七句会のみなさま
第五十二回目の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございます。
今回の選句結果をご報告いたします。
・4 点句
(024) 修道女 (シスター) も教会出るやサングラス 河村
(072) 老い二人ビルの隙間の花火かな 治部
(079) 日盛りの電線の影踏み続け 深瀬
・3 点句
(034) 我を立てず女もすなる日傘さし 宮澤
(037) 四葩咲く流人の島で慰労酒 中津川
(041) 打ち水の流るる先に人の待ち 小野寺
(059) 向日葵へ翼振り逝きし嗚呼知覧 河村
(073) 一人身に裏切りならぬ冷奴 吉良
(092) 浴衣着のすれちがふ様万華鏡 深瀬
(104) 音のみの遠き隅田の川花火 桑子
(120) なに遺すこたへにもがく喜寿の夏 深瀬
・2 点句
(001) 炎天や犬の散歩は抱いてする 中津川
(003) シヤイ隠すつもりが凄むサングラス 河村
(011) 香りよき幸せ届く母新茶 小野寺
(016) サングラス悪役気取り老ひ予防 深瀬
(019) 五街道歩き終えたり夏至近し 中津川
(045) 日焼け止めカラス天狗が自転車で 宮澤
(057) 雨音に心静めて昼寝かな 橋本
(070) 宵宮に華やぐ人の藍浴衣 小野寺
(084) 終戦の翌朝祖母は合歓を植え 河村
(088) 白樺の避暑地に眠る火焔土器 河村
(101) 山滴るセザンヌと北斎の青 河村
(114) 想ひ出す受験予備校喜寿の夏 深瀬
下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
次回については、今年10月~11月ころにご連絡したいと思っていますので、
よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご
連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
今回の選句には、下記の14名が参加しました。
桜子さん、小野寺さん、吉良さん、河村さん、桑子さん、志方さん、
治部さん、中津川さん、橋本さん、服部さん、宮澤さん、柳町さん、豊さん、
深瀬。
(2) 初参加の河村さんから下記のメッセージがよせられました。
この度深瀬さんの紹介で参加、投句した河村有弘と申します。当年87歳、長
年、新聞、雑誌の編集、経営に携わりただ今、閑居しております。
「あの樹までゆるり参ろう枯れ野道」
句作では六割が自己満足、三割はボケ予防、残りでちよぴり共感を求めてま
す。心情、心象風景を詠みたがるひとり善がりの俳句です。どうぞよろしくお
願いします。河村有弘
(3) 今回の句会の結果を踏まえた感想、自句自解の募集について
掲記について8 月30日を期限として募ります。お寄せいただいた感想は、と
りまとめ次回の句会のキックオフメールに添付し配布します。
句会としての作品集は作成 (当メールの後ろに添付) し、自句自解集は作成
しないことにしました。
誤記、記入漏れなどありましたら、ご連絡ください。修正します。
選句結果は、七句会の下記のweb に掲載します。よろしくお願いします。
http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
2025.08.15
代表 橋口侯之介
顧問 豊 宣光
事務方 深瀬久敬
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1.選句結果
(001) 炎天や犬の散歩は抱いてする 中津川
1 宮澤
2 桜子 この光景をよく見ます。かわいいですよね。
(002) 合歓の花沖には藍の潮流る 小野寺
