七句会のみなさま
第二十七回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
5 点句
(004) 朝ひかる 通学路(みち)に 薄氷 中津川
4 点句
(012) リュック背に 川の薫りと 猫柳 中津川
(021) 早春の浅き眠りに老ひ深む 深瀬
(043) 秋たかし 昭和五輪の 飛行雲 中津川
3 点句
(003) 早春の山河の大気肺清め 豊
(009) 沈丁花 夜来にかおる 早春賦 志方
(016) 早春のあたたかき陽に老ひみつめ 深瀬
(018) 早春の 旅を運びて 飛行雲 吉良
(058) 帰らざるおもひかさねし冬茜 (あかね) 深瀬
(065) 松明けの妻と朝餉の静かさや 深瀬
(066) 残照の 苫屋に淡く冬の影 小野寺
(067) 生きている意味は分からず死にもせず 深瀬
(081) 見はるかす 稜線白き 八ヶ岳 志方
(087) 星冴えて 森羅万象回りゆき 小野寺
(092) 梅の花一目も会えず友の逝く 治部
(097) ふるさとは霙 (みぞれ) の彼方寒椿 小野寺
2 点句
(028) 平成は閉まるも締まらぬ安倍政治 橋本
(039) 皺深し 昭和平成 駆け抜ける 吉良
(042) 春雷や 昭和はとほくなりにけり 小野寺
(045) 平成に何を成したか懐手 治部
(050) 風に舞ふ落ち葉の音のしむ身かな 深瀬
(057) 寒椿 雪の重みを凌ぎをり 小野寺
(063) 冬枯れの野にけぶりたち鳶の声 小野寺
(064) 薄氷 踏んで感じる 暖かさ 柳町
(072) 寒風に陸奥 (みちのく) 想ふや芭蕉像 橋本
(080) くれないに 燃ゆる椿に雪が舞ひ 小野寺
(095) 雪の原 雄叫び聴くや 衣川 小野寺
下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
次回については、4 月中旬ころにご連絡したいと思っていますので、よろし
くお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連絡を
いただきたく、よろしくお願いいたします。
事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
今回の選句には、下記の14名が参加しました。
秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さ
ん、中津川さん、橋本さん、藤原さん、森杜瑯さん、柳町さん、豊さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては3 月16日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
これまで、句会の後、勉強会としての集まりを企画していましたが、参加者
が少ないこともあり、改めることにしました。集まっての勉強会も適宜、行い
たいとは思っていますが、よろしくお願いします。
2019.02.24
代表 橋口侯之介 (休会中)
顧問 豊 宣光
事務方 深瀬久敬
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1.兼題 早春
(001) 早春の山茶花揺れてメジロかな 橋本
(002) 初春や トンドに響く 太鼓かな 藤原
(003) 早春の山河の大気肺清め 豊
1 吉良 早春の冷たい風に体の清まる感じがでています。
2 治部 早春の山河が清めるものを肺に的を絞っているとこ
ろが引っ掛かりました。作者はもしかしたら肺を病んでいる
ような気がしました。この作品からは、久しぶりにフレッシ
ュな空気を送り込まれた肺が「気持いいね」と言っている様
子がうかがえます。上五中七が少し散文的に見えますが、山
河の大気で清々しさは伝わります。肺が印象的で、季語が弱
くなったような気がします。
3 小野寺 山河の大気が肺腑深くに沁み渡ると言う気宇広大な
早春への希望です。
