百合の花 汗噴く男に 日陰かす 杜瑯
(054) 星月夜 蒼き翅もて 蝉生まる。 小野寺
(055) あらかわい振りむく蜥蜴と目が合って 治部
1 宮澤 可愛いトカゲに「おいで」と言ったら返事は舌出して
「あかんべー」。先日、我が家の玄関先に青大将が現れ、しば
らく見つめあっていましたが、ふいっと何も言わずに自宅に戻
られました。
(056) 絵を描きし 朋去り 夏の独り酒 小野寺
1 志方 朋への追悼の思いの深さが簡潔に表現されているよう
です。
(057) 棺の蓋閉じて釘打つ石の音 深瀬
(058) 灯籠の明かりに揺れる幽霊画 豊
1 中津川
(059) 鶯の 相聞響く 樹陰かな 志方
1 橋本
(060) 老師逝く 故郷 (ふるさと) 遙か 百合の花 小野寺
(東海道七里の渡しで 2句)
(061) 夏の波 ひつまむし食べ 海街道 中津川
(062) 熱田宮 詣でて桑名へ 夏渡し 中津川
1 豊 熱田神宮から桑名へ夏の旅です。「夏渡し」の言葉が
大きな広がりを感じさせてみごとです。
(063) 新築のマンションの窓夏陽受け 深瀬
(064) 七とせの 願い届くか 稲穂かな 志方
(065) 紫陽花の 露に宿りて 虹光り 小野寺
1 宮澤 紫陽花の色が変わるのに、宿った露も負けじと色変化。
きれいですね。
2 秋元
(066) プールの辺 聢と手を添え 孫の肘 柳町
(067) 赤ワイン 友の遺作に 夏めぐる。 小野寺
(068) 虚無感のしじまに軋む夏の夜 深瀬
(069) カサブランカ 男の汗に 花弁燃え 杜瑯
(070) 絽に足袋で 打ち水渡り 古都は暮れ 小野寺
1 中津川
2 柳町
(071) 相馬路の 青田に映る 白き雲 志方
1 深瀬 津波や原発事故に翻弄された相馬の今の状況がしみじ
みと詠まれていると感じました。
(072) 老化とはかくの如きと少し知り 深瀬
(夏の庭3句)
(073) 剪定し程よき木陰芝を刈る 橋本
(074) 空蝉のがっちり留まる枝葉かな 橋本
(075) 揚羽蝶みかんの幼葉に子を託す 橋本
1 中津川
(076) 波の音抜ける雑踏夏夜店 深瀬
(077) 打ち水を 跨げば 髪が風に舞ひ。 小野寺
1 秋元
(078) もぎたての野菜で乾杯老仲間 深瀬
(079) ゆるやかに 蛍の生命 (いのち) 闇流る。 小野寺
1 森
2 吉良 蛍の飛ぶ様子が「ゆるやか」という表現されていると
ころがすばらしい。
3 志方 多分に色っぽい情景かなと思いいたします。
(080) 手にもって食事できずば旅立つ日 深瀬
(081) 幼児(おさなご)の 麦わら帽子に 風が寄せ 志方
(082) 手を広げ 入道雲に 夢と飛ぶ 杜瑯
1 秋元
2 小野寺 我々はいつの歳になっても 積乱雲に諸手をあげて挑
戦する気概と夢を持ち続けたいものです。雄大ないい句です。
3 深瀬 入道雲と夢の取り合わせになにか強い男気を感じます
が、さらに手を広げというのはロマンチックな印象も受けまし
た。
(083) 日本製絶滅危惧種身の回り 深瀬
(084) 汗拭う 読経の外は 蝉しぐれ 小野寺
1 宮澤 心頭滅却して読経していますが大粒の汗。刹那の命の
蝉は大きな声で鳴いても汗一つかきません。まだまだ修行が足
りません。
(085) 雨蛙飛び跳ねんとす脚二本 深瀬
(086) 学生街変わらぬ音やかき氷 治部
1 豊 学生街の喫茶店で恋人同士がかき氷をつつきながら愛
を語り合う。昔も今も変わらない情景です。
(087) 風碧く 古城の堀に 蓮の華 小野寺
1 柳町
(088) 雲流れ 茶臼岳にも 夏空が 志方
(089) 焼け野原空透き通り終戦忌 深瀬
(090) 絶景をカメラの中へ夏の山 豊
(091) 暮れなずむ五十路まぶしき浴衣かな 治部
1 志方 女性へのそこはかとない尊敬?がいいですね。
2 小野寺 夕暮れ時 夏祭りに行く雑踏のなかでふと出会った五
十路の浴衣姿は二十歳や三十路ではないところに艶があります。
