七句会のみなさま
第三十二回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、
たいへんありがとうございました。
およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ
てお届けします。
今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。
七句会のweb http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。
今後とも、よろしくお願いいたします。
深瀬 (事務方)
1.第32回 ネット句会 作品集
(01) 秋元さん
・コロナ禍に人ざわめきて花散りぬ
・三密で舫のままの屋形船
・川縁の疎らな人にコロナ風
・コロナ禍で街の喧騒過去の夢
・悪名を歴史に刻む武漢風邪
(02) 小野寺さん
・藤棚の花揺らめきて風光り
・コロナから娘逃げ切り風薫る
・雷光の雲低く垂れ燕来る
・稲妻に立ち向かいをり闇の雨
・万緑を越えて峠は風の音
・春風や睫毛に残る陽は眩し
・桜 (はな) 散りて時の足音流れゆき
・滝の音風は碧 (みどり) の光り帯び
・宵宮に埋み火おこり心燃ゆ
・古都の陽は静かに暮れて春の雨
・断捨離に封切り手紙そっと捨て
・夕闇に花閉じ眠る白牡丹
・青麦をザワザワ鳴らし風渡る
・囀 (さえず) りを窓開けて聴く花雲り
・春雷の轟く彼方光る海
・花筏流れの底を魚の影
・黒髪の匂いゆたかに藤の花
・初恋の遠いいたみか花吹雪
・星々が息留めて聴く華の声
・花冷えや墨の香りに筆を留め
・風蒼く橋桁を翔ぶ初燕
(03) 吉良さん
・日溜りのベランダ光る君子蘭
・夫婦老い酒酌み交わし春惜しむ
以前に愛媛県松山・道後温泉に旅した思い出 3句
・花盛る城壁わびし武者の影
・窯煙る砥部の里にも山桜
・子規偲ぶ道後の湯殿若芽吹く
(04) 桑子さん
今回は主に憎くきコロナに関連して読みました。5 句
・人混みを避けて遠目の桜かな
・今日も又濃厚接触妻ひとり
・さあ出番コロナ退治ぞ鍾馗様
・脳トレと名画で刻む春の昼
・レジ袋冠る烏帽子や春時雨
(05) 志方さん
幼いころから、一番好きな季節と風物詩
・浅緑の風に向かいて鯉昇る
コロナは向日葵の代名詞名のはずだが
・向日葵もゴッホも迷惑コロナかな
物憂げ儚い情景を詠んでみました
・春愁の野に漂うは綿帽子
孫の成長と自生の竹の子の生命力が合わさって
・孫が採る筍肴に酒旨し
目に映る純な緑を表現してみました。
・青紅葉風にきらきら枝騒ぐ
薄いオレンジ色の空の暮色
・朧雲日暮れて遠い山の端に
泥縄、泥沼 壊れた司令塔、深海に引き込まれて欲しい
・引き潮の目を剥く速さアベコロナ
(06) 治部さん
・水温む子らとの会話楽しめり
・流失の橋の骸や桜降る
・久々の河原散歩や山笑う
・コロナとて巣籠る老いに春の雪
・蒲公英のわた飛ぶ校庭や寂しげに
・此の春ぞ過去のシネマでやり過ごし
・細道や垣もうっすら暮れの春
・笑顔みゆシロツメクサの四つ葉かな
(07) 中津川さん
スーパーでの買い物で
・密避けて外で妻待つ春キャベツ
外出自粛でこんな感じかなと、今は猫はいませんが
・自粛して猫と昼寝のあたたかさ
無観客場所のテレビを観て
・ぶちかます音や響ける春の場所
テレワークの次女が土曜日に長時間のネット宴会をした
とのことで
・コロナ禍やネット宴会花の宵
コロナから抜け出ませんでした
・夏近しコロナしか出ぬ俳句かな
学校が再開できずにいます
・春休み終われど校庭 (にわ) に声のなし
桜の名所は今年も綺麗に咲きました
・コロナとて今年も変わらぬ桜かな
(08) 橋本さん
春の句
・鶯の初鳴き遠く雲流る
・花に川新緑青空いつまでも
・雨戸開け狭き庭にも春の行く
コロナ禍の春の句
・新入生弾む家路も親マスク
・賑やかな人出まぼろし花の散る
雑詠
・菜園に雀の砂浴び覗き見る
コロナ禍の川柳;アベノマスク
・配る人配るマスクも汚れをり
コロナ禍の川柳;馴染めないコイケゴ
・呼び掛けも何処の人かと田舎人
(09) 宮澤さん
・永眠を恐れ春眠浅くなり
・桜散りつつじ枯れてもコロナ咲く
・鯉のぼりコロナの風で深呼吸
・華の街緑に翠美登利往き
・花一つマラソン人の靴の裏
(10) 森さん
・夕闇に君の襟元白梅香
・紅梅は泪をたたえ君誘う
・百年後も桜並木は君を待つ
・桜花死処を選びて落ちにけり
(11) 柳町さん
我が家前の登校路に子供の声が絶えてすでに2 ヶ月、寂
しいですね
・登校路消えて久しく子らの声
外出自粛でゴルフも行けず、イメージ・ゴルフで日々を
過ごしています
・芝の目の見かたも忘れティーショット
不要不急の外出自粛で孫も我が家に近寄らず、電話で元
気をもらう日々です
・孫の声電話の向こうに遠ざかり
(12) 豊さん
・見ぬままに今年の桜散りにけり
・安静のベッドより見る春の山
・コロナ禍やマスク美人の増える春
・喜びをリモートで知る入社式
・行く春を惜しむ多摩川暮色かな
・春がゆく過去をベンチに置き忘れ
(13) 深瀬
・身売りされ車窓の青田見つめる娘 (こ)
・ひとまばら棺 (ひつぎ) 見送る青田かな
・うすものに黒き瞳や艶 (えん) 湛え
・うすものを羽織りし母の細きかな
・体躯してうすものの僧経唱え
・走る人歩く人コロナ禍五月朝景色
・確かさの老いて狭まる春の靄 (もや)
・コロナ禍に若葉一枝妻飾り
・にぎわいの甍に若葉江戸の街
・老夫婦若葉並木を支え会ひ
・独り寝の耳にこだます猫の恋
・組織人やめて親しき猫の恋
・物干しの街灯の影猫の恋
・ぎゃあどさっ静寂 (しじま) ゆさぶる猫の恋
・孫はさみ妻と指差す春の雲
・母逝きし火葬の空に春の雲
・死に向かふ覚悟はいかに自問せり
・ふるさとを問われ地球と宇宙から
・古来からオスのロマンにメス打算
・足指に力を込めて春散歩
・巣籠もりに老前整理ハイピッチ
2.第32回 ネット句会 自句自解
◎ 小野寺さんの自句自解
・花冷えや墨の香りに筆を留め (5 点-48)
幼年時代祖父から受けた硯を擦り筆で手紙を書く習慣は長じて役に立ちまし
た。漢文の河村廣通先生とは海外駐在中も含めて巻紙に書いた筆の便りの交信
が先生が亡くなられるまで続きました。硯を擦ると心が落ち着き墨の香りが、
花冷えの室内に満ちて筆を留めました。多忙な生活の中で墨の香は心の静謐を