(003) シヤイ隠すつもりが凄むサングラス 河村
1 桑子 サングラスをかけると強面の感じが出ます。納
得します。
2 橋本 半分成功なら、良しとしますか。
(004) 風鈴や時の断片残しけり 深瀬
1 橋本 何処の風鈴か分かりませんが、変わらぬ音色が
時代を紡ぐ。
(005) 蛍火の哀しく光り深き闇 小野寺
1 吉良 蛍を比喩として、光を灯して精一杯生きる作者
の姿が表現されているのでしょうか。
(006) 都会出で浴衣で憩ふ夕湖畔 深瀬
(007) 夏祭踊るパシスタ吾が胸も 桑子
1 中津川 パシスタの胸が揺れている。
(008) 夏曇や初戦に敗れ涙のむ 小野寺
1 治部 甲子園を目指して一生懸命練習して初戦で敗れ
るのは、参加高校の約半数です。全国で流れるこ
の涙から暑い夏が始まります。「球児よガンバレ」
応援句ですね。
(009) 天からのお示し如何に悪石島 新井
(010) ローカル線青田が続く田舎の匂ひ 中津川
(011) 香りよき幸せ届く母新茶 小野寺
1 治部 母とお茶は切り離せませんね。実家に帰省した
時に母が入れてくれたお茶の香りは忘れられない
ものです。新茶はことのほか香ります。「幸せ届
く」いいですね。
2 桜子 全体的にほんのりとした幸福感が感じられます。
(012) 立秋と言えども気温三〇度 豊
(013) 木漏れ日の避暑地にて摘むくすり草 河村
(014) 日盛りに森の高みを蝶は飛び 小野寺
1 宮澤
(015) ほろ苦し避暑は彼方に白き波 吉良
(016) サングラス悪役気取り老ひ予防 深瀬
1 桜子 ユニークながら理知的な感じを受けます。
2 豊 兼題サングラスを詠んだ句の中では、これがよ
かった。
(017) 避暑の地に咲く花三つかりゆしの 新井
1 柳町
ウクライナの黒土を踏み躙つた戦車、国花向日葵の抵抗。
(018) 向日葵よカタピラわだち埋め尽くせ 河村
1 中津川 ウクライナの戦いが一刻も早く終わることを祈
ります。
(019) 五街道歩き終えたり夏至近し 中津川
1 治部 「歩き終えたり」が、夏至までかかってしまっ
た、ではなく、夏至が来る前に達成できた。とい
うやり遂げた感が伝わります。お疲れさまでした。
2 吉良 長い時間をかけて、五街道巡りを達成した安堵
感、満足感が伝わります。
(020) ふと隠す思い出苦しサングラス 吉良
(021) 蚊帳の海蒼き螢は乱舞して 小野寺
(022) あっちっちここはアラビア夢の中 宮澤
(023) 新緑に時空彷徨ふ喜寿ひとり 深瀬
(024) 修道女 (シスター) も教会出るやサングラス 河村
1 服部
2 宮澤
3 深瀬 黒い服にサングラスは不気味感もあります。
4 小野寺 パロディでしょうか。なんだか微笑ましい。シ
スターもまた女性ですね。
(025) 蝉時雨浜に小舟を曳きし跡 小野寺
1 治部 雨の浜辺に残る線。舟を出したのだろうか。無
事に帰ればよいが・・ 詠み手の感性が伝わりま
す。
(026) 図書館の椅子を独占避暑の人 桑子
(027) 梅雨空の無いのも寂し六月尽 服部
(028) 万緑の野に繚乱の白き百合 小野寺
1 吉良 緑の中の白さが際立ちます。
(029) 青嵐部屋でプロレス母子家庭 深瀬
1 河村 シングルマザーの家庭情景。がんばれ!母子で
ー。
(030) 一夏のハスに構えしサングラス 小野寺
(031) ノースリーブ黒のブラ紐艶めかし 服部
(032) うらやまし明日からどこかでサングラス 治部
(033) 猛暑日の因果を問ふて立ちくらみ 深瀬
(034) 我を立てず女もすなる日傘さし 宮澤
1 治部 日傘は女だけのものではありません。近頃の強
烈な日差しには、理屈抜きで男にも日傘が必要な