(092) 碧空に 風澄みわたり 夏木立 小野寺
1 豊 余計なものを入れずに、夏らしい景色をすっきりと詠
んでいるのがいいですね。
(093) 朝ホーム退かず避けずの肉バトル 深瀬
(094) 峠道 甘き横笛 息鎮め 杜瑯
(095) 今年また ひぐらしがなく 夏も往く 志方
(096) 夕闇の 殻脱ぎ捨てて 青き蝉 小野寺
1 中津川
2 秋元
(097) 大阪に震度6弱初夏の朝 深瀬
(098) 廃屋の 庭を覆うは 夏草や 志方
(099) カサブランカ 熱射に負けず 上を向く 杜瑯
(100) 古希過ぎて 夏雲の群れ 超えんとす。 小野寺
(101) 七十路の微睡 (まどろ) ひの陰つきまとひ 深瀬
----
第二十五回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
5 点句
(010) 蚊と暑さ逃れし蚊帳の夜の在りし 橋本
4 点句
(033) 白き帆の速き滑走夏光る 豊
(039) 陽(ひ)を沈め 群青の海 燃え上がる 吉良
3 点句
(009) 火の玉が 窓を突き抜け 燃える夏 宮澤
(015) 寒さにも 暑さにも負け 年を知る 宮澤
(044) 夏の海夕陽の影絵船の行く 深瀬
(079) ゆるやかに 蛍の生命 (いのち) 闇流る。 小野寺
(082) 手を広げ 入道雲に 夢と飛ぶ 杜瑯
2 点句
(006) 涼しとはいつの季語かと俳句読む 治部
(011) 老いてなお 暑さ蹴散らせ 道半ば 吉良
(021) 炎天に汗したたりて 蝉しぐれ。 小野寺
(028) シュノーケル海の生命 (いのち) の濃さを知り 橋本
(030) 鎮魂の 読経の声か 夏の海 小野寺
(031) 暑さ溜め 黒く漂う 夜の海 宮澤
(051) 亡き友の 画に咲いており 夏の薔薇 小野寺
(052) 夏めいて老母の脛の細きかな 深瀬
(065) 紫陽花の 露に宿りて 虹光り 小野寺
(070) 絽に足袋で 打ち水渡り 古都は暮れ 小野寺
(091) 暮れなずむ五十路まぶしき浴衣かな 治部
(096) 夕闇の 殻脱ぎ捨てて 青き蝉 小野寺
下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
次回については、今年10月中旬ころにご連絡したいと思っていますので、よ
ろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連
絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
今回の選句には、下記の12名が参加しました。
秋元さん、小野寺さん、吉良さん、志方さん、治部さん、中津川さん、橋本
さん、宮澤さん、森杜瑯さん、柳町さん、豊さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては9 月9 日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
これまで、句会の後、勉強会としての集まりを企画していましたが、参加者
が少ないこともあり、改めることにしました。集まっての勉強会も適宜、行い
たいとは思っていますが、よろしくお願いします。
2018.08.19
代表 橋口侯之介 (休会中)
顧問 豊 宣光
事務方 深瀬久敬
----------------------------------------------------------------------
1.兼題 暑さ
(001) 政権も猛暑も豪雨も歯止無し 橋本
(002) シェルターに閉じ籠もりたき暑さかな 深瀬
(003) コンチキチン 歩む浴衣や 熱帯夜 中津川
(004) 炎天の熱射浴びたる無帽の子 豊
(005) 熱帯夜今や懐かし死語となり 秋元
(006) 涼しとはいつの季語かと俳句読む 治部
1 中津川
2 橋本
(007) 十字架の入り江に沈む暑き夕 深瀬
