2023年5月15日月曜日

七句会 第43回句会 選句結果

  七句会のみなさま


 第四十三回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。

今回の選句結果をご報告いたします。


 7 点句

(023) こげうましタケノコ飯や香も馳走           中津川05


 6 点句

(090) 引き波の跡鮮やかに桜貝               小野寺17


 4 点句

(003) 春風に行方定めぬ綿毛かな              豊  03

(092) 若葉萌ゆ阿修羅の瞳愁ひ帯び             小野寺20


 3 点句

(028) 金婚日あと幾年の春の旅               吉良 05

(046) 奥津城を訪う人もなく花吹雪             小野寺11

(054) 紫陽花の青滴りて古都は雨              小野寺07

(076) 新緑の香りのなかを柩ゆく              深瀬 18

(080) かきあげし髪に菖蒲湯香ほりけり。          小野寺06

(089) 春疾風池ポチャOB(オービー)4(フォー)パット  桑子 04

(098) 緑なす風さえ染める青紅葉              志方 03


 2 点句

(015) 生命 (いのち) 継ぐ孫の習字に春香る         小野寺14

(019) 弘前城堀うめ尽くす花筏               服部 05

(020) 菜の花の沖の黒潮雲を呼び              小野寺19

(032) 風はらみお産間近の鯉のぼり             豊  06

(036) 五月晴れひとり聞き入るジャズ喫茶          深瀬 17

(038) 万緑の空高く鳴き草雲雀 (くさひばり)         小野寺09

(041) 梅雨空に空車タクシー過ぎにけり           深瀬 14

(045) 筍の群れて顔だすリズム感              深瀬 07

(060) 若き日の果てなき春眠なつかしむ           深瀬 01

(078) 屏風絵の木蓮描くビルの窓              吉良 03

(084) 初蝶がとまりて牡丹沈みけり             小野寺13

(085) 春炬燵うつらうつらの向かい合い           桑子 01

(091) 綿菓子やふわり膨らむ春の雲             豊  02

(095) 旅の宿束ねし髪に合歓の花              小野寺03


  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前

とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。

  次回については、今年 7月~  8 月ころにご連絡したいと思っていますので

、よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありました

ら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。


 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。


(1) 選句参加者

 今回の選句には、下記の15名が参加しました。

  秋元さん、桜子さん (新井さん) 、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方

さん、治部さん、中津川さん、橋本さん、服部さん、平島さん、宮澤さん、柳

町さん、豊さん、深瀬。

  また、七句会第43回句会選者各位の選句結果 (句の作者名付き) を下記URL 

に掲載しておきました。

  http://nanaku-haiku.blogspot.com/2023/05/43.html


(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について

  今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので

はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り

たいと思います。一応、期限としては  6 月4 日とし、事務方にメールでいた

だき、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/


  2023.05.15


      代表   橋口侯之介

      顧問  豊  宣光

      事務方 深瀬久敬


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(001) 木葉木菟 (このはずく) 木々眠らせて地霊呼ぶ     小野寺04