のです。でも、これ、俳句にしちゃうのがすごい
と思いますよ。
2 服部
3 桑子 女もすなるとは土佐日記「男もすなる・・・」
の逆ですか? 面白いです。
高くついたオマケ
(035) トランプで避暑地の風も関税に 治部
解散したOB会の最後の幹事で八丈島へ行って(3句)
(036) 八丈や温泉めぐりで避暑気分 中津川
(037) 四葩咲く流人の島で慰労酒 中津川
1 柳町
2 深瀬 「流人の島で慰労」は複雑な心境を感じます。
3 橋本 紫陽花の咲く、かつての流人の島で慰労酒とは
巡り合わせですね。
(038) すわ空港へ高波欠航野分来る 中津川
(039) 裕次郎気取ってかけるサングラス 豊
1 桜子 気分がUPします。このような楽しみを日常に入
れるといいのだと思います。
(040) 黒い雲ゲリラ豪雨の兆しかな 新井
(041) 打ち水の流るる先に人の待ち 小野寺
1 治部 打ち水の流れる先はどこでしょう。日本料理店
での待ち合わせでしょうか?それとも旅館の女将
が御出迎えなのでしょうか?発想が貧困ですみま
せん。でも、誰が待っているのか、気になります
よね。
2 吉良 待ち人は古都の裏通りで巡り合った、色白な清
楚な女性でしょうか。
3 深瀬 かなり艶っぽい感じです。
(042) 熱風に抱かれ届く宅急便 宮澤
ノンボリ学生はインターナショナルの代わりに唐獅子牡
丹を歌ってデモに行きました。
(043) 健さんの殺陣 (たて) を見終えてサングラス 河村
1 小野寺 懐かしいねぇ高倉健さんの殺陣みたらサングラ
スかけたくなりますね。
(044) 青蜥蜴置き配荷物占拠せり 深瀬
1 河村 真夏のワンショット、青蜥蜴が効果的。
(045) 日焼け止めカラス天狗が自転車で 宮澤
1 治部 これは、ウーバーイーツの人ですかね。この季
節の宅配業は日焼け止めは無力です。年間を通し
て肌を焼く仕事と日焼け止めを取り合わせたとこ
ろが、どうにもならない暑さを伝えています。お
見事です。
2 桑子 「カラス天狗」とはいい得て妙な表現です。
(046) 避暑にとて電車図書館老ひひとり 深瀬
(047) ドラゴンの顔持つ蜥蜴舌を出し 小野寺
(048) 都会より逃げて楽しき避暑の宿 豊
(049) サングラス外す笑顔やあどけなき 治部
1 服部
(050) 上高地ホテルデッキの避暑遥か 深瀬
先日の駒東仲間の旅で泊まった、「ホテルニュー白亜紀」
窓からの景色を詠みました。(3句)
(051) 鹿島灘冲ゆく船は霧の中 柳町
(052) ぬくぬくと霧笛に咽ぶ露天風呂 柳町
(053) 粛々と松風さわぐ磯の社 柳町
(054) 巣の有りや烏の威嚇首竦 (すく) む 橋本
(055) 滝近し木洩れ日通し涼の風 小野寺
1 宮澤
(056) 炎天下影なき道を救急車 宮澤
(057) 雨音に心静めて昼寝かな 橋本
1 深瀬 なにか落ち着いた静かな心境が伝わってきます。
2 豊 雨の音を聞いていると不思議と心が落ち着い
てきます。同感です。
(058) 暗いクラブハウスサングラスのまま 治部
知覧には「オモニへ」と書いた朝鮮出身特攻隊員の遺書
もありました。
(059) 向日葵へ翼振り逝きし嗚呼知覧 河村
1 柳町
2 服部
3 小野寺 眼下の向日葵に翼で別れを告げ知覧から特攻で
飛び去った若者達の貴い生命の代償に我々が今生
きている事を忘れてはならない。
(060) ふるさとや母の淹れたる新茶飲む 小野寺
1 桜子 ほのぼのとした幸福感の中愛情があふれます。
新茶で疲れが取れる感じがします。
(061) 湯上がりに新涼の風吹き抜ける 豊
(062) 朝採りの有機もろきゅう比類無し 橋本
1 深瀬 確かにおいしそうです。子供のころ体験したか?