1 治部 この句は素晴らしいと思います。十字架の入り江に沈
むとはなんと詩的な表現でしょう。天草の世界遺産にある小さ
な教会の向こうに沈んでゆく夕日(沈むとは夕日の事だと勝手
に)がくっきりと見えますね。ここもまた暑い夏なのですね。
隠れキリシタン(潜伏キリシタンではありません)の厳しい夏
もあったことでしょう。十字架の入り江に沈むとは、悲しい歴
史をも想像させる奥の深さを感じます。
(008) 一筋の 汗流れ落つ 大暑かな。 小野寺
1 秋元
(009) 火の玉が 窓を突き抜け 燃える夏 宮澤
1 吉良 今年の夏の異常な暑さが感じられます。
2 治部 火の玉が窓を突き抜けるとはすごい。今年はメチャク
チャ暑い。この句を見て比喩がそのメチャクチャ感をしっかり
表していると思います。よく思いついたと感動しました。
3 深瀬 今夏の暑さは、地球最後の日を想わせる感じがしまし
た。「火の玉が窓を突き抜け」はそれに相応しい感じです。
(010) 蚊と暑さ逃れし蚊帳の夜の在りし 橋本
1 豊 昔は蚊帳は夏の必需品でした。幼いころを思い出しま
す。
2 宮澤 年のせいか足は良くつるようになりましたが、蚊帳は
吊らなくなりました。そういえば、豚の蚊取り線香入れもどこ
へ行ったのでしょう。
3 秋元
4 小野寺 子供の頃の蚊帳は懐かしい夏の風物詩でしたね。暑さ
の記憶のなかに 蚊帳の匂いの夜は確かにありました。
5 深瀬 今の子供に蚊帳は分かるのでしょうか。子供のころ、
蚊帳を吊った中は別世界のように感じられたのがなつかしいで
す。
(011) 老いてなお 暑さ蹴散らせ 道半ば 吉良
1 志方 老いと猛暑に対する気概と自己認識が相対しているよ
うです。
2 柳町
(012) 打ち水も苦しき我が家の戦ぶり 治部
(013) 声がせぬ 学校プール 40度 中津川
1 宮澤 ブロック塀が倒れたり、暑さで中止になったり、学校
のプールから聞こえる子供たちの声を最近聞きません。ラジオ
体操も夏休み前半で終わりのようで、子供たちの姿を見るには
塾へ行くのが一番のようです。
(014) 川下り暑さ吹き飛ぶ水飛沫 深瀬
(015) 寒さにも 暑さにも負け 年を知る 宮澤
1 吉良 年はとっても気持ちが大切です。お互いに頑張りまし
ょう。
2 橋本
3 志方 老いと猛暑に対する気概と自己認識が相対しているよ
うです。
(016) アルプスの霊峰仰ぎ暑気払い 深瀬
(017) 打ち水に涼を求める猛暑かな 秋元
1 小野寺 季重なりの句ですが、猛暑を癒す打ち水は静かで密や
かな涼に違いありません。
(018) 雑草(くさ)むしり 蚊さえ飛べぬ 猛暑かな 中津川
1 橋本
(019) 行水の 盥もお湯に 暑熱かや 柳町
(020) 命懸け 公園目指す 夏吟行 中津川
(021) 炎天に汗したたりて 蝉しぐれ。 小野寺
1 吉良 都会の公園にもセミ時雨が聞かれ、情景が共感できま
す。
2 治部 季語が三つも入っていることに、どうなの?と思いな
がらなぜか素直に暑さを感じてしまう。いい句なんでしょうね。
(022) ニュース見てますます苦しき暑さかな 治部
(023) 暑き朝ジョギングびとの口への字 深瀬
(024) 空の鳥灼かれて墜ちる真昼かな 豊
1 柳町
(025) 海風にあたりて凌ぐ暑さかな 秋元
(026) 窓の外 暑さ溢れて 散歩止め 宮澤
1 橋本
2.兼題 海
(027) 故郷の 海鳴りとほく 風立ちぬ 小野寺
1 森
(028) シュノーケル海の生命 (いのち) の濃さを知り 橋本
1 豊 陸と同じように海の中にも様々な生物がいます。ふだ
んはあまり気にしませんが、潜るとそれがよくわかるのです。
「生命の濃さ」という表現がいいですね。
2 深瀬 上五のシュノーケルによって海底世界に引き込まれ、
色鮮やかな海牛などが目に見える感じです。海は生きものの故
郷を実感しました。
(029) 帰る日や散骨されて海の底 深瀬
