2022年8月9日火曜日

七句会 第9 回 自由連句 第三十六句目 (名残裏 挙句 春) を、吉良さん、ありがとうございます。無事、満尾しました。

  七句会 第9 回 自由連句のみなさま


  第三十六句目 (名残裏  挙句 春) を、吉良さん、ありがとうございます。

  6 月下旬から始めた第9 回の自由連句もみなさまのご尽力により無事、満尾

することができました。

  感想等ありましたら、8 月27日を目処にお寄せいただけたら幸いです。

  事務方  深瀬



 初折表

01 発句  春   野佛の頬濡らしけり花時雨             (小野寺)

02 脇   春    往く春惜しみ笹の衣擦れ               (志方)

03 第三  春  ウクライナ土筆の無残戦車にて          (深瀬)

04 四句目 雑    心に秘めし青麦の種                  (吉良)

05 月の座 秋  田の実り刈り取る農夫秋の月           (豊)

06 折端   秋    雁啼き帰る北辺の街                (小野寺)


 初折裏

07 折立   秋   秋茜すすきの穂波風に舞い             (志方)

08 二句目 恋    紅白の幕盃めぐる                   (深瀬)

09 三句目 恋   女生徒の声追い風に徒競走             (吉良)

10 四句目 雑     若き熱狂学徒動員                    (深瀬)

11 五句目 雑   匈奴討つ漢の兵士は国を発ち            (小野寺)

12 六句目 雑     岸壁の母昔も今も                (豊)

13 月の座 夏   浴衣着て月の大きさ語る輪の            (桜子)

14 八句目 夏     ミサイルよりは線香花火            (志方)

15 九句目 雑   健全な野党育たぬ選挙かな            (豊)

16 十句目 雑     自由気ままにワルツを踊る           (吉良)

17 花の座  春   花胸にEU加盟日本未来             (深瀬)

18 折端    春     雲雀 (ひばり) の声に風見極めよ      (小野寺)


 名残表

19 折立   春   高野山授戒の旅路桜舞ふ               (桜子)

20 二句目 雑     自然を離れ宇宙を旅す                (深瀬)

21 三句目 雑   星流る銀河の奇跡蒼き星                (小野寺)

22 四句目 雑     人の一生短きものを               (豊)

23 五句目 冬   冬の海病院船の悠々と               (桜子)

24  六句目  冬     凍てつく湖面ワカサギ釣りに           (志方)

25  七句目  雑    見つめ合う小坪漁港のランデブー         (桜子)

26  ハ句目  恋     小指からめて綾取り遊び               (吉良)

27  九句目  恋    ほろ苦きセピアのフォトが懐かしい       (志方)

28  十句目  雑     北上夜曲切なき別れ                   (小野寺)

29  月の座  秋    月の舟緋色の空を旅だてり        (吉良)

30  折端    秋     秋の燈照らすキャリアデザイン         (桜子)


    名残裏

31  折立    秋    秋色をオートクチュールに託しけり       (小野寺)

32  ニ句目  雑    すべて脱ぎ捨て裸にならむ             (豊)

33  三句目  雑    知識人真理求めて三千里                 (志方)

34  四句目  春      頼朝いざなう春ぼたん園        (桜子)

35  花の座  春  桜散るごとくに源氏滅亡し         (豊)

36  挙句  春    草の芽香る人知れぬ里         (吉良)

                                   

  36の付け筋

  人の営みとは無関係に、自然は春になると新たな命をはぐくみます。人間も

自然の一員として謙虚かつ力強く生き続けたいものです。


  35の付け筋 (豊さん)

  頼朝が幕府を開いたとき、わずか三代で源氏が滅びるとは思っていなかった

に違いありません。実朝が暗殺されずに生き続けていたとしたら、歴史はどう

なったでしょうか。


  34の付け筋 (桜子さん)

  知識を得るプロセスが思考力となる…のご発想に新しい着眼点が生まれた思

いです。そして知識を得るためには本物の一流に触れるのが大切では…、と考

えました。

  鶴岡八幡宮に実際に足を運んで、牡丹も楽しみながら重要文化財に触れる…

そんな小旅行はいかがでしょうか。


  33の付け筋 (志方さん)

  スマホやパソコンがない時代は、知識や情報鵜収集のどれほど苦労したか。

今の時代、ネットに触れれば、すぐ手に入るものは、安物の薄い下着のような

もの。知識を得るプロセスから生まれる思考が、知識の厚みにつながるのでし

ょうか?


