2022年5月12日木曜日

七句会 第三十九回目のネット句会 感想、自句自解のご報告です。

  七句会のみなさま

 

 第三十九回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、

たいへんありがとうございました。

 およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ

てお届けします。

 

 今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。

 七句会のweb  http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。

  今後とも、よろしくお願いいたします。

  深瀬 (事務方)

 

 

1.39  ネット句会  作品集

 

(01) 秋元さん

・蕾咲く春の日差しに陰深く

・平和ボケ忘れてならぬ日本人

・忍び寄る悪の枢軸焦眉の急

・妄想に生きる狂人露亡霊

・核威嚇歴史に残る大汚点

・国連は機能不全の5P

 

(02) 新井さん

・三渓園はずむおしゃべり梅見酒

・卒業もメールでつなぐゆるい縁

・引っ越しで人の情けの身に沁みけり

・新しい本立て飾るあれこれと

・エルグレコ神秘の紅に鳥肌立ち

 

(03) 小野寺さん

・鐘の音に心弾みて春の雨

・谷川の瀬音ゆたかに山桜

・山城を訪ふひともなく花吹雪

・桜花ほのかに遷 (うつ) し緑酒注ぐ

・峠道うしろ髪ひく花の雨

・葉桜の湖 (うみ) の向こうに風ひかり

・夜桜や想い断ち切る風の音

・墨擦れば花冷えの木々薫りけり

・雲翳り畔一面の蓮華草

・風が哭く古城の堀に花筏

・野佛の頬濡らしけり花時雨

・吹き入りし落花に佛息を止め

・潮鳴りの煌く沖をごめ (海猫) 渡り

・解きおろす緞子の帯に花落ちて

・満開の花観ることもなく朋は逝き

・夕餉待つ母の得意の木の芽和え

・おぼろ月蛙のこだま帰省の夜

・音もなく渓流下る花筏

・ホオジロの渡る枝々新芽吹き

・夜桜の梢の闇に人の声

・鐘の音に和して舞ひ翔ぶ春疾風 (はやて)

 

(04) 吉良さん

・深き空白木蓮(はくれん)光るビルの街

・春寒や背中丸めて夫婦坂

 ソビエトのウクライナ侵攻の早期の解決を願

って。

・硝煙の消えることなし草芽吹く

・悲きや戦 (いくさ) なる地へ鳥帰る

・戦 (いくさ) 止み青麦そよぐ静けさや

 

(05) 桑子さん

・川うららゴミ取り船の千鳥足

・卒業子正門前のファッションショー

・露消えてロビンさえずる春の宇宙 (そら)

・隅田川上り下りの花筏

・遅き日や19番はパー5 (ファイブ)

 

(06) 志方さん

・散り桜日ごと少なく春は往く

・水温み朱き石楠花生き生きと

・花園も色も多彩に華やいで

・寂しさも酒杯に浮かびもう二年

・プーチンとともに未来の地獄絵図

・みちのくのこれから魅せる山桜

・由比ガ浜水平線はどこまでも

 

(07) 中津川さん

・花見せんとカルガモ親子列を成し

・鳩のごと白木蓮 (はくれん) に停戦祈る

・香満る本尊囲むつるし雛

・この浜も外国産かと潮干狩り

・山歩くジビエ料理に雪の果

・手術後の目を襲うかと春の塵

・燕の巣主は来ぬかと今日も見る

 

(08) 橋本さん

・長閑さや散歩道にも眠気有り

・水温む水辺の草の水水し

・今年また初音嬉しやゴルフ場

・寒暖の大差に竦む老いの春

・囀りの車途切れて響く空

・花の香を肴に一人ビールかな

・雲雀飛ぶ石陰寄れば巣に命

・雨二日緑一気に春の庭

・ウクライナ実りの大地春はいつ

・自由死守決意の闘いウクライナ

・核を背に狂気の侵攻世界闇

・侵攻を咎めぬ国の不自由度

・鯉幟 (のぼり) 川には鯉の恋上り

 

