2021年6月7日月曜日

七句会 第6 回 自由連句プロセス

 七句会 第6 回 自由連句プロセス


 初折表

01 発句  春   春待つや白寿の母の希望の絵        (小野寺) 

02 脇   春     人の和紡ぎ風光る街           (吉良) 

03  第三    春    ランドセル小一の子ら重たげに       (深瀬) 

04  四句目  雑        紫陽花咲ける歩道 (みち) を駆け抜け (志方) 

05  月の座  秋    秋の月手毬に遊ぶかぐや姫               (豊) 

06  折端    秋        天上の雁刻 (とき) を超え哭く       (小野寺) 


 初折裏

07  折立    秋    天城行く野菊かそけし旅役者             (吉良) 

08  二句目  恋        ワイン傾けポルトガルの夜           (深瀬) 

09  三句目  恋    赤提灯寂しく灯り酒恋し              (志方) 

10  四句目  雑        逡巡もあり元の木阿弥              (深瀬) 

11  五句目  雑   梔子 (くちなし) の白滴るや虹の珠 (たま)(小野寺) 

12  六句目  雑     ゴルフボールを犬が咥えて          (豊) 

13  月の座  夏    夏休み月面旅行曾孫らは                (深瀬) 

14 八句目  夏    昼寝邪魔され兎困惑         (吉良) 

15 九句目  雑  目覚めれば亀を追い越し勝ちにけり    (豊) 

16 十句目  雑      想定外に感染症か                (志方) 

17 花の座  春    振り返るコロナオリパラ花おなじ       (深瀬) 

18  折端    春        花衣着て往時偲ぶや                (小野寺) 


 名残表

19  折立    春    桜貝波打ち際の宝物                     (新井) 

20  二句目  雑        知の巨人逝く立花隆               (深瀬) 

21  三句目  雑    モナリザに秘めたる生命 (いのち) ダビンチ碑 (小野寺) 

22  四句目  雑    奄美・沖縄世界遺産に        (豊) 

23  五句目 冬    ウポポイにアイヌの誇り冬銀河      (新井) 

24  六句目 冬        新巻焼いて手抜きの夕餉        (吉良) 

25  七句目  雑    シェフの技画面に向けて肉炒め        (新井) 

26  八句目  恋        独酒の盃に飲みとも恋し         (志方) 

27 九句目 恋  微睡めば亡き夫人 (ひと) 香おるバラの園 (吉良) 

28 十句目 雑      合歓の花影月あかり降る            (小野寺) 

29 月の座  秋  十六夜に花火にはしゃぐ孫浴衣         (志方) 

30 折端    秋      祝杯挙げる二刀流秋                (新井) 


 名残裏

31 折立    秋  五輪書の皆伝待つや鰯雲         (小野寺) 

32  二句目  雑    金メダルにも嬉しさはなし      (豊) 

33  三句目  雑  時を越えファラオの棺光輝満つ      (吉良) 

34  四句目  雑     インディ・ジョーンズむち打ち現る   (新井) 

35  花の座  春  古代人眠る遺跡の花吹雪         (豊) 

36  挙句   春    諸行無常と西行偲ぶ         (志方) 



  ご参考  詠み手による付け筋


 初折表

01 発句  自句自解: 大正10年生まれの母は7 人兄弟姉妹ですが

母1 人が残り友人達も皆世をさりましたが、元気で絵を描いてます。

震災復興支援委員からの依頼で深い海の底から、皆で協力して希望

の光を求めるというメッセージを込めたのだそうで桑子さんのご理

解の通りです。この絵葉書が好評だったので、来年の作品の依頼も

頂く事になりました。


02 脇   希望の絵が人々の心をつなぎ、復興を願い街作りに励

む様子を読みました。 (21.06.07  吉良さん) 


03  第三    特に必要ないとは思いますが、同じマンションに住む

男の孫が4 月から小学校に通っています。体より大きいランドセル

を、最近は水筒とか入れるせいかかなり重たそうです。マンション

の横の坂を朝、ぞろそろと小学生が登校していきます。未来はこの

子らにかかっていると感じます。孫の通う小学校に私、息子と三代

通うことになりました。 (21.06.08  深瀬) 