誘ってくれます。
・囀( さえず) りを窓開けて聴く花曇り (3点-40)
葉桜の外の景色は小鳥の囀りと相まって花曇りの春愁を心なしか癒してくれ
る様な気がします。
・花筏流れの底を魚の影 (2点-43)
満開の桜が散り花筏となって川面を流されてゆくふと覗いてみると川底の辺
りに稚魚の走る影があり散る生命と生きる生命の移り変わりを垣間みた思いで
した。
・春雷の轟く彼方光る海 (2点-58)
一瞬の春の嵐、稲妻の雷光の先に遠く水平に海が輝いていて、不思議な光の
ハーモニーでした。
・初恋の遠いいたみか花吹雪 (2点-68)
春も終わりを告げる散りしく花吹雪のなかふと過ぎていった叶わぬ初恋の片
想いを微かな痛みとともに思い出しておりました。
・断捨離に封切り手紙そっと捨て (2点-75)
コロナで自宅待機の断捨離中未開封の手紙をみつけ何故かそっと開封し、一
瞥してそっと捨てたのでした。
・桜 (はな) 散りて時の足音流れけり (2点-80)
宮澤さんご指摘のように爛漫の桜舞い散る中入学式や入社式等様々な行事が
果たせぬまま過ぎてしまった事を散るさくらに、音たてて時が流れてゆくと感
じたものです。
・藤棚の花ゆらめきて風光る (2点-84)
藤棚の藤の花房が風にゆれて逆光の木漏れ陽が空いて、あたかも風が光る錯
覚にとらわれたのでした。
・黒髪の匂いゆたかに藤の花 (2 点-96)
藤棚の藤の花のむせる様な甘い匂いは過ぎた日の長い髪を風になびかせた人
の昔を想いださせました。
・万緑を越えて峠は風の音 (2点-66)
万緑の碧滴る様な山路を越えて来てふと振り返ると、額の大粒の汗を吹き飛
ばすように風が轟々と鳴っておりました。
・雷光の雲低く垂れ燕来る (1点-100)
春雷の稲妻が光る低く垂れた黒い雲の中を初燕が飛んできた。一幅の絵を観
る様な光景でした。
・星々が息留めて聴く華の声 (1点-60)
夜桜の神秘的な美しさを夜も更けた深い静寂 (しじま) の中で天空の遥かな
星たちが、息を留めて華の精の声を聴いているのだと感じました。
・春風や睫毛に残る陽は眩し (1点-94)
宮澤さんの解釈の通りです。葉桜となり春も終わる頃泣き濡れた瞳と睫毛に
残る涙に陽があたり、それを眩しく見つめていた遠い日の思い出ながら、別れ
の日の情景が切なく蘇がえってきました。
・夕闇に花閉じ眠る白牡丹 (1点-103)
牡丹の花は夜が来ると花弁を閉じて眠ります。暗闇が迫る夕暮れ時、眠りに
ついた白牡丹はぼんやりと暗闇の中で白く光ります。牡丹の花が眠る現象は育
ててみて判ります。これも又確かな自然の運行です。
追記
俳句を創る事は絵画作品を創り出す作業に似ています。感動した風景や感じ
た情景を絵筆ではなく言葉で紡ぐ作業は、ある時堰を切ったように、浮かんで
くる風景や事象への再確認です。言葉を組み立てる作業ではなく感動や思いを
人に素直に伝える心ではないか。と最近思うようになりました。
◎ 吉良さんの自句自解
コロナ騒ぎの直前に子規が生まれた松山に旅行した折に詠んだ句です。松山
城の歴史を学んだり、地方の焼き物の町を訪れたりしたときの情景を読みまし
た。
◎ 桑子さんの自句自解
今回はやはりコロナ関連の句がほとんどでした。
・人混みを避けて遠目の桜かな
5 点ももらって恐縮です。花見の時期「人混みを避けて」とだいぶ言われて
おり、そのフレーズを頂いて作りました。実際遠くから眺めて花見のハシゴを
していました。
・今日も又濃厚接触妻ひとり
・脳トレと名画で刻む春の昼
コロナ禍の外出自粛要請の中での実体験です。
・さあ出番コロナ退治ぞ鍾馗様
端午の節句に飾る鍾馗様は疫病を追い出すと言われており、願望を込めて読
みました。
・レジ袋冠る烏帽子や春時雨
買物帰り、雨が降ってきたので雨よけに持っていたレジ袋を冠(かぶ)った
ら、まさに烏帽子のようでその光景を読みました。
◎ 中津川さんの自句自解
世の中と同様七句会俳句も新型コロナウィルス旋風に巻き込まれた様です。
・密避けて外で妻待つ春キャベツ (4点句)
治部さんご指摘のように春キャベツという季語を句の頭に持って来るか悩ん
だところです。今回はスーパーの外で私以外の男性が何人も待っていることを
出したくてあえて春キャベツを強調せず後ろに置きました。
コメント。5点句、4点句、3点句で私以外の6首はいづれも素晴らしく、
選句に迷った句ばかりでした。特に「うすものを羽織し母の細きかな」 はは
はへの思いが伝わりすばらしいと感じましたが、 "うすもの" は夏の季語(今
回は兼題が春)として、恐縮ですが選句外とさせていただきました。
◎ 豊さんの自句自解
・コロナ禍やマスク美人の増える春
俳句というよりも川柳に近い内容なので、どうかと思いましたが、5 点も入
るとは意外でした。わかりやすかったからでしょうか。
・見ぬままに今年の桜散りにけり
いつもなら花見に出かけるのに、今年は外出自粛で外に出られず、気がつけ
ばいつの間にか桜が散ってしまっていた、という心境です。
・安静のベッドより見る春の山
4月下旬から5月の連休明けまで、私は股関節の手術で入院していました。
そのとき病室の窓から見た風景です。
・春がゆく過去をベンチに置き忘れ
治部さんの指摘のとおり、「置き去りに」としたほうが、句に深みが出たよ
うです。
◎ 深瀬の自句自解
・身売りされ車窓の青田見つめる娘 (こ)
昭和恐慌のころの秋田で身売りされる少女の話しを母から聞かされました。
・ひとまばら棺 (ひつぎ) 見送る青田かな
父の遺したアルバムのなかに若くして亡くなった親戚の人の葬儀のセピア色
の写真があります。これは、幟を立てたり、かなりの賑わいのようでしたが。
・うすものに黒き瞳や艶 (えん) 湛え
うすものと聞くとなにかオリエント風の艶っぽいものを連想します。
・うすものを羽織りし母の細きかな
母は勤務医でしたが、それを辞め、70歳をすぎたあるころから急に痩せた感
じでした。もう少し世話をしてあげたらとやや後悔しています。
・体躯してうすものの僧経唱え
体躯は大柄な体つきのつもりですが、誤用のようです。
・走る人歩く人コロナ禍五月朝景色
これまでの朝には出逢わなかった人たちが、トレナーを着て、歩いたり走っ
たりしています。在宅勤務や自宅待機の広がりを感じます。
・確かさの老いて狭まる春の靄 (もや)
高齢になった認知症の専門医だった人のドキュメンタリーを見ました。確か
