七句会 第7 回 自由連句のみなさま
10月はじめからスタートした今回の歌仙も無事、満尾することができました。
感想、等を後ろにつけました。よろしくお願いします。
初折表
01 発句 夏 紫陽花の青滴りて虹の玉 (小野寺)
02 脇 夏 天道虫 (てんとう虫) はいま飛び立てり (吉良)
03 第三 雑 コロナ禍の収まり活気飲み屋街 (深瀬)
04 四句目 雑 お久ぶりね酒盃しみいる (志方)
05 月の座 秋 ススキ野や月にいるうさぎはいずこ (豊)
06 折端 秋 鰯雲越え火星目指すや (小野寺)
初折裏
07 折立 秋 徒然に孫の手ひきて茸狩り (吉良)
08 二句目 雑 乳白色の美肌にとろける (新井)
09 三句目 雑 のど越しに讃岐うどんがつるりんと (志方)
10 四句目 雑 天国地獄人の世の旅 (深瀬)
11 五句目 雑 腰すえて流れのままに棹差さん (小野寺)
12 六句目 雑 無限軌道の円の道かな (豊)
13 月の座 冬 満月のアタック一打星散らし (新井)
14 八句目 冬 冬眠覚めて熊は戸惑う (吉良)
15 九句目 雑 去年とは一変したる穴の外 (豊)
16 十句目 雑 紅葉彩 (いろどり) 日々深まりて (志方)
17 花の座 春 花のした孫や曾孫の家族行く (深瀬)
18 折端 春 桃の節句を宇宙で言祝ぐ (ことほぐ) (小野寺)
名残表
19 折立 春 お花見のパンダ愛でる子歌う夢 (新井)
20 二句目 雑 科学のひかり深まる闇間 (深瀬)
21 三句目 雑 朝陽射す人の心に夢を呼び (小野寺)
22 四句目 雑 明るきところ影ありと知る (豊)
23 五句目 夏 向日葵の枯れた小道に願う人 (新井)
24 六句目 夏 フラメンコ舞いほとばしる汗 (吉良)
25 七句目 雑 シャガールの絵筆のそばで愛語らん (新井)
26 八句目 雑 地蔵微笑む夕陽を浴びて (志方)
27 九句目 雑 烏飛ぶ山郷近し旅の宿 (吉良)
28 十句目 雑 夜明けの空は風煌 (きら) めきて (小野寺)
29 月の座 秋 残照のすすきの河原風渡る (志方)
30 折端 秋 山々澄みて魁夷を偲ぶ (深瀬)
名残裏
31 折立 秋 谷川に紅葉敷き詰め陽は落ちぬ (小野寺)
32 二句目 雑 赤ちゃんに万札を握らせ (豊)
33 三句目 雑 老いてなお「学び続けよ」天の声 (吉良)
34 四句目 春 ドローン操り鶯の友 (新井)
35 花の座 春 菜の花の油で料理いろいろと (豊)
36 挙句 春 何はなくとも筍御飯 (志方)
36の付け筋 (志方さん)
幼き頃から、混ぜご飯が大好きで、よくお代りをしておりました。地表にわ
ずかにか顔出す春先の筍の穂先の生命力が感じられる料理です。
35の付け筋 (豊さん)
春と言えば菜の花。ドローンが菜の花畑の上を飛んでいます。たくさんの菜
の花から取った菜種油で、今夜はどんな料理を作りましょうか。
34の付け筋 (新井さん)
人生の後半の学びは、今の時代はIT。デジタル機器をマスターし、ドローン
を日常的に操れる日が来るかもしれません。そして、鶯を追いかけて、仲間と
思ってもらえたら楽しいことでしょう…。
33の付け筋 (吉良さん)
1 万円札といえば肖像福沢諭吉「学問のすすめ」。団塊の世代は揺り籠から
墓場まで競争の時代を生き抜く運命ですね。
32の付け筋 (豊さん)
秋の自然の句が続いたので、人間に転換しました。赤ちゃんの手は紅葉にた
とえられます。その手に一万円札を握らせて、将来お金を稼げる人間になって
ほしいと願う親です。
31の付け筋 (小野寺さん)
東山魁夷の作品からは静謐な画風が感じられます。秋深い谷川の清流の底に
