2022年10月23日日曜日

七句会 第四十一回目のネット句会 選句の結果をご報告します。

 

 七句会のみなさま

 

 第四十一回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。

今回の選句結果をご報告いたします。

 

 4 点句

(012) 枯葉道ともに老いたる主と犬           服部04

(034) 野佛の眠り起こすや稲光り            小野寺12

(072) 蓑虫の唯我独尊風に揺れ             深瀬23

 

 3 点句

(001) 初秋の露匂ひける逢瀬かな            小野寺01

(030) 恋文に残暑の汗で書き直し            宮澤06

(053) 宍道湖の白帆すべらす秋の風           吉良03

(056) 秋あかね五線譜上を浮き沈み           吉良06

(081) 滝しぶき櫨 (はぜ) の紅葉はひるがえり       小野寺15

 

 2 点句

(003) 秋冷やホットな便座にほっとして         服部02

(008) 悲しみは海より深し秋刀魚食う          豊  01

(009) 見渡せば360度天高し             桑子04

(011) 運動会マイムマイムで日が暮れる         新井02

(016) 虫時雨 (しぐれ) 月夜に銀のすすき揺れ      小野寺11

(022) 女郎花 (おみなへし) 揺れ合う霧の道しるべ    小野寺16

(036) おだやかな秋晴れの朝世にうれい         深瀬12

(052) 寒の朝酔いも彼方にしじみ汁           吉良02

(058) 野辺おくり蜻蛉を風に従へて           小野寺02

(079) 秋の宵昭和レトロに老い忘れ           深瀬26

(086) 秋の夜寝返り続く老いひとり           深瀬06

(087) 虫鳴きて路地裏の闇やはらかし          小野寺09

(088) 白寿なる義母の微笑みぶどう噛む         吉良01

(104) 杉木立日暮れて百舌鳥 (モズ) の声高し      小野寺17

  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前

とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。

  次回については、今年12月~  来年1 月ころにご連絡したいと思っています

ので、よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありました

ら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。

 

 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。

 

(1) 選句参加者

 今回の選句には、下記の14名が参加しました。

  秋元さん、新井さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、中津川

さん、橋本さん、服部さん、平島さん、宮澤さん、柳町さん、豊さん、深瀬。

 

(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について

  今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので

はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り

たいと思います。一応、期限としては  1113日とし、事務方にメールでいた

だき、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/

 

  2022.10.23

 

      代表   橋口侯之介

      顧問  豊  宣光

      事務方 深瀬久敬

 

----------------------------------------------------------------------

 

(001) 初秋の露匂ひける逢瀬かな            小野寺01

      1 中津川  大人の恋の雰囲気が漂ってきます。

      2 服部    何か色っぽさを感じました。

      3 柳町   

(002) 水澄みて川底の石透かれけり           豊  03

      1 秋元   

(003) 秋冷やホットな便座にほっとして         服部02

      1 桜子    『ホット』を二回使ってリズムのある楽しい句になって

          おられます。

      2 橋本    同感です、便器の進化にホント感謝ですね。

(004) 土塀越し柿の実色ずく城下町           志方05

      1 宮澤   

      庭の菜園の獅子唐を (2 )

(005) 獅子唐の大樹となりて実六百           橋本01

      1 吉良    大げさとも思える「大樹となりて実六百」に栽培者の獅

          子唐への愛情と豊作の期待感を感じました。

(006) 獅子唐の辛きに当たるは宝くじ          橋本02

(007) 風哭きて入り陽に燃ゆる曼珠沙華         小野寺13

(008) 悲しみは海より深し秋刀魚食う          豊  01

      1 桜子    句の最後には前向きになれるので、少し安心しました。

          流れのある句です。

      2 服部   

(009) 見渡せば360度天高し             桑子04

      1 桜子    秋の空をうまく表しておられます。

      2 橋本    秋晴れの青空の広がりをシンプルに表現して良いです。

(010) 合歓の花葉音宇宙に溶け込まし          深瀬01

(011) 運動会マイムマイムで日が暮れる         新井02

      1 小野寺  マイムマイムのダンス曲は我々の中学時代女子生徒の手

          を触れる由一の手段でした。一回りして憧れの彼女が巡っ

          て来た時には胸の高鳴りを禁じ得ませんでした。

      2 桑子    運動会ではないけれども学園祭でのフォークダンスを思

          い出します。確かに日が暮れるまで踊っていました。

(012) 枯葉道ともに老いたる主と犬           服部04

      1 吉良    飼い主と犬のしみじみとした情景が浮かびます。

      2 志方   

      3 平島    夕暮散歩中に出会った風景。ふと思うは生病老死のこと。

          人も犬もヨボヨボだなあ!  主とは自分かな?

