2020年9月22日火曜日

七句会 第三十三回 ネット句会 感想、自句自解

 七句会のみなさま                                                                                                                第三十三回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、                         たいへんありがとうございました。                                             およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ                         てお届けします。                                                     今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。                             七句会のweb http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。                         今後とも、よろしくお願いいたします。                                         深瀬 (事務方)                                                                                                                                                                             1.第32回 ネット句会 作品集                                                                                                          (01)秋元さん                                                      ・大川の川面の揺らぎ蝉の声                                               ・朝顔や夕立ち過ぎて軒すだれ                                              ・蝉時雨風に揺られて小波立つ                                                                                                          (02)新井さん                                                      ・多摩川のかなたに輝く夏の富士                                             ・冷奴もめんのつやに癒されて                                              ・自粛期間小銭が貯まりうな重を                                             ・梅雨明けて二週間後の夕涼み                                              ・夏山の見守る童子の墓掃除                                               ・湯けむりの香りゆらめく夏山よ                                             ・うな重を受け取る手のひら幸満ちる                                           ・帰り道夕飯うなぎ極楽道                                                ・冷奴醤油無くして素の旨み                                                                                                           (03)小野寺さん                                                     ・つばくろ (燕) の囀り高く梅雨払う                                           ・麦秋の風頬に受け朋は逝き                                               ・群青の海の岬に合歓の花                                                ・つばくらめ (燕) 餌求め啼く雨の軒 (のき)                                        ・笛の音に埋み火のごと心揺れ                                              ・海恋し漁火 (いさりび) は哭き波の音                                          ・碧き翅生命 (いのち) の限り蝉生まれ                                          ・雷雲は峰の谷間に風興 (おこ) し                                            ・星の夜半 (よわ) 生まれし蝉のうすみどり                                        ・一陣の風興りきて峠越え                                                ・鎮魂の読経に和すや蝉時雨                                               ・みじか夜に匂い残して百合の花                                             ・墨摺ればひぐらし啼きて風の音                                             ・夏の月原一面を霜に染め                                                ・炎天に陽のにほひしてカンナ咲く                                            ・草いきれ鬨の声聴く衣川                                                ・黒雲に稲妻走り夏来たる                                                ・奥州は夏野の駿馬雲速し                                                ・ひぐらしに魂還帰 (かえ) る杉木立                                           ・谷の闇蛍の乱舞黄泉 (よみ) に棲む                                           ・風蒼し墨のかほりに筆を置く                                              ・花筏木漏れ陽を背に春ながれ                                                                                                          (04)吉良さん                                                      ・梅花藻の清水とたわむる山の宿                                             ・白蓮や頭もたげて朝ひかる                                               ・夏の月灼熱色に染まりあげ                                               ・残像の花火まぶたに夏開き                                               ・屋形船客声静かに川下る                                                                                                            (05)桑子さん                                                      ・傘マーク続き紫陽花心地よし                                              ・年寄りにGOTO冥土令和の夏                                             ・白南風や川面に揺らぐ海猫(ごめ)の群れ                                        ・孫登山ロープウエイで先廻り                                              ・ジージーと蝉か耳鳴り惑う吾れ                                                                                                         (06)志方さん                                                      ・夕凪に水面に映る朱華の雲                                               ・赤々と炎暑に凛と百日紅                                                ・霧流れ晩夏を送る蒼き空                                                ・栂ノ尾の山路登りて涼に触れ                                              ・夕立がゲリラ豪雨に追いやられ                                                                                                         (07)治部さん                                                      ・梅雨出水すべて球磨へと川辺川                                             ・梅雨茸帰国れぬ選手に友の居て                                             ・里山を歩き懐古の水車                                                 ・足早に人波駅へ土用かな                                                ・夏場所や枡一人づつの拍手かな                                             ・弁当の宅配首に扇風機                                                 ・蕎麦待たせ急ぐや奥の院緑                                               ・夏定番帰郷ついでの伊勢参り                                                                                                          (08)中津川さん                                                     ・空に向くすがしき白のムクゲかな                                            ・流れゆく信濃の道にそばの花                                              ・大きさと色競うがごと百日紅                                              ・長崎も心こもらぬ誓いの辞                                               ・経響き先祖迎えるメロンの香                                              ・秋暑し野良猫すずむ車影                                                ・数独や頭へクーラー家ごもり                                                                                                          (09)橋本さん                                                      ・初老吹く尺八若葉の風に乗り                                              ・新緑や木漏れ日水面に万華鏡                                              ・コロナ禍に雨雨雨雨天仰ぐ                                                 初めての糸蜻蛉を2句。庭の菜園の散水時、 か細き                                    物飛ぶ。3cm にも満たない色美しい蜻蛉、 初めて見て                                    感動。 アジアイトトンボらしい。                                            ・茄子の葉に何処から生れし糸蜻蛉                                            ・糸蜻蛉その小ささ美しさ                                                ・聞こえしは機械音ばかり残暑かな                                            ・盆明けて寂しき河原風立ちぬ                                                                                                          (10)宮澤さん                                                      ・梅雨明けた一斉唱歌で蝉知らせ                                             ・家籠り祭りもなしで日は巡り                                              ・角曲がり西日の中に母が待つ                                              ・コロナ禍が廻り続ける走馬燈                                              ・熟れし桃コロナも好物ミツ三っつ                                            ・水を撒くホースの虹に蜻蛉寄り                                                                                                         (11)豊さん                                                       ・眼球の小さな痛み晩夏光                                                ・夏が行くコロナと豪雨の跡残し                                             ・巣ごもりにすっかり慣れて涼新た                                            ・秋霖や相合傘に誘われし                                                ・コスモスや修学旅行の大伽藍                                              ・幼きが敬老の日の慰問かな                                                                                                           (12)深瀬                                                        ・夏山のジャンボ残骸35年                                               ・夏山の満天の星時止まる                                                ・ワンゲルの夏山縦走セピア色                                              ・夏山のヌード写真の陰深く                                               ・夏山の鉄鎖をたぐる修験道                                               ・夏山の小屋の夜に聴くシンフォニア                                           ・夏山の登山の列や雲に消え                                               ・波の音潮のかほりや遠き夏                                               ・気がつけば夏草しげる空き地かな                                            ・太鼓腹ゆかたはみ出す父はるか                                             ・豊満の裸身ゆさぶるカーニバル                                             ・梅雨明けのとなりの部屋に孫の声                                            ・首垂れし倉庫のロボット晩夏の陽                                            ・三密を盥のうなぎ気にもせず                                              ・炎暑日に腰痛かかえ長き道                                               ・目録のできしときには興味失せ                                             ・なって知る他人の苦への鈍感さ                                             ・細き脛いつのまにかと老ひ覚る                                             ・冷蔵庫いっしょにいたね二十年                                             ・見飽きてもつい手にしてるスマホかな                                          ・人類のひかりと闇の走馬灯                                               ・いつまでも人とはなにか問ひつづけ                                           ・生きている起伏のときをいくたびか                                           ・無意識に時の流れるありがたさ                                             ・UFCラウンドガール手を振って                                            ・朝ゲーム記録更新やめられず                                                                                                                                                                      2.