さが日々減っていくという言葉になにか同感するものがありました。
・コロナ禍に若葉一枝妻飾り
コロナ禍のなかでも、精神的ゆとりを感じたいと思いました。
・にぎわいの甍に若葉江戸の街
若葉は、江戸の黒瓦が並ぶ町並みに似合うように感じました。三越前駅地下
コンコース壁面に常設されている『熈代勝覧』の複製絵巻も念頭に置きました。
・老夫婦若葉並木を支え会ひ
いずれ互いに杖をついたりするのだろうか、想像です。
・独り寝の耳にこだます猫の恋
猫の恋を、少しスマートに詠みたいと思いました。
・組織人やめて親しき猫の恋
サラリーマンのころは、精神的に余裕がなかったなと感じます。
・物干しの街灯の影猫の恋
昭和の物干し台をイメージしました。
・ぎゃあどさっ静寂 (しじま) ゆさぶる猫の恋
一体となって塀の上から落ちる様は想像です。
・孫はさみ妻と指差す春の雲
たまに、息子の嫁さんと家内と二人の男の孫の五人で近くを散歩します。
・母逝きし火葬の空に春の雲
母は10年ほど前の新緑のうつくしい5 月に柿生の方の病院で亡くなりまし
た。火葬の煙を見たわけではありませんが。
・死に向かふ覚悟はいかに自問せり
古稀をすぎるとやはり死を身近に感じます。なにか準備することがあるの
か、むずかしい問いの感じです。
・ふるさとを問われ地球と宇宙から
宇宙飛行士のなんにんかにインタビューするTV番組がありました。そのなか
で、「わたしのふるさとは地球です」と答えていました。そうなると思います。
・古来からオスのロマンにメス打算
「メス打算」は表現がよくありませんが、持続可能性を踏まえた冷静さによ
って、過剰な欲望を抑制し、社会のバランスをとっているように思います。
・足指に力を込めて春散歩
最近、歩くとき、足指で大地を噛むように意識しています。ふらつきが減っ
た感じがします。UFC のマイク・タイソンの歩き方に似ているかも(?) 。
・巣籠もりに老前整理ハイピッチ
コロナ禍の巣籠もりもありますが、老前整理を日々意識する今日この頃です。
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2020年6月25日木曜日
2020年6月8日月曜日
七句会 第三十二回ネット句会の選句の結果です。
七句会のみなさま
第三十二回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
5 点句
(015) コロナ禍やマスク美人の増える春 豊
(027) 人混みを避けて遠目の桜かな 桑子
(048) 花冷えや墨の香りに筆を留め 小野寺
4 点句
(038) 密避けて外で妻待つ春キャベツ 中津川
(070) うすものを羽織りし母の細きかな 深瀬
3 点句
(040) 囀 (さえず) りを窓開けて聴く花雲り 小野寺
(085) 流失の橋の骸や桜降る 治部
2 点句
(003) 蒲公英のわた飛ぶ校庭や寂しげに 治部
(023) 見ぬままに今年の桜散りにけり 豊
(037) 三密で舫のままの屋形船 秋元
(046) 夕闇に君の襟元白梅香 森
(053) 花筏流れの底を魚の影 小野寺
(055) 笑顔みゆシロツメクサの四つ葉かな 治部
(058) 春雷の轟く彼方光る海 小野寺
(064) にぎわいの甍に若葉江戸の街 深瀬
(066) 万緑を越えて峠は風の音 小野寺
(068) 初恋の遠いいたみか花吹雪 小野寺
(073) 春がゆく過去をベンチに置き忘れ 豊
(075) 断捨離に封切り手紙そっと捨て 小野寺
(080) 桜 (はな) 散りて時の足音流れゆき 小野寺
(084) 藤棚の花揺らめきて風光り 小野寺
(088) 花盛る城壁わびし武者の影 吉良
(096) 黒髪の匂いゆたかに藤の花 小野寺
(102) 花一つマラソン人の靴の裏 宮澤
(105) うすものに黒き瞳や艶 (えん) 湛え 深瀬
下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
次回については、7 月下旬ころ (季節の変わり目を意識します。) にご連絡
したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。やり方、等について、
ご意見がありましたら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
今回の選句には、下記の15名が参加しました。
秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さ
ん、中津川さん、橋本さん、藤原さん、宮澤さん、森さん、柳町さん、豊さん、
深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては6 月21日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
(3) 自由連句について
第3 回の自由連句 (歌仙) は、今現在、20句まで進みました。上記のURL か
ら参照可能です。
2020.06.08
代表 橋口侯之介 (休会中)
顧問 豊 宣光
事務方 深瀬久敬
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1.兼題 コロナ禍
(001) コロナ禍で街の喧騒過去の夢 秋元
コロナ禍の川柳;馴染めないコイケゴ
(002) 呼び掛けも何処の人かと田舎人 橋本
(003) 蒲公英のわた飛ぶ校庭や寂しげに 治部
1 柳町
2 秋岡 家の周りの犬の散歩が日課ですが、小学校の
校庭はいつも閑散としていて本当に寂しげで残念です。
外出自粛でゴルフも行けず、イメージ・ゴルフで日々
を過ごしています
(004) 芝の目の見かたも忘れティーショット 柳町
テレワークの次女が土曜日に長時間のネット宴会をし
たとのことで
(005) コロナ禍やネット宴会花の宵 中津川
(006) 安静のベッドより見る春の山 豊
(007) 鯉のぼりコロナの風で深呼吸 宮澤
1 森
コロナ禍の春の句 2 句
(008) 新入生弾む家路も親マスク 橋本
(009) 賑やかな人出まぼろし花の散る 橋本
1 治部 いつもの賑わいがまぼろしのような寂しさの中
で散る桜は、それはそれで美しいものでしょうが、はか
なき人生につながります。花が岡江久美子さんに重なる