(09) 服部さん

・一合が眠り薬と春の宵

・藍染の槽の温みや春浅し

・陽当たりの良き場所ほどの梅早し

・入社式制服の折り目ぎこちなく

・蹂躙のウクライナには春遠し

 

(10) 柳町さん

  桜の時期に、青森県五所川原市にある「鶴の

舞橋」を見た時の情景です。

・春霞岩木の山に鶴が舞う

  桜のトンネルで有名な、津軽鉄道の「芦野公

園駅」に、私が現役時代に関係したT-2 型ジェ

ット練習機 (自衛隊で用途廃止となった) が展

示されています。この航空機の日の丸がとても

輝いていた情景を詠んでみました。

・日の丸や芦野の園に桜舞う

 

(11) 豊さん

・稚魚泳ぐ春の小川の光かな

・春昼や縁側の猫あくびする

・青信号歩道を飛んで揚羽蝶

・100号の桜絵並ぶ美術展

・朧月すれ違う人あやしげに

・満開の桜にこころ狂わされ

 

(12) 深瀬

・堀端の桜並木に夕陽映え

・花びらの街路に散って季節ゆく

・山門に雲水送るさくらかな

・校門の並ぶ笑顔に桜舞う

・さくら咲く三途の川の遠見かな

・入学の孫に手をふる坂の上

・満帆の笑顔と緊張入学日

・入学式たぎる若さに老い深む

・たんぽぽのミニマリストの窓飾り

・黄たんぽぽ野原いっぱい広き空

・ボテンティア登録記念梅の花

・紀元節ビッグバンの日分かるなら

・紀元節アイデンティティーの底問われ

・ごまかせる瀬戸際を行く老いの春

・することののたりのたりの老いの春

・活け花や駅舎の隅に春ともす

・長閑 (のどか) さや深き睡魔の老いの午後

・コロナ禍に花粉禍ロシア禍人新世

・図書館の深き静けさ辞書の列

・母からの十三回忌の便りかな

 

 

2.39  ネット句会  感想と自句自解

 

  小野寺さんの自句自解

 

・野佛の頬濡らしけり花時雨 (6 点句)

 京都嵯峨野の野佛は春の花時雨に濡れそぼち、まるでこの世の不条理を一身

に抱え込み涙を流しておられるように感じたのです。

 

・山城を訪ふひともなく花吹雪 (6 点句)

  山奥の城跡に人知れずにひっそりと咲く桜、もう訪れる人もなく、一陣の風

に任せて散る花吹雪は、人の世の儚さを今に伝える様でもありました。

 

・谷川の瀬音ゆたかに山桜 (3 点句)

  山深い谷川の瀬は水量も多くダイナミックに音立てて流れ、観る人もない山

桜は堂々と咲き誇り、大自然に身を委ねる心地よいひと時でした。

 

・葉桜の湖( うみ) の向こうに風ひかり (3 点句)

  葉桜となった鮮やかな新緑の向こうには湖水がキラキラと輝いていて、心地

よい風が光りながら、流れていくのを感じたのです。

 

・風が哭く古城の堀に花筏 (2 点句)

  桜がちりしく古城の石垣に風が茫々と哭いているかの様に吹きあれて、桜は

花の筏となってお堀にたゆとうておりました。

 

・墨擦れば花冷えの木々薫りけり (2 点句)

 手紙を書く為に墨を擦ると墨の匂いが心地よく、花冷えの窓の外の木々が薫

りくるような気分になったのです。

 

・夜桜や想い断ち切る風の音 (2 点句)

 光を浴びた夜桜をながめると悩み抜いた末に別れた人への未練を断ち切れと

、風が音たてて桜を散らしておりました。新井さん橋本さんのご推察の通りで

す。

 

・潮鳴りの煌く沖をごめ( 海猫) 渡り (2 点句)

  平島さん恐れ入ります。これだけの言葉で私の言いたい事を全て解説頂きま

した。なかにし礼の石狩挽歌なのです。北の海満洲、千島、その向こうにはロ

シア。今 ウクライナを蹂躙するプーチンのバカ野郎。ごめが鳴くからニシン

が来た、のですが我々も又、ウクライナの蹂躙を他人事としてはならないので

す。

 