第33回 ネット句会 自句自解                                                                                                         ◎ 新井さんの自句自解                                                                                                             七句会の選句結果を拝見し、日常の一コマをその方の個性を混ぜながら語ら                         れたものや、ダイナミックな自然の感じられるものもあり、多種多様さがおも                         しろかったです。                                                                                                                以下の様に自句自解をお伝えします。                                                                                                       ・多摩川のかなたに輝く夏の富士                                              通勤電車で多摩川の上を通りますが、富士山が見えます。冬は白い富士山が                         見えますが、この夏深緑の美しい富士山が見えました。珍しいことですので、                         コロナ自粛で空気が澄んでいるのかもしれません。                                                                                                 ・冷奴もめんのつやに癒されて                                               暑い夏も大好きな冷奴で一瞬酷暑を忘れます。                                                                                                  ・自粛期間小銭が貯まりうな重を                                              自粛期間はあまりお金を使う機会がないので、自然と小銭が貯まりました。                          緊急事態が解除された直後に大好物のうなぎ屋さんへ。躊躇なくうな重を買                         えました。                                                                                                                   ・梅雨明けて二週間後の夕涼み                                               長雨が終わったと思いきや、たった二週間でもう初秋が感じられます。                                                                                       ・夏山の見守る童子の墓掃除                                                小学生の夏休み、兵庫県の田舎に家族で帰省しました。子供たちだけでお墓                         の掃除をしましたが、山々に見守られているようでした。                                                                                              ・湯けむりの香りゆらめく夏山よ                                              真夏に信州に旅行に行った時の事。温泉に入ると、湯煙の向こうに山が見え                         、ほっとし、とても印象に残っています。                                                                                                     ・うな重を受け取る手のひら幸満ちる                                            うなぎが大好物ですので、購入時に受け取ると幸せが広がります。                                                                                         ・帰り道夕飯うなぎ極楽道                                                 何度も書いていると感じますが、うなぎが大好きなので、夕食がうなぎの日                         は、帰り道からうきうきします。                                                                                                         ・冷奴醤油無くして素の旨み                                                お豆腐が大好きですので、しょう油なしでも美味しく頂けます。                                                                                          美味しい食べ物で頭がいっぱいです。先日人間ドックの結果が戻ってきまし                         たが、少しダイエットした方がいいようです。ただ、仕事のストレスなどはア                         イスクリームなどで癒すので、難しそうですが…。                                                                                                                                                             ◎ 小野寺さんの自句自解                                                                                                            ・鎮魂の読経に和すや蝉時雨 (6点句 050)                                          災害で亡くなった故人を追悼する盆供養の読経の声が朗々と響く中、寺の外                         では蝉時雨がさながら読経に唱和する様に聞こえて、鎮魂への祈りの深さが動                         と静に相成り 尚一層深まる想いがしました。                                                                                                   ・星の夜半生まれし蝉のうすみどり (3点句 037)                                       蝉は成虫となり羽化まで土の中で七年の歳月を過ごし地上に出て一週間で生                         命を終えます。星降る夜半に羽化する瞬間は薄いみどりの羽を通して生命の営                         みの輝きを観る想いでした。                                                                                                           ・ひぐらしに魂帰還( かえ) る杉木立 (2点句 030)                                      油蝉やミンミン蝉の盛夏を過ぎて晩夏に鳴くひぐらしのカナカナと鳴く声を                         聴くと、ほの暗い杉木立の中にある魂の故郷に帰って行くのだと思いました。                                                                                     ・一陣の風興りきて峠超え (2点句 063)                                           遥かな峠道を超えてきてふと杣道を振り返ると冷たい一陣の風が吹き身体中                         の汗が爽やかに引いていく想いでした。                                                                                                      ・短か夜に匂い残して百合の花 (2点句 072)                                        真夏の短い夜半、庭に咲くカサブランカは暗闇の中で強くて魅惑の匂いを漂                         わせ、不思議な夜のハーモニーとなりました。                                                                                                   ・炎天に陽のにほひしてカンナ咲く (2点句 097)                                     炎天の強い日差しの中で紅く咲くカンナは生命の炎を燃やして炎暑に負けな                         い力を持った生き物の様にも思いました。                                                                                                     ・谷の闇蛍の乱舞黄泉 (よみ) に棲む (1点句 095)                                     漆黒の深い谷の底での蛍火の光の交錯は魂の乱舞にも似てこの世ではない黄                         泉( よみ) の国に棲む命を眺めている錯覚を観る想いがしたのです。                                                                                         ・墨すればひぐらし啼きて風の音 (1点句 088)                                       手紙をしたためる為に墨を擦っていると仄かな墨の香りの中で、ひぐらしの                         哭くような寂しい声が風に微かに流れて行く気配を感じたことでした。                                                                                        ・つばくらめ (燕) 餌求め啼く雨の軒 (1点句 099)                                      雨の日の軒先、親燕の餌を求めて盛んに啼くヒナ達の甲高い声は自然の中で                         生きぬく生命の強さでもあり応援したい気持ちを掻き立てられます。                                                                                         ・奥州は夏野の駿馬風速し (1点句 022)                                          奥州岩手一関は藤原一門の時代から駿馬の供給地でした。雲が流れる夏の原                         野を駿馬が風の様に駆け抜けて行く様は、祖父の故郷への郷愁でもありました                         。                                                                                                                                                                                   ◎ 桑子さんの自句自解                                                                                                             ・傘マーク続き紫陽花心地よし                                                                                                          ・年寄りにGOTO冥土令和の夏                                              ちょっと皮肉を込めて、GOTOトラベルに対し、年寄りはコロナ・熱中症                         で冥土の旅かなということで詠みました。                                                                                                     ・白南風や川面に揺らぐ海猫 (ごめ) の群れ                                         自宅(荒川区)近くの隅田川のテラスを散歩していたら、川に浮かんでいる                         鳥を発見、最初カモメかなと思いましたが調べたら冬鳥ということで、やっと                         ウミネコにたどり着きました。ただ後で季重なりと気づきました。                                                                                          ・孫登山ロープウエイで先廻り                                               筑波山に行った時、孫は歩いて登り、年寄り夫婦は気力、体力がなくロープ                         ウエイで頂上へ。                                                                                                                ・ジージーと蝉か耳鳴り惑う吾れ                                              これは実感です。最近耳が遠くなり耳鳴りもひどく、気を付けないとセミの                         鳴き声と混同してしまいます。                                                                                                                                                                      ◎ 橋本さんの自句自解                                                                                                             少し涼しくなって来ましたね、助かります。                                       9日に2ヶ月半ぶりに霞台CCの霞光会ゴルフに参加しました。ほぼ猛暑日の                         暑さで、途中からバテて力ばかり入ってトップを多発、何とか最後まで廻って                         良い汗は掻きました。体調を整えてゴルフを楽しみたいと思っています。                           今回4点句と3点句がありましたので、自句自解を送らせていただきました                         。                                                                                                                       ・茄子の葉に何処から生れし糸蜻蛉 ・・・4点句                                                                                                 ・糸蜻蛉その小ささ美しさ ・・・1点句                                          投句の際に、アジアイトトンボらしいと書きましたが、アオモンイトトンボ                         も似ていて判断できず、参考までに写真を添付します。
