2017年11月13日月曜日

七句会 第22回 ネット句会の選句結果のご報告です。

 七句会のみなさま
 第二十二回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
 5 点句
(010) 紅葉燃ゆ 古都の甍(いらか)を雨が打ち         小野寺
 4 点句
(014) せせらぎは 底に紅葉を 敷き詰めし。          小野寺
(046) 虫時雨(むししぐれ)朋逝き夜半の 独り酒        小野寺
(076) 大和路や古寺の鐘聞く秋の旅               豊
 3 点句
(003) ひとえだのもみじ飾りて妻とお茶             深瀬
(015) 山門と 競う紅葉よ 燃えさかる             吉良
(023) 苔むした 古都の小径に 紅葉 燃ゆ。          小野寺
(024) 寒の朝 嵐に耐えた 紅葉 (もみじ) 散る         宮澤
(028) 幼子の 手よりもれ落つ 紅葉かな            吉良
(035) ミサイルに秋刀魚も細る北の海              橋本
(038) 北の使者しばし休める刈田かな              橋本
(066) 野辺送り 朋なき空に 赤蜻蛉              小野寺
 2 点句                               
(012) 紅葉 (こうよう) や 木々で異なる 色変化 (いろへんげ)  宮澤
(020) 紅葉映え白月浮かぶ深き空                橋本
(026) もみじ葉に送られあの世の戸をたたき           深瀬
(030) 北国の 白夜のしとね まどろみぬ            宮澤
(039) 雨音の秋を深める北の宿                 深瀬
(053) 秋蝶は陽だまりの外息を止め。              小野寺
(054) 紅の山肌隠す白き舞                   秋元
(055) 掛け布団重きに秋の深みゆく               深瀬
(060) 逝く友に 夢託されて 秋ふるえ             森杜瑯
(064) 秋桜や小箱近づく無人駅                 治部
(075) 古希過ぎて ふる里目指す 鰯雲             森杜瑯
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
  次回については、来年1 月上旬ころにご連絡したいと思っていますので、よ
ろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連
絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
 今回の選句には、下記の14名が参加しました。
  秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、齋藤さん、志方さん、治部さ
ん、中津川さん、橋本さん、宮澤さん、森杜瑯さん、柳町さん、豊さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
  今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては11月28日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
  これまで、句会の後、勉強会としての集まりを企画していましたが、参加者
が少ないこともあり、改めることにしました。集まっての勉強会も適宜、行い
たいとは思っていますが、よろしくお願いします。
  2017.11.13
      代表   橋口侯之介 (休会中)
      顧問  豊  宣光
      事務方 深瀬久敬
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    1.兼題  紅葉
(001) 紅葉燃え 古都の真昼を 過ぎにけり           小野寺16
(002) 紅葉 (こうよう) の 木漏れ日揺らし ボート漕ぐ     宮澤06
1 深瀬 秋日和に、どこかの湖とか公園の池で、
 岸辺に紅葉が生い茂っているなか、若かりし
 ころの奥さんと一緒にボートを漕いでいる様
 子が目に浮かびました。
(003) ひとえだのもみじ飾りて妻とお茶             深瀬02
1 吉良  さりげない表現の中に日常の家庭の穏
 やかな平安を感じさせてくれる句です。
2 柳町