・鐘の音に和して舞ひ翔ぶ春疾風 (はやて)  (2 点句)

 鐘の音に唱和するかの如く春の疾風が音たてて舞い上がり、鐘の音だけがい

つまでも乾いた心に鳴り響いておりました。

 

・おぼろ月蛙のこだま帰省の夜 (1 点句)

 帰省した月夜の一面の田圃道。蛙の大合唱がこだまの様に耳殻に響き温かく

、泣けとばかりに懐かしい郷愁となって想いだされます。

 

・満開の花観る事もなく朋は逝き (1 点句)

  (満開の花間に合わで朋は逝き)

  西行の、願わくは花の下にて春死なんその如月の望月の頃、の歌が好きだっ

た朋は、桜を観る事もなく急逝しました。花の季節になり、朋の死の無念を想

うと徒 (あだ) や疎 (おろそ) かには生きられないのです。

 

 以上

 春の句の兼題を締め切りを猶予頂き一気に投句したのですが、最高得点にニ

句も選んで頂き大変ありがたい事で感謝に耐えません。

 

 

  中津川さんの自句自解

 

  残念ながら一つも二点句以上になりませんでしたがいくつか自解します。

 

・手術後の目を襲うかと春の塵(035)

 2月に白内障の手術を受けました。その後保護メガネをかけて散歩したので

すがある日突風が砂を巻き上げメガネめがけて飛んできたのです。

 

・山歩くジビエ料理に雪の果て(050)

  裏高尾を小仏峠を目指す途中のお店で鹿・猪を使ったイタリアンを食べまし

た。雪がチラチラと寒い春でした。

 

・燕の巣主は来ぬかと今日も見る(089)

 バス停横の2軒の家の駐車スペースの軒に毎年燕が来る。今年はいつ来るか

とバスを待つ間気になります。今年は七句会の締め切り後の数日後にやってき

ました。

 

 感想)

 ウクライナ侵攻に関する句が10句以上ありましたが、季語を入れるには難

しいと思いました。その中で吉良さんの ”鳥帰る”の句は渡り鳥の習性と戦

争の悲惨さを訴え見事に表現されていると思いました。

 

 

  橋本さんの自句自解

 

  今回は、ロシア (プーチン) による理不尽なウクライナ侵攻のショックがあ

り、関連の句4句と合せて13句も投句してしまいましたので、自句自解や思

いを述べさせて頂きます。

 

・自由死守決意の闘いウクライナ

 屈したら自由と民主主義を失い屈辱の未来が待っている、死闘に耐えて国を

守るウクライナ頑張れ、 応援する! 

 

・核を背に狂気の侵攻世界闇(1点句)

 核の脅しもちらつかせ戦いを有利にしようとするプーチン、まさかと思うが

現実になれば世界は大きなダメージを受ける。国連の安全保障体制が有効確実

に機能するべく、改革が必要不可欠と思う。

 

・侵攻を咎( とが) めぬ国の不自由度(1点句)

 ロシアに似た強権ないしは独裁、専制国家で国民の自由が制約されたり、経

済や軍の装備などをロシアに依存している国は国連のロシアへの非難決議や制

裁に反対、躊躇している。

 

・ウクライナ実りの大地春はいつ

 ウクライナは小麦やひまわりなどの世界的穀倉地帯、戦争が終わり実りを迎

えるのはいつになるのか。

 

・囀 (さえず) りの車途切れて響く空

 道路を走る車の音が途切れると、近くの何処かでなく小鳥の囀り。窓越しに

空を見上げ、耳を澄まし聞けば心が癒やされる。

 

・花の香を肴に一人ビールかな(1点句)

 近くの公園に満開の桜を見に出かけ、桜の香り、 姿を肴に家で一人ビールで

乾杯する老いの春の一コマ。

 

・雲雀飛ぶ石陰寄れば巣に命(2点句)

 田舎の少年時代の河原散策での体験、勿論巣には一切手を触れない。雲雀の

巣を見たのはこの時だけ。

 

・雨二日緑一気に春の庭(2点句)

