2023年3月21日火曜日

七句会 第42回句会 自句自解、感想、等

  七句会のみなさま


 第四十二回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、

たいへんありがとうございました。

 およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ

てお届けします。


 今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。

 七句会のweb  http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。

  今後とも、よろしくお願いいたします。

  深瀬 (事務方) 



1.第42回  ネット句会  作品集


(01)  桜子さん

  曜変天目を見ましたが、青の輝きに引き付け

 られました。

・国宝の碧の深さの神秘なり

 冬休みは幸せでした。

・目を閉じて浮世忘れる寝正月

  年末に近所のお宅の窓ガラスを拭く女性を見

 かけました。伝統的な大掃除がいいと思いま

  した。

・雑巾でサッシを拭く嫁古き日本

 7日を過ぎてからセールに行っても残り物ば

 かり…。残り物には福がある…を信じて足を

 運びます。

・松過ぎて最終セールの運試し

 本格的に朝の通勤ラッシュも戻って、忍耐の

 日々が始まります。

・松過ぎて通勤電車に耐える日々

  初場所は着物で来るご婦人が多いですから、

 美しい女性を拝見する場所でもあります。

・初場所や着物姿の美人ショー

  初場所は、晴れ晴れしいですが、現実は寒く

 て雪がちらつく日もあります。

・初場所の東京の空うすら雪

 今年はどこへ行こうか心が弾みます。

・ウキウキと旅行支援の紙めくる

 近所の梅が咲いたので、見たくて通勤も遠回

 りをします。

・家を出て早梅見たさに遠回り

 都会にある山王坂ですが、清い風が吹き抜け

 ます。

・青い空清い風吹く山王坂

  年賀状は神様が、新年のお福を運ぶと良いで

 すね。

・福の神幸せ運ぶ賀状かな


(02)  小野寺さん

・陽あたりて餌場のメジロ春を待つ

・夜鳴き蕎麦屋台の空に月のあり

・吹雪舞ふ波止場の汽笛風に消え

・夜鳴きそばふるえた声が集まりて

・亡き人の形見の雪か降り止まず

・月光に黒く枝張り冬木立ち

・冬の蜂夕陽に長き脚を垂れ

・冬晴れに恃みて高き杉木立

・炭はぜて夕餉の匂ひ外は雪

・埋み火に過ぎし縁 (えにし) の影燃やし

・墨青く匂ひて朝の雪景色

・小夜時雨行燈の火に髪揺れて

・寒椿この世の憂きを知らで咲き

・侘助が秘めて咲きをり古都の宿

・凍土に牡丹の花芽赤く棲み

・木枯らしの落ちゆく波止場霧笛哭き

・百舌鳥 (もず) 鳴きて鎮守の森に帷 (とばり) 降り

・冬霞百舌鳥 (もず) 高く鳴き陽はくれて

・寄せ鍋の湯気やはらかに母の味

・まばたきて夜寒の翳を仕舞ひけり

・墨にほふ降り積む雪の温かし


(03)  吉良さん

 冬の鎌倉瑞泉寺にて (5 句) 

・朝靄(もや)に群れ語り合う水仙花

・庫裡暗く蠟梅ほのかに香りけり

・霜柱門前の石飛び散らん

・寒梅や苔むす枝に花光る

・寒椿仏の顔の悟りあり


(04)  桑子さん

・飲み・歩きコロナ陽性寝正月

・初春や富士に願掛け初ショット

・目が醒めて目が醒めてなお冬の夜

・寒鴉頭上に集うごみ出し日

・寒風に足取り急かし丸の内


(05)  志方さん

・碧き空風が軋ます冬木立

・初富士をあと幾だびか拝めるか

・瀬戸の海尽きせぬ思い車窓から

・渡り鳥凍てつく湖面一休み

・稜線を雲と朱に染め初日の出

・今年こそ心おきなく花見酒

・年賀状まだ飲んでるか問い交す


(06)  治部さん

  年末年始に金沢に旅行しました。生憎の天気

 でしたが、時々晴れ間もありました。その時

 の3 句。帰ってからの2 句。 (5 句) 

・バイキング思いもよらず雑煮かな

・能登の海岩打つ波や虎落笛

・冬虹や雲間に出ず消ゆ日本海

・七福神巡る利益や鷹の舞

・お焚き上げ大國魂神社で蕎麦


(07)  中津川さん

・ふぐ鍋や三河日間賀の海は残照

・賀状書き加える文の悩ましき

・コロナ癒え元日の空いちめん青

・孫そろい冷凍お節も馳走なり

・めでたきや街道踏破は松の内

・命日の墓参寒梅は紅(あか)

・WBC選手決まりて春隣り


(08)  服部さん

 皆で初日の出を見に行ったときの事

・初日の出初屁する孫頬染めて

 11月ごろ山形の山寺に登った時

・山寺や靴に染み入る雪の道

・老いるとは冬の痒さに耐える事

・隣家よりよき塩梅の沢庵が

・新春のホールインワンは想定外


(09)  柳町さん

・ペダルこぐ足元に咲く蕗の薹

  私は、趣味としてミニSLを走らせています

 (5年かけて製作しました)。先日の運転会

 で吹き上がる蒸気の向こうに白梅がかすんで

 見えるところを詠んでみました。

・SLの蒸気にかすむ白梅や


(10)  豊さん

・洗顔の水の痛さや寒の入

・新聞が冷えてポストに冬の朝

・赤い目を最後に入れて雪兎

・除雪車の轍の跡や北の街

・冬眠の獣目覚める日和かな

・凍鶴は一声鳴いて動かざる

・冬過ぎて攻勢に出よウクライナ


(11)  深瀬

・歳末の人出なつかし昭和の世

・年の瀬の一人ひとりの区切りかな

・年の瀬に街路で仰ぐ青き空

・断捨離の悔いをこころに年の暮れ

・フィニッシュこそ大事と聞かす年の暮れ

・年の瀬を病院通いで予定埋め

・初場所の櫓太鼓につくね食べ

・初場所のテレビ桟敷でビール飲む

・初場所のうっちゃり応援背筋のび

・松過ぎの図書館で食うカツカレー

・松過ぎて世情波音さらに増し

・避寒地の図書館埋める老人会

・青き空澄んで厳しき寒気かな

・自室にて座禅まねごと朝茶飲み

・地球の美いく億年の鑿 (のみ) の跡

・団塊も後期の門に乱れ入る

・セルフレジ使いこなして誇らしげ

・不都合を覆い隠してポピュリズム

・世の流れ自由か専制か自明では

・フレイルの行く先みすえ舵握る

・駒カフェの中一 (ちゅういち) の顔なにか懐かし

・蟻地獄かつて遊びし縁の下

・コロナ禍の三年間の老ひ深し

・なにげない写真に浮かぶ老いのかげ



2.第42回  ネット句会  感想と自句自解


◎  小野寺さんの自句自解


・01 4点句 033 寄せ鍋の湯気やはらかに母の味

 子供時代も帰省の時も慎ましやかな団欒の寄せ鍋は母の得意料

理でした。全く意識しませんでしたがyose Yuge Yahatayaのヤ行

の音が心地よい 味覚 触覚 視覚 が働いている、という平島

さんのご指摘は、ありがたいです。

 治部さんのご指摘の様に 良い人生を送ってきたと、感謝です。


・02 4点句 040 侘助が秘めて咲きをり古都の宿

 豊さんの静かで静謐な雰囲気に浸りましたが、平島さんのご指

摘の通り遠い昔ですが危ない時代も超えてきました。


・03 3点句 024 埋み火に過ぎし縁 (えにし) の影燃やし

 埋み火に灰をかけながら燃やしたいのはいつまでも断ち切れな

かった未練の数々でした。男はというか自分は弱い生き物です。


・04 2点句 009 寒椿この世の憂きを知らで咲き

  治部さんのご指摘の通りです。現世は次つぎに憂き事の連続で

す。辛いこの世に一喜一憂せずに、生きてゆきたいものです。厳

しい寒風の中に凛と咲く真紅の寒椿の強さは如何ばかりではあり

ませんか。


・05 2点句 050 吹雪舞ふ波止場の汽笛風に消え

 平島さんのご指摘には恐れ入ります。Fu ha .Kitsuki   Kaze 

kie 吹雪の波止場、もの悲しげな汽笛の音が消え消えに風の音に

かき消されてゆく、少年の日の凄まじい、風景は目と耳、全ての

五感を消し飛ばす程にしっかりと脳裏に刻まれておりました。


・06 2点句 085 墨にほふ降り積む雪の温かし

 部屋の中で硯をすり文を書いておりますと外の世界の寒いはず

のボタン雪が墨の香りに包まれて、温かいと感じたのです。吉良

さん、治部さんの通りです。


・07 2点句 089 亡き人の形見の雪か降り止まず

 友の葬儀の雪の夜、生きたかったであろう、切々とした深い哀

しさが胸をしめつけ、切れ目なく、雪となって降り積むようでも

ありました。


・08 1点句 007 炭はぜて夕餉の匂ひ外は雪

 夕餉の支度は炭のはぜる音に始まり味噌汁の匂いが一緒になり、

外はチラチラと粉雪ながら、慎ましい団欒の風景でした。


・09 1点句 021 凍土に牡丹の花芽赤く棲み

 真っ黒な凍土に晩春に咲く牡丹の花芽は固く紅い生き物の様に

霜柱にも耐え密かに生命を蓄えている様でもありました。


・10 1点句 055 木枯らしの落ちゆく波止場霧笛哭き

 吹き荒れた木枯らしの落ちゆく先は波止場の波濤の先、霧笛が

泣けとばかりにくぐもりの響きを風に晒しておりました。


・11 1点句 057 月光に黒く枝張り冬木立

 吉良さんのご指摘の通り冬の澄んだ空にかかる白い月の明かり

が、冬木立の地強い枝えだを黒々と浮かび上がらせておりました。


・12 1点句 068 小夜時雨行燈の火に髪揺れて

 冬の時雨の夜、行燈の火に揺れる乱れ髪は幻想的な風景の一コ

マでもありました。


・13 1点句 071 冬の蜂夕陽に長き脚を垂れ

  冬の日の夕暮れ、足長蜂は静かにその長い脚を垂らしながら、

夕陽の中を消えてゆきました。


・14 1点句 075 百舌鳥 (もず) 鳴きて鎮守の守りに帷 (とばり) 

降り

 鎮守の森で鋭い声で鳴く百舌鳥の鳴き声は鎮守の森の守り神の

様でもあり、おりしも全てを包み込みながら夜の帷が降り始めて

おりました。


・15 1点句  091 冬霞百舌鳥( もず) 高く鳴き陽は暮れて

 冬霞の寒い日、百舌鳥が一声高く鳴き落日の光に、消えて行く

様でもありました。


・161点句 098 墨青く匂ひて朝の雪景色

 硯で墨を擦る冬の雪の朝胸一杯に吸い込む墨の匂いは心地よく

青い墨は外の白い雪景色に鮮やかな黒を演出したのです。


  絵画展と立て込んだ仕事の合間に投句の期限を延ばして頂き投

句した、21句の中で16句も皆さまの心に響く句があった事は望外

の感激でした。


◎  吉良さんの自句へのコメント


  自句自解は特にありませんが、鎌倉駅からバスで10分ぐらい

の瑞泉寺は訪れる人も多くなく、落ち着いた小さな寺です。そこ

での冬の花の様子を読んでみました。


◎  桑子さんの自句自解


・(005) 目が醒めて目が醒めてなお冬の夜

  7点ももらって恐縮です。頻尿の現況を読みました。毎夜何回

も起きてトイレに行く、冬の夜は寒くて長い、まだ明けないのか

と、どちらかというと長い方に重点をおきました。


・(017) 飲み・歩きコロナ陽性寝正月

  いわゆるハシゴ酒で飲み歩いているのではなく、飲む(会食)

