七句会のみなさま
第四十回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、た
いへんありがとうございました。
およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ
てお届けします。
今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。
七句会のweb
http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
にも掲載してあります。
今後とも、よろしくお願いいたします。
深瀬 (事務方)
1.第40回 ネット句会 作品集
(01) 小野寺さん
・緑陰に染まりて吾子は歩みだし
・木漏れ陽に滝の風来て夏木立
・望郷の森に啼きをり青葉木菟 (あおばずく)
・霧雨のしじまに啼くや閑古鳥
・ゆるやかにホタル飛びきて人と逢う
・郭公の木霊かえすや燧岳
・つゆ草を滑りて蛍飛びたてり
・島陰を白き帆滑り潮の音
・夏蝶は生まれて滝の風に乗り
・万緑を影移り行き雲走る
・夏蝶は無縁の墓に羽やすめ
・虫咥え薄暮一閃夏ツバメ
・菖蒲湯のほのかに匂ふ洗い髪
・燕の子口開け騒ぐ雨の軒
・夏の宵森の匂ひの髪を梳き
・濁浪を稲妻走り驟雨打つ
・浜木綿や沖には紺の潮流れ
・鮎掛かる叫びてはしゃぐ祖父笑顔
・鮎走る深き水底陽の匂ひ
・黒潮の岬うずめて月見草
・夏銀河天廻りゆき櫂の音
(02) 吉良さん
・木洩れ日に香り浮かべる蓮の花
・朝靄に溶け行く鷺のなお白し
・独り居の昼の冷酒に笑みこぼれ
・白南風や松の木狙い一番ティー
・遥かなる夏期講習や今は孫
(03) 桑子さん
・好天日木陰に集うテントかな
・夏至の日ものんべんだらり日が暮れる
・池ポチャが三連発や梅雨曇
・玄関に映る守宮や今日二匹
・庭いじり何はともあれ次ビール
(04) 志方さん
・夕涼み浴衣乱して孫はしゃぐ
・紫陽花の朽ちてアヤメの花祭り
・枝豆を孫と競いて八分負け
・夕霞田植えの後に蛙鳴き
・くちなしのはかなき香り風に消え
・すだれ越し涼風ぬける廊下かな
・新緑に風に染まりてまた一杯
(05) 中津川さん
・仕切り無し乾杯ビールの友の顔
・急坂をカモシカ走る夏木立
・湿気満つ突然目覚む夏至の夜や
・昼寝して待つは4度目の接種券
・三年 (みとせ) ぶりビアガーデンの一気飲み
・猛暑日や守れぬ公約言い放つ
・着飾って散歩の犬はバギー乗る
(06) 橋本さん
・剪定に緑の日影夏迎ふ
・新緑と瀬音に埋もる四万の宿
・満満と八ッ場のダムや何思う
・野反湖に老鶯競い風渡る
・未だ青いほころび悲鳴の地球号
・脱ロシア持たざる国の未来賭け
・侵略し解放と言ふああ非情
(07) 服部さん
・客を釣る鰻ののぼり印旛沼
・真っすぐで真っすぐでない田植え苗
・新緑のエージシュートは想定外
・梅雨明けの電力逼迫恐ろしや
・夕食はヤモリと一緒ガラス窓
(08) 宮澤さん
・空梅雨に身を置く木々のたくましさ
・紫陽花や雨無き日々に頼りなげ
・羨まし百足虫百歩で一万歩
・ペダル漕ぐたわわな胸に汗光る
・翡翠や水面の飛沫に色映し
・行水だ火の玉浸かる水平線
・燕の子みんなの秘密巣立つまで
(09) 森 (杜瑯) さん
・我が夢は百年経ちて蓮と咲く
(10) 柳町さん
先週、地域割を使って軽井沢、草津、浅間方面にいきまして、その時のこと
をいじってみました。
白樺の枝越しに見える浅間山の噴煙に、涼しい軽井沢にも夏が来たな~ と感
じました。
・白樺の浅間の煙や夏来る