のは選者だけでしょうかね。
不要不急の外出自粛で孫も我が家に近寄らず、電話で
元気をもらう日々です
(010) 孫の声電話の向こうに遠ざかり 柳町
外出自粛でこんな感じかなと、今は猫はいませんが
(011) 自粛して猫と昼寝のあたたかさ 中津川
1 秋元
(012) 川縁の疎らな人にコロナ風 秋元
(013) 此の春ぞ過去のシネマでやり過ごし 治部
1 中津川 やり過ごしの表現に外出できないイライラが
込められていますね。
(014) 走る人歩く人コロナ禍五月朝景色 深瀬
(015) コロナ禍やマスク美人の増える春 豊
1 宮澤 三密避けて夜外出、折あしく春雨が降り出し、
遠くに傘をさすマスク美人が目に留まる。夜目、遠目、
傘の内にマスクとくれば皆美人。
2 藤原
3 深瀬 同感します。コロナ禍ですれ違う人が変わっ
たせいだけではない? 不思議な感覚です。
4 秋岡 確かに目元のきれいな女性が多いのを感じます。
失礼ながら眉毛やまつげは加工がしやすいのかなあ (?)。
5 小野寺 マスクして目元だけ見ると皆美人に見える春。
目は口ほどにものをいうですね。
(016) 桜散りつつじ枯れてもコロナ咲く 宮澤
無観客場所のテレビを観て
(017) ぶちかます音や響ける春の場所 中津川
(018) コロナから娘逃げ切り風薫る 小野寺
コロナは向日葵の代名詞名のはずだが
(019) 向日葵もゴッホも迷惑コロナかな 志方
泥縄、泥沼 壊れた司令塔、深海に引き込まれて欲し
い
(020) 引き潮の目を剥く速さアベコロナ 志方
1 橋本 節度無き長すぎる政権、コロナと共に消えて
欲しい。
(021) コロナ禍に若葉一枝妻飾り 深瀬
1 中津川
コロナから抜け出ませんでした
(022) 夏近しコロナしか出ぬ俳句かな 中津川
1 橋本
(023) 見ぬままに今年の桜散りにけり 豊
1 柳町
2 吉良 本当に残念なことでした。また来年に期待し
たいものです。
(024) コロナとて巣籠る老いに春の雪 治部
コロナ禍の川柳;アベノマスク
(025) 配る人配るマスクも汚れをり 橋本
学校が再開できずにいます
(026) 春休み終われど校庭 (にわ) に声のなし 中津川
1 柳町
今回は主に憎くきコロナに関連して読みました。5 句
(027) 人混みを避けて遠目の桜かな 桑子
1 治部 三密防止の中でも桜は咲きます。心無い人で
混んでいるのでしょうか。作者が色々考えながら遠く
から見ている様子が伝わります。コロナ禍ではなくて
もありうる光景がよいと思います。
2 秋元
3 豊 コロナ禍の花見の様子がうまく表現されてい
ます。
4 秋岡 幸いにも近所の桜はそれほど有名な場所では
なかったのでいつものようにゆっくり鑑賞できました。
密集ではない程度に人は集まっていました。
5 小野寺 人ごみを避けるようにして遠目に観る桜は又
かえって風情があるのでしょう。
(028) 今日も又濃厚接触妻ひとり 桑子
1 深瀬 おもしろい句だと思いました。濃厚接触とい
うのもリアリティーがあり、すごい言葉だと思います。
(029) さあ出番コロナ退治ぞ鍾馗様 桑子
(030) 脳トレと名画で刻む春の昼 桑子
(031) レジ袋冠る烏帽子や春時雨 桑子
1 柳町
(032) コロナ禍に人ざわめきて花散りぬ 秋元
(033) 喜びをリモートで知る入社式 豊
1 中津川
桜の名所は今年も綺麗に咲きました
(034) コロナとて今年も変わらぬ桜かな 中津川
(035) 悪名を歴史に刻む武漢風邪 秋元
(036) 巣籠もりに老前整理ハイピッチ 深瀬
1 秋岡 確かに持て余す時間で身の回りの整理が随
分進みました。
(037) 三密で舫のままの屋形船 秋元
1 橋本 解除は一番遅れそうですね。
2 宮澤 人は三密を避け、屋形船は舫で密に。あちら
を立てるためにこちらは密で我慢しています。
(038) 密避けて外で妻待つ春キャベツ 中津川
1 治部 選者も同様です。ソーシャルディスタンスを
保ちつつ人々を観察しています。この句は季語を主役
に「春キャベツ外で妻待つ密避けて」でいただきまし
た。
2 桑子 スーパーかと思いますが、我々亭主は荷物運
びに必要なだけですからね。
3 深瀬 コロナ禍での日常生活の一断面が鋭く切り取
られている感じです。
4 秋岡 今年の春はこんな情景があちこちで見られま
したが、春キャベツがいいですね。
我が家前の登校路に子供の声が絶えてすでに2 ヶ月、
寂しいですね
(039) 登校路消えて久しく子らの声 柳町
1 小野寺 コロナ休校でふと気がつくと賑やかに話しな
がら子供達がいない。寂しさが募りますね。
2.兼題春、雑詠
(040) 囀 (さえず) りを窓開けて聴く花雲り 小野寺
1 秋元
2 中津川
3 桑子
孫の成長と自生の竹の子の生命力が合わさって
(041) 孫が採る筍肴に酒旨し 志方
(042) 華の街緑に翠美登利往き 宮澤
1 柳町
(043) 花に川新緑青空いつまでも 橋本
(044) 母逝きし火葬の空に春の雲 深瀬
1 小野寺 母を亡くし火葬場の空に煙が垂れて春が一層
に寂しさを増します。
(045) 久々の河原散歩や山笑う 治部
(046) 夕闇に君の襟元白梅香 森
1 治部 君とは誰ですか?襟元からのぞく肌に白梅の
色と香りを感じるとはまだまだ現役ですね。しかし、
これは妄想だと思いますよ。俳句としては・・ 選者
は決して羨ましいのではありません・・・
2 藤原
(047) 組織人やめて親しき猫の恋 深瀬
(048) 花冷えや墨の香りに筆を留め 小野寺
1 吉良 習字に励んでいるのでしょうか、墨の何とも
言えなえい香は日本の伝統を感じさせます。
2 秋元
3 豊 書道で文字を書いていたら、濃い墨の香りが
して思わず筆を留めた。清々しさがいいですね。「花
冷え」の季語も効果的です。
4 宮澤 何か一筆と筆をとり、花冷えに、障子を閉め
ると漂う墨の香りに気付き心がなごむという感じで便
りを書きたいな。でも、墨をするなど大昔の話。そも
そも、毛筆の手紙など書いたことあったっけ。
5 藤原
(049) 確かさの老いて狭まる春の靄 (もや) 深瀬
(050) 稲妻に立ち向かいをり闇の雨 小野寺
(051) 足指に力を込めて春散歩 深瀬
(052) 永眠を恐れ春眠浅くなり 宮澤
1 秋岡 中々ショッキングな一句ですね。歳を取ると
いうことは複雑ですね。