と歩き(ウォーキング)は別々の行動で、「・」をいれてそれを

表したつもりです。勿論それぞれ感染対策はしていましたがコロ

ナにかかってしまいました。


◎  服部さんの自句自解


・(066) 初日の出初屁する孫頬染めて

   1 桑子    孫は女の子ですか。愛いらしい光景が目に浮か

       びます。我々年寄りは所かまわず、恥も外聞もな

       く放屁します。

 放屁したのは小6 の男の子でした。母親が匂いで気づきました。

この件を冬休みの作文宿題に書いていて、又笑ってしまいました。


◎  豊さんの自句自解


・凍鶴は一声鳴いて動かざる 

 小野寺さん、吉良さん、お二人のみごとな鑑賞のとおりです。


・新聞が冷えてポストに冬の朝 

  冬の朝ポストに新聞を取りにいったら、新聞が冷たかったとい

う句なのですが、「取りに来られるのを新聞が待っていた」と解

釈されてしまう欠点があったかもしれません。


・洗顔の水の痛さや寒の入 

 寒の入りの寒さを洗水の水の冷たさで感じたのです。そこそこ

の句ではないでしょうか。


・冬眠の獣目覚める日和かな

 冬眠していた獣が目を覚ますほど、日差しに春らしい暖かさが

出てきたのです。 


・除雪車の轍の跡や北の街

 大雪に悩まされる北国の人たちの苦労を思いました。


・冬過ぎて攻勢に出よウクライナ

 ウクライナ戦争、いつまでつづくのでしょうか。冬の間は思う

ように戦えなかったウクライナが力を取り戻してロシアを撃退す

ることを期待しています。


・赤い目を最後に入れて雪兎 

 降りつもった雪を固めて兎の形を作ったのです。目に南天の赤

い実を入れて。今年の干支の兎にちなんで詠んだのですが、うま

く伝わらなかったようです。


◎  深瀬の自句自解


・(002) 初場所のテレビ桟敷でビール飲む


・(006) 松過ぎの図書館で食うカツカレー

      1 桑子    「食うカツカレー」という表現が正月料理に飽

       きて日常生活に戻った様子がよく表されていると

       思います。

  国会図書館3Fのレストランのカツカレーはなかなかだと思いま

す。


・(010) 駒カフェの中一 (ちゅういち) の顔なにか懐かし

  60年の年齢差を飛び越して向き合うとなにかふしぎな気持ちに

なります。


・(016) 自室にて座禅まねごと朝茶飲み

  藁半紙の束を12cmくらいにして輪ゴムで固めたものを腰に敷く

と半跏趺坐でも背筋を伸ばしてらくに座れます。


・(020) 団塊も後期の門に乱れ入る

   1 豊      後期高齢者という言い方がなんとも不愉快です

       ね。仕方ないけど。

  後期高齢者ということばをはじめて聞いたとき、お役人的発想

に不快感を覚えましたが、75歳を過ぎるとなにか納得してしまい

ます。


・(028) 年の瀬に街路で仰ぐ青き空

  年の瀬の雑踏からやや浮いている存在です (いつも?)。


・(036) 蟻地獄かつて遊びし縁の下

   1 小野寺  我々子供の頃は遊びの一つは自然と向き合うこ

       とでしたね。蟻を落として、中にいるウスバカゲ

       ロウの幼虫を捕まえたりしてました。

  子供のころの自宅の縁の下でよく目にしました。いま思えばお

そろしい光景だと思います。


・(041) コロナ禍の三年間の老ひ深し

   1 志方    実感。

  この年齢になる老化が加速度的に進みます。久し振りに会うの

がややおそろしく感じたりもします。


・(043) 初場所の櫓太鼓につくね食べ

  子供のころ、お相撲を見に行ったときつくねが食べられるのが

たのしみでした。


・(049) 青き空澄んで厳しき寒気かな


・(051) 避寒地の図書館埋める老人会

  暖房費の高騰を思えば、かしこい選択のようにも感じます。


・(053) 歳末の人出なつかし昭和の世

   1 志方    歳末の懐かしい雑踏を思い出します。

  みんなでがんばろうの昭和の雰囲気、なつかしくもありどう反

省すべきか考えさせられます。


・(058) なにげない写真に浮かぶ老いのかげ

  自分は普段こんなに腰が丸くなっていたのかと気がつかされま

す。


・(061) フィニッシュこそ大事と聞かす年の暮れ

  一つひとつけじめを付けることが大切だと最近思います。究極

は死ぬときだと思います。


・(063) 不都合を覆い隠してポピュリズム

  ポピリズムの人達は威勢がよいですが、なにか危ういものを感

じます。


・(067) 地球の美いく億年の鑿 (のみ) の跡

   1 中津川

  地球上にはさまざまな絶景がありますが、その形成には数千万

年という時間が必要であったことに思いを寄せてみました。


・(070) フレイルの行く先みすえ舵握る

 老化の進行を日々感じていますが、弱気すぎず、強気すぎず注

意していきたいと思います。


・(072) 初場所のうっちゃり応援背筋のび

   1 治部    体験句、状況がよく伝わります。何だか自分が

       相撲を取っているようで土俵際思わず背筋が伸び

       ます。春夏秋冬どの場所(季節)でもよいところ

       がどうかな?

 うっちゃりというのは相撲ならではの技で興味深く感じます。


・(083) 松過ぎて世情波音さらに増し

   1 豊      時事俳句として完成されていますね。全く同感

       です。

  民主義国家と権威主義国家の対立は、地球社会の今後をどう左

右するのでしょうか。


・(087) 年の瀬を病院通いで予定埋め

  ここまで病院通いが日常的になるとはかつて予想もしていませ

んでした。


・(090) 年の瀬の一人ひとりの区切りかな

   1 吉良    毎年実感される心境です。

  区切りの付け方というのは、たぶん一人一人みな違うのではな

いかという気がします。自分なりの工夫が必要なのだと感じます。


・(092) 世の流れ自由か専制か自明では

  ロシアや中国のような専制国家が権勢を振るうことに危機感を

覚えます。一方、米国の分断社会化傾向や日本の民主主義がどこ

まで根付いているのかなど心配になったりします。


・(096) 断捨離の悔いをこころに年の暮れ

   1 中津川 

   2 橋本    なかなかですか、往生際悪いんですね。

   3 服部    

 部屋のなかの整理はいつも念頭にあり、介護施設に入るときに

持って行ける範囲にと思ったりします。貴重なものを捨てたと後

悔する? ないと思います。


・(099) セルフレジ使いこなして誇らしげ

   1 志方    アナログ人種にも差別なく。

  昼食用のサンドイッチとかかんたんな買い物のときは、セルフ

レジでバーコードを読み込ませて買うようにしています。


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2023年2月20日月曜日

七句会 第四十二回目のネット句会 選句の結果です。

  七句会のみなさま


 第四十二回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。

今回の選句結果をご報告いたします。


 7 点句

(005) 目が醒めて目が醒めてなお冬の夜          桑子 03


 4 点句

(033) 寄せ鍋の湯気やはらかに母の味           小野寺19

(040) 侘助が秘めて咲きをり古都の宿           小野寺14


 3 点句

(024) 埋み火に過ぎし縁 (えにし) の影燃やし       小野寺10

(044) 朝靄(もや)に群れ語り合う水仙花         吉良 01

(079) 能登の海岩打つ波や虎落笛             治部 02

(096) 断捨離の悔いをこころに年の暮れ          深瀬 04


 2 点句

(009) 寒椿この世の憂きを知らで咲き           小野寺13

(012) 凍鶴は一声鳴いて動かざる             豊   06

(013) 山寺や靴に染み入る雪の道             服部 02

(017) 飲み・歩きコロナ陽性寝正月            桑子 01

(029) 洗顔の水の痛さや寒の入              豊   01

(039) 除雪車の轍の跡や北の街              豊   04

(045) 庫裡暗く蠟梅ほのかに香りけり           吉良 02

(048) 寒椿仏の顔の悟りあり               吉良 05

(050) 吹雪舞ふ波止場の汽笛風に消え           小野寺03

(085) 墨にほふ降り積む雪の温かし            小野寺21

(089) 亡き人の形見の雪か降り止まず           小野寺05


  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前

とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。

  次回については、今年3 月~  4 月ころにご連絡したいと思っています

ので、よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありました

ら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。


 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。


(1) 選句参加者

 今回の選句には、下記の13名が参加しました。

  小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さん、中津川さん、橋本

さん、服部さん、平島さん、宮澤さん、柳町さん、豊さん、深瀬。


(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について

  今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので

はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り

たいと思います。一応、期限としては  03月12日とし、事務方にメールでいた

だき、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/


  2023.02.19


      代表   橋口侯之介

      顧問  豊  宣光

      事務方 深瀬久敬


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(001) めでたきや街道踏破は松の内            中津川05

