2014年8月24日日曜日

第九回の七句会の選句結果をご報告いたします。

 七句会  各位
 第九回の七句会の選句結果をご報告いたします。
  今回は、次の3 句が、それぞれ4 点、5 点、4 点となりました。
 (006)  孫が問う ジジはいつまで 夏休み      野澤07
 (078)  落ちてなお 飛沫 (しぶき) はあつし龍の瀧   杜瑯01
 (083)  東 (あがり) 崎 目元やさしき 与那国馬   橋本08
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選ん
だ人の名前とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したも
のを添付します。
  次回については、10月中旬ころにご連絡したいと思っていますの
で、よろしくお願いいたします。やり方について、ご意見がありま
したら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。 (選
句の期間は、10日程度に短縮したいと思っています。)
  2014.08.25
  事務方      深瀬
                              
                              
 第九回  七句会選句結果      
   兼題 夏、熱帯夜、暑さ
(001)  西豪雨 東は猛暑 ああ自然          橋本02
1 志方  気候変動の様が簡潔に表現されているようです。
2 治部  降ってほしいところには降らず、降れば豪雨。
思うようにならないものですね。それが余計に暑く感
じます。
3 野澤
(002)  夕立の 降れよと祈る 夏都会         吉良01
1 治部  都会のムンムンとした暑さがよく伝わってき
ます。
(003)  南洋を 思い出したり 夏の雲         内野05
(004)  この夏は 画面で愉しむ 花火かな       野澤16
1 橋本
2 中島
3 小幡
     大学卒後四十余年、常に理想と学究を追い求       
    めて来た孤高の友にも陰りが見え、その友にさ       
    えも夏の陽射しは容赦なく照る。             
(005)  天を指す 老いし友にも夏尖 (とが) り         杜瑯02
(006)  孫が問う ジジはいつまで 夏休み       野澤07
1 志方  実に見事なユーモアが感じられ、身につまさ
れます。
2 治部  夏休みに孫が傍にいる光景は幸せですね。作
者は何と答えたのでしょう。
3 中島
4 小幡
(007)  夏の陽に燃えるみどりのしずかさや       深瀬01
1 内野 夏の強烈さと静かさとの対比がみごと。
2 古川
     早く打ち水してくれないと俳句ができないと       
    いう私に、断固打ち水はしないという妻に一句       
    捧げます。                       
(008)  梅雨明けて 打ち水する君 夏の華       古川02
1 吉良
2 中島
(009)  暑い夏 孫と楽しむ かき氷          柳町01
(010)  夏痩せで 妻娘(つまこ)羨む 六キロ減    野澤14
1 深瀬  「妻娘羨む~」にドラマ風なユーモアを感じ
ました。しかし、六キロ減は、やや行き過ぎではない
か、と少し心配になりました。
2 橋本  本人もこのまま維持したい?
(011)  くらやみに ひかり輝く 夏祭り        内野02
1 吉良
2 柳町
3 深瀬  祭りは夜がクライマックスですが、そこは、
あかりと暗闇のコントラストの世界だと思います。都
会の最近の祭りは、その暗闇が中途半端でつまらなく
感じます。
(012)  湿暑に 昔の夏が 懐かしい          中島03
1 野澤
(013)  蒸暑い眠れぬ夜中に五七五           野澤09
(014)  蝉の聲夏がおわりて細くなる          小幡05
(015)  緑陰に 猛暑をさけて 涼をとり        内野03
1 野澤
2 古川
(016)  摩訶不思議 暑い暑いと 厚化粧        野澤08
(017)  暑き夏 原発稼働に 気持ち揺れ        中島04
1 鳥海
(018)  熱帯夜 まだ来ぬ睡魔に 五七五        野澤05
     孫を連れを行ったのはずなのに、結局は孫         
    に手をひかれている自分がいます             
(019)  夏祭り いつの間にやら 手をひかれ      柳町04
1 土川
2 野澤
(020)  夏祭り 孫の手をとり 盆踊り         野澤15
(021)  夏の朝 川辺につどい 老いを生く       吉良02
1 森
(022)  高層の窓辺に海の夏の夕             深瀬06
(023)  夏休み 孫の相手は じじとばば        野澤06
