七句会のみなさま
第二十五回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、
たいへんありがとうございました。
およせいただいたものを、名前順に、ほぼそのまままとめてお届けすること
にします。今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。
七句会のweb http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。
今後とも、よろしくお願いいたします。
深瀬 (事務方)
1.秋元さんの自句自解
・海風にあたりて凌ぐ暑さかな
ベランダから眺める運河からは清々しい海風が吹き渡るはずでしたが、実は
熱風しか押し寄せないのが今夏で、一時の気晴らしの句でした。
・打ち水に涼を求める猛暑かな
何本かペットボトルに入れた水をベランダに撒いて一時の涼風を巻き起こそ
うとしましたが、あっという間に蒸発してしまい、嫌悪感にも近い儚い夢でし
た。
・熱帯夜今や懐かし死語となり
熱帯夜なんて以前のようにゆったりと構えていた一時的な現象ではなく、今
や、連日連夜のことで、言葉自体が懐かしい今夏でした。
2.小野寺さんの自句自解
・ゆるやかに蛍の生命(いのち)闇流る
蛍の青い光の連続は緩やかに闇の中を流れて、蛍の生命(いのち)の灯(と
もしび)のようにも見えて それは さながら人の命の 儚さのようでもあり
ます。
・炎天に汗したたりて 蝉しぐれ
風の音すらないひたすら暑い夏の日中蝉しぐれが響きわたり、ふと不思議な
涼を感じたのです。季重なりは承知の上で夏の季語を連ねてみました。
・鎮魂の読経の声か 夏の海
震災から早7 年が過ぎましたが被災地はまだ復興の途上にあり東北の閖上(
ゆりあげ)の海は、 潮騒の音がさながら鎮魂の読経の響きがありました。
・亡き友の絵に咲いており夏の薔薇
一緒に絵を描き絵画展も共にした友人が逝って早一年が経ちました。遺され
た絵の中に鮮やかに咲く 薔薇の花は、さながら友人の生命(いのち)の 証
しでもあるのです。
・紫陽花の 露に宿りて 虹光り
紫陽花の露に朝の光が当たり プリズムの様に虹が出現する様はさながら
小宇宙の様で自然の確かな運行に驚かされます。季重なりですが気にせず句と
しました。
・絽に足袋で 打ち水渡り 古都が暮れ
薄絹の黒い絽の着物の人が、 鮮やかな白足袋で、打ち水を渡ると古都の街
に夕暮れの帳(とばり)がそこまで降りてきていました。
・夕闇の殻脱ぎ捨てて 青き蝉
蝉の一生は幼虫で土中に7 年を過ごし蝉としてえ成虫になり2 -3 週間で命
を終えることより儚い生命の代名詞のように言われますが実は土の中で7 年も
生きる長生きの昆虫なのです。蛹から成虫になるのはたいてい夜ですが、長い
闇を殻とともに脱ぎ捨てて薄緑の碧い蝉になったと表現したかったのです。碧
い蝉の誕生はいつみても神秘的です。
3.橋本さんの自句自解
・蚊と暑さ逃れし蚊帳の夜の在りし (5点句)
田舎暮らしの時代は夏は戸を開け放して風を入れ蚊帳の中で眠れたが、最近
は田舎の実家も暑くとても無理
・シュノーケル海の生命 (いのち) の濃さを知り ( 2点句)
H26 年5 月、沖縄の白保の海岸でシュノーケルを初体験したときの海の中の
生命の多様さ、美しさに感動
・千キロの海様々に小笠原 ( 1点句)
東京湾、黒潮本流、小笠原近海と千キロの船旅で、海はいろいろな表情を見
せつつ疲れの中待望の小笠原に着く
・揚羽蝶みかんの幼葉に子を託す (1点句)
ミカンの幼葉・若葉は格好の揚羽蝶の産卵場所、すぐに幼虫が葉を食べ始め
る。私はそれらを邪魔しているが、、、
・政権も猛暑も豪雨も歯止無し
長いほど害ばかりとなる、ほどほどが人の世も自然も難しくなっている
・剪定し程よき木陰芝を刈る
剪定も枝葉をあまり切らずに木陰を作るのが、木にも人にも優しい。芝刈り
の合間に木陰で一休み
・空蝉のがっちり留まる枝葉かな