      1 中津川  仏法僧と鳴いています。昔訪れた鳳来寺山を想

              い出しました。

(002) 母逝きぬ五月の木々に見送られ            深瀬 08

   1 小野寺  多分大往生だったと思われますが青葉繁る中で

           の最愛の母上への哀惜の念が現れてます。

(003) 春風に行方定めぬ綿毛かな              豊  03

   1 吉良    タンポポの綿毛がどこに行くともなく漂い、春

       ののんびりした様子が感じられます。

   2 治部    ふわりふわりと本当に春らしい光景です。行方

           定めぬがいいですね。

   3 服部    

   4 宮澤

(004) そびえ立ち枝垂れ花散る古刹屋根           中津川02

      1 桑子    田舎のお寺の閑散とした佇まいが目に浮かびま

              す。枝垂れからの軽快なリズムがいいです。

(005) サクラサク今はスマホで合否知る           服部 03

(006) 行く春を惜しむ間もなし温暖化            橋本 05

      1 秋元

(007) 汐の香にリアスの海辺花筏              小野寺16

      1 深瀬    津波被害からの復興も進み、穏やかな風景を感

          じます。

(008) 水ぬるみ池面に映ず若葉かな             志方 01

      1 平島    透明な鏡の様な青い水面に浮かぶ若緑の初々し

          い葉。色彩が綺麗です。

(009) 筍の歯ごたえ喚起原始人               深瀬 06

(010) 新緑の谷より清き風生まる              豊  05

      1 小野寺  清き風生まる、とはジブリの風の谷のナウシカ

              を想起します。

(011) 1杯と薫風よせてまた一杯              志方 05

      1 治部    1 杯と一杯がいいですね。心地よい酔いが・・

              結果何杯だったのですかね。ヤボでした。

(012) 聖五月山手の丘からお散歩道             桜子 06

(013) 黄砂降る街角灯す木蓮花               吉良 02

(014) 春眠に少しあやかる老いの朝             深瀬 02

      1 服部    

(015) 生命 (いのち) 継ぐ孫の習字に春香る         小野寺14

      1 吉良    若い孫の勢いある字が次の世代の命を感じさせ

          てくれて、老人の安心感を読むことができます。

      2 豊      孫の習字の文字に力強さを感じて、自分の命が

          つながってゆく嬉しさ。作者の気持ちが伝わって

          きます。

(016) 梅雨の路保育園児の整然と              深瀬 13

(017) 満開の常磐満作(トキワマンサク) 花の雪           橋本 03

      1 平島    満開、満作の畳み掛けが目と耳に心地良く。

(018) 梅雨の空重たき雲に烏二羽              深瀬 10

(019) 弘前城堀うめ尽くす花筏               服部 05

      1 小野寺  弘前城の見事な満開の桜より花筏となって佇む

              弘前城の栄枯盛衰を感じます。

      2 治部    選者も行ったことがあります。水面と土手の部

              分まで、圧巻でした。「うめ尽くす」に作者の感

              動が見えます。

(020) 菜の花の沖の黒潮雲を呼び              小野寺19

      1 桜子    瀬戸大橋の風景を思い浮かべました。神がかり

          の豪快な感じが出ています。※話はそれますが、

          職場では「快速マリンライナーには一度乗ってお

          くべきだ」と話題になっています。

      2 吉良    菜の花の黄色と黒潮の紺色、雲の白の色の対比

          が面白い。

(021) 雛芥子に問いかけてみる初夏の風           秋元 02

      1 桑子    アグネス・チャンの「ひなげしの花」を思い出

              しました。

(022) 黄砂より怖いミサイル飛んでくる           服部 02

(023) こげうましタケノコ飯や香も馳走           中津川05

      1 桜子    おいしい時の満足感でいっぱいです。

      2 桑子    たけのこご飯の美味しさをうまく伝えています。

      3 志方

      4 治部    タケノコ飯タケノコご飯のおこげの香りはたま

              りません。「こげうましで」よだれです。お見事

              です。

      5 橋本  田舎で食べたタケノコご飯を思い出します、上

          手く表現されています。

      6 服部    

      7 深瀬    実感がリアルに伝わってきます。

(024) 輝きに神妙混ざる木の芽かな             深瀬 05

      1 平島    春の訪れが嬉しいがそれにしても不可思議な形、