 春の雨が二日続き、庭は一気に緑の勢いが増してきた。

 

・今年また初音嬉しやゴルフ場(2点句)

 コロナ禍ではあるが、今年もまた同じゴルフ場で鶯の初鳴きを聞くことが出

来た喜び。

 

・寒暖の大差に竦 (すく) む老いの春

 1日で10℃も変化する春先、老いの身は予報を信じてしっかりと備えるば

かり。

 

・長閑 (のどか) さや散歩道にも眠気有り(1点句)

 座生川沿いのいつもの散歩道も、穏やかな春爛漫の陽気に包まれ眠気を誘う

 

・水温む水辺の草の水水し(1点句)

  次の句と合せて遊び心で韻を踏んで詠んでみました。

 座生川の石堤側河床の岸の草が、春真っ先に緑に染まり美しい。

 

・鯉幟 (のぼり) 川には鯉の恋上り

 鯉幟は夏の季語だが、4(5)月に増水すると支流の座生川には江戸川から多

くの鯉が上り、水没した岸辺の草に産卵する。

 

 

  豊さんの自句自解

 

・青信号歩道を飛んで揚羽蝶 

 横断歩道で信号待ちをしていたら、青信号に変わったとき、ちょうど揚羽蝶

も一緒に渡ったのです。

  

・朧月すれ違う人あやしげに

 朧月の下では向こうから歩いてくる人の顔はよく見えません。もしかすると

あやしい人かもしれません。 

 

・満開の桜にこころ狂わされ

 「桜の樹の下には屍体が埋まっている」と梶井基次郎は書きました。満開の

桜を見ると、私はなにやら胸騒ぎがします。皆さんはどうですか。

 

・100号の桜絵並ぶ美術展 

 100号の絵は162センチ×112センチの大きさがあります。そんな絵

がずらりと並ぶ春の美術展は壮観でしょう。

 

・春昼や縁側の猫あくびする

 春ののんびりした風景を切り取ったのですが、平凡だったかもしれません。

 

・稚魚泳ぐ春の小川の光かな 

 生まれたばかりの稚魚が初めて春の川で泳ぎ始める。その新鮮な感じを詠み

ました。

 

 

  深瀬の自句自解

 

・堀端の桜並木に夕陽映え

  総武線の窓から市ヶ谷のお堀り端の桜並木をみたときの印象です。夕陽には

少し早い時刻でしたが、なにか輝いて見えました。

 

・花びらの街路に散って季節ゆく

  桜は咲いてしばらくすると散り始めます。時の流れを妙に実感させられる思

いがしました。

 

・山門に雲水送るさくらかな

 NHK 特集でみた永平寺の映像を思い出して詠んでみました。

 

・校門の並ぶ笑顔に桜舞う

 学校の門の前には桜が定番みたいです。桜は日本の象徴のような感じですが

、ぱっと咲いてぱっと散るというのは、いいことなのかやや考えさせられます

 

・さくら咲く三途の川の遠見かな

  一昨年、心筋梗塞の発作で三途の川をもうすぐで渡るところでした。老化の

自覚とともになにか誘われているような気持ちになったりもしています。

 

・入学の孫に手をふる坂の上

  去年の春、孫が、わたし、息子と三代続けて同じ小学校に入学しました。近

所の女の子と一緒に行ったりしているようです。

 

・入学式笑みと緊張ぎこちなく

  入学式と卒業式のときの写真を比較してみるとおろしいと思います。

 

・入学式たぎる若さに老い深む

  小学校でも大学でも新入生の輝いている様には圧倒されます。引退している

身としては、彼我の落差に複雑な心境です。

 

・たんぽぽのミニマリストの窓飾り

  良寛のように最低限の持ち物で生活することは理想のように感じますが、う

るおいも大切にしたいと思います。

 

・黄たんぽぽ野原いっぱい広き空

  約半世紀前、大学紛争が吹き荒れているころ、森山良子さんの「この広い野

原いっぱい」がはやっていました。やや複雑な思い出があります。

 