                                                            ・新緑や木漏れ日水面に万華鏡 ・・・3点句                                        清水公園の緑陰の小川の水面、 新緑からの木漏れ日、 映る青空が万華鏡の様                         に美しい。                                                                                                                   ・コロナ禍に雨雨雨雨天仰ぐ ・・・1点句                                         今年の梅雨は雨の日が多かった、7 月はほぼ毎日、コロナ禍と相まってどう                         にかならないものかと天を仰ぐのみ。                                                                                                       ・聞こえしは機械音ばかり残暑かな                                             猛暑日続く残暑 (酷残暑!) 、人間を初め生物全てが耐えている、外は車と                         飛行機音がするばかり。                                                                                                             ・盆明けて寂しき河原風立ちぬ                                               田舎の少年時代の盆明け、人影が消え一泳ぎ後の河原、水は冷たく初秋の風                         に山際には黄葉も舞う。今では考えられない経験、風景。                                                                                              ・初老吹く尺八若葉の風に乗り                                               市の運動公園散歩中、コロナ禍の密を避けて初老が一人吹く尺八、美しい音                         色が若葉の風に乗り流れる。                                                                                                                                                                       ◎ 宮澤さんの自句自解                                                                                                             ・梅雨明けた一斉唱歌で蝉知らせ                                             今年は7 月まるまる梅雨空で、8 月になったとたんにセミの鳴き声とともに                         、どっと夏がやってきた感じでした。                                                                                                       ・家籠り祭りもなしで日は巡り                                               コロナで人との接触を断たれ、刺激が少ない日々。それでも一日は短く、あ                         っという間に月日は巡り、秋を迎えようとしている印象を強く持ちました。                                                                                      ・角曲がり西日の中に母が待つ                                               少々疲れた仕事帰りの夕方、自宅への帰路で最後の角を曲がると西日が照り                         付け一瞬何も見えなくなります。そのまぶしさの中に玄関前で亡き母が「お帰                         り」と迎えてくれた気がしました。                                                                                                        ・コロナ禍が廻り続ける走馬燈                                               コロナ罹患数の日々の動きは、ぐるぐる回る走馬燈。今日も又繰り返しです                         。                                                                                                                       ・熟れし桃コロナも好物ミツ三っつ                                             桃も品質改良で色々な銘柄があるようですが、目の前の三種の桃は皆甘く水                         蜜がたっぷり。コロナも三密が大好き。どうもくだらないダジャレでした。                                                                                      ・水を撒くホースの虹に蜻蛉寄り                                              水撒きしていると、光の具合で虹が見えます。もっとよく虹が見えるように                         と夢中になって、撒き方や方向を細工していると、いつの間にか、蜻蛉が寄っ                         てきて水を撒く方向の変化に合わせ一緒になって飛んでいる。「久しぶり」、                         懐かしく蜻蛉さんと挨拶を交わしました。                                                                                                                                                                 ◎ 豊さんの感想                                                                                                                 選句結果の感想を送ります。                                               高得点の句は、それぞれ俳句として良くできている作品だと思います。それ                         をきちんと評価して点を入れた皆さんの鑑賞力に感心しました。                                私自身の句は、改めて読み直すと平凡すぎて、強く訴える力がなかったよう                         です。                                                                                                                                                                                 ◎ 深瀬の自句自解                                                                                                               ・気がつけば夏草しげる空き地かな                                             最近、近くのかなり広い敷地の都営住宅が取り壊されました。植物の繁殖能                         力と人間のいろいろな事情とのせめぎ合いを感じました。                                                                                              ・夏山の鉄鎖をたぐる修験道                                               夏山と鉄鎖を詠みたいと思いました。はじめ下五を「谷深く」としたのです                         が、「修験道」の方がおもしろいかと思いました。                                                                                                 ・首垂れし倉庫のロボット晩夏の陽                                             ソフトバンクの店先で見た光景です。下五は少し工夫したつもりです。                                                                                       ・夏山のヌード写真の陰深く                                                昔見た屋外で撮影されたものが印象に残っています。もちろんわたしが撮っ                         た訳ではありません。                                                                                                              ・夏山の満天の星時止まる                                                 以前、大学の同級生と野辺山天文台を見学し、その夜、宿のマイクロバスに                         のって星座見学に参加しました。満天の星空に吸い込まれる感じがしました。                         レーザーポインターでの解説にも驚きました。                                                                                                   ・夏山の小屋の夜に聴くシンフォニア                                            「アルビノーニのアダージョ」をシンフォニアというのだと思い込んでいま                         す。個人的に、Academy of St.Martin in the Fields Orchestraの下記URL の                         ものが好きです。                                                    https://www.youtube.com/watch?v=CuYlw7NzIK8                                                                                                  ・夏山のジャンボ残骸35年                                               この夜、自宅で神父さんとお話しをしていてむし暑い夜でした。                              原因が、後部圧力隔壁破損の修理のやり方にあったというのが重苦しく感じ                         ます。                                                                                                                     ・夏山の登山の列や雲に消え                                                富士山に、友人とはとバスで観光に行ったことがあります。登っていく人た                         ちの長い列が印象に残りました。                                                                                                         ・波の音潮のかほりや遠き夏                                               子どものころ、毎夏行った伊東の海が記憶に焼きついています。波の音や独                         特の潮のかおりが忘れられません。                                                                                                        ・ワンゲルの夏山縦走セピア色                                              わたしはワンゲル部ではありませんでしたが、ワンゲル部の人たちの話しを                         参考にしたりして作りました。                                                                                                          ・細き脛いつのまにかと老ひ覚る                                              もう少し太くてつやがあったのに。そういうものかと納得しています。                                                                                       ・梅雨明けのとなりの部屋に孫の声                                            梅雨が明け、幼稚園も再開され、孫の元気な声を聞き、少し安心です。                                                                                       ・豊満の裸身ゆさぶるカーニバル                                              ユーチューブでみれますが、なにかその解放感と大胆さに圧倒されます。                                                                                      ・三密を盥のうなぎ気にもせず                                              昔、目黒・権之助坂の途中に鰻屋さんがあり、そこでよく目にしました。                                                                                      ・いつまでも人とはなにか問ひつづけ                                           人はどう生きるのがよいのかという問いは、結局、この問いに行き着くよう                         に感じます。                                                                                                                  ・なって知る他人の苦への鈍感さ                                             最近、腰痛から自己流のへんなストレッチをやったせいか、ひどい股関節痛                         になり歩行が困難になりました。改めて杖をついている人が多いことに気がつ                         きました。                                                                                                                   ・目録のできしときには興味失せ                                             蔵書やTV録画の整理は、終活の重要な一部を占めますが、整理が完了してど                         うなるのか心配です。                                                                                                              ・太鼓腹ゆかたはみ出す父はるか                                             戦後、通産省で化学肥料を担当していた父は、毎夜、午前様でしらふで帰宅                         することはありませんでした。