          色、匂いだなあ。神妙が絶妙です。

(025) 暁闇に牡丹は花芽伸ばしをり             小野寺15

(026) 霞む空思いも遠く瀬戸の島              志方 02

(027) 筍の足元の春見いつけた               桜子 09

      1 吉良    筍ほりの場面でしょうか。楽しそうな雰囲気が

          でています。

(028) 金婚日あと幾年の春の旅               吉良 05

      1 志方

      2 中津川  毎年ご夫婦で花見旅をいているのでしょう。こ

              れからもずっと。

      3 平島    色々あったけどもう少しで50年もか。人生も旅

          そのものだが春の旅は青春時代を思い出すなあ。

(029) 花冷えの曇天低く燕翔び               小野寺10

      1 宮澤

(030) 桜散る後の菜の花藤の棚               志方 07

      1 小野寺  桜が終わり、その後に続く菜の花と藤の花が花

              の時間の移ろいを感じさせます。

(031) 新緑の香りに老いの明日思う             深瀬 19

(032) 風はらみお産間近の鯉のぼり             豊  06

      1 吉良    5 月の爽やかで豊かな風を感じることができま

          す。

      2 桑子    「お産間近」の比喩・表現がいいです。

(033) 雨やまず若葉に沈む山の寺              小野寺22

      1 志方

(034) 新年度朝から晩までごあいさつ            桜子 03

(035) すわ火事と見紛う煙スギ花粉             中津川01

(036) 五月晴れひとり聞き入るジャズ喫茶          深瀬 17

      1 桜子    独特の小粋な雰囲気が出ています。

      2 治部    五月晴れの明とジャズ喫茶の暗の対比がいいで

              すね。「ひとり」には外は大勢、内は一人、そん

              な対比も感じます。いい句だと思います。

(037) 初燕帰ってきたよと旋回す              橋本 04

      1 小野寺  春が終わり梅雨が始まる前かに燕が帰って来た

              よと旋回して挨拶するのは作者の心に余裕がある

              からです。

(038) 万緑の空高く鳴き草雲雀 (くさひばり)         小野寺09

      1 志方

      2 柳町

(039) 官邸の脇道飾る紅さつき               桜子 07

(040) 湯呑手に届く新茶の香を想う             中津川06

      1 深瀬    お茶好きのわくわくした気持ちが伝わってきま

          す。

(041) 梅雨空に空車タクシー過ぎにけり           深瀬 14

      1 中津川  乗れずに残念。これからはタクシーアプリのご

              利用を。

      2 宮澤

(042) 国会は悪魔と猿のリングかな             志方 06

(043) 雲走る車窓に夏は過ぎさりぬ             小野寺01

      1 柳町

(044) 春遠し普遍的価値二十一世紀             橋本 07

(045) 筍の群れて顔だすリズム感              深瀬 07

      1 桜子    リズムが本当に感じられます。

      2 中津川  雨後の筍でしょうか、リズム感という表現がい

              きいきと伝えています。

(046) 奥津城を訪う人もなく花吹雪             小野寺11

      1 志方

      2 平島    田舎はいよいよ過疎が進みひと気が無くなって

          寂しいが自然は巡り春は訪れて桜は花を咲かせ盛

          大に散らせて過ぎ去って行く。静と動。

      3 豊      奥津城とは神道の墓のこと。お寺の墓とは違っ

          た趣で、花吹雪とうまく調和しています。

(047) 土ふりて洗濯くやし二度洗い             中津川04

(048) 寝転べば囀りひととき風運ぶ             橋本 02

(049) 君子ラン満開映える金婚日              吉良 04

      1 深瀬    子供さんらが送ってくれたのでしょう。幸福感

          がいっぱいです。

(050) 仏法僧祖霊まします森で哭き             小野寺05

      1 柳町

(051) 新緑の歩道にひびく杖の音              深瀬 20

(052) 春が行くもの憂き想い残しつつ            豊  01

      1 服部    

(053) いとうまし花なればなり握り飯            治部 01

      1 吉良    コロナ禍もひと段落。桜の下で食べる握り飯が

          こんなに旨いと、感激した様子が面白く感じまし

          た。

(054) 紫陽花の青滴りて古都は雨              小野寺07

      1 桜子    雨の日の鎌倉明月院を思い浮かべました。古都