(002) 初場所のテレビ桟敷でビール飲む          深瀬 08

(003) まばたきて夜寒の翳を仕舞ひけり          小野寺20

(004) 瀬戸の海尽きせぬ思い車窓から           志方 03

(005) 目が醒めて目が醒めてなお冬の夜          桑子 03

   1 吉良    若い時には想像もできない、「老い」の生活に

       共感を覚えます。

   2 治部    何度も目が覚める理由は何でしょうか。寒さの

       せい?悩みでも?  それとも、老人あるあるかな。

       冬の夜の寒さがよく伝わります。

   3 中津川  冬は寒さでさめるのですが、私はトイレで目が

       醒めます。

   4 橋本    私も同感です。繰り返しの表現が効いています。

   5 平島    年寄りの嘆きが、溜息が単純に表現されて冬の

       夜長が身につまされます。

   6 宮澤    飲みすぎて早々と眠りについたが、夜中に何度

       も目が醒める。冬の夜は一向に明るくならない。

       いくつになっても飲みすぎた後の反省ばかりの人

       生。進歩しないことへの反省の句と勝手に解釈し

       ました。

   7 深瀬    夜中に3 回くらい起きることがあり、同感です。

(006) 松過ぎの図書館で食うカツカレー          深瀬 10

      1 桑子    「食うカツカレー」という表現が正月料理に飽

       きて日常生活に戻った様子がよく表されていると

       思います。

(007) 炭はぜて夕餉の匂ひ外は雪             小野寺09

   1 志方    炭の風る音と夕餉の香り、雪の白さコントラス

       トの構成がいいですね。

(008) コロナ癒え元日の空いちめん青           中津川03

   1 吉良    病気をして初めて、普段何気なく見ている空の

       青さを実感できるのでしょう。

(009) 寒椿この世の憂きを知らで咲き           小野寺13

   1 治部    憂き事のない世でありたいものですが、毎日の

       ように事件がありますね。深紅の寒椿は何にもめ

       げず強く美しいものなのでしょう。健気な椿の紅

       が目に浮かびます。

   2 柳町    

(010) 駒カフェの中一 (ちゅういち) の顔なにか懐かし   深瀬 21

(011) 陽あたりて餌場のメジロ春を待つ          小野寺01

(012) 凍鶴は一声鳴いて動かざる             豊   06

   1 小野寺  張り詰めた、厳しい冬の朝、鶴がひと声高くな

       き静寂の中で微動だにしない、冬の厳しさに美し

       さが重なります。

   2 吉良    雪原で瞑想しているごとき鶴の姿が印象的です。

   11月ごろ山形の山寺に登った時

(013) 山寺や靴に染み入る雪の道             服部 02

   1 柳町    

   2 深瀬    「靴に染み入る」は身近な実感です。

(014) ペダルこぐ足元に咲く蕗の薹            柳町 01

   初場所は、晴れ晴れしいですが、現実は寒く

   て雪がちらつく日もあります。

(015) 初場所の東京の空うすら雪             新井 07

(016) 自室にて座禅まねごと朝茶飲み           深瀬 14

(017) 飲み・歩きコロナ陽性寝正月            桑子 01

   1 小野寺  豪放磊落、潔良いではありませんか。人生なる

       様にしかなりませんもの。

   2 服部    

(018) WBC選手決まりて春隣り             中津川07

(019) 稜線を雲と朱に染め初日の出            志方 05

   1 豊      山の上にのぼってくる初日の出の雰囲気が自然

       に出ています。

(020) 団塊も後期の門に乱れ入る             深瀬 16

   1 豊      後期高齢者という言い方がなんとも不愉快です

       ね。仕方ないけど。

(021) 凍土に牡丹の花芽赤く棲み             小野寺15

   1 橋本    観察眼鋭いですね。

   曜変天目を見ましたが、青の輝きに引き付け

   られました。

(022) 国宝の碧の深さの神秘なり             新井 01

(023) 初富士をあと幾だびか拝めるか           志方 02

   1 橋本    最後は「拝めるや」でどうかなとも思いました

       が、、、。

(024) 埋み火に過ぎし縁 (えにし) の影燃やし       小野寺10

   1 中津川

   2 服部    

   3 豊      難しい句ですね。しかし作者の知識の深さが感

       じられます。

(025) 新聞が冷えてポストに冬の朝            豊   02

   1 宮澤    Hot newsも冬の寒さに待つしかない。冷え冷え

       としたポストで、主人が新聞を取りに来るのをひ

       たすら待つという切なさなのかな?

   7日を過ぎてからセールに行っても残り物ば

   かり…。残り物には福がある…を信じて足を

   運びます。

(026) 松過ぎて最終セールの運試し            新井 04

   1 服部    

(027) 夜鳴きそばふるえた声が集まりて          小野寺04

(028) 年の瀬に街路で仰ぐ青き空             深瀬 03

(029) 洗顔の水の痛さや寒の入              豊   01

   1 小野寺  寒の入りの寒さは顔を洗う水を痛いと感じたん

       ですね。

   2 平島    痛さ に水の氷の様な冷たさが出ています。

   冬休みは幸せでした。

(030) 目を閉じて浮世忘れる寝正月            新井 02

   1 桑子    小生年末からコロナ陽性で寝正月、正月準備が

       出来ないやら心配で羨ましいです。

(031) 賀状書き加える文の悩ましき            中津川02

   1 桑子    印刷だけでは味気ないので一言書きたいがいつ

       も迷っています。共感します。

   近所の梅が咲いたので、見たくて通勤も遠回

   りをします。

(032) 家を出て早梅見たさに遠回り            新井 09

   1 宮澤    何か人より先に見つけたと自慢したいために、

       方々出歩く気持ち分かります。

(033) 寄せ鍋の湯気やはらかに母の味           小野寺19

   1 吉良    母の思い出の鍋料理の温かみが「湯気やはらか

       に」で表現されています。

   2 治部    いいですね。帰省の句かなと思いつつ、でも、

       もしかしてこれは母の味を再現してくれた妻への

       感謝の句かもしれませんね。いい人生を送られて

       いると思いました。

   3 服部    

   4 平島    yose yuge yaharakaのヤ行の音が心地よいです。

       味覚 触覚 視覚 が働いています。

(034) 冬眠の獣目覚める日和かな             豊   05

(035) 初春や富士に願掛け初ショット           桑子 02

   1 深瀬    新年の新鮮な気持ちが伝わってきます。

(036) 蟻地獄かつて遊びし縁の下             深瀬 22

   1 小野寺  我々子供の頃は遊びの一つは自然と向き合うこ

       とでしたね。蟻を落として、中にいるウスバカゲ

       ロウの幼虫を捕まえたりしてました。

(037) 新春のホールインワンは想定外           服部 05

   1 治部    おめでとうございます。これほんとに想定外で

       すよね。選者も昨年末12月12日にホールインワン

       やりました。びっくりしましたよ。春から縁起が

       いいですね。嬉しさがわかります。

(038) 孫そろい冷凍お節も馳走なり            中津川04

(039) 除雪車の轍の跡や北の街              豊   04

   1 小野寺  北国の風物詩をさりげなく、しっかりと詠んで

       ます、視覚に轍の跡が残ってます。

   2 深瀬    雪国の街角の風景が目に浮かびます。

(040) 侘助が秘めて咲きをり古都の宿           小野寺14

   1 中津川

   2 平島    妖しい不倫の匂いがして・・・危ないなあ!

   3 柳町    

   4 豊      俳句に熟練された作者の句だと思いました。静

       かで美しい雰囲気が良く出ています。

(041) コロナ禍の三年間の老ひ深し            深瀬 23

   1 志方    実感。

(042) 寒風に足取り急かし丸の内             桑子 05

   1 宮澤    ゆっくり歩けばよいのに、なぜか寒さは人をせ

       かすものですね。

(043) 初場所の櫓太鼓につくね食べ            深瀬 07

   冬の鎌倉瑞泉寺にて (5 句) 

(044) 朝靄(もや)に群れ語り合う水仙花         吉良 01

   1 小野寺  朝靄の中で群生した水仙の花が語り合う、とし

       たところが面白い、

   2 服部    

   3 柳町    

(045) 庫裡暗く蠟梅ほのかに香りけり           吉良 02

   1 中津川                  

   2 平島    Kuri  Kuraku     Kaori  Keri  音読してみる

       とカ行で始まりカ行で終わる響きが上手いなあと

       思います。

(046) 霜柱門前の石飛び散らん              吉良 03

   1 橋本    土を持ち上げる霜柱、石も一緒に持ち上げまし

       たか。

(047) 寒梅や苔むす枝に花光る              吉良 04

   1 服部    

(048) 寒椿仏の顔の悟りあり               吉良 05

   1 豊      この句にも作者の心のゆとりが感じられます。

       寒椿に仏の悟りがあったとは意外でした。

   2 深瀬    寒椿に仏の顔の取り合わせに同感しました。

(049) 青き空澄んで厳しき寒気かな            深瀬 13

(050) 吹雪舞ふ波止場の汽笛風に消え           小野寺03

   1 平島    これもfu ha.  Kiteki Kaze kie とたたみ込ん

       で目と耳が冴えています。

   2 宮澤    五感をすべて消し去る風の寒さを感じます。

(051) 避寒地の図書館埋める老人会            深瀬 12

   私は、趣味としてミニSLを走らせています

   (5年かけて製作しました)。先日の運転会

   で吹き上がる蒸気の向こうに白梅がかすんで

   見えるところを詠んでみました。

(052) SLの蒸気にかすむ白梅や             柳町 02

   1 志方    すごい努力の跡がしのばれます。

(053) 歳末の人出なつかし昭和の世            深瀬 01

   1 志方    歳末の懐かしい雑踏を思い出します。

(054) 今年こそ心おきなく花見酒             志方 06

   1 桑子    ほんとに同感です。

(055) 木枯らしの落ちゆく波止場霧笛哭き         小野寺16

   1 柳町    

   初場所は着物で来るご婦人が多いですから、

   美しい女性を拝見する場所でもあります。

(056) 初場所や着物姿の美人ショー            新井 06

   1 桑子    九州場所で話題になった和服美人もいましたね?

(057) 月光に黒く枝張り冬木立ち             小野寺06

   1 吉良    冬の透明な空の月の明かりと冬木立の黒い枝の

       色の対比が絵画を見ているようです。

(058) なにげない写真に浮かぶ老いのかげ         深瀬 24

(059) 碧き空風が軋ます冬木立              志方 01

   年賀状は神様が、新年のお福を運ぶと良いで

   すね。

(060) 福の神幸せ運ぶ賀状かな              新井 11

(061) フィニッシュこそ大事と聞かす年の暮れ       深瀬 05

(062) 命日の墓参寒梅は紅(あか)            中津川06

(063) 不都合を覆い隠してポピュリズム          深瀬 18

(064) 寒鴉頭上に集うごみ出し日             桑子 04

   1 小野寺  鴉は頭の良い鳥です。ちゃんとゴミ出し日に網

       の破れ目をつつくと生ごみの餌にありつける事を

       知ってますね。生きてら行く為になんと健気では

       ありませんか。

(065) ふぐ鍋や三河日間賀の海は残照           中津川01

   皆で初日の出を見に行ったときの事

(066) 初日の出初屁する孫頬染めて            服部 01

   1 桑子    孫は女の子ですか。愛いらしい光景が目に浮か

       びます。我々年寄りは所かまわず、恥も外聞もな

       く放屁します。

(067) 地球の美いく億年の鑿 (のみ) の跡         深瀬 15

   1 中津川

(068) 小夜時雨行燈の火に髪揺れて            小野寺12

   1 桑子    幻想的な情景が浮かびます。

(069) 老いるとは冬の痒さに耐える事           服部 03

(070) フレイルの行く先みすえ舵握る           深瀬 20

(071) 冬の蜂夕陽に長き脚を垂れ             小野寺07

   1 豊      冬の蜂の脚に目をつけた作者の鋭い観察眼に拍

       手です。

(072) 初場所のうっちゃり応援背筋のび          深瀬 09

   1 治部    体験句、状況がよく伝わります。何だか自分が

       相撲を取っているようで土俵際思わず背筋が伸び

       ます。春夏秋冬どの場所(季節)でもよいところ

       がどうかな?

