2025年10月28日火曜日

七句会 第五十三回目のネット句会 選句のご依頼です。

 七句会の皆様

 

  急速に秋の気配が強まっていますが、みなさまお元気にお過ごしのこ

とと思います。

  七句会としての第五十三回目のネット句会となりますが、今回、下記

123 句の投句がありました。

  つきましては、次の要領で、選句をしていただきたく、よろしくお願

いいたします。

 

- 下記は、今回、投句していただいた全ての句を、作者を伏せ、兼題別

に、ランダムに列挙したものです。表記は、投句されたそのものです。

詞書きがあり、複数の句があるものは、まとめて並べてあります。兼題

句、自由題句、無季語句、川柳的な句、作者の特定が可能な句、等々、

なんでもありとしています。分類については、作者の意図と異なるかも

しれませんが、ご了承のほどお願いいたします。 (今回も分類を省略さ

せていただきました。)

- このなかから、共感する俳句を、最大7 句選び、1114 () まで

に、下記へメールで返信してください。番号表記でも構いません。その

際、選んだ理由を一言、付け加えていただくとなお結構です。全体への

コメントでも結構です。

    hfukase@k03.itscom.net  (事務方  深瀬)

- 蛇足ですが、選句にあたり、自作を選ぶのはご遠慮ください。

- 3 月中旬には、選句の結果をまとめ、皆さまにご報告する予定です。

 

  今回の投句者は、秋元さん、新井さん、小野寺さん、河村さん、

吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さん、中津川さん、橋本さん、

服部さん、豊さん、深瀬 (以上13) です。

 

 これまでの選句結果は、下記のURL から参照可能です。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/

 

 以上、よろしくお願いいたします。

 

  送付不要な場合、ご面倒ですがご一報下さい。以後、送付しないよう

にします。

 

        七句会 2025.10.28

          代表  橋口侯之介

     顧問    宣光

          事務  深瀬久敬

   

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   1. 全て (兼題、季語の有無など無関係)

 

(001) 初時雨牡丹は紅く花芽吹き

(002) 雲の峰見る間に崩れ空は凪

(003) 盆栽の景色に小さき秋の見え

(004) 時ながれ老ひの背中に秋の風

(005) 秋祭りビルを呑み込む囃子声

(006) 墓参り今年も咲いた彼岸花

(007) 天網を超えて遥かに流れ星

(008) 流れ星光飲み込む都市の渦

(009) 新米や高値続いてパスタ買い

(010) ご褒美はお頭付きのさんまかな

(011) 水澄むもわが身に沈む重き澱

(012) ママ残業カレー煮て待つお月さま

(013) スポーツの秋に野球はオフとなり

(014) 投げ売りの育ち過ぎたる梨甘し

(015) 秋の夜やしみじみと聴くノクターン

(016) 柚匂ふ母の描きし黄金色

(017) 漂泊の宿の出迎へ鳳仙花

(018) 喜多方で至福のラーメン煮干だし

(019) 秋雨に足取り重く4 (フォー) パット

(020) 燈二つ切れし日友の急逝す

(021) 彼岸花朱華の空と競い合い

(022) 振り返る道の長さや曼殊沙華

(023) まだかまだ擂り棒せかすとろろ汁

(024) 昏ながら山裾照らす夕紅葉

(025) 山車ひく子少子化の波しみじみと

(026) 米櫃を満たせぬ世相秋寒し

(027) デッサンの筆圧強し秋灯下

(028) 三日月にお供えかなと彼岸花

(029) 煙り立つ七輪瞼に秋刀魚買う

(030) ガザの民悲しみ深き夜寒かな

(031) 月揺れて露天に浸かる独り旅

     (大陸四景)

(032) 枯葉舞うハーレムノクタン二番街

(033) Ennui(気怠さ) を纏いセーヌは秋暮色

(034) 秋夕陽トブカブ宮を赤黒に

(035) 紅楊 (タマリスク) の影延びて敦煌は秋

(036) 澄む水はゆるやかに消ゆ大都会

(037) 七輪で秋刀魚焼きたし空焦がし

(038) 廃屋の庭の鶏頭賑わしく

(039) 金色に染まる畑の稲穂波

(040) 女蟷螂雄組み敷きて生命 (いのち) 継ぐ

(041) 連立や定数削減うそ寒し

(042) 足早に紅黄駆け降る甲斐信濃

(043) 秋祭り都会の隅にほそぼそと

(044) 期待して寿司ネタ見るも秋刀魚なく

(045) 信濃路の祭り囃子や秋の声

(046) 紅葉酔う永観堂の逢瀬かな

(047) 寒椿枯野の裾に色を添え

(048) 故郷や秋刀魚煙れる路地の裏

(049) 病室の窓に久しき鰯雲

(050) 生きてれば父百歳の墓参り

(051) 畑中の風に抱かれる彼岸花

(052) 羽音たて澄む川翔ぶや鬼ヤンマ

(053) 風そよぎじゃれ親しみぬ鶏頭花

(054) 秋暑し孫に叱られ親子酒

(055) ロンドンは満員御礼のSUMO

(056) 群がりて空中遊泳赤とんぼ

(057) 釣り人の背中照らして水澄めり

(058) 落ち鮎を父と喰らひし簗の暮れ

(059) 飛鳥路をたどれば愛し彼岸花

(060) 秋刀魚焼く少しを猫におすそ分け

(061) 草の花わが身省み応援歌

(062) 夕紅葉鞍馬の山に鬼となり

(063) 待ちわびし甘き香寄せる稲の波

(064) 面接でさんまが好きとさすが兄

(065) 秋刀魚焼く一人一匹皿の上

(066) 無月なり弱法師 (よろぼし) のごと立ち竦む

(067) 木犀の香り残して別れけり

(068) 焼きさんま骨だけ残しこども卒

(069) 夕餉何秋刀魚ですよと妻答う

(070) 重陽の節句と陽気は離れおり

(071) 秋日入る教会めぐる癒し旅

(072) 祇王寺に亡き人偲ぶ曼珠沙華

(073) 懐かしや夕食に並ぶああ秋刀魚

(074) 月光に浸たりて過去を流しけり

(075) 阿波踊りパリに沸き立つジャポニズム

(076) 手踊りの乙女きりりと秋祭

(077) 稲光り家揺れるごとゲリラ雨

(078) やっとこさ秋の気配だ待ってたよ

(079) 喜寿すぎて何故か目につく彼岸花

(080) 妻遺すメモを片手に秋刀魚焼く

(081) へばりつく赤ひ太陽原爆忌

(082) 女の子秋刀魚祭りではしゃぐ夕

(083) 友と来て鍋を囲んできりたんぽ

(084) 濡れ芝に光の宝石朝の庭

(085) 喜寿二人昼飲み終えて鰯雲

(086) 白雲と水面に映る彼岸花

(087) 落人の心となりて枯野描く

(088) 江戸前のボラ悠々と野田の川

(089) 炭坑節耳に焼きつく秋祭り

(090) 閑居して新酒行脚の独り飯

(091) 旅先の無人駅舎に虫の声

(092) 初紅葉頬の涙にことば呑み

(093) 秋祭り夜見世ソースの切なさも

(094) 諸手あげ脚軽やかに阿波踊り

(095) 手あふるる梨の重さよ老いの皺

(096) 主人 (あるじ) 亡き庭の陽だまり草の花

(097) お墓には曼殊沙華が良く馴染み

(098) 車窓ごし追いかけて来る能登の月

(099) 晴天に飛び出し戻り秋衣

(100) 水澄みて沈む木立に日の光

(101) 澄む水に心の澱 (おり) を見透かされ

(102) 秋進む庭の木の実の色づいて

(103) 秋祭江戸っ子には似合わねえ

(104) ベランダにはにかみ舞える秋の蝶

(105) 青空や透き通る秋野に山に

(106) 過疎の村孤老見守る流れ星

(107) 人知れずベランダ萌ゆる草の花

(108) 泣く我に風にまかれて秋の蝶

(109) 母と子の秋刀魚ほおばるほお丸く

(110) 秋深し女性宰相船出かな

(111) 風止みて祖父の墓標に木の実落ち

(112) 愛息の帰省を待つや落花生

(113) 赤煉瓦海風載せて秋刀魚焼き

(114) 自然美の圧倒的な鱗雲

(115) 都市田舎こんなに違ふ夏夜空

(116) 秋の灯を消せば満天星廻り

(117) 店先や今年はうまし秋刀魚の目

(118) 車窓より寄せ来る波に野分かな

(119) 渓流に立ち舞う紅葉秋の風

(120) 星ひとつ削りし命流れ逝き

(121) 山車を引く子らの法被や秋祭

(122) 天めざし虚空掴める蔦の蔓

(123) 八月もなかばを過ぎて肩で息

 

 

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  選句表作成者注。

 

・注1.「弱法師」の読み方は「よろぼし」または「よろぼうし」です。よろぼし

: 一般的な読み方で、能の演目名として使われることが多いです。よろぼうし:

「よろよろ歩く法師」という意味合いで、こちらも使われます。能の演目名とし

ても使われることがあります。

 

・注2.秋暮 しゅうぼ

 

・注3.トプカプ宮殿(土: Topkapı Sarayı、「大砲の門宮殿」の意)は、15世紀

中頃から19世紀中頃までオスマン帝国の君主が居住した宮殿。トルコ共和国イス

タンブール旧市街のある半島の先端部分、三方をボスポラス海峡とマルマラ海、

金角湾に囲まれた丘に位置する。

 

