七句会のみなさま
第四十六回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
・7 点句
(008) 湯豆腐や泡音友に一人酒 吉良
(046) 寒月の光に浸かる露天の湯 小野寺
・5 点句
(001) 柚子薫る妻の雑煮で年が明け 小野寺
(061) 災害の悲しみ深し能登の雪 豊
・4 点句
(004) シャンソンにワインひとくち冬の夜 深瀬
(027) 切通し亡者の声か冬の風 吉良
(064) 星流る寒さ忘るる冬銀河 小野寺
・3 点句
(014) 昼呑みに老いし旧友冬憩う 深瀬
(020) 神棚に朝日さしこむ初稽古 深瀬
(031) 夜廻りの拍子木の音雪が呑み 小野寺
(053) 柚子湯してほのかに髪の匂ひけり 小野寺
(081) 銀漢や遠賀川なる母の里 小野寺
(085) 餅つきや野菜も一緒の帰車の中 橋本
・2 点句
(015) 野佛や朽ちし墓標に初時雨 小野寺
(030) 日脚伸ぶ路地裏奥の垣の影 吉良
(036) 長々と出船の霧笛雪の宵 小野寺
(049) 梟がふわりと止まり杉の月 小野寺
(051) 初場所や勝負の果ての乱れ髷 豊
(052) 山茶花の紅揺れメジロ見え隠れ 橋本
(059) 情念の橋渡り来て修羅の雪 小野寺
(062) 大川の流れに抗す鴨は二羽 桑子
(066) 寒空に茫然自失瓦礫山 深瀬
(073) 吹雪やみ街屋の屋根に月冴ゆる 小野寺
(090) 菅公の想い伝わる梅枝かな 志方
(091) 冬至の夜父子で湯ぶねを溢れさせ 小野寺
下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
次回については、4 月~
5 月ころにご連絡したいと思っていますので、よ
ろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連
絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
今回の選句には、下記の15名が参加しました。
秋元さん、桜子さん (新井さん) 、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方
さん、治部さん、中津川さん、橋本さん、服部さん、平島さん、宮澤さん、柳
町さん、豊さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては 3 月10日とし、事務方にメールでいた
だき、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
2024.02.18
代表 橋口侯之介
顧問 豊 宣光
事務方 深瀬久敬
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(001) 柚子薫る妻の雑煮で年が明け 小野寺13
1 桜子 温かみのある食卓を思い浮かべました。
2 桑子 ほのぼのとした元旦の光景が目に浮かびます。
3 橋本 今年も良い年明けですか、柚子薫る雑煮とは羨ましい。
4 宮澤 いつまで続くか、かみさん元気で、こうありたいとの思いで
す。
5 深瀬 柚子の薫りは私も好きです。そこに奥さんの存在を再認識す
るというのは素敵です。
(002) 雪帽子かぶりて黙す石地蔵 豊 03
(003) 襟立てて石仏参る女(ひと)一人 中津川01
(004) シャンソンにワインひとくち冬の夜 深瀬 11
1 吉良 冬の夜のひと時をお洒落に楽しむ様子がうかがえます。
2 桑子 「ワインひとくち」の表現がステキです。一人身の哀愁(?)