(004) 朝ひかる 通学路(みち)に 薄氷 中津川
1 志方 ランドセルを背負ってた頃の情景はおもいだされま
す。
2 桑子 寒い中、朝日を浴びて、登校する生徒達が目に浮か
びます。
3 秋岡 昔は舗装されていないでこぼこ道にこのような光景
がよくありました。
4 橋本
5 宮澤
(005) 早春の芭蕉碑囲む団塊団 深瀬
(006) 残雪の畦道新芽萌え出づる 秋元
(007) 庭の木の蕾ふくらむ春浅し 豊
(008) 早春や ベランダ横たう 鉢一つ 吉良
(009) 沈丁花 夜来にかおる 早春賦 志方
1 柳町
2 藤原
3 小野寺 夜半の帷の中で沈丁花の強い香りは春への密やかな
期待でしょうか
(010) 春浅し ダウンコートで 受験生 中津川
(011) 早春に地球壊れる予感して 深瀬
(012) リュック背に 川の薫りと 猫柳 中津川
1 志方 猫柳が鑑賞できる川辺がすくなくなってしまいまし
た。
2 桑子 これも川辺をウオーキングする風景が浮かびます。
3 秋元
4 深瀬 川べりをハイキングのように歩いていて、ふと川の
薫りと猫柳のやわらかな色彩に、春の到来をしみじみと感じ
ている作者の気持ちが伝わってきました。
(013) 早春の息吹き通わすつづみぐさ 秋元
1 中津川
(014) 大手町 早春の窓 輝ける 吉良
1 秋岡 自然を感じる場の少ない大都会もこんな形で春を感
じるのですかね。
(015) 初春に スーパームーン 冴え渡る 藤原
(016) 早春のあたたかき陽に老ひみつめ 深瀬
1 桑子 室内でしょうか、ぼんやりと過ごす一抹の寂しさを
感じました。
2 秋岡 年をとるとあたたかい陽射しのありがたさを痛感し
ます。
3 豊 旧仮名遣いの表現、全体のまとまり、この作者はか
なり作句の経験を積んだ人だと思います。イメージの膨らむ
いい句です。
(017) 早春の土手の轍(わだち)に子等はしゃぎ 小野寺
1 治部 この句は(003) と構成が似ていますが、子らがはし
ゃいでいる姿がとてものどかで、春らしい句だと思います。
轍にはそう目がいかないと思うのですが、おそらくこの轍に
は少し水が溜まっていて青空をうつしていたのでしょう。思
わず目がいった様子も伝わります。深読みしすぎですかね。
(018) 早春の 旅を運びて 飛行雲 吉良
1 橋本
2 宮澤
3 深瀬 春先の空を見上げると飛行機雲がまぶしげに見え、
今年は海外のどこに旅行しようかなどと思いを馳せるのは、
ほんとうにたのしそうです。
(019) 鴨ツグミかわせみと遇ふ早春歩 橋本
(020) ダミ声や 自動車(くるま)の下に 猫の恋 中津川
1 藤原
(021) 早春の浅き眠りに老ひ深む 深瀬
1 吉良 人生あっという間に年をとるもの、うまく読んでい
ますね。
2 森杜瑯
3 柳町
4 宮澤
2.兼題 昭和、平成
(022) 平成の 黄昏愛し 椿落つ 宮澤
1 吉良 平成の世も椿の落ちるように最後は少しは美しく散
りたいもの。
(023) 昭和史に二二六の雪の朝 深瀬
(024) アルバムの 昭和は遠く セピア色 志方
1 藤原
(025) 東京に大雪ありし昭和かな 豊
(026) 平成を 極めし後も 雪の山 森杜瑯
(027) 平成や 金、北、災と 過ぎにけり 藤原
(028) 平成は閉まるも締まらぬ安倍政治 橋本
1 豊 「閉まる」「 締まらぬ」 と重ねたシャレに拍手です。
安倍政治は全く締まらない。私も同感です。
2 藤原
(029) 昭和には人間天皇帽子振り 深瀬
(030) 平成も 昭和も遠く 白髪染 吉良
(031) 平成後女系か途絶土俵際 深瀬
(032) カラオケに歌ふは昭和の曲ばかり 橋本
1 志方 古希を迎えた世代は昭和が懐かしく、また生きがい
にあふれた時代ですね。
(033) 団塊も昭和とともに過去完了 深瀬
1 中津川 我々団塊世代は頑張ってる人もそろそろ引退かな
(034) リストラを バブルはじけて 暮れに知る 中津川
(035) 凍て空に 平成挽歌 いま一度 森杜瑯
(036) 平成の 忖度誇る 霞が関 志方