          の情緒たっぷりです。

      2 宮澤

      3 豊      言葉の並べ方がうまいですね。雨に濡れた紫陽

          花の美しいイメージが光っています。

(055) だみ声の選挙演説五月晴れ              深瀬 16

(056) 春は曙バッグ担いでいざ行かん            桑子 02

(057) 会見場紺のジャージを着た英雄            桜子 02

(058) 花火待つ山の端に月登りけり             小野寺02

(059) 車停めかるの子の軍団俺らが道            中津川07

      1 橋本  都会の中の微笑ましい共存の光景ですね。

(060) 若き日の果てなき春眠なつかしむ           深瀬 01

      1 秋元

      2 橋本  本当にいつまでも眠れた若き日がありました。

(061) 満開のまさに満開の桜かな              服部 01

      1 豊      「満開」を二度重ねた。それだけ作者が桜に感

          動しているということです。その正直さがいいで

          すね。

(062) 散る桜憂き世の全て眺め来し             小野寺21

      1 服部    

(063) たけのこのかか煮よそってお疲れ様          桜子 05

(064) 宵闇に寝息静まり命削ぐ               秋元 01

      1 桑子    無呼吸症候群ですか?同病相憐れむ、共感しま

              す。

(065) 子供らの透き通る声五月の陽             深瀬 09

(066) 新緑やつつじの絨毯引き立てり            橋本 06

      1 桜子    『つつじの絨毯』がいいですね。

(067) 長梅雨にクーラー音のたくましく           深瀬 11

(068) 染まりゆく深山幽谷早緑に              志方 04

      1 柳町

(069) カァカァと目覚まし代わり春の朝           桑子 03

(070) 蕗味噌に緑酒あおりて朋送る             小野寺18

      1 中津川  友人を偲ぶ心情を蕗味噌が表しています。

(071) 昼と夜木の芽育む地の鼓動              深瀬 04

(072) 顔老いてポツリと散りし木蓮花            吉良 01

      高尾山の神事に行ってきました。

(073) 火渡りや法衣の朱にも風光る             治部 02

      1 中津川  「法衣の朱」が火の熱さも伝えています。

(074) 葉桜や湖 (うみ) 煌めきて風わたる          小野寺08

(075) 五月から警戒つづけ旅行支援             桜子 08

(076) 新緑の香りのなかを柩ゆく              深瀬 18

      1 小野寺  新緑の青葉の中をおくる柩の葬列は哀しみの葬

              送を自然の中に帰って行くのだと己に言い聞かせ

              ている作者の切々と心情を現わしております。

      2 吉良    生命の誕生と生命の終焉が同時にさりげなく表

          現されています。

      3 柳町

(077) 断崖の海の蒼きに桜散る               小野寺12

(078) 屏風絵の木蓮描くビルの窓              吉良 03

      1 中津川  ビルの窓に映っている様子が見えてきます。

      2 深瀬    木蓮がビルの窓に映っているのを屏風絵に見立

          てるのはおもしろい。

(079) 照り返すビルの光や夏来る              豊  04

      1 宮澤

(080) かきあげし髪に菖蒲湯香ほりけり。          小野寺06

      1 秋元

      2 宮澤

      3 豊      菖蒲湯につかり、髪を洗い終えた女性の艶やか

          な姿が季節感を出しています。

(081) 期日前しずかに投票五月晴れ             深瀬 15

(082) 水温むメダカ捕えて笑む親子             橋本 01

(083) ゴーグルし黄砂を流すボンネット           中津川03

(084) 初蝶がとまりて牡丹沈みけり             小野寺13

      1 平島    季語が重なっていますが、軽い蝶に沈む牡丹と

          いうのが目新しく目の付け所に感心しています。

      2 柳町

(085) 春炬燵うつらうつらの向かい合い           桑子 01

      1 秋元

      2 豊      老夫婦でしょうか。春ののんびりした炬燵でう

          つらうつら。平和ですね。

(086) 特養に春眠並び波しずか               深瀬 03

(087) 竹の子の頭飛び出て笑顔の子             桜子 04

(088) 初夏や女子高生の素足伸ぶ              豊  07

      1 桑子

(089) 春疾風池ポチャOB(オービー)4(フォー)パット  桑子 04

      1 治部    あるあるですね~。これ俳句にしちゃいます?