を想像しちゃいました。
3 宮澤 演歌好みが、洋風のおしゃれへの羨望を込めて。
4 豊 シャンソンにはやはりフランスワインですよね。優雅な夜の
ひとときです。
(005) 祖父の骨埋めし山は雪の中 小野寺06
(006) 大寒もマスク帽子の散歩かな 桑子 05
(007) 老いひとり優先席に冬陽受け 深瀬 07
1 柳町
(008) 湯豆腐や泡音友に一人酒 吉良 01
1 秋元
2 志方
3 服部
4 平島 今や友人達も体調不良の人が多く今夜は淋しく一人酒だがこ
うやって暖かい湯豆腐を美味しくいただけるのは幸せと思わな
くちゃあ。
5 柳町
6 小野寺 湯豆腐が煮える温かい泡音を感じながら、熱燗の独り酒も良
いなあ。
7 深瀬 出汁のこんぶの下あたりから泡が出てくるのでしょう。おい
しそうで微妙な風情も感じます。
(009) 座し思うあと幾年のいのちかな 深瀬 17
(010) 能登地震飛行機事故と正月は 服部 05
(011) 大寒の寺鐘の音透き通る 豊 05
1 小野寺 大寒の底冷えの寒い日に静かに聴く鐘の音、乾いた空気に透
き通るが効いてますね。
(012) 渓流の小滝の姿名を残す 秋元 02
(013) 大寒や派閥解散偽装かな 中津川05
(014) 昼呑みに老いし旧友冬憩う 深瀬 13
1 中津川 私も最近は友人と昼のみが増えました。
2 平島 長年の友人も年取ったなあ。昼間のお酒はよくまわるなあ。
無口の二人だがお互い気心が知れているので心休まるなあ。
3 宮澤 人生の冬は、時間を早めに繰り上げてゆっくり飲み、語りた
い。
(015) 野佛や朽ちし墓標に初時雨 小野寺19
1 志方
2 柳町
(016) あでやかに成人の日の晴れ着かな 豊 02
1 桜子 華やかで晴れ晴れとした一句です。
(017) 青空に白雲の筋冬の冬 深瀬 04
(018) 元日や能登半島地震の辛さかな 橋本 07
1 吉良 正月早々の震災に衝撃をうけました。早い復興を望む次第で
す。
(019) 迷いつつ今年で最後と賀状書く 中津川02
1 橋本 唯一繋がっていた年賀状を止めるのは、迷うも決断ですね。
(020) 神棚に朝日さしこむ初稽古 深瀬 01
1 中津川 新年の初稽古は緊張感もありますね。
2 服部 学生時代の剣道寒げいこを思い出します。
3 豊 柔道でしょうか剣道でしょうか。初稽古の新鮮な息吹が伝わ
ってきます。
(021) 冬紅葉落日の山うかびたり 小野寺09
1 橋本 西日が当たると冬紅葉の山は黄金色に輝きます。
(022) ポピュリズム自国ファーストなにを生む 深瀬 27
(023) 白鷺が浮かぶ黄昏城下町 志方 03
(024) 孫受験神仏はしご初参り 中津川07
(025) 冬の朝こずえくっきり朝日背に 深瀬 10
(026) あの人もゴルフ初めの五日かな 桑子 03
鎌倉の散策で (4 句)
(027) 切通し亡者の声か冬の風 吉良 02
1 志方
2 中津川 鎌倉の切通しには確かにこんな雰囲気が漂います。
3 豊 鎌倉ですね。滅ぼされた源氏の武者の怨みの声が風に乗って
聞こえてくるのです。
4 小野寺 鎌倉の切り通しでしょうか、歴史の裏で斬られて命絶えた武
者の無念が冬の風の中に聞こえてきたのでしょう。
(028) 初詣黄金夢見る銭洗い 吉良 03
(029) 枯葉舞う子リス飛び跳ねカクレンボ 吉良 04
1 深瀬 枯れ葉とリスの動きが交叉する様が目にうかびます。
(030) 日脚伸ぶ路地裏奥の垣の影 吉良 05
1 平島 何事も無く単調な日々ながら自然は刻一刻変化しておりこん
な所にも季節の移ろいが見られるなあ。
2 宮澤 冬の長い日差しは、朝方・夕方、普段気付かない魅力的な景
色を映し出します。
(031) 夜廻りの拍子木の音雪が呑み 小野寺03
1 吉良 子供時代の火の用心の町内当番を思い出します。
2 治部 雪の中では拍子木の音が響きません。それでも「火の用心」
と拍子木を打つ寒さが身に沁みますね。
3 深瀬 拍子木の音を雪が呑むという表現がユニークで惹かれます。
(032) 月面を身近に生きる老いのいま 深瀬 21
(033) この歳になってもやめられないスキーを詠んでみました。(3句)