      4 深瀬    散歩するペットとご自身の高齢化にいたわりを感じます。

(013) 百舌鳥 (もず) 叫び贄の枯れ枝風に鳴り      小野寺21

      1 深瀬    百舌の捕らえた獲物を串刺しにする習性はなにか不気味

          です。

(014) お湿りを待っていたのに雨台風          宮澤03

(015) ためらわず優先席に座る秋                   深瀬11

(016) 虫時雨 (しぐれ) 月夜に銀のすすき揺れ      小野寺11

      1 秋元   

      2 宮澤   

(017) 曼珠沙華アル中で死し叔父の髪          深瀬17

      1 吉良    子供のころの思い出でしょうか。曼殊沙華の花の形を頭

          髪にみたてる発想を面白く感じました。

(018) しわ増えて金婚記念や紅葉狩り          中津川06

(019) 野分過ぎ晴れ上がりたる今朝の空         豊  05

      1 小野寺  昨夜吹き荒れた野分の翌朝、張り詰めた秋晴れの高い空

          の広がりが爽やかな冷気となり伝わってきます。

      最近のゴルフに思うこと (2 )

(020) ゴルフとは18ホールのドラマかな         橋本05

(021) 女子ゴルフ新人満開秋桜             橋本06

(022) 女郎花 (おみなへし) 揺れ合う霧の道しるべ    小野寺16

      1 秋元   

      2 中津川  霧の中で黄色の花がはっきり見えてきます。

(023) 敬老日いらぬ祝意の「おめでとう」        中津川01

(024) 老人が老人祝う敬老の日             桑子01

(025) 都会の夜おごりを笑う虫の音           深瀬13

(026) 秋の夜ハイビスカスの寂し気な          新井05

(027) 時雨来て艶やかに濡れ柿紅葉 (もみじ)       小野寺07

      1 志方   

(028) 柿食えば(カキク)苔(コケ)が残れしか行かな  桑子06

      1       思わず笑ってしまいました。アイデアのユニークさに拍

          手。

(029) 秋の夜不登校の孫気にかかり           深瀬07

(030) 恋文に残暑の汗で書き直し            宮澤06

      1 桜子    一生懸命のお気持ちが間接的に伝わってきました。

      2 小野寺  暑い夏の日の昼下がり、彼女に対する想いが先走り、し

          たたり落ちる汗の中で、うまく表現できないもどかしさが

          伝わってきます。手紙の結末は如何に?

      3 桑子    やっといい文章が書けたのに、汗が染みて台無し、残念。

(031) 街宣車靖国神社金木犀              服部05

(032) 霧の海哭き呼び交わし鳥渡る           小野寺19

(033) 名月の砂浜埋める亀の列             深瀬21

      1       秋の月の夜、孵化したウミガメの子が砂浜を這う幻想的

          な情景が浮かびました。

(034) 野佛の眠り起こすや稲光り            小野寺12

      1 秋元   

      2 志方   

      3 服部   

      4 宮澤   

(035) 沸壺の水を沸かして呑む抹茶           秋元02

(036) おだやかな秋晴れの朝世にうれい         深瀬12

      1 吉良    秋晴れのさわやかさと先の見えないこの世界の不安感と

          の対比があざやか。

      2 橋本    秋晴れの朝くらい気分爽快と行きたいものですが、いろ

          いろ有り過ぎます。

(037) いわき沖真一文字の水平線            志方04

(038) 曼珠沙華たんぼのなかの墓地に咲き        深瀬16

      1 桑子   

(039) 回る寿司値上げ告知の秋の暮           中津川07

(040) スズメの群かかし朗希に逃げるかな        新井03

(041) コロナ慣れ行列「赤福」伊勢の秋         中津川02

      1 服部    情景が浮かびます。

(042) 合歓の花正田邸跡ひっそりと           深瀬02

      1 平島    今の若い人は昔天皇家に嫁いだ娘さんの実家も知らない

          でしょう。天皇家も姻戚も大富豪ではなく質素さが伺えま

          すね。日本の良さ。

(043) 黄金の秋の寺なる阿弥陀仏            豊  02

(044) 曼珠沙華ロシアの狂気燃え盛る          深瀬15

(045) パッティング行きつ戻りつ秋日かな        桑子05

      1 深瀬    「行きつ戻りつ」にやすらぎを感じます。打っている人

          は反対かも。

(046) ビアガーデン会話無くとも気は弾む        新井06

(047) 老いの秋根気意欲のなき嘆く           深瀬10

(048) 赤蜻蛉微塵に光り風となり            小野寺08

(049) 折詰を鳶にさらわれほれぼれと          志方07

(050) 村神やあと一本の秋空へ             中津川05

(051) 頬杖の御佛の瞳 () に秋思満ち         小野寺06

      1 桑子    季節が変わるとまた違った表情に観えるのでしょうね。

      島根・大山ゴルフ旅行の思い出 (6 )            