・注4.タマリスク

ギョリュウ(御柳、学名:Tamarix chinensis )はギョリュウ科の落葉小高木。

モンゴルから中国北部にかけての乾燥地域が原産地で、日本には江戸時代中期に

伝わった。

名称  ギョリュウ属の学名はタマリクス(Tamarix )であるが、日本では英語名

のタマリスク(Tamarisk)でも呼ばれる。和名では別名としてサツキギョリュウ

が挙げられる。中国名(漢名)は檉柳(ていりゅう)で、一年に数度花が咲くこ

とから三春柳の名もある。ほかに、紅柳などの別名もある。

特徴  ギョリュウ属は、地中海周辺からアジアにかけての乾燥地帯に分布する。

ギョリュウ属の種はたがいに似ているために分類は困難とされるが、75種ほどに

分かれている。水湿地でよく育つ種であるが、乾燥地でも育ち、塩分や寒さにも

強い。

葉は小さい鱗片状で針葉樹のように見える。春と秋に枝先に桃色の1mm ほどの小

さい花をたくさん咲かせる。果実は長さ数mmの蒴果で、種子は細かく房状の毛が

生え風で飛ぶ。砂漠など乾燥地でも根を長く伸ばして水分を強く吸収する。

 

・注5.「蔦(つた)」と「蔓(つる)」は似ていますが、意味が異なります。「

蔦」はブドウ科ツタ属の特定の植物の名称(ナツヅタなど)を指し、「蔓」は茎

が長く伸びて巻きつく植物全般の総称です。両者はどちらも「つる植物」という

点で共通しており、言葉の使い分けは文脈によります。

蔦(ツタ)

意味: ブドウ科ツタ属の総称で、特定のつる植物を指します。

特徴: 付着根(ふちゃくこん)を壁や岩に貼りつけて「伝って」伸びるのが特徴

です。

: ナツヅタ、冬蔦(フユヅタ、キヅタ)など。

蔓(ツル)

意味: 茎が細長く伸び、地面をはったり、他の物に巻きついたりして伸びる植物

の総称です。

特徴: 巻きつくための「蔓(つる)」という、植物の茎の形態を指します。

: 葛(くず)、つる草など。

 

6.「擂粉木」の読み方は「すりこぎ」です。

 

7.「朱華」の読み方は「はねず」です。一般的には薄い赤色を指す伝統色とし

て使われ、『万葉集』にも登場します。また、人名の場合は「しゅか」「あやか

」と読むこともあります。

 

8.「紅黄(こうこう)」は、赤と黄色を合わせた色を指し、赤みがかった黄色

(紅鬱金)や、赤と黄色が混じり合った色(黄紅蓮)など、文脈によってさまざ

まな色やものを指します。また、「紅黄」は植物の「紅黄草」や、遊戯王カード

の「ゼクトライク-紅黄」、そして**日本画用絵の具の「黄紅」**という固有名

詞としても使われます。

 

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2025年8月15日金曜日

七句会 第五十二回目のネット句会 選句結果のご報告です。

 七句会のみなさま


 第五十二回目の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございます。

 今回の選句結果をご報告いたします。


・4 点句

(024) 修道女 (シスター) も教会出るやサングラス  河村  

(072) 老い二人ビルの隙間の花火かな        治部   

(079) 日盛りの電線の影踏み続け          深瀬  


・3 点句

(034) 我を立てず女もすなる日傘さし        宮澤   

(037) 四葩咲く流人の島で慰労酒          中津川 

(041) 打ち水の流るる先に人の待ち         小野寺 

(059) 向日葵へ翼振り逝きし嗚呼知覧        河村  

(073) 一人身に裏切りならぬ冷奴          吉良  

(092) 浴衣着のすれちがふ様万華鏡         深瀬  

(104) 音のみの遠き隅田の川花火          桑子  

(120) なに遺すこたへにもがく喜寿の夏       深瀬  


・2 点句

(001) 炎天や犬の散歩は抱いてする         中津川 

(003) シヤイ隠すつもりが凄むサングラス      河村  

(011) 香りよき幸せ届く母新茶           小野寺 

(016) サングラス悪役気取り老ひ予防        深瀬  

(019) 五街道歩き終えたり夏至近し         中津川 

(045) 日焼け止めカラス天狗が自転車で       宮澤   

(057) 雨音に心静めて昼寝かな           橋本   

(070) 宵宮に華やぐ人の藍浴衣           小野寺 

(084) 終戦の翌朝祖母は合歓を植え         河村  

(088) 白樺の避暑地に眠る火焔土器         河村  

(101) 山滴るセザンヌと北斎の青          河村  

(114) 想ひ出す受験予備校喜寿の夏         深瀬  


  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前

とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。

  次回については、今年10月~11月ころにご連絡したいと思っていますので、

よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご

連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。


 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。


(1) 選句参加者

 今回の選句には、下記の14名が参加しました。

  桜子さん、小野寺さん、吉良さん、河村さん、桑子さん、志方さん、

治部さん、中津川さん、橋本さん、服部さん、宮澤さん、柳町さん、豊さん、

深瀬。


(2) 初参加の河村さんから下記のメッセージがよせられました。

  この度深瀬さんの紹介で参加、投句した河村有弘と申します。当年87歳、長

年、新聞、雑誌の編集、経営に携わりただ今、閑居しております。

  「あの樹までゆるり参ろう枯れ野道」

 句作では六割が自己満足、三割はボケ予防、残りでちよぴり共感を求めてま

す。心情、心象風景を詠みたがるひとり善がりの俳句です。どうぞよろしくお

願いします。河村有弘


(3) 今回の句会の結果を踏まえた感想、自句自解の募集について

  掲記について8 月30日を期限として募ります。お寄せいただいた感想は、と

りまとめ次回の句会のキックオフメールに添付し配布します。

  句会としての作品集は作成 (当メールの後ろに添付) し、自句自解集は作成

しないことにしました。


  誤記、記入漏れなどありましたら、ご連絡ください。修正します。

 選句結果は、七句会の下記のweb に掲載します。よろしくお願いします。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/