   都会にある山王坂ですが、清い風が吹き抜け

   ます。

(073) 青い空清い風吹く山王坂              新井 10

(074) 冬過ぎて攻勢に出よウクライナ           豊   07

(075) 百舌鳥 (もず) 鳴きて鎮守の森に帷 (とばり) 降り  小野寺17

   1 志方    鎮守の森がむなしい昨今。

   年末に近所のお宅の窓ガラスを拭く女性を見

   かけました。伝統的な大掃除がいいと思いま

   した。

(076) 雑巾でサッシを拭く嫁古き日本           新井 03

   1 治部    昔は障子の桟でしたが今はサッシですね。雑巾、

       嫁も古いですね。選者も古い人間ですので何だか

       ノスタルジーを感じますね。字余りが少し気にな

       ります。

(077) 夜鳴き蕎麦屋台の空に月のあり           小野寺02

   年末年始に金沢に旅行しました。生憎の天気

   でしたが、時々晴れ間もありました。その時

   の3 句。帰ってからの2 句。 (5 句) 

(078) バイキング思いもよらず雑煮かな          治部 01

(079) 能登の海岩打つ波や虎落笛             治部 02

   1 中津川  冬の日本海の荒れる様子が判ります。

   2 平島    日本海の荒波の音に虎落笛を聴くセンスを好も

       しく思います。

   3 深瀬    虎落笛 (もがりぶえ) から荒々しい冬の寒さが

       伝わってきます。

(080) 冬虹や雲間に出ず消ゆ日本海            治部 03

   1 柳町    

(081) 七福神巡る利益や鷹の舞              治部 04

(082) お焚き上げ大國魂神社で蕎麦            治部 05

(083) 松過ぎて世情波音さらに増し            深瀬 11

   1 豊      時事俳句として完成されていますね。全く同感

       です。

   本格的に朝の通勤ラッシュも戻って、忍耐の

   日々が始まります。

(084) 松過ぎて通勤電車に耐える日々           新井 05

(085) 墨にほふ降り積む雪の温かし            小野寺21

   1 吉良    部屋の中で書道をしているのでしょうか。ガラ

       ス越しに見える冷たいはずの雪が、綿のようにふ

       んわりと暖かいという表現が面白い。

   2 治部    外気の凍てつくような寒さと暖房された部屋の

       温もりの対比が、墨の香りで強調されています。

       雪国の冬の普通の様子がよく見えるいい句だと思

       います。

(086) 赤い目を最後に入れて雪兎             豊   03

(087) 年の瀬を病院通いで予定埋め            深瀬 06

(088) 隣家よりよき塩梅の沢庵が             服部 04

(089) 亡き人の形見の雪か降り止まず           小野寺05

   1 橋本    亡き人の雪にまつわるエピソードが気になりま

       す。

   2 深瀬    亡き人への思いをなかなか降りやまない雪へ託

       すのは印象的です。

(090) 年の瀬の一人ひとりの区切りかな          深瀬 02

   1 吉良    毎年実感される心境です。

(091) 冬霞百舌鳥 (もず) 高く鳴き陽はくれて       小野寺18

   1 柳町    

(092) 世の流れ自由か専制か自明では           深瀬 19

(093) 冬晴れに恃みて高き杉木立             小野寺08

   今年はどこへ行こうか心が弾みます。

(094) ウキウキと旅行支援の紙めくる           新井 08

(095) 年賀状まだ飲んでるか問い交す           志方 07

(096) 断捨離の悔いをこころに年の暮れ          深瀬 04

   1 中津川 

   2 橋本    なかなかですか、往生際悪いんですね。

   3 服部    

(097) 渡り鳥凍てつく湖面一休み             志方 04

(098) 墨青く匂ひて朝の雪景色              小野寺11

   1 志方    真っ黒な墨が浮かびます。

(099) セルフレジ使いこなして誇らしげ          深瀬 17

   1 志方    アナログ人種にも差別なく。


  --------


  僣越ですが、選句に添えられたコメントをご参考までに添付します。


・橋本さん

  新型コロナの感染も漸く下火になってこのまま落ち着いてくれると良いです

ね。私昨年11月末、3 年振りの胃内視鏡検査で初期の胃癌が見つかり、柏の葉

にあります国立がん研究センター東病院( 車で30分) に入院、治療しました。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) という1 時間ほどの手術を受け、7 泊8 日で2 

月5 日に退院しました。当初は食事後に胃部に違和感が残りましたが、最近は

改善しています。花の咲く頃にはゴルフと酒もOKの元の生活に戻れるかなと期

待しています。1 月12日に今回の投句案内のメールを頂いたようですが、ゴタ

ゴタしていて削除してしまったようです。


・平島さん

  今回もまた選句のみに参加させて貰います。七句だけはきついですね。


・宮澤さん

  年のせいか、冬の寒さにかかわる句ばかり選んだようです。


・豊さん

 今回は力作が多くて、選ぶのに悩みました。


                                                         

2023年1月25日水曜日

七句会 第10回 自由連句、満尾しました。

  七句会 第10回 自由連句のみなさま


  第三十六句目 (名残裏  挙句 春) を、豊さん、ありがとうございます。

  おかげさまで、今回の連句も、約2 ヶ月にて満尾することができました。

  感想、等ありましたら、2 月上旬ころまでにお願いします。

  豊さんと相談して、適当な時期に今回の歌仙をレビューする場をもちたい

と思っています。参加は自由です。よろしくお願いします。


 初折表

01 発句  秋   野佛の眠り起こすや稲光り             (小野寺) 

02 脇   月    夕月待てる旅人の群れ                 (吉良) 

03 第三句 秋  枯れ尾花風に揺られて影永く             (志方) 

04 四句目  雑    表札掲げ終える引っ越し               (豊) 

05 月の座  夏  引退し数珠持ち巡る夏の日々             (深瀬) 

06 折端    夏    老いた釣り人飛び跳ねる鮎             (平島) 

  初折裏

07  折立  雑  世界戦体操ニッポン目指せ金       (吉良) 

08  二句目 恋    星の月夜に尽きぬ語らひ         (小野寺) 

09  三句目 恋  不意の雨相合い傘の二人にて       (豊) 

10  四句目 雑    同じ夢みたあのプーチンと       (志方) 

11  五句目 雑  許すまじ市民殺めし侵略者        (小野寺) 

12  六句目 雑   軍拡費用危ぶむ福祉          (深瀬) 

13  月の座  冬月 枯れ澄みた山河照らして冬の月      (平島) 

14  八句目  冬     熱燗交わす露天の湯殿             (吉良) 

15  九句目  雑   柏手の響く出雲に朝陽射し        (深瀬) 

16  十句目  雑    喜怒哀楽の人生なれば         (豊) 

17  花の座  花   彼岸ばな一輪一輪の顔ありし        (吉良) 

18  折端    春      花散る里に陽の光降る            (小野寺) 

  名残表

19  折立  春  朧月いま遠山の上にあり            (豊) 

20  二句目 雑     冷気に醒めてすばる煌々        (志方) 

21  三句目 雑   変わらぬは獣に変わる人の闇       (小野寺) 

22  四句目 雑     碁盤はさみて闘う平和          (深瀬) 

23  五句目 夏   蝉獲りを競った琵琶の木今はなく     (志方) 

24  六句目 夏     麦酒傾け亡き友思う               (吉良) 

25  七句目 雑   漆黒に浮かぶ地球の蒼さかな         (深瀬) 

26  八句目 恋     手に手を取りて夢の世界へ         (豊) 

27  九句目 恋   燃え盛る乙女心や西鶴忌             (吉良) 

28  十句目 雑     故郷とほくこの道を征く        (小野寺) 

29  月の座 月   みちのくの旅の思い出萩の月       (豊) 

30  折端    秋     稲刈り終えて田は遊び場に       (志方) 

  名残裏

31  折立  秋   木枯らしの落ちゆく波止場霧笛哭き    (小野寺) 

32  二句目  雑     タワマンの子らゲームに浸る        (深瀬) 

33  三句目  雑   空狭く銀河も富士も今は消え        (志方) 

34  四句目  雑     広重たどり江戸を出立            (吉良) 

35  花の座  花   過疎の村愛でる人なく花の咲く      (深瀬) 

36  挙句   春     こころ楽しき春ぞ待たるる        (豊) 


 36の付け筋 (豊さん) 

 一月下旬、まだ冬の寒さの真っ最中です。早く暖かい春になってくれと待ち

遠しく思われます。挙句としてうまく収まるように付けてみました。


 35の付け筋 (深瀬) 

  東京一極集中的な開発が進む一方、少子高齢化の流れは止まらないようです。

人間はなにを求めて動き回っているのでしょうか。


 34の付け筋 (吉良さん) 

  大都会を脱出してさあ広重の東海道53次をたどろう。


 33の付け筋 (志方さん) 

  黄昏時、久しぶりに新宿西口周辺をぶらぶらしておりました。中学生の頃、

まだ淀橋浄水場があったころ、このあたりで仲の良い友人たちとやはりぶらぶ

らした記憶が蘇りました。黄昏の空を背景に、富士の雄姿に帳が降り、天の川

など星空が観測できていた光景が懐かしい。摩天楼に囲まれた今の新宿は空気

も澱み、息苦しさが拭えません。


 32の付け筋 (深瀬) 

  都内は超高層ビルが林立するようになりました。タワマンで育った子供たち

は、大人になってふるさとをどのように思い浮かべるのでしょうか。仮想空間

のなかを自由奔放に行き来する時代になっているのでしょうか。


 31の付け筋 (小野寺さん) 

  30句目志方さんの田圃のガキの頃の思いでから、私の故郷は、岩手の港町釜

石ですが、明治時代からの幾度もの津波による震災で辛酸を舐めてきました。

港街は、秋も深まると荒涼とした海岸の向こう、木枯らしが吹き荒び、海猫の

声に時折鳴る外洋船の霧笛が、泣けとばかりに深い感慨を誘いました。。。ふ

るさとは遠きにありて、思ふもの、そして、哀しく、うたうもの。。なのかも

しれません。


 30の付け筋 (志方さん) 

  恋の思い出から、年末途中下車した故郷のガキの頃の楽しみは刈り取られた

田んぼに刈られた藁くず、色んな遊びを懐かしく思いだします。今はスーパー

マーケットが建ち、当時の痕跡は跡形もありません。


 29の付け筋 (豊さん) 

 萩の月は仙台の銘菓です。かつて仕事で仙台へ出張したときはいつも土産に

萩の月を買っていました。また、最近は他の人から土産として萩の月をもらう

こともあります。おいしいお菓子ですね。


 28の付け筋 (小野寺さん) 

  26.27 と続いた恋の句から飛翔して、旅に病み、という芭蕉の枯れ野の夢に

憧れます。遠くふるさとを離れて歩んできた一筋の細い路は、枯れ野の先に続

いているかもしれません。人は皆永遠の旅人なのです。


 27の付け筋 (吉良さん) 

  古今東西、世に残る恋物語は「やおやお七」など悲恋に終わるものが多いよ

うです。


 26の付け筋 (豊さん) 

  恋する男女が、周囲の理解を得られずに幸せを求めて、二人だけの宇宙、夢

の世界へ旅立って行くのです。駆け落ちかもしれないし、心中かもしれません。


 25の付け筋 (深瀬) 

  思いを過去から未来に馳せてみました。多くの人々が宇宙から地球を眺める

ようになると、国境などなくなっているのでしょうか。


 24の付け筋 (吉良さん) 

  都市開発で子供のころの景色も人も全く変化し、寂しい限りです。郷里の駅

前の飲み屋で一杯やり、昔を懐かしむ心境。


 23の付け筋 (志方さん) 

  故郷の停車場に途中下車して、幼少時蝉獲りに明け暮れた琵琶の林があった

はずの場所は確か天神様の裏にあったと、探し回ったのですが社ごと消え失せ

て、無味乾燥な広場になってしまったようです。何時も蝉を取りそこない、悪

ガキ仲間に馬鹿にされていたことをほろ苦く思い出しました。


 22の付け筋 (深瀬) 

  囲碁は、盤上の石の生き死にをかけた非情な格闘技だと思います。しかし、

負けて終わったとしても、相手への敬意と自分の非力への自省の気持ちですが

すがしいものがあります。プーチンは柔道家とも聞いていますが、武士道的精

神はどう理解されているのか困惑してしまいます。


 21の付け筋 (小野寺さん) 

  志方さんの大宇宙に輝く昴の瞬きを受けて、昔ロシアのシベリア鉄道で見上

げた、悠久の冬のオリオンは荘厳に時を刻んでおりました。悲惨な戦争を体験

したロシアの文豪トルストイやドストエフスキー達は、何故為政者が獣に変貌

して戦争に導いたかと糾弾しました。時を経て今ロシアを突き動かす者がこの

獣である事は、議論の余地がありません。歴史が繰り返される事の冷酷な現実

を我々は知らねばなりません。


 20の付け筋 (志方さん) 

  新春の宵、ほろ酔い気分を覚ますように漂う冷気。ふと見上げると、こんな

都会にも多くの星座が輝いて宇宙の大パノラマを垣間観ました。


 19の付け筋 (豊さん) 