(063) 特養の庭の紫陽花雨に咲き 深瀬
(064) マッカーサーコーンパイプにサングラス 服部
(065) 万緑を駆け抜く孫の玉の汗 小野寺
1 柳町
(066) 盆踊り外国人も輪の中に 豊
(067) 初蛍今年は見たり老いひとり 河村
(068) 歯ブラシを一つ持つのは備えなり 新井
(069) 選挙後の日本政界サングラス 中津川
(070) 宵宮に華やぐ人の藍浴衣 小野寺
1 吉良 藍色の浴衣姿が目に浮かびます。
2 豊 祇園祭の賑わいと華やかさに藍染めの浴衣がよ
く似合います。
(071) 美人画は細めに団扇の浮世絵展 服部
八王子花火大会
(072) 老い二人ビルの隙間の花火かな 治部
1 吉良 人込みの花火会場ではなく、ビルの隙間から静
かに花火を眺める、老夫婦の円熟味を感じます。
2 河村 人ごみを避けた老夫婦、のどかというより哀愁
を感じる。
3 桑子
4 宮澤
(073) 一人身に裏切りならぬ冷奴 吉良
1 桑子 ご飯のおかず、酒のおつまみ冷奴は裏切りませ
ん。
2 中津川 夏の酒の友に間違いなしです。
3 橋本 裏切りならぬの迫力が凄い、簡単で味わい深い
冷や奴、独り身に欠かせません。
ヘミングウエーを偲ぶ
(074) 「午後の死」のロンダ人無し夏終わる 河村
1 深瀬 ヘミングウェーの世界をかいま見た気持ちがし
ます。
(075) 白き瀬を超えて深みに鮎光り 小野寺
1 柳町
(076) 海の日の昼寝の時は極楽よ 新井
(077) 日盛や赤信号はビルの陰 桑子
1 服部
(078) 梁に居て寝つけぬ夜にヤモリ鳴く 小野寺
(079) 日盛りの電線の影踏み続け 深瀬
1 治部 これ、わかります。こんな細い影によく着目し
たと思います。ほんのわずかな影を求めて伝い歩
く様に暑さが伝わります。電線の影だからね、ほ
とんど出てるんですけどね。選者も信号待ちの時
に標識の柱の陰に立った事があります。暑いよ。
2 河村 いささかオーバーだが気持ちはわかる。
3 宮澤
4 中津川 少しでも日影を歩く、よく分かります。
(080) 日本に避暑地残るや温暖化 橋本
(081) 白牡丹夜のとばりに沈みゆき 小野寺
(082) 懐かしや新橋屋上ビヤガーデン 治部
(083) 剪定しそよぐ葉涼し朝ご飯 橋本
1 治部 朝食前に刈り込んだのですかね。和食派の二人
だけの朝食の様子に、そよぐ葉の動きが涼しげで
とてもいいと思います。
国民学校一年生で迎えた終戦、幼き日の想い出。
(084) 終戦の翌朝祖母は合歓を植え 河村
1 柳町
2 小野寺 お祖母様は大戦で大切な人を亡くされたのでし
ょうか。紅い合歓の花は鎮魂の祈りでしょうか。
孫達の為にも戦の無い世を護らねばなりません。
(085) グラサンと美女が二人でかっこつけ 治部
(086) 流燈に消えゆく命流れゆき 小野寺
(087) 日本酒の旨さひとのせ茄子焼いて 治部
1 柳町
蓼科にて
(088) 白樺の避暑地に眠る火焔土器 河村
1 服部
2 小野寺 避暑地の白樺と縄文時代の火焔土器の焔の躍動
の対比が面白い。
(089) いもり住むウッドデッキに慈雨来る 宮澤
(090) 時の日に出船の汽笛響きけり。 小野寺
(091) 大花火海の夜空が七色に 豊
(092) 浴衣着のすれちがふ様万華鏡 深瀬