  2025.08.15


      代表   橋口侯之介

      顧問  豊  宣光

      事務方 深瀬久敬


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1.選句結果


(001) 炎天や犬の散歩は抱いてする         中津川 

   1 宮澤    

   2 桜子    この光景をよく見ます。かわいいですよね。

(002) 合歓の花沖には藍の潮流る          小野寺 

(003) シヤイ隠すつもりが凄むサングラス      河村  

   1 桑子    サングラスをかけると強面の感じが出ます。納

       得します。

   2 橋本    半分成功なら、良しとしますか。

(004) 風鈴や時の断片残しけり           深瀬  

   1 橋本    何処の風鈴か分かりませんが、変わらぬ音色が

       時代を紡ぐ。

(005) 蛍火の哀しく光り深き闇           小野寺 

   1 吉良    蛍を比喩として、光を灯して精一杯生きる作者

       の姿が表現されているのでしょうか。

(006) 都会出で浴衣で憩ふ夕湖畔          深瀬  

(007) 夏祭踊るパシスタ吾が胸も          桑子  

   1 中津川  パシスタの胸が揺れている。

(008) 夏曇や初戦に敗れ涙のむ           小野寺 

   1 治部    甲子園を目指して一生懸命練習して初戦で敗れ

           るのは、参加高校の約半数です。全国で流れるこ

           の涙から暑い夏が始まります。「球児よガンバレ」

           応援句ですね。

(009) 天からのお示し如何に悪石島         新井  

(010) ローカル線青田が続く田舎の匂ひ       中津川 

(011) 香りよき幸せ届く母新茶           小野寺 

   1 治部    母とお茶は切り離せませんね。実家に帰省した

       時に母が入れてくれたお茶の香りは忘れられない

       ものです。新茶はことのほか香ります。「幸せ届

       く」いいですね。

   2 桜子    全体的にほんのりとした幸福感が感じられます。

(012) 立秋と言えども気温三〇度          豊     

(013) 木漏れ日の避暑地にて摘むくすり草      河村  

(014) 日盛りに森の高みを蝶は飛び         小野寺 

   1 宮澤    

(015) ほろ苦し避暑は彼方に白き波         吉良  

(016) サングラス悪役気取り老ひ予防        深瀬  

   1 桜子    ユニークながら理知的な感じを受けます。

   2 豊      兼題サングラスを詠んだ句の中では、これがよ

        かった。

(017) 避暑の地に咲く花三つかりゆしの       新井  

   1 柳町    

    ウクライナの黒土を踏み躙つた戦車、国花向日葵の抵抗。

(018) 向日葵よカタピラわだち埋め尽くせ      河村  

   1 中津川  ウクライナの戦いが一刻も早く終わることを祈

       ります。

(019) 五街道歩き終えたり夏至近し         中津川 

   1 治部    「歩き終えたり」が、夏至までかかってしまっ

       た、ではなく、夏至が来る前に達成できた。とい

       うやり遂げた感が伝わります。お疲れさまでした。

   2 吉良    長い時間をかけて、五街道巡りを達成した安堵

       感、満足感が伝わります。

(020) ふと隠す思い出苦しサングラス        吉良  

(021) 蚊帳の海蒼き螢は乱舞して          小野寺 

(022) あっちっちここはアラビア夢の中       宮澤   

(023) 新緑に時空彷徨ふ喜寿ひとり         深瀬  

(024) 修道女 (シスター) も教会出るやサングラス  河村  

   1 服部    

   2 宮澤    

   3 深瀬    黒い服にサングラスは不気味感もあります。

      4 小野寺  パロディでしょうか。なんだか微笑ましい。シ

          スターもまた女性ですね。

(025) 蝉時雨浜に小舟を曳きし跡          小野寺 

   1 治部    雨の浜辺に残る線。舟を出したのだろうか。無

       事に帰ればよいが・・ 詠み手の感性が伝わりま

       す。

(026) 図書館の椅子を独占避暑の人         桑子  

(027) 梅雨空の無いのも寂し六月尽         服部   

(028) 万緑の野に繚乱の白き百合          小野寺 

   1 吉良    緑の中の白さが際立ちます。

(029) 青嵐部屋でプロレス母子家庭         深瀬  

   1 河村    シングルマザーの家庭情景。がんばれ!母子で

       ー。

(030) 一夏のハスに構えしサングラス        小野寺 

(031) ノースリーブ黒のブラ紐艶めかし       服部   

(032) うらやまし明日からどこかでサングラス    治部   

(033) 猛暑日の因果を問ふて立ちくらみ       深瀬  

(034) 我を立てず女もすなる日傘さし        宮澤   

   1 治部    日傘は女だけのものではありません。近頃の強

       烈な日差しには、理屈抜きで男にも日傘が必要な

       のです。でも、これ、俳句にしちゃうのがすごい

       と思いますよ。

   2 服部    

   3 桑子    女もすなるとは土佐日記「男もすなる・・・」

       の逆ですか? 面白いです。

    高くついたオマケ

(035) トランプで避暑地の風も関税に        治部   

    解散したOB会の最後の幹事で八丈島へ行って(3句) 

(036) 八丈や温泉めぐりで避暑気分         中津川 

(037) 四葩咲く流人の島で慰労酒          中津川 

   1 柳町    

   2 深瀬    「流人の島で慰労」は複雑な心境を感じます。

   3 橋本    紫陽花の咲く、かつての流人の島で慰労酒とは

       巡り合わせですね。

(038) すわ空港へ高波欠航野分来る         中津川 

(039) 裕次郎気取ってかけるサングラス       豊     

   1 桜子    気分がUPします。このような楽しみを日常に入

       れるといいのだと思います。

(040) 黒い雲ゲリラ豪雨の兆しかな         新井  

(041) 打ち水の流るる先に人の待ち         小野寺 

   1 治部    打ち水の流れる先はどこでしょう。日本料理店

       での待ち合わせでしょうか?それとも旅館の女将

       が御出迎えなのでしょうか?発想が貧困ですみま

       せん。でも、誰が待っているのか、気になります

       よね。

   2 吉良    待ち人は古都の裏通りで巡り合った、色白な清

       楚な女性でしょうか。

   3 深瀬    かなり艶っぽい感じです。

(042) 熱風に抱かれ届く宅急便           宮澤   

    ノンボリ学生はインターナショナルの代わりに唐獅子牡

   丹を歌ってデモに行きました。

(043) 健さんの殺陣 (たて) を見終えてサングラス  河村  

      1 小野寺  懐かしいねぇ高倉健さんの殺陣みたらサングラ

              スかけたくなりますね。

(044) 青蜥蜴置き配荷物占拠せり          深瀬  

   1 河村    真夏のワンショット、青蜥蜴が効果的。

(045) 日焼け止めカラス天狗が自転車で       宮澤   

   1 治部    これは、ウーバーイーツの人ですかね。この季

       節の宅配業は日焼け止めは無力です。年間を通し

       て肌を焼く仕事と日焼け止めを取り合わせたとこ

       ろが、どうにもならない暑さを伝えています。お

       見事です。

   2 桑子    「カラス天狗」とはいい得て妙な表現です。

(046) 避暑にとて電車図書館老ひひとり       深瀬  

(047) ドラゴンの顔持つ蜥蜴舌を出し        小野寺 

(048) 都会より逃げて楽しき避暑の宿        豊     

(049) サングラス外す笑顔やあどけなき       治部   

   1 服部    

(050) 上高地ホテルデッキの避暑遥か        深瀬  

    先日の駒東仲間の旅で泊まった、「ホテルニュー白亜紀」

   窓からの景色を詠みました。(3句) 

(051) 鹿島灘冲ゆく船は霧の中           柳町   

(052) ぬくぬくと霧笛に咽ぶ露天風呂        柳町   

(053) 粛々と松風さわぐ磯の社           柳町   

(054) 巣の有りや烏の威嚇首竦 (すく) む      橋本   

(055) 滝近し木洩れ日通し涼の風          小野寺 

   1 宮澤    

(056) 炎天下影なき道を救急車           宮澤   

(057) 雨音に心静めて昼寝かな           橋本   

   1 深瀬    なにか落ち着いた静かな心境が伝わってきます。

   2 豊       雨の音を聞いていると不思議と心が落ち着い

        てきます。同感です。

(058) 暗いクラブハウスサングラスのまま      治部   

    知覧には「オモニへ」と書いた朝鮮出身特攻隊員の遺書

   もありました。

(059) 向日葵へ翼振り逝きし嗚呼知覧        河村  

   1 柳町    

   2 服部    

      3 小野寺  眼下の向日葵に翼で別れを告げ知覧から特攻で

              飛び去った若者達の貴い生命の代償に我々が今生

              きている事を忘れてはならない。

(060) ふるさとや母の淹れたる新茶飲む       小野寺 

   1 桜子    ほのぼのとした幸福感の中愛情があふれます。

       新茶で疲れが取れる感じがします。

(061) 湯上がりに新涼の風吹き抜ける        豊     

(062) 朝採りの有機もろきゅう比類無し       橋本   

   1 深瀬    確かにおいしそうです。子供のころ体験したか? 

