七句会
第二十二回ネット句会参加各位
第二十二回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、
たいへんありがとうございました。
およせいただいたものを、名前順に、ほぼそのまままとめてお届けすること
にします。今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。
七句会の案内を出した方、全員にご参考までにお送りすることにします。
七句会のweb http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。
今後とも、よろしくお願いいたします。
深瀬 (事務方)
(1) 秋元さんの自句自解
(054) 紅の山肌隠す白き舞
2002_11_02_ 根子岳からの下山途中の四阿山での景色です。 (写真添付)
(2) 小野寺さんの自句自解
皆さまに選んでいただいた、小生の句の自句自解下記致します。
1 紅葉燃ゆ 古都の甍を雨が打つ
夕暮れ迫る古都の街角 外は燃えるような紅葉の赤一色ふとその街角で一瞬
雨が降り始め 町屋の甍が黒い点となって変わりゆく、その色彩の対比の妙を
切り取った風景画です。
2 せせらぎは 底に紅葉を 敷き詰めし
秋も深い深山の急流に差し掛かった折流れの川底に紅葉が一面に敷き詰めら
れ川面にはまばゆい光が 揺れておりました。
澄んだ清らかな水はあでやかな紅葉を一層引き立たせて輝きながら流れてお
りました。
3 虫時雨 朋逝き夜半の 独り酒
秋の夜半 虫の合唱は不思議に静けさを感じさせさながら 鎮魂の読経にも
似て酒が好きだった 友人への尽きせぬ想いをこめてしみじみと独り、献杯を
したのでした。
4 苔むした 古都の小路に 紅葉燃ゆ
織部色の苔むした古都の小路の向こうに一面に紅い紅葉が燃えているような
輝きをみせ、さながら 一幅の 絵巻物をながめるような光景でした。
5 野辺送り 朋なき空に 赤蜻蛉
友人を亡くした秋の空に赤蜻蛉が 翔んでいた。
絵を描く事が好きだった友人は、遥かな空から 赤蜻蛉の様に光溢れる風景
を俯瞰しながら、風になっているのだと思います。
6 秋蝶は陽だまりの外息を止め
静かな秋の午後 ふと 眺めた視線の先に 陽だまりを外れた影の中に羽を
たたんだ蝶が動かずにじっとしておりました。
まるで 息を止めて己の死を見つめている様でもありました。
ふと 旅立った男の心と重なる想いがしたのです。
(3) 橋本さんの自句自解
3 点句の評価を頂きました二句について、いきさつ、背景等説明いたします。
(035) ミサイルに秋刀魚も細る北の海
今年の秋刀魚は本当にいけません、不漁で型も小さく細い。取り敢えず3回
塩焼きで食しましたが、味は推して知るべし。最近は台湾や中国、韓国の大型
船が三陸沖の公海でごそっと取ってしまい、逃れた秋刀魚に今年は北朝鮮のミ
サイルの追い打ち。何とかしなければいけませんね。
(038) 北の使者しばし休める刈田かな
冬が近づくといつものように、北から鳥達( 鴨・雁・白鳥等)が日本に渡っ
て来ます。
稲刈りの済んだ田圃は、格好の休憩地であり貴重な餌場です。
住民が不足する餌を与えている所もあるようですが、十分な刈田をいつまで
も残しておきたい。
(4) 豊さんの感想と自句自解
○5 点句「紅葉燃ゆ 古都の甍(いらか)を雨が打ち」について
この句をそのまま読むと、いま雨が降っている、と解釈できてしまうのです
が、間違っているでしょうか。
「雨が打ち」を「雨が降った後」と解釈するのはいささか無理があるように
思います。
もし、いま雨が降っているのであれば紅葉の葉は濡れているはずで、「燃ゆ
」という表現は適当ではないような気がしますが、どうでしょう。
作者が「雨の後」の紅葉を詠みたかったのであれば、たとえば次のようにし
たほうがわかりやすかったかもしれません。
「雨晴れて古都の甍に紅葉燃ゆ」
小野寺さん、すみません。
○自句自解「大和路や古寺の鐘聞く秋の旅」
もちろん「春の旅」でもいいのですが、「春」と「秋」では雰囲気が正反対
です。「春」には明るさと希望がありますが、「秋」には寂しさと失意があり