              ホントに風のせいですかね。

      2 橋本  自然相手のゴルフですが、さすがにこれでは悔

          しいか。

      3 服部    

(090) 引き波の跡鮮やかに桜貝               小野寺17

      1 秋元

      2 治部    光景がきれいですね。春の穏やかな砂浜の様子

              が見えます。なかなか遭遇しない光景。美しいで

              す。

      3 橋本  きれいな句です。

      4 平島    遠望には青い海原眼を落とせば沖へと引き返す

          白い波更に近間を見れば美しい桜色の貝。青白ピ

          ンク色の配置が美しいなあ。

      5 豊      寄せてきた波が運んできた桜貝が、波が引いた

          浜辺に残された。ロマンチックな夢があります。

      6 深瀬    潮の引いた砂浜に桜貝が光っている光景が目に

          浮かびます。

(091) 綿菓子やふわり膨らむ春の雲             豊  02

      1 桜子    空をご覧になりながら思い浮かべたのかと思い

          ますが、素朴で素敵な表現です。

      2 志方    ただこの句は綿菓子より綿帽子の方がぴったり

              かな。

(092) 若葉萌ゆ阿修羅の瞳愁ひ帯び             小野寺20

      1 志方

      2 治部    奈良の低山の新緑と阿修羅の表情は、何だか奥

              が深そうです。

      3 服部    

      4 深瀬    阿修羅像のある奈良は新緑に溢れていますが、

          単純には喜べないなにかがあるのでしょう。

(093) 梅雨の夜ワイングラスに翳りなく           深瀬 12

(094) 東北道桜吹雪の真っただ中              服部 04

(095) 旅の宿束ねし髪に合歓の花              小野寺03

      1 桑子    合歓の花の花言葉は「胸のときめき」、想像を

              搔き立てられます。

      2 柳町

(096) チューリップガラス細工のつくりもの           桜子 01

(097) 街花壇つつじの花の咲き誇り             深瀬 21

      1 秋元

(098) 緑なす風さえ染める青紅葉              志方 03

      1 秋元

      2 小野寺  新緑のあおあおと繁る青紅葉が風さえも爽やか

              に染めていくとする作者の豊かな感性を感じ入り

              ます。

      3 橋本  万緑の中、青紅葉は風さえも染めている様に見

          えたのですね。


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 ご参考 選句時に、寄せられたコメントを僣越ですが、下記に添付します。

順不同。


○ 志方さん

 今回は素晴らしい句が多くて選句が難しかったです。地球温暖化の影響でし

ょうか、季節の分かれ目がズレてきたようです。やはり新緑の季節は、命の息

吹が感じられ、投句されたものにも反映されております。20句ぐらい選びた

い、今回の選句です。その中での選句です。

○ 治部さん                             

 投句が遅かったので選句はすぐやりました。

○ 服部さん

 体調整えられ良かったですね。当方従前からの膝痛が酷くなり5 月のゴルフ

コンぺはお休みです。                         

○ 桜子さん

 100 句近いですから、二回読んで風景を思い浮かべながら過ごせました。春

から梅雨の風景を詠んだ句が多かったように感じますが、日本中を旅した気分

です。皆さん、言葉の持つ独特のニュアンスを操っておられるようで巧みな感

じでした。

○ 平島さん

 今回も選句のみに参加です。今茅ヶ崎ですが時差ボケ老人ボケ 未だに酔眼

朦朧の状態です。以上七句を報告します。他にも色々よい句がありましたが制

限内に収めざるを得ず残念ですが仕方ありません。兎も角日本の良さを味わっ

ています。

○ 小野寺さん

 6月の絵画展の追い込みや仕事が重なり選句作業遅れましたが下記します。

○ 宮澤さん

 転居先の選定で落ち着かない日々を過ごしております。中古なので、その後

はリフォームもありますが、6 月になれば少し落ちくこと期待しています。

○ 柳町さん

 今まで、長野県の奥裾花方面に水芭蕉の鑑賞に行っていたので返信が遅れま

した。


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七句会 第43回句会 選者各位の選句結果 (句の作者名付き)

  七句会  第43回句会  選者各位の選句結果 (句の作者名付き) 