  花が散った里が夜になりました。寝静まった里を山の上から朧月が見下ろし

ているのです。


 18の付け筋 (小野寺さん) 

  彼岸花の群生は、秋の深まりの寂寥を誘いますが、春の寂寥の風景は山里に

散りしく桜吹雪が光となって舞い散る光景ではないでしょうか。


 17の付け筋 (吉良さん) 

  人生の喜怒哀楽が一人ひとり変わるように、群生している彼岸花にも一輪ご

とに色々な表情を感じます。


 16の付け筋 (豊さん) 

  朝陽に向かって柏手を打つのは、何か悩みごとがあって祈りもしくは願いご

とがあったのでしょう。煩悩があるからこその人間、人生ではないでしょうか。


 15の付け筋 (深瀬) 

  夜の景色から、小泉八雲の描いた出雲の朝の風景に転じてみました。朝陽に

向かって柏手 (かしわで) を打ち拝む人間の姿です。


 14の付け筋 (吉良さん) 

  平島さんの句から、昔蔵王温泉で、露天風呂につかりながらお燗を飲んだス

キー旅行の記憶がよみがえりました。


 13の付け筋 (平島さん) 

  天然自然は休むことなく動いており木々は葉を落とし凛として立ち、河にも

澄んだ水が流れて人の世の些細な争いなど関係なく四季は巡り月は玲瓏と天か

ら清らかな光を地上に降り注ぎ照らしている。

 人事が続いていますので天象に転じて見ました。


 12の付け筋 (深瀬) 

  多様性を認めない自国ファーストの権威主義体制は、民主主義体制に多額の

軍事予算を突きつけます。こども支援、リスキリング、等も必要不可欠ななか、

赤字国債は膨らむ一方です。


 11の付け筋 (小野寺さん) 

  志方さんのプーチンの夢を受けて、21世紀のこの時代にヒトラーさながら独

立国家を傲然と侵略する狂人が存在し、一年にならんとする今もって世界はそ

の侵略を止めきれずにいる。恐ろしい現実ですが、明日は我々に降りかからな

いという保証はありません。こころして生きるべきと思います。


 10の付け筋 (志方さん) 

  アイアイ傘もいいけれど、恋も友情も入れ込みすぎるとおおやけどに注意。


 09の付け筋 (豊さん) 

  星の月夜かと思っていたら、急にポツポツと雨が降ってきたのです。相合い

傘で肩を寄せ合う二人には、雨はむしろ嬉しいものでした。


 08の付け筋 (小野寺さん) 

  跳び跳ねる若者のイメージを受け、喧騒の雑踏を離れて心震わせて語らう若

い恋人達を静謐な星月夜が包んでおりました。


 07の付け筋 (吉良さん) 

 世代交代した日本の体操選手の、ピチピチして飛跳ねる若鮎のごとき活躍を

期待して。


 06の付け筋 (平島さん) 

 旅の途次見た光景。田舎の清流で釣り糸を操るのは老人。一方飛び跳ねて泳

ぎ登リ行くのは元気な鮎。


 05の付け筋 (深瀬) 

  引っ越しは転勤族の運命でしたが、引退したら、今度は巡礼の旅に心を洗い

ます。 (平島さんの「ここはただの夏の句でよく月は第二句で出ていますので

月は詠みこまなくて良いと思います。」を踏まえました。) 


 04の付け筋 (豊さん) 

  「旅人」「風に揺られて」という流浪のイメージを「定住」に変えてみまし

た。


 03の付け筋 (志方さん) 

  陽ざしの文言が続いたので、山路の路傍に映えるすすきの影の揺らぐ様をよ

んでみました。


 02の付け筋 (吉良さん) 

  地蔵様を醒ますような秋の嵐が過ぎて、美しい秋の夕月を待ちわびる旅人の

気持ちをよみました。


 01発句自解 (小野寺さん) 

 京都を旅した折嵯峨野で秋の雷雨に逢った折一天俄にかき曇った空から刹那

に光った稲妻が野佛の顔を照らして1000年の眠りから目覚めさせたと感じたの

です。


 深瀬 (事務方) 


・補足 適宜、下記を参照いただければ幸いです。

 七句会第10回自由連句の要領

  http://nanaku-haiku.blogspot.com/2022/11/10.html


・七句会  第10回自由連句  レビュー会のご報告

 七句会自由連句関係のみなさま


  昨日 (2023年3 月3 日) は、第10回目の連句結果を踏まえ、小野寺さん、吉

良さん、志方さん、豊さんとともに、新宿でレビュー会を行うことができまし

た。

 とはいえ、レビュー内容としては、平島さんの1 月28日付けのご指摘 (平島

さんからのご指摘 1) で言い尽くされているという合意のもとに、雑談に終始

してしまいました。

  強いて反省するとすると、付け筋の説明がなくても連句の醍醐味を味わえる

ようになることを目指すというものでしたが、一足飛びには無理だろうとして

、意識して工夫していくということになりました。

  ご多忙のなか、ご参加、たいへんありがとうございました。

 今後とも、よろしくお願いします。

  深瀬


 追記

  3 月3 日のレビュー会の後、平島さんから、下記の「平島さんからのご指摘

 2 (23.03.05) 」の追加のご連絡がありました。


○平島さんからのご指摘 1 (2023.1.28)

 深瀬さん

 皆さん


  今回はお声を掛けて頂き2 句参加出来また私事ながら孫が大学に受かったニ

ュースもありまして忘れがたい興業となりました。

 有難う御座いました。


 気なった点を下記します。

1)17花の座 吉良さんの句では彼岸花となっていますがここは賞翫の花(

連歌では桜に決まっていました)であるべきで彼岸花は秋の季語でしかも狐花

とか死の花とか縁起の悪い花に分類されておりますので今後は気をられたら良

いと思います。


2)18の小野寺さんの花は場所をずらせたと言えばそれまでですがここは単

なる春の句で良かったと思います。


3)19 朧月はやはり月であり歌仙の場合2花3月が原則でこれでは4月と

なり月の出番が多すぎるきらいがあります。


4 )27の西鶴忌 34の広重 江戸時代の有名人 二人はちと行き過ぎの感あり

。固有名詞は便利だけどインパクトが強すぎて逆に句想が貧弱になります。


5 ) 23今はなく 33今は消え 35愛でる人なく失われたものを懐かしがり恋し

がる気持ちはわかります。述懐 無常よりも36歩前へ前へが芭蕉の精神です。

お忘れなく。


  言いたい事を言わせてもらいました。

  ヨーロッパは寒いですがここはマイナスにはなりません。ここポルトガルは

今日日中は13度でした。東京は歴史的な寒さの様で皆さんどうぞご自愛くださ

い。

 平島道彦拝

   

○平島さんからのご指摘 2 (23.03.05) 

  もう一度ゆっくりと見直しましてこんな感想が出て来たので報告します。

 表六句は穏やかに詠むべしで神祇釈教恋無常などは避けるべしとあります。

発句の「野佛」5 句目の「数珠」は厳密に言えば少し抵触するかなぁと思い至

りました。

 蕉風連句の目指した軽みと言う視座から見回して見ますと未だ重厚長大感な

きにしもあらずでこれもこれからの課題かなと感じました。

 でも大事な事は皆でワイワイガヤガヤ愉しく遊ぶ事ですから今の調子で続け

られると良いと思います。




2022年11月27日日曜日

七句会 第10回 自由連句 実施要領

  七句会自由連句のみなさま    (各座の詠み手を訂正しました。) 


  いつもたいへんお世話になり、ありがとうございます。

  第10回目の七句会自由連句を下記要領にて行いたいと思います。前回からや

や間があいてしまいたいへん申し訳ありません。よろしくお願いします。

  今回は満尾しましたら、有志でやや踏み込んだレビューをしてみたいと思っ

ています。

  なにか気になることがありましたら、適宜、ご連絡ください。

  吉良さん、二句目をよろしくお願いします。

  深瀬 (事務方) 


  --------


・参加者 小野寺さん、吉良さん、志方さん、豊さん、深瀬(5名) 

  注。今回、新井さんは体調等のご都合でお休みです。よろしくお願いします。

・発句  野佛の眠り起こすや稲光り   小野寺さん

  作者自句自解

 京都を旅した折嵯峨野で秋の雷雨に逢った折一天俄にかき曇った空から刹那

に光った稲妻が野佛の顔を照らして1000年の眠りから目覚めさせたと感じたの

です。


・座

  初折表六句

01 発句   秋    小野寺

02 脇    月     吉良

03 第三句  秋      志方

04 四句目  雑      豊

05 月の座  夏    深瀬

06 折端   夏    平島

 初折裏十二句

07 折立   雑    吉良

08 二句目  恋      小野寺

09 三句目  恋      豊

10 四句目  雑      志方

11 五句目  雑      小野寺

12 六句目  雑      深瀬

13 月の座  冬月   志方

14 八句目  冬    吉良

15 九句目  雑      深瀬

16 十句目  雑      豊

17 花の座  花    吉良

18 折端   春    小野寺

 名残表十二句

19 折立   春    豊

20 二句目  雑      志方

21 三句目  雑      小野寺

22 四句目  雑      深瀬

23 五句目  夏    志方

24 六句目  夏      吉良

25 七句目  雑      深瀬

26 八句目  恋      豊

27 九句目  恋      吉良

28 十句目  雑      小野寺

29 月の座  月    豊

30 折端   秋    志方

 名残裏六句

31 折立   秋    小野寺

32 二句目  雑      深瀬

33 三句目  雑      志方

34 四句目  雑      吉良

35 花の座  花    深瀬

36 挙句   春    豊                      

・式目  特に前回と変わりません。同じ語句の使用は避ける、付合において

場面の繰り返しや後戻りはしない、付合の背景の補足コメント (付け筋) を簡

単に付記する、といった程度です。

  若干追加しますが、月、花の座については遵守する、固有名詞の使用はバラ

ンスを考慮する、雅的な雰囲気は少し避ける、などです。恋の座は復活しまし

た。また、表六句が序、裏~名残表が破、名残裏が急、あるいは、表六句が起

、裏が承、名残表が転、名残裏が結といっためりはりを意識したいと思います

  補足

  各座を詠む上での備考です。

  下記より転記。

  http://www.local.co.jp/renku/4.html 


  初折表六句

01 発句    や、けり、かな、などの切れ字を用いるのが好まし

       い、とされる。

02 脇     発句に密着し同季同場同時で補完。

03 第三    前句から転じて、て、に、にて、らん、もなし、の

              留字で留める。

04 四句目   軽くサラリとつける。

05 月の座   発句が秋の月の句の時は無季の句をつける。

06 折端    軽くテンポのいい句をつける。

 初折裏十二句

07 折立    恋の句はまだ早い。

08 二句目   独自の発想でバンバン行く。

09 三句目   恋句はこのあたりからだすのがよいともいわれる。

10 四句目   恋句は二句続ける。

11 五句目   独自の発想でバンバン行く。

12 六句目   同上。

13 月の座   句の流れで月の句はもっと後でもよい。

14 八句目   月の句の次は季節に準ずる。

15 九句目   独自の発想でバンバン行く。

16 十句目   花の句の前は植物を詠まないようにする。

17 花の座   花の句の定座、花とは桜のこと。但し発句が桜の時

       は梅を詠んでもいい。

18 折端    春の季語を入れて独自の発想でバンバン行く。

 名残表十二句

19 折立    春の季語を入れて独自の発想でバンバン行く。

20 二句目   独自の発想でバンバン行く。

21 三句目   同上。

22 四句目   同上。

23 五句目   このあたりで季節を詠む。

24 六句目   季節は二句続いたほうが好ましい。

25 七句目   独自の発想でバンバン行く。濃厚な恋句を二句続き

       で盛り込むとよい。

26 八句目   同上。

27 九句目   同上。

28 十句目   同上。

29 月の座   以前に詠まれた月の句と同趣同景にならぬようにす

       る。

30 折端    以前に詠まれた秋の句と同趣同景にならぬようにす

              る。

 名残裏六句

31 折立    ここからは考え込まないで軽く穏やかな句をテンポ

       よく詠む。

32 二句目   テンポよく穏やかに詠む。

33 三句目   同上。

34 四句目   同上。

35 花の座   以前に詠まれた花の句と同趣同景にならぬようにす

       る。

36 挙句    穏やかにおわる。


 ------


2022年11月15日火曜日

七句会 第四十一回目のネット句会 作品集と自句自解です。

  七句会のみなさま


 第四十一回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、

たいへんありがとうございました。

 およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ

てお届けします。


 今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。

 七句会のweb  http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。

  今後とも、よろしくお願いいたします。

  深瀬 (事務方) 