(053) 花筏流れの底を魚の影 小野寺
1 柳町
2 豊 川面いっぱいに桜の花びらが流れている下を
泳いでいる魚の影が見えた。何の稚魚でしょうか。き
れいな句です。
(054) 桜花死処を選びて落ちにけり 森
1 志方 古希過ぎて、実感できる句です。
(055) 笑顔みゆシロツメクサの四つ葉かな 治部
1 志方 ツメクサの朝の滴が目に浮かぶ。
2 橋本
(056) 古都の陽は静かに暮れて春の雨 小野寺
1 藤原
(057) ふるさとを問われ地球と宇宙から 深瀬
1 豊 おもしろい発想の句ですが、ややわかりにく
いです。「宇宙」から問われて「地球」と答えたので
しょうか。それとも違う意味があるのでしょうか。
(058) 春雷の轟く彼方光る海 小野寺
1 吉良 絵になる光景です。
2 志方 一瞬の光のときめきの表現がターナの絵画み
たい。
(059) 孫はさみ妻と指差す春の雲 深瀬
1 桑子 春ののどかな光景が目に浮かびます。
(060) 星々が息留めて聴く華の声 小野寺
1 深瀬 桜の花の美しさが、宇宙スケールで表現され
ていると思います。「息留めて聴く」という表現はユ
ニーク。
(061) 身売りされ車窓の青田見つめる娘 (こ) 深瀬
(062) 滝の音風は碧 (みどり) の光り帯び 小野寺
1 志方 春の盛りの彩が味わえます。
(063) 鶯の初鳴き遠く雲流る 橋本
1 藤原
(064) にぎわいの甍に若葉江戸の街 深瀬
1 秋元
2 豊 江戸の街の初夏の風景を巧みに詠み込んでい
ます。300 年前にタイムスリップした感じです。
薄いオレンジ色の空の暮色
(065) 朧雲日暮れて遠い山の端に 志方
(066) 万緑を越えて峠は風の音 小野寺
1 志方 風の通り路が上手く表現されていると思いま
す。
2 橋本
(067) 死に向かふ覚悟はいかに自問せり 深瀬
0 秋岡 選句外として、季語が良くわからなかったの
ですが、作者の内なる感情が伝わってきて捨てがたい
句だなあ感じました。
(068) 初恋の遠いいたみか花吹雪 小野寺
1 柳町
2 森
(069) 細道や垣もうっすら暮れの春 治部
(070) うすものを羽織りし母の細きかな 深瀬
1 治部 今年も衣替えの季節になりましたが、夏物は
記事が薄く母の細さがあはれをさそいます。母上に感
謝していたわっている作者の気持ちが伝わります。
2 桑子 お母様への愛しさが感じます。
3 豊 母親に対する作者の愛情が感じられる句です。
4 小野寺 薄物を羽織った母が老いて細くなったなとし
みじみ思ったのですね。
0 秋岡 選句外として、季語が良くわからなかったの
ですが、作者の内なる感情が伝わってきて捨てがたい
句だなあ感じました。
(071) 青麦をザワザワ鳴らし風渡る 小野寺
目に映る純な緑を表現してみました。
(072) 青紅葉風にきらきら枝騒ぐ 志方
(073) 春がゆく過去をベンチに置き忘れ 豊
1 治部 共感できる句です。ベンチがいいですね。誰
と座っていたのでしょう。相手の人が過去の人なので
すね。特に人ではないのですかね。忘れたいのか、忘
れてしまったのか。選者の場合は、「置いたまま」と
か、「置き去りに」とか意思を見せたいです。
2 深瀬 なにか青春歌謡の歌詞のような感じもします
が、なにか想像がふくらみます。
(074) 百年後も桜並木は君を待つ 森
(075) 断捨離に封切り手紙そっと捨て 小野寺
1 桑子 「そっと捨て」の表現がステキです。誰から
の手紙だったか興味をそそります。
2 深瀬 身辺整理は身近な課題ですが、そういうこと
もあるのかと心が動かされました。
(076) ひとまばら棺 (ひつぎ) 見送る青田かな 深瀬
幼いころから、一番好きな季節と風物詩
(077) 浅緑の風に向かいて鯉昇る 志方
(078) 夫婦老い酒酌み交わし春惜しむ 吉良
(079) 独り寝の耳にこだます猫の恋 深瀬
(080) 桜 (はな) 散りて時の足音流れゆき 小野寺
1 吉良 毎年桜を迎えるころになると一年無事であっ
たことを意識させられます。
2 宮澤 時の移ろいを、卒業式、結婚式、入学式など
の行事で感ずることが多いが、コロナ禍の中では、春
の訪れの開花にも気付かず、舞う花びらでそうか、も
う春かと気付く切なさ。
(081) 菜園に雀の砂浴び覗き見る 橋本
1 中津川
(082) 古来からオスのロマンにメス打算 深瀬
1 小野寺 古代の昔から牡の本性はロマンチストな阿呆。
牝は計算高い存在と相場が決まってますね。笑
(083) 雨戸開け狭き庭にも春の行く 橋本
(084) 藤棚の花揺らめきて風光り 小野寺
1 志方 もう初夏の訪れですかね。
2 宮澤 藤棚の隙間を風が抜ける。隙間から漏れる光
は風の道を照らしている。ちょうどよい具合の風と光
のハーモニー。
(085) 流失の橋の骸や桜降る 治部
1 吉良 昨年は全国の大雨による天災が目立つ年でし
た。今年は平穏な年となることを桜が祈っている気が
します。
2 中津川 昨年の台風の爪痕でしょうか、毎年季節は廻
ります。
3 橋本
(086) ぎゃあどさっ静寂 (しじま) ゆさぶる猫の恋 深瀬
1 桑子 擬音語?の表現がいいです。騒々しさが伝わ
ってきます。
(087) 宵宮に埋み火おこり心燃ゆ 小野寺
以前に愛媛県松山・道後温泉に旅した思い出 3句
(088) 花盛る城壁わびし武者の影 吉良
1 深瀬 「春高楼の花の宴」に近いイメージかなと思
いましたが、「武者の影」も想像豊かな感じがしまし
た。
2 秋岡 古城の石垣だけが残る城壁には、特ににそん
な雰囲気がありますね。
(089) 窯煙る砥部の里にも山桜 吉良
1 秋元
(090) 子規偲ぶ道後の湯殿若芽吹く 吉良
1 治部 道後温泉いいですよね。選者も入りましたが、
深さが微妙で少し戸惑いました。若芽が時期を特定し
て、同じ風景を変えています。漱石も入ったんでしょ
うね。
(091) 風蒼く橋桁を翔ぶ初燕 小野寺
1 吉良 燕の元気な姿をみると元気がでます。
(092) 紅梅は泪をたたえ君誘う 森
1 森
(093) 体躯してうすものの僧経唱え 深瀬
(094) 春風や睫毛に残る陽は眩し 小野寺
1 宮澤 涙目の睫毛に漂うひとしずくに陽が当たる。
たいしたことなく泣いたのに、まぶしいほど日が輝い
ている。・・・なんちゃって。70歳の翁。青春懐かし
いです。