鮮やかな紅葉が沈む速い流れは、おりしも秋の落日の輝きと相まって不思議な
静謐を醸し出しておりました。
30の付け筋 (深瀬)
「残照」というと東山魁夷の絵画が想いだされます。「風渡る」から地球温
暖化のことでも詠もうかと思ったのですが、前にシャガールが出ているので、
日本画家を出してみました。
http://higashiyama-kaii.or.jp/残照.html
29の付け筋 (志方さん)
多摩川の土手に咲き乱れるすすきの穂が風に揺られている情景を詠んでみま
した。
28の付け筋 (小野寺さん)
吉良さんの旅の宿を受けて、懐かしい旅の宿で熟睡した翌日、清々しい夜明
けの朝、風が光り輝いて流れてゆくのを感じた事でした。
27の付け筋 (吉良さん)
夕日のお地蔵様には日本の原風景の烏が欠かせません。疲れた旅人が烏の住
む山郷の宿を目指している風景を描きました。
26の付け筋 (志方さん)
シャガールの絵画も何か優しさを空想させる作品が多いと記憶しております
。小学生時代、故郷の分かれ道に、一対のお地蔵さんが祭られており、遊び疲
れての帰り道夕陽が挿し込んで、慈しみ深い眼差しが思い出されます。
25の付け筋 (新井さん)
娘を見かけたシャガールが、熱心に誘って自分の絵のモデルにします。恋を
夢見る娘には本望。幻想的な絵に描いてもらえるものの、シャガールの相手で
は複雑さが残ります。
24の付け筋 (吉良さん)
向日葵の枯れた暑さの残る夕方、裏路地では恋を願う村娘が一心不乱にフラ
メンコを踊っています。
23の付け筋 (新井さん)
明るい方向を向いてどんどん伸びる向日葵…。近所の小学校の小道に, 降り
注ぐ太陽を浴びる向日葵を見た夏。秋に通りがかると、学校は選挙会場となり
、小道にちょっとイライラした感じで並ぶ人々を見かけました。夏の明るさと
は対照的で、今の落ち着かない世相を見た気がします…。 (夏から秋を語る)
22の付け筋 (豊さん)
光には闇、明には暗、善には悪、物事には必ず表と裏の二面性があります。
人の心も同じでしょう。夢に燃えて充実するときもあれば、夢破れて絶望する
ときもある。人生の浮き沈み、一喜一憂せずにのんびり行くのがいいのです。
21の付け筋 (小野寺さん)
科学技術の進歩で、人類は不可能を可能にしてきました。しかしどんなに科
学技術や医学が進歩しても人の生き死には如何となりません。コロナに始まる
世界規模での暗い世相の中人の心に希望の虹を創りだすのは一筋の陽の光かも
しれません。
昨今の世界の鉄鋼需給は混沌の最中にありロシアやインドの安定で久々に落
ち着くかと見えた市況が突然の中国ミルの投げ売りで大混乱に陥っておりこの
数日徹夜に近い経験をしました。酔眼朦朧として、投句してはいけませんね。
笑 世界規模でミルは空前の利益をあげてますがトレーダーは散々です。
それでもこの緊張が絵を描くエネルギーになるかもと勝手に独り慰めてます
。ご指摘に感謝です。シャキッとしました。
20の付け筋 (深瀬)
ゲノム編集によってパンダの人工繁殖や小型化が実現し、ペットとして広く
普及するというのは、なにかブラックユーモアだと思います。効果的な新薬が
開発されても高額すぎて使用できる人が限られるとか、どうなるのでしょう。
19の付け筋 (新井さん)
状況の変化は動物たちにも及び…、今より色々な動物たちが身近になり、パ
ンダの繁殖も成功、身近に見られるようになるでしょう。上野公園に子供たち
とお花見に行き、パンダのそばで子供たちが未来を夢見て歌う…、そんなにぎ
やかな未来を描きました。
18の付け筋 (小野寺さん)
昨今の状況変化は激しさは増しております。直ぐに孫達ぐらいでは、無理で