(063) 特養の庭の紫陽花雨に咲き          深瀬  

(064) マッカーサーコーンパイプにサングラス    服部   

(065) 万緑を駆け抜く孫の玉の汗          小野寺 

   1 柳町    

(066) 盆踊り外国人も輪の中に           豊     

(067) 初蛍今年は見たり老いひとり         河村  

(068) 歯ブラシを一つ持つのは備えなり       新井  

(069) 選挙後の日本政界サングラス         中津川 

(070) 宵宮に華やぐ人の藍浴衣           小野寺 

   1 吉良    藍色の浴衣姿が目に浮かびます。

   2 豊      祇園祭の賑わいと華やかさに藍染めの浴衣がよ

       く似合います。

(071) 美人画は細めに団扇の浮世絵展        服部   

    八王子花火大会

(072) 老い二人ビルの隙間の花火かな        治部   

   1 吉良    人込みの花火会場ではなく、ビルの隙間から静

       かに花火を眺める、老夫婦の円熟味を感じます。

   2 河村    人ごみを避けた老夫婦、のどかというより哀愁

       を感じる。

   3 桑子    

   4 宮澤    

(073) 一人身に裏切りならぬ冷奴          吉良  

   1 桑子    ご飯のおかず、酒のおつまみ冷奴は裏切りませ

       ん。

   2 中津川  夏の酒の友に間違いなしです。

   3 橋本    裏切りならぬの迫力が凄い、簡単で味わい深い

       冷や奴、独り身に欠かせません。

    ヘミングウエーを偲ぶ

(074) 「午後の死」のロンダ人無し夏終わる      河村  

   1 深瀬    ヘミングウェーの世界をかいま見た気持ちがし

       ます。

(075) 白き瀬を超えて深みに鮎光り         小野寺 

   1 柳町    

(076) 海の日の昼寝の時は極楽よ          新井  

(077) 日盛や赤信号はビルの陰           桑子  

   1 服部    

(078) 梁に居て寝つけぬ夜にヤモリ鳴く       小野寺 

(079) 日盛りの電線の影踏み続け          深瀬  

   1 治部    これ、わかります。こんな細い影によく着目し

       たと思います。ほんのわずかな影を求めて伝い歩

       く様に暑さが伝わります。電線の影だからね、ほ

       とんど出てるんですけどね。選者も信号待ちの時

       に標識の柱の陰に立った事があります。暑いよ。

   2 河村    いささかオーバーだが気持ちはわかる。

   3 宮澤    

   4 中津川  少しでも日影を歩く、よく分かります。

(080) 日本に避暑地残るや温暖化          橋本   

(081) 白牡丹夜のとばりに沈みゆき         小野寺 

(082) 懐かしや新橋屋上ビヤガーデン        治部   

(083) 剪定しそよぐ葉涼し朝ご飯          橋本   

   1 治部    朝食前に刈り込んだのですかね。和食派の二人

       だけの朝食の様子に、そよぐ葉の動きが涼しげで

       とてもいいと思います。

    国民学校一年生で迎えた終戦、幼き日の想い出。

(084) 終戦の翌朝祖母は合歓を植え         河村  

   1 柳町    

      2 小野寺  お祖母様は大戦で大切な人を亡くされたのでし

              ょうか。紅い合歓の花は鎮魂の祈りでしょうか。

             孫達の為にも戦の無い世を護らねばなりません。

(085) グラサンと美女が二人でかっこつけ      治部   

(086) 流燈に消えゆく命流れゆき          小野寺 

(087) 日本酒の旨さひとのせ茄子焼いて       治部   

   1 柳町    

    蓼科にて 

(088) 白樺の避暑地に眠る火焔土器         河村  

   1 服部    

      2 小野寺  避暑地の白樺と縄文時代の火焔土器の焔の躍動

              の対比が面白い。                     

(089) いもり住むウッドデッキに慈雨来る      宮澤   

(090) 時の日に出船の汽笛響きけり。        小野寺 

(091) 大花火海の夜空が七色に           豊     

(092) 浴衣着のすれちがふ様万華鏡         深瀬  

   1 治部    これまた、女子たちの浴衣に目を細めて「万華

       鏡」とは、古いけどわかりますよ。見るべきは花

       火なのでしょう。変なおじさんと言われないよう

       にしましょう。でも、「浴衣」「すれちがう」「

       万華鏡」で花火大会を見せる技は素晴らしいと言

       わざるを得ませんね。流石です。

   2 中津川  夏祭か花火大会か女性の浴衣姿は美しい。

   3 橋本    最近のカラフルな浴衣の行き交う人混みなら万

       華鏡の如しかも。

(093) 滝壺や竜宮城を垣間見る           吉良  

(094) 釣竿の弓にしなりて鮎掛かる         小野寺 

(095) 木漏れ日の影を慕いてバスを待つ       宮澤   

   1 橋本    木陰が残る内に、早く来いバスですね。

(096) ひこばえも米にすんべえ米不足        服部   

   1 桑子    そうですね、温暖化でこれから二期作もできる

       ようになるかな。

(097) ウクライナ勝たせたかった安青錦       橋本   

(098) 青嵐の明るく流る過疎の村          小野寺 

(099) 滝風や登山者押せる急登坂          吉良  

(100) ホトトギス遠くに初鳴き明け易し       橋本   

(101) 山滴るセザンヌと北斎の青          河村  

   1 吉良    フランスのジャポニスムに影響した浮世絵。青

       の色が象徴しているのでしょうか。

   2 中津川  セザンヌは絵の事ですか、それとも化粧品(ア

       イシャドウ)の青?

(102) 日盛りをかみそり研ぎの声ゆけり       深瀬  

      1 小野寺  暑い日盛りの静寂の午後をかみそり研ぎの声が

              過ぎてゆく、作者の感性が光ります。

(103) 傾城の佳人も愛でし紅牡丹          小野寺 

(104) 音のみの遠き隅田の川花火          桑子  

   1 深瀬    花火の情景が浮き上がってきます。

   2 豊      俳句としてとてもよくまとまっている秀句だと

       思います。

      3 小野寺  ドーンという花火の音が静寂を破り遠い隅田川

              の空に鮮やかに上がりゆく見えないからこそ音だ

              けで闇の花火はいよいよ華やかに上がるのです。

(105) 避暑地にてめぐり逢い惜しみつつ帰路     河村  

   1 中津川  後ろ髪をひかれている気持ちを破調で強調して

       いるようです。

(106) ふんわりとかば焼きのせる鰻飯        新井  

(107) 高揚を過ぎて優しき夏至の雨         小野寺 

(108) 驚きの選挙結果や土用波           豊     

    喜寿の夏  十五句

(109) やつとこさ一日終へる喜寿の夏        深瀬  

(110) 寝る前に明日の有無問ふ喜寿の夏       深瀬  

(110) 1 河村    問うのは有無ですか、是非にして下さい!

(111) 残り日をひとり指折る喜寿の夏        深瀬  

(112) 杖握りふらつき歩く喜寿の夏         深瀬  

(113) ビームとて頭で反射喜寿の夏         深瀬  

(114) 想ひ出す受験予備校喜寿の夏         深瀬  

   1 河村    幾つになつても何度も受験の夢を見ますね。

   2 宮澤    

(115) 声援もかすれ声なり喜寿の夏         深瀬  

(116) 亡き恩師夢で再会喜寿の夏          深瀬  

(117) よろめきつ投票にいく喜寿の夏        深瀬  

   1 服部    

(118) 押し寄せる自分ファースト喜寿の夏      深瀬  

   1 桜子    最後の一言が効いていますが、本質を表すよう

       です。

(119) 遥なり "明日があるさ" 喜寿の夏       深瀬  

(120) なに遺すこたへにもがく喜寿の夏       深瀬  

   1 河村    心境わかります。いまだ残日の煩悩に纏われて

       ます。

   2 橋本    誰に、何を遺すのが良いのだろうか、暑き夏に

       もがいて下さい。

   3 豊      十五句の中で選ぶとすれば、この句でしょう。

(121) すれ違ひ墓まで覚悟喜寿の夏         深瀬  

(122) 外からの旅行者溢る喜寿の夏         深瀬  

(123) いつなにがあるか分からぬ喜寿の夏      深瀬  

   1 桑子    全くその通りです。地震・津波、病気、トラン

       プ関税と何が起きてもおかしくない今日この頃で

       す。

(124) 白金の並樹散歩に夏の月           深瀬  



2.作品集


(01) 新井さん (自句自解として受け取ったのですが、前につけました。) 

  群発地震に襲われている悪石島の先が心配です。人間には

どうしようもないので、逃げてほしいです。

・天からのお示し如何に悪石島

  先日に記録的短時間の豪雨に見舞われました。その直前に

不穏な黒い雲を見つめていました。

・黒い雲ゲリラ豪雨の兆しかな

  「うなぎの日」に、お椀にたれをかけたご飯を用意して、

鰻のかば焼きをそっと乗せると幸せです。

・ふんわりとかば焼きのせる鰻飯

  災害時、避難所では歯磨きをできなくなるので、平素から

カバンに入れておくのが備えとなります

・歯ブラシを一つ持つのは備えなり

  酷暑の海の日はお昼寝が幸せのひとときです

・海の日の昼寝の時は極楽よ

  那須高原を訪れた天皇ご一家のご様子です。かりゆしは、

内閣府でも着用が認められています。

・避暑の地に咲く花三つかりゆしの


(02) 小野寺さん

・日盛りに森の高みを蝶は飛び

・時の日に出船の汽笛響きけり

・白き瀬を超えて深みに鮎光り

・傾城の佳人も愛でし紅牡丹

・ドラゴンの顔持つ蜥蜴舌を出し

・宵宮に華やぐ人の藍浴衣

・青嵐の明るく流る過疎の村

・打ち水の流るる先に人の待ち

・流燈に消えゆく命流れゆき

・夏曇や初戦に敗れ涙のむ

・白牡丹夜のとばりに沈みゆき

・万緑を駆け抜く孫の玉の汗

・ふるさとや母の淹れたる新茶飲む

・釣竿の弓にしなりて鮎掛かる

・滝近し木洩れ日通し涼の風

・蝉時雨浜に小舟を曳きし跡

・蚊帳の海蒼き螢は乱舞して

・合歓の花沖には藍の潮流る

・香りよき幸せ届く母新茶

・蛍火の哀しく光り深き闇

・高揚を過ぎて優しき夏至の雨

・万緑の野に繚乱の白き百合

・梁に居て寝つけぬ夜にヤモリ鳴く

・一夏のハスに構えしサングラス


(03)  吉良さん

・ほろ苦し避暑は彼方に白き波

・ふと隠す思い出苦しサングラス

・滝風や登山者押せる急登坂

・滝壺や竜宮城を垣間見る

・一人身に裏切りならぬ冷奴


(04)  桑子さん

・日盛や赤信号はビルの陰

・図書館の椅子を独占避暑の人

・夏祭踊るパシスタ吾が胸も

・音のみの遠き隅田の川花火


(05)  河村さん

・修道女 (シスター) も教会出るやサングラス

・シヤイ隠すつもりが凄むサングラス

  ノンボリ学生はインターナショナルの代わりに唐獅子牡丹

を歌ってデモに行きました。

・健さんの殺陣 (たて) を見終えてサングラス

 蓼科にて

・白樺の避暑地に眠る火焔土器

  彼の地では縄文のヴイーナスも出土されてます。

・避暑地にてめぐり逢い惜しみつつ帰路

  遭遇しそれぞれの家路へ

・木漏れ日の避暑地にて摘むくすり草

  国民学校一年生で迎えた終戦、幼き日の想い出。

・終戦の翌朝祖母は合歓を植え

    知覧には「オモニへ」と書いた朝鮮出身特攻隊員の遺書も

ありました。

・向日葵へ翼振り逝きし嗚呼知覧

  ウクライナの黒土を踏み躙つた戦車、国花向日葵の抵抗。

・向日葵よカタピラわだち埋め尽くせ

  ヘミングウエーを偲ぶ

・「午後の死」のロンダ人無し夏終わる

    彼が愛した闘牛は廃止されました。

・山滴るセザンヌと北斎の青

    セザンヌの淡いパステルカラーと北斎のプルシヤンブルー(べろ藍)の濃淡

・初蛍今年は見たり老いひとり


(06) 治部さん

・サングラス外す笑顔やあどけなき

・うらやまし明日からどこかでサングラス

・グラサンと美女が二人でかっこつけ

・暗いクラブハウスサングラスのまま

・懐かしや新橋屋上ビヤガーデン

・日本酒の旨さひとのせ茄子焼いて

 八王子花火大会

・老い二人ビルの隙間の花火かな

 高くついたオマケ

・トランプで避暑地の風も関税に


(07)  中津川さん

 解散したOB会の最後の幹事で八丈島へ行って(3句) 