○  秋元さん選

(006) 行く春を惜しむ間もなし温暖化            橋本 05

(060) 若き日の果てなき春眠なつかしむ           深瀬 01

(080) かきあげし髪に菖蒲湯香ほりけり。          小野寺06

(085) 春炬燵うつらうつらの向かい合い           桑子 01

(090) 引き波の跡鮮やかに桜貝               小野寺17

(097) 街花壇つつじの花の咲き誇り             深瀬 21

(098) 緑なす風さえ染める青紅葉              志方 03


○  桜子さん選

(020) 菜の花の沖の黒潮雲を呼び              小野寺19

  瀬戸大橋の風景を思い浮かべました。神がかりの豪快な感じが出ています。

  ※話はそれますが、職場では「快速マリンライナーには一度乗っておくべき

だ」と話題になっています。

(023) こげうましタケノコ飯や香も馳走           中津川05

  おいしい時の満足感でいっぱいです

(036) 五月晴れひとり聞き入るジャズ喫茶          深瀬 17

  独特の小粋な雰囲気が出ています

(045) 筍の群れて顔だすリズム感              深瀬 07

  リズムが本当に感じられます

(054) 紫陽花の青滴りて古都は雨              小野寺07

  雨の日の鎌倉明月院を思い浮かべました。古都の情緒たっぷりです

(066) 新緑やつつじの絨毯引き立てり            橋本 06

  『つつじの絨毯』がいいですね

(091) 綿菓子やふわり膨らむ春の雲             豊  02

  空をご覧になりながら思い浮かべたのかと思いますが、素朴で素敵な表現で

す。


○  小野寺さん選

(002) 母逝きぬ五月の木々に見送られ            深瀬 08

  多分大往生だったと思われますが青葉繁る中での最愛の母上への哀惜の念が

現れてます。

(010) 新緑の谷より清き風生まる              豊  05

  清き風生まる、とはジブリの風の谷のナウシカを想起します。

(019) 弘前城堀うめ尽くす花筏               服部 05

  弘前城の見事な満開の桜より花筏となって佇む弘前城の栄枯盛衰を感じます。

(030) 桜散る後の菜の花藤の棚               志方 07

  桜が終わり、その後に続く菜の花と藤の花が花の時間の移ろいを感じさせま

す。

(037) 初燕帰ってきたよと旋回す              橋本 04

  春が終わり梅雨が始まる前かに燕が帰って来たよと旋回して挨拶するのは作

者の心に余裕があるからです。

(076) 新緑の香りのなかを柩ゆく              深瀬 18

  新緑の青葉の中をおくる柩の葬列は哀しみの葬送を自然の中に帰って行くの

だと己に言い聞かせている作者の切々と心情を現わしております。

(098) 緑なす風さえ染める青紅葉              志方 03

  新緑のあおあおと繁る青紅葉が風さえも爽やかに染めていくとする作者の豊

かな感性を感じ入ります。


○  吉良さん選

(003) 春風に行方定めぬ綿毛かな              豊  03

  タンポポの綿毛がどこに行くともなく漂い、春ののんびりした様子が感じら

れます。

(015) 生命 (いのち) 継ぐ孫の習字に春香る         小野寺14

  若い孫の勢いある字が次の世代の命を感じさせてくれて、老人の安心感を読

むことができます。

(020) 菜の花の沖の黒潮雲を呼び              小野寺19

  菜の花の黄色と黒潮の紺色、雲の白の色の対比が面白い。

(027) 筍の足元の春見いつけた               桜子 09

  筍ほりの場面でしょうか。楽しそうな雰囲気がでています。

(032) 風はらみお産間近の鯉のぼり             豊  06

  5 月の爽やかで豊かな風を感じることができます。

(053) いとうまし花なればなり握り飯            治部 01

  コロナ禍もひと段落。 桜の下で食べる握り飯がこんなに旨いと、感激した

様子が面白く感じました。

(076) 新緑の香りのなかを柩ゆく              深瀬 18

  生命の誕生と生命の終焉が同時にさりげなく表現されています。


○ 桑子さん選

(004) そびえ立ち枝垂れ花散る古刹屋根           中津川02

 田舎のお寺の閑散とした佇まいが目に浮かびます。枝垂れからの軽快なリズ

ムがいいです。

(021) 雛芥子に問いかけてみる初夏の風           秋元 02

 アグネス・チャンの「ひなげしの花」を思い出しました。

(023) こげうましタケノコ飯や香も馳走           中津川05

 たけのこご飯の美味しさをうまく伝えています。

(032) 風はらみお産間近の鯉のぼり             豊  06

 「お産間近」の比喩・表現がいいです。

(064) 宵闇に寝息静まり命削ぐ               秋元 01

