七句会のみなさま
第二十九回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
5 点句
(066) 抜き襟の うなじの汗に ときめきて 宮澤
4 点句
(032) 風呂浴びて 香るみょうがの 冷奴 中津川
(070) 古希過ぎて悪びれもせず昼寝かな 治部
3 点句
(010) 漣 (さざなみ) に足沈めをり夏の雲 小野寺
(011) 阿蘇夏野子連れの牛の草を食み 深瀬
(015) 結い上げし黒髪凛々し夏女 深瀬
(017) 電線の夏雲を断つ静かさや 深瀬
(053) 風止まる 瀬戸の夕凪 蝉しぐれ 志方
(055) 屋根の上たまに顔出す花火かな 桑子
(088) 鐘の音に遠雷和して陽は沈み 小野寺
2 点句
(005) 梅雨あけて橋桁翔ける夏燕 小野寺
(012) 滝近し風とほりきて夏木立 小野寺
(014) 生茂る 夏草のなか 百合一輪 志方
(019) 生きすぎて戸惑う人や夏の雲 深瀬
(026) 一涼の鶯の声夏の朝 橋本
(029) 水ようかん匙で切り取り孫笑顔 深瀬
(034) 茄子胡瓜トマト青紫蘇朝もぎり 秋元
(038) 庭育ち味噌付け胡瓜の旨さかな 橋本
(043) 素麺の 木箱に染まる 潮の香や 吉良
(049) 花火果て空に静けさ戻りけり 豊
(057) 瀬の音や若き岩魚の影速し 治部
(071) 緑陰のひかり濃淡万華鏡 深瀬
(077) 紫陽花の青滴りて古都の庭 小野寺
(080) 震災の 陰りも見せず 光る海 柳町
(083) 足もとの蟻踏み避けて生思ふ 深瀬
(084) 人は待ち 熱風渡る 赤信号 宮澤
(087) スーツ女 (め) に歩調合わせて玉の汗 桑子
(095) 夏蝶の翅閉じてをり滝飛沫 (しぶき) 小野寺
(102) 風孕み白帆の跡は蒼き海 小野寺
下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
次回については、10月中旬ころにご連絡したいと思っていますので、よろし
くお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連絡を
いただきたく、よろしくお願いいたします。
事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
今回の選句には、下記の14名が参加しました。
秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さ
ん、中津川さん、橋本さん、宮澤さん、森杜瑯さん、柳町さん、豊さん、深瀬
。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては9 月16日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
これまで、句会の後、勉強会としての集まりを企画していましたが、参加者
が少ないこともあり、改めることにしました。集まっての勉強会も適宜、行い
たいとは思っていますが、よろしくお願いします。
2019.08.29
代表 橋口侯之介 (休会中)
顧問 豊 宣光
事務方 深瀬久敬
----------------------------------------------------------------------
1.兼題 夏 (夏野、夏の海、夏の雲、夏の月、夏の山、夏祭、等)
(001) エアコンを効かして掃除すなる夏 橋本
(002) 待合所人それぞれの夏姿 深瀬
1 秋岡 旅行先或いは帰省先での待合所でしょうか、夏の風物
詩を感じます
昔、夏の「白馬」に登山した時の思い出を
読みました。
(003) 残雪に 心浮かれる 夏の山 柳町
1 秋元
(004) 静かさに戦車朽ちゆく夏野かな 深瀬
1 豊 長い年月が経ち、すっかりさびて戦場跡に残されたま
まの戦車。静かな夏野の風景に戦争の記憶をうまく詠みこんで
います。
(005) 梅雨あけて橋桁翔ける夏燕 小野寺
1 宮澤
2 橋本
以前勤めていた会社主催の「夏祭り大会」