1 治部 これまた、女子たちの浴衣に目を細めて「万華
鏡」とは、古いけどわかりますよ。見るべきは花
火なのでしょう。変なおじさんと言われないよう
にしましょう。でも、「浴衣」「すれちがう」「
万華鏡」で花火大会を見せる技は素晴らしいと言
わざるを得ませんね。流石です。
2 中津川 夏祭か花火大会か女性の浴衣姿は美しい。
3 橋本 最近のカラフルな浴衣の行き交う人混みなら万
華鏡の如しかも。
(093) 滝壺や竜宮城を垣間見る 吉良
(094) 釣竿の弓にしなりて鮎掛かる 小野寺
(095) 木漏れ日の影を慕いてバスを待つ 宮澤
1 橋本 木陰が残る内に、早く来いバスですね。
(096) ひこばえも米にすんべえ米不足 服部
1 桑子 そうですね、温暖化でこれから二期作もできる
ようになるかな。
(097) ウクライナ勝たせたかった安青錦 橋本
(098) 青嵐の明るく流る過疎の村 小野寺
(099) 滝風や登山者押せる急登坂 吉良
(100) ホトトギス遠くに初鳴き明け易し 橋本
(101) 山滴るセザンヌと北斎の青 河村
1 吉良 フランスのジャポニスムに影響した浮世絵。青
の色が象徴しているのでしょうか。
2 中津川 セザンヌは絵の事ですか、それとも化粧品(ア
イシャドウ)の青?
(102) 日盛りをかみそり研ぎの声ゆけり 深瀬
1 小野寺 暑い日盛りの静寂の午後をかみそり研ぎの声が
過ぎてゆく、作者の感性が光ります。
(103) 傾城の佳人も愛でし紅牡丹 小野寺
(104) 音のみの遠き隅田の川花火 桑子
1 深瀬 花火の情景が浮き上がってきます。
2 豊 俳句としてとてもよくまとまっている秀句だと
思います。
3 小野寺 ドーンという花火の音が静寂を破り遠い隅田川
の空に鮮やかに上がりゆく見えないからこそ音だ
けで闇の花火はいよいよ華やかに上がるのです。
(105) 避暑地にてめぐり逢い惜しみつつ帰路 河村
1 中津川 後ろ髪をひかれている気持ちを破調で強調して
いるようです。
(106) ふんわりとかば焼きのせる鰻飯 新井
(107) 高揚を過ぎて優しき夏至の雨 小野寺
(108) 驚きの選挙結果や土用波 豊
喜寿の夏 十五句
(109) やつとこさ一日終へる喜寿の夏 深瀬
(110) 寝る前に明日の有無問ふ喜寿の夏 深瀬
(110) 1 河村 問うのは有無ですか、是非にして下さい!
(111) 残り日をひとり指折る喜寿の夏 深瀬
(112) 杖握りふらつき歩く喜寿の夏 深瀬
(113) ビームとて頭で反射喜寿の夏 深瀬
(114) 想ひ出す受験予備校喜寿の夏 深瀬
1 河村 幾つになつても何度も受験の夢を見ますね。
2 宮澤
(115) 声援もかすれ声なり喜寿の夏 深瀬
(116) 亡き恩師夢で再会喜寿の夏 深瀬
(117) よろめきつ投票にいく喜寿の夏 深瀬
1 服部
(118) 押し寄せる自分ファースト喜寿の夏 深瀬
1 桜子 最後の一言が効いていますが、本質を表すよう
です。
(119) 遥なり "明日があるさ" 喜寿の夏 深瀬
(120) なに遺すこたへにもがく喜寿の夏 深瀬
1 河村 心境わかります。いまだ残日の煩悩に纏われて
ます。
2 橋本 誰に、何を遺すのが良いのだろうか、暑き夏に
もがいて下さい。