(024)  打ち水も 甲斐なきほどの 暑さかな      治部01
1 柳町
2 橋本
3 鳥海
(025)  老いの身に 猛暑こたえる エコ温度      野澤12
(026)  炎天に足裏だけの影を踏む           土川01
1 吉良
2 中島
3 小幡
(027)  夏の夜鉢植えに水桶二杯            深瀬02
1 吉良
(028)  真夏日は 昼寝の前に ひと泳ぎ        野澤01
1 柳町
(029)  夕の森 盛夏を謳う 蝉しぐれ         橋本01
1 森
(030)  我が家では 冷えた麦茶で 暑気払い      野澤11
(031)  赤信号日陰争奪夏の朝             深瀬03
1 土川
2 鳥海
(032)  寝苦しき暑さ忘れる朝の風           小幡01
     東京は不夜城のため、蝉の幼虫は夜も光で木       
    に登れず地面を徘徊していますので、夜の散歩       
    では木に運んであげています。トンボのヤゴの       
    ように、蝉の幼虫の呼び名が統一されていない       
    そうです。                       
(033)  蝉のため 幼虫レスキュー 夏の宵       古川04
1 橋本  都会の蝉は苦労しますね、初めて知りました
(034)  夏休み マンションの子ら 声消ゆる      中島02
1 土川
(035)  夏痩せで プールの波に 浮き沈み       野澤13
(036)  夏の海かごめにヨット点描画          深瀬04
(037)  夏盛り 緑グリーンに 陽炎立つ        中島01
(038)  熱帯夜 体内時計も 夏時間          野澤04
     新国立美術館で印象派展開催中             
(039)  印象派 巴里の風乗せ 夏東京         古川03
(040)  夏の山狼煙(のろし)の見ゆる距離に村     土川05
1 深瀬  狼煙で伝えあう社会に、人間同志の絆の原点
を垣間見る思いがしました。こうした距離感が、各村
落の独自文化を育んだのではないかという気がします。
(041)  想い出す夏のにほいと山の音          小幡04
1 柳町
2 内野 「にほい」が効いていますね。
(042)  真夏日の 散歩の伴は マイポット       野澤02
(043)  暑き日に すずしげに咲く 睡蓮花       内野04
1 吉良
     昨年は登れた山なのに、今年は怪我で登れず        
    、残念なきもちです。                  
(044)  けがの足 眺めて想う 去年の夏        柳町02
(045)  炎天下影を求めて蛇行する           小幡02
1 野澤
(046)  暑き日に、登る夏山 草深し          内野01
     天草の海辺での旅館から、酔眼で海を眺めて       
    いたら浮かんだ句が多いようです。以下、10句。      
(047)  黄昏に漁火遠く夏静か             志方01
1 土川
2 内野 心が落ち着く句です。
3 小幡
(048)  月明かり一筋伸びる夏の海           志方02
1 吉良
2 古川
(049)  西陽さす夏の夕暮れ影長く           志方03
(050)  蝉しぐれ木洩れ日揺らし夏の涼         志方04
1 内野 一陣の風が吹いたのですか?
2 古川
(051)  戸を開けて暑さ一服カナカナと         志方05
(052)  緋鮮やか夾竹桃が凛と咲く           志方06
1 治部
(053)  陽炎が溶けだし揺れて猛夏かな         志方07
1 吉良
2 小幡
(054)  夕間暮れ波が寄せくる夏の浜          志方08
1 治部
2 内野 波をみながら作者は何を思っているのでしょ
うか?
(055)  澪標誰が立てたか炎天に            志方09
1 土川
2 森
(056)  風にのり夏雲超えて蒼天が           志方10
(057)  熱帯夜 冴えぬ頭で 一句詠む         野澤03
(058)  さらけだす豊満裸身夏に映え          深瀬05
(059)  汗たらリ いそぎ行きたる 猛暑の日      内野06
(060)  脳トレで 前頭葉の 暑気払い         野澤10
     これから老齢期を迎える我々は斯くあらねば!      
(061)  暑きほど 真赤に燃えよ 我が血潮       古川01
   兼題 戦争
(062)  原爆も小さくなりし安倍政権          小幡06
1 中島
(063)  猛暑にも 戦争絶えぬ パレスチナ       中島05
(064)  父遺し戦争写真セピア色            深瀬09
1 志方  安倍総理の評価は我々世代には賛否著しいで
すが、謙虚さが消え、論理に深みがないのと感じるの
