2023年9月19日火曜日

第11回目の七句会自由連句 実施要領

  七句会自由連句のみなさま

  いつもたいへんお世話になり、ありがとうございます。

  第11回目の七句会自由連句を下記要領にて行いたいと思います。前回からかなり間があいてしまいたいへん申し訳ありません。よろしくお願いします。

  順番は、第7 回のものをベースに作成してみました。

  なにか気になることがありましたら、適宜、ご連絡ください。

  吉良さん、二句目をよろしくお願いします。

  深瀬 (事務方) 


  --------


・参加者 新井さん、小野寺さん、吉良さん、志方さん、豊さん、深瀬(6名) 


・発句  盆踊り見返り美人の厚化粧   志方さん


・座

  初折表六句

01 発句   秋    志方

02 脇    月     吉良

03 第三句  秋      深瀬

04 四句目  雑      小野寺

05 月の座  夏    豊

06 折端   夏    志方

 初折裏十二句

07 折立   雑    吉良

08 二句目  恋      新井

09 三句目  恋      小野寺

10 四句目  雑      深瀬

11 五句目  雑      志方

12 六句目  雑      豊

13 月の座  冬月   新井

14 八句目  冬    吉良

15 九句目  雑      豊

16 十句目  雑      小野寺

17 花の座  花    深瀬

18 折端   春    志方

 名残表十二句

19 折立   春    新井

20 二句目  雑      深瀬

21 三句目  雑      志方

22 四句目  雑      豊

23 五句目  夏    新井

24 六句目  夏      吉良

25 七句目  雑      新井

26 八句目  恋      小野寺

27 九句目  恋      吉良

28 十句目  雑      志方

29 月の座  月    小野寺

30 折端   秋    深瀬

 名残裏六句

31 折立   秋    志方

32 二句目  雑      豊

33 三句目  雑      吉良

34 四句目  雑      新井

35 花の座  花    豊

36 挙句   春    小野寺


・式目  特に前回と変わりません。同じ語句の使用は避ける、付合において

場面の繰り返しや後戻りはしない、付合の背景の補足コメント (付け筋) を簡

単に付記する、といった程度です。

  若干追加しますが、月、花の座については遵守する、固有名詞の使用はバラ

ンスを考慮する、雅的な雰囲気は少し避ける、などです。恋の座は復活しまし

た。また、表六句が序、裏~名残表が破、名残裏が急、あるいは、表六句が起

、裏が承、名残表が転、名残裏が結といっためりはりを意識したいと思います

  補足

  各座を詠む上での備考です。

  下記より転記。

  http://www.local.co.jp/renku/4.html 


  初折表六句

01 発句    や、けり、かな、などの切れ字を用いるのが好まし

       い、とされる。

02 脇     発句に密着し同季同場同時で補完。

03 第三    前句から転じて、て、に、にて、らん、もなし、の

              留字で留める。

04 四句目   軽くサラリとつける。

05 月の座   発句が秋の月の句の時は無季の句をつける。

06 折端    軽くテンポのいい句をつける。

 初折裏十二句

07 折立    恋の句はまだ早い。

08 二句目   独自の発想でバンバン行く。

09 三句目   恋句はこのあたりからだすのがよいともいわれる。

10 四句目   恋句は二句続ける。

11 五句目   独自の発想でバンバン行く。

12 六句目   同上。

13 月の座   句の流れで月の句はもっと後でもよい。

14 八句目   月の句の次は季節に準ずる。

15 九句目   独自の発想でバンバン行く。

16 十句目   花の句の前は植物を詠まないようにする。

17 花の座   花の句の定座、花とは桜のこと。但し発句が桜の時

       は梅を詠んでもいい。

18 折端    春の季語を入れて独自の発想でバンバン行く。

 名残表十二句

19 折立    春の季語を入れて独自の発想でバンバン行く。

20 二句目   独自の発想でバンバン行く。

21 三句目   同上。

22 四句目   同上。

23 五句目   このあたりで季節を詠む。

24 六句目   季節は二句続いたほうが好ましい。

25 七句目   独自の発想でバンバン行く。濃厚な恋句を二句続き

       で盛り込むとよい。

26 八句目   同上。

27 九句目   同上。

28 十句目   同上。

29 月の座   以前に詠まれた月の句と同趣同景にならぬようにす

       る。

30 折端    以前に詠まれた秋の句と同趣同景にならぬようにす

              る。

 名残裏六句

31 折立    ここからは考え込まないで軽く穏やかな句をテンポ

       よく詠む。

32 二句目   テンポよく穏やかに詠む。

33 三句目   同上。

34 四句目   同上。

35 花の座   以前に詠まれた花の句と同趣同景にならぬようにす

       る。

36 挙句    穏やかにおわる。


 ------                                                    

2023年9月14日木曜日

七句会 第四十四回目のネット句会 選句結果を踏まえた自句自解です。

  七句会のみなさま

 