・ボテンティア登録記念梅の花

  今年3 月、目黒区のボランティア登録をしました。はじめはコーヒー同好会

という集まりの話し相手をするというもので、新鮮な体験でした。

 

・紀元節ビッグバンの日分かるなら

  ビッグバンは、今から138.2 億年前とのことですが、この精度が高まり日単

位で分かれば、その日を記念してはと思います。

 

・紀元節アイデンティティーの底問われ

 人間は自分の存在の意味や価値を知りたがり、そこにアイデンティティーを

見いだし安心を得るようです。日本人としてのアイデンティティーばかりでは

ないだろうとの問題提起です。

 

・ごまかせる瀬戸際を行く老いの春

・することののたりのたりの老いの春

・長閑 (のどか) さや深き睡魔の老いの午後

  最近、心臓の負担を減らす薬を服用しているせいか、ややふらつくようなこ

とがあります。なにか限界を生きていて追い詰められているような気持ちにな

ったりします。

 

・活け花や駅舎の隅に春ともす

  実際に見たのは、地下鉄の改札の近くだったと思います。なにか気持ちのや

すらぎを感じました。

 

・コロナ禍に花粉禍ロシア禍人新世

  最近、人新世ということばを耳にします。それだけ激変の時代を生きている

のだと実感します。もうすぐこの世から引退する身ですが、やや身につまされ

る思いです。

 

・図書館の深き静けさ辞書の列

  キョウイクの一環として大学の図書館をよく利用していますが、春休みはす

いていて静かです。なにか蔵書の重みに威圧される雰囲気があります。

 

・母からの十三回忌の便りかな

  母のお墓のある五百羅漢寺から13回忌の法要をしてはどうかとの連絡があり

ました。もうそんなになるのかと母からの催促のように感じました。当日、家

内とお参りに行ってきましたが、同じフロアに恩師遅沢先生のお墓もありご挨

拶してきました。

 

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2022年4月26日火曜日

七句会 第8 回 自由連句 おかげさまで無事、満尾することができました。

  七句会 第8 回 自由連句のみなさま

 

  第三十六句目 (名残裏  挙句 春) を、小野寺さん、ありがとうございまし

た。

 おかげさまで無事、満尾することができました。

  感想、コメント、等ありましたら、4 30日までに事務方の方にお寄せくだ

さい。まとめてご報告したいと思います。

 

 

 初折表

01 発句  冬   身をそぎて凜とそびえり枯れ銀杏         (吉良)

02 脇   冬     冬の京都で食う茶碗蒸し             ()

03  第三        たくあんを典座吟味す手に取りて         (深瀬)

04  四句目         飽食の世に食糺 (ただ) す母        (小野寺)

05  月の座      月あかりミニマリストの部屋の窓         (深瀬)

06  折端  秋       古酒酌み交わす桃源の郷            (吉良)

 

 初折裏

07 折立   秋   雁一羽列を離れてわが道を             ()

08 二句目 雑       山の端越えて雲に溶け行く         (志方)

09 三句目 雑   青雲の大志抱きて国を出る            (小野寺)

10 四句目 雑       心の便り深海の底                (新井)

11 五句目 雑   狐火や榎木に集い宮参り             (吉良)

12 六句目 雑       開港祭り山車担ぐ華             (新井)

13 月の座 夏   夕凪に瀬戸の水面に淡き月           (志方)

14 八句目 冬       雪山深く落ちる平家よ           ()

15 九句目 雑   震度6高層の孤老揺れまかせ          (深瀬)

16 十句目 雑       古都のキエフをミサイル蹂躙       (小野寺)

17 花の座 春   宅配便薔薇の甘さに和み顔             (新井)

18 折端   春       家族総出で草餅こねる             (吉良)

 

 名残表

19 折立   春   梅が枝の思い残して東風に消え          (志方)

20 二句目         ギター奏でる自由の女神             (新井)

21 三句目     愛犬の墓掘る孤児に戦火止む             (吉良)

22 四句目         すきとおる空沈黙の街               (深瀬)

23 五句目     ミサイルの降るより吹雪まだ愛し         (志方)

24 六句目         古くなるほど価値高き壺            ()