1.第41回  ネット句会  作品集


(01) 秋元さん

・十六夜の月を愛でしか屋形船

・沸壺の水を沸かして呑む抹茶

・山里の朝紅にて湯音聞く


(02) 桜子さん

・運動会猪突猛進たすきリレー

・運動会マイムマイムで日が暮れる

・スズメの群かかし朗希に逃げるかな

・幾千のピンクの扇合歓の花

・秋の夜ハイビスカスの寂し気な

・ビアガーデン会話無くとも気は弾む

・つがるりんご豪雨に耐えて明ける朝

・黄色の葉ハイビスカスに秋のトーン


(03) 小野寺さん

・初秋の露匂ひける逢瀬かな

・野辺おくり蜻蛉を風に従へて

・音もなく月光穿つ銀薄 (すすき) 

・湖 (うみ) 夕日ひぐらしの声水に入り

・筆置きて十六夜 (いざよい) 残る空仰ぐ

・頬杖の御佛の瞳 (め) に秋思満ち

・時雨来て艶やかに濡れ柿紅葉 (もみじ) 

・赤蜻蛉微塵に光り風となり

・虫鳴きて路地裏の闇やはらかし

・翅たたむ陽だまりの墓秋の蝶

・虫時雨 (しぐれ) 月夜に銀のすすき揺れ

・野佛の眠り起こすや稲光り

・風哭きて入り陽に燃ゆる曼珠沙華

・空澄みて岸辺に赤き曼珠沙華

・滝しぶき櫨 (はぜ) の紅葉はひるがえり

・女郎花 (おみなへし) 揺れ合う霧の道しるべ

・杉木立日暮れて百舌鳥 (モズ) の声高し

・引きぎわの声をかぎりに雁は発ち

・霧の海哭き呼び交わし鳥渡る

・秋彼岸円空佛に陽は翳り

・百舌鳥 (もず) 叫び贄の枯れ枝風に鳴り


(04) 吉良さん

・白寿なる義母の微笑みぶどう噛む

 島根・大山ゴルフ旅行の思い出 (6 句) 

・寒の朝酔いも彼方にしじみ汁

・宍道湖の白帆すべらす秋の風

・怪談を語る鈴虫八雲荘

・出雲なる社飛び来るオニヤンマ

・秋あかね五線譜上を浮き沈み

・朝寒の大山めがけティーショット


(05) 桑子さん

・老人が老人祝う敬老の日

・国葬の女王に祈り子規忌かな

・国葬に黙祷抗議秋の空

・見渡せば360度天高し

・パッティング行きつ戻りつ秋日かな

・柿食えば(カキク)苔(コケ)が残れしか行かな


(06) 志方さん

・うろこ雲黄昏染める錦鯉

・しみじみと冷や酒喉にゲソをかみ

・曼殊沙華彼岸過ぎれば朱が褪せて

・いわき沖真一文字の水平線

・土塀越し柿の実色ずく城下町

・鹿威し子トンと響く冷気かな

・折詰を鳶にさらわれほれぼれと


(07) 中津川さん

・敬老日いらぬ祝意の「おめでとう」

・コロナ慣れ行列「赤福」伊勢の秋

・山門へ登る足元彼岸花

・秋ナスやぬか漬けしぎ焼き天ぷらも

・村神やあと一本の秋空へ

・しわ増えて金婚記念や紅葉狩り

・回る寿司値上げ告知の秋の暮


(08) 橋本さん

 庭の菜園の獅子唐を (2 句) 

・獅子唐の大樹となりて実六百

・獅子唐の辛きに当たるは宝くじ

 取り敢えず東北の旅を (2 句) 

・尻屋崎津軽海峡秋優し

・錦秋の月山拝みて旅仕舞い

 最近のゴルフに思うこと (2 句) 

・ゴルフとは18ホールのドラマかな

・女子ゴルフ新人満開秋桜


(09) 服部さん

・飛距離落ち嘆くシニアの秋コンペ

・秋冷やホットな便座にほっとして

・母介護認定進むや秋の暮

・枯葉道ともに老いたる主と犬

・街宣車靖国神社金木犀


(10) 宮澤さん

・街流る川の瀬さやか鯉の影

・動くなよマーカー代わりの赤とんぼ

・お湿りを待っていたのに雨台風

・枝豆の茹で方ひとつで料理通

・家族連れ校舎の向こうは運動会

・恋文に残暑の汗で書き直し


(11) 豊さん

・悲しみは海より深し秋刀魚食う

・黄金の秋の寺なる阿弥陀仏

・水澄みて川底の石透かれけり

・敬老日孫の笑顔にいやされぬ

・野分過ぎ晴れ上がりたる今朝の空

・全山紅葉観光船下る

・虫の声途絶えて夜の闇深し


(12) 深瀬

・合歓の花葉音宇宙に溶け込まし

・合歓の花正田邸跡ひっそりと

・夜の秋別れの記憶遠き日々

・夜の秋海の笑顔のよぎりゆく

・夜の秋ショパンの音色遠くから

・秋の夜寝返り続く老いひとり

・秋の夜不登校の孫気にかかり

・終活のメモに手入れす秋の夜

・コロナ禍の秋に尾を引く後遺症

・老いの秋根気意欲のなき嘆く

・ためらわず優先席に座る秋

・おだやかな秋晴れの朝世にうれい

・都会の夜おごりを笑う虫の音

・月あかりすすきの原に銀の波

・曼珠沙華ロシアの狂気燃え盛る

・曼珠沙華たんぼのなかの墓地に咲き

・曼珠沙華アル中で死し叔父の髪

・名月夜太鼓に躍る古代人

・名月に稜線湖面冴え冴えと

・名月に落ち武者仰ぐ妻や子ら

・名月の砂浜埋める亀の列

・対岸のにぎわいひそり名月夜

・蓑虫の唯我独尊風に揺れ

・蓑虫の夕陽背にする梢かな

 谷中夕焼け酒場(2022.9.16)  (3 句) 

・駒東の浦島太郎秋うたげ

・秋の宵昭和レトロに老い忘れ

・秋の宵谷中の坂を千鳥足



2.第41回  ネット句会  感想と自句自解


◎  秋元さんの自句自解


・(097) 山里の朝紅に湯音聞く

  早朝、月山麓宿の露天風呂に浸かり、ふと空を仰ぐと

未だ明けきらぬ日の出前の深い青にくれない色に染まっ

た雲が張り付いたようにコントラストをなし、とても美

しく、また静謐で静かに注ぐ湯船が天上湯のようでした。


◎  小野寺さんの自句自解


・4 点句 (034) 野佛の眠り起こすや稲光り

 京都を旅した折嵯峨野で秋の雷雨に逢った折一天俄に

かき曇った空から刹那に光った稲妻が野佛の顔を照らし

て1000年の眠りから目覚めさせたと感じたのです。


・3 点句  (001) 初秋の露匂ひける逢瀬かな

 京都の初秋に逢いに行った折萩の葉に付いた水滴が匂

うが如くに感じた事でした。遠い記憶の中で、心の高鳴

りを覚えた事が、鮮明に蘇ります。


・3 点句 (081) 滝しぶき櫨(はぜ)の紅葉はひるがえり

 白煙をあげて轟々と落ちる滝しぶきを背景にして、は

かなくも翻り舞う真紅の櫨(はぜ)の葉は一幅の絵巻の

様でもありました。櫨のもみじ、です。

    

・2 点句 (016) 虫時雨(しぐれ)月夜に銀のすすき揺れ

 秋の夜更け虫しぐれの中で月光に照らしだされたすす

きは風に揺れ動く銀の波のようでもありました。


・2 点句(022) 女郎花(おみなえし)揺れ合う霧の道しるべ

 中津川さんのご指摘通り、揺れて流れる様な霧の野道

に咲く女郎花は黄色の花が道しるべなのです。


・2 点句 (058) 野辺おくり蜻蛉を風に従えて

 辛い友の死を悼みみあげた空を風にまかせて蜻蛉が昇

っていくようでもありました。


・2 点句 (087) 虫鳴きて路地裏の闇やはらかし。

 平島さん、橋本さんのご指摘通り下町の平和な虫の声

は闇(ヤミ)でもヤワラかいのです。生きてて良かった

なあ、との感慨に浸るのです。


・2 点句 (104) 杉木立日暮れて百舌鳥(もず)の声高し

 鬱蒼とした杉木立の夕暮れ百舌鳥の鋭い声が、哀しく

深い郷愁を誘い翔然てして、襟をただします。


・1 点句 (013) 百舌鳥(もず)叫び贄の枯れ枝風に鳴り

 百舌鳥は捉えた昆虫や小動物を枝に串刺しにして後か

ら食べる習性があり、深瀬さんご指摘通り、不気味でも

の悲しい風景です。


・1 点句 (027) 時雨来て艶やかに濡れ柿紅葉(もみじ)

  秋も深まり時雨に濡れそぼつ柿の葉は艶やかに命の最

後の色を発色するのです。


・1 点句 (051) 頬杖の御佛ね瞳(め)に秋思満ち

 頬杖をつく御仏の瞳は秋ね気配の中で秋の憂いを一身

に感じておられるのだと思いました。桑子さんのご指摘

通り違う季節にはまた違う表情に観えるのだと思います。


・1 点句  (071) 引きぎわの声を限りに雁は発ち

 秋の時期に鳴いて発つ雁の哀愁に満ちた声を別れを惜

しんでの事と詠んだつもりでしたが、雁が帰るのは春と

の豊さんのご指摘であれば、秋の雁の鳴き声は来飛した、

喜びの声だったかもしれません。


・1 点句 (100) 翅たたむ陽だまりの墓秋の蝶

 平島さんのご指摘通り温かい秋の日和 ご先祖に会い

に来た墓参に出逢えた可憐な蝶に心が和みます。


・1 点句 (108)空澄みて岸辺に赤き曼珠沙華

 高々と秋の空が澄み渡り、目を落とすと対岸の岸辺に

は真紅の彼岸花が咲いておりました。

  