60歳前後で体調を崩しほぼ引退しました。                                                                                       ・朝ゲーム記録更新やめられず                                              スマホのブロックパズルというゲームにややはまっています。                                                                                           ・見飽きてもつい手にしてるスマホかな                                          電車の中やベッドの上でつい見てしまいます。電車内もそういう人が多いと                         感じます。                                                                                                                   ・無意識に時の流れるありがたさ                                             うつとか不安神経症になると時間の流れが重苦しくなります。                                                                                           ・冷蔵庫いっしょにいたね二十年                                             朝食や夕食のとき、ずっと隣にあった冷蔵庫のドアの調子が悪くなり取り替                         えました。家内と一緒に記念撮影をして持って行ってもらいました。                                                                                         ・人類のひかりと闇の走馬灯                                               豊さん、過分なコメント、ありがとうございます。                                    コロナ禍、戦争記録映画、米中対立や人種差別や異常気象のニュース、等を                         見る一方、AIや5Gや宇宙探査の成果などを聞いていて、ふとよぎりました。こ                         れからどうなるのかかなり心配です。                                                                                                       ・炎暑日に腰痛かかえ長き道                                                                                                           ・UFCラウンドガール手を振って                                             マイク・タイソンの格闘技をユーチューブで時々みます。電車のなかで手を                         振る女性をみて、どこかで見た光景だなと気になって思い出しました。                                                                                        ・生きている起伏のときをいくたびか                                           人生、いろいろあったなと感ずるような年齢になりました。                                                                                             --------                                                                                                                   追記                                                         近々、七句会第4 回自由連句を前回に引き続き、行いたいと思っています。                         参加を希望される方のご連絡をよろしくお願いします。                                   前回の連句 (歌仙) は、下記URL から参照できます。                                    http://nanaku-haiku.blogspot.com/2020/07/3-20204-7.html                                                                                           

2020年9月6日日曜日

七句会 第三十三回ネット句会の選句の結果です。

 七句会のみなさま                                                                                                                第三十三回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。                          今回の選句結果をご報告いたします。                                                                                                       6 点句                                                         (050)  鎮魂の読経に和すや蝉時雨         小野寺                                                                                            4 点句                                                         (013)  夏山の満天の星時止まる          深瀬                                 (035)  茄子の葉に何処から生れし糸蜻蛉      橋本                                                                                             3 点句                                                         (006)  夏場所や枡一人づつの拍手かな       治部                                 (028)  流れゆく信濃の道にそばの花        中津川                                (037)  星の夜半 (よわ) 生まれし蝉のうすみどり  小野寺                                (082)  新緑や木漏れ日水面に万華鏡        橋本                                 (089)  水を撒くホースの虹に蜻蛉寄り       宮澤                                                                                             2 点句                                                         (003)  気がつけば夏草しげる空き地かな      深瀬                                 (009)  年寄りにGOTO冥土令和の夏       桑子                                 (012)  秋霖や相合傘に誘われし          豊                                  (015)  秋暑し野良猫すずむ車影          中津川                                (020)  霧流れ晩夏を送る蒼き空          志方                                 (026)  ワンゲルの夏山縦走セピア色        深瀬                                 (030)  ひぐらしに魂還帰 (かえ) る杉木立     小野寺                                (048)  三密を盥のうなぎ気にもせず        深瀬                                 (057)  なって知る他人の苦への鈍感さ       深瀬                                 (060)  梅花藻の清水とたわむる山の宿       吉良                                 (063)  一陣の風興りきて峠越え          小野寺                                (064)  赤々と炎暑に凛と百日紅          志方                                 (065)  太鼓腹ゆかたはみ出す父はるか       深瀬                                 (072)  みじか夜に匂い残して百合の花       小野寺                                (078)  栂ノ尾の山路登りて涼に触れ        志方                                 (083)  夕凪に水面に映る朱華の雲         志方                                 (093)  角曲がり西日の中に母が待つ        宮澤                                 (097)  炎天に陽のにほひしてカンナ咲く      小野寺                                (102)  朝顔や夕立ち過ぎて軒すだれ        秋元                                                                                                                                                         下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前                         とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。                           次回については、12月下旬ころ (季節の変わり目を意識します。) にご連絡                         したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。やり方、等について、                        ご意見がありましたら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。                          事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。                                                                                                    (1) 選句参加者                                                      今回の選句には、下記の14名が参加しました。                                      秋岡さん、秋元さん、新井さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さ                         ん、治部さん、中津川さん、橋本さん、藤原さん、宮澤さん、柳町さん、豊さ                         ん、深瀬。                                                                                                                    注。森さん (群馬大学名誉教授) は、群馬大学からPRESS RELEASE(2020 8 2                         1) "肥満に伴う脂肪肝および高血糖改善を示す新薬の同定 ―食欲はあまり気                         にせずに、肥満に伴う脂肪肝と高血糖を改善する治療剤―" の発表に伴うご多                         忙のため、選句を休まれました。                                                                                                         (2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について                             今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので                         はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り                         たいと思います。一応、期限としては9 月20日とし、事務方にメールでいただ                         き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。                              http://nanaku-haiku.blogspot.jp/                                                                                                         2020.09.06                                                     代表  橋口侯之介                                                顧問  豊 宣光                                                 事務方 深瀬久敬                                                                                                             ----------------------------------------------------------------------                                                                                                                                                    1.兼題 夏                                                                                                                (001)  夏が行くコロナと豪雨の跡残し       豊                                  (002)  残像の花火まぶたに夏開き         吉良                                 1 小野寺 コロナの夏ですが、まぶたに焼き付いた花火                                    は夏への期待ですね。                                             (003)  気がつけば夏草しげる空き地かな      深瀬                                 1 桑子 散歩の途中で、古家がいつの間にか壊されて、                                空き地になってしばらくすると雑草が生い茂っている。                                そういう光景が多々あります。一抹の寂しさが感じら                                 れます。                                                   2 宮澤 我家の近所にも、時折業者が除草しているが、                                その合間を縫って今を盛りと夏草繁る1 年以上の空き                                 地があります。人は気が付いてもコロナの始末も付け                                 られないようです。                                              (004)  夏山の見守る童子の墓掃除         新井                                 (005)  夏山の鉄鎖をたぐる修験道         深瀬                                   1 宮澤 NHKBS の300 名山縦走の番組があり、日本ア                                  ルプスを鐵鎖頼りに踏破している場面有り。