七句会のみなさま
第三十四回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、
たいへんありがとうございました。
およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ
てお届けします。
今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。
七句会のweb http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。
今後とも、よろしくお願いいたします。
深瀬 (事務方)
1.第34回 ネット句会 作品集
(01)新井さん
・友の顔浮かべて癒す新酒かな
・新酒飲み鍋を囲むや家族愛
・憂国忌激情したたる若気かな
・不理解の極みに至る憂国忌
・秋の空風を飲み込み芝生触れ
・赤緑過ぎゆく小道爽やかに
・文化祭笑み笑みあふれ友家族
・洋館の銀杏のマントはんなりと
(02)小野寺さん
・秋高く鳶の眼 (まなこ) は尾根を追い
・小夜時雨京の町屋に灯が燈り
・鎌切りに食われし雄の覚悟観る
・破れ寺の紅葉 (もみじ) 踏む音風に消え
・朋去りぬ虫哭き送る独り酒
・幽谷の村流れゆく霧の音
・夕霧が古都の紅葉 (もみじ) も濡らしけり
・雲速し朋逝きし日に野分荒れ
・墓碑朽ちて無縁仏に曼珠沙華
・月光を浴びて薄 (すすき) は銀の海
・古都暮れて路地裏深く紅葉 (もみじ) 踏み
・北斗星無窮の闇に傾きて
・梟は夜のしじまを偲び啼き
・栗飯の甘い匂ひに孫はしゃぎ
・紅葉舞う散りゆく生命 (いのち) 煌めきて
・星冴ゆる沖の漁火窓に揺れ
・浪の音恋せし夜の冬銀河
・故郷の夜汽車の汽笛冬近し
・月冴えて墨の匂ひに筆を執り
・雁の声波浪の岬風に消え
・ふるさとは港の汽笛夜泣き蕎麦
・散る銀杏黒き枝えだ天に透き
A さんの復帰を祝って一句、
・柿紅葉 (かきもみじ) 陽に照り映えて朋還る
(03)吉良さん
・あるじ待つあくまで白きとろろ汁
・初登山新蕎麦すする麓茶屋
・宅配のオリーブの実や風光る
・柿干せる母の手細し今は亡き
・河豚ちりや孫と同じ身摘まみけり
(04)桑子さん
・球打てばファーを聞くなり秋の空
・天高く筑波と富士がにらめっこ
・紫が天下取りたる秋の庭
・小春日や木漏れ日まぶし散歩道
・冬晴にタワークレーン富士摘まむ
(05)志方さん
・風に問うコロナの行くへ秋茜
・棘隠すバラの花園古女房
・木漏れ陽と風にゆられて梢かな
・今年また同じ紅葉の花舞台
・冠雪に薄紅染める朝の富士
・畦みちに直立不動の彼岸花
・熱燗も独酌続く胡麻和えと
(06)治部さん
・病む友を励ます文や暮れの秋
・霜降や日々の河原の草々も
・秋惜しむ何はなくとも茸鍋
・都庁までくっきり高尾の紅き秋
・雨後の蹊雫の出会う十三夜
・郷に入り吾もしてみむと吊るし柿
・木枯らしや塵もコロナも知らぬまま
(07)中津川さん
・すすき原泡立ち草が天下取り
・刈田道活きているごと立つ案山子
・民宿の香るどぶろく焼きイワナ
・実りたる街の畑に猪 (しし) 出でる
・落栗を踏んで登るや木曽の路
・天満宮合格祈る神無月
・半袖にダウンベストの小春日や
(08)橋本さん
・秋雨や川面に隈無く輪の並ぶ
・一輪の白ばら冴えて月夜かな
・色付く葉残し剪定秋惜しむ
・晩秋の夕暮れ澄みて富士の峰