 第四十四回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、

たいへんありがとうございました。

 選句結果を踏まえてのお寄せいただいた自句自解をご報告します。今回、作

品集は省略させていただきました。

 

 今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。

 七句会のweb  http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。

  今後とも、よろしくお願いいたします。

 

  深瀬 (事務方)

 

 

1.44  ネット句会  自句自解

 

◎ 新井桜子さんの感想と自句自解

 

  自句自解を考えながら、投句した日を思いますと、暑さたけなわでしたね。

  今は、朝晩秋が感じられますが、個人的には温かい食事がいいなと思ったり

体調が混乱する感じです。季節の変わり目…みなさんはあまり気にしないです

か?

  振り返ると、やはり投句した盛夏のころとは、心情も目に留まる風景も違い

ますね…。今年は慶応高校の優勝が印象的です。私は翠嵐野球部のマネージャ

ーでしたが、当時はうちと同じ上の下レベルのチームで、練習試合に行ったこ

とがあります。そのころはスカウトとかしていなかったみたいです。

  俳句は自分史というほどではないですが、ミニ日記みたいですね。

 

(058) オレンジのくちばし並ぶ燕の巣

 最寄りの日吉駅構内につばめの巣があるのですが、見上げるとオレンジのか

わいいくちばしが並んでいます。

 

(035) 発車票数字の上に燕の巣

 日吉駅構内に行き、電車に乗るため発車標を見上げると、燕の巣が目に入り

、ユニークな光景を楽しめます.

  (季節のお話:この夏の日吉駅構内。初夏は燕の巣にカメラを向ける人が大

勢いて、燕の声の大合唱を楽しめました。晩夏は慶應が甲子園で優勝したので

、発車標にお祝いのテロップが出ているのをスマホで映す人でごった返してい

ました。優勝してすぐに行きましたが、ちょうど慶応高校の方角に虹が出てい

てお祝いのようでした。)

 

(092) デヴィ夫人滝つぼの中古希迎え。

 タレントのデヴィ夫人が古希のお誕生日に修行で滝に打たれていました。印

象的です。

 

(065) ナイアガラ小舟揺るがす滝の音

 大学生の時にカナダ旅行へ行きました。ナイアガラ大瀑布で遊覧船に乗りま

したが、迫力に驚きました。

 

(011) 蓮の花三渓園の朝に咲く

 初夏の三渓園の朝の一コマです。池に見渡す限り蓮が咲いていました。

 

(039) ミニトマトつるの中から実がのぞく

 自宅近くの家庭菜園でかわいいトマトの実がなっているのを見ました。

 

(074) 夏服の洗濯物の乾きよし

 夏は暑くても、洗濯物がすぐに乾くので楽です。

 

(027) ぼんぼりの朝顔照らす色とりどり

 朝顔祭りの一コマ、夕闇でぼんぼりに照らされる朝顔の幻想的な美しさを思

いました。

 

(046) ほおづき市淡いオレンジ癒されし

 初夏のほおづき市でならぶオレンジ色のほおづきの実を見るとほっとします。

 

(051) 七夕に大雨こぬよう願い事

 私の七夕の願い事です。

 

 

◎ 小野寺さんの自句自解

 

 締め切りを延ばして頂き心に響いた夏の日の記憶の21句のうち15句も皆様の

心に留めて頂き望外の喜びです。

 

(068) 5 点句 朽ち果てし卒塔婆に語る夏の蝶

 朽ち果てて文字さえ定かではない卒塔婆に今を盛りの美しい夏の蝶がとまり

己の命の儚さを語りかけている様でもありました。

 

(049) 4 点句 心澄みやはらかに聴く夏至の雨

 治部さん、吉良さん、平島さんの解釈はありがたいのですが、現実は時間に

追われる多忙な生活で、静かに聴く夏至の雨はやはらかに聴く至福のひととき

でした。心澄む日は私の切なる願望です。

 

(064) 3 点句 ゆふすげは君亡き里の道しるべ

 昔の大切な人が住んでいた里には辺り一面が変わり果て今は夕菅がまるで道

標のように咲き乱れて遥かな郷愁を誘いました。

 

(100) 3 点句 夕日落ち薔薇一輪の赤き色

 夕日が落ち、辺り一面がたそがれの淡い薄紫に包まれる一瞬の静寂の中ただ

一輪の薔薇が見事な真紅を放っておりました。

 