昔はおな                                  じ道を修験者が歩いていたとのこと。修験者は偉いと                                  ただただ感心しています。                                           (006)  夏場所や枡一人づつの拍手かな       治部                                     1 秋岡 やはり満員御礼の垂れ幕が下りないと寂しい                                    ですね                                                        2 橋本 贅沢ですが、やはり寂しいですね                                        3 深瀬 ソーシャルディスタンスが日常化しています。                                   お相撲の枡席に一人は象徴的です。仮想現実社会への                                    引き金のような感覚も受けます。                                        (007)  首垂れし倉庫のロボット晩夏の陽      深瀬                                 (008)  黒雲に稲妻走り夏来たる          小野寺                                1 藤原                                                     (009)  年寄りにGOTO冥土令和の夏       桑子                                 1 志方 何だか高齢者一掃対策みたいで、年金負担も                                 軽減できますね。                                               2 深瀬 「GO TO 冥土」はショックです。病院に既に、                                内科、眼科、整形外科とお世話になっています。これ                                 以上病院に負担をかけないよう注意します。                                   (010)  夏定番帰郷ついでの伊勢参り        治部                                 (011)  夏山のヌード写真の陰深く         深瀬                                 1 小野寺 夏山でヌード写真でも撮ったのでしょうか?                               陰深くがいいですね。                                             (012)  秋霖や相合傘に誘われし          豊                                  1 秋元 何か秘密めいた背景があるのか、不明なとこ                                 ろで選句                                                   2 藤原                                                     (013)  夏山の満天の星時止まる          深瀬                                 1 新井 夏に登山をし、見上げた時のはっとした瞬間                                 を語っておられ、感動が伝わってきます                                     2 志方 満点星に接すると、静止画のように思えます                                 ね。                                                     3 治部 選者も学生時代はよく山登りをしました。山                                 小屋で、あるいはテントで一夜を明かすことも度々で                                 した。この風景ほんとに共感です。「時止まる」が素                                 晴らしい。夏山「の」は「や」の方がよかったかもし                                 れません。満天の星をずっと見ていたくなりますね。                                 流石です。                                                  4 藤原                                                     (014)  夏の月原一面を霜に染め          小野寺                                (015)  秋暑し野良猫すずむ車影          中津川                                1 志方 養老先生のたまがやりそうな光景                                    2 治部 よくある光景ですが、猫の様子を「すずむ」                                 とは、なるほどです。発進するときは周りをよく確認                                 することにしましょう。もしかしたら涼んでいるかも                                 しれませんね。                                                (016)  夏山の小屋の夜に聴くシンフォニア     深瀬                                 1 中津川                                                    (017)  夏の月灼熱色に染まりあげ         吉良                                 1 秋岡 本当に夏の月は赤いですね。見ているだけで                                 熱くなります。                                                (018)  夏山のジャンボ残骸35年         深瀬                                 1 治部 「夏山やジャンボの骸今もなお」でいただき                                 ます。残骸という物理的なものよりはジャンボの機体                                 と多くの犠牲者の魂がそのまま35年たって今もなおこ                                 こにある。ということでしょうか。                                       (019)  多摩川のかなたに輝く夏の富士       新井                                 1 藤原                                                     (020)  霧流れ晩夏を送る蒼き空          志方                                 1 新井 様々な青い色を表す空を表現されていて、幻                                  想的な美しさを感じます                                            2 小野寺 早い雲の流れが暑い夏を過ぎていった時の流                                    れとして蒼く澄んだ秋待ちの空につながって広がりを                                    感じます、                                                  (021)  夏山の登山の列や雲に消え         深瀬                                 1 吉良 若い頃に上った山の風景が懐かしまれます。                               (022)  奥州は夏野の駿馬雲速し          小野寺                                1 吉良 馬の走っている様が目に浮かびます。                                  (023)  波の音潮のかほりや遠き夏         深瀬                                 1 志方 遠き夏が、距離なのか時間なのか、かほり次                                 第。                                                     (024)  眼球の小さな痛み晩夏光          豊                                    1 橋本 最近は小さくないようにも感じます                                   (025)  湯けむりの香りゆらめく夏山よ       新井                                   1 秋元 山登りを終えて麓の露天風呂に浸かりながら                                  眺める夏山の思い出で選句                                           (026)  ワンゲルの夏山縦走セピア色        深瀬                                 1 桑子 学生時代の思い出は懐かしいです。                                   2 治部 目の前に夏山の連峰が見えてきました。元気                                 な頃の景色です。「セピア色」でそのすべてが古き懐                                 かしき思い出なんだとわかります。ワンダーフォーゲ                                 ル部に入っていたのだと思いますが、夏山縦走でその                                 事はイメージできると思います。上五でもう少し工夫                                 できるかもしれませんね。                                                                                                                                                                      2.雑詠、無季語                                                                                                              (027)  蕎麦待たせ急ぐや奥の院緑         治部                                 1 中津川                                                    (028)  流れゆく信濃の道にそばの花        中津川                                1 秋元 何処かで観たさわやかな景色感で選句                                  2 藤原                                                     3 小野寺 信州の道端の向こうにひろがる蕎麦の花は、                               時の流れも感じさせる美しい風景です。                                     (029)  細き脛いつのまにかと老ひ覚る       深瀬                                 (030)  ひぐらしに魂還帰 (かえ) る杉木立     小野寺                                1 深瀬 以前、富士山麓の樹林に入りました。あのよ                                 うな中でひぐらしの鳴き声を聞くと魂の故郷に引きず                                 りこまれる感覚になると思います。                                       2 柳町                                                     (031)  梅雨出水すべて球磨へと川辺川       治部                                 (032)  梅雨明けのとなりの部屋に孫の声      深瀬                                 (033)  ジージーと蝉か耳鳴り惑う吾れ       桑子                                   1 宮澤 気が付かなければよいのに、ふと気づくと耳                                  鳴りがしている。蝉の声も気にしなければなんでもな                                  いが、気になるとうるさい。そのうち何も気にならな                                  くなる時は達観したのかぼけたのかどちら?                                   (034)  笛の音に埋み火のごと心揺れ        小野寺                                     初めての糸蜻蛉を2句。庭の菜園の散水時、 か細き                                    物飛ぶ。3cm にも満たない色美しい蜻蛉、 初めて見て                                    感動。 アジアイトトンボらしい。                                         (035)  茄子の葉に何処から生れし糸蜻蛉      橋本                                 1 秋岡 茄子の葉と糸蜻蛉の対比が不思議な感じです。                              2 秋元 小さな生命に目をやる思いやりで選句                                    3 宮澤 今年は蜻蛉や蝶を時折見る。こんな都会のど                                  こで生まれたのか本当に不思議だし、来年も会いたい                                  ものとしみじみ思います。                                             4 柳町                                                     (036)  糸蜻蛉その小ささ美しさ          橋本                                 1 深瀬 少し破調的ですが、作者の糸蜻蛉に対する深                                  い感動が素直に伝わってきます。                                        (037)  星の夜半 (よわ) 生まれし蝉のうすみどり  小野寺                                1 秋岡 透き通った翅は確かにうすみどりに光ってい                                 ますね。                                                   2 吉良 生命の誕生の不思議な光景が薄緑いろに象徴                                 されています。                                                3 中津川                                                    (038)  梅雨明けて二週間後の夕涼み        新井                                 (039)  数独や頭へクーラー家ごもり        中津川                                (040)  豊満の裸身ゆさぶるカーニバル       深瀬                                 1 新井 そのままを語っておられ、笑わせて頂きまし                                  た                                                      (041)  梅雨明けた一斉唱歌で蝉知らせ       宮澤                                   1 橋本 一斉唱歌がいいですね                                         (042)  海恋し漁火 (いさりび) は哭き波の音    小野寺                                (043)  白南風や川面に揺らぐ海猫(ごめ)の群れ  桑子                                 1 藤原                                                     (044)  里山を歩き懐古の水車           治部                                 (045)  大川の川面の揺らぎ蝉の声         秋元                                 (046)  夕立がゲリラ豪雨に追いやられ       志方                                 (047)  花筏木漏れ陽を背に春ながれ        小野寺                                (048)  三密を盥のうなぎ気にもせず        深瀬                                 1 桑子 早く食べてくれと言わんばかりの生き生きと                                 したうなぎが目に浮かびます。                                         