25 七句目     老妻も年輪重ね味が出る                (志方)

26 八句目         娘達皆母の血を継ぎ                (小野寺)

27 九句目     妊娠ができぬ男の弱さかな              ()

28 十句目         働き蜂は蜜を集めて              (吉良)

29 月の座     旅の空名月仰ぎ英気満つ                (小野寺)

30 折端   秋     芋煮転がし故郷自慢                 (新井)

 

 名残裏

31 折立   秋   初孫の微笑みあふれ盆帰省              (吉良)

32 二句目 雑       フェイスツフェイスにハイテク競う   (深瀬)

33 三句目 雑   頬叩き気合いを入れる朝鏡               ()

34 四句目 雑       夕陽に向かってとぼとぼ歩む         (志方)

35 花の座     夜桜のはらりと散って里の鐘             (深瀬)

36 挙句          爆音の地に花満つる日を            (小野寺)

 

 

 36の付け筋 (小野寺さん)

  夜桜と鐘の響きの春の宵から転じて、鐘の音ならず、戦乱のウクライナの人

達は炸裂したミサイルの恐怖と戦いながら、花の咲く街の復活を信じて生き延

びて欲しいと切に願います。

 

 35の付け筋 (深瀬)

  旅先の宿で夜桜が静かに散っていくのを見ていると、遠くから鐘の音が聞こ

えてきます。

 

 34の付け筋 (志方さん)

  還暦をはるか遠くに通り越して、朝に気概を奮い立たせて臨んだが夕陽に向

かって叫ぶこともなく、春愁の想いに包まれて時間の刻みをゆったりと楽しむ

、後期高齢者を迎えるこの頃です。

 

 33の付け筋 (豊さん)

 一日は朝の洗顔から始まります。鏡に映った寝起きの顔はまだぼーっとして

いるので、頬を叩いて気合いを入れ、目覚めさせるのです。

 

 32の付け筋 (深瀬)

  コロナ禍の影響もあり、近年、Zoom、メタバースとか、音声SNS 、仮想空間

アプリとか、デジタル空間での人との出会いが急速に進化しているようです。

盆帰省という言葉はいつまでがんばれるのでしょうか。

 

 31の付け筋 (吉良さん)

  芋煮会で出会ったカップルが結婚し、故郷の親元に初孫を連れて帰省しまし

た。

 

 30の付け筋 (新井さん)

  この季節、親元を離れるのも一つの旅と言えるでしょう。私の部署には、地

方自治体からの研修生がたくさん来ています。元々の所属組織を親元と呼んで

いますが、皆緊張した顔で過ごしておられます。秋頃には、芋煮会でも開いて

、和気あいあいと親元のご当地自慢をしあうのが今の私の望みです。

 

 29の付け筋 (小野寺さん)

  吉良さんの前句を受けて子孫を産み育てる為の女性の地位は圧倒的で、男は

働きバチの様に女性を支えます。しかし男は又、ふらりと旅に出てひと知れず

、月や星を仰ぎみながら命の充電をはかります。所詮、男は女とは違う生き物

かもしれません。

 

 28の付け筋 (吉良さん)

  子孫を残す女王バチのために働く働き蜂は男を象徴していますね。

 

 27の付け筋 (豊さん)

  街で若い妊婦さんを見るといつも思います。出産という大事業をになって立

派だな、と。2526の志方さん小野寺さんの付け筋に私も同感です。女性の力

はすごい。男はかないません。日本ではその認識がまだ薄いようです。

 

 26の付け筋 (小野寺さん)

  志方さんの糟糠の妻に共感です。しかし、娘達もまた妻や母になってゆくと

彼女らの母のDNA を何処か引き継ぎながらまた違う女性に脱皮してゆく様です。

しかし亭主の操縦は、見事です。世の中女性の力で廻っていると思います。

 

 25の付け筋 (志方さん)

  古さへの価値を老妻につなげました。コロナ禍で、同一空間を共有する時間

が多く、今まで気づかなかった一面が度々発見され、ある面その凄みに新鮮さ

を覚えるこの頃です。

 