湯畑で有名な草津温泉で草津音頭を聴きながらーーーーー
・湯煙の草津音頭に胸躍る
鬼押し出しから見る浅間山が、江戸時代の噴火の跡を木々が覆って少しずつ
緑になっていくなーっと感じます。
・新緑や燃え立つ木々の浅間山
(11) 豊さん
・炎天や笠をかぶらぬ石地蔵
・水羊羹するりと喉を通りけり
・紫陽花の青の孤独や雨強し
・捕虫網持つ子は何を追いかける
・浮世絵の美人が涼む隅田川
・向日葵の大きいのちが燃えており
・夏の海夕日の中の帰り船
(12) 深瀬
・夏山に六根清浄声の行く
・夏山の城址の空に雲ひとつ
・父母遺影うなどん供えお線香
・太鼓橋父とうなぎの在りし日や
・ふとよぎるこれが最期のうなぎかな
・夏の陽にはしゃぐ孫らのいのちかな
・老ひの身の夏の陰影うすれゆき
・夏の陽に覚悟あらたむ死出の旅
・空調音深夜に停まり退社急く
・土用波ほのかな思ひ押し流し
・夏休み神保町の喫茶店
・燃え立つる赤きカンナの池に映へ
・奥座敷うかぶ麻蚊帳薄明かり
・蝉時雨森の静けさ深き淵
・湿原の林間学校朝の風
・かき氷銀座の路地に人の列
・夏の雲声を掛けたきその姿
・夏草の空き地をおおふ異空間
・夏巡る幾億年の今に居て
・人の世に誠意と笑ひ満つる日は
・ウクライナ水漬く屍に草生す屍
・階上の孫の叫びに妻笑ひ
2.第40回 ネット句会 感想と自句自解
◎
小野寺さんの自句自解
・1 2 点句(011) 島陰を白き帆すべり潮の音
島陰を風孕んだ白い帆船が行き潮騒が心地よい。とした句ですが平島さんの
シマカゲをシロき帆スベリ、シオの音、サ行の音の繰り返しが、心地よい。と
は全く予期せぬ立派な感想を頂きました。
・2 2 点句(017 )夏銀河天廻りゆき櫂の音
仰ぎ見れば、満天の星、荘厳な天の川が廻りゆき、漕ぎゆく櫂の音だけが耳
に心地よく余韻を残しました。
・3 二点句(028) 夏蝶は無縁の墓に羽やすめ。
無縁佛の墓石に夏蝶が静かに羽を休めており、何故か命を感じ引き寄せられ
ました。
豊さんのご指摘のとおり、蝶は亡くなった無縁の死者の魂かもしれません。
不思議な静謐な時が流れておりました。
・4 二点句(033) 菖蒲湯のほのかに匂ふ洗い髪
桑子さんの鋭い推察の通りです。菖蒲湯の洗い髪のほのかな匂いが鼻腔をく
すぐりました。遠い昔ですが、匂いの記憶は鮮烈に残ります。菖蒲と勝負をか
ける、とまでは詠み通せませんでした。笑
・5 二点句(045) 虫咥え薄暮一閃夏ツバメ
腹を空かせた雛鳥が待つ巣を目指して日暮れの薄暮の中を素早く飛びさるツ
バメの速さに見惚れておりました。
・6 二点句(082) 郭公の木霊かえすや燧岳
学生時代に水芭蕉咲く尾瀬の白い筏路を朝靄の中彼女と歩いた遠い記憶です。
郭公が鳴いて、眼前の燧岳に木霊となっておりました。
平島さんの寸評
kakkouno Kodama kaesuya のカ行の音の流れの心地よさ、
は全くの偶然の結果でしたが、尾瀬の眼前に聳え立つヒウチダケで決まり。と
言って頂き燧岳で締めた甲斐がありました。
・7.一点句(048) 黒潮の岬埋めて月見草
平島さんの寸評に寸分違いません。遠く沖を流れる黒潮、近くの岬に目をや
れば一面の月見草。黄色が眼に浮かびます。静かな月見草の黄色は切り取った
絵画の風景となり、鮮明に記憶の画帳に残ります。
・8.一点句(062) つゆ草を滑りて蛍飛びたてり
志方さんの寸評の様に我々が子供の頃には普通に見られた風景でした。宵闇
が迫るなか蛍が露草を滑りおちて、突然飛びたち光の尾を引いて消えゆく様は
鮮やかな記憶として残ってます。