・三密を逃れてゴルフ天高し
・GoToはコロナ微笑む処方箋
(09)宮澤さん
・懐かしやコロナ不在の去年の冬
・老いらくの思いかみしめ落ち葉踏む
・散髪し襟元抜ける冬の風
・ふつふつと牡蠣鍋を待つ箸二膳
・濡れ落ち葉拾い集めて我を知る
(10)森杜瑯さん
・紅葉は命の光照り返し
・紅梅は泪をたたえ君誘う
・散り急ぐ紅きもみじに吾重ね
(11)柳町さん
「きんぎょそうの種って、怖いね!」と孫に言われ
てしみじみ見ました。本当にドクロでした
・金魚草ドクロ顔の種哀し
・流星群願いをこめて祈る空
(12)豊さん
・冬来たる富士山頂の薄化粧
・小春日やベンチに並ぶ老夫婦
・白菊を一輪供え別れかな
・冬木立掃きたる空の青深し
・トナカイの鈴の音遠き聖夜かな
・吐く息や初霜の朝窓曇る
・良き人の逝きし一年除夜の鐘
(13)深瀬
・死の形さまざまと問ふ憂国忌
・金閣寺夕陽に浮かぶ憂国忌
・憂国忌白手はち巻きなにを問ひ
・ただ死ぬを待つ身のときの重さかな
・生きている疑問すらなき時もあり
・温暖化百鬼夜行の野分かな
・新酒呑みトイムトラベル古老団
・仏壇の新酒に割れる父母遺影
・潮の香や海底 (うなぞこ) の夢秋の空
・来し方の岐路振り返る残暑かな
・頭上飛ぶ残暑の機影重たげに
・太極拳モザイクかかる残暑かな
・老ひ深むこころやすらぐ残暑かな
・ひぐらしや山河にこだま瑞穂国
・ひぐらしや子守の少女空見上げ
・ひぐらしや遠き夕陽を呼び起こし
・七十路に「君といつまでも」聞きひたり
・役目終へ風に舞ひ散る落ち葉かな
・ひとひねり蛇口から水手で受ける
・濡れ落ち葉朝陽に燃えるきよらかさ
・落ち葉ごとひそり消えたし老ひの朝
・城ヶ崎岩にくだける秋の波
・秋の陽に大島望む城ヶ崎
2.第34回 ネット句会 自句自解
◎ 新井さんの感想
108 句拝見し、本当に楽しかったです。古典的な美しい情緒あふれる日本語
に触れられる句から、現代のコロナ苦を詠ったものまでじっくり味わえました。
壮大な年月の移り変わりが感じられて、大満足でした。
新年ということで、一句浮かびました。このプロジェクトに参加させて頂け
た、お礼の気持ちを表すためお伝えします。
『新春の陽光まぶし腰重し』
…年が明け、明るい日差しを感じられるのですが、このご時世で出かける気
分になれません…。今後ともよろしくお願いいたします。
このような楽しみに参加させていただけて嬉しいです。上智のクラスメイト
の間でも、賀状に「俳句素晴らしいですね」なんて書かれています。
◎ 小野寺さんの自句自解
仕事の他、河村先生の奥様との先生との生い立ちの再確認の電話やいろいろ
あって遅れましたが自分の句は選句結果を中心に下記します。
・浪の音恋せし夜の冬銀河 (015)
真冬の浜辺危い恋に燃えた日夜の海に息を呑む様な満天の冬銀河が横たわっ
ておりました。
・ふるさとは港の汽笛夜泣き蕎麦 (078)
故郷北の街釜石の冬、港の汽笛が遠く消えぎえに聞こえて父に連れられて食
べた夜泣き蕎麦の暖かい味が切なく思いだされます。
・月冴えて墨の匂ひに筆を執り (008)
煌々と冴えた月が上がった冬の夜半、走らせた筆の運びに墨の香りが立ち込
め師への奉書の返信に想いを馳せました。
・北斗星無窮の闇に傾むきて (032)
北風張り詰めた冬の夜更けに無窮のしじまを北斗七星は傾きながら沈んでゆ
き大自然の確かな運航に身がすくむ思いでした。
・故郷の夜汽車の汽笛冬近し (038)