(020) 2 点句 暁にひらきはじめし白牡丹

 暁のぼんやりとほのぐらい光の中で新しく咲き始める牡丹は目の覚める様な

白のハーモニーでした。

 

(030) 2 点句 浜木綿は潮騒聴くや雲の峰

 桜子さんの感想鏑木清方の日本画とは嬉しい限り。入道雲がわく真夏の海辺

浜木綿の白い花は潮騒の海の調べを静かに聴いているのでしょうか。

 

(061) 2 点句 滝近し木立の冷気迷い蝶

 平島さんの見事な感想の通り、この木立の冷気は何処から?  ああ近くにあ

る滝からだ。蝶よおまえも迷い迷いながら、探しているのか?

 

(026) 1 点句 鮎走る暗き深みに腹ひかり

  豊さんの感想、生き生きとした鮎の姿が目に浮かびます。とは嬉しい選句評

です。少年時代祖父や父て鮎の友釣りについていきましたが、瀞の深みに居る

鮎の走りを眺めてらおりました。

 

(053) 1 点句 炎帝の怒りに耐えてカンナ咲き

 灼熱の暑さの中カンナは健気にも紅い花を咲かせて、じっと耐えて炎帝に抵

抗している様でもありました。

 

(076) 1 点句 雲の峰湧きて湖沼に風ひかる

 吉良さんの感想の通り。積乱雲の湧きあがる暑い夏、湖沼を駆け抜ける一陣

の風を感じたのです。

 

(091) 1 点句 胎動を聴きしその日に薔薇を買い

 家内が長女を身籠もった時一時の流産の危機を乗り越えて入院先で胎動を聴

き飛び跳ねて紅い薔薇を買いに行きました。

 

(094) 1 点句 音もなく時過ぎゆくや蛍舞ひ

 平島さんの感想の通り。静かに、穏やかに、迷い無く過ごしている老境の日

(現実は迷いだらけ) 。でも自然の営なみはそこここにあり、蛍も短い命を

懸命に燃やして、生き急いでいるのかなあ? と

 

(008) 1 点句 野仏が着いてきそうな祇園の夜

 中津川さん  祇園祭りの宵山です。まるで笛や太鼓につられて、野仏もつい

てきそうです。

 

(012) 1 点句 御仏の眼が合ひ外は蝉時雨

 山寺の持仏堂で、御仏が生きて眼を合わせてきたと感じたのです。ふと汗を

ぬぐい我に帰ると外は蝉時雨の静寂でした。

 

(034) 1 点句 花菖蒲黒髪香ほり息をのみ

  治部さんに喝破された様にこれは私の投句です。花菖蒲に香る黒髪は、思わ

ず息をのみます。過ぎてきた遠い記憶は時に鮮烈に蘇ります。

 

 

◎ 吉良さんのコメント

 

(024) 望郷や第九奏でる蝉しぐれ

 

      徳島-淡路島ゴルフ旅行にて (7 )

(077) マスクとり口元緩めかき氷

(078) ティーショット瀬戸の夏空突き破る

(079) 向日葵(ヒマワリ)の合唱の指揮は陽の光

(080) 消え隠くる向日葵(ヒマワリ)畑に稚児の顔

(081) 渦潮の大暑のみ込む静けさや

(082) 渦の道水軍走る夏の夢

(083) ほとばしる汗や舞い手の阿波の夜

 

  7 月の連休を利用して初めての徳島、淡路島にゴルフ旅行した時の句です。

  徳島市郊外に小山に囲まれた、第一次世界大戦のドイツ人捕虜収容所跡地が

ドイツ館として保存されています。ここで日本で初めてベートーヴェン第9交

響曲が演奏されたとのことです。周りには蝉の合唱が響いていました。近くに

は陶器の窯元もいくつかあり、ぜひ一度訪れてみてください。

 

 

◎ 豊さんの自句自解

 

(002) 西瓜食う水分補給万全に 

 熱中症予防のためには水分補給が大事です。西瓜には水分がたくさんありま

す。

 

(009) 暑気払いもう一杯の大ジョッキ 

 若いころは仲間とデパートの屋上ビヤガーデンでいつも暑気払いをしていま

した。

 

(013) 子供らが消えた公園油照り

 いつもなら子供たちが遊んでいるのに、今日は猛暑のために外では遊べない

のです。

 

(032) 浦島を乗せた亀去る土用波 

 浦島太郎の物語に引っかけたのですが、土用波との組み合わせがよかったか

どうか。

 

(042) 炎天やかぶるものなき石地蔵

  熱い日を浴びながら、石地蔵は汗ひとつかきません。心頭滅却の悟りの境地

です。

 