・9.一点句(073) 万緑を影移りゆき雲走る。
吉良さんの寸評の通りです。一面万緑の涼やかな原を風に乗った雲が流れて、
万緑を一面の影となり走り去ってゆく、次から次に影は流れて、風による雲の
走りに立ちつくしておりました。
・10. 一点句(078) 浜木綿や沖には紺の潮流れ
平島さんの寸評の通りです。これは近くから遠くに目をやって見えた紺色の
海の流れ。浜木綿との対が好きです。濃紺の黒潮の流れと純白の浜木綿との鮮
やかな対比です。
・11. 一点句(086) 鮎走る深き水底陽の匂ひ
平島さんの寸評の通り、夏の日の深いトロ場の水底を、尺近い鮎が元気に泳
ぎ走り、陽の匂いがして、その晩祖父が掛けた鮎は最高の塩焼きとなりました。
・一点句(095) 望郷の森に哭きをり青葉木菟
子供の頃に岩手釜石の故郷の森で聴いたフクロウの仲間のアオバズクの鳴き
声は大人になり、シカゴの駐在時代、ロシアの出張時代、折りに触れて、哭く
様な微かな声となり耳殻の奥に住み続けております。
・無点句(055) 鮎掛かる叫びてはしゃぐ祖父笑顔
子供の頃父や祖父に連れられてよく鮎釣りに行きました。鮎はオトリを使い
縄張りに入った鮎を追い払う習性を利用して針で引っ掛けるのです。鮎掛けと
いいました。私の竿に鮎が掛かった時の祖父の破顔一笑の騒ぎを今でも鮮明に
覚えております。
締め切りをギリギリ過ぎて推敲する間も無く提出した21句の中で12句が皆様
の心に響いていたと思うとありがたい事です。主催者の豊さんから3.の無縁の
墓に休む夏蝶の句を今回の中で一番の句です。と言って下さったなは自分の励
みにもなりました。また、1 人七句の選句の中で平島さんが五句も選んでくだ
さった事は望外の感激でした。
◎ 小野寺さんの感想
小生の投句 平島さんが20句に絞り込まれた中で最終七句のうちの五句も選
んで頂きましたこと光栄の至りです。
頂きました俳句の本は一読したあと時々めくってますが締め切りの前、ぎり
ぎりになってから季節を主題にした記憶の引き出しから感動の記憶だけを頼り
に、感覚を頼りに紡ぎだします。
色彩、音、匂い、といったさまざまな複合した感覚が記憶の中で蘇るのは感
動した記憶の情景が強いかどうかにかかる様な気もします。
不思議な事にこのプロセスは絵の創作に似てます。自分が感動したものだけ
が人様に感銘を与えられる気がします。情景の美しさではない様な気がします。
◎ 平島さんの感想
選句の結果のご報告ありがとうございました。今回も捨てがたい句が多くま
ずランダムに20句ほど拾ってこの中から7 句に絞りました。
ビックリしましたが小野寺さんの句が5 句もありました。彼には俳句の本を
差し上げましたが別に指導などしたわけでもないのに色彩とか音の捉え方の感
性が似ているのかなあ。
小生は連句は気合を入れてやって来ましたが発句というか俳句は海外暮らし
で何となく季節感がしっくりと来なくて諦めております。
でも皆さんが和気藹藹とこのような会を楽しまれて居られるのを羨ましく眺
めております。深瀬さんは体調が万全とはいいがたい中で取りまとめにご尽力
本当に有難う御座いました。今後ともよろしくお願いいたします。
暑いポルトガルにて 平島道彦
◎
宮澤さんの自句自解
自句自解は苦手ですが、望外の七点句もあり、下記2 句につき下記します。
・(050) ペダル漕ぐたわわな胸に汗光る
七点句として選句いただき、恥ずかしながら光栄です。
先日、ビデオで映画「アラベスク」を見てソフィア・ローレンに久しぶりで
再会しました。また会いたいと思っていたら、昨日NHKBS 3で「ひまわり」を