 以上投句した21句中13句に皆様の共感を頂きました事

は望外の喜びでもありました。引き続き宜しくお願いし

ます。


◎  豊さんの自句自解


・水澄みて川底の石透かれけり

 秋の川の水が澄んで、川底に沈んでいる石が透けて見

えた。秋の気配を詠んだつもりですが、それがどうした、

と言われるとそれまでで、われながら平凡な句になって

しまいました。


・悲しみは海より深し秋刀魚食う

 海の深さよりも深い悲しみを経験した。その思いをか

みしめながら秋刀魚を食べている。悲しみの深さと海の

秋刀魚をひっかけてみたのですが、少しわざとらしかっ

たようです。 


・野分過ぎ晴れ上がりたる今朝の空 

 台風一過の朝の空の青さを詠んだのですが、これもあ

たりまえ過ぎました。


・黄金の秋の寺なる阿弥陀仏

 庭の木々が黄葉した寺、その堂内には金色の阿弥陀仏

像が座しているのです。 


・敬老日孫の笑顔にいやされぬ

 老いが進むと気持ちが沈むことが増えてきます。そん

なとき、幼い孫が屈託のない笑顔で接してくれるといや

されるのです。

  

・全山紅葉観光船下る

 全山紅葉した山と山の間の谷川を、川下りの観光船が

紅葉狩りのお客さんを乗せて進んでいくのです。 


・虫の声途絶えて夜の闇深し 

 吉良さんと同じようにもっと多くの人が鑑賞してくれ

ると思ったのですが、残念です。


◎  深瀬の自句自解


・(010) 合歓の花葉音宇宙に溶け込まし

  合歓の葉は夜になると自ら閉じるようです。なにか宇

宙的存在を感じました。


・(015) ためらわず優先席に座る秋

  かつては、優先席は避けるようにしていたのですが。


・(017) 曼珠沙華アル中で死し叔父の髪   (1 点句) 

  甘やかされて育った叔父は、ついにまともになりませ

んでした。


・(025) 都会の夜おごりを笑う虫の音

  草むらなどほとんどない都会の夜に虫の音が響くのが

ふしぎです。


・(029) 秋の夜不登校の孫気にかかり

  小学2 年の孫が不登校にりました。周囲に気を使いす

ぎるのか、やや心配です。


・(033) 名月の砂浜埋める亀の列

  名月と砂浜になにを添えたらよいか思案してみました。


・(036) おだやかな秋晴れの朝世にうれい  (2 点句) 

  幾万年も続いてきた穏やかな地球の朝の気配は、環境

破壊や核の脅威などでどうなるのでしょうか。


・(038) 曼珠沙華たんぼのなかの墓地に咲き (1 点句) 

  母の実家のある秋田では、田んぼのなかの少し高くし

た場所に墓地があります。


・(042) 合歓の花正田邸跡ひっそりと    (1 点句) 

  かつて自転車で前をよく通りましたが、趣のある住居

でした。今は公園になっているのが残念です。


・(044) 曼珠沙華ロシアの狂気燃え盛る

  破壊の限りを尽くすロシアの暴力性は人間の本性なの

でしょうか。


・(047) 老いの秋根気意欲のなき嘆く

  老衰ということばを身近に違和感なく感じられるよう

になりました。老衰とどう向き合っていくか問われます。


・(059) 終活のメモに手入れす秋の夜    (1 点句) 

  いつまでも現役気取りでがんばらず、すっきり終わり

たいと思います。


・(062) 夜の秋ショパンの音色遠くから   (1 点句) 

  ショパンのピアノ曲は、宇宙全体の宝物みたいに思い

ます。


・(065) 名月に稜線湖面冴え冴えと     (1 点句) 

  東山魁夷的な世界を詠みたいと思ったのですが。


・(068) 夜の秋海の笑顔のよぎりゆく

  夏の終わりの頃の海は少し怒っている感じでしょうか。


・(072) 蓑虫の唯我独尊風に揺れ      (4 点句) 

  生き物たちの生き残り戦略のふしぎを感じます。


・(078) 駒東の浦島太郎秋うたげ

・(079) 秋の宵昭和レトロに老い忘れ    (2 点句) 

・(080) 秋の宵谷中の坂を千鳥足

 小野寺さん関連の、女性二人を含むメンバーの飲み会

が谷中近くでありました。年老いた浦島太郎の群れが、

龍宮城の生活を懐かしがっている雰囲気でした。


・(082) 名月夜太鼓に躍る古代人

  名月の夜、都会人としてはなにか縁遠い存在になって

しまいました。


・(086) 秋の夜寝返り続く老いひとり    (2 点句) 

  昼寝のし過ぎなのか。明日、仕事がある訳ではないの

ですが。


・(091) 夜の秋別れの記憶遠き日々     (1 点句) 

  ほのかな夏の思い出というのは、いつまでも続くよう

です。


・(094) 名月に落ち武者仰ぐ妻や子ら

  落ち武者が名月の夜、故郷を偲び彷徨っています。鬼

婆伝説をヒントにしました。


・(098) 蓑虫の夕陽背にする梢かな      (1 点句) 

  こどものころ、遊び終わったあと、こんな風景があっ

たように思います。最近は本当に見ないです。


・(101) 月あかりすすきの原に銀の波    (2 点句) 

  すすきの穂がたくさん揺れる月夜のさまは幻想的だと

思います。


・(106) 対岸のにぎわいひそり名月夜

  名月の夜の海岸にひとりたたずみ人の孤独感? 


・(109) コロナ禍の秋に尾を引く後遺症

  コロナ禍は、後遺症の方が怖い感じがします。地球上

の生命の多様性を実感させられます。


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2022年10月23日日曜日

七句会 第四十一回目のネット句会 選句の結果をご報告します。

 

 七句会のみなさま

 

 第四十一回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。

今回の選句結果をご報告いたします。

 

 4 点句

(012) 枯葉道ともに老いたる主と犬           服部04

(034) 野佛の眠り起こすや稲光り            小野寺12

(072) 蓑虫の唯我独尊風に揺れ             深瀬23

 

 3 点句

(001) 初秋の露匂ひける逢瀬かな            小野寺01

(030) 恋文に残暑の汗で書き直し            宮澤06

(053) 宍道湖の白帆すべらす秋の風           吉良03

(056) 秋あかね五線譜上を浮き沈み           吉良06

(081) 滝しぶき櫨 (はぜ) の紅葉はひるがえり       小野寺15

 

 2 点句

(003) 秋冷やホットな便座にほっとして         服部02

(008) 悲しみは海より深し秋刀魚食う          豊  01

(009) 見渡せば360度天高し             桑子04

(011) 運動会マイムマイムで日が暮れる         新井02

(016) 虫時雨 (しぐれ) 月夜に銀のすすき揺れ      小野寺11

(022) 女郎花 (おみなへし) 揺れ合う霧の道しるべ    小野寺16

(036) おだやかな秋晴れの朝世にうれい         深瀬12

(052) 寒の朝酔いも彼方にしじみ汁           吉良02

(058) 野辺おくり蜻蛉を風に従へて           小野寺02

(079) 秋の宵昭和レトロに老い忘れ           深瀬26

(086) 秋の夜寝返り続く老いひとり           深瀬06

(087) 虫鳴きて路地裏の闇やはらかし          小野寺09

(088) 白寿なる義母の微笑みぶどう噛む         吉良01

(104) 杉木立日暮れて百舌鳥 (モズ) の声高し      小野寺17

  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前

とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。

  次回については、今年12月~  来年1 月ころにご連絡したいと思っています

ので、よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありました

ら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。

 

 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。

 

(1) 選句参加者

 今回の選句には、下記の14名が参加しました。

  秋元さん、新井さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、中津川

さん、橋本さん、服部さん、平島さん、宮澤さん、柳町さん、豊さん、深瀬。

 

(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について

  今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので

はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り

たいと思います。一応、期限としては  1113日とし、事務方にメールでいた

だき、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/

 

  2022.10.23

 

      代表   橋口侯之介

      顧問  豊  宣光

      事務方 深瀬久敬

 

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(001) 初秋の露匂ひける逢瀬かな            小野寺01

      1 中津川  大人の恋の雰囲気が漂ってきます。

      2 服部    何か色っぽさを感じました。

      3 柳町   

(002) 水澄みて川底の石透かれけり           豊  03

      1 秋元   

(003) 秋冷やホットな便座にほっとして         服部02

      1 桜子    『ホット』を二回使ってリズムのある楽しい句になって

          おられます。

      2 橋本    同感です、便器の進化にホント感謝ですね。

(004) 土塀越し柿の実色ずく城下町           志方05

      1 宮澤   

      庭の菜園の獅子唐を (2 )

(005) 獅子唐の大樹となりて実六百           橋本01

      1 吉良    大げさとも思える「大樹となりて実六百」に栽培者の獅

          子唐への愛情と豊作の期待感を感じました。

(006) 獅子唐の辛きに当たるは宝くじ          橋本02

(007) 風哭きて入り陽に燃ゆる曼珠沙華         小野寺13

(008) 悲しみは海より深し秋刀魚食う          豊  01

      1 桜子    句の最後には前向きになれるので、少し安心しました。

          流れのある句です。

      2 服部   

(009) 見渡せば360度天高し             桑子04

      1 桜子    秋の空をうまく表しておられます。

      2 橋本    秋晴れの青空の広がりをシンプルに表現して良いです。

(010) 合歓の花葉音宇宙に溶け込まし          深瀬01

(011) 運動会マイムマイムで日が暮れる         新井02

      1 小野寺  マイムマイムのダンス曲は我々の中学時代女子生徒の手

          を触れる由一の手段でした。一回りして憧れの彼女が巡っ

          て来た時には胸の高鳴りを禁じ得ませんでした。

      2 桑子    運動会ではないけれども学園祭でのフォークダンスを思

          い出します。確かに日が暮れるまで踊っていました。

(012) 枯葉道ともに老いたる主と犬           服部04

      1 吉良    飼い主と犬のしみじみとした情景が浮かびます。

      2 志方   

      3 平島    夕暮散歩中に出会った風景。ふと思うは生病老死のこと。

          人も犬もヨボヨボだなあ!  主とは自分かな?

      4 深瀬    散歩するペットとご自身の高齢化にいたわりを感じます。

(013) 百舌鳥 (もず) 叫び贄の枯れ枝風に鳴り      小野寺21

      1 深瀬    百舌の捕らえた獲物を串刺しにする習性はなにか不気味

          です。

(014) お湿りを待っていたのに雨台風          宮澤03

(015) ためらわず優先席に座る秋                   深瀬11

(016) 虫時雨 (しぐれ) 月夜に銀のすすき揺れ      小野寺11

      1 秋元   

      2 宮澤   

(017) 曼珠沙華アル中で死し叔父の髪          深瀬17

      1 吉良    子供のころの思い出でしょうか。曼殊沙華の花の形を頭

          髪にみたてる発想を面白く感じました。

(018) しわ増えて金婚記念や紅葉狩り          中津川06

(019) 野分過ぎ晴れ上がりたる今朝の空         豊  05

      1 小野寺  昨夜吹き荒れた野分の翌朝、張り詰めた秋晴れの高い空

          の広がりが爽やかな冷気となり伝わってきます。

      最近のゴルフに思うこと (2 )

(020) ゴルフとは18ホールのドラマかな         橋本05

(021) 女子ゴルフ新人満開秋桜             橋本06

(022) 女郎花 (おみなへし) 揺れ合う霧の道しるべ    小野寺16

      1 秋元   

      2 中津川  霧の中で黄色の花がはっきり見えてきます。

(023) 敬老日いらぬ祝意の「おめでとう」        中津川01

(024) 老人が老人祝う敬老の日             桑子01

(025) 都会の夜おごりを笑う虫の音           深瀬13

(026) 秋の夜ハイビスカスの寂し気な          新井05

(027) 時雨来て艶やかに濡れ柿紅葉 (もみじ)       小野寺07

      1 志方   

(028) 柿食えば(カキク)苔(コケ)が残れしか行かな  桑子06

      1       思わず笑ってしまいました。アイデアのユニークさに拍

          手。

(029) 秋の夜不登校の孫気にかかり           深瀬07

(030) 恋文に残暑の汗で書き直し            宮澤06

      1 桜子    一生懸命のお気持ちが間接的に伝わってきました。

      2 小野寺  暑い夏の日の昼下がり、彼女に対する想いが先走り、し

          たたり落ちる汗の中で、うまく表現できないもどかしさが

          伝わってきます。手紙の結末は如何に?