1 治部 帰る日の意味がよくわかりませんでした。無季語の句
はもう少しわかりやすい方がいいのかもしれません。
(030) 鎮魂の 読経の声か 夏の海 小野寺
1 中津川
2 柳町
(031) 暑さ溜め 黒く漂う 夜の海 宮澤
1 吉良 夜のは涼しさを感ずるもの。暑さを黒く漂うと表現し
ている点が面白く読みました。
2 小野寺 暑さを溜めた海が黒く漂うという表現が暑い夜の海の
風景画です。
(032) 富士を背に土肥まで海路夏合宿 深瀬
(033) 白き帆の速き滑走夏光る 豊
1 中津川
2 橋本
3 小野寺 夏の海の輝きを白い帆の流れで的確に捉えて軽快なリ
ズムを生み出してます。
4 深瀬 強い陽差しを照り返している夏ならではの海の様子が、
足早に進む白い帆とともに眼に浮かびました。
(034) 海水浴 似合わぬ 老いの腹 中津川
(035) 横浜の港見え消え大花火 治部
(036) けだるげに 寄せる波音 夏の海 宮澤
(037) 海旅館花火くだけて波しぶき 深瀬
(038) 夢一期 銀河の海に 星流れ 小野寺
1 森
(039) 陽(ひ)を沈め 群青の海 燃え上がる 吉良
1 治部 無季語の句が多いと思いますが、句としてはそれぞれ
味わえますね。
2 豊 鮮やかな描写です。作者の情熱を感じます。
3 志方 なつの海の情景描写が秀逸
4 柳町
(040) 居酒屋化 水着はぬれず 海の家 中津川
(041) 夏の海さかなの声に耳澄ます 深瀬
(042) 白南風 (しらはえ) や 紺碧の海 帆が競い 小野寺
1 秋元
(043) 啼く海の 音に震える 宿の夜 柳町
1 治部 無季語の句が多いと思いますが、句としてはそれぞれ
味わえますね。
(044) 夏の海夕陽の影絵船の行く 深瀬
1 吉良 情景が目の前に浮かびます。
2 宮澤 ベトナムの水上人形劇やインドネシアの影絵の劇の世
界を思い出します。
3 志方 なつの海の情景描写が秀逸
(045) 黯き (くらき) 海 稲妻光り 夏来たる。 小野寺
(046) 海ゆかば五十六無念終戦忌 深瀬
1 柳町
(047) 千キロの海様々に小笠原 橋本
1 治部 無季語の句が多いと思いますが、句としてはそれぞれ
味わえますね。
(048) 行く夏を惜しみて海の夕日かな 豊
1 小野寺 海に落ちゆく真っ赤な夕日はそこはかとなく夏の終わ
りを告げる光と感じたのでしょう。
(049) 大花火横浜港の見え消えて 治部
(050) 海底 (うなぞこ) に生のふるさと見る車窓 深瀬
1 治部 無季語の句が多いと思いますが、句としてはそれぞれ
味わえますね。
3.雑詠
(051) 亡き友の 画に咲いており 夏の薔薇 小野寺
1 吉良 人の命は限りあるものですが、芸術作品は作者の亡き
あともを感動を残してくれるのでしょう。
2 深瀬 亡き友の描いた絵と静かに対面している作者の気持ち
の奥深くが伝わってくるように思いました。
(052) 夏めいて老母の脛の細きかな 深瀬
1 豊 かなりレベルの高い句だと思いますが、同じような内
容で誰か俳人がすでに詠んでいたような気がするのですが、誤
解でしょうか。
2 橋本
(053) 百合の花 汗噴く男に 日陰かす 杜瑯
(054) 星月夜 蒼き翅もて 蝉生まる。 小野寺
(055) あらかわい振りむく蜥蜴と目が合って 治部
1 宮澤 可愛いトカゲに「おいで」と言ったら返事は舌出して
「あかんべー」。先日、我が家の玄関先に青大将が現れ、しば
らく見つめあっていましたが、ふいっと何も言わずに自宅に戻
られました。
(056) 絵を描きし 朋去り 夏の独り酒 小野寺
1 志方 朋への追悼の思いの深さが簡潔に表現されているよう
です。
(057) 棺の蓋閉じて釘打つ石の音 深瀬
(058) 灯籠の明かりに揺れる幽霊画 豊
1 中津川
(059) 鶯の 相聞響く 樹陰かな 志方
1 橋本
(060) 老師逝く 故郷 (ふるさと) 遙か 百合の花 小野寺
(東海道七里の渡しで 2句)