 無呼吸症候群ですか?同病相憐れむ、共感します。

(088) 初夏や女子高生の素足伸ぶ              豊  07

(095) 旅の宿束ねし髪に合歓の花              小野寺03

合歓の花の花言葉は「胸のときめき」、想像を搔き立てられます。


○  志方さん選

(023) こげうましタケノコ飯や香も馳走           中津川05

(028) 金婚日あと幾年の春の旅               吉良 05

(033) 雨やまず若葉に沈む山の寺              小野寺22

(038) 万緑の空高く鳴き草雲雀 (くさひばり)         小野寺09

(046) 奥津城を訪う人もなく花吹雪             小野寺11

(091) 綿菓子やふわり膨らむ春の雲             豊  02

 ただこの句は綿菓子より綿帽子の方がぴったりかな

(092) 若葉萌ゆ阿修羅の瞳愁ひ帯び             小野寺20


○  治部さん選

(003) 春風に行方定めぬ綿毛かな              豊  03

  ふわりふわりと本当に春らしい光景です。行方定めぬがいいですね。

(011) 1杯と薫風よせてまた一杯              志方 05

  1 杯と一杯がいいですね。心地よい酔いが・・・ 結果何杯だったのですか

ね。ヤボでした。

(019) 弘前城堀うめ尽くす花筏               服部 05

  選者も行ったことがあります。水面と土手の部分まで、圧巻でした。「うめ

尽くす」に作者の感動が見えます。

(023) こげうましタケノコ飯や香も馳走           中津川05

  タケノコご飯のおこげの香りはたまりません。「こげうましで」よだれです

。お見事です。

(036) 五月晴れひとり聞き入るジャズ喫茶          深瀬 17

  五月晴れの明とジャズ喫茶の暗の対比がいいですね。「ひとり」には外は大

勢、内は一人、そんな対比も感じます。いい句だと思います。

(089) 春疾風池ポチャOB(オービー)4(フォー)パット  桑子 04

  あるあるですね~。これ俳句にしちゃいます?ホントに風のせいですかね。

(090) 引き波の跡鮮やかに桜貝               小野寺17

  光景がきれいですね。春の穏やかな砂浜の様子が見えます。なかなか遭遇し

ない光景。美しいです。

(092) 若葉萌ゆ阿修羅の瞳愁ひ帯び             小野寺20

  奈良の低山の新緑と阿修羅の表情は、何だか奥が深そうです。


○  中津川さん選

(001) 木葉木菟 (このはずく) 木々眠らせて地霊呼ぶ     小野寺04

  仏法僧と鳴いています。昔訪れた鳳来寺山を想い出しました。

(028) 金婚日あと幾年の春の旅               吉良 05

  毎年ご夫婦で花見旅をいているのでしょう。これからもずっと。

(041) 梅雨空に空車タクシー過ぎにけり           深瀬 14

 乗れずに残念。これからはタクシーアプリのご利用を。

(045) 筍の群れて顔だすリズム感              深瀬 07

  雨後の筍でしょうか、リズム感という表現がいきいきと伝えています。

(070) 蕗味噌に緑酒あおりて朋送る             小野寺18

  友人を偲ぶ心情を蕗味噌が表しています。

(073) 火渡りや法衣の朱にも風光る             治部 02

  「法衣の朱」が火の熱さも伝えています。

(078) 屏風絵の木蓮描くビルの窓              吉良 03

  ビルの窓に映っている様子が見えてきます。


○ 橋本さん選

(023) こげうましタケノコ飯や香も馳走           中津川05

 田舎で食べたタケノコご飯を思い出します、上手く表現されています。

(059) 車停めかるの子の軍団俺らが道            中津川07

 都会の中の微笑ましい共存の光景ですね。

(060) 若き日の果てなき春眠なつかしむ           深瀬 01

 本当にいつまでも眠れた若き日がありました。

(089) 春疾風池ポチャOB(オービー)4(フォー)パット  桑子 04

 自然相手のゴルフですが、さすがにこれでは悔しいか。

(090) 引き波の跡鮮やかに桜貝               小野寺17

 きれいな句です。

(098) 緑なす風さえ染める青紅葉              志方 03

 万緑の中、青紅葉は風さえも染めている様に見えたのですね。


○  服部さん選

(003) 春風に行方定めぬ綿毛かな              豊  03

(014) 春眠に少しあやかる老いの朝             深瀬 02

(023) こげうましタケノコ飯や香も馳走           中津川05

(052) 春が行くもの憂き想い残しつつ            豊  01

(062) 散る桜憂き世の全て眺め来し             小野寺21

(089) 春疾風池ポチャOB(オービー)4(フォー)パット  桑子 04