3 宮澤 紅葉の下で芸者揚げて一献が昔の夢だ
 ったけれど、今は一枝の紅葉とお茶があれば
 幸せ。
(004) デパートに 一畳だけの 紅葉映え            吉良02
(005) ビル街にひそり陽あびる紅葉かな             深瀬05
(006) 満天の 星従えて 紅葉燃ゆ 。             小野寺20
1 森
(007) 全山は紅葉の中阿弥陀仏                 豊01
1 小野寺 全山紅葉の状態を阿弥陀仏として眺
 めた感覚に共鳴します。
(008) ゴルフ場ボール浮き立つ紅葉かな             深瀬03
1 中津川  ラフに打ち込んだボールが行ってみ
 たら紅葉の上に乗っていたのでしょうか。白
 いボールと紅葉の色の対比がおもしろいと思
 いました。
(009) 外苑を 黄金に染めて 紅葉立つ             吉良04
(010) 紅葉燃ゆ 古都の甍(いらか)を雨が打ち         小野寺03
1 柳町
2 中津川
3 宮澤 黒い甍は炭でしょうか、雨に当たると
 燃え上がり紅葉が一層鮮やかに冴えます。
4 秋元
5 治部
(011) 花水木朝日に煌めく濡れ紅葉               橋本02
(012) 紅葉 (こうよう) や 木々で異なる 色変化 (いろへんげ)  宮澤04
1 志方
2 治部
(013) 生の意味もみじに問いて答えなし               深瀬07
1 豊 作者は色づいた紅葉に人生の悲哀を感じ
 ているのでしょう。しかし、紅葉は自然のま
 まに色づき、散っていくだけ。そこには人間
 の俗念が入る余地はありません。ですから、
 紅葉は何も答えないのです。
(014) せせらぎは 底に紅葉を 敷き詰めし。          小野寺19
1 吉良  目を閉じると目の前に深山のせせらぎ
  を思い浮かべられます。
2 中津川  せせらぎの上も底も紅色で囲まれて
  いるようです。
3 秋元
4 治部
(015) 山門と 競う紅葉よ 燃えさかる             吉良01
1 齋藤
2 橋本 鮮やかで力強い紅葉が浮かびます。
3 深瀬 真っ赤に塗られた山門と真っ赤な紅葉
 とが、その色を競うように燃え盛っていると
 いう色彩感覚が印象的です。
(016) 峠路(とうげみち) 風 運びたり 山紅葉        小野寺18
1 志方
(017) 裏道をあゆめば紅葉ここにあり              深瀬04
(018) 黄昏(たそがれ)て永観堂に 紅葉燃ゆ。         小野寺05
1 秋岡  "黄" 昏と "紅" 葉のバランス及び句
 のリズムに共感しました。
(019) 富士の峰 麓は紅葉 (もみじ)  白冴えぬ         宮澤05
(020) 紅葉映え白月浮かぶ深き空                橋本01
1 齋藤
2 小野寺 紅い紅葉の向こうに秋の白い月が浮
 かぶ深き空が効いてます。
(021) 晩年は紅葉のごとく散りゆかむ              豊02
1 志方
(022) 渓谷の鉄橋染める紅葉かな                深瀬01
1 豊 山は一面の紅葉。その渓谷に橋が架かっ
 ています。木の橋でしょうか。鉄橋でしょう
 か。鉄橋ならば、錆び付いた古い橋がいいで
 すね。渓谷美を切り取ったいい風景です。
(023) 苔むした 古都の小径に 紅葉 燃ゆ。          小野寺17
1 柳町
2 橋本
3 秋元
(024) 寒の朝 嵐に耐えた 紅葉 (もみじ) 散る         宮澤03
1 吉良  嵐に耐えた紅葉に対する作者の愛おし
  みを感じます。
2 橋本 風は凌いでもとどめの寒さ、自然の摂
 理。
3 小野寺 嵐でも散らなかった紅葉が寒の朝に
 散っていた、自然の摂理の確かさですね。
(025) 音もなく 紅葉 散りけり 星月夜            小野寺21
(026) もみじ葉に送られあの世の戸をたたき           深瀬06
1 森
2 豊 もしかすると(013) と同じ作者でしょう
 か。すでにこの世からおさらばして、あの世
 へ向かっている。「あの世の戸をたたき」に、
 この世には何の未練もないというサバサバし
 た感じと味わい深いユーモアがあります。
(027) 紅葉散る 音  踏みしだき 百舌鳥(もず)が啼き     小野寺15
1 齋藤
(028) 幼子の 手よりもれ落つ 紅葉かな            吉良03
1 秋元
2 治部
3 小野寺 孫のてからはらりと落ちた紅葉は微
 笑ましい情景です。作者の深い愛情を感じら
 れ好感がもてます。
(029) 渓流に紅葉映して秋が暮れ                秋元02