豊さん、治部さんの感想の通りです。北の故郷の夜汽車の汽笛が確かな音と
して聞こえ出すと冬がそこまでやって来てました。夜汽車の紅いテールランプ
との追憶です。
・秋高く鳶の眼 (まなこ) は尾根を追い (043)
秋の深く高い天空を翔る鳶の眼からはあかね色に紅葉した遥かな山の稜線が
走り去る風景として眺められるだろうと、思いました。
・月光を浴びて薄 (すすき) は銀の海 (062)
一面の薄の原野は月の光を浴びさながら銀色に輝く海にも似て寂寥と耽美が
交錯する美しくも哀しい風景でした。
・朋去りぬ虫哭き送る独り酒 (065)
酒が好きだった友人は確かに良い奴でした。何故にと嘆いてみても外では虫
達が葬送の調べの様に哭くばかりで。独り酒で送るしかなかったのです。
・小夜時雨京の町屋に灯が燈り (082)
私の好きな京都の町屋の夕暮れのひとときぽつりぽつりと灯りが燈るり暖か
な温もりの風景です。
・紅葉舞う散りゆく生命 (いのち) 煌めきて (084)
華やかに見える紅葉の散りゆく様は命を、燃やして最後の煌めきを放つ 人
の一生にも似て限りある己のあり様にも思えます。
・墓碑朽ちて無縁仏に曼珠沙華 (087)
訪れる人もなく朽ち果てた無縁仏の墓碑の傍に一面真っ赤な彼岸花が咲いて
いて、人の世の無常と寂寥が、この世のものとも思えない程辺りを支配してお
りました。
・古都暮れて路地裏深く紅葉 (もみじ) 踏み (095)
京都の下町の路地裏に散り敷かれた紅葉を踏み入ると千年の古都のそこはか
とない息吹きが、足の底から伝わる想いがしました。
・星冴ゆる沖の漁り火窓に揺れ (102)
海辺の旅の宿です。外は満天の星が冴え曇った窓ガラスに遠く漁り人が揺れ
て旅情を誘いました。
・散る銀杏黒き枝えだ天に透き (021)
秋空に燦然と輝きをみせた黄金いろの葉達は衣を脱ぎ捨てたように散り果て
後に寒風に立ち向かう裸木が堂々と屹立する姿を描きました。平島さんの寸鉄
の鋭い批評に感服です。
・柿紅葉 (もみじ) 陽に照り映えて朋還る (071)
死生を彷徨う大病をした友人が病を乗り越えて戻ってきた。まるで祝福する
ように柿の葉が紅く色づき陽に照り映えて光っておりました。
・破れ寺の紅葉 (もみじ) 踏む音風に消え (049)
人里離れた破れ寺の紅葉を踏みしめながら歩くとカサコソという音が風にか
き消されて、志方さんの寸評の様に寅次郎が雪駄で歩く風景が言い得て妙です。
◎ 桑子さんの自句自解
コロナ禍の中で、健康維持のため近所の散歩やゴルフをしています。今回は
それらにちなんで詠んだものが多いです。
・球打てばファーを聞くなり秋の空
3密の回避かゴルフ場も混んでおり、あるゴルフ場ではあちこちからファー
の声が聞こえてきていました。子規の「柿食えば・・・」をちょっとまねてみ
ました。
・紫が天下取りたる秋の庭
秋の我が家の小さな庭は紫色の花が多く (ノボタン、アメジストセージ、そ
の他 [実はあまり花の名前は知らない] ) それらが咲き乱れているのを詠みま
した。
・小春日や木漏れ日まぶし散歩道
以前は感じなかったが、 木漏れ日が眩しく年には勝てません。
・天高く筑波と富士がにらめっこ
散歩の途中、公園の丘から天気の良い日には、北に筑波山、西に富士山が見
えます。
やはり富士山の方が堂々として睨み付けている感じでしたが、表現としては
「にらめっこ」の方が良いかと?