・八丈や温泉めぐりで避暑気分

・四葩咲く流人の島で慰労酒

・すわ空港へ高波欠航野分来る

・炎天や犬の散歩は抱いてする

・五街道歩き終えたり夏至近し

・ローカル線青田が続く田舎の匂ひ

・選挙後の日本政界サングラス


(08)  橋本さん

・巣の有りや烏の威嚇首竦 (すく) む

・剪定しそよぐ葉涼し朝ご飯

・朝採りの有機もろきゅう比類無し

・ホトトギス遠くに初鳴き明け易し

・雨音に心静めて昼寝かな

・日本に避暑地残るや温暖化

・ウクライナ勝たせたかった安青錦


(09)  服部さん

・梅雨空の無いのも寂し六月尽

・ノースリーブ黒のブラ紐艶めかし

・マッカーサーコーンパイプにサングラス

・ひこばえも米にすんべえ米不足

・美人画は細めに団扇の浮世絵展


(10)  宮澤さん

・炎天下影なき道を救急車

・熱風に抱かれ届く宅急便

・木漏れ日の影を慕いてバスを待つ

・いもり住むウッドデッキに慈雨来る

・日焼け止めカラス天狗が自転車で

・あっちっちここはアラビア夢の中

・我を立てず女もすなる日傘さし


(11)  柳町さん

  先日の駒東仲間の旅で泊まった、「ホテルニュー白亜紀」

の窓からの景色を詠みました。(3句) 

・鹿島灘冲ゆく船は霧の中

・ぬくぬくと霧笛に咽ぶ露天風呂

・粛々と松風さわぐ磯の社


(12)  豊さん

・都会より逃げて楽しき避暑の宿

・裕次郎気取ってかけるサングラス

・盆踊り外国人も輪の中に

・驚きの選挙結果や土用波

・大花火海の夜空が七色に

・立秋と言えども気温三〇度

・湯上がりに新涼の風吹き抜ける


(03)  深瀬

・サングラス悪役気取り老ひ予防

・猛暑日の因果を問ふて立ちくらみ

・避暑にとて電車図書館老ひひとり

・上高地ホテルデッキの避暑遥か

・青嵐部屋でプロレス母子家庭

・青蜥蜴置き配荷物占拠せり

・白金の並樹散歩に夏の月

・特養の庭の紫陽花雨に咲き

・新緑に時空彷徨ふ喜寿ひとり

・日盛りの電線の影踏み続け

・都会出で浴衣で憩ふ夕湖畔

・風鈴や時の断片残しけり

・日盛りをかみそり研ぎの声ゆけり

・浴衣着のすれちがふ様万華鏡

 喜寿の夏  十五句

・やつとこさ一日終へる喜寿の夏

・寝る前に明日の有無問ふ喜寿の夏

・残り日をひとり指折る喜寿の夏

・杖握りふらつき歩く喜寿の夏

・ビームとて頭で反射喜寿の夏

・想ひ出す受験予備校喜寿の夏

・声援もかすれ声なり喜寿の夏

・亡き恩師夢で再会喜寿の夏

・よろめきつ投票にいく喜寿の夏

・押し寄せる自分ファースト喜寿の夏

・遥なり "明日があるさ" 喜寿の夏

・なに遺すこたへにもがく喜寿の夏

・すれ違ひ墓まで覚悟喜寿の夏

・外からの旅行者溢る喜寿の夏

・いつなにがあるか分からぬ喜寿の夏


  ----

      


2025年8月4日月曜日

七句会 第五十二回目のネット句会 選句のご依頼です。

  七句会の皆様


  猛暑日の連続によりこの先が懸念される毎日ですが、みなさまお元気

にお過ごしのことと思います。

  七句会としての第五十二回目のネット句会となりますが、今回、下記

124 句の投句がありました。

  つきましては、次の要領で、選句をしていただきたく、よろしくお願

いいたします。


- 下記は、今回、投句していただいた全ての句を、作者を伏せ、兼題別

に、ランダムに列挙したものです。表記は、投句されたそのものです。

詞書きがあり、複数の句があるものは、まとめて並べてあります。兼題

句、自由題句、無季語句、川柳的な句、作者の特定が可能な句、等々、

なんでもありとしています。分類については、作者の意図と異なるかも

しれませんが、ご了承のほどお願いいたします。 (今回も分類を省略さ

せていただきました。) 

- このなかから、共感する俳句を、最大7 句選び、08月14日 (木) まで

に、下記へメールで返信してください。番号表記でも構いません。その

際、選んだ理由を一言、付け加えていただくとなお結構です。全体への

コメントでも結構です。

    hfukase@k03.itscom.net  (事務方  深瀬) 

- 蛇足ですが、選句にあたり、自作を選ぶのはご遠慮ください。

- 3 月中旬には、選句の結果をまとめ、皆さまにご報告する予定です。


  今回の投句者は、新井さん、小野寺さん、河村さん、吉良さん、

桑子さん、治部さん、中津川さん、橋本さん、服部さん、宮澤さん、

柳町さん、豊さん、深瀬 (以上13名) です。


 これまでの選句結果は、下記のURL から参照可能です。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/


 以上、よろしくお願いいたします。


  送付不要な場合、ご面倒ですがご一報下さい。以後、送付しないよう

にします。


        七句会 2025.08.04

          代表  橋口侯之介

     顧問  豊  宣光

          事務  深瀬久敬

   

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   1. 全て (兼題、季語の有無など無関係) 


(001) 炎天や犬の散歩は抱いてする

(002) 合歓の花沖には藍の潮流る

(003) シヤイ隠すつもりが凄むサングラス

(004) 風鈴や時の断片残しけり

(005) 蛍火の哀しく光り深き闇

(006) 都会出で浴衣で憩ふ夕湖畔

(007) 夏祭踊るパシスタ吾が胸も

(008) 夏曇や初戦に敗れ涙のむ

(009) 天からのお示し如何に悪石島

(010) ローカル線青田が続く田舎の匂ひ

(011) 香りよき幸せ届く母新茶

(012) 立秋と言えども気温三〇度

(013) 木漏れ日の避暑地にて摘むくすり草

(014) 日盛りに森の高みを蝶は飛び

(015) ほろ苦し避暑は彼方に白き波

(016) サングラス悪役気取り老ひ予防

(017) 避暑の地に咲く花三つかりゆしの

(018) 向日葵よカタピラわだち埋め尽くせ

(019) 五街道歩き終えたり夏至近し

(020) ふと隠す思い出苦しサングラス

(021) 蚊帳の海蒼き螢は乱舞して

(022) あっちっちここはアラビア夢の中

(023) 新緑に時空彷徨ふ喜寿ひとり

(024) 修道女 (シスター) も教会出るやサングラス

(025) 蝉時雨浜に小舟を曳きし跡

(026) 図書館の椅子を独占避暑の人

(027) 梅雨空の無いのも寂し六月尽

(028) 万緑の野に繚乱の白き百合

(029) 青嵐部屋でプロレス母子家庭

(030) 一夏のハスに構えしサングラス

(031) ノースリーブ黒のブラ紐艶めかし

(032) うらやまし明日からどこかでサングラス

(033) 猛暑日の因果を問ふて立ちくらみ

(034) 我を立てず女もすなる日傘さし

   高くついたオマケ

(035) トランプで避暑地の風も関税に

   解散したOB会の最後の幹事で八丈島へ行って(3句) 

(036) 八丈や温泉めぐりで避暑気分

(037) 四葩咲く流人の島で慰労酒

(038) すわ空港へ高波欠航野分来る

(039) 裕次郎気取ってかけるサングラス

(040) 黒い雲ゲリラ豪雨の兆しかな

(041) 打ち水の流るる先に人の待ち

(042) 熱風に抱かれ届く宅急便

(043) 健さんの殺陣 (たて) を見終えてサングラス

(044) 青蜥蜴置き配荷物占拠せり

(045) 日焼け止めカラス天狗が自転車で

(046) 避暑にとて電車図書館老ひひとり

(047) ドラゴンの顔持つ蜥蜴舌を出し

(048) 都会より逃げて楽しき避暑の宿

(049) サングラス外す笑顔やあどけなき

(050) 上高地ホテルデッキの避暑遥か

   先日の駒東仲間の旅で泊まった、「ホテルニュー白亜紀」

  窓からの景色を詠みました。(3句) 