 24の付け筋 (豊さん)

  前の句の「降る」に「古」を引っ掛けて、ウクライナの流れを転じました。

骨董の壺は古い時代のものほど高く評価されるようです。もちろん本物であれ

ば。

 

 23の付け筋 (志方さん)

  無差別殺戮をミサイル攻撃で繰り返すプーチンも生まれたペテルスブルグで

降り積もる雪に耐えた幼き日の感性に戻ってほしいものです。

 

 22の付け筋 (深瀬)

  ロシア軍によるウクライナへの砲撃が一日も早く終わってほしいと願います。

 

 21の付け筋 (吉良さん)

  自由の女神 (フランスから米国への寄贈) 、ギターからフランス映画「禁じ

られた遊び」 (ルネ・クレマン監督、ナスシソ・イエペスのギター曲) を連想

しました。戦争で両親を亡くした孤児が愛犬の墓を作る話がでてきます。丁度

ウクライナで戦死した市民を仲間がレンガの十字架で弔っているニュースと重

なりました。

 

 20の付け筋 (新井さん)

  「大宰府天満宮」のホームページから菅原道真様のご生涯について学び、梅

の季節にはご家族とも十分な別れをせずに京都を離れたと知り、悲しくなりま

した。アートの神様でもあった道真様…。先日メトロポリタン美術館展に行き

ました。カラバッジョの「音楽家たち」を思い出し、無邪気にギターの曲でも

お聞きになれば、道真様も慰められるのではないかと、思いつきました。

  皆様の俳句から、たくさんの新しい知識を得られて楽しいです。

 

 19の付け筋 (志方さん)

  草餅から梅が枝餅を連想し、大宰府天満宮 菅原道真とつなげました。道真

は当時としては、大変な知識人で、それが故他から疎まれ、流刑に処せられた

のですが、京への想いは深く、梅の季節に一層だったようです。インテリの不

遇はいつの世にも起こり得るのですね。土方稼業でよかったです。

 

 18の付け筋 (吉良さん)

  春のお菓子を家族でつくるなど、何気ない日常生活がとても貴重なものであ

ることは、戦火で失って初めて気が付くことなのでしょう。

 

 17の付け筋 (新井さん)

  小野寺様の作品に人の荒んだ心を感じました。そのような気持ちを和ませる

ものは…と、考え、単純ですが、万人にとって『花』ではないかと思いました。

引っ越した新居で片付けに追われているときに、お祝いの薔薇の花束を受け

取りました。宅配便を開けたとき、理屈抜きにリラックスするのを感じました。

(薔薇は初夏の季語なので気になりますが、受け取ったのは3月ですのでご

容赦頂ければ…)

 

 16の付け筋 (小野寺さん)

  深瀬さんの都内のマンション地震の揺れからロシアの突然の侵攻で市民のマ

ンションをミサイルで攻撃されたウクライナの恐怖を詠みました。

  一人の独裁者の思惑で安寧の隣国の主権を葬りさるやり方はナチスのゲルマ

ン民族の優位を掲げてユダヤ人を掃討したヒトラーに変わりません。歴史は繰

り返します。レーニンやスターリンの過酷な殺戮の歴史を背負っているのだと

思います。これは対岸の火事ではありません。台湾有事があれば、この国にも

起こりうる事です。今こそ為政者の資質と見識が問われます。

 

 15の付け筋 (深瀬)

  落人から、現代の超高層マンションに一人暮らしの老人に転じました。最近

は免震装置によってあまり揺れないのでしょうか。

 

 14の付け筋 (豊さん)

  N H Kの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が注目されているようです。瀬戸内海

壇ノ浦で平家は滅びました。生き残った人々は落人となって各地へ逃れます。

雪山を越えて。

 

 13の付け筋 (志方さん)

  横浜開港の千年前に、瀬戸内海は海運の要所であり、下津井港も当時は相当

賑わっていたのですが、瀬戸大橋建設の頃は寂れた漁港で、当時の面影はない

のですが、背後に控える鷲羽山から、黄昏の瀬戸の夕凪と鏡面のような水面に

映る朧月は千年の時空を超えて、変わらぬ情景を偲べるものとおもいを巡らし

詠んでみました。

 