しょうが曽孫ぐらいの時代には自由に宇宙を行き来する時代が来るかもしれま
せんね。
17の付け筋 (深瀬)
今後の世界の激変を危惧しますが、孫や曾孫の家族が花見をたのしんでいる
であろうことを願っています。100 歳くらいまで元気で生きていれば一緒に過
ごせるのでしょうか。
16の付け筋 (志方さん)
このところの、コロナウィルスの減少ぶり、自然の調和力が人知をこえてあ
るのかもしれません。そんな中で、今年の秋の紅葉は淡々と深まる様はやはり
自然の流れのようです。年々歳々花相似たりの句が思い浮かべた次第です。
15の付け筋 (豊さん)
外に出てみたら、周囲の様子が冬眠前の世界とはすっかり変わっていたので
す。核戦争で人類が滅亡してしまったのか、大規模な気候変動で自然が壊れて
しまったのか。S F的発想です。
14の付け筋 (吉良さん)
月のアタックで散った星が地表に落ちて冬眠中の熊を目覚めさせたようです。
13の付け筋 (新井さん)
満月をバレーボールのように思い切りアタック、破片で辺りの星を散らすこ
とで、世界が変わり、劇的に現状を変えたらどうだろうな…と思います。
12の付け筋 (豊さん)
川の流れにはいつかは終点がありますが、丸い円の道は同じところをぐるぐ
るまわり続けるだけで、終点も出口もありません。あえてひねった句にしてみ
ました。
11の付け筋 (小野寺さん)
人生の変遷はまさに山あり谷ありです。水源に始まる川の流れもまた奔流を
経て海に注ぎますが、流れに逆らわずしてしかも、その流れを見極めながら舵
取りをして生きたいものです。
10の付け筋 (深瀬)
うどんがつるんとのどを通ったあとのことなどを思いました。それを人に当
てはめると、人生には、多様な天国と地獄のときが、入れ代わり立ち代わり現
れるものではないでしょうか。
09の付け筋 (志方さん)
讃岐うどんは何と言っても弾力性が命で、咽喉につるりと入る味わいが醍醐
味です。分葱と生姜をたっぷり添えて。さっと生醤油をかけて熱い麺をすする
。ああ峠の立ち食いうどん屋で食したときは、一杯50円でした(35年前)
ちなみにタクシー代は往復5千円でしたけど。。。。
08の付け筋 (新井さん)
茸のクリームパスタを作りたくなりました。ホワイトソースをお鍋でかき混
ぜているうちに、乳白色になり、つやが出て、美味しそう…と見え、だんだん
と「美白つや出しクリーム」に見えてきました。最近、石田ゆり子が宣伝して
いる資生堂のつや出しクリームを思い浮かべました。(アラフィフの女性に人
気No.1なのです)美味しいクリームパスタを食べ、肌によく作用するといいだ
ろうな…、と楽しい連想が浮かびました。
07の付け筋 (吉良さん)
コロナ禍も明け、久しぶりに故郷に帰ってきた息子家族と宇宙すごろくゲー
ムで月・火星旅行して遊び疲れ、やることもなくに裏山に茸狩りに出かけまし
た。
06の付け筋 (小野寺さん)
月に人類が降りたって半世紀。うさぎ伝説を超え今やアメリカの火星探査機
パーサビアランスは地球の隣の惑星に降り立ち、荒涼とした赤い風景に驚きま
した。茜の鰯雲の先に人類の夢は広がります。
05の付け筋 (豊さん)
ススキ野原で満月を見上げながら月見酒をしています。月にはうさぎがいる
という伝説がありましたが、宇宙時代の今日、あの伝説はどうなってしまった
のでしょうか。
04の付け筋 (志方さん)
赤提灯が何故か生き生きと輝き、暖簾がおいでとおいでと手招きするので。
。。。 抗しがたい誘いです。
03の付け筋 (深瀬)
コロナ禍が急速に収まりつつあります。飲み屋さんの前を通ると店員にかな