(095) 行く春を惜しむ多摩川暮色かな 豊
1 志方 コロナ自粛で、チャリ移動が多くなり、多摩
川堤で何度か目に焼き付く情景です。
(096) 黒髪の匂いゆたかに藤の花 小野寺
1 吉良 黒髪は昔の思い出か?日本画の絵を見るよう
な感じがします。
2 秋元
(097) 日溜りのベランダ光る君子蘭 吉良
物憂げ儚い情景を詠んでみました
(098) 春愁の野に漂うは綿帽子 志方
1 橋本
(099) 老夫婦若葉並木を支え会ひ 深瀬
(100) 雷光の雲低く垂れ燕来る 小野寺
1 豊 「雷光の雲」と「燕」の取り合わせが一つの
風景を見事に表しています。
(101) 物干しの街灯の影猫の恋 深瀬
(102) 花一つマラソン人の靴の裏 宮澤
1 中津川
2 桑子
(103) 夕闇に花閉じ眠る白牡丹 小野寺
1 藤原
(104) 水温む子らとの会話楽しめり 治部
(105) うすものに黒き瞳や艶 (えん) 湛え 深瀬
1 柳町
2 小野寺 薄物の着ながし黒い瞳に見つめられたら男は
引くに引かれませんね。
----
第三十二回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
5 点句
(015) コロナ禍やマスク美人の増える春 豊
(027) 人混みを避けて遠目の桜かな 桑子
(048) 花冷えや墨の香りに筆を留め 小野寺
4 点句
(038) 密避けて外で妻待つ春キャベツ 中津川
(070) うすものを羽織りし母の細きかな 深瀬
3 点句
(040) 囀 (さえず) りを窓開けて聴く花雲り 小野寺
(085) 流失の橋の骸や桜降る 治部
2 点句
(003) 蒲公英のわた飛ぶ校庭や寂しげに 治部
(023) 見ぬままに今年の桜散りにけり 豊
(037) 三密で舫のままの屋形船 秋元
(046) 夕闇に君の襟元白梅香 森
(053) 花筏流れの底を魚の影 小野寺
(055) 笑顔みゆシロツメクサの四つ葉かな 治部
(058) 春雷の轟く彼方光る海 小野寺
(064) にぎわいの甍に若葉江戸の街 深瀬
(066) 万緑を越えて峠は風の音 小野寺
(068) 初恋の遠いいたみか花吹雪 小野寺
(073) 春がゆく過去をベンチに置き忘れ 豊
(075) 断捨離に封切り手紙そっと捨て 小野寺
(080) 桜 (はな) 散りて時の足音流れゆき 小野寺
(084) 藤棚の花揺らめきて風光り 小野寺
(088) 花盛る城壁わびし武者の影 吉良
(096) 黒髪の匂いゆたかに藤の花 小野寺
(102) 花一つマラソン人の靴の裏 宮澤
(105) うすものに黒き瞳や艶 (えん) 湛え 深瀬
下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
次回については、7 月下旬ころ (季節の変わり目を意識します。) にご連絡
したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。やり方、等について、
ご意見がありましたら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
今回の選句には、下記の15名が参加しました。
秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さ
ん、中津川さん、橋本さん、藤原さん、宮澤さん、森さん、柳町さん、豊さん、
深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては6 月21日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
(3) 自由連句について
第3 回の自由連句 (歌仙) は、今現在、20句まで進みました。上記のURL か
ら参照可能です。
2020.06.08
代表 橋口侯之介 (休会中)
顧問 豊 宣光
事務方 深瀬久敬
----------------------------------------------------------------------
1.兼題 コロナ禍
(001) コロナ禍で街の喧騒過去の夢 秋元
コロナ禍の川柳;馴染めないコイケゴ
(002) 呼び掛けも何処の人かと田舎人 橋本
(003) 蒲公英のわた飛ぶ校庭や寂しげに 治部
1 柳町
2 秋岡 家の周りの犬の散歩が日課ですが、小学校の
校庭はいつも閑散としていて本当に寂しげで残念です。
外出自粛でゴルフも行けず、イメージ・ゴルフで日々
を過ごしています
(004) 芝の目の見かたも忘れティーショット 柳町
テレワークの次女が土曜日に長時間のネット宴会をし
たとのことで
(005) コロナ禍やネット宴会花の宵 中津川
(006) 安静のベッドより見る春の山 豊
(007) 鯉のぼりコロナの風で深呼吸 宮澤
1 森
コロナ禍の春の句 2 句
(008) 新入生弾む家路も親マスク 橋本
(009) 賑やかな人出まぼろし花の散る 橋本
1 治部 いつもの賑わいがまぼろしのような寂しさの中
で散る桜は、それはそれで美しいものでしょうが、はか
なき人生につながります。花が岡江久美子さんに重なる
のは選者だけでしょうかね。
不要不急の外出自粛で孫も我が家に近寄らず、電話で
元気をもらう日々です
(010) 孫の声電話の向こうに遠ざかり 柳町
外出自粛でこんな感じかなと、今は猫はいませんが
(011) 自粛して猫と昼寝のあたたかさ 中津川
1 秋元
(012) 川縁の疎らな人にコロナ風 秋元
(013) 此の春ぞ過去のシネマでやり過ごし 治部
1 中津川 やり過ごしの表現に外出できないイライラが
込められていますね。
(014) 走る人歩く人コロナ禍五月朝景色 深瀬
(015) コロナ禍やマスク美人の増える春 豊
1 宮澤 三密避けて夜外出、折あしく春雨が降り出し、
遠くに傘をさすマスク美人が目に留まる。夜目、遠目、
傘の内にマスクとくれば皆美人。
2 藤原
3 深瀬 同感します。コロナ禍ですれ違う人が変わっ
たせいだけではない? 不思議な感覚です。
4 秋岡 確かに目元のきれいな女性が多いのを感じます。
失礼ながら眉毛やまつげは加工がしやすいのかなあ (?)。
5 小野寺 マスクして目元だけ見ると皆美人に見える春。
目は口ほどにものをいうですね。
(016) 桜散りつつじ枯れてもコロナ咲く 宮澤