2 宮澤 食うほうが、食われるほうに気遣いしてる。                                 食われる立場で切羽詰まれば三密もくそもないとふて                                 腐っていることに気付いていないだけかもしれません。                              (049)  冷奴醤油無くして素の旨み         新井                                 (050)  鎮魂の読経に和すや蝉時雨         小野寺                                1 秋岡 "読経に和す" とは感心しました。                                   2 吉良  蝉の声に平和の願いが感じられます。                                  3 治部 災害の多い昨今ですが、本句の場合は季節か                                 ら日航機事故の事でしょう。山中での読経のリズムが                                 蝉のなく声と唱和している音が聞こえてくるようです。                                鎮魂の気持ちがよく解ります。お見事でした。                                    4 宮澤 朝近所の散歩で寄る寺で、住職の朝の読経に                                  蝉がハモっているときがあります。それを聞き「夏だ」、                                「朝だ」頑張ろうと鼓舞されますが、家に帰って朝刊                                  開くと、元気が萎えていく毎日です。                                        5 柳町                                                         6 豊 盆供養の席でお坊さんが読経している。それ                                    に合わせるようにたくさんの蝉が鳴く。厳粛さと静け                                    さが伝わってきます。「鎮魂」とあるので、大きな災                                    害で亡くなった人を追悼しているのかもしれません。                               (051)  巣ごもりにすっかり慣れて涼新た      豊                                  (052)  いつまでも人とはなにか問ひつづけ     深瀬                                   1 豊 無季の句ですが、自己の内面を見続けている                                    作者の誠実さがよくわかります。「人間とは何か」を                                    問い続けるのが人の一生なのでしょう。哲学的な深さ                                    があります。                                                 (053)  コロナ禍に雨雨雨雨天仰ぐ         橋本                                 1 小野寺 コロナの蔓延の世の中雨が降り続いて災いを                               流してくれたらいいな、と天を仰ぐしかないんですね                                  秋雨雨雨のリフレインが面白い。                                        (054)  大きさと色競うがごと百日紅        中津川                                (055)  冷奴もめんのつやに癒されて        新井                                 (056)  草いきれ鬨の声聴く衣川          小野寺                                  1 橋本 夏草や兵どもが夢の跡の句が想起されます                                (057)  なって知る他人の苦への鈍感さ       深瀬                                 1 新井 究極の人生訓ですね                                          2 桑子 やはり経験しないと分からないものもありま                                 すね。鈍感さという表現がステキです。作者が何にな                                 ったかは分かりませんが、すごさが伝わってきます。                               (058)  熟れし桃コロナも好物ミツ三っつ      宮澤                                 (059)  孫登山ロープウエイで先廻り        桑子                                 (060)  梅花藻の清水とたわむる山の宿       吉良                                   1 秋元 静かな山懐の風景感で選句                                         2 橋本 いかにも清らかで涼しそう、癒やされます                                (061)  家籠り祭りもなしで日は巡り        宮澤                                 (062)  目録のできしときには興味失せ       深瀬                                 (063)  一陣の風興りきて峠越え          小野寺                                1 吉良 峠を越えてすがすがしい風にほっとした気分                                  を感じます。                                                 2 志方 風という物理現象と峠という地理表現がベス                                  トマッチ                                                   (064)  赤々と炎暑に凛と百日紅          志方                                 1 秋岡 炎暑には百日紅の赤がひときわ夏を引き立て                                  る感じがします。                                                 2 柳町                                                     (065)  太鼓腹ゆかたはみ出す父はるか       深瀬                                 1 桑子 お父さんへの想いがにじみ出ています。                                 2 小野寺 浴衣からはみだすほどの太鼓判のお父上への                               愛惜の想いが現れていますね。                                         (066)  風蒼し墨のかほりに筆を置く        小野寺                                1 中津川                                                    (067)  傘マーク続き紫陽花心地よし        桑子                                 (068)  朝ゲーム記録更新やめられず        深瀬                                 (069)  帰り道夕飯うなぎ極楽道          新井                                 1 深瀬 仕事が終わり帰路の途中で鰻重お弁当でも買                                  ったのでしょうか。一日の仕事の苦労も忘れ、うきう                                  きしている感じが伝わってきます。                                       (070)  コスモスや修学旅行の大伽藍        豊                                  1 深瀬 奈良の大仏でしょうか。作者の10代のころの                                 修学旅行のときの印象が強く焼きついているだと感じ                                 ました。                                                   (071)  足早に人波駅へ土用かな          治部                                 (072)  みじか夜に匂い残して百合の花       小野寺                                1 新井 月下美人のような可憐なお花が想像され、と                                  ても素敵です。                                                  2 橋本 百合の花の匂い、存在感があります                                   (073)  見飽きてもつい手にしてるスマホかな    深瀬                                 (074)  白蓮や頭もたげて朝ひかる         吉良                                 (075)  経響き先祖迎えるメロンの香        中津川                                1 桑子 お経よりメロンの方が気に掛かる、花より団                                 子と解釈しました。                                              (076)  コロナ禍が廻り続ける走馬燈        宮澤                                 (077)  麦秋の風頬に受け朋は逝き         小野寺                                (078)  栂ノ尾の山路登りて涼に触れ        志方                                 1 中津川                                                    2 藤原                                                     (079)  蝉時雨風に揺られて小波立つ        秋元                                 (080)  無意識に時の流れるありがたさ       深瀬                                 (081)  群青の海の岬に合歓の花          小野寺                                  1 柳町                                                     (082)  新緑や木漏れ日水面に万華鏡        橋本                                 1 吉良 万華鏡の比喩がきれいです。                                      2 治部 新緑が水面に映る穏やかな日にさっと吹いた                                 風がさざ波を作る。その度に木漏れ日が万華鏡のよう                                 に光り揺らめく。美しい様子がそのまま伝わります。                                 木漏れ日が、「新緑や」と強調されて涼しげに光って                                 いることも解りますよ。                                                3 豊 新緑の季節、木漏れ日が池の水面に反射して                                    万華鏡のように光っている。「万華鏡」の表現がいい                                    ですね。                                                   (083)  夕凪に水面に映る朱華の雲         志方                                 1 秋元 朱華は、 "はねず" という古代色?、色彩で                                 選句                                                     2 新井 丁寧に描かれた風景画のような繊細な美しさ                                 が感じられます。                                               (084)  聞こえしは機械音ばかり残暑かな      橋本                                 (085)  雷雲は峰の谷間に風興 (おこ) し      小野寺                                (086)  自粛期間小銭が貯まりうな重を       新井                                 (087)  冷蔵庫いっしょにいたね二十年       深瀬                                 (088)  墨摺ればひぐらし啼きて風の音       小野寺                                1 志方 騒と静が一つの句の中で見事に表現                                   (089)  水を撒くホースの虹に蜻蛉寄り       宮澤                                 1 秋岡 トンボものどが渇くのでしょうね。こんな光                                 景を確かに経験しました。                                           2 中津川                                                    3 小野寺 炎天の庭にホースで水撒きをすると逆光に虹                               が出て、蜻蛉が飛んできたのでしょうか。虹の中に蜻                               蛉のうすみどりのたおやかな翅も光ってみえるようで                               す。                                                     (090)  うな重を受け取る手のひら幸満ちる     新井                                   1 橋本 待望の鰻重でしょうか、喜びが伝わります                                (091)  人類のひかりと闇の走馬灯         深瀬                                   1 豊 今回の投句の中で最も高く評価した句です。                                    歴史的な広がりを持った大きな視点、「光」と「闇」                                    を対比して「光」をあえて「ひかり」とひらがなにし                                    て、そこに「走馬灯」という季語を添えた。作句に熟                                    練した作者だと思います。                                           (092)  空に向くすがしき白のムクゲかな      中津川                                (093)  角曲がり西日の中に母が待つ        宮澤                                 1 治部 墓参の様子ですかね。「吾亦紅」という歌を                                 思い出しました。母はいつでもどこでも待っていてく                                 れます。選者の母もそうでした。「角曲がり」は単な                                 る道案内ではなく苦労を掛けた母に向き合う心の準備                                 のようなものを感じます。「母が」と「母は」とは迷                                 うところですが、「が」で成功していると思います。                               2 深瀬 なにか幻想的で不思議な句だと感じました。                                 ジョルジョ・デ・キリコの「通りの神秘と憂愁」を連                                 想させられたりしました。                                           (094)  屋形船客声静かに川下る          吉良                                 (095)  谷の闇蛍の乱舞黄泉 (よみ) に棲む     小野寺                                1 中津川                                                    (096)  炎暑日に腰痛かかえ長き道         深瀬                                 (097)  炎天に陽のにほひしてカンナ咲く      小野寺                                1 吉良 カンナの赤と太陽の光と競い合う様がみえま                                  す。                                                       2 柳町                                                     (098)  長崎も心こもらぬ誓いの辞         中津川                                   1 豊 「も」とあるので、そこには「広島」が前提                                    になっています。すでに退陣を表明した総理ではあり                                    ますが、広島と長崎の原爆の日のあいさつは全く心の                                    こもっていない不誠実なものでした。                                      (099)  つばくらめ (燕) 餌求め啼く雨の軒 (のき)  小野寺                                1 秋元 自然の営みへの思いやりで選句                                     (100)  UFCラウンドガール手を振って      深瀬                                 (101)  弁当の宅配首に扇風機           治部                                 (102)  朝顔や夕立ち過ぎて軒すだれ        秋元                                 1 志方 夏の代表的な風物詩が懐かしい                                       2 柳町                                                     (103)  盆明けて寂しき河原風立ちぬ        橋本                                 (104)  つばくろ (燕) の囀り高く梅雨払う     小野寺                                (105)  生きている起伏のときをいくたびか     深瀬                                 1 新井 何人にとっても人生はそういうものだと学ば                                 され、安心感を頂けます。苦しい時に思い浮かべると                                 いいですね。                                                 (106)  初老吹く尺八若葉の風に乗り        橋本                                 (107)  梅雨茸帰国れぬ選手に友の居て       治部                                 (108)  幼きが敬老の日の慰問かな         豊                                  (109)  碧き翅生命 (いのち) の限り蝉生まれ    小野寺                                                                                            --------                                                                                                                     ご参考                                                         今回の選句にあたってのみなさんから寄せられたコメントを、ご参考までに                         ご添付します。よろしくお願いします。                                                                                                      ・秋岡さん                                                        8 月中旬から下旬にかけて北海道の釧路で過ごしておりましたが、関西と比                         べ10度近く気温が低く別世界でした。秋の到来が待ち遠しい限りです。                                                                                        ・秋元さん                                                        今回は季語、語句等素人には難しく難渋しますが,直感的なイメージで選句                         しました。                                                                                                                   ・新井さん                                                        情緒を揺さぶられるものから、日常の一コマを語られたもの、また、人生訓                         までちりばめられていて、大変に楽しく読ませて頂きました。                                                                                            ・吉良さん                                                       語彙の解説はとても役立ちました。                                                                                                       ・志方さん                                                        今回の俳句は相当レベルが高く、評価が難しかったです。                                                                                             ・治部さん                                                        いつものように好き勝手に書いています。                                                                                                    ・中津川さん                                                       9月に入ったのに猛暑と猛烈台風と安倍さんの辞任と世の中荒れ模様が続き                         ますね。コロナも含め早く収まるといいですね。                                                                                                  ・橋本さん                                                        猛烈残暑、猛烈台風と今後の日本 (地球) の気候が心配です。温暖化対策が                         急がれます。俳句の季節感も変わるでしょうか。                                                                                                  ・宮澤さん                                                       また、リマインダーいただきました。締切りは分かってはいましたが、好転                         しないコロナ状況、醜い総裁選と気分が前向きにならないまま本日に至ってお                         ります。俳句の奥深いところが分からないので、いつものように、理解しやす                         い句を選びました。                                                                                                               ・柳町さん                                                        今回は投句もできず申し訳ありませんでした。「移動は県内のみ!!」と心                         に決めてはや6 ヶ月たち、イライラが募っています。早くコロナウィルスが収                         まることを祈るばかりです。                                              

2020年9月1日火曜日

七句会 第三十三回目のネット句会 選句のご依頼です。 

 七句会の皆様                                                                                                                 コロナ禍とともにきびしい暑さの続く毎日ですが、みなさまお元気に                            お過ごしのことと思います。                                               七句会としての第三十三回目のネット句会となりますが、今回、下記                            109 句の投句がありました。                                               つきましては、次の要領で、選句をしていただきたく、よろしくお願                            いいたします。                                                                                                                 - 下記は、今回、投句していただいた全ての句を、作者を伏せ、兼題別                            に、ランダムに列挙したものです。表記は、投句されたそのものです。                            詞書きがあり、複数の句があるものは、まとめて並べてあります。兼題                            句、自由題句、無季語句、川柳的な句、作者の特定が可能な句、等々、                            なんでもありとしています。分類については、作者の意図と異なるかも                            しれませんが、ご了承のほどお願いいたします。                                      - このなかから、共感する俳句を、最大7 句選び、9 月 6日 (日) まで                            に、下記へメールで返信してください。番号表記でも構いません。その                            際、選んだ理由を一言、付け加えていただくとなお結構です。全体への                            コメントでも結構です。                                                 hfukase@k03.itscom.net  (事務方 深瀬)                                       - 蛇足ですが、選句にあたり、自作を選ぶのはご遠慮ください。                               - 9 月上旬には、選句の結果をまとめ、皆さまにご報告する予定です。                                                                                        今回の投句者は、秋元さん、新井さん、小野寺さん、吉良さん、桑子                            さん、志方さん、治部さん、中津川さん、橋本さん、宮澤さん、豊さん、                           深瀬 (以上12名) です。                                                 初参加の新井さんは、上智大学社会福祉科OGで、今現在、国交省でお                            仕事をされています。三四郎句会 (上智大学柔道部OB、日経新聞社OBを                            中心とした句会) にも所属されています。                                                                                                     七回生の石田肇さん (元群馬大学教育学部教授 東洋史) から、先月                            下旬、下記のご連絡をいただきました。                                          「いつも投句の案内多謝。                                                 小生、何もしないものの、楽しく皆様の句を読んでいます。                                 関係の皆様によろしく。」                                                                                                           投句をしていただいた際、その句を詠んだ背景、等の説明が付された                            いることがありますが、今回から、複数の句のまとまりの根拠を示す場                            合などの必須と思われる場合除き、選句表では省略させていただくこと                            にします。それらは、選句後の作品集、自句自解に掲載します。よろし                            くお願いします。                                                                                                                 これまでの選句結果は、下記のURL から参照可能です。                                   http://nanaku-haiku.blogspot.jp/                                                                                                        以上、よろしくお願いいたします。                                                                                                       送付不要な場合、ご面倒ですがご一報下さい。以後、送付しないよう                            にします。                                                                                                                   七句会 2020.08.25                                               代表 橋口侯之介                                                    顧問 豊 宣光                                                事務 深瀬久敬                                                                                                            ---------------------------------------------------                                                                                                  1.