      3 桑子    やっといい文章が書けたのに、汗が染みて台無し、残念。

(031) 街宣車靖国神社金木犀              服部05

(032) 霧の海哭き呼び交わし鳥渡る           小野寺19

(033) 名月の砂浜埋める亀の列             深瀬21

      1       秋の月の夜、孵化したウミガメの子が砂浜を這う幻想的

          な情景が浮かびました。

(034) 野佛の眠り起こすや稲光り            小野寺12

      1 秋元   

      2 志方   

      3 服部   

      4 宮澤   

(035) 沸壺の水を沸かして呑む抹茶           秋元02

(036) おだやかな秋晴れの朝世にうれい         深瀬12

      1 吉良    秋晴れのさわやかさと先の見えないこの世界の不安感と

          の対比があざやか。

      2 橋本    秋晴れの朝くらい気分爽快と行きたいものですが、いろ

          いろ有り過ぎます。

(037) いわき沖真一文字の水平線            志方04

(038) 曼珠沙華たんぼのなかの墓地に咲き        深瀬16

      1 桑子   

(039) 回る寿司値上げ告知の秋の暮           中津川07

(040) スズメの群かかし朗希に逃げるかな        新井03

(041) コロナ慣れ行列「赤福」伊勢の秋         中津川02

      1 服部    情景が浮かびます。

(042) 合歓の花正田邸跡ひっそりと           深瀬02

      1 平島    今の若い人は昔天皇家に嫁いだ娘さんの実家も知らない

          でしょう。天皇家も姻戚も大富豪ではなく質素さが伺えま

          すね。日本の良さ。

(043) 黄金の秋の寺なる阿弥陀仏            豊  02

(044) 曼珠沙華ロシアの狂気燃え盛る          深瀬15

(045) パッティング行きつ戻りつ秋日かな        桑子05

      1 深瀬    「行きつ戻りつ」にやすらぎを感じます。打っている人

          は反対かも。

(046) ビアガーデン会話無くとも気は弾む        新井06

(047) 老いの秋根気意欲のなき嘆く           深瀬10

(048) 赤蜻蛉微塵に光り風となり            小野寺08

(049) 折詰を鳶にさらわれほれぼれと          志方07

(050) 村神やあと一本の秋空へ             中津川05

(051) 頬杖の御佛の瞳 () に秋思満ち         小野寺06

      1 桑子    季節が変わるとまた違った表情に観えるのでしょうね。

      島根・大山ゴルフ旅行の思い出 (6 )            

(052) 寒の朝酔いも彼方にしじみ汁           吉良02

      1 小野寺  昨夜の二日酔いが、朝の冷え込みでシャキッとし妻の暖

          かいしじみ汁が、明日への元気を取り戻してくれましたね。

      2 服部    実体験で同じ思いがします。

(053) 宍道湖の白帆すべらす秋の風           吉良03

      1 秋元   

      2 平島    空と湖の青さの中を音もなく行く白帆。寺田寅彦の連句

          の挙句にあった句「白帆の往来霞む遠山」を思い出しまし

          た。

      3 深瀬    なにか歴史の古い島根の方の情景に郷愁感を覚えます。

(054) 怪談を語る鈴虫八雲荘              吉良04

      1       「怪談」を書いた小泉八雲は松江に住んでいました。島

          根旅行をした作者の思いが伝わってきます。

(055) 出雲なる社飛び来るオニヤンマ          吉良05

      1 小野寺  出雲の神話の国のやしろから飛びくるトンボは須佐男の

          化身のオニヤンマでしょうか。

(056) 秋あかね五線譜上を浮き沈み           吉良06

      1 秋元   

      2 平島    やわらかな弦楽器の音が聴こえてきました。五線の五は

          ひとの指から生まれたとか。

      3 柳町   

(057) 朝寒の大山めがけティーショット         吉良07

(058) 野辺おくり蜻蛉を風に従へて           小野寺02

      1 志方   

      2 中津川  お別れの悲しさが伝わってきました。

(059) 終活のメモに手入れす秋の夜           深瀬08

      1 吉良    終活のメモなどまだ用意していない自分もそろそろ必要

          かなと思わせてくれました。

(060) うろこ雲黄昏染める錦鯉             志方01

      1 深瀬    空のうろこ雲が錦鯉のようだはすごいスケールだと思い

          ます。

(061) (うみ) 夕日ひぐらしの声水に入り       小野寺04

(062) 夜の秋ショパンの音色遠くから          深瀬05

      1 桜子    おしゃれな感じがして素敵だと思いました。

(063) 十六夜の月を愛でしか屋形船           秋元01

      1 桜子    屋形船で楽しむご様子が伝わってきます。

(064) つがるりんご豪雨に耐えて明ける朝        新井07

(065) 名月に稜線湖面冴え冴えと            深瀬19

      1 柳町   

(066) 山門へ登る足元彼岸花              中津川03

(067) 動くなよマーカー代わりの赤とんぼ        宮澤02

(068) 夜の秋海の笑顔のよぎりゆく           深瀬04

      取り敢えず東北の旅を (2 )

(069) 尻屋崎津軽海峡秋優し              橋本03

(070) 錦秋の月山拝みて旅仕舞い            橋本04

      1 深瀬    旅仕舞いの雰囲気がすがすがしいと感じます。

(071) 引きぎわの声をかぎりに雁は発ち         小野寺18

      1       雁は秋に渡来して春に去って行きます。「引きぎわ」「

          発ち」とありますから、帰って行く雁を詠んだのでしょう

          ね。

(072) 蓑虫の唯我独尊風に揺れ             深瀬23

      1 中津川  蓑虫一つがぶら下がっている姿は確かにそんな感じです

          ね。最近は蓑虫をあまり見なくなった気がします。

      2 橋本    蓑虫の雌は簑の中で終わるとか、最近はめっきり蓑虫を

          見かけなくなり寂しい。

      3 平島    お釈迦様の悟りの境地か?  ユイガ・・・ユレのユの頭

          韻が心地よい。

      4 宮澤   

(073) 運動会猪突猛進たすきリレー           新井01

(074) 敬老日孫の笑顔にいやされぬ           豊  04

(075) 家族連れ校舎の向こうは運動会          宮澤05

      1 深瀬    運動会の日の学校近くの情景がなつかしい。声援が聞こ

          えてきそうです。

(076) 全山紅葉観光船下る               豊  06

(077) 国葬に黙祷抗議秋の空              桑子03

      谷中夕焼け酒場(2022.9.16)  (3 )                  

(078) 駒東の浦島太郎秋うたげ             深瀬25

(079) 秋の宵昭和レトロに老い忘れ           深瀬26

      1 橋本   

      2 服部   

(080) 秋の宵谷中の坂を千鳥足             深瀬27

(081) 滝しぶき櫨 (はぜ) の紅葉はひるがえり       小野寺15

      1 秋元   

      2 中津川  ハゼの葉は本当に紅くなりますね。この句では「もみじ」

          と読むのですか?

      3 柳町   

(082) 名月夜太鼓に躍る古代人             深瀬18

(083) しみじみと冷や酒喉にゲソをかみ         志方02

(084) 秋彼岸円空佛に陽は翳り             小野寺20

(085) 幾千のピンクの扇合歓の花            新井04

(086) 秋の夜寝返り続く老いひとり           深瀬06

      1 吉良    妻を亡くした作者の寂しさが感じられました。

      2 橋本    同じ独り身、寝返りして眠気を待ちますが、、、。

(087) 虫鳴きて路地裏の闇やはらかし          小野寺09

      1 橋本    路地裏で鳴く虫の声、ほっと心が和らぎます。

      2 平島    これもヤみヤはらかしが好きです。下町の秋 平和な虫

           の声 生きていてよかったなあ、

(088) 白寿なる義母の微笑みぶどう噛む         吉良01

      1 小野寺  白寿を迎えた義母が葡萄を食べながら微笑えんでいる。

          妻への感謝が義母への優しさとなり人の心を温かく包みま

          す。

      2 中津川  百歳になろうとするお義母さまご健在です。

(089) 母介護認定進むや秋の暮             服部03

(090) 音もなく月光穿つ銀薄 (すすき)          小野寺03

      1 志方   

(091) 夜の秋別れの記憶遠き日々            深瀬03

      1 中津川  若いころの悲しい別れだったのでしょうか?  ふと御巣

          鷹山のことが浮かびました。

(092) 秋ナスやぬか漬けしぎ焼き天ぷらも        中津川04

(093) 鹿威し子トンと響く冷気かな           志方06

      1 柳町   

(094) 名月に落ち武者仰ぐ妻や子ら           深瀬20

(095) 曼殊沙華彼岸過ぎれば朱が褪せて         志方03

      1 宮澤   

(096) 筆置きて十六夜 (いざよい) 残る空仰ぐ      小野寺05

(097) 山里の朝紅にて湯音聞く             秋元03

      1 小野寺  山里の静かな湯治場、朝焼けの鋭い冷気の中で聴く湯の

          流れる音は不思議な安らぎをいざないます。

(098) 蓑虫の夕陽背にする梢かな             深瀬24

      1       蓑虫に目をつけたところに感心しました。秋の夕暮れの

          孤独な風景が浮かびます。

(099) 街流る川の瀬さやか鯉の影            宮澤01

      1 桑子   

(100) 翅たたむ陽だまりの墓秋の蝶           小野寺10

      1 平島    温かい小春日和 御先祖に会いに来たお墓参りで出会っ

          た可憐な蝶のどかさに こころが和みます。

(101) 月あかりすすきの原に銀の波           深瀬14

      1 桜子    幻想的で絵葉書の一コマのようです。

      2 志方   

(102) 黄色の葉ハイビスカスに秋のトーン        新井08

(103) 飛距離落ち嘆くシニアの秋コンペ         服部01

      1 桑子    共感です。小生も全く飛ばなくなりました。

(104) 杉木立日暮れて百舌鳥 (モズ) の声高し      小野寺17

      1 志方   

      2 柳町   

(105) 虫の声途絶えて夜の闇深し            豊  07

      1 吉良    人の気配で虫が鳴きやんだのでしょうか、虫の声の騒が

          しさと暗闇の対比が見事。

(106) 対岸のにぎわいひそり名月夜           深瀬22

(107) 枝豆の茹で方ひとつで料理通           宮澤04

      1 桑子   

(108) 空澄みて岸辺に赤き曼珠沙華           小野寺14

      1 柳町   

(109) コロナ禍の秋に尾を引く後遺症          深瀬09

(110) 国葬の女王に祈り子規忌かな           桑子02

      1       子規忌が9月19日だったとは気がつきませんでした。

          エリザベス女王の国葬が行われたのもまさに9月19日、

          この二つを結びつけた作者の知識の深さに脱帽です。

 

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