(061) 夏の波 ひつまむし食べ 海街道 中津川
(062) 熱田宮 詣でて桑名へ 夏渡し 中津川
1 豊 熱田神宮から桑名へ夏の旅です。「夏渡し」の言葉が
大きな広がりを感じさせてみごとです。
(063) 新築のマンションの窓夏陽受け 深瀬
(064) 七とせの 願い届くか 稲穂かな 志方
(065) 紫陽花の 露に宿りて 虹光り 小野寺
1 宮澤 紫陽花の色が変わるのに、宿った露も負けじと色変化。
きれいですね。
2 秋元
(066) プールの辺 聢と手を添え 孫の肘 柳町
(067) 赤ワイン 友の遺作に 夏めぐる。 小野寺
(068) 虚無感のしじまに軋む夏の夜 深瀬
(069) カサブランカ 男の汗に 花弁燃え 杜瑯
(070) 絽に足袋で 打ち水渡り 古都は暮れ 小野寺
1 中津川
2 柳町
(071) 相馬路の 青田に映る 白き雲 志方
1 深瀬 津波や原発事故に翻弄された相馬の今の状況がしみじ
みと詠まれていると感じました。
(072) 老化とはかくの如きと少し知り 深瀬
(夏の庭3句)
(073) 剪定し程よき木陰芝を刈る 橋本
(074) 空蝉のがっちり留まる枝葉かな 橋本
(075) 揚羽蝶みかんの幼葉に子を託す 橋本
1 中津川
(076) 波の音抜ける雑踏夏夜店 深瀬
(077) 打ち水を 跨げば 髪が風に舞ひ。 小野寺
1 秋元
(078) もぎたての野菜で乾杯老仲間 深瀬
(079) ゆるやかに 蛍の生命 (いのち) 闇流る。 小野寺
1 森
2 吉良 蛍の飛ぶ様子が「ゆるやか」という表現されていると
ころがすばらしい。
3 志方 多分に色っぽい情景かなと思いいたします。
(080) 手にもって食事できずば旅立つ日 深瀬
(081) 幼児(おさなご)の 麦わら帽子に 風が寄せ 志方
(082) 手を広げ 入道雲に 夢と飛ぶ 杜瑯
1 秋元
2 小野寺 我々はいつの歳になっても 積乱雲に諸手をあげて挑
戦する気概と夢を持ち続けたいものです。雄大ないい句です。
3 深瀬 入道雲と夢の取り合わせになにか強い男気を感じます
が、さらに手を広げというのはロマンチックな印象も受けまし
た。
(083) 日本製絶滅危惧種身の回り 深瀬
(084) 汗拭う 読経の外は 蝉しぐれ 小野寺
1 宮澤 心頭滅却して読経していますが大粒の汗。刹那の命の
蝉は大きな声で鳴いても汗一つかきません。まだまだ修行が足
りません。
(085) 雨蛙飛び跳ねんとす脚二本 深瀬
(086) 学生街変わらぬ音やかき氷 治部
1 豊 学生街の喫茶店で恋人同士がかき氷をつつきながら愛
を語り合う。昔も今も変わらない情景です。
(087) 風碧く 古城の堀に 蓮の華 小野寺
1 柳町
(088) 雲流れ 茶臼岳にも 夏空が 志方
(089) 焼け野原空透き通り終戦忌 深瀬
(090) 絶景をカメラの中へ夏の山 豊
(091) 暮れなずむ五十路まぶしき浴衣かな 治部
1 志方 女性へのそこはかとない尊敬?がいいですね。
2 小野寺 夕暮れ時 夏祭りに行く雑踏のなかでふと出会った五
十路の浴衣姿は二十歳や三十路ではないところに艶があります。
(092) 碧空に 風澄みわたり 夏木立 小野寺
1 豊 余計なものを入れずに、夏らしい景色をすっきりと詠
んでいるのがいいですね。
(093) 朝ホーム退かず避けずの肉バトル 深瀬
(094) 峠道 甘き横笛 息鎮め 杜瑯
(095) 今年また ひぐらしがなく 夏も往く 志方
(096) 夕闇の 殻脱ぎ捨てて 青き蝉 小野寺
1 中津川
2 秋元
(097) 大阪に震度6弱初夏の朝 深瀬
(098) 廃屋の 庭を覆うは 夏草や 志方
(099) カサブランカ 熱射に負けず 上を向く 杜瑯
(100) 古希過ぎて 夏雲の群れ 超えんとす。 小野寺
(101) 七十路の微睡 (まどろ) ひの陰つきまとひ 深瀬
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