に孫にせがまれて連れて行ったところ、金魚
すくいで思わぬほど大漁(?) で大きなビニー
ル袋に入れてくれたのはいいが、重くて孫に
は持てない状況を読みました。
(006) 孫の手に 余る金魚や 夏祭 柳町
(007) 夏くれば海の蒼さに波の音 深瀬
(008) 命懸け 耐熱テスト 夏散歩 宮澤
1 橋本
(009) ノモンハン塹壕埋む夏野かな 深瀬
(010) 漣 (さざなみ) に足沈めをり夏の雲 小野寺
1 志方 涼しさが絵画的に伝わってきます。
2 秋元
3 宮澤
(011) 阿蘇夏野子連れの牛の草を食み 深瀬
1 治部 草千里のあたりでしょうか、牛の親子が草を食む様子
が何とも穏やかな景色ですね。目に見えるようです。
2 志方 のどかさ想像できて、いいですね。
3 柳町
(012) 滝近し風とほりきて夏木立 小野寺
1 治部 山道を歩いていて滝に出くわすことありますよね。似
たような句はいくつかあると思いますが、たいがい音が先に来
るのに、作者は風に乗ってきた飛沫や涼しさで滝の接近を感じ
たのでしょう。木立の中を歩いて汗をかいた後の涼しげな雰囲
気がよくわかります。
2 中津川 木の間を抜けて滝の音も聞こえて来ますね
(013) 白球が真夏の空へ甲子園 豊
1 秋岡 ストレートに詠んだ句が高校野球らしくていいです。
(014) 生茂る 夏草のなか 百合一輪 志方
1 桑子 緑の中にぽつんと白い百合、ひときわ目立つその光景
が目に浮かびます。小生も庭の草木の中に切り忘れたあじさい
が一輪在って、その光景を読みたがったが浮かばなかったです。
2 小野寺 夏草の繁る雑草のなか白い山百合の花一輪、風情があ
りますね。
(015) 結い上げし黒髪凛々し夏女 深瀬
1 治部 黒髪を結い上げている夏女はたぶん浴衣姿でしょう。
艶っぽかったでしょうに。凛々しく見えたのは家族だからです
かね。違うでしょう。本当は凛々しではなかったのではないで
すか作者殿?いかが?
2 森杜瑯
3 小野寺 きりりと結びあげたひっつめの黒髪は健康的で爽やか
な美人でしょうか。夏女とはいいですね。
(016) 夏霧や 虫の骸に 蝉時雨 宮澤
1 柳町
(017) 電線の夏雲を断つ静かさや 深瀬
1 吉良 電線は送電線ですかね。日常の何気ない風景の観察が
良いと思います。
2 中津川 一本の電線が空(空間)を上下に切り分けています
3 小野寺 夏の入道雲を切り従える電線は確かに動と静で静寂を
感じさせますね。
(018) 振り返る 間もなく光る 夏の雲 吉良
1 治部 夏の雷の様子がよくわかりますね。一文字開けないほ
うがいいと思いますよ。間もなく光るのではないでしょう。光
った方を振り返る間もなく次が光るのでしょう。夏の積乱雲を
飛び交う稲妻は、光のショウタイムのように見えることがあり
ますね。
(019) 生きすぎて戸惑う人や夏の雲 深瀬
1 志方 古希過ぎて、老いをどう認識するか、考えさせらます。
2 森杜瑯
夏休みの部活
(020) たくましさ 日に日に黒く 孫の夏 中津川
1 桑子 夏休みで野球かサッカーの練習でもしているのでしょ
うか、孫の成長を見守る情景が目に浮かびます。
(021) ホットする たまには涼し 夏の風 志方
(022) 夏の雲空にくっきり輪郭線 深瀬
1 宮澤
(023) 止まり木に 心残して 夏の酔い(宵) 志方
1 治部 この句はオールシーズンですね。春夏秋冬いつでも止
まり木に心残す人はいるものです。作者は、酒も止まり木も大
好きなのでしょう。選者もしかりです。
(024) 静かさや夏野にうなる光合成 深瀬
(025) 夏祭り 浴衣に赤い 鼻緒かな 志方
1 深瀬 白い浴衣と下駄の赤い鼻緒の色彩感覚、そして、それ
らを身につけた女性の雰囲気がほのかに漂ってくる感じです。
(026) 一涼の鶯の声夏の朝 橋本
1 吉良 鶯は春の季語ですが、夏山に行くと爽やかな声で迎え
てくれます。
2 小野寺 鶯は春の季語ですが、初夏の朝に啼く鶯は確かに、涼
を呼びますね。
(027) 夏空に旗立て旅行者声高く 深瀬
2.兼題 夏の食べ物、料理 (トマト、かき氷、素麺、ところてん、等)