り気合が入っているのを感じます。飛び立つものが違いますが。
02の付け筋 (吉良さん)
雨に葉陰で息ひそめていた天道虫が、紫陽花に光をそそぐ太陽に向かって一
斉に飛翔している様子を読みました。
深瀬 (事務方)
・補足 適宜、下記を参照いただければ幸いです。
七句会第7 回自由連句の要領
http://nanaku-haiku.blogspot.com/2021/10/7.html
追記 いただいた感想、等。
・豊さん
志方さんの見事な挙句でうまく収まりましたね。私自身もそうですが、回を
重ねるにつれて皆さん慣れてきたようで、面白くなってきました。
次回も楽しみです。
・平島さん
満尾おめでとうございます。また勝手に好きなことを言わせてもらいます。
深瀬さん:世相や身近な題材も入れられて目が広く行き渡って流石です。
志方さん:呑兵衛、食いしん坊の面目躍如。
吉良さん:退院されて自然現象や人事に細やかな観察特に最後の学び続ける
はゴヤの晩年の有名なスケッチ「俺はまだ学ぶぞ!」を彷彿させる良い句だと
思います。
豊さん :やはり練達の読み手ですね。大胆な転じ方、軽いいなし方など慣
れておられるなあ。
新井さん:唯一紅一点でやはり女らしさが現れて全体に華やぎを醸し出され
ています。
小野寺さん:句に天象が多く例えば 虹 鰯雲 火星 空 風 夜明け な
どやはり発想の貧困と言われても仕方ないでしょうね。もうひとつ19句で新
井さんが歌う夢に対して21句で夢を呼び とあるのは観音開きに当たり避けら
れた方が良いとされいます。これも天象に関わりますが陽の字が頻繁に出てき
ます。現役で仕事をされたおられ多忙ではあると思いますが人の句にも気を配
られて同字重用はなるべく避けられるのが良いと思います。身内の後輩だから
か言いたいことを言わせてもらいました。済みません。
でも皆さんがこうやって楽しく作品を作り上げておられるのはきっと良い思
い出になると思います。小野寺さんは母上が百歳の誕生日を迎えられた年の興
行ということで忘れられない記念の連句だと思います。これからも皆さん和気
あいあいに続けられんことを祈っています。深瀬さんの纏め上手がある限りま
だ当分は楽しめることでしょう。
何時も年寄りの言いたい放題で申し訳ありません。今後ともよろしくお願い
します。
・深瀬
平島さん
平島さんならではの踏み込んだコメント、たいへんありがとうございます。
連句には、句会とは異なり、詠み手同志のつながりのようなものがあり、そ
の辺を平島さんのコメントからよりはっきり感ずることができました。
個人的には、詠む順番とか、展開のダイナミズムとか、さらに工夫が必要か
なと感じたりもしています。
少しずつでもたのしさが増していくように、これからもよろしくご指導のほ
どお願いします。
・小野寺さん
平島さん
第七回自由連句
句に天象が多すぎる、とのご指摘全く気付かずに、意識せずに発句していた
事反省です。発想の貧困その通りです!もう少し大胆に世相や身近な題材も入
れて、流れを変えていける様にしてみます。これは絵画の創作にも同じで発想
の転換、大胆な試みに常に挑戦できる様に気配りができるようにしてゆきます。
コロナの為に二年半ぶりで会いにいきました100 歳になった母が、新しい画
材に対して、まだまだ好奇心をつねらせている事に感心してきました。常日頃
から新しい事に挑戦できる感性や意識を培って行きたいと思います。
二年間延期してきた来年の二月から始まる絵画の個展に向けて一層の精進を
したいと思います。
目から鱗のご指摘に感謝です。
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