今年は初めて数匹以上の蝉殻がアメリカ楓の枝葉に見られた、羽化が安全に
行えるようがっちりと脚は枝葉を掴んでいる
4.宮澤さんの自句自解
・窓の外 暑さ溢れて 散歩止め
サァー1 日1 万歩のノルマ達成の散歩に出かけようかと、外を見ると溢れる
熱気が充満しています。その空間へ足を踏み出す勇気が萎えます。「健康のた
めの散歩が、健康を害することになってしまったら意味がない」という言い訳
を、自分に言い聞かせる日が続きました。
・寒さにも 暑さにも負け 年を知る
異常気象のせいでしょうか、例年以上に冬は寒く、夏は暑く感じますが、年
のせいもあるのでしょう。しかし、年を取ると暑さも感じなくなり、エアコン
無しで過ごし、熱中症で亡くなる老人が増えているというニュースも聞きます
。年は知ったが、まだ、老いは知らないということにしたいと思います。
・火の玉が 窓を突き抜け 燃える夏
夏に水を入れたガラスの金魚鉢などを窓辺に置いておくとレンズ効果で焦点
にあるものが燃えることがあるという話を聞きます。今年の夏は、そんなもの
が無くても、勝手に火の玉が家の中に飛び込んできたような感じの暑さでした。
・けだるげに 寄せる波音 夏の海
大海を渡ってきた波が、終着地の海辺で、寄せては返すという言葉に従いま
た、大海に戻ろうと思ったけれど、あまり暑いので、返すのはもういいねと言
っています。「ざぶーん、ざぶーん」という波音はけだるげで投げやりに感じ
ます。
・暑さ溜め 黒く漂う 夜の海
いくらかの涼を求めて、夜の海を眺めていると、暗い海面を撫でてきた風に
まだ昼間の熱気が残っている。自己発熱している漆黒の石炭の山を渡ってくる
生暖かい風の感触を思い出し、何やら重苦しい雰囲気です。今年は、外出せず
、家でエアコンが一番似合う夏で、「海」という兼題もすべて「暑さ」に飲み
込まれてしまいました。
5.豊さんの自句自解
・白き帆の速き滑走夏光る
皆さんから好評をいただき、感謝です。夏の光り輝く青い海と、滑走するヨ
ットの白い帆の鮮やかな色の対象を詠んでみました。
・行く夏を惜しみて海の夕日かな
夏の終わりが近づく夕方の海。まさにいま太陽が沈もうとしています。
「行く夏」を惜しむ主体は、作者でもあり、沈もうとしている太陽でもある
のです。
・灯籠の明かりに揺れる幽霊画
以前盛岡に行ったとき、古いお寺が保存している江戸時代の幽霊画を見たこ
とがあります。いつもは観光客には見せないのですが、夏の一時期だけ開帳す
るのだそうです。その雰囲気を出したかったのですが、平凡な句になってしま
いました。
・絶景をカメラの中へ夏の山
夏山の登山で頂上へ着いた。周囲は360度見渡せる絶景。感激してそれを
カメラに収めた。「カメラの中へ」をもう一工夫すればよかったかもしれませ
ん。
6.深瀬の自句自解
・夏の海夕陽の影絵船の行く
3 点、ありがとうございます。夕陽の煌めいている海を影絵のような船が行
く情景は、月並みとは思うのですが、なにか異次元的な雰囲気も感じます。
・海旅館花火くだけて波しぶき
花火が四方に散って舞落ちる様と波の飛沫を合わせたつもりです。
・夏の海さかなの声に耳澄ます
電車や車で海岸沿いを走っていると、あの海の底には魚たちがたくさん生き
ていることに、ふと思いを馳せることがあります。
・帰る日や散骨されて海の底
海は生命の故郷という意識は、潜在的にあるのだと思います。
・海底 (うなぞこ) に生のふるさと見る車窓
湘南電車の車窓から相模湾を見るとき、ときどきこういう思いになります。
・海ゆかば五十六無念終戦忌
山本五十六氏は、日米開戦に抵抗感をもちながらも、時代の世相の圧力のも
と陣頭指揮をとらざるをえなかったようです。ブーゲンビル島での戦死は、そ
の無念を物語っているように感じます。
・川下り暑さ吹き飛ぶ水飛沫
月並みすぎました。「五月雨をあつめて早し最上川」はすごいと思います。
・アルプスの霊峰仰ぎ暑気払い
イメージ先行で月並みの感じです。
・暑き朝ジョギングびとの口への字