 12の付け筋 (新井さん)

  吉良様の句の浮世絵を拝見しました。王子での名物のようで、ゴッホを彷彿

とさせる幻想的な浮世絵でした。浮世絵といえば横浜浮世絵の粋のいい鮮やか

さが思い浮かびます。開港祭りで、女性たちが横浜浮世絵に出てくるような原

色の衣装をまとって、喜びの掛け声をかける光景を描きました。

 

  注。これだと思います。深瀬

  歌川広重 –王子装束ゑの木大晦日の狐火(廣重名所江戸百景新印刷)

  https://600dpi.net/utagawa-hiroshige-0002612/

 

 11の付け筋 (吉良さん)

  深海は発光動物が生息する暗黒の世界です。その様は「その昔、狐が大みそ

かに榎木の下に集い、狐火をともしながら稲荷神社に詣でた」との広重の浮世

絵を彷彿とさせます。

 

 10の付け筋 (新井さん)

  小野寺さんの句に若者を応援するすがすがしさや力強さを感じ取りました。

  自分の経験ですが、20代の時にモスクワに研修に行った友達に応援の手紙を

送ったんです。帰国後に「二通送ったと書いてあったけど一通はどこかにいっ

た」と言われました。全然わからない政情不安さを感じ、せっかく書いた手紙

が風に乗ってどこかへ行ってしまったイメージを抱きました…。

 

 09の付け筋 (小野寺さん)

  志方さんの漂泊の旅人の心情に接して共感する事大ですが、最近厳しい世界

情勢の中でこれから、ウクライナ方面の任地に赴く若者の初めての駐在にでる

心意気を感じ、まだまだ日本の若者も捨てたものではないと、応援する気持ち

になりました。我々もそうでしたから。。

 

 08の付け筋 (志方さん)

  我が道を行く漂泊の旅人といえば、寅さんと山頭火ですかね。風に聞いて、

あてもなく彷徨う自由人、そんな映像を思い浮かべました。

 

 07の付け筋 (豊さん)

 人間の暮らしの句が続いたので、場面を変えてみました。雁は整然と列をな

して群れて飛んできますが、中には孤立を恐れず群れから離れて飛びたいと思

う自立志向、 自由志向の雁もいることでしょう。人間社会でもそれは同じです。

 

 06の付け筋 (吉良さん)

  月明りの窓辺で、酒好きなミニマリストは物に囚われない自由な仙人のよう

な生活を夢みています。

 

 05の付け筋 (深瀬)

  身辺整理とか断捨離とか気になっていますが、ミニマリスト (衣食住につい

て必要最小限の物で生活をするライフスタイルを実践している人) の生活にや

や憧れたりしています。

 

 04の付け筋 (小野寺さん)

  深瀬さんの典座のたくわん吟味から昨今の世の中グルメ騒ぎの風潮の中で玄

米と梅干し荒巻シャケの質素な食事の積み重ねで来たる3.11の故郷鎮魂の為に

絵を描く100 歳の母は、飽食の世の中を独りで糺す姿勢もあるような気がしま

す。

 

 03の付け筋 (深瀬)

  典座 (てんぞ。禅寺の料理を担当する僧侶) が、定番のたくあんの味を吟味

している様子を詠みました。

   "第三は、発句、脇句と詠み継がれた挨拶の歌が終了し、本格的な歌遊びに

入って行くきっかけとなる句" ですが、はたして適当でしょうか。

  http://haiku-shin.blogspot.com/2014/09/blog-post_26.html

 

 02の付け筋 (豊さん)

 発句の銀杏と冬の季節を織り込みました。京料理では茶碗蒸しが出てきます。

茶碗蒸しの具とし忘れてはならないのがぎんなん。ご存じ、銀杏の実です。

 

 深瀬 (事務方)

 

 

・補足 適宜、下記を参照いただければ幸いです。

 七句会第8 回自由連句の要領

  http://nanaku-haiku.blogspot.com/2022/02/8.html