(052) 寒の朝酔いも彼方にしじみ汁           吉良02

      1 小野寺  昨夜の二日酔いが、朝の冷え込みでシャキッとし妻の暖

          かいしじみ汁が、明日への元気を取り戻してくれましたね。

      2 服部    実体験で同じ思いがします。

(053) 宍道湖の白帆すべらす秋の風           吉良03

      1 秋元   

      2 平島    空と湖の青さの中を音もなく行く白帆。寺田寅彦の連句

          の挙句にあった句「白帆の往来霞む遠山」を思い出しまし

          た。

      3 深瀬    なにか歴史の古い島根の方の情景に郷愁感を覚えます。

(054) 怪談を語る鈴虫八雲荘              吉良04

      1       「怪談」を書いた小泉八雲は松江に住んでいました。島

          根旅行をした作者の思いが伝わってきます。

(055) 出雲なる社飛び来るオニヤンマ          吉良05

      1 小野寺  出雲の神話の国のやしろから飛びくるトンボは須佐男の

          化身のオニヤンマでしょうか。

(056) 秋あかね五線譜上を浮き沈み           吉良06

      1 秋元   

      2 平島    やわらかな弦楽器の音が聴こえてきました。五線の五は

          ひとの指から生まれたとか。

      3 柳町   

(057) 朝寒の大山めがけティーショット         吉良07

(058) 野辺おくり蜻蛉を風に従へて           小野寺02

      1 志方   

      2 中津川  お別れの悲しさが伝わってきました。

(059) 終活のメモに手入れす秋の夜           深瀬08

      1 吉良    終活のメモなどまだ用意していない自分もそろそろ必要

          かなと思わせてくれました。

(060) うろこ雲黄昏染める錦鯉             志方01

      1 深瀬    空のうろこ雲が錦鯉のようだはすごいスケールだと思い

          ます。

(061) (うみ) 夕日ひぐらしの声水に入り       小野寺04

(062) 夜の秋ショパンの音色遠くから          深瀬05

      1 桜子    おしゃれな感じがして素敵だと思いました。

(063) 十六夜の月を愛でしか屋形船           秋元01

      1 桜子    屋形船で楽しむご様子が伝わってきます。

(064) つがるりんご豪雨に耐えて明ける朝        新井07

(065) 名月に稜線湖面冴え冴えと            深瀬19

      1 柳町   

(066) 山門へ登る足元彼岸花              中津川03

(067) 動くなよマーカー代わりの赤とんぼ        宮澤02

(068) 夜の秋海の笑顔のよぎりゆく           深瀬04

      取り敢えず東北の旅を (2 )

(069) 尻屋崎津軽海峡秋優し              橋本03

(070) 錦秋の月山拝みて旅仕舞い            橋本04

      1 深瀬    旅仕舞いの雰囲気がすがすがしいと感じます。

(071) 引きぎわの声をかぎりに雁は発ち         小野寺18

      1       雁は秋に渡来して春に去って行きます。「引きぎわ」「

          発ち」とありますから、帰って行く雁を詠んだのでしょう

          ね。

(072) 蓑虫の唯我独尊風に揺れ             深瀬23

      1 中津川  蓑虫一つがぶら下がっている姿は確かにそんな感じです

          ね。最近は蓑虫をあまり見なくなった気がします。

      2 橋本    蓑虫の雌は簑の中で終わるとか、最近はめっきり蓑虫を

          見かけなくなり寂しい。

      3 平島    お釈迦様の悟りの境地か?  ユイガ・・・ユレのユの頭

          韻が心地よい。

      4 宮澤   

(073) 運動会猪突猛進たすきリレー           新井01

(074) 敬老日孫の笑顔にいやされぬ           豊  04

(075) 家族連れ校舎の向こうは運動会          宮澤05

      1 深瀬    運動会の日の学校近くの情景がなつかしい。声援が聞こ

          えてきそうです。

(076) 全山紅葉観光船下る               豊  06

(077) 国葬に黙祷抗議秋の空              桑子03

      谷中夕焼け酒場(2022.9.16)  (3 )                  

(078) 駒東の浦島太郎秋うたげ             深瀬25

(079) 秋の宵昭和レトロに老い忘れ           深瀬26

      1 橋本   

      2 服部   

(080) 秋の宵谷中の坂を千鳥足             深瀬27

(081) 滝しぶき櫨 (はぜ) の紅葉はひるがえり       小野寺15

      1 秋元   

      2 中津川  ハゼの葉は本当に紅くなりますね。この句では「もみじ」

          と読むのですか?