は、わたしだけでしょうか?
2 橋本
     安陪首相の右翼的行動に叛旗の一句、昔もノ       
    ンポリラジカル、犬の遠吠え派。             
(065)  アベノミス 戦争への道 まっしぐら      古川05
1 鳥海
(066)  戦争を話すことなく父の逝く          土川02
1 深瀬  さきの日中・太平洋戦争は、それに翻弄され
た父の世代にとってなんであったのか、考えさせられ
ます。巨大な時代の歯車のなかに押しつぶされてしま
ったということでしょうか。
2 小幡
(067)  安倍君を まず派遣せよ 戦争地        中島06
1 内野 選ばざるを得ません。
2 鳥海
3 古川
   兼題 兄弟姉妹 
(068)  ひさしぶり姉の姿に歳をみる          小幡03
1 中島
(069)  「暑いね」と性格違う義姉の来る        土川03
     今では遺産相続でもめて?               
(070)  幼き日 兄弟げんか 懐かしき         古川06
(071)  堕ろし子を妹だったかもと母ぽつり       深瀬07
1 土川
      子どもの頃の想い出                   
(072)  これ兄に買ってもらったと母に見せ       深瀬08
   自由題 有季語    
(073)  一杯の麦茶口にし人心地            野澤17
1 志方  涼しさの実感が旨く表現されています
2 治部  暑い時の麦茶ほんとにうまいですよね。
(074)  切り落としやもりのしっぽ跳ねており      深瀬14
(075)  金盥 (たらい) 孫と一緒に 水を噴く            柳町03
(076)  梅雨空に 銀鱗見せて ボラ跳ねる       橋本03
(077)  涼求め汗をかきかきウオーキング        野澤18
     鹿児島市加治木町の龍門の瀧にて。退職後も       
    自己の道を極め様と欲するあつき思いは、まだ       
    消えない。                       
(078)  落ちてなお 飛沫 (しぶき) はあつし龍の瀧    杜瑯01
1 土川
2 治部
3 深瀬  こういうはげしい思いを俳句に詠むことも可
能なのだと改めて思いました。瀧の飛沫の捉え方も、
みるひとの心情で千差万別だということだと思います。
4 鳥海
5 古川
(079)  青空に白パラソルの八角形           土川04
     最初で最後? の5月、5泊6日の沖縄旅行か       
    ら 以下、7 句。                    
(080)  沖縄の 歴史を刻む 旅初日          橋本05
(081)  初シュノーケル 風雨も忘れる 白保海     橋本06
(082)  玉取崎 石垣島リーフ 茫々と         橋本07
1 内野 私も行ってみたくなる雄大な風景です。
(083)  東 (あがり) 崎 目元やさしき 与那国馬    橋本08
1 森
2 柳町
3 鳥海
4 古川
(084)  与那国は 車道も牛馬の 牧場なり       橋本09
(085)  訪れて 沖縄の島々 近くなり         橋本10
1 中島
     (沖縄海越えホール)                   
(086)  181 ヤード 海越えたよと 慶佐次嬢      橋本11
1 深瀬  狭い意味での俳句としてはどうかと思います
が、ゴルフをたのしむ者同志としては詠みたい気持ち
がよく分かります。キャディーさんに言われて安心と
いうのは、眼の老化もあるのでしょうか。
(087)  風鈴の 音色なつかし 目を閉じる       吉良03
1 志方  懐かしい景色かな
2 橋本
3 小幡
(088)  朝霧に 無数に浮かぶ 蜘蛛の網        橋本04
1 志方  夏の朝が上手く表現されていると思います。
2 深瀬  幾何学模様の蜘蛛の巣に水滴が付着し光って
いるというのは、美しくも不気味です。なにかSF小
説的な世界に紛れ込んだ思いがしました。
(089)  孫だしに縁日愉しむ我が女房          野澤19
(090)  我庭で 生きた証か 蝉の殻          治部02
1 森
     リズム感がなくなっている事を痛感していま       
    ます!                         
(091)  盆踊り 孫にも負ける リズム感        柳町05
     愉快な、古川組と語らって、暑さを吹っ飛ば       
    そう                          
(092)  八朔に 君と語りし 天に駈け            杜瑯03
(093)  蚊をたたきいのちをひとつ消しにけり      深瀬13
1 橋本  蚊にもいのち,,, 蚊憎しで露も浮かびません
                              