(051) 鹿島灘冲ゆく船は霧の中

(052) ぬくぬくと霧笛に咽ぶ露天風呂

(053) 粛々と松風さわぐ磯の社

(054) 巣の有りや烏の威嚇首竦 (すく) む

(055) 滝近し木洩れ日通し涼の風

(056) 炎天下影なき道を救急車

(057) 雨音に心静めて昼寝かな

(058) 暗いクラブハウスサングラスのまま

(059) 向日葵へ翼振り逝きし嗚呼知覧

(060) ふるさとや母の淹れたる新茶飲む

(061) 湯上がりに新涼の風吹き抜ける

(062) 朝採りの有機もろきゅう比類無し

(063) 特養の庭の紫陽花雨に咲き

(064) マッカーサーコーンパイプにサングラス

(065) 万緑を駆け抜く孫の玉の汗

(066) 盆踊り外国人も輪の中に

(067) 初蛍今年は見たり老いひとり

(068) 歯ブラシを一つ持つのは備えなり

(069) 選挙後の日本政界サングラス

(070) 宵宮に華やぐ人の藍浴衣

(071) 美人画は細めに団扇の浮世絵展

   八王子花火大会

(072) 老い二人ビルの隙間の花火かな

(073) 一人身に裏切りならぬ冷奴

   ヘミングウエーを偲ぶ

(074) 「午後の死」のロンダ人無し夏終わる

(075) 白き瀬を超えて深みに鮎光り

(076) 海の日の昼寝の時は極楽よ

(077) 日盛や赤信号はビルの陰

(078) 梁に居て寝つけぬ夜にヤモリ鳴く

(079) 日盛りの電線の影踏み続け

(080) 日本に避暑地残るや温暖化

(081) 白牡丹夜のとばりに沈みゆき

(082) 懐かしや新橋屋上ビヤガーデン

(083) 剪定しそよぐ葉涼し朝ご飯

(084) 終戦の翌朝祖母は合歓を植え

(085) グラサンと美女が二人でかっこつけ

(086) 流燈に消えゆく命流れゆき

(087) 日本酒の旨さひとのせ茄子焼いて

   蓼科にて

(088) 白樺の避暑地に眠る火焔土器

(089) いもり住むウッドデッキに慈雨来る

(090) 時の日に出船の汽笛響きけり

(091) 大花火海の夜空が七色に

(092) 浴衣着のすれちがふ様万華鏡

(093) 滝壺や竜宮城を垣間見る

(094) 釣竿の弓にしなりて鮎掛かる

(095) 木漏れ日の影を慕いてバスを待つ

(096) ひこばえも米にすんべえ米不足

(097) ウクライナ勝たせたかった安青錦

(098) 青嵐の明るく流る過疎の村

(099) 滝風や登山者押せる急登坂

(100) ホトトギス遠くに初鳴き明け易し

(101) 山滴るセザンヌと北斎の青

(102) 日盛りをかみそり研ぎの声ゆけり

(103) 傾城の佳人も愛でし紅牡丹

(104) 音のみの遠き隅田の川花火

(105) 避暑地にてめぐり逢い惜しみつつ帰路

(106) ふんわりとかば焼きのせる鰻飯

(107) 高揚を過ぎて優しき夏至の雨

(108) 驚きの選挙結果や土用波

   喜寿の夏  十五句

(109) やつとこさ一日終へる喜寿の夏

(110) 寝る前に明日の有無問ふ喜寿の夏

(111) 残り日をひとり指折る喜寿の夏

(112) 杖握りふらつき歩く喜寿の夏

(113) ビームとて頭で反射喜寿の夏

(114) 想ひ出す受験予備校喜寿の夏

(115) 声援もかすれ声なり喜寿の夏

(116) 亡き恩師夢で再会喜寿の夏

(117) よろめきつ投票にいく喜寿の夏

(118) 押し寄せる自分ファースト喜寿の夏

(119) 遥なり "明日があるさ" 喜寿の夏

(120) なに遺すこたへにもがく喜寿の夏

(121) すれ違ひ墓まで覚悟喜寿の夏

(122) 外からの旅行者溢る喜寿の夏

(123) いつなにがあるか分からぬ喜寿の夏

(124) 白金の並樹散歩に夏の月



 ---- 選句表作成者補注----


(007) 「パシスタ」は、サンバのパレードで踊る女性のソロダンサーを

指す言葉です。特に、リオのカーニバルなど、豪華な衣装と羽根を背負

って踊る姿が有名です。 


(009) 悪石島(あくせきじま)は、吐噶喇(トカラ)列島に浮かぶ島で

ある。今年7月3日午後4時13分ごろ、震度6 弱の揺れを観測した。


(037) 「四葩」は「よひら」と読み、アジサイの別名です。花びらが4 

枚あるように見えることから、この名前がつけられました。特に俳句で

よく使われます。 


(062) 「もろきゅう」とは、きゅうりに味噌をつけた料理、またはその

きゅうり自体を指す言葉です。特に、若くて小さめのきゅうりを指すこ

とが多いです。 


(074) 『午後の死(Death in the Afternoon)』は、アーネスト・ヘミ

ングウェイが1932年に発表したノンフィクション作品で、彼が深く愛し

たスペインの**闘牛(corrida de toros)**について情熱的かつ哲学的

に綴った書物です。この作品は単なる闘牛の解説書ではなく、死、勇気、

美、真実といったテーマを扱ったヘミングウェイらしい深みのある随筆

であり、彼の文学思想の中核にも触れることができます。

  ロンダ闘牛場

  ロンダで一番の観光スポットであるヌエボ橋から北へ200メートル

くらいのところにあります。闘牛場の直径は66メートルで規模が大きく、

観客席が2 階建てで、観客席数はかなり多いです。闘牛に関する資料館

や牛舎も見学できます。入場料7 ユーロ 1785年に作られたもっとも古

い闘牛場の一つとのことです。




2025年6月4日水曜日

七句会 第51回 句会 選句結果のご報告です。

  七句会のみなさま

 

 第五十一回目の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。

 今回の選句結果をご報告いたします。

 

4 点句

(016) 春の海ポンポン船や波のたり       深瀬

(030) 喜寿迎へやらされ感なき日々憩ふ     深瀬

(038) 山の端に沈む刹那の朱華(はねず)色   志方

(079) 春愁にまなざし優し阿修羅像       志方

(095) 新緑に余命意識す喜寿ひとり       深瀬

 

3 点句

(009) 逆光に輝きまして春の草         宮澤

(040) 新茶摘み山の鉄路の窓薫る        吉良

(046) あるじ亡き塀に盛れる夏蜜柑       吉良

(083) 夕闇に沈みゆくなり白牡丹        小野寺

(098) ふき味噌や残る苦みに口うれし      中津川

 

2 点句

(003) 遠き日や仙石原の水芭蕉         深瀬

(013) 山百合は真昼の風に語りかけ       小野寺

(021) 春の陽に吊り革揺れて駅近し       深瀬

(022) 木漏れ日の透き通りたる若葉かな     豊

(026) 淡雪に水音を聞く過疎の村        深瀬

(033) 春うれひ退会届け三つ書き        深瀬

(044) 浴衣着て気持ちときめく薄暑かな     小野寺

(047) 春深し瓦礫の街を鳥一羽         深瀬

(056) しょうぶ湯に浸かり懐かし幼き日     宮澤

(063) アルツとて饒舌の朋眼に若葉       小野寺

(064) 大森の縄文しのび潮干狩り        深瀬

(070) たけのこの皮むき香る山の土       宮澤

(074) さえずりの去りて大樹は眠りけり     小野寺

(082) 湯上りは珈琲牛乳風薫る         桑子

(101) 足軽しネモフィラの青夏近し         中津川

(105) 北斎の怒涛の青や夏の雲         小野寺

 

  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前

とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。

  次回については、今年7 月~ 8月ころにご連絡したいと思っていますので、

よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご

連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。

 

 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。

 

(1) 選句参加者

 今回の選句には、下記の14名が参加しました。

  桜子さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さん、

中津川さん、橋本さん、服部さん、平島さん、宮澤さん、柳町さん、豊さん、

深瀬。

 

(2) 今回の句会の結果を踏まえた感想、自句自解の募集について

  掲記について6 30日を期限として募ります。お寄せいただいた感想は、と

りまとめ次回の句会のキックオフメールに添付し配布します。

  句会としての作品集は作成 (当メールの後ろに添付) し、自句自解集は作成

しないことにしました。

 

  誤記、記入漏れなどありましたら、ご連絡ください。修正します。

 選句結果は、七句会の下記のweb に掲載します。よろしくお願いします。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/

 

  2025.06.03

 

      代表   橋口侯之介

      顧問  豊  宣光

      事務方 深瀬久敬

 

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(001) ナイスパー桜吹雪がお出迎え       桑子

      1 深瀬    ゴルフをたのしむ人にとっては最高の気分

          でしょう。

(002) 雨に濡れ葉のかさなりや若楓       小野寺

(003) 遠き日や仙石原の水芭蕉         深瀬

      1 中津川  箱根に湿生花園がありましたね。なぜか中

              学の時の仙石原の林間学校を思い出しました。

   2 桜子    なぜ遠き日なのか、ポーラ美術館をお尋ね

           になったのか。謎めいてもっと知りたくな

           る一句です。

(004) 輝ける水面は初夏の光かな        豊

(005) 三一一堤防高く春の波          中津川

   1 宮澤    2 度と津波被害を受けまいというリスク対

           策は、春の気配を知る感性を遠ざける代償を

           払って成り立つ切なさ感じます

(006) 球春だ選抜野球にMLG         服部

(007) 阿佐ヶ谷の古き町並みデジャヴュ感    深瀬

(008) 若楓萌ゆるみどりに影さして       小野寺

(009) 逆光に輝きまして春の草         宮澤

   1 吉良    逆光では草の緑が濃くなるのかと思いきや

           輝いて見えるとの発見が面白い。

   2 治部    見ている草の先に太陽。眩しさの中にキラ

       キラと草の揺れる春の光景が浮かび、選者も

       眩しくなりました。映像が素晴らしいです。

   3 桜子    新緑の美しさが輝くように伝わってきます。

(010) 大凧の願い乗せたり天空へ        桜子

   1 中津川  5月の浜松まつりの凧揚げでしょうか。

(011) 春憂や花粉と共にやって来る       橋本

   1 服部    春憂や花粉と共にやって来る

(012) 走線者米中はざま行き場なく       深瀬

(013) 山百合は真昼の風に語りかけ       小野寺

   1 吉良    百合と風との対話が新鮮に感じます。

   2 志方 

(014) 鯉のぼり風を吸い込み空泳ぐ       志方

(015) 睡蓮に揺れる木漏れ日もの想ひ      小野寺

(016) 春の海ポンポン船や波のたり       深瀬

   1 治部    ポンポン船とはレトロなものを引き出して

       きましたね。小船が凪いだ海に浮かぶ姿は春

       らしくていいですね。「のたり」がすべてを

       物語り何とも言えず穏やかでいい景色です。

       お見事です。

   2 服部    ポン船や波のたり

   3 平島    蕪村の句を思い出しながらポンポンという

       音が良いなあ!