(028) 炎天下 並んで待つか かき氷 中津川
(029) 水ようかん匙で切り取り孫笑顔 深瀬
1 桑子 匙で切り取るという表現がすてきです。おいしさが伝
わってきます。
2 秋岡 お孫さんがかわいくて仕方がないのですね。
(030) 素麺を 黙してすする 昼下がり 吉良
(031) 夏昼餉梅干し納豆熱いお茶 橋本
(032) 風呂浴びて 香るみょうがの 冷奴 中津川
1 志方 冷酒一杯と直ぐに注文したくなる句ですね
2 秋岡 夏はこのパターンが最高ですね、後は冷酒か冷えたビ
ールですね。
3 橋本
4 深瀬 みょうがと冷奴の色彩感覚に惹かれました。ビールと
か飲みながら、風呂上がりのゆったりした雰囲気も伝わってき
ます。
(033) 生姜擦る冷やそうめんの昼げかな 豊
(034) 茄子胡瓜トマト青紫蘇朝もぎり 秋元
1 柳町
2 吉良 朝とれたての感じが「もぎり」で表現されています。
(035) 細けれど素麺助く細る食 橋本
(036) 切るのみで 買いし巻き寿司 食べる昼 中津川
(037) ガラス器に赤いすいかの黒き種 深瀬
(038) 庭育ち味噌付け胡瓜の旨さかな 橋本
1 桑子 やはり自分で育てた野菜は形はどうあれうまい。もろ
きゅうは最高です。
2 中津川 自分で育てた野菜の味は一層おいしいでしょう
(039) 道の駅一足早い心太 治部
1 豊 車で旅する途中なのでしょう。もしかすると名物の心
太を求めての旅なのかもしれません。「 一足早い」 とあります
から、たまたま立ち寄った道の駅で、目的地よりも早く心太に
出会ったということでしょうか。
鴨川の川床料理で
(040) 焼き鮎を 狙いし鷺の 止まる桟 中津川
(041) そうめんは トマトに胡瓜 錦糸卵 志方
(042) 木筒からにょろにょろいずるところてん 深瀬
(043) 素麺の 木箱に染まる 潮の香や 吉良
1 秋元
2 深瀬 かつてはお中元とかで、束ねた素麺がいくつか入った
木箱をよくみかけました。独特な香りですが、web によれば、
「日本国内では近世より西日本を中心に素麺生産が盛んであっ
た。これは原料となる小麦、水(軟水)、食塩(海水塩)の産
地が近かったことが1 つの理由である。」との解説があり、納
得しました。
以前勤めていた会社主催の「夏祭り大会」
に孫にせがまれて連れて行ったところ、懐か
しい後輩が出店でトマトを販売していたので
思わず買って食べた時の情景です。
(044) 夏祭 孫と頬張る 冷トマト 柳町
(045) 孫惑う 赤青黄色 かき氷 吉良
(046) 江戸切子 静かに漂う 冷素麺 宮澤
(047) 猛暑日や激辛カレー胆試し 豊
(048) 流れ来る 薬味で食らう 冷素麺 中津川
3.雑詠、無季語
(049) 花火果て空に静けさ戻りけり 豊
1 秋元
2 宮澤
(050) 夕闇の川面を急ぐ屋形船 秋元
(051) 海恋し炎暑の浜へ潮鳴りは呼ぶ 小野寺
(052) パリ祭や 踊る乙女の 夢たどる 吉良
(053) 風止まる 瀬戸の夕凪 蝉しぐれ 志方
1 柳町
2 吉良 経験がないのですが一度訪ねてみたくなる気分を感じ
させます。
3 宮澤
(054) 蓮子の花水面( みなも) の下に蜘蛛の糸 小野寺
(055) 屋根の上たまに顔出す花火かな 桑子
1 橋本
2 深瀬 実際の花火大会の現場に行ったことがありません。い
つも屋根の上とかビルの合間からみています。既視感に訴えら
れた感じです。
3 小野寺 屋根の上から眺める花火は確かに音も微かで、たまに
しか顔を出さないと言う表現が言い得て妙に面白い。
(056) 宵宮に行き交う人は薄化粧 小野寺
1 中津川 京都の町の浴衣の女性は皆美しく見えます
(057) 瀬の音や若き岩魚の影速し 治部
1 吉良 山間の沢の涼しさを味わえる句です。
2 深瀬 岩魚の素早い動きが音感や色彩感覚の両面から活写さ
れているように印象深く感じました。
(058) 変幻に姿を変える仕掛け火や 秋元
(059) 雨に濡れ問はずかたりの白牡丹 小野寺
(060) おかあさーん八月の空遠くから 深瀬
夏の立山で発見
(061) 見つけたり 雷鳥親子 走り去り 中津川