(033) 膝痛を痛打やスキーの爽快さ 柳町 01
1 桑子 泣きっ面に蜂ですか、好きなものではしょうがないですよね 。
(034) 老骨に打ち勝つ術のスキーかな 柳町 02
(035) 春未来白のぬくもり雪の色 柳町 03
(036) 長々と出船の霧笛雪の宵 小野寺07
1 治部 この光景が見られる港は少なくなったのでしょうね。何だか
懐かしいですね。
2 宮澤 八代亜紀が歌うと似合いそうな句です。
(037) 交差点赤にダッシュの老勇姿 深瀬 23
1 治部 季節かかわりなく危ないので気をつけましょう。でもワカル 。
(038) 携帯を無くす師走の慌ただし 服部 01
(039) 生き死ぬる意味を自問す人として 深瀬 18
(040) 冷凍便今年も頼り節(せち)並ぶ 中津川06
(040) 1 橋本 一人暮らしの私もお世話になっております、助かります。
(041) 粉雪の舞い散る坂で別れけり 小野寺10
(042) タワマンのエレ前ラッシュ松明けて 深瀬 12
(043) 正月の咲きし白ばら香もほのか 橋本 06
(044) 父還る番屋ですする夜泣き蕎麦 小野寺20
(045) 年賀状やめどき意識かすむ文字 深瀬 03
(046) 寒月の光に浸かる露天の湯 小野寺18
1 秋元
2 吉良 冬の月を楽しみながら露天風呂で体を温める情景は日本にし
かないものでしょう。
3 桑子 ついでに雪見酒といけば申し分ない状況ですね。
4 志方
5 治部 気持ち良さそうです。見上げれば月、戻せば湯に揺れる月。
いい景色ですね。
6 橋本 山中の露天風呂に一人、寒月の光に浸かるがいいですね。
7 豊 ひとり旅の温泉宿。露天の湯に浸かりながら、寒月の孤独を
かみしめているのです。
(047) コンビニに続く足跡朝の雪 服部 04
1 宮澤 雪の朝、いかにコンビニが生活の中心になっているかを実感
します。
(048) 備讃瀬戸島影薄し雪舞いて 志方 02
(049) 梟がふわりと止まり杉の月 小野寺14
1 平島 FuクロウがFuわりととやわらかく尖った杉の木立に見える月
が少し鋭く冴えて対称の妙あり。
2 豊 梟と杉と月。三者の組み合わせがみごと。一幅の絵のようで
す。
(050) みな同じそれでめでたし小学校 深瀬 24
(051) 初場所や勝負の果ての乱れ髷 豊 06
1 吉良 久しく日本人の横綱の不在の相撲界ですが、新星があらわれ
て欲しいものです。
2 服部 激しい取り組みですね。
(052) 山茶花の紅揺れメジロ見え隠れ 橋本 01
1 宮澤 山茶花の木の中で隠れん坊しているメジロを「見っけた」と
探してしまいます。
2 小野寺 花の終わりに椿はぼとりと花を落としますが山茶花は花弁が
散ります。山茶花の紅の影にメジロが見え隠れするのは春の兆
しです。山茶花だから、メジロが生きてきます。
(053) 柚子湯してほのかに髪の匂ひけり 小野寺16
1 秋元
2 吉良 冬至の風習である柚子湯。毎年楽しみです。
3 中津川 冬至の柚子湯。香りがいいですね。
(054) 湯煙と阿蘇の山脈雪化粧 志方 05
1 桜子 九州のご旅行でしょうか。ダイナミックな景色が目に浮かび
ます。
(055) 年の背の支度に母はたすき掛け 小野寺02
(056) 過激化す地球沸騰夏思う 深瀬 25
(057) おのこ孫正月毎に色気づき 服部 02
(058) 図書館の暖房に寝る老いひとり 深瀬 06
1 服部
(059) 情念の橋渡り来て修羅の雪 小野寺11
1 柳町
2 豊 高倉健の任侠映画の最後の場面を思い出しました。降る雪の
中、殴り込みに行くのです。
(060) 直進す時の流れに疑義を持ち 深瀬 20
(061) 災害の悲しみ深し能登の雪 豊 01
1 秋元
2 桜子 全く共感します。
3 吉良 雪の厳しい真冬の震災。早い復興を祈ります。
4 橋本 元日の地震に傷む能登半島、降る雪がいっそう悲しみを誘い
ます。
5 服部
(062) 大川の流れに抗す鴨は二羽 桑子 02
1 志方
2 平島 滔々と流れる大河に逆らって泳ぐこの鴨は古いつがいかなあ
。時代に逆らう我等老夫婦みたいだなあ!