   4 志方 

(017) 今年はまだか筍(たけ)を待つ日や炊飯器 中津川

(018) モナリザに魅入られてをりパリの初夏   小野寺

(019) 定食の百円上がるしぶしぶの       桜子

(020) 浅緑に染まる煙雨の修学院        志方

(021) 春の陽に吊り革揺れて駅近し       深瀬

   1 服部    春の陽に吊り革揺れて駅近し

   2 中津川 

(022) 木漏れ日の透き通りたる若葉かな     豊

   1 吉良    5 月のさわやかな日差しを感じます

   2 宮澤    限りなく透明に近い新緑のすがすがしさを

           感じます。

(023) 栗の香やいのちのかぎり匂ひけり     小野寺

(024) 新顔に春の番組NHK          服部

(025) 苺食む三角錐の星の音よ            吉良

(026) 淡雪に水音を聞く過疎の村        深瀬

   1 桑子    春が訪れたのどかな農村の光景が目に浮か

       びます。

   2 小野寺  雪解けの水音だけが過疎の村に響き春の訪

       れを感じます。

(027) 花見上げれば碧空にも雲の花       橋本

   1 桑子    写真の風景にピッタリの句です。

(028) 葉桜に川面変わらず流れゆく       宮澤

(029) 水打てば広重の空輝きて         小野寺

(030) 喜寿迎へやらされ感なき日々憩ふ     深瀬

   1 橋本    私も状況に応じて割り切れる様になりまし

       たが、日々憩う迄はなかなかです。

   2 柳町   

   3 桜子    悠々自適で素敵な日々を想像します。

   4 志方 

(031) 春キャベツ大巾値下げカツ特上      中津川

   1 橋本    米はどうなるか、取り敢えず安くなったキ

       ャベツたっぷりに特上カツで溜飲を下さげる。

(032) 夕間暮れ古刹の塔頭千年かな       志方

(033) 春うれひ退会届け三つ書き        深瀬

   1 治部    何の退会届なのでしょうか。三つもという

       事は、相当な覚悟なのですね。事を始めるの

       も春ですが、引退の決断も春なのですね。う

       れいが伝わります。

   2 服部    春うれひ退会届け三つ書き

(034) 鳥帰る鎮守の森を後にして        小野寺

   1 橋本    近くをねぐらにしていたのか、いつものコ

       ースの途中なのか鎮守の森が良いです。

(035) 良い本に巡り合えれば友となり      桜子

(036) 葉桜や栄華の夢はいまいずこ       豊

   1 柳町   

(037) 菖蒲湯の香の染みし髪かきあげて     小野寺

   1 宮澤    想像力が湧いてきます。何かいいですね。

(038) 山の端に沈む刹那の朱華(はねず)色   志方

   1 治部    山の向こうに沈む夕日なんでしょうが、「

       山の端、刹那、朱華」とくれば、何とも特別

       な、それは美しい夕景と変わります。感性の

       なんと素晴らしいことでしょう。参りました。

   2 柳町   

   3 平島    今にも消え行く一瞬の空の色をキャッチし

       て綺麗だなあ。

      4 小野寺  日没の瞬間に輝くはねず色の表現が素敵で

       す。

(039) しずかさや被災の海を東風ゆけり     深瀬

(040) 新茶摘み山の鉄路の窓薫る        吉良

   1 中津川 

   2 桜子    この季節の楽しみである新茶に目をつけら

           れたところにセンスを感じます。

      3 小野寺  山道を走る鉄道の窓に新茶摘みの香が流れ

       る。心地よさが伝わります。

(041) 年金支給日豪華に初鰹          豊

   1 服部    年金支給日豪華に初鰹

(042) 恍惚の友たずぬれば初夏の風       小野寺

   1 吉良    自分も認知症にいつなってもおかしくない

           年齢。初夏の風が慰めてくれるのでしょうか。

(043) 若楓光きらめき万華鏡          深瀬

(044) 浴衣着て気持ちときめく薄暑かな     小野寺

   1 橋本    好きな浴衣を着てお出かけですか、何か良

       い出会いがありそうな。

   2 中津川  だんだん夏が近づいて来ているのですね。

(045) 髪あげる遠目日傘に胸騒ぎ        宮澤

      1 小野寺  もう忘れていた甘く儚い漢の感覚持ち続け

       るのが良い事です。

(046) あるじ亡き塀に盛れる夏蜜柑       吉良

   1 治部    最近は空き家が増えています。理由は様々

       ですが、高齢、核家族化が後押ししているよ

       うです。荒れた庭に、何事もなきように毎年

       実をつける夏蜜柑の黄色は鮮やかなのに、「

       あるじ亡き」 は何とも寂しさを感じます。

   2       住人が亡くなった空き家の庭に夏蜜柑が実

           をつけている。一つの物語が見えてくる風景

           ですね。

   3 桑子    「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花・・・・」

       を思い出しました。

(047) 春深し瓦礫の街を鳥一羽         深瀬

   1       能登半島地震の被災地の映像でしょうか。

       瓦礫の残っている街にも季節がめぐって春が

       くるのです。

   2 平島    能登地震を思わせて人工物の儚さに大自然

       の営みそれもたった一羽の鳥を対比させた句

       作りに感心。

(048) 傾城の佳人愛でしか紅牡丹        小野寺

(049) 大和路を風切るツバメ甍越し       志方

      1 深瀬    古都の雰囲気がよく伝わってきます。

(050) 純情な娘のごとく白牡丹         豊

(051) 彼おもひ手にはさみもつ桜貝       深瀬

(052) 庭飾る鮮やか三色菫かな         橋本

(053) 女湯の女姦し髪洗う              桑子

(054) 夜勤明け朝風呂匂ふ菖蒲かな       小野寺

(055) 女子並ぶケーキ屋のまえ花水木      深瀬

   1 宮澤    列をなす、はやりのケーキ屋が近所にあり

           ます。生クリームに花水木は似合いそうです。

(056) しょうぶ湯に浸かり懐かし幼き日     宮澤

   1 服部    しょうぶ湯に浸かり懐かし幼き日 

   2 深瀬    この歳になるとやや抵抗感がありますが気

       持ちは分かります。

(057) ヘソ出しに負けるものかと玉の汗     桑子

   1 中津川 

(058) 新緑や森の匂ひの青く甘く        橋本

(059) 今何月つぶやき増える寒暖差       桜子

(060) 若楓ビルの谷間の森の精         吉良

(061) 若竹の伸びて希望のふくらみぬ      豊

   1 吉良    若竹のみずみずしい成長が老いた体に元気

           をくれます。

(062) スリッパの足跡のまま置かれおり     深瀬

(063) アルツとて饒舌の朋眼に若葉       小野寺

   1 橋本    久し振りにあった朋、症状は未だ軽く饒舌

       も目に映る若葉が少し悲しいか。

   2 柳町   

(064) 大森の縄文しのび潮干狩り        深瀬

   1 橋本    大森の海岸で潮干狩りが出来るのですね、

       遙か縄文の時代から繋がっているとは、、、。

   2 桜子    古代を思わせるロマンあふれる句です。

(065) 大谷がホームラン寝起きの新茶      中津川

   1       大リーグの中継は朝が早い。眠気が残って

       いる頭で見た大谷のホームランは新茶のよう

       なさわやかさな刺激がありました。

(066) 母の炊く筍飯の香ほりけり        小野寺

   1       旬の食材を使ったおいしい筍飯。それをお

       母さんが炊いてくれている。母親に対する愛

       情あふれる句です。

(067) 被災地に女神降り立つ愛子姫       桜子

   1 橋本    敬宮愛子内親王を次の天皇に推したい気持

       ちです。

(068) 新じゃがの指先包む芽の香り       桜子

(069) まだら雪峠に消えず水芭蕉        小野寺

(070) たけのこの皮むき香る山の土       宮澤

   1 志方 

      2 小野寺  筍掘りたての皮剥けば山の黒土が香る感覚

       が良いですね。

(071) 息切らし桜求めて山城に         服部

(072) 逃水に津波の記憶空よぎり        深瀬

(073) 花粉症楽しい時にも目に涙        中津川

   1 深瀬    ちぐはぐ感のギャップがおもしろいです。

(074) さえずりの去りて大樹は眠りけり     小野寺

   1       自分の体の枝にとまってさえずっていた小

       鳥の声を楽しんで聞いていた大樹。その小鳥

       が去ったのでゆっくり眠ることにしたのです。

       さえずりと大樹の組み合わせがみごとです。

   2 宮澤    木陰の中のうるさいくらいのさえずりが突

           然やむ夕暮れ。大樹さんが電灯を消しておや

           すみと言っているようです。

(075) 息を呑む舞ふ初黄蝶の鮮やかさ      橋本

(076) 夏近し弾む胸元お待ちどう        宮澤

   1 桜子    思わず笑ってしまうユニークな句です。

(077) 軒騒ぐ今年も会えし燕の子        吉良