(092) 若葉萌ゆ阿修羅の瞳愁ひ帯び             小野寺20


○  平島さん選

(008) 水ぬるみ池面に映ず若葉かな             志方 01

 透明な鏡の様な青い水面に浮かぶ若緑の初々しい葉。色彩が綺麗です。

(017) 満開の常磐満作(トキワマンサク) 花の雪           橋本 03

  満開、満作の畳み掛けが目と耳に心地良く。

(024) 輝きに神妙混ざる木の芽かな             深瀬 05

  春の訪れが嬉しいがそれにしても不可思議な形、色、匂いだなあ。神妙が絶

妙です。

(028) 金婚日あと幾年の春の旅               吉良 05

 色々あったけどもう少しで50年もか。人生も旅そのものだが春の旅は青春時

代を思い出すなあ。

(046) 奥津城を訪う人もなく花吹雪             小野寺11

  田舎はいよいよ過疎が進みひと気が無くなって寂しいが自然は巡り春は訪れ

て桜は花を咲かせ盛大に散らせて過ぎ去って行く。静と動。

(084) 初蝶がとまりて牡丹沈みけり             小野寺13

  季語が重なっていますが、軽い蝶に沈む牡丹というのが目新しく目の付け所

に感心しています。

(090) 引き波の跡鮮やかに桜貝               小野寺17

  遠望には青い海原眼を落とせば沖へと引き返す白い波更に近間を見れば美し

い桜色の貝。青白ピンク色の配置が美しいなあ。


○  宮澤さん選

(003) 春風に行方定めぬ綿毛かな              豊  03

(029) 花冷えの曇天低く燕翔び               小野寺10

(041) 梅雨空に空車タクシー過ぎにけり           深瀬 14

(054) 紫陽花の青滴りて古都は雨              小野寺07

(079) 照り返すビルの光や夏来る              豊  04

(080) かきあげし髪に菖蒲湯香ほりけり。          小野寺06


○ 柳町さん選

(038) 万緑の空高く鳴き草雲雀 (くさひばり)         小野寺09

(043) 雲走る車窓に夏は過ぎさりぬ             小野寺01

(050) 仏法僧祖霊まします森で哭き             小野寺05

(068) 染まりゆく深山幽谷早緑に              志方 04

(076) 新緑の香りのなかを柩ゆく              深瀬 18

(084) 初蝶がとまりて牡丹沈みけり             小野寺13

(095) 旅の宿束ねし髪に合歓の花              小野寺03


○  豊さん選

(015) 生命 (いのち) 継ぐ孫の習字に春香る         小野寺14

  孫の習字の文字に力強さを感じて、自分の命がつながってゆく嬉しさ。作者

の気持ちが伝わってきます。

(046) 奥津城を訪う人もなく花吹雪             小野寺11

  奥津城とは神道の墓のこと。お寺の墓とは違った趣で、花吹雪とうまく調和

しています。

(054) 紫陽花の青滴りて古都は雨              小野寺07

 言葉の並べ方がうまいですね。雨に濡れた紫陽花の美しいイメージが光って

います。

(061) 満開のまさに満開の桜かな              服部 01

  「満開」を二度重ねた。それだけ作者が桜に感動しているということです。

その正直さがいいですね。

(080) かきあげし髪に菖蒲湯香ほりけり。          小野寺06

 菖蒲湯につかり、髪を洗い終えた女性の艶やかな姿が季節感を出しています。

(085) 春炬燵うつらうつらの向かい合い           桑子 01

  老夫婦でしょうか。春ののんびりした炬燵でうつらうつら。平和ですね。

(090) 引き波の跡鮮やかに桜貝               小野寺17

 寄せてきた波が運んできた桜貝が、波が引いた浜辺に残された。ロマンチ

ックな夢があります。


○  深瀬選

(007) 汐の香にリアスの海辺花筏              小野寺16

 津波被害からの復興も進み、穏やかな風景を感じます。

(023) こげうましタケノコ飯や香も馳走           中津川05

  実感がリアルに伝わってきます。

(040) 湯呑手に届く新茶の香を想う             中津川06

  お茶好きのわくわくした気持ちが伝わってきます。

(049) 君子ラン満開映える金婚日              吉良 04

  子供さんらが送ってくれたのでしょう。幸福感がいっぱいです。

(078) 屏風絵の木蓮描くビルの窓              吉良 03

 木蓮がビルの窓に映っているのを屏風絵に見立てるのはおもしろい。

(090) 引き波の跡鮮やかに桜貝               小野寺17

  潮の引いた砂浜に桜貝が光っている光景が目に浮かびます。

(092) 若葉萌ゆ阿修羅の瞳愁ひ帯び             小野寺20

  阿修羅像のある奈良は新緑に溢れていますが、単純には喜べないなにかがあ

るのでしょう。