兼題 夏                                                                                                                (001)  夏が行くコロナと豪雨の跡残し                                          (002)  残像の花火まぶたに夏開き                                            (003)  気がつけば夏草しげる空き地かな                                         (004)  夏山の見守る童子の墓掃除                                            (005)  夏山の鉄鎖をたぐる修験道                                            (006)  夏場所や枡一人づつの拍手かな                                          (007)  首垂れし倉庫のロボット晩夏の陽                                         (008)  黒雲に稲妻走り夏来たる                                             (009)  年寄りにGOTO冥土令和の夏                                          (010)  夏定番帰郷ついでの伊勢参り                                           (011)  夏山のヌード写真の陰深く                                            (012)  秋霖や相合傘に誘われし                                             (013)  夏山の満天の星時止まる                                             (014)  夏の月原一面を霜に染め                                             (015)  秋暑し野良猫すずむ車影                                             (016)  夏山の小屋の夜に聴くシンフォニア                                        (017)  夏の月灼熱色に染まりあげ                                            (018)  夏山のジャンボ残骸35年                                            (019)  多摩川のかなたに輝く夏の富士                                          (020)  霧流れ晩夏を送る蒼き空                                             (021)  夏山の登山の列や雲に消え                                            (022)  奥州は夏野の駿馬雲速し                                             (023)  波の音潮のかほりや遠き夏                                            (024)  眼球の小さな痛み晩夏光                                             (025)  湯けむりの香りゆらめく夏山よ                                          (026)  ワンゲルの夏山縦走セピア色                                                                                                                                                                      2.雑詠、無季語                                                                                                              (027)  蕎麦待たせ急ぐや奥の院緑                                            (028)  流れゆく信濃の道にそばの花                                           (029)  細き脛いつのまにかと老ひ覚る                                          (030)  ひぐらしに魂還帰 (かえ) る杉木立                                        (031)  梅雨出水すべて球磨へと川辺川                                          (032)  梅雨明けのとなりの部屋に孫の声                                         (033)  ジージーと蝉か耳鳴り惑う吾れ                                          (034)  笛の音に埋み火のごと心揺れ                                                初めての糸蜻蛉を2句。庭の菜園の散水時、 か細き                                    物飛ぶ。3cm にも満たない色美しい蜻蛉、 初めて見て                                    感動。 アジアイトトンボらしい。                                         (035)  茄子の葉に何処から生れし糸蜻蛉                                         (036)  糸蜻蛉その小ささ美しさ                                             (037)  星の夜半 (よわ) 生まれし蝉のうすみどり                                     (038)  梅雨明けて二週間後の夕涼み                                           (039)  数独や頭へクーラー家ごもり                                           (040)  豊満の裸身ゆさぶるカーニバル                                          (041)  梅雨明けた一斉唱歌で蝉知らせ                                          (042)  海恋し漁火 (いさりび) は哭き波の音                                       (043)  白南風や川面に揺らぐ海猫(ごめ)の群れ                                     (044)  里山を歩き懐古の水車                                              (045)  大川の川面の揺らぎ蝉の声                                            (046)  夕立がゲリラ豪雨に追いやられ                                          (047)  花筏木漏れ陽を背に春ながれ                                           (048)  三密を盥のうなぎ気にもせず                                           (049)  冷奴醤油無くして素の旨み                                            (050)  鎮魂の読経に和すや蝉時雨                                            (051)  巣ごもりにすっかり慣れて涼新た                                         (052)  いつまでも人とはなにか問ひつづけ                                        (053)  コロナ禍に雨雨雨雨天仰ぐ                                            (054)  大きさと色競うがごと百日紅                                           (055)  冷奴もめんのつやに癒されて                                           (056)  草いきれ鬨の声聴く衣川                                             (057)  なって知る他人の苦への鈍感さ                                          (058)  熟れし桃コロナも好物ミツ三っつ                                         (059)  孫登山ロープウエイで先廻り                                           (060)  梅花藻の清水とたわむる山の宿                                          (061)  家籠り祭りもなしで日は巡り                                           (062)  目録のできしときには興味失せ                                          (063)  一陣の風興りきて峠越え                                             (064)  赤々と炎暑に凛と百日紅                                             (065)  太鼓腹ゆかたはみ出す父はるか                                          (066)  風蒼し墨のかほりに筆を置く                                           (067)  傘マーク続き紫陽花心地よし                                           (068)  朝ゲーム記録更新やめられず                                           (069)  帰り道夕飯うなぎ極楽道                                             (070)  コスモスや修学旅行の大伽藍                                           (071)  足早に人波駅へ土用かな                                             (072)  みじか夜に匂い残して百合の花                                          (073)  見飽きてもつい手にしてるスマホかな                                       (074)  白蓮や頭もたげて朝ひかる                                            (075)  経響き先祖迎えるメロンの香                                           (076)  コロナ禍が廻り続ける走馬燈                                           (077)  麦秋の風頬に受け朋は逝き                                            (078)  栂ノ尾の山路登りて涼に触れ                                           (079)  蝉時雨風に揺られて小波立つ                                           (080)  無意識に時の流れるありがたさ                                          (081)  群青の海の岬に合歓の花                                             (082)  新緑や木漏れ日水面に万華鏡                                           (083)  夕凪に水面に映る朱華の雲                                            (084)  聞こえしは機械音ばかり残暑かな                                         (085)  雷雲は峰の谷間に風興 (おこ) し                                         (086)  自粛期間小銭が貯まりうな重を                                          (087)  冷蔵庫いっしょにいたね二十年                                          (088)  墨摺ればひぐらし啼きて風の音                                          (089)  水を撒くホースの虹に蜻蛉寄り                                          (090)  うな重を受け取る手のひら幸満ちる                                        (091)  人類のひかりと闇の走馬灯                                            (092)  空に向くすがしき白のムクゲかな                                         (093)  角曲がり西日の中に母が待つ                                           (094)  屋形船客声静かに川下る                                             (095)  谷の闇蛍の乱舞黄泉 (よみ) に棲む                                        (096)  炎暑日に腰痛かかえ長き道                                            (097)  炎天に陽のにほひしてカンナ咲く                                         (098)  長崎も心こもらぬ誓いの辞                                            (099)  つばくらめ (燕) 餌求め啼く雨の軒 (のき)                                     (100)  UFCラウンドガール手を振って                                         (101)  弁当の宅配首に扇風機                                              (102)  朝顔や夕立ち過ぎて軒すだれ                                           (103)  盆明けて寂しき河原風立ちぬ                                           (104)  つばくろ (燕) の囀り高く梅雨払う                                        (105)  生きている起伏のときをいくたびか                                        (106)  初老吹く尺八若葉の風に乗り                                           (107)  梅雨茸帰国れぬ選手に友の居て                                          (108)  幼きが敬老の日の慰問かな                                            (109)  碧き翅生命 (いのち) の限り蝉生まれ                                                                                                                                                                                                                           注。余計かもしれませんが、やや難解と思われることばについて、ご参                            考までに付します。                                                                                                               ・梅花藻 バイカモ キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草の水草。夏の                            季語。                                                         ・白蓮 はくれん 季語晩夏。                                              ・白南風 しらはえ、しろはえ、しろばえ 梅雨が終わり空が明るくな                            った頃、南東方面から吹いてくる夏の季節風。暗い梅雨空に吹く南風を                            黒南風というのに対して、梅雨明けの明るい空に吹く風を白南風という。                           ・朱華 はねず 黄色がかった薄い赤色のことです。『万葉集』にもそ                            の名が見られる由緒ある伝統色で、他に『波泥孺』『唐棣花』『棠棣』                            『翼酢』などの字が当てられることもありました。                                     ・百日紅 サルスベリ 夏。                                               ・栂ノ尾 とがのお 京都市右京区梅ケ畑栂尾町周辺。                                   ・梅雨茸 つゆだけ 仲夏。                                               ・秋霖 しゅうりん 初秋のころのながあめ。