3 豊 十五句の中で選ぶとすれば、この句でしょう。
(121) すれ違ひ墓まで覚悟喜寿の夏 深瀬
(122) 外からの旅行者溢る喜寿の夏 深瀬
(123) いつなにがあるか分からぬ喜寿の夏 深瀬
1 桑子 全くその通りです。地震・津波、病気、トラン
プ関税と何が起きてもおかしくない今日この頃で
す。
(124) 白金の並樹散歩に夏の月 深瀬
2.作品集
(01) 新井さん (自句自解として受け取ったのですが、前につけました。)
群発地震に襲われている悪石島の先が心配です。人間には
どうしようもないので、逃げてほしいです。
・天からのお示し如何に悪石島
先日に記録的短時間の豪雨に見舞われました。その直前に
不穏な黒い雲を見つめていました。
・黒い雲ゲリラ豪雨の兆しかな
「うなぎの日」に、お椀にたれをかけたご飯を用意して、
鰻のかば焼きをそっと乗せると幸せです。
・ふんわりとかば焼きのせる鰻飯
災害時、避難所では歯磨きをできなくなるので、平素から
カバンに入れておくのが備えとなります
・歯ブラシを一つ持つのは備えなり
酷暑の海の日はお昼寝が幸せのひとときです
・海の日の昼寝の時は極楽よ
那須高原を訪れた天皇ご一家のご様子です。かりゆしは、
内閣府でも着用が認められています。
・避暑の地に咲く花三つかりゆしの
(02) 小野寺さん
・日盛りに森の高みを蝶は飛び
・時の日に出船の汽笛響きけり
・白き瀬を超えて深みに鮎光り
・傾城の佳人も愛でし紅牡丹
・ドラゴンの顔持つ蜥蜴舌を出し
・宵宮に華やぐ人の藍浴衣
・青嵐の明るく流る過疎の村
・打ち水の流るる先に人の待ち
・流燈に消えゆく命流れゆき
・夏曇や初戦に敗れ涙のむ
・白牡丹夜のとばりに沈みゆき
・万緑を駆け抜く孫の玉の汗
・ふるさとや母の淹れたる新茶飲む
・釣竿の弓にしなりて鮎掛かる
・滝近し木洩れ日通し涼の風
・蝉時雨浜に小舟を曳きし跡
・蚊帳の海蒼き螢は乱舞して
・合歓の花沖には藍の潮流る
・香りよき幸せ届く母新茶
・蛍火の哀しく光り深き闇
・高揚を過ぎて優しき夏至の雨
・万緑の野に繚乱の白き百合
・梁に居て寝つけぬ夜にヤモリ鳴く
・一夏のハスに構えしサングラス
(03) 吉良さん
・ほろ苦し避暑は彼方に白き波
・ふと隠す思い出苦しサングラス
・滝風や登山者押せる急登坂
・滝壺や竜宮城を垣間見る
・一人身に裏切りならぬ冷奴
(04) 桑子さん
・日盛や赤信号はビルの陰
・図書館の椅子を独占避暑の人
・夏祭踊るパシスタ吾が胸も
・音のみの遠き隅田の川花火
(05) 河村さん
・修道女 (シスター) も教会出るやサングラス
・シヤイ隠すつもりが凄むサングラス
ノンボリ学生はインターナショナルの代わりに唐獅子牡丹
を歌ってデモに行きました。
・健さんの殺陣 (たて) を見終えてサングラス
蓼科にて
・白樺の避暑地に眠る火焔土器
・避暑地にてめぐり逢い惜しみつつ帰路
・木漏れ日の避暑地にて摘むくすり草
国民学校一年生で迎えた終戦、幼き日の想い出。
・終戦の翌朝祖母は合歓を植え
知覧には「オモニへ」と書いた朝鮮出身特攻隊員の遺書も
ありました。
・向日葵へ翼振り逝きし嗚呼知覧
ウクライナの黒土を踏み躙つた戦車、国花向日葵の抵抗。
・向日葵よカタピラわだち埋め尽くせ
ヘミングウエーを偲ぶ
・「午後の死」のロンダ人無し夏終わる