(078) 五月雨を傘もささずに別れけり      小野寺

(079) 春愁にまなざし優し阿修羅像       志方

   1 深瀬    阿修羅象の面影が思い浮かびます。

   2       春愁をかかえたまま阿修羅像と向き合った

       作者。阿修羅像には怒りと微笑二つの顔があ

       りますが、やさしさの眼差しのほうにいやさ

       れたのでしょう。

   3 平島    名工の造った傑作は観る者に多彩な見方を

       させますが春愁の己にまなざしを「優し」と

       感じさせるほど素晴らしいのです。

      4 小野寺  あの阿修羅のまなざしに感じる春愁は自分

       のこころなのでしょうね。

(080) MAGAへの関税乱発春嵐        橋本

(081) 夏浅し仏間ただよふ鐘の音        深瀬

(082) 湯上りは珈琲牛乳風薫る         桑子

   1 治部    火照った体に冷たい珈琲牛乳うまいですよ

       ね~。風がす~っと通り抜ける、爽やかな句

       ですね。余談ですが、選者は「名糖の珈琲牛

       乳」が大好きでした。

   2 宮澤    銭湯の扇風機の前の竹製の椅子に座り飲む

           珈琲牛乳。冷蔵庫の横に吊るしてあった紙の

           蓋を開けるオープナーが思い出されます。

(083) 夕闇に沈みゆくなり白牡丹        小野寺

   1       うっすらと暗くなっていく夕闇の中に、白

       牡丹の白が浮き上がっています。「沈みゆく

       なり」という表現がいいですね。

   2 平島    暮れなずむ夕べに白色が闇に消えて行きそ

       うな瞬間を「沈みゆく」と表現されたのが上

       手いなあ。

   3 志方

(084) 亡き母をしのぶ童に春の月        深瀬

(085) 失恋す気分はずっと五月闇        豊

   1 深瀬    「五月闇」に切実感が伝わってきます。

   「かな」三句                     

(086) 何気なく見ている先に小蝿かな      治部

   1 桑子   

(087) プレイ中蕗見るほどの余裕かな      治部

(088) 米価とは無縁のごとき青田かな      治部

   1 中津川 

   そして番外                       

(089) かなかなかなとは蝉の声かな       治部

(090) 空青く芽吹く川辺の風清し        橋本

(091) 風揺らぎ小さきバラの花模様       宮澤

   1 吉良    大輪のバラではなく、小さいバラが集まっ

           て色のハーモニーを醸しだりている様子が美

           しい。

(092) 風そよぐポピー畑にホーホケキョ       桑子

   1 桜子    ホーホケキョ、が聞こえてきます。

(093) 雷と雨風襲うこいのぼり         桜子

(094) 望月の葉蔭に宿る薄暑かな        小野寺

(095) 新緑に余命意識す喜寿ひとり       深瀬

   1 服部    新緑に余命意識す喜寿ひとり

   2 宮澤    春の訪れを喜びつつ、この喜びをあと何回

           感じられるかと思ってしまいます。

   3 柳町   

   4 桑子    小生も平均寿命までは元気に生きたいと思

       う今日この頃です。

(096) 桜舞い地元アイドル舞い踊る       服部

(097) 薫風に緑彩る水面かな          志方

   1 治部    初夏の風に若葉の浅い緑が揺れる水面を彩

       っている光景。初夏の風景としてはあるある

       なのですが、目線が水面にあり、薫風が揺ら

       しているのがあえて緑の若葉ではなく水面だ

       と伝わり、何とも爽やかに感じました。

(098) ふき味噌や残る苦みに口うれし      中津川

   1 深瀬    食通の人のたのしみが漂ってきます。

   2 桑子    美味しさが伝わってきます。

   3 志方 

(099) 蕗の香や鍋に煌めくエメラルド      吉良

(100) 出棺を見送る空にひばり鳴く       深瀬

      1 小野寺  大切な人の野辺送り晴れた空で鳴くひばり

       は己れの涙の声でしょうか。

(101) 足軽しネモフィラの青夏近し         中津川

   1 柳町   

   2 桑子    絨毯のようなネモフィラ畑癒されます。

(102) 春暮るる出船の汽笛遠ざかり       小野寺

   1 志方 

(103) 読経の本堂流る薄暑かな         深瀬

   1 柳町   

(104) お日様もみゃくみゃく照らす歓喜の輪   桜子

(105) 北斎の怒涛の青や夏の雲         小野寺

   1 吉良    北斎の浮世絵が目の前に浮かびあがるよう

           に感じます。

   2 平島    あの有名な富士山を包み込む波を思わせて

       雄渾な大自然の情景です。

(106) 匂いたつ八重大藤に酔いしれて      服部

   1 平島    松江を旅しましたので八雲立つが思い浮か

       び、フジの花も沢山見まして、それこそ酔い

       しれて存分に楽しんで来ました。

(107) ぽい捨てを見ては一箱一万円       深瀬

 

 

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 ご参考 作品集

 

(01)  桜子さん

・新じゃがの指先包む芽の香り

・定食の百円上がるしぶしぶの

・お日様もみゃくみゃく照らす歓喜の輪

・今何月つぶやき増える寒暖差

・良い本に巡り合えれば友となり

・雷と雨風襲うこいのぼり

・被災地に女神降り立つ愛子姫

・大凧の願い乗せたり天空へ

 

(02)  小野寺さん

・春暮るる出船の汽笛遠ざかり

・さえずりの去りて大樹は眠りけり

・鳥帰る鎮守の森を後にして

・若楓萌ゆるみどりに影さして

・浴衣着て気持ちときめく薄暑かな

・雨に濡れ葉のかさなりや若楓

・まだら雪峠に消えず水芭蕉

・栗の香やいのちのかぎり匂ひけり

・母の炊く筍飯の香ほりけり

・望月の葉蔭に宿る薄暑かな

・睡蓮に揺れる木漏れ日もの想ひ

・恍惚の友たずぬれば初夏の風

・夕闇に沈みゆくなり白牡丹

・アルツとて饒舌の朋眼に若葉

・菖蒲湯の香の染みし髪かきあげて

・五月雨を傘もささずに別れけり

・モナリザに魅入られてをりパリの初夏

・夜勤明け朝風呂匂ふ菖蒲かな

・北斎の怒涛の青や夏の雲

・傾城の佳人愛でしか紅牡丹

・山百合は真昼の風に語りかけ

・水打てば広重の空輝きて

 

(03)  吉良さん

・新茶摘み山の鉄路の窓薫る

・軒騒ぐ今年も会えし燕の子

・苺食む三角錐の星の音よ

・あるじ亡き塀に盛れる夏蜜柑

・若楓ビルの谷間の森の精

・蕗の香や鍋に煌めくエメラルド

 

(04)  桑子さん

・ナイスパー桜吹雪がお出迎え

・女湯の女姦し髪洗う

・湯上りは珈琲牛乳風薫る

・ヘソ出しに負けるものかと玉の汗

・風そよぐポピー畑にホーホケキョ

 

(05)  志方さん

・山の端に沈む刹那の朱華(はねず)色

・浅緑に染まる煙雨の修学院

・大和路を風切るツバメ甍越し

・春愁にまなざし優し阿修羅像

・薫風に緑彩る水面かな

・鯉のぼり風を吸い込み空泳ぐ

・夕間暮れ古刹の塔頭千年かな

 

(06)  治部さん

  「かな」三句

・何気なく見ている先に小蝿かな

・プレイ中蕗見るほどの余裕かな

・米価とは無縁のごとき青田かな

  そして番外

・かなかなかなとは蝉の声かな

 

(07)  中津川さん

・三一一堤防高く春の波

・ふき味噌や残る苦みに口うれし

・花粉症楽しい時にも目に涙

・今年はまだか筍(たけ)を待つ日や炊飯器

・足軽しネモフィラの青夏近し

・大谷がホームラン寝起きの新茶

・春キャベツ大巾値下げカツ特上

 

(08)  橋本さん

・息を呑む舞ふ初黄蝶の鮮やかさ

・春憂や花粉と共にやって来る

・MAGAへの関税乱発春嵐

・庭飾る鮮やか三色菫かな

・花見上げれば碧空にも雲の花

・空青く芽吹く川辺の風清し

・新緑や森の匂ひの青く甘く

 

(09)  服部さん

・息切らし桜求めて山城に

・桜舞い地元アイドル舞い踊る

・球春だ選抜野球にMLG

・新顔に春の番組NHK

・匂いたつ八重大藤に酔いしれて

 

(10)  宮澤さん

・たけのこの皮むき香る山の土

・逆光に輝きまして春の草

・髪あげる遠目日傘に胸騒ぎ

・葉桜に川面変わらず流れゆく

・しょうぶ湯に浸かり懐かし幼き日

・夏近し弾む胸元お待ちどう

・風揺らぎ小さきバラの花模様

 

(11)  豊さん

・葉桜や栄華の夢はいまいずこ

・輝ける水面は初夏の光かな

・失恋す気分はずっと五月闇

・純情な娘のごとく白牡丹

・木漏れ日の透き通りたる若葉かな

・年金支給日豪華に初鰹

・若竹の伸びて希望のふくらみぬ

 

(12)  深瀬

・亡き母をしのぶ童に春の月

・彼おもひ手にはさみもつ桜貝

・春の海ポンポン船や波のたり

・しずかさや被災の海を東風ゆけり

・淡雪に水音を聞く過疎の村

・逃水に津波の記憶空よぎり

・春深し瓦礫の街を鳥一羽

・大森の縄文しのび潮干狩り

・春の陽に吊り革揺れて駅近し

・春うれひ退会届け三つ書き

・読経の本堂流る薄暑かな

・若楓光きらめき万華鏡

・女子並ぶケーキ屋のまえ花水木

・出棺を見送る空にひばり鳴く

・遠き日や仙石原の水芭蕉

・夏浅し仏間ただよふ鐘の音

・阿佐ヶ谷の古き町並みデジャヴュ感

・喜寿迎へやらされ感なき日々憩ふ

・新緑に余命意識す喜寿ひとり

・スリッパの足跡のまま置かれおり

・走線者米中はざま行き場なく

・ぽい捨てを見ては一箱一万円

 

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