放映しており、見入りました。
「ブーベの恋人」のクラウディア・カルディナーレも大好きです。どうも昔
から、ラテン系美人の顔立ちとたわわな胸にぞっこんで、女性がけなげに立ち
動く様を、映画の1 シーンの写し絵ように感じ見惚れてしまう性格は生涯続く
のでしょう。
・(080) 羨まし百足虫百歩で一万歩
酷暑の中、何とか1 日1 万歩を続けています。
朝一の散歩は問題ありませんが、日が昇ってから残りをこなすのは大変です。
以前、ゴルフ場のロッカーに出現した百足虫が躓くこともなく、瞬時に1 万歩
をこなし足早に消え去るのを思い出しました。
羨ましい限りです。しかし、人、生き物、皆それぞれです。ましてや「変身」
なぞ望まず、日々是好日に過ごしたいものです。
◎
豊さんの自句自解
・炎天や笠をかぶらぬ石地蔵
炎天の野にさらされている石地蔵の姿を詠んだのですが、平凡でした。
・浮世絵の美人が涼む隅田川
江戸時代の浮世絵には美人画がたくさんありますが、吉原の遊女たちも隅田
川で夕涼みをしていたことでしょう。
・水羊羹するりと喉を通りけり
水羊羹のするりとしたなめらかさと甘さで夏のちょっとした涼しさを表現し
てみました。
・捕虫網持つ子は何を追いかける
「何を」という曖昧な表現がよくなかったようです。もっと具体的なものに
すべきでした。
・夏の海夕日の中の帰り船
文字通り、漁を終えて港に帰ってくる船の風景です。
・紫陽花の青の孤独や雨強し
雨に打たれる紫陽花の青に寂しさを感じたのですが、「雨強し」の言葉が強
すぎたようです。
・向日葵の大きいのちが燃えており
炎天下、高く大きく咲いている向日葵に強い生命力を感じました。
◎
深瀬の自句自解
・(002) 太鼓橋父とうなぎの在りし日や
1 吉良 太鼓橋で父親とウナギを食べた思い出でしょうか。
「在りし日や」の表現が印象的です。
2 橋本 父と渡り、ウナギも捕った (食べた?) 川の思い
出の太鼓橋。
3 小野寺 太鼓橋にくると父上と一緒に食べた鰻が思いださ
れるのでしょう。切ない思い出です。
目黒駅から行人坂を下ると目黒川にかかる太鼓橋があります。この辺は、江
戸時代、目黒不動尊への参詣道であり、富士山の眺望もよく、浮世絵に描かれ
たりもしました。そのたもとに太鼓鰻という鰻屋さんがありました。子どもの
ころ、父になにかのついでに連れて行ってもらったことがあります。
・(006) 夏山に六根清浄声の行く
「六根清浄懺悔懺悔」と唱えながら山道を行く山伏姿の列は、日本の山岳信
仰を象徴している感じがします。
・(009) 夏山の城址の空に雲ひとつ
1 志方 天空の蒼いキャンパスに描く城址と白雲が浮かぶ
見事な構図だと思います。
2 柳町
芭蕉の「夏草や~」の句とか、ウェスタンカントリーソング「Ghost
Riders
in the Sky 」などを思い浮かべながら作りました。
・(014) 夏巡る幾億年の今に居て
夏の日差しは、太陽を巡る地球の位置づけを改めて感じさせてくれます。
・(016) 空調音深夜に停まり退社急く
1 桜子 よくわかります。
富士通の川崎工場に勤務していたころ、工場を改造したようなオフィスであ
ったせいか、残業で遅くなり空調音がとまると不気味な静けさになりました。
・(019) 夏の陽にはしゃぐ孫らのいのちかな
こちらは老化が進み夏の日差しに困惑しているのとは対照的に、孫たちの様
子には若い生命力のたくましさを感じます。
・(024) 人の世に誠意と笑ひ満つる日は
今日のウクライナ戦争や台湾海峡をめぐる緊張は、今後どうなっていくのか