   2.兼題  北
(030) 北国の 白夜のしとね まどろみぬ            宮澤02
1 吉良  いつ暮れるともない白夜の中で夢をみ
  させてくれます。
2 橋本
(031) 北の海荒れてロシアの島見えず              豊04
(032) 北国のゴルフの空にいわし雲               深瀬09
(033) 北の国 知る人ぞ知る 旨い燗              宮澤01
1 齋藤
(034) 北国を鉄路で行けば秋深し                深瀬11
1 治部
(035) ミサイルに秋刀魚も細る北の海              橋本03
1 中津川  細るという表現が怖さを表している
  ようです。
2 豊 時事川柳として秀逸ではないでしょうか。
 北朝鮮が暴走しないよう、アメリカ追従では
 なく、もっと積極的に日本は独自の外交を進
 めるべきだと思います。
3 秋元
(036) 北国の赤きリンゴを亡き父母に              深瀬10
(037) 北国の便りを運び鳥渡る                 豊03
(038) 北の使者しばし休める刈田かな              橋本04
1 吉良  刈りとった寂しい北の田んぼに、新し
  い住人の活気を感じます。
2 秋岡  丹頂鶴の餌をついばむ姿が自然と想像
  されます。
3 深瀬 渡り鳥が、稲刈りの終わった田んぼに
 舞い降りて、どじょうなどをついばんでいる
 様だと思います。いよいよ冬が近いなという
 様子が活写されていると思います。
(039) 雨音の秋を深める北の宿                 深瀬08
1 志方
2 宮澤 雨音が秋を深め、静かになったら雪。
 冬はもうすぐです。
   3.雑詠
(040) ちんどん屋 奏でる音色に 風哀し            志方02
1 秋岡  季語が無いのかなあと思いながらも、
  全体の哀調に共感しました。
(041) 手強いぞ風雨の後の濡れ落葉               治部05
(042) 雨あがり秋の陽 (ひ) 空に満ちにけり           深瀬19
(043) 百舌鳥(もず)啼きて茜(あかね)の雲に友の 逝き    小野寺06
(044) 注射針刺さるる痛さ秋深む                豊06
1 中津川  インフルエンザ予防接種の季節です。
(045) 朝霧の 流れ梢に 雉がなく               志方04
1 小野寺 朝霧の静寂のなかの木立に雉がない
 ている。しみじみとした静謐な情感を感じか
 もしだしています。
(046) 虫時雨(むししぐれ)朋逝き夜半の 独り酒        小野寺11
1 齋藤
2 吉良  親しい友を偲んで一人酒。我々のこれ
  からの姿でしょうか。
3 橋本
4 宮澤 逝きし友をしのび、読経のごとき虫時
 雨をBGM にしみじみと独り酒。さみしいね。
(047) とうもろこし回して食べるゲーム感            深瀬15
(048) 赤々と むら雲染める 残照が              志方01
(049) 落葉松(からまつ)の 時雨て梢 消えゆけり       小野寺08
1 橋本  山水画の世界を見ているようです。
(050) 秋の声砂浜ひそり波の音                 深瀬14
(051) 故郷(ふるさと)の駅舎の窓を 走り雨          小野寺14
1 柳町
(052) 彷徨 (さまよ) えり 虫の音やみても 夢捨てず      森杜瑯04
1 志方
(053) 秋蝶は陽だまりの外息を止め。              小野寺01
1 秋岡  窓越しに息をひそめて蝶の姿を追いか
  ける作者の様が良くわかります。
2 豊 俳句らしいまとまりがありますね。「息
 を止め」ているのは、もう死にかけているか
 らでしょうか。それとも寒さに震えているか
 らでしょうか。
(054) 紅の山肌隠す白き舞                   秋元01
1 治部
2 小野寺 真っ赤に燃えるような紅葉を覆い隠
 すように白い雪がふってきた。季節の移り変
 わりをとらえて墨絵の趣があります。
(055) 掛け布団重きに秋の深みゆく               深瀬18
1 秋岡  布団の枚数が増えてくるたびの冬が近
  づいてくるを共感します。
2 宮澤 軽い羽根布団は性に合いません。布団
 の重さは寒さと相関します。
(056) 天(空)蒼く 水引き草に 風がたち。          小野寺02
(057) 黒き富士裾で薄が露払い                 治部02
1 中津川  初雪、初冠雪が目前に来ているよう