・山滴るセザンヌと北斎の青
・初蛍今年は見たり老いひとり
(06) 治部さん
・サングラス外す笑顔やあどけなき
・うらやまし明日からどこかでサングラス
・グラサンと美女が二人でかっこつけ
・暗いクラブハウスサングラスのまま
・懐かしや新橋屋上ビヤガーデン
・日本酒の旨さひとのせ茄子焼いて
八王子花火大会
・老い二人ビルの隙間の花火かな
高くついたオマケ
・トランプで避暑地の風も関税に
(07) 中津川さん
解散したOB会の最後の幹事で八丈島へ行って(3句)
・八丈や温泉めぐりで避暑気分
・四葩咲く流人の島で慰労酒
・すわ空港へ高波欠航野分来る
・炎天や犬の散歩は抱いてする
・五街道歩き終えたり夏至近し
・ローカル線青田が続く田舎の匂ひ
・選挙後の日本政界サングラス
(08) 橋本さん
・巣の有りや烏の威嚇首竦 (すく) む
・剪定しそよぐ葉涼し朝ご飯
・朝採りの有機もろきゅう比類無し
・ホトトギス遠くに初鳴き明け易し
・雨音に心静めて昼寝かな
・日本に避暑地残るや温暖化
・ウクライナ勝たせたかった安青錦
(09) 服部さん
・梅雨空の無いのも寂し六月尽
・ノースリーブ黒のブラ紐艶めかし
・マッカーサーコーンパイプにサングラス
・ひこばえも米にすんべえ米不足
・美人画は細めに団扇の浮世絵展
(10) 宮澤さん
・炎天下影なき道を救急車
・熱風に抱かれ届く宅急便
・木漏れ日の影を慕いてバスを待つ
・いもり住むウッドデッキに慈雨来る
・日焼け止めカラス天狗が自転車で
・あっちっちここはアラビア夢の中
・我を立てず女もすなる日傘さし
(11) 柳町さん
先日の駒東仲間の旅で泊まった、「ホテルニュー白亜紀」
の窓からの景色を詠みました。(3句)
・鹿島灘冲ゆく船は霧の中
・ぬくぬくと霧笛に咽ぶ露天風呂
・粛々と松風さわぐ磯の社
(12) 豊さん
・都会より逃げて楽しき避暑の宿
・裕次郎気取ってかけるサングラス
・盆踊り外国人も輪の中に
・驚きの選挙結果や土用波
・大花火海の夜空が七色に
・立秋と言えども気温三〇度
・湯上がりに新涼の風吹き抜ける
(03) 深瀬
・サングラス悪役気取り老ひ予防
・猛暑日の因果を問ふて立ちくらみ
・避暑にとて電車図書館老ひひとり
・上高地ホテルデッキの避暑遥か
・青嵐部屋でプロレス母子家庭
・青蜥蜴置き配荷物占拠せり
・白金の並樹散歩に夏の月
・特養の庭の紫陽花雨に咲き
・新緑に時空彷徨ふ喜寿ひとり
・日盛りの電線の影踏み続け
・都会出で浴衣で憩ふ夕湖畔
・風鈴や時の断片残しけり
・日盛りをかみそり研ぎの声ゆけり
・浴衣着のすれちがふ様万華鏡
喜寿の夏 十五句
・やつとこさ一日終へる喜寿の夏
・寝る前に明日の有無問ふ喜寿の夏
・残り日をひとり指折る喜寿の夏
・杖握りふらつき歩く喜寿の夏
・ビームとて頭で反射喜寿の夏
・想ひ出す受験予備校喜寿の夏
・声援もかすれ声なり喜寿の夏
・亡き恩師夢で再会喜寿の夏
・よろめきつ投票にいく喜寿の夏
・押し寄せる自分ファースト喜寿の夏
・遥なり "明日があるさ" 喜寿の夏
・なに遺すこたへにもがく喜寿の夏
・すれ違ひ墓まで覚悟喜寿の夏
・外からの旅行者溢る喜寿の夏
・いつなにがあるか分からぬ喜寿の夏
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