ます。
大和路の旅ににどちらの雰囲気を好むかは人によって違うでしょうが、私は
古寺の鐘がもの悲しく響くという趣を選びました。
○自句自解「全山は紅葉の中阿弥陀仏」
寺を包んでいる背景の山は一面紅葉の盛り。その寺の中に金色の阿弥陀仏像
が鎮座している。その対比を詠んだのですが、小野寺さんは「全山紅葉の状態
を阿弥陀仏として眺めた感覚に共鳴します」と書いてくれました。なるほどそ
ういう解釈もあるのか、と感心した次第です。
○自句自解「北の海荒れてロシアの島見えず」
北海道オホーツクの海を思い浮かべて詠んだ句です。晴れていればロシアが
管理している北方四島が見えるはずなのに、海が荒れているのでそれが見えな
い、という情景です。
わざと季語を入れない、無季の句にしてみました。
(5) 深瀬の感想、自句自解
- 全体的感想
改めて、秋という季節を噛みしめることができました。
季節の色としては、春は新緑や桜色、夏は深緑、秋は紅黄色、冬は白 (雪や
寒) という感じだと思いますが、各句に、秋の風景や色彩が印象深く、たのし
めました。
俳句を作る意味とか、よい俳句とはどのようなものか、といったことを思う
ことがありますが、最近、下記の著書がかなり参考になった気がしました。
今泉恂之介著 "芭蕉から第二芸術まで 俳句史の真実" NPO 双牛舎刊
今泉さんは、上智大学柔道部の先輩であり、日経論説委員を勤められ、現在
、俳句の普及を進めるNPO 法人双牛舎の代表理事です。
双牛舎については、下記のURL から参照できます。
http://sogyusha.org/blog/
- 自句自解
・渓谷の鉄橋染める紅葉かな
駅などのポスターを参考に作りました。文字通りポスター俳句。
・ひとえだのもみじ飾りて妻とお茶
妻については、下記のような句を作ってきました。なにか接点が単純すぎて
空気のような存在になっている感じもしています。
- 妻ひとつわれもひとつとぶどう食べ
- 子ら巣立ち妻と二人の秋の暮れ
- 芋入りのみそ汁妻と湯気をかぐ
- 寒き夜は妻と二人で鍋かこむ
- 明け早し妻に淹れし茶冷え置かる
- 春眠の妻起きたるを遠く聞き
・ゴルフ場ボール浮き立つ紅葉かな
コースのまんなかに紅葉の木が数本あって、その上を白球が越えていくイメ
ージですが、ラフのなかの紅葉の葉っぱに埋もれているのを探しているのが現
実です。
・裏道をあゆめば紅葉ここにあり
・ビル街にひそり陽あびる紅葉かな
都会のなかの紅葉も結構目立つと思っています。
・もみじ葉に送られあの世の戸をたたき
・生の意味もみじに問いて答えなし
・終活を主業と決めて秋の声
やはり70歳が目の前なので、生死のことが気になるようになりました。スム
ースにあの世にいけたらよいと思っています。
・雨音の秋を深める北の宿
・北国のゴルフの空にいわし雲
・北国の赤きリンゴを亡き父母に
・北国を鉄路で行けば秋深し
両親が秋田県出身であり、私は東京二世です。東北地方に自分のルーツがあ
るような気持ちをいつももっています。ゴルフの句は、10月17日の霞光会のス
パリゾートハワイアンGCでのものです。
・図書室の窓辺に潜む秋の声
・秋の声砂浜ひそり波の音
秋の気配は、さみしいような、落ち着くような、内省的な気持ちにさせられ
るように感じます。
・とうもろこし回して食べるゲーム感
とうもろこしというのは、なにか異邦感を感じさせる食べ物だと思います。
・蒼き富士坂から望む秋の暮れ
目黒駅から自宅に歩く途中、左手に下り坂がありますが、そこから富士山が
見えます。よく写真を撮っている人をみかけます。
・電線をよぎって沈む秋夕陽
以前、「夕焼けの電線よぎる落ち葉かな」という句を作りましたが、それの
秋版のつもりですが。
・掛け布団重きに秋の深みゆく
夏の方が、ふとんもなく、ベッドの上で自由に動けてよかったな、という思
いです。年とともに寒さに弱くなっていく感じです。
・雨あがり秋の陽 (ひ) 空に満ちにけり
雨上がりの空の透明感を詠んだつもりです。
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