(037) 平成の最後と我も参賀人 中津川
1 治部 平成という時代の最後を参賀という行動で締める。
いいですね。我も、というところに作者の正直な気持ちが表
れていますね。
(038) 北風に 平成押されて 夢飛ばず 森杜瑯
(039) 皺深し 昭和平成 駆け抜ける 吉良
1 森杜瑯
2 秋岡 駆け抜けるという言葉に共感します。
(040) 平成の三・一一山河哭く 深瀬
1 志方 なぜここまで住民を苦しめているのか、科学者と政
治家による人災
(041) 梅開く終わる平成惜しみつつ 豊
1 中津川 5月には新しい元号に変わってしまう感慨が伝わり
ます
(042) 春雷や 昭和はとほくなりにけり 小野寺
1 豊 中村草田男の「降る雪や明治は遠くなりにけり」と
同じ構造ですが、「 春雷」 を添えたところに新鮮さを感じま
した。
2 秋元
(043) 秋たかし 昭和五輪の 飛行雲 中津川
1 治部 この光景は昭和を生きた人は忘れないでしょう。秋
たかしの意味が下五の飛行雲で空だとわかる。でもそんなこ
と関係なくノスタルジックな気持ちになれる一句だと思いま
す。つまり今の光景は秋たかしだけで、昭和ノスタルジーを
印象的に表したいい句です。お見事でした。
2 柳町
3 豊 前回の東京オリンピックは戦後昭和の象徴でした。
思い出しますね。「 秋高し」 と季語を添えてうまくまとまり
ました。
4 深瀬 1964年、昭和39年の東京オリンピック当時、わたし
たちは高校生でした。当時の世の中の活気が沸沸と思い出さ
されました。
(044) 平成後米中の谷底見えず 深瀬
(045) 平成に何を成したか懐手 治部
1 橋本
2 宮澤
(046) 平成の 炎は昇る 寒月に 森杜瑯
(047) 老い桜 平成最後の 芽吹きかな 志方
1 吉良 我々の心境でしょうか。
(048) アナクロの天皇?首相?家長職 深瀬
3.雑詠、無季語
(049) 霜晴れや 薔薇一陣の風に揺れ 小野寺
(050) 風に舞ふ落ち葉の音のしむ身かな 深瀬
1 森杜瑯
2 小野寺 晩秋の風に舞い散る落ち葉は、さながら疲れた心の
隙間に吹く風でしょうか、
(051) みちのくの 枯野遥かに 夢吹雪 小野寺
1 柳町
(052) 白む空 輝き一つ 梅に露 宮澤
(053) 冬木立空にオリオン北の旅 小野寺
(054) 寒木立 紺碧の空 渡り鳥 志方
(055) 凍て土に 柚子の香りは眠りをり 小野寺
(056) 寒風に 定年男 吠え叫び 森杜瑯
(057) 寒椿 雪の重みを凌ぎをり 小野寺
1 秋元
2 藤原
(058) 帰らざるおもひかさねし冬茜 (あかね) 深瀬
1 志方 あの日に帰ってみたいおもいが切なく表現されてい
る
2 橋本
3 小野寺 冬の日の夕陽に過ぎた日の取り戻す事のできない想
いを重ね合わせているのでしょうか。
(059) 戦場(いくさば)に雪の残月 夢の跡 小野寺
(060) 春一番 陽だまり揺れて 乱れ雲 宮澤
1 藤原
(061) 雑木林落ち葉のベッドに眠り居り 橋本
1 深瀬 厚く落ち葉が敷きつめられた雑木林のなかは、まだ
春の気配が遠く静寂そのものなのだと思います。そのなかを
散策している様子が伝わってきました。
(062) なまはげにおびえる子らのいじらしさ 深瀬
(063) 冬枯れの野にけぶりたち鳶の声 小野寺
1 治部
2 中津川 けぶりたつという表現を想像しています
(064) 薄氷 踏んで感じる 暖かさ 柳町
1 中津川 少しずつ近づいてくる春の予感が感じられます
2 秋岡 寒いと言え氷が段々薄くなってくると暖かくなって
きたなあと感じるのでしょうね
(065) 松明けの妻と朝餉の静かさや 深瀬
1 吉良 言葉を交わさないでも二人の気持ちが通じ合ってい
るように思えます。
2 桑子 正月休みで来ていただろう孫らがようやく帰って、
やっと二人になってゆっくりできる情景がよくでていると思
いました。共感しました。
3 秋岡 年末年始の慌しさからやっと解放された気分なので
しょうか
(066) 残照の 苫屋に淡く冬の影 小野寺