酷暑のなか、なにか苦行僧のように走っていました。
・シェルターに閉じ籠もりたき暑さかな
今年の酷暑には、なにか地球最期の日を感じさせられました。
・十字架の入り江に沈む暑き夕
クリスチャンの家内は、かなり評価してくれました。
・富士を背に土肥まで海路夏合宿
大学1 年の柔道部合宿に参加したときの想い出です。
・波の音抜ける雑踏夏夜店
子供のころ、鎌倉の由比ヶ浜に行ったときの想い出です。
・新築のマンションの窓夏陽受け
最近、目の前に積水ハウスの賃貸マンションが建ちました。
・大阪に震度6弱初夏の朝
台風、地震、酷暑が続きます。東京は大丈夫なのか不安です。
・雨蛙飛び跳ねんとす脚二本
蛙の跳躍する躍動感を表現しようとしたのですが。
・夏めいて老母の脛の細きかな
以前、別の句会で「夏めいて老母気になる痩せ具合」と作ったのですが、そ
こでの批評を参考に作りなおしました。
・虚無感のしじまに軋む夏の夜
かなり力みすぎの俳句だと思います。
・焼け野原空透き通り終戦忌
観念的で、月並みの感じ。
・棺の蓋閉じて釘打つ石の音
棺の釘打ちは亡くなった人の最期の締めくくりを象徴している感じです。人
から聞いた話を参考にしました。
・老化とはかくの如きと少し知り
老化に伴ういろいろな不具合を感じますが、今が入り口みたいです。
・手にもって食事できずば旅立つ日
もはやこれまでと観念する日をいさぎよく迎えたい感じです。
・七十路の微睡 (まどろ) ひの陰つきまとひ
なにか最近ぼんやりしている時間が多くなっている感じがします。
・日本製絶滅危惧種身の回り
アマゾンで家電製品を買おうとして、日本製の存在感が希薄化しつつあるの
を感じました。
・もぎたての野菜で乾杯老仲間
先日、家庭菜園を作っている同級生のところに5 人集まりました。
・朝ホーム退かず避けずの肉バトル
ホームや電車内で、スマホを見ながらの人に張り合っています。
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第二十五回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、
たいへんありがとうございました。
およせいただいたものを、名前順に、ほぼそのまままとめてお届けすること
にします。今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。
七句会のweb http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。
今後とも、よろしくお願いいたします。
深瀬 (事務方)
1.秋元さんの自句自解
・海風にあたりて凌ぐ暑さかな
ベランダから眺める運河からは清々しい海風が吹き渡るはずでしたが、実は
熱風しか押し寄せないのが今夏で、一時の気晴らしの句でした。
・打ち水に涼を求める猛暑かな
何本かペットボトルに入れた水をベランダに撒いて一時の涼風を巻き起こそ
うとしましたが、あっという間に蒸発してしまい、嫌悪感にも近い儚い夢でし
た。
・熱帯夜今や懐かし死語となり
熱帯夜なんて以前のようにゆったりと構えていた一時的な現象ではなく、今
や、連日連夜のことで、言葉自体が懐かしい今夏でした。
2.小野寺さんの自句自解
・ゆるやかに蛍の生命(いのち)闇流る
蛍の青い光の連続は緩やかに闇の中を流れて、蛍の生命(いのち)の灯(と
もしび)のようにも見えて それは さながら人の命の 儚さのようでもあり
ます。
・炎天に汗したたりて 蝉しぐれ
風の音すらないひたすら暑い夏の日中蝉しぐれが響きわたり、ふと不思議な
涼を感じたのです。季重なりは承知の上で夏の季語を連ねてみました。
・鎮魂の読経の声か 夏の海
震災から早7 年が過ぎましたが被災地はまだ復興の途上にあり東北の閖上(
ゆりあげ)の海は、 潮騒の音がさながら鎮魂の読経の響きがありました。
・亡き友の絵に咲いており夏の薔薇
一緒に絵を描き絵画展も共にした友人が逝って早一年が経ちました。遺され