04  四句目  コロナでこのところ、自転車移動が多いのですが、確

かに重いリックを背に何人かの一年生が、紫陽花の咲き並ぶ歩道を

駆け回っている姿は、無邪気そのものです。学校の束縛から解放さ

れ、そのエネルギーを目一杯発揮できるのは、後僅かかもしれませ

んが。 (21.06.10  志方さん) 


05  月の座 紫陽花の花は手毬の形をしています。秋の満月を手毬

に見立てました。そして、月と言えばかぐや姫。手毬で遊ぶ少女の

姿を思い浮かべました。 (21.06.11  豊さん) 


06  折端  かぐや姫はご承知の様にこの世で並ぶものもない絶世の

美女に育ちますが、老夫婦や帝の備え虚しく天上の人となります。

名月に翔び発つ雁は時空を超えてこの世との別れを惜しむかぐや姫

の慟哭でしょうか。

  投句遅れてすみません。一昨日一回目のワクチン打ちましたがそ

の晩8度近い発熱があり、腕も上がらず驚きましたが、今は落ち着

いてきました。友人から発熱は身体が若い証拠だと励まされ (笑) 

養生しました。皆さんもご注意を。 (21.06.15  小野寺さん) 


 初折裏

07  折立  渡り鳥の雁と同様旅を渡りあるく旅芸人。伊豆の踊子を

イメージしました。 (21.06.16  吉良さん) 


08  二句目  二人の出会いは時空を超え、しみじみ(?) と過ごして

います。 (21.06.17  深瀬) 


09  三句目  コロナ感染拡大の影響で、何気ない日常が厳しく制限

され、多分戦時下に近い雰囲気が漂っている。居酒屋も、日常から

消えて、あのムードが懐かしく、また恋しい昨今です。 (21.06.18

  志方さん) 

  

10  四句目  コロナ後の世界がどうなるのか、気になります。前と

全く同じようにはならないような気もしますが。 (21.06.18  深瀬) 


11  五句目  世の中コロナの喧騒の中、雨に濡れて咲く梔子の白い

花は甘い匂いと共に、走りゆく自分に、ひと時のゆとりの心を教え

てくれます。 (21.06.22  小野寺さん) 


12  六句目  白い珠=ゴルフボール。遠くに飛ばしたゴルフボール

を犬が追いかけて、咥えてもどってきます。主人と犬の微笑ましい

光景です。 (21.06.22  豊さん) 


13  月の座 ゴルフボールと犬のように、月との間にはシャトル便

が飛び交う時代が来るような予感がします。 (21.06.23  深瀬) 


14  八句目  月面旅行が盛んになったら、月のウサギもおちおち昼

寝もできず困る事でしょう。 (21.06.23  吉良さん) 


15  九句目  ウサギとカメのイソップ寓話があります。かけっこの

勝負をしたのに途中で眠ってしまったために、ウサギが負けました。

すぐに目を覚ましていたならば、きっとウサギが勝っていたでしょ

う。 (21.06.23  豊さん) 


16  十句目  カメとウサギのかけっこ、カメが勝つのは想定外だけ

どこの文言の氾濫は目に余ります。コロナ感染拡大と想定外感染症

とオッツカッツですね。 (21.06.29  志方さん) 


17 花の座  コロナワクチン接種も充分行き渡らないなか、オリパ

ラは決行されるようです。来年の桜のころ、同じ桜を見ているとは

思いますが、わたしたちはどのような気持ちでいるのか気になりま

す。 (21.06.30  深瀬) 


18  折端    前句のオリパラを受け、花見小袖の晴れ着を着た春の

日、混乱の極みの中を慣行した往時の興行を静かに思いだす日の来

らん事を希うばかりです。 (21.07.01  小野寺さん) 


 名残表

19  折立    花衣と言えばピンク。ピンクと言えば桜貝…桜貝のア

クセサリーはたくさん販売されていますが、まるで海から現れた宝

石のようです。 (21.07.03  新井さん) 