・冬晴にタワークレーン富士摘まむ
これも散歩の途中、建設中ビルの屋上にあるタワークレーンと遠くにある富
士山の位置関係が面白かったので。
◎ 中津川さんの感想、自句自解
今回、投句のご案内を見逃してしまい、リマインドメールで気付き急いでほ
ぼ1日で作ったため、ほとんど推敲せず送付してしまい反省しています。
コロナの流行の中、密にならない様に9月・11月に中山道、10月に甲州
街道を歩いたことを中心に作ってみました。
いつも皆さんの幅広い句を楽しんでいます。
◎ 橋本さんの自句自解
・三密を逃れてゴルフ天高し (4点句)
ラウンド中は三密は忘れて楽しめるゴルフ、秋たけなわのコースが嬉しい (
私が参加している団塊世代が中心のゴルフ仲間の会「霞光会」 (長谷川会長)
は、桑子さん、秋元さん、宮澤さん、深瀬さん、、、もメンバーで、3密を避
けてゴルフを続けており、おかげで一人住まいの身も解放されています。)
・一輪の白ばら冴えて月夜かな (2点句)
晩秋の夕暮れ、庭には四季咲きの白ばらが一輪くっきりと浮び、空を見上げ
れば半月の白い月
・秋雨や川面に隈無く輪の並ぶ (1点句)
細い秋雨が座生川の静かな水面に落ち、大小の水滴の輪が適度な隙間を保ち
出来ては消える。繰り返すその様子が面白い。
・色付く葉残し剪定秋惜しむ (1点句)
庭のアメリカ楓を剪定しすっきり、風が通り程良く残した色づく葉が風にそ
よいでいる。
・GoToはコロナ微笑む処方箋 (1点句:川柳)
経済回復の目的で繰り出すGo To キャンペーン (処方箋) は人出と気の緩み
を誘発し、新型コロナがほくそ笑み、感染の波が大きくなってしまった。
◎ 平島さんの感想
沢山の句から選ぶのは容易では無く最初は考えながらボツボツ進めましたが
時間が限られているので見た目の直感と言うかパっと閃くものがあればチェッ
クを入れて七句に絞り込んだ結果です。
それにしても皆さんお上手ですよ。
外国におりますと日本的なものが目の前になくどうしても観念俳句になって
しまうので句想が貧困で作るのは諦めています。
でも選句は楽しいので今後とも宜しくお願いします。
◎ 宮澤さんの感想、自句自解
年初から始まったコロナ騒ぎは、収束を見ることなく年末を迎え、今冬に至
っても、人に会えない寂しい日々が続いています。
こんな中、少しほっこりとした気分が欲しくて詠んだ牡蠣鍋が5 点句に選ば
れ、驚きながら喜んでいます。
コロナの陰にどっぷり浸かっていても、つかの間の幸せでも享受して前向き
に生きたいという思いです。
箸二膳の相手がどこかの美人だといいなという妄想をあとどのくらい持てる
でしょうか?
落ち葉に関して2句し投句し、1 句が4 点句に選句されました。これも驚き
です。
落ち葉の色具合、乾燥度、重なり合って横たわる様子を見るたび、役目を終
え「お勤めご苦労さん」というイメージが年長者の思いに同期します。
寒くなる秋から冬にかけ落葉するため、人生の末期に合わせ、ますますその
感を強くしますが、翌年の為に葉を落とした樹木は、また来春、希望に溢れた
新芽を出します。
そんな思いもこめたっかたのですが、句の印象は暗くなってしまったようで
す。
新年を迎え、コロナの状況は改善されていませんが、早く平穏な日常に戻る
ことを祈るばかりです。
◎ 豊さんの感想、自句自解
今回は評価が分散したようですね。憂国忌の句がいくつかありましたが、三
島由紀夫は川端康成や大江健三郎にも劣らない作家だと私は思っています。演
劇的な自殺は評価しませんが、「金閣寺」「豊饒の海」は傑作です。
さて、自句自解。
・白菊を一輪供え別れかな
・良き人の逝きし一年除夜の鐘
有名無名に限らず、コロナに感染して亡くなった人が出た一年でした。追悼
の句です。
・吐く息や初霜の朝窓曇る
「吐く息や初霜の朝」まではすぐにできたのですが、あとをどうするかで迷