(062) 古希過ぎて頬かすめ行く煌めきの時空 (とき) 小野寺
(063) 大輪の夜空の頬を赤に染め 秋元
(064) 大花火滝のしたたり闇の音 小野寺
(065) 屋形船連句に興ず旦那衆 深瀬
(066) 抜き襟の うなじの汗に ときめきて 宮澤
1 治部 いいかげん卒業しましょう。でもわかりますよ。ホン
ト
2 秋元
3 森杜瑯
4 桑子 まだときめきがあるというのはすばらしいしうらやま
しい、と同時にうなじの汗が見えるのは視力がいいせいなのか
はたまた見えるほど近づいていたのでしょうか。気になるとこ
ろです。
5 小野寺 抜き襟のうなじに滲む汗は確かに艶めいて、色気があ
りますね。
(067) 潮騒は読経の声か蝉時雨 小野寺
1 森杜瑯
(068) 花火咲き台場の橋を透かし見る 秋元
(069) 昼下がりジムのプールや四面女声 桑子
(070) 古希過ぎて悪びれもせず昼寝かな 治部
1 吉良 リタイアしてのんびり過ごせる身分がうらやましく思
えます。
2 桑子 70も過ぎると恥も外聞もなくなってくるが、それを
悪びれもせずと開き直っている?ことに感心しました。
3 秋岡 ”悪びれもせず”という言葉で思わずニヤリとしまし
た。
4 中津川 私も悪びれず昼寝します
(071) 緑陰のひかり濃淡万華鏡 深瀬
1 志方 井之頭公園の奥の雑木林の夏木立の中を散歩している
ときに、感じます。
2 小野寺 木漏れ日の緑の光の濃淡はさながら自然の万華鏡です
ね。美しい。
(072) 蠍座は銀河の彼方紅く燃ゆ 小野寺
(073) マンションの朝つつみけり蝉の声 深瀬
(074) 肩紐のあとが残れる日焼け肌 豊
(075) 川面ゆく舟の灯りに蝉時雨 秋元
1 柳町
全英女子オープンゴルフ優勝のスマイルシ
ンデレラ渋野選手、元気もらった
(076) 全英のスマイルシブノ有難し 橋本
(077) 紫陽花の青滴りて古都の庭 小野寺
1 秋元
2 豊 鎌倉にあじさい寺があります。あるいは、 古都は京都
かもしれません。「 青滴りて」 なので、雨がやんだあと紫陽花
の花に雫が残っている情景でしょうか。きれいな句です。
(078) 街電車みどりに染まり走りゆく 深瀬
1 橋本
(079) 送り火や火照りし人の洗い髪 小野寺
東日本大震災から8 年、三陸鉄道全通のお
祝い(?) に乗車しました。駅の周りは随分と
様変わりしてましたが、三陸の海は以前と同
じように光輝いていました。
(080) 震災の 陰りも見せず 光る海 柳町
1 志方 三陸の復興の様が伝わって、うれしいですね
2 橋本
(081) 硯洗いの桶墨絵のキャンバス 治部
1 中津川 無季語、破調の句が新鮮に感じました
(082) 谷深し山鳩啼きて朋は逝き 小野寺
(083) 足もとの蟻踏み避けて生思ふ 深瀬
1 宮澤
2 豊 足を踏み出そうとしたら、足もとに蟻が這っているの
を見つけたので、踏み潰さないように避けた。小さな生き物の
命が自分の命と重なったのです。作者の優しさがうかがえます。
(084) 人は待ち 熱風渡る 赤信号 宮澤
1 秋岡 本当に暑い夏です。信号待ちの時間は熱風が一段と熱
く感じます。”熱風渡る”が面白いですね。
2 橋本
(085) 天地 (あめつち) を濡らして匂ふ百合の花 小野寺
(086) 八月や兵士の霊が戸をたたく 豊
(087) スーツ女 (め) に歩調合わせて玉の汗 桑子
1 治部 なぜ歩調を合わせたのかが不明。スーツ女は誰ですか。
娘、孫でなければ作者は変ですよ。ただ、行動に移さずに汗を
かかない選者にも気が付きました。
2 秋岡 スーツ姿は就職活動中の若い娘でしょうか、彼女らに
歩調を合わせて歩くと間違いなく汗が吹き出します。しかし負
けたくない。いいですね。
(088) 鐘の音に遠雷和して陽は沈み 小野寺
1 志方 音の共鳴が見事に表現されています。夕陽が水平線に、
ポトンと落ちていく様が想像されます。
2 秋元
3 森杜瑯
(089) 梅雨の朝街路のみどり輝けり 深瀬
(090) 打ち水の 朝顔咲ける 路地裏は 志方
(091) 郭公は谺 (こだま) となりて友を呼び 小野寺