無観客場所のテレビを観て
(017) ぶちかます音や響ける春の場所 中津川
(018) コロナから娘逃げ切り風薫る 小野寺
コロナは向日葵の代名詞名のはずだが
(019) 向日葵もゴッホも迷惑コロナかな 志方
泥縄、泥沼 壊れた司令塔、深海に引き込まれて欲し
い
(020) 引き潮の目を剥く速さアベコロナ 志方
1 橋本 節度無き長すぎる政権、コロナと共に消えて
欲しい。
(021) コロナ禍に若葉一枝妻飾り 深瀬
1 中津川
コロナから抜け出ませんでした
(022) 夏近しコロナしか出ぬ俳句かな 中津川
1 橋本
(023) 見ぬままに今年の桜散りにけり 豊
1 柳町
2 吉良 本当に残念なことでした。また来年に期待し
たいものです。
(024) コロナとて巣籠る老いに春の雪 治部
コロナ禍の川柳;アベノマスク
(025) 配る人配るマスクも汚れをり 橋本
学校が再開できずにいます
(026) 春休み終われど校庭 (にわ) に声のなし 中津川
1 柳町
今回は主に憎くきコロナに関連して読みました。5 句
(027) 人混みを避けて遠目の桜かな 桑子
1 治部 三密防止の中でも桜は咲きます。心無い人で
混んでいるのでしょうか。作者が色々考えながら遠く
から見ている様子が伝わります。コロナ禍ではなくて
もありうる光景がよいと思います。
2 秋元
3 豊 コロナ禍の花見の様子がうまく表現されてい
ます。
4 秋岡 幸いにも近所の桜はそれほど有名な場所では
なかったのでいつものようにゆっくり鑑賞できました。
密集ではない程度に人は集まっていました。
5 小野寺 人ごみを避けるようにして遠目に観る桜は又
かえって風情があるのでしょう。
(028) 今日も又濃厚接触妻ひとり 桑子
1 深瀬 おもしろい句だと思いました。濃厚接触とい
うのもリアリティーがあり、すごい言葉だと思います。
(029) さあ出番コロナ退治ぞ鍾馗様 桑子
(030) 脳トレと名画で刻む春の昼 桑子
(031) レジ袋冠る烏帽子や春時雨 桑子
1 柳町
(032) コロナ禍に人ざわめきて花散りぬ 秋元
(033) 喜びをリモートで知る入社式 豊
1 中津川
桜の名所は今年も綺麗に咲きました
(034) コロナとて今年も変わらぬ桜かな 中津川
(035) 悪名を歴史に刻む武漢風邪 秋元
(036) 巣籠もりに老前整理ハイピッチ 深瀬
1 秋岡 確かに持て余す時間で身の回りの整理が随
分進みました。
(037) 三密で舫のままの屋形船 秋元
1 橋本 解除は一番遅れそうですね。
2 宮澤 人は三密を避け、屋形船は舫で密に。あちら
を立てるためにこちらは密で我慢しています。
(038) 密避けて外で妻待つ春キャベツ 中津川
1 治部 選者も同様です。ソーシャルディスタンスを
保ちつつ人々を観察しています。この句は季語を主役
に「春キャベツ外で妻待つ密避けて」でいただきまし
た。
2 桑子 スーパーかと思いますが、我々亭主は荷物運
びに必要なだけですからね。
3 深瀬 コロナ禍での日常生活の一断面が鋭く切り取
られている感じです。
4 秋岡 今年の春はこんな情景があちこちで見られま
したが、春キャベツがいいですね。
我が家前の登校路に子供の声が絶えてすでに2 ヶ月、
寂しいですね
(039) 登校路消えて久しく子らの声 柳町
1 小野寺 コロナ休校でふと気がつくと賑やかに話しな
がら子供達がいない。寂しさが募りますね。
2.兼題春、雑詠
(040) 囀 (さえず) りを窓開けて聴く花雲り 小野寺
1 秋元
2 中津川
3 桑子
孫の成長と自生の竹の子の生命力が合わさって
(041) 孫が採る筍肴に酒旨し 志方
(042) 華の街緑に翠美登利往き 宮澤
1 柳町
(043) 花に川新緑青空いつまでも 橋本
(044) 母逝きし火葬の空に春の雲 深瀬
1 小野寺 母を亡くし火葬場の空に煙が垂れて春が一層
に寂しさを増します。
(045) 久々の河原散歩や山笑う 治部
(046) 夕闇に君の襟元白梅香 森
1 治部 君とは誰ですか?襟元からのぞく肌に白梅の
色と香りを感じるとはまだまだ現役ですね。しかし、
これは妄想だと思いますよ。俳句としては・・ 選者
は決して羨ましいのではありません・・・
2 藤原
(047) 組織人やめて親しき猫の恋 深瀬
(048) 花冷えや墨の香りに筆を留め 小野寺
1 吉良 習字に励んでいるのでしょうか、墨の何とも
言えなえい香は日本の伝統を感じさせます。
2 秋元
3 豊 書道で文字を書いていたら、濃い墨の香りが
して思わず筆を留めた。清々しさがいいですね。「花
冷え」の季語も効果的です。
4 宮澤 何か一筆と筆をとり、花冷えに、障子を閉め
ると漂う墨の香りに気付き心がなごむという感じで便
りを書きたいな。でも、墨をするなど大昔の話。そも
そも、毛筆の手紙など書いたことあったっけ。
5 藤原
(049) 確かさの老いて狭まる春の靄 (もや) 深瀬
(050) 稲妻に立ち向かいをり闇の雨 小野寺
(051) 足指に力を込めて春散歩 深瀬
(052) 永眠を恐れ春眠浅くなり 宮澤
1 秋岡 中々ショッキングな一句ですね。歳を取ると
いうことは複雑ですね。
(053) 花筏流れの底を魚の影 小野寺
1 柳町
2 豊 川面いっぱいに桜の花びらが流れている下を
泳いでいる魚の影が見えた。何の稚魚でしょうか。き
れいな句です。
(054) 桜花死処を選びて落ちにけり 森
1 志方 古希過ぎて、実感できる句です。
(055) 笑顔みゆシロツメクサの四つ葉かな 治部
1 志方 ツメクサの朝の滴が目に浮かぶ。
2 橋本
(056) 古都の陽は静かに暮れて春の雨 小野寺
1 藤原
(057) ふるさとを問われ地球と宇宙から 深瀬
1 豊 おもしろい発想の句ですが、ややわかりにく
いです。「宇宙」から問われて「地球」と答えたので
しょうか。それとも違う意味があるのでしょうか。
(058) 春雷の轟く彼方光る海 小野寺
1 吉良 絵になる光景です。
2 志方 一瞬の光のときめきの表現がターナの絵画み
たい。
(059) 孫はさみ妻と指差す春の雲 深瀬
1 桑子 春ののどかな光景が目に浮かびます。
(060) 星々が息留めて聴く華の声 小野寺
1 深瀬 桜の花の美しさが、宇宙スケールで表現され
ていると思います。「息留めて聴く」という表現はユ
ニーク。