20 二句目 アイザック・ニュートンの名言「私は、海辺で遊んで

いる少年のようである。ときおり、普通のものよりもなめらかな小

石やかわいい貝殻を見つけて夢中になっている。真理の大海は、す

べてが未発見のまま、目の前に広がっているというのに。(I was l

ike a boy playing on the sea-shore, and diverting myself now

 and then finding a smoother pebble or a prettier shell than

 ordinary, whilst the great ocean of truth lay all undiscove

red before me.) 」を想いだしました。そして、最近、立花隆氏が

亡くなったことに思いを寄せました。 (21.07.04  深瀬) 


21  三句目  パリ, ルーブルのモナリザを三度見ましたがその度に

不思議な感銘を受けました。知の巨人というのは15世紀ルネッサン

スに奇跡の様に現れた、レオナルド、ダビンチを言うのだと思いま

す。

  絵画のみならず様々な分野に天才的な力量を発揮したダビンチで

すが、死ぬまで離さなかったモナリザは女性に興味を示さなかった

ダビンチにとり母への回帰の様に永遠を生きている様な衝撃を覚え

ました。 (21.07.11  小野寺さん) 


22  四句目  先日、奄美と沖縄の自然が世界遺産に登録される可能

性があるという報道がありました。ダヴィンチのモナリザも人類に

とっての貴重な歴史遺産です。 (21.07.11  豊さん) 


23  五句目  北海道に民族共生施設が出来ました。存続危機と言わ

れるアイヌ文化が冬の銀河に照らされて、地道に厳かに引き継がれ

ますように…、との思いです。 (21.07.11  新井さん) 


24  六句目  アイヌの里北海道の名物新巻きサケがあれば他は何も

なくても立派な夕食なのです。 (21.07.12  吉良さん) 


25  七句目  美味しい夕食をつくるために、時々オンライン料理教

室を受講しています。飲食店は厳しいと言われていますが、中には

このご時世に新たに挑戦、オンライン料理教室の先生もするシェフ

がいます。 (21.07.17  新井さん) 


26  八句目  酒を酌み交わす楽しみもなく、唯黙々と飲むばかりの

味気無さどんな時にも、付き合ってくれた飲み友達の3 回忌。今年

は墓参りが叶うかな。 (21.07.18  志方さん) 


27  九句目  独り酒に酔いがまわり、「まどろみの中に、昔あこが

れたすでに亡き夫人がバラ園に香り輝いて浮かんできた。」 シャ

ンソンの1 小節のような作り話。 (21.07.19  吉良さん) 


28  十句目  前句の亡き夫人の薔薇の赤い花の思い出より夜に赤い

花をつける合歓の花が月明かりに浮かびあがる幻想的風景を発想し

ました。 (21.07.25  小野寺さん) 


29  月の座  コロナ禍で、外遊びも儘ならないなかで、家の前の露

地で、線香花火に興じる孫の浴衣姿に、なんとなく癒される光景。

  月の明かりは決して自ら発するものではないですが、太陽の光を

こんなに幽玄な色彩に変えて、人の心にしみます。 (21.07.27  志

方さん) 


30  折端    コロナ禍がまだまだ続くと思うと気が重いですが、秋

には大谷翔平君がタイトルを取って、通訳の水原さんと祝杯を挙げ

る…、その喜ぶ姿を見て、人々は癒され、活気づくことでしょう。

 (21.07.29  新井さん) 


 名残裏

31  折立    前句をうけて。二刀流といえば数々の逸話を残した伝

説の剣豪宮本武蔵が想起されます。彼が残した五輪書の極意の免許

皆伝をコロナ感染の暗い世相を払いのけてアメリカ否世界に通用す

るような大谷選手が引き受けてくれる事を秋の爽やかな鰯雲に託し

たいと願います。 (21.08.02  小野寺さん) 


32  二句目  コロナ患者が急増している中での東京五輪。日本は過

去最多の金メダルだと騒いでいますが、何がめでたいのでしょうか。

今すぐ中止すべきだと私は思っています。 (21.08.02  豊さん) 


33  三句目  ツタンカーメンの黄金の棺が数千年の後に人々に感動

をもたらしています。東京オリンピック開催に賛否両論ありますが、

評価は今後の歴史が明らかにしてくれるでしょう。

 (21.08.04  吉良さん) 