考えさせられます。
・(027) ウクライナ水漬く屍に草生す屍
「水漬く屍に草生す屍」は、戦争中に準国歌とされた「海ゆかば」の一節で
す。こうした状況が今日のウクライナで起きていることに困惑します。
・(031) 湿原の林間学校朝の風
駒東での仙石原での合宿が印象に残っています。
・(034) 父母遺影うなどん供えお線香
仏壇にお供えするミニチュアのうな重キャンドルというのがあることを最近、
知りました。
・(039) 奥座敷うかぶ麻蚊帳薄明かり
遠くから、薄明かりのともる麻蚊帳の部屋をみているという様です。水上勉
の「雁の寺」なんかにあったか。
・(043) 土用波ほのかな思ひ押し流し
1 吉良 ほのかな思いは恋の思い出でしょうか。シャンソ
ン「枯れ葉」の歌詞「波は愛し合った恋人の足跡さ
え消してゆく」を思い出します。
2 豊 ひと夏のつかの間の恋を土用波が押し流してしま
ったのです。甘く苦い思い出です。
土用波ということばを聞くと、夏のさかりが終わったなにかさみしい気持ち
になりました。
・(046) 夏草の空き地をおおふ異空間
1 豊 夏草が伸び放題の空き地。そこはまさに異空間の
趣です。
夏草の成長するスピードにはなにか畏怖を感じます。
・(053) かき氷銀座の路地に人の列
銀座にはいろいろな路地が残されていて歴史が感じられます。
・(060) 燃え立つる赤きカンナの池に映へ
1 橋本 「燃え立つる」が上手い表現だと思います。
2 柳町
3 小野寺 まるで燃え立つ様な赤いカンナが静かに池に映え
て暑い夏の風物詩ですね
子どものころ、自宅の池の向こう側に赤いカンナが植えてありました。
・(063) ふとよぎるこれが最期のうなぎかな
少し前、肉厚のうなぎを食べましたが、かなり感動しました。
・(066) 老ひの身の夏の陰影うすれゆき
1 吉良 年とともに段々とすべてに執着心がなくなり、時
に流されそうになる気分でしょうか。
10代とか20代のころは、強烈な夏の日差しに正面から向き合っていたように
思います。
・(074) 蝉時雨森の静けさ深き淵
以前、富士山の樹海に少し入ったことがあります。そのときの印象からミシ
ェル・リシャール・ド・ラランド グラン・モテ「深き淵より」が思い起こさ
れました。
・(079) 夏休み神保町の喫茶店
1 中津川
神保町には、クラシックな感じの喫茶店が残っているようです。
・(083) 階上の孫の叫びに妻笑ひ
私たち夫婦はマンションの4 階に住んでいて、息子一家はすぐ上の5 階にい
ます。ときどき孫たちの叫び声や泣き声が窓ごしに聞こえてきます。
・(093) 夏の陽に覚悟あらたむ死出の旅
1 豊 夏の陽には烈しさがあります。それに打ち勝つた
めにはあらたな覚悟が必要なのです。死を恐れぬ作
者の意思が感じられます。
2 小野寺 照りつける夏の強い陽射しの中でいつかはこの命
も尽きる日は来ると覚悟を決める作者の心情に同感
です。生きると言う事は常に死と隣り合わせですよ
ね。
戦前世代は「青葉しげれる櫻井の~」で始まる「楠公の歌」は、みんなそら
んじていたようです。その三番目の歌詞「父上いかにのたもうも 見捨てまつ
りてわれ一人いかで帰らん帰られん この正行は年こそは 未だ若けれ諸共に
御供仕えん死出の旅」の「死出の旅」を勝手に流用しました。
・(096) 夏の雲声を掛けたきその姿
夏のくっきりした雲の形には、不思議な迫力を感じます。
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