た絵の中に鮮やかに咲く 薔薇の花は、さながら友人の生命(いのち)の 証
しでもあるのです。
・紫陽花の 露に宿りて 虹光り
紫陽花の露に朝の光が当たり プリズムの様に虹が出現する様はさながら
小宇宙の様で自然の確かな運行に驚かされます。季重なりですが気にせず句と
しました。
・絽に足袋で 打ち水渡り 古都が暮れ
薄絹の黒い絽の着物の人が、 鮮やかな白足袋で、打ち水を渡ると古都の街
に夕暮れの帳(とばり)がそこまで降りてきていました。
・夕闇の殻脱ぎ捨てて 青き蝉
蝉の一生は幼虫で土中に7 年を過ごし蝉としてえ成虫になり2 -3 週間で命
を終えることより儚い生命の代名詞のように言われますが実は土の中で7 年も
生きる長生きの昆虫なのです。蛹から成虫になるのはたいてい夜ですが、長い
闇を殻とともに脱ぎ捨てて薄緑の碧い蝉になったと表現したかったのです。碧
い蝉の誕生はいつみても神秘的です。
3.橋本さんの自句自解
・蚊と暑さ逃れし蚊帳の夜の在りし (5点句)
田舎暮らしの時代は夏は戸を開け放して風を入れ蚊帳の中で眠れたが、最近
は田舎の実家も暑くとても無理
・シュノーケル海の生命 (いのち) の濃さを知り ( 2点句)
H26 年5 月、沖縄の白保の海岸でシュノーケルを初体験したときの海の中の
生命の多様さ、美しさに感動
・千キロの海様々に小笠原 ( 1点句)
東京湾、黒潮本流、小笠原近海と千キロの船旅で、海はいろいろな表情を見
せつつ疲れの中待望の小笠原に着く
・揚羽蝶みかんの幼葉に子を託す (1点句)
ミカンの幼葉・若葉は格好の揚羽蝶の産卵場所、すぐに幼虫が葉を食べ始め
る。私はそれらを邪魔しているが、、、
・政権も猛暑も豪雨も歯止無し
長いほど害ばかりとなる、ほどほどが人の世も自然も難しくなっている
・剪定し程よき木陰芝を刈る
剪定も枝葉をあまり切らずに木陰を作るのが、木にも人にも優しい。芝刈り
の合間に木陰で一休み
・空蝉のがっちり留まる枝葉かな
今年は初めて数匹以上の蝉殻がアメリカ楓の枝葉に見られた、羽化が安全に
行えるようがっちりと脚は枝葉を掴んでいる
4.宮澤さんの自句自解
・窓の外 暑さ溢れて 散歩止め
サァー1 日1 万歩のノルマ達成の散歩に出かけようかと、外を見ると溢れる
熱気が充満しています。その空間へ足を踏み出す勇気が萎えます。「健康のた
めの散歩が、健康を害することになってしまったら意味がない」という言い訳
を、自分に言い聞かせる日が続きました。
・寒さにも 暑さにも負け 年を知る
異常気象のせいでしょうか、例年以上に冬は寒く、夏は暑く感じますが、年
のせいもあるのでしょう。しかし、年を取ると暑さも感じなくなり、エアコン
無しで過ごし、熱中症で亡くなる老人が増えているというニュースも聞きます
。年は知ったが、まだ、老いは知らないということにしたいと思います。
・火の玉が 窓を突き抜け 燃える夏
夏に水を入れたガラスの金魚鉢などを窓辺に置いておくとレンズ効果で焦点
にあるものが燃えることがあるという話を聞きます。今年の夏は、そんなもの
が無くても、勝手に火の玉が家の中に飛び込んできたような感じの暑さでした。
・けだるげに 寄せる波音 夏の海
大海を渡ってきた波が、終着地の海辺で、寄せては返すという言葉に従いま
た、大海に戻ろうと思ったけれど、あまり暑いので、返すのはもういいねと言
っています。「ざぶーん、ざぶーん」という波音はけだるげで投げやりに感じ
ます。
・暑さ溜め 黒く漂う 夜の海
いくらかの涼を求めて、夜の海を眺めていると、暗い海面を撫でてきた風に
まだ昼間の熱気が残っている。自己発熱している漆黒の石炭の山を渡ってくる
生暖かい風の感触を思い出し、何やら重苦しい雰囲気です。今年は、外出せず
、家でエアコンが一番似合う夏で、「海」という兼題もすべて「暑さ」に飲み
込まれてしまいました。
5.豊さんの自句自解
・白き帆の速き滑走夏光る
皆さんから好評をいただき、感謝です。夏の光り輝く青い海と、滑走するヨ