  32の付け筋 (豊さん)

  人間おぎゃーと生まれたときは素裸です。それが、知恵がつくにつれて衣服

を着ない裸を恥ずかしがるようになります。私たちは今「知性」という衣服に

よっていろいろなものを隠してしまっているようです。既成の知識や価値に染

まった頭を一度ゼロにして、裸になって物事を考え直す必要があるのではない

でしょうか。


 31 の付け筋 (小野寺さん)

  桜子さんのキャリアデザインを受けて、パリ、オートクチュールでトップデ

ザイナーとして活躍する森永邦彦さんを思い浮かべました。彼は予備校時代に

講師から習った弁証法を検証して、成功への道を掴んだといいます。

感性の開花には緻密な計画が必要だったのです。


  30の付け筋 (桜子さん)

  緋色、旅立ち…、となると、人生のステージでは十代の若者の姿が浮かびま

した。これからの壮大な人生…。今般、たくさんの大学にキャリアデザイン学

部もあるようですが、秋の夜、論理的根拠のもと、しっかり人生計画を立てる

のもいいのではないでしょうか。 


  29の付け筋 (吉良さん)

  懐かしいセピア色、白百合の純白から情熱の緋色に転じ、人生も新しい船出

をします。


  28の付け筋 (小野寺さん)

  志方さんの小百合一筋の青春時代を受けて東北の片田舎釜石で育ったあの時

代北上夜曲の一節

  匂い優しい白百合の泣いているよなあの瞳  想いだすのは、想いだすのは 

北上河原の月の夜

  高嶺の花に憧れて見事に振られた記憶は、釜石からみて、盛岡の都会を流れ

る北上川のほろ苦い記憶とないまぜになっておりました。


  27の付け筋( 志方さん)

  カラー写真が珍しかった学生時代に撮った色褪せた写真。物忘れ著しい中に

、なぜか遠く埋もれた残像が鮮やかに浮かびました。保守反動か革新か2極の

嵐の中で、小百合一筋だったあの頃。


  26の付け筋( 吉良さん)

  見つめあっているうちに釣り糸がからまり一苦労。糸のからみをかけて、あ

やとり遊びを連想しました。


  25の付け筋( 桜子さん)

  20歳の頃、友達が付き合っている人と初めて釣りに行って楽しかったという

話を嬉しそうにしてくれました。内容は、こんな感じでしたが…。


  24の付け筋( 志方さん)

  自分はやったことはないのですが、凍てつく湖面で、悠々とワカサギ釣りの

映像が浮かびました。釣果にとらわれず、防寒装備で燗酒でも楽しんでいるの

かも。


 23の付け筋 (桜子さん)

  異常気象も未来への不安をあおる一因ですが、何とか手を打たねばなりませ

ん。病院船を普及させ、海上を活用することによって地球環境を良い方向に向

けたいものです。冬の荒波をものともせずに進む病院船をながめて安心したい

です。

  余談ですが…:自句13句についてもう少しお伝えしたいのですが、興味のな

い方は以下ご放念ください。

  ◇13句でウクライナから避難してきた方々が、浴衣を着て心和んで…という

句を詠みましたが、母校上智でウクライナからの留学生に浴衣をプレゼントし

ていました。俳句では力不足で表せなかった雰囲気や光景がホームページにの

っていました。よろしければご覧ください。

  https://www.sophiakai.gr.jp/news/news/2022/2022071901.html?mn=20220722

(浴衣着て月の大きさ語る輪の)


 22の付け筋 (豊さん)

  大宇宙の悠久の歴史に比べれば、人間の百年の一生などわずかなものです。

孫たちがいまの私たちの年齢になる時まで、地球が無事に存在し続けているか

どうか不安になるこの頃です。


 21の付け筋 (小野寺さん)

  夜空の流れ星を見上げ、宇宙船から眺める青い水の星地球は46億年という壮

大な歴史の裏に様々な偶然と途方もない奇跡が重なってできた星である事に想

いを馳せます。大自然の恩寵で運行するこの星を人間の勝手な欲望で破壊する

事は断じて許されない事です。


 20の付け筋 (深瀬)

  足元には様々な混乱が渦巻いていますが、人間は他の生き物とは異なり、農

耕を行ったり、天然資源の収奪に走ったり、サイバー空間を形成したり、どん

どん自然との距離を広げています。月や火星に向かうリーダーシップとはどの

ようなものなのでしょうか。


 19の付け筋 (桜子さん)

  立派な指導者たるには…指導者たちは基本的な人間性を磨くため、また、人

の苦しみを知るため (物価高で辛いです) 、厳しい高野山の修行の旅に出ます。

山桜が風に舞う中、自分たちの成長を感じます…。よき未来につながることを

望みます。


 18の付け筋 (小野寺さん)