1 志方 一服の山水画のように思えます。
2 治部
3 橋本
(067) 生きている意味は分からず死にもせず 深瀬
1 森杜瑯
2 桑子 悩める?人生観がでていていいと思います。この歳
(多分古希を過ぎているのでしょうか)でまだ悩めるのはう
らやましい。
3 宮澤
(068) 東雲(しののめ)の路鮮やかに落ち椿 小野寺
1 治部
(069) 切り干しの湯に漬かるごと座のなごみ 深瀬
1 小野寺 切り干しの湯に浸かるようなとは懐かしい、しみじ
みとした情感です。
(070) 外は雪 闇切り裂いて 百舌鳥の声 小野寺
(071) なまはげや出刃と雄叫び雪の夜 深瀬
1 豊 なまはげの雰囲気がストレートに出ています。
(072) 寒風に陸奥 (みちのく) 想ふや芭蕉像 橋本
1 吉良 旅を思う芭蕉の気持ちが伝わります。
2 小野寺 冬の日の烈風は芭蕉の奥の細道を思い起こさせたの
でしょう。
(073) 百舌鳥哭きて父の墓前を去りにけり 小野寺
1 豊 百舌鳥の鳴き声は独特の鋭さがあります。墓参りに
きた作者の想いがその声に共鳴したのでしょう。
(074) 来訪神登録遺産面映ゆく 深瀬
(075) 大漁の帰帆連なり春うらら 治部
1 吉良 色とりどりの大漁旗が閃いた春の光景が絵のように
広がります。
(076) 蒼海に霙(みぞれ)降り積み天は暮れ 小野寺
(077) 冬散歩燗酒小便あと1000歩 桑子
1 中津川 毎日一万が日課ですか結構大変ですね
(078) 塔頭に残せし想ひ 古都は雪 小野寺
1 秋岡 残せし想いはどんな想いなんでしょうか?古都は雪
が似合いますね。
(079) 雪解けの土の中より緑の芽 豊
(080) くれないに 燃ゆる椿に雪が舞ひ 小野寺
1 秋元
2 深瀬 椿の大きなくれないの花と白い雪のコントラストが
とても鮮やかだと感じました。絵画的な俳句だと思います。
(081) 見はるかす 稜線白き 八ヶ岳 志方
1 橋本
2 藤原
3 深瀬 「見はるかす」や「稜線」といったことばが効いて、
冬の雄大な八ヶ岳のたたずまいが、パノラマのように活写さ
れているように感じました。
(082) 頬被りして里帰り土産無し 治部
(083) 胸ゆする 北風向かい われ進む 森杜瑯
(084) 鼻水の 春や花粉の 山霞 柳町
1 中津川 スギ花粉の季節が来ます 鼻がムズムズしますね
(085) 松明けや整理し部屋の崩れゆく 深瀬
1 橋本
(終活のつもりの年賀状に書き添えました)
(086) 古希過ぎて新しき時代身は軽く 橋本
(087) 星冴えて 森羅万象回りゆき 小野寺
1 森杜瑯
2 秋元
3 深瀬 わたしたちの居住している地球を含む天の川銀河が、
しずかに渦巻いている様を想像させる雄大なスケールを感じ
ました。
(088) 切り干しに江戸の賑わい日本橋 深瀬
(089) 海見える何だ坂こんな坂着ぶくれて 治部
(090) 三日月を闇夜に掛けて百舌鳥は啼き 小野寺
(091) 松明けの体重悩む平和かな 深瀬
(092) 梅の花一目も会えず友の逝く 治部
1 志方 死が周りに近づいていることを、意識しながら、1
日1 日を大切にしていかねばと今日もまた一杯
2 柳町
3 小野寺 梅の花の開花を待たずに逝ってしまった友への痛切
な哀惜の情を感じます。
(093) 夢に舞ふ 能登の黒髪花衣 小野寺
1 秋元
(094) お水取り待つ夜静かな二月堂 豊
1 柳町
(095) 雪の原 雄叫び聴くや 衣川 小野寺
1 森杜瑯
2 桑子 芭蕉の句『夏草や兵どもが夢の跡』との対比がおも
しろいと思いました。
(096) 信号の 点滅むなし 梅月夜 宮澤
(097) ふるさとは霙 (みぞれ) の彼方寒椿 小野寺
1 豊 みぞれが降っている中に寒椿が咲いている。それを
見た作者は故郷の雪を思い出した。それとも、故郷のみぞれ
の中に咲いている寒椿を思った句でしょうか。
2 秋元
3 宮澤
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