ットの白い帆の鮮やかな色の対象を詠んでみました。
・行く夏を惜しみて海の夕日かな
夏の終わりが近づく夕方の海。まさにいま太陽が沈もうとしています。
「行く夏」を惜しむ主体は、作者でもあり、沈もうとしている太陽でもある
のです。
・灯籠の明かりに揺れる幽霊画
以前盛岡に行ったとき、古いお寺が保存している江戸時代の幽霊画を見たこ
とがあります。いつもは観光客には見せないのですが、夏の一時期だけ開帳す
るのだそうです。その雰囲気を出したかったのですが、平凡な句になってしま
いました。
・絶景をカメラの中へ夏の山
夏山の登山で頂上へ着いた。周囲は360度見渡せる絶景。感激してそれを
カメラに収めた。「カメラの中へ」をもう一工夫すればよかったかもしれませ
ん。
6.深瀬の自句自解
・夏の海夕陽の影絵船の行く
3 点、ありがとうございます。夕陽の煌めいている海を影絵のような船が行
く情景は、月並みとは思うのですが、なにか異次元的な雰囲気も感じます。
・海旅館花火くだけて波しぶき
花火が四方に散って舞落ちる様と波の飛沫を合わせたつもりです。
・夏の海さかなの声に耳澄ます
電車や車で海岸沿いを走っていると、あの海の底には魚たちがたくさん生き
ていることに、ふと思いを馳せることがあります。
・帰る日や散骨されて海の底
海は生命の故郷という意識は、潜在的にあるのだと思います。
・海底 (うなぞこ) に生のふるさと見る車窓
湘南電車の車窓から相模湾を見るとき、ときどきこういう思いになります。
・海ゆかば五十六無念終戦忌
山本五十六氏は、日米開戦に抵抗感をもちながらも、時代の世相の圧力のも
と陣頭指揮をとらざるをえなかったようです。ブーゲンビル島での戦死は、そ
の無念を物語っているように感じます。
・川下り暑さ吹き飛ぶ水飛沫
月並みすぎました。「五月雨をあつめて早し最上川」はすごいと思います。
・アルプスの霊峰仰ぎ暑気払い
イメージ先行で月並みの感じです。
・暑き朝ジョギングびとの口への字
酷暑のなか、なにか苦行僧のように走っていました。
・シェルターに閉じ籠もりたき暑さかな
今年の酷暑には、なにか地球最期の日を感じさせられました。
・十字架の入り江に沈む暑き夕
クリスチャンの家内は、かなり評価してくれました。
・富士を背に土肥まで海路夏合宿
大学1 年の柔道部合宿に参加したときの想い出です。
・波の音抜ける雑踏夏夜店
子供のころ、鎌倉の由比ヶ浜に行ったときの想い出です。
・新築のマンションの窓夏陽受け
最近、目の前に積水ハウスの賃貸マンションが建ちました。
・大阪に震度6弱初夏の朝
台風、地震、酷暑が続きます。東京は大丈夫なのか不安です。
・雨蛙飛び跳ねんとす脚二本
蛙の跳躍する躍動感を表現しようとしたのですが。
・夏めいて老母の脛の細きかな
以前、別の句会で「夏めいて老母気になる痩せ具合」と作ったのですが、そ
こでの批評を参考に作りなおしました。
・虚無感のしじまに軋む夏の夜
かなり力みすぎの俳句だと思います。
・焼け野原空透き通り終戦忌
観念的で、月並みの感じ。
・棺の蓋閉じて釘打つ石の音
棺の釘打ちは亡くなった人の最期の締めくくりを象徴している感じです。人
から聞いた話を参考にしました。
・老化とはかくの如きと少し知り
老化に伴ういろいろな不具合を感じますが、今が入り口みたいです。
・手にもって食事できずば旅立つ日
もはやこれまでと観念する日をいさぎよく迎えたい感じです。
・七十路の微睡 (まどろ) ひの陰つきまとひ
なにか最近ぼんやりしている時間が多くなっている感じがします。
・日本製絶滅危惧種身の回り
アマゾンで家電製品を買おうとして、日本製の存在感が希薄化しつつあるの
を感じました。
・もぎたての野菜で乾杯老仲間
先日、家庭菜園を作っている同級生のところに5 人集まりました。
・朝ホーム退かず避けずの肉バトル
ホームや電車内で、スマホを見ながらの人に張り合っています。
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