(063) 他人ごと?気候難民やまとの地 深瀬 29
(064) 星流る寒さ忘るる冬銀河 小野寺05
1 桜子 冬の美しい夜空をながめておられるようです。
2 橋本 空気の冴えた冬の夜空、しばし満天の星に圧倒されることが
あります。
3 平島
nagaru wasururuとなめらかに冬の天体を愛でる気持ちが鮮
やかです。
4 深瀬 寒さを忘れて天空の流れ星や満天に煌めく星に見入っている
様が目にうかびます。
(065) 時過ぎて足尾の街は冬枯れて 秋元 01
1 小野寺 銅山として江戸時代から繁栄した足尾銅山の歴史の街は今で
はすっかり冬枯れの風景として取り残されたという感慨でしょ
うか。
(066) 寒空に茫然自失瓦礫山 深瀬 09
1 桑子
2 志方
(067) ジャンボ籤年の瀬毎に夢を追う 中津川04
(068) 昼呑みのてんぷら談義冬忘れ 深瀬 14
(069) 三十年 (みとせ) ぶり変わらぬ友の懐かしさ 志方 06
(070) 福詣谷中銀座で一休み 桑子 04
(071) 集団でいがみ合うひと個はどこに 深瀬 15
(072) ブルーベリー紅葉は庭のナナカマド 橋本 02
(073) 吹雪やみ街屋の屋根に月冴ゆる 小野寺08
1 秋元
2 治部 今年の金沢は大変でした。昨年1月1日は金沢から能登和倉
温泉を旅しました。茶屋街でこんな景色を見た気がします。
吹雪がやむと、自然に目が上に行ゆき、屋根に光る月に心も
冴える気がしますね。景色がいいですね。
(074) 細胞の老化の意味に神思う 深瀬 22
(075) 讃岐路のど越し確か釜揚げや 志方 01
1 桜子 四国のご旅行でしょうか。心が弾む様子が感じられます。
(076) 認知症ぼやく賀状に頷けり 深瀬 02
(077) 小夜時雨ゴメ (海猫) 啼く波止場汽笛鳴り 小野寺15
(078) 自然生む男女の相違その巧緻 深瀬 19
(079) 被災地に冷たい雨雪痛ましく 服部 03
(080) 初詣戻れば頻脈( 拍) 失せており 橋本 05
(081) 銀漢や遠賀川なる母の里 小野寺21
1 治部 秋の冴えた空を見て母上の里の遠賀川を想い出したのですか
ね。昔はずいぶん暴れた川ですが、春には両岸を菜の花が黄色
く彩ります。大きく温かい母のイメージにピタリの川です。選
者も縁あり大好きな川です。
2 平島
ginn kann onn と畳み掛け天と地を歌い、望郷の念がこもる
母の里で締める。大きな情景に温かな情念。好きな句です。
3 豊 遠賀川は福岡ですね。作者の母親のふるさとなのでしょう。
しみじみとした味わいがあります。
(082) 玄海のわたりゆく風海千鳥 志方 04
1 小野寺 厳寒の荒海玄海灘 風に煽られながらも渡り飛ぶ海千鳥は、
一服の墨絵巻きです。
(083) 止まらない科学の進歩また加速 深瀬 26
1 志方
新型コロナ収束後、田舎の実家で再開した餅つきに出かけて (2 句)
(084) 賑やかに実家の餅つき十九人 橋本 03
1 桑子 十九人も集まる、もう餅つき大会でしょう、羨ましい限りで
す。
(085) 餅つきや野菜も一緒の帰車の中 橋本 04
1 中津川 帰省して土産つきで戻って来ましたね。
2 柳町
3 深瀬 久しぶりの実家でのお正月に参加した帰路の少しさみしい気
分も伝わってきます。
(086) 野佛の翳に一輪寒椿 小野寺17
1 秋元
(087) さまざまな筋肉ゆるみ老い自覚 深瀬 30
(088) 紅葉葉の降り積む音に朋は逝き 小野寺04
(089) 晴れわたり雲ひとつなき冬の空 深瀬 05
(090) 菅公の想い伝わる梅枝かな 志方 07
1 中津川 「東風ふかば」ですね。春近し出すね。
2 柳町
(091) 冬至の夜父子で湯ぶねを溢れさせ 小野寺22
1 桑子 ほのぼのとした幸せ一杯の情景が目に浮かびます。
2 中津川 柚子のにおいも溢れています。
(092) 着たきりのとっくりセーター毛玉とる 深瀬 08
(093) 豆まきや鬼追う園児たちの声 豊 07
(094) 父と汲む熱燗香ほる帰省の夜 小野寺12
1 服部
(095) ピロピロンお屠蘇気分をぶっ飛ばし 桑子 01
1 深瀬 ピロピロンは、電車内で電車事故を知らせる開始音だと思い
ます。地震やJアラートの開始音もびっくりします。
(096) MAGAの声日本動乱ひたひたと 深瀬 28
(097) 寒の入入浴剤を買い足しに 豊 04
(098) 絵硝子の吹雪の向こう紅き薔薇 小野寺01
1 秋元
(099) 紅葉散る城址見下ろす廉太郎 中津川03
1 小野寺 荒城の月の滝廉太郎は散る紅葉の城址を眺めた記憶のなかで
土井晩翠の傑作を得て栄枯盛衰の詩情を歌いあげるあの名曲、
荒城の月を作曲したのでしょうか。
(100) 帰らざる七十五年すでに生き 深瀬 16
1 柳町
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