(092) 古池や浮かぶ花弁に蟻二匹 深瀬
1 柳町
(093) 朝一でラジオに合わせ集う子ら 秋元
(094) 雨音の閑かに包む梅雨の朝 橋本
1 深瀬 梅雨らしい朝の静寂の雰囲気がよく描写されていると
感じました。
(095) 夏蝶の翅閉じてをり滝飛沫 (しぶき) 小野寺
1 吉良 絵になる光景ですね。
2 豊 翅を閉じているのですから、蝶は石の上か花の上に止
まっているのでしょう。近くで滝がしぶきを上げている。けれ
ども蝶は逃げることなく止まったまま。山の静かな風景が想像
されます。
(096) 子供らの遠ざかる声薮蚊たつ 治部
1 豊 夏休みの子供たちが野原で遊んでいます。藪蚊が出て
きたので子供たちは遠ざかったのか、それとも騒いでいた子供
たちがいなくなったから藪蚊がたったのか。どちらにしても、
夏の一コマです。
(097) バッグ引きそろい半袖旅行団 深瀬
(098) 鈍色の汀 (みぎわ) さざめき糸トンボ 小野寺
1 中津川 子供の頃の池のある景色を思い出しました
(099) 運試し ジャンボは外れ 暑気当たり 宮澤
(100) 夕立や傘開かずに雨宿り 治部
(101) 奈落へと引きずりこまる老ひごこち 深瀬
(102) 風孕み白帆の跡は蒼き海 小野寺
1 柳町
2 深瀬 満帆の白い帆が蒼い海の上をまっすぐに突き進み、航
跡波を長くひいている情景が目に浮かびました。
追記
1.選句の際、お送りいただいたコメントです。
・ちょっと偏った選句になりましたが、暑さに免じてお許しください。 (治部
さん)
・今回は傑作が多く選句に迷いましたが、個人的な共感だけで選んでみました
。 (志方さん)
・暑いですね!!孫も帰り、ほっとした時間を過ごしています。 (柳町さん)
・素人なので的外れになるかもしれませんが、ご容赦下さい。感想になってし
まいましたがよろしくお願いいたします。 (桑子さん)
・今回は、私の投句は間に合いませんでした。 (森杜瑯さん)
・7月の初めに母親が95歳で亡くなり、昨日満中陰志を終えました。長く寝
込むこともなく95歳まで長生きしてくれましたので感謝しています。遅くな
りましたが以下の通り選句させて頂きましたのご連絡いたします。 (秋岡さん
・暑かった今夏の情景を思い浮かべ、六句選句しました。 (宮澤さん)
・猛暑のせいか、今回は皆さんだいぶ苦労されたようでした。 (豊さん)
・ようやく少し凌ぎやすくなってきましたので、体調を良くして行きたいと思
っています。庭木、芝が伸び放題なのでまずこれを片付けねばなりません。 (
橋本さん)
2.七句会自由ネット連句の進捗状況
7 月上旬に始めた自由連句は、今現在、下記のようになっています。参加し
てもよいとお思いの方は事務方までご連絡ください。
01 新緑や葉裏を見せて風渡る (橋本)
02 野原に遊ぶ園児らの声 (豊)
03 チャンバラの斬られ役の子ポーズ決め (深瀬)
04 草雲雀啼き雲流れゆく (小野寺)
05 梅雨雲や光り焦がれる花芽かな (吉良)
06 光合成もいまや遅しと (深瀬)
07 よみがえる強き日射しや夏の雲 (豊)
08 鵜と戯れし不忍の池 (吉良)
09 紫陽花の青滴りぬ古都の庭 (小野寺)
10 青もいつしか枯れて黄色に (豊)
11 駒東の紅顔男子も七十路に (深瀬)
12 頬かすめゆく煌めきの時空(とき) (小野寺)
13 友は逝き夢み果てなむ天の川 (吉良)
14 人それぞれの旅路はるかに (深瀬)
15 この世からあの世へ運ぶ渡し舟 (豊)
16 漆黒の海に星流れ散る (吉良)
17 鐘の音 (ね) に遠雷和して陽は沈み (小野寺)
18 孤独な人の哀しみ深し (豊)
19 予定表余白数えて蝉の声 (深瀬)
20 炎暑の浜へ潮鳴りが呼ぶ (小野寺)
21 夏の海船誘 (いざな) いてイルカ舞う (吉良)
22 どこまでともに一期一会を (深瀬)
23 老いてなお若さを保つうれしさよ (豊)
24 果てなる旅路しばし待ち詫ぶ (吉良)
25 雲速し今際 (いまは) の声か蝉時雨 (小野寺)
26 地には空蝉ばかり残して (豊)
27 仰向けの蝉の見つめる虚空かな (深瀬)
------