   自由題 無季語      
(094)  灰皿に父の面影しみ込みて           深瀬10
(095)  戻りきてなにしに行きと自問せり        深瀬11
1 野澤
(096)  ポテンシャルあがるをじっと待つ身かな     深瀬12
(097)  生命の生殖メカをだれつくり          深瀬15
     先ほど我が家の前で50年以上の街路樹の柳       
    の大木が倒壊しました。                 
(098)  柳の木 倒れて君の 恵み知る         古川07
1 柳町
(099)  客観す意識のレベルひと進化          深瀬16
(100)  電車内ネット中毒あふれけり          深瀬17
1 志方  苦々しいと感じるのが私だけではないようです。
(101)  トタンうつ雨音に耳そばだてり         深瀬18
(102)  人生になにが起きるか先見えず         深瀬19
(103)  客観を組織の論理封じ込め           深瀬20
1 野澤

  補足1.選句にあたっての、全体的なコメントには、次のようなも
のがありました。
・森さん: 秀句が多いですね。
・志方さん: 総じて夏を上手く表現するのは難しいと思いました。
・野澤さん: 皆さんの句を愉しく詠ませて頂きました。選句にあた
り私自身が上手い下手の評価ができるレベルにありませんので日常
生活の中で、私が詠みたかった事、共感出来る事を基準にしました。
  本来ならばこれぞ俳句と思える高尚なものを選句すべきかも知れ
ませんが
・内野さん: 早めに選句しましたので、コメントもつけることが出
来ました。今回はよい句が多く、なかなか選句が難しかったです。
皆さんだいぶ腕が上がったのでは?
・橋本さん: 以下の7句を選びました。分かり易い句ばかりになっ
てしまいます。
・中島さん: いつも通り、まず、「共感」を選択基準としています。
・古川さん: だんだん皆がうまくなっていますね。私は今回は言訳
付きの句ばかりでした。次回は涼しい中さえた頭で句ひねりたいと
思います。
  補足2.森さんのご紹介
  森さんは、古川充さんの大学の同期であり、古川さんから次のよ
うなご紹介がありました。
 『1947年生まれ鹿児島枕崎出身の薩摩隼人。群馬大学医学部卒業
後群馬大学第一内科に所属、1980年から1983年まで米国ルイジアナ
州立大学内科留学、1991年〜2013年 群馬大学医学部第一内科(改
組・病態制御内科)教授、2013年より北関東肥満代謝研究所所長と
して肥満代謝の専門医として研究を行っております。
 注。北関東肥満代謝研究所 http://kimono-riom.jp/
  2006年には摂食抑制ペプチドであるNesfatin-1を発見し、Nature
に発表し注目を浴びております。
  駒場東邦の仲間たちで行っているゴルフ会霞光会に所属していま
す。』
  尚、森さんは、七杜節瑯のペンネーム (俳号は、杜瑯です。) で、
「男の死体 (最新医学新書) 」、「女の死体-君よ、女の死体に聞
け (最新医学新書) 」の著作があり、文学にも深い造詣をお持ちで
あり、多彩な活躍をされています。



0 件のコメント:

コメントを投稿