34  四句目  秘宝を守るのはインディ。正義の味方であるインディ

ジョーンズがテーマ曲に乗って現れれば、どんな難もムチでけちら

し、排除してくれるのでは…と期待します。 (21.08.05  新井さん) 


35  花の座  インディアナ・ジョーンズは考古学者でした。日本に

も古墳がたくさん残っています。地下に眠る古代人を偲んで、桜の

花びらが風に舞っているのです。 (21.08.06  豊さん) 


36  挙句    暑いですね、本当に。益々、コロナに勢い、台風等、

人間社会への警告が続きます。時々、覗いていた上品な焼き鳥屋で、

昼飯を取ろうと入店したのですが、中で見かけた吉祥寺マダムが、

なんと一杯冷や酒を旨そうにのんでおられました。店員さんに聞く

と、ワクチン接種された方のには、そっと出しているとのこと。思

わず、津軽の銘酒『豊盃』をたのみ、久しぶりに陶然とした気分の

ランチとなりました。 (後で山の神にこってり絞られましたが。。

。。。) 

  その時西行の有名な和歌が思い浮かび、それを名残裏 花の座 

春によんでみました。

  花吹雪といえば、西行の辞世の歌、最後の平安武士の思いが脈々

と、この締りのない社会に対し、何かを訴えているようです。

 (21.08.08  志方さん) 


第6 回目の七句会自由連句を下記要領にて行いたいと思います。

 

七句会自由連句のみなさま

 

  いつもたいへんお世話になり、ありがとうございます。

  事務方の怠慢でやや遅延してしまいましたが、第6 回目の七句会自由連句を

下記要領にて行いたいと思います。よろしくお願いします。

 

・参加者 新井さん、小野寺さん、吉良さん、志方さん、豊さん、深瀬(6)

 

・発句  春待つや白寿の母の希望の絵

 

・座     

 

    初折表六句

01 発句   春   小野寺

02 脇    春   吉良

03 第三   春   深瀬

04 四句目  雑   志方

05 月の座  秋   豊

06 折端   秋   小野寺

 

 初折裏十二句

07 折立   秋   吉良

08 二句目  恋   新井 ->  深瀬

09 三句目  恋   志方

10 四句目  雑   深瀬

11 五句目  雑   小野寺

12 六句目  雑   豊

13 月の座  夏   新井 ->  深瀬

14 八句目  夏   吉良

15 九句目  雑   豊

16 十句目  雑   志方

17 花の座  春   深瀬

18 折端   春   小野寺

 

 名残表十二句

19 折立   春   新井

20 二句目  雑   深瀬

21 三句目  雑   小野寺

22 四句目  雑   豊

23 五句目  冬   新井

24 六句目  冬   吉良

25 七句目  雑   新井

26 八句目  恋   志方

27 九句目  恋   吉良

28 十句目  雑   小野寺

29 月の座  秋   志方

30 折端   秋   深瀬 ->  新井

 

 名残裏六句

31 折立   秋   小野寺

32 二句目  雑   豊

33 三句目  雑   吉良

34 四句目  雑   新井

35 花の座  春   豊

36 挙句   春   志方                      

・式目  特に前回と変わりません。同じ語句の使用は避ける、付合において

場面の繰り返しや後戻りはしない、付合の背景の補足コメント (付け筋) を簡

単に付記する、といった程度です。

 

・順番ですが、前回の、小野寺さんと豊さん、吉良さんと志方さん、新井さん

と深瀬を、入れ替えました。また、新井さんから、「当方、働きすぎ?のせい

か湿疹が広がり、医師に安静を勧められています。自由連句のほうは、6月の

1か月をめどにお休み、7月あたりから参加をお願いできないでしょうか。ご

検討頂けると助かります。」とのご連絡があり、これを踏まえ、とりあえず、

8 句目と13句目は、深瀬が詠み、30句目は新井さんに詠んでいただくものとし

ました。

 

  なにか、お気づきの点などありましたら、対応したいと思いますので、ご連

絡方、よろしくお願いします。

 

  深瀬 (事務方)