  です。
(058) 夕の寺迫り来るなり百日紅                橋本05
(059) 風光り 薄(すすき)の原に 曼殊沙華          小野寺12
1 志方
(060) 逝く友に 夢託されて 秋ふるえ             森杜瑯03
1 深瀬 亡くなっていく人から、夢を託される
 というのは、こころに重くひびくものがあり
 ます。なにか世界全体がふるえている感じが
 します。
2 小野寺 夢を託されたほどの友人に先にいか
 れてそれを受け止められずにいる己の心境を
 秋ふるえとした真情は 深い哀しみの共感を
 おぼえます。私もこの夏場に失った友人の意
 思をおもうと自分もまた友人に夢を託してい
 つ逝くともしれず古希とはそういう年齢にさ
 しかかったのですね。明日は我が身なのだと
 おもうと今の命に感謝です。
(061) 日暮れても 金木犀の 残り香が             志方03
(062) 赤ワイン描きし 朋は 旅立ちぬ             小野寺10
(063) 満月に 吠える悲しさ 古希の虎             森杜瑯02
(064) 秋桜や小箱近づく無人駅                 治部03
1 柳町
2 中津川  列車を小箱と表現しているのでしょ
  う。無人駅の様子が浮かびます。
(065) 蒼き富士坂から望む秋の暮れ               深瀬16
(066) 野辺送り 朋なき空に 赤蜻蛉              小野寺09
1 豊 「朋なき」という句がほかにもあります
 が、同じ作者でしょうね。亡くなった方はよ
 ほどの親友だったのでしょう。赤蜻蛉はその
 人の魂かもしれません。
2 深瀬 亡くなった人が、なにかに生まれ変わ
 り、身近にただよっているのではないかとい
 う感覚は、普遍的なものだと思います。夕焼
 け小焼けの赤蜻蛉もなにかさみしい感じです。
3 治部
(067) 虫集く一人深夜の露天風呂                治部04
1 深瀬 深夜の露天風呂に入っていると、ぽつ
 んとついた常夜灯に虫がたくさん集まってい
 る。あまり体験することのない風景でもあり、
 印象的です。
(068) 水澄みて 流転の底に わが生命(いのち)        小野寺04
(069) 黒雲の上は茜の雲の峰                  橋本06
(070) 闇や猫の怪しき気配して                 治部01
1 秋元
(071) 電線をよぎって沈む秋夕陽                深瀬17
1 豊 電線と夕陽の組み合わせに惹かれました。
 秋のもの寂しい夕方の風景をユニークな視点
 でとらえています。
(072) 秋さやか 天まで透けて 渡り鳥             志方06
1 吉良  昔子供の頃は空がきれいで渡り鳥の群
  れをよくみました。懐かしい句です。 
(073) 終活を主業と決めて秋の声                深瀬12
(074) 秋蝶の 羽たたみおり 納屋の屋根            小野寺13
1 齋藤
(075) 古希過ぎて ふる里目指す 鰯雲             森杜瑯01
1 齋藤
2 深瀬 鰯雲というのは、見ていて不思議に思
 います。加藤楸邨の「鰯雲人に告ぐべきこと
 ならず」は有名ですが、鰯雲には、人の心の
 奥底を揺り動かすなにかがあるように感じま
 す。
(076) 大和路や古寺の鐘聞く秋の旅               豊05
1 柳町
2 志方
3 橋本  奈良はやはり秋が似合いますか。
4 秋元
(077) いわし雲 宙(そら)の蒼きに 鳶(とび)が鳴き     小野寺07
(078) 彼岸花 紅に魅かれて 畠中を              志方05
(079) 図書室の窓辺に潜む秋の声                深瀬13
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 追記
 選句にあたり、下記のコメントが寄せられています。ご参考までに掲載させ
ていただきました。
・下記の7 作を選句しました。楽しませて頂いておりますが、素人である私が
自分の好みのまま皆様の労作から選句させてもらっていることに多少の申し訳
なさを感じております。 (齋藤宏文さん)
・秋の風情が見事に詠み込まれている秀句ばかりで、真に選ぶのに苦労しまし
た。以上ですが、半分以上の句が素晴らしいと思います。 (志方さん)
                                   

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