自由連句のみなさま
平島道彦様 多大な励ましをいただき、たいへんありがとうございます。
今回は、7 月9 日に、橋本さんの
新緑や葉裏を見せて風渡る
を発句として手さぐり的に始めた連句も、下記のように、歌仙形式の36句目を
小野寺さんに詠んでいただき、無事、満尾することができました。きびしい暑
さのなか、たいへんありがとうございました。
10月中に、できれば今回の結果を踏まえて反省会のようなこと (例えば、ル
ールの修正。ご参考までに下段に掲載。) を行いたいと思っています。日程、
等につきましては、豊さんをはじめみなさまにご相談したいと思っています。
深瀬
追記
連句と並行して、小野寺さんの伊藤忠時代の先輩であり、俳句にお詳しい平
島さんから、多大な励ましのお言葉をいただきました。満尾にしたことについ
て、下記のようなメールをいただきました。小野寺さんとわたしにいただいた
ものですが、ご参考までに下記に掲載させていただきます。注。平島さんは、
阪大OB、ポルトルガルにお住まいです。
平島さんのメール(1)
満尾おめでとうございます。
自由連句という事で皆さんかなり奔放に楽しめた事でしょう。各人の長句短
句のバランスも取れていると思います。もしこれから本気で連句・歌仙に挑戦
するのであれば基本的な式目を会得して欲しいと思います。
もう既にお持ちの方もおられるかと思いますが岩波新書1121「歌仙の愉しみ
」を参考書として読まれることをお勧めします。
ラグビーのワールドカップで皆さん盛り上っていると思いますがあの風変わ
りなルールがあってこそ面白さが倍加していると思います。歌仙も式目に則っ
て作りますと各個人の個性が如実に発揮されて転調も大胆、作品が複雑な色合
いや音や匂いの展開で深く幅広いものになること請け合いです。
やればやるほど面白さに嵌り、遊び心に身体も軽やかに伸びやかに応じるよ
うになりますよ! 呻吟は避けて通れないですが・・・ 産みの苦しみはこれ
も快楽!
平島道彦拝
平島さんのメール(2)
俳句に練達の人に釈迦に説法みたいで面映ゆいです。でも気の置けない仲間
で切磋琢磨すれば更に親和力も増して友情・友愛も深まっていきます。遠慮な
く羽目を外せるのも座の文学の良いところ。
紹介した本 [大岡信、丸谷才一、岡野弘彦著 「歌仙の愉しみ」 (岩波新書
) 、2008年3 月刊] にありますが野坂昭如のパロディ「男の果てはみなインポ
なり」というのがありますが、これは猿蓑の「市中はものの匂ひや夏の月」の
名残の裏の凡兆の「さまざまに品かはりたる恋をして」に対して芭蕉が「浮世
の果ては皆小町なり」と付けたのを捻ったものです。
これは極端にしても王朝文学やら滑稽やら自由闊達に奔放に遊べますので是
非皆さんでワイワイガヤガヤやりあって下さい。
妄言多謝
平島拝
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01 新緑や葉裏を見せて風渡る (橋本)
02 野原に遊ぶ園児らの声 (豊)
03 チャンバラの斬られ役の子ポーズ決め (深瀬)
04 草雲雀啼き雲流れゆく (小野寺)
05 梅雨雲や光り焦がれる花芽かな (吉良)
06 光合成もいまや遅しと (深瀬)
07 よみがえる強き日射しや夏の雲 (豊)
08 鵜と戯れし不忍の池 (吉良)
09 紫陽花の青滴りぬ古都の庭 (小野寺)
10 青もいつしか枯れて黄色に (豊)
11 駒東の紅顔男子も七十路に (深瀬)
12 頬かすめゆく煌めきの時空(とき) (小野寺)
13 友は逝き夢み果てなむ天の川 (吉良)
14 人それぞれの旅路はるかに (深瀬)
15 この世からあの世へ運ぶ渡し舟 (豊)
16 漆黒の海に星流れ散る (吉良)
17 鐘の音 (ね) に遠雷和して陽は沈み (小野寺)
18 孤独な人の哀しみ深し (豊)
19 予定表余白数えて蝉の声 (深瀬)
20 炎暑の浜へ潮鳴りが呼ぶ (小野寺)
21 夏の海船誘 (いざな) いてイルカ舞う (吉良)
22 どこまでともに一期一会を (深瀬)
23 老いてなお若さを保つうれしさよ (豊)
24 果てなる旅路しばし待ち詫ぶ (吉良)
25 雲速し今際 (いまは) の声か蝉時雨 (小野寺)
26 地には空蝉ばかり残して (豊)
27 仰向けの蝉の見つめる虚空かな (深瀬)
28 限りある日を生命 (いのち) 尽くさむ (小野寺)
29 朽ち果てし巨木押し上げ夏木立 (吉良)
30 若きいのちの船出しずかに (深瀬)
31 老兵はまだ消え去らず曼珠沙華 (豊)
32 心静かに秋空見上ぐ (吉良)
33 闇の音碧い息吐き蛍舞ひ (小野寺)
34 源氏平家の戦い終えて (豊)
35 六十年 (むそとせ) の住居 (すまい) の朝に秋の雲 (深瀬)
36 結界超えていざ旅発たん (小野寺)
ご参考 自由連句の基本ルール (当初)
・ルール 01
発句のあとに、2 番目の人が短句(77)を詠み、それを踏まえて3 番目の人が
長句(575) を詠み、4 番目の人が3 番目の人の詠んだ長句を踏まえて短句(77)
を詠む、という手順を繰り返す。基本的に1 つ前の句のみ踏まえればよいもの
とするが、それ以前の句も踏まえるかは自由とする。
・ルール 02
句を詠む順番は、あらかじめ決めておく。参加者が偶数人数のときは、同じ
順番で繰り返すと、長句を詠んだ人はずっと長駆を、短句を詠んだ人はずっと
短句を詠むことになってしまうので、2 巡目以降、適宜、入れ換えるようにす
る。
・ルール 03
発句は、適当に持ってくるものとする。必ずしも、連句に参加している人の
詠んだ句にこだわらず、協議のうえ、だれの句でも発句とすることができるも
のとする。
・ルール 04
句を詠んだら、次の人にメールで連絡するとともに、他の参加者にはCCを入
れることにする。他の参加者が進捗状況を知るため。
次の人は、受け取ってから3 日以内に自分の句を詠んでメールすることを基
本とする。ただし、間に合わないときには、あと何日待ってくださいと連絡す
るものとする。
・ルール 05
長句や短句を詠んだとき、なにか分かりにくい点があれば補足的な説明を加
えることも可能とする。最終的には、注釈的に残すのみとする。