(067) 落日やインスタ映えの夏の海 

 夕日が海の沖に沈んでいきます。インスタ映えのその美しさを詠んだのです

が。

 

(098) 大の字に寝ても広々夏座敷 

 障子や襖をあけはなった広い畳の座敷に大の字に寝転ぶのは気持ちがいいも

のです。

 

 

◎ 深瀬の自句自解

 

(066) 七月の木々のゆらめくビル谷間

  ビルの谷間の7 月の清らかな日差しに映える木々に、改めて新鮮なものを感

じたりしています。

 

(018) 病棟の窓の緑や夏陽受け

  恵比寿駅近くの病院に2 日ほど入院したのですが、窓から見る風景との間に

なにか奇妙な隔たりのようなものを感じました。

 

(070) 日傘列弁慶橋に堀の風

  弁慶橋のかかるお掘りにはボートが浮かんだりしていますが、昼時は、若い

近くの会社のOLたちが日傘をさして行き来していました。

 

(097) 夏服にマスクの列の異次元さ

  地下鉄の電車の中からホームを一瞬見たときの光景でしたが、改めて変だな

と感じました。

 

(016) 清水谷ニューオータニに蝉の声

  近くの大学に通っていたころの雰囲気とは異なり、やや場違いな高級感のあ

ふれたしゃれた感じになっています。

 

(041) ビル街にひやし中華のメニューかな

  地下のビル街にレストランが並んでいますが、昼時はひやし中華のメニュー

が目につきました。

 

(086) 夏草の砲弾に飛ぶウクライナ

 今現在、ウクライナでは夏草が砲弾で飛び散っています。ロシアのプーチン

大統領とそれを支持している人達の人間性を思わずにいられません。

 

(062) つばめの子生存枠を競うかな

(028) つばめの子寄り添い眠る夜のとばり

  人間にも多産多死の時代がありましたが、私たち団塊の世代から少産少死に

移行したようです。そうした変化をする生き物は他にあるのでしょうか。

 

(075) 寝静まる枕辺に聞く滝の音

  山間 (やまあい) の旅館にでも宿泊したとき、寝静まった中での聞き慣れな

い音に原始時代に戻ったような錯覚を覚えることがあります。

 

(031) いつの間に滝落ちるごと老い迎え

  ついこの間まで老いを実感するなどということはほとんどなかったのですが

、最近になって、そういう元気だったころはあっという間に過ぎ去ってしまっ

た気持ちを感じたりしています。

 

(054) 滝の水途中で霧消ギアナの地

  エンジェルフォールは滝壺がないことで有名です。ギアナ高地のような自然

ができることに、自然界の前の人間の小ささを実感します。

 

(101) 腰越の囲碁の集いや夏の海

  腰越は、鎌倉と藤沢を結ぶ江ノ電の中間くらいにあります。囲碁の後はみん

なでしらす丼とかを食べて、幸せをかみしめています。

 

(048) 人新世 (ひとしんせい) 夏の猛暑を噛みしめる

  数億年の歳月を経て作られた石炭や石油を、数10年くらいの間にどんどん燃

やしてしまう人類というのは、どういう存在なのか考えさせられます。

 

(014) 夏雲のみおろす大地砲火飛び

  ウクライナの方は平地が広がり、その上に夏雲がくっきりと浮かんでいます

。そうした光景のなかで砲弾を打ち合っているのをみるとなにかやりきれない

気持ちになります。

 

(022) 孫たちを夏合宿に送り出し

  同じマンションの上の階に孫が二人います。こちらは夫婦二人きりですが、

それとは別次元のような生命力の横溢に老いの在り方を考えさせられます。

 

(025) 夏の陽に訃報のはがき身に迫る

  老いの身にとって夏の陽はなにか存在感を否定されているような思いがあり

ます。そういうとき訃報の葉書を受け取ったりするとなにか催促されているよ

うな気持ちを感じたりします。

 

(089) 七月の残り日わずかなにか悔い

  七月にはなにか生命の輝きのようなものがあって、過ぎ去ってしまうときな

にかし忘れていることがあるような後ろ髪をひかれる気持ちを覚えます。

 

(043) つぎつぎの争いごとに昼寝かな

  あまりに社会全般に気になるようなことが多すぎると、もうどうでもいいと

いう気持ちなり、ふて寝をきめこみたくなります。

 

(037) そうめんに大根おろしと揚げ玉を

  昼食に家内がたまに作ってくれるのですが、シンプルで食べやすくて傑作的

な食べ物ではないかと思ったりします。

 

 ----