いました。「窓曇る」が良かったとは思っていません。
◎ 深瀬の自句自解
・死の形さまざまと問ふ憂国忌 (1点句)
・金閣寺夕陽に浮かぶ憂国忌 (1点句)
・憂国忌白手はち巻きなにを問ひ (2点句)
三島由紀夫氏の文学作品について、詳しい知識はないのですが、美意識、重
視した権威、人間とはどような存在なのかという認識、等について独自の理解
があり、それに殉じた自決であったのではないかと思います。なにか自らを追
い詰めてしまった心境に、時代的なものがあったようにも感じます。
・ただ死ぬを待つ身のときの重さかな (2点句)
この句は、11月末に心筋梗塞を起こす前に作ったものですが、高齢者が身近
に増えるなかで、ひとごととは思えない気持ちもあり詠みました。
・生きている疑問すらなき時もあり
60歳ころ以前は、社会の荒波と格闘することに精一杯で、いずれ死がやって
くるなどといったことは意識すらしませんでした。今思えば、そういうものな
のかなと複雑な心境になります。
・温暖化百鬼夜行の野分かな (1点句)
台風の進路が、温暖化の影響で逆行してきたりとこれまでにはなかった径路
をたどることがあるようです。温暖化の深刻さを実感します。
・新酒呑みタイムトラベル古老団
タイムトラベルを使ってみたいと思いました。古老団が抽象的すぎるかもし
れません。
・仏壇の新酒に割れる父母遺影
お酒とたばこを巡っては、父と母はいつも対立していました。
・潮の香や海底 (うなぞこ) の夢秋の空 (2点句)
井上陽水の「積み荷のない船」が潜在意識にあったかもしれません。
・来し方の岐路振り返る残暑かな (1点句)
季節の変わり目を意識すると同時に、我が身をふり返っての気分のようなも
のを詠みました。
・頭上飛ぶ残暑の機影重たげに (1点句)
夕方、頭上近くを羽田に着陸する飛行機がよく飛んでいます。残暑のころに
はその機影が、気持ち的になにか重たげに見えるという感覚です。
・太極拳モザイクかかる残暑かな
残暑とモザイクの組み合わせをイメージしてみました。
・老ひ深むこころやすらぐ残暑かな
焼けつくような真夏が終わり残暑の気配が漂ってくると、老いの身には、安
心するような淋しいような複雑な心境になります。
・ひぐらしや山河にこだま瑞穂国
・ひぐらしや子守の少女空見上げ (1点句)
・ひぐらしや遠き夕陽を呼び起こし (1点句)
ひぐらしは夕刻になるとすんだ遠くまで響くような声で鳴くというイメージ
があります。なにかもの悲しい郷愁的な気持ちになります。
・七十路に「君といつまでも」聞きひたり (2点句)
大学に入り、柔道部の新入生歓迎会のとき、ひとりの先輩が熱唱していまし
た。今はベンチャーズの演奏版をよく聞いています。
・役目終へ風に舞ひ散る落ち葉かな (4点句)
たくさんの落ち葉が目の前を風に舞い散っているのを見て、あの葉っぱも太
陽の光を受けて輝いていたときもあったのだ、と我が身にひきよせて詠みまし
た。
・ひとひねり蛇口から水手で受ける
蛇口を回すと水が出てくるというのは、すごいことだなと噛みしめたいと思
いました。尾崎放哉の「入れものがない両手でうける」も無意識にあったかも
しれません。
・濡れ落ち葉朝陽に燃えるきよらかさ
濡れ落ち葉は定年退職し自宅にずっといて、奥さんにまとわりつく亭主を象
徴するものになっていますが、そのイメージに逆らってみようと思いました。
・落ち葉ごとひそり消えたし老ひの朝
最近、どういう死に方が適当なのか、ふと思うことがあります。
・城ヶ崎岩にくだける秋の波 (1点句)
・秋の陽に大島望む城ヶ崎 (1点句)
11月下旬ころ、駒東の同級生4 人で伊東に一泊し、翌日、レンタカーで城ヶ
崎の方に行きました。絶好の観光日和で、岩に打ち寄せ砕け散る波のコバルト
ブルーと白い泡、間近に見える大島の島影が印象的でした。 (心筋梗塞を発症
する一週間前でした。ご迷惑をかけずに済み安堵しています。)