  ロシアのウクライナ侵攻から5ヶ月に入ろうとしてますが、世界状況は翩翻

として、全く予断を許しません。ECへの加盟が先々の安寧を担保する保証は何

処にもありません。恐らく今程 国の舵取りを誤らずにさばく事の大切さを要

求される時期はないと思います。為政者の裁量が問われます。


 17の付け筋 (深瀬)

  ワルツはヨーロッパを象徴する感じがします。EUはヨーロッパの国々の国

境の敷居を低め、通貨は統合され、行き来は自由のようです。日本を含め、世

界の国々がEUに加盟すれば、ウクライナ戦争のような悲劇か起こらないで済

むのでは、と夢想してみました。極東からEUに加盟させてほしいと申し出た

らどうなるのでしょうか。


 16の付け筋 (吉良さん)

  野党であるので、現実味のない事由気ままな政策をいつも述べる事が可能と

なる。


 15の付け筋 (豊さん)

  線香→選考。かなりのこじつけですが、選考と言えば選挙。先日の参議院選

挙は自民党が大勝しました。政権を正しく批判できず、すり寄るばかりの野党

では国会はますます貧しくなっていくことでしょう。


 14の付け筋 (志方さん)

  浴衣姿の幼子に、無粋なミサイルよりは線香花火の方が相応しい。徒に、戦

火をあおる風潮が蔓延しているこの頃、こんな時こそ政治家の英知が切に求め

られますが、はたして。。。。?


 13の付け筋 (桜子さん)

  お母さんはやむを得ず日本に避難してきます。歓迎で浴衣をプレゼントされ

、にわかに嬉しくなり、お月さまの大きさなどもおしゃべりします。第七波、

ウクライナ、凶暴な事件…気が滅入るので、ささやかでも、こういう時間に満

たされたらいいなと、願いを込めて詠んだところもあります。

◇「月」のみですと、秋の月のことのようですが、今回は平和な気持ちも表し

たいのでご容赦頂ければと思います。


 12の付け筋 (豊さん)

 先日懐かしのメロディーで「岸壁の母」を聞きました。歌にかぶさるように

、当時の帰還船の舞鶴港の映像が流れました。学徒動員の兵士にも匈奴平定の

兵士にも、それを送り出した母親がいたはずです。きっといまのロシアにも、

兵士の息子の帰還を待っている母親がいることでしょう。


 11の付け筋 (小野寺さん)

  学徒動員の前句を受けていつの時代でも 戦争に駆り立てられるのは一般の

人民でした、中国とて高祖漢の時代より辺境の匈奴平定の為郷里から兵士達を

戦場に送りだしてキルギス系騎馬民族を力で抑えてきた歴史は、今この時代に

もウイグル族弾圧となって生きております。


 10の付け筋 (深瀬)

  太平洋戦争中、神宮外苑での学徒動員の壮行会では、女子学生が駆け寄って

励ましたとのことです。


 09の付け筋 (吉良さん)

  小学校の運動会:紅白リレーで、親しい女の子の声援に背中を押されて頑張

った思い出。


 08の付け筋 (深瀬)

  あかとんぼの紅とすすきの穂の白から結婚式の風景に転じました。若さゆえ

の有頂天になっていたころが、ほろ苦く感じます。


 07の付け筋 (志方さん)

  雁が飛び往く様からイメージして、秋の代表的な風物詩を読み込んでみまし

た。


 06の付け筋 (小野寺さん)

  農夫が見上げた月明かりの中を雁が啼きながら飛んでいきます。

  人の世の喧騒を離れ、ひたすらに遥かな北の湖沼を目指すのでしょうか。


 05の付け筋 (豊さん)

  麦の収穫は夏ですが、稲の実りは秋。刈り取り作業を終えてふと空を見上げ

ると、早くも月が出ていたのです。


 04の付け筋 (吉良さん)

  発句から植物の句が続き迷いましたが、ウクライナの青麦が象徴的に思い浮

かべられます。戦火に踏みにじられても青麦の種があればいつか再び復活する

日がくることを祈ります。


 03の付け筋 (深瀬)

  ウクライナにおけるあらゆる武器を使った破壊は、不条理を超えている感じ

がします。こなれない句で、申し訳ありません。


 02の付け筋 (志方さん)

  花時雨は初夏への端境期なので、3 月に地表に顔だした筍が、アッという間

に空に伸び一陣の風にゆれ、幽かな衣擦れの音に、季節の変わり目の色香をよ

んでみました。


 01発句自解 (小野寺さん)

  京都嵯峨野の野佛は春の花時雨に濡れそぼち、まるでこの世の不条理を一身

に抱え込み涙を流しておられるように感じたのです。


 深瀬 (事務方)



・補足 適宜、下記を参照いただければ幸いです。

 七句会第9 回自由連句の要領

  http://nanaku-haiku.blogspot.com/2022/06/9-220623.html


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