      3 柳町   

(082) 名月夜太鼓に躍る古代人             深瀬18

(083) しみじみと冷や酒喉にゲソをかみ         志方02

(084) 秋彼岸円空佛に陽は翳り             小野寺20

(085) 幾千のピンクの扇合歓の花            新井04

(086) 秋の夜寝返り続く老いひとり           深瀬06

      1 吉良    妻を亡くした作者の寂しさが感じられました。

      2 橋本    同じ独り身、寝返りして眠気を待ちますが、、、。

(087) 虫鳴きて路地裏の闇やはらかし          小野寺09

      1 橋本    路地裏で鳴く虫の声、ほっと心が和らぎます。

      2 平島    これもヤみヤはらかしが好きです。下町の秋 平和な虫

           の声 生きていてよかったなあ、

(088) 白寿なる義母の微笑みぶどう噛む         吉良01

      1 小野寺  白寿を迎えた義母が葡萄を食べながら微笑えんでいる。

          妻への感謝が義母への優しさとなり人の心を温かく包みま

          す。

      2 中津川  百歳になろうとするお義母さまご健在です。

(089) 母介護認定進むや秋の暮             服部03

(090) 音もなく月光穿つ銀薄 (すすき)          小野寺03

      1 志方   

(091) 夜の秋別れの記憶遠き日々            深瀬03

      1 中津川  若いころの悲しい別れだったのでしょうか?  ふと御巣

          鷹山のことが浮かびました。

(092) 秋ナスやぬか漬けしぎ焼き天ぷらも        中津川04

(093) 鹿威し子トンと響く冷気かな           志方06

      1 柳町   

(094) 名月に落ち武者仰ぐ妻や子ら           深瀬20

(095) 曼殊沙華彼岸過ぎれば朱が褪せて         志方03

      1 宮澤   

(096) 筆置きて十六夜 (いざよい) 残る空仰ぐ      小野寺05

(097) 山里の朝紅にて湯音聞く             秋元03

      1 小野寺  山里の静かな湯治場、朝焼けの鋭い冷気の中で聴く湯の

          流れる音は不思議な安らぎをいざないます。

(098) 蓑虫の夕陽背にする梢かな             深瀬24

      1       蓑虫に目をつけたところに感心しました。秋の夕暮れの

          孤独な風景が浮かびます。

(099) 街流る川の瀬さやか鯉の影            宮澤01

      1 桑子   

(100) 翅たたむ陽だまりの墓秋の蝶           小野寺10

      1 平島    温かい小春日和 御先祖に会いに来たお墓参りで出会っ

          た可憐な蝶のどかさに こころが和みます。

(101) 月あかりすすきの原に銀の波           深瀬14

      1 桜子    幻想的で絵葉書の一コマのようです。

      2 志方   

(102) 黄色の葉ハイビスカスに秋のトーン        新井08

(103) 飛距離落ち嘆くシニアの秋コンペ         服部01

      1 桑子    共感です。小生も全く飛ばなくなりました。

(104) 杉木立日暮れて百舌鳥 (モズ) の声高し      小野寺17

      1 志方   

      2 柳町   

(105) 虫の声途絶えて夜の闇深し            豊  07

      1 吉良    人の気配で虫が鳴きやんだのでしょうか、虫の声の騒が

          しさと暗闇の対比が見事。

(106) 対岸のにぎわいひそり名月夜           深瀬22

(107) 枝豆の茹で方ひとつで料理通           宮澤04

      1 桑子   

(108) 空澄みて岸辺に赤き曼珠沙華           小野寺14

      1 柳町   

(109) コロナ禍の秋に尾を引く後遺症          深瀬09

(110) 国葬の女王に祈り子規忌かな           桑子02

      1       子規忌が9月19日だったとは気がつきませんでした。

          エリザベス女王の国葬が行われたのもまさに9月19日、

          この二つを結びつけた作者の知識の深さに脱帽です。

 

  --------