(061) 身売りされ車窓の青田見つめる娘 (こ) 深瀬
(062) 滝の音風は碧 (みどり) の光り帯び 小野寺
1 志方 春の盛りの彩が味わえます。
(063) 鶯の初鳴き遠く雲流る 橋本
1 藤原
(064) にぎわいの甍に若葉江戸の街 深瀬
1 秋元
2 豊 江戸の街の初夏の風景を巧みに詠み込んでい
ます。300 年前にタイムスリップした感じです。
薄いオレンジ色の空の暮色
(065) 朧雲日暮れて遠い山の端に 志方
(066) 万緑を越えて峠は風の音 小野寺
1 志方 風の通り路が上手く表現されていると思いま
す。
2 橋本
(067) 死に向かふ覚悟はいかに自問せり 深瀬
0 秋岡 選句外として、季語が良くわからなかったの
ですが、作者の内なる感情が伝わってきて捨てがたい
句だなあ感じました。
(068) 初恋の遠いいたみか花吹雪 小野寺
1 柳町
2 森
(069) 細道や垣もうっすら暮れの春 治部
(070) うすものを羽織りし母の細きかな 深瀬
1 治部 今年も衣替えの季節になりましたが、夏物は
記事が薄く母の細さがあはれをさそいます。母上に感
謝していたわっている作者の気持ちが伝わります。
2 桑子 お母様への愛しさが感じます。
3 豊 母親に対する作者の愛情が感じられる句です。
4 小野寺 薄物を羽織った母が老いて細くなったなとし
みじみ思ったのですね。
0 秋岡 選句外として、季語が良くわからなかったの
ですが、作者の内なる感情が伝わってきて捨てがたい
句だなあ感じました。
(071) 青麦をザワザワ鳴らし風渡る 小野寺
目に映る純な緑を表現してみました。
(072) 青紅葉風にきらきら枝騒ぐ 志方
(073) 春がゆく過去をベンチに置き忘れ 豊
1 治部 共感できる句です。ベンチがいいですね。誰
と座っていたのでしょう。相手の人が過去の人なので
すね。特に人ではないのですかね。忘れたいのか、忘
れてしまったのか。選者の場合は、「置いたまま」と
か、「置き去りに」とか意思を見せたいです。
2 深瀬 なにか青春歌謡の歌詞のような感じもします
が、なにか想像がふくらみます。
(074) 百年後も桜並木は君を待つ 森
(075) 断捨離に封切り手紙そっと捨て 小野寺
1 桑子 「そっと捨て」の表現がステキです。誰から
の手紙だったか興味をそそります。
2 深瀬 身辺整理は身近な課題ですが、そういうこと
もあるのかと心が動かされました。
(076) ひとまばら棺 (ひつぎ) 見送る青田かな 深瀬
幼いころから、一番好きな季節と風物詩
(077) 浅緑の風に向かいて鯉昇る 志方
(078) 夫婦老い酒酌み交わし春惜しむ 吉良
(079) 独り寝の耳にこだます猫の恋 深瀬
(080) 桜 (はな) 散りて時の足音流れゆき 小野寺
1 吉良 毎年桜を迎えるころになると一年無事であっ
たことを意識させられます。
2 宮澤 時の移ろいを、卒業式、結婚式、入学式など
の行事で感ずることが多いが、コロナ禍の中では、春
の訪れの開花にも気付かず、舞う花びらでそうか、も
う春かと気付く切なさ。
(081) 菜園に雀の砂浴び覗き見る 橋本
1 中津川
(082) 古来からオスのロマンにメス打算 深瀬
1 小野寺 古代の昔から牡の本性はロマンチストな阿呆。
牝は計算高い存在と相場が決まってますね。笑
(083) 雨戸開け狭き庭にも春の行く 橋本
(084) 藤棚の花揺らめきて風光り 小野寺
1 志方 もう初夏の訪れですかね。
2 宮澤 藤棚の隙間を風が抜ける。隙間から漏れる光
は風の道を照らしている。ちょうどよい具合の風と光
のハーモニー。
(085) 流失の橋の骸や桜降る 治部
1 吉良 昨年は全国の大雨による天災が目立つ年でし
た。今年は平穏な年となることを桜が祈っている気が
します。
2 中津川 昨年の台風の爪痕でしょうか、毎年季節は廻
ります。
3 橋本
(086) ぎゃあどさっ静寂 (しじま) ゆさぶる猫の恋 深瀬
1 桑子 擬音語?の表現がいいです。騒々しさが伝わ
ってきます。
(087) 宵宮に埋み火おこり心燃ゆ 小野寺
以前に愛媛県松山・道後温泉に旅した思い出 3句
(088) 花盛る城壁わびし武者の影 吉良
1 深瀬 「春高楼の花の宴」に近いイメージかなと思
いましたが、「武者の影」も想像豊かな感じがしまし
た。
2 秋岡 古城の石垣だけが残る城壁には、特ににそん
な雰囲気がありますね。
(089) 窯煙る砥部の里にも山桜 吉良
1 秋元
(090) 子規偲ぶ道後の湯殿若芽吹く 吉良
1 治部 道後温泉いいですよね。選者も入りましたが、
深さが微妙で少し戸惑いました。若芽が時期を特定し
て、同じ風景を変えています。漱石も入ったんでしょ
うね。
(091) 風蒼く橋桁を翔ぶ初燕 小野寺
1 吉良 燕の元気な姿をみると元気がでます。
(092) 紅梅は泪をたたえ君誘う 森
1 森
(093) 体躯してうすものの僧経唱え 深瀬
(094) 春風や睫毛に残る陽は眩し 小野寺
1 宮澤 涙目の睫毛に漂うひとしずくに陽が当たる。
たいしたことなく泣いたのに、まぶしいほど日が輝い
ている。・・・なんちゃって。70歳の翁。青春懐かし
いです。
(095) 行く春を惜しむ多摩川暮色かな 豊
1 志方 コロナ自粛で、チャリ移動が多くなり、多摩
川堤で何度か目に焼き付く情景です。
(096) 黒髪の匂いゆたかに藤の花 小野寺
1 吉良 黒髪は昔の思い出か?日本画の絵を見るよう
な感じがします。
2 秋元
(097) 日溜りのベランダ光る君子蘭 吉良
物憂げ儚い情景を詠んでみました
(098) 春愁の野に漂うは綿帽子 志方
1 橋本
(099) 老夫婦若葉並木を支え会ひ 深瀬
(100) 雷光の雲低く垂れ燕来る 小野寺
1 豊 「雷光の雲」と「燕」の取り合わせが一つの
風景を見事に表しています。
(101) 物干しの街灯の影猫の恋 深瀬
(102) 花一つマラソン人の靴の裏 宮澤
1 中津川
2 桑子
(103) 夕闇に花閉じ眠る白牡丹 小野寺
1 藤原
(104) 水温む子らとの会話楽しめり 治部
(105) うすものに黒き瞳や艶 (えん) 湛え 深瀬
1 柳町
2 小野寺 薄物の着ながし黒い瞳に見つめられたら男は
引くに引かれませんね。
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