2025年8月15日金曜日

七句会 第五十二回目のネット句会 選句結果のご報告です。

 七句会のみなさま


 第五十二回目の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございます。

 今回の選句結果をご報告いたします。


・4 点句

(024) 修道女 (シスター) も教会出るやサングラス  河村  

(072) 老い二人ビルの隙間の花火かな        治部   

(079) 日盛りの電線の影踏み続け          深瀬  


・3 点句

(034) 我を立てず女もすなる日傘さし        宮澤   

(037) 四葩咲く流人の島で慰労酒          中津川 

(041) 打ち水の流るる先に人の待ち         小野寺 

(059) 向日葵へ翼振り逝きし嗚呼知覧        河村  

(073) 一人身に裏切りならぬ冷奴          吉良  

(092) 浴衣着のすれちがふ様万華鏡         深瀬  

(104) 音のみの遠き隅田の川花火          桑子  

(120) なに遺すこたへにもがく喜寿の夏       深瀬  


・2 点句

(001) 炎天や犬の散歩は抱いてする         中津川 

(003) シヤイ隠すつもりが凄むサングラス      河村  

(011) 香りよき幸せ届く母新茶           小野寺 

(016) サングラス悪役気取り老ひ予防        深瀬  

(019) 五街道歩き終えたり夏至近し         中津川 

(045) 日焼け止めカラス天狗が自転車で       宮澤   

(057) 雨音に心静めて昼寝かな           橋本   

(070) 宵宮に華やぐ人の藍浴衣           小野寺 

(084) 終戦の翌朝祖母は合歓を植え         河村  

(088) 白樺の避暑地に眠る火焔土器         河村  

(101) 山滴るセザンヌと北斎の青          河村  

(114) 想ひ出す受験予備校喜寿の夏         深瀬  


  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前

とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。

  次回については、今年10月~11月ころにご連絡したいと思っていますので、

よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご

連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。


 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。


(1) 選句参加者

 今回の選句には、下記の14名が参加しました。

  桜子さん、小野寺さん、吉良さん、河村さん、桑子さん、志方さん、

治部さん、中津川さん、橋本さん、服部さん、宮澤さん、柳町さん、豊さん、

深瀬。


(2) 初参加の河村さんから下記のメッセージがよせられました。

  この度深瀬さんの紹介で参加、投句した河村有弘と申します。当年87歳、長

年、新聞、雑誌の編集、経営に携わりただ今、閑居しております。

  「あの樹までゆるり参ろう枯れ野道」

 句作では六割が自己満足、三割はボケ予防、残りでちよぴり共感を求めてま

す。心情、心象風景を詠みたがるひとり善がりの俳句です。どうぞよろしくお

願いします。河村有弘


(3) 今回の句会の結果を踏まえた感想、自句自解の募集について

  掲記について8 月30日を期限として募ります。お寄せいただいた感想は、と

りまとめ次回の句会のキックオフメールに添付し配布します。

  句会としての作品集は作成 (当メールの後ろに添付) し、自句自解集は作成

しないことにしました。


  誤記、記入漏れなどありましたら、ご連絡ください。修正します。

 選句結果は、七句会の下記のweb に掲載します。よろしくお願いします。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/


  2025.08.15


      代表   橋口侯之介

      顧問  豊  宣光

      事務方 深瀬久敬


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1.選句結果


(001) 炎天や犬の散歩は抱いてする         中津川 

   1 宮澤    

   2 桜子    この光景をよく見ます。かわいいですよね。

(002) 合歓の花沖には藍の潮流る          小野寺 

(003) シヤイ隠すつもりが凄むサングラス      河村  

   1 桑子    サングラスをかけると強面の感じが出ます。納

       得します。

   2 橋本    半分成功なら、良しとしますか。

(004) 風鈴や時の断片残しけり           深瀬  

   1 橋本    何処の風鈴か分かりませんが、変わらぬ音色が

       時代を紡ぐ。

(005) 蛍火の哀しく光り深き闇           小野寺 

   1 吉良    蛍を比喩として、光を灯して精一杯生きる作者

       の姿が表現されているのでしょうか。

(006) 都会出で浴衣で憩ふ夕湖畔          深瀬  

(007) 夏祭踊るパシスタ吾が胸も          桑子  

   1 中津川  パシスタの胸が揺れている。

(008) 夏曇や初戦に敗れ涙のむ           小野寺 

   1 治部    甲子園を目指して一生懸命練習して初戦で敗れ

           るのは、参加高校の約半数です。全国で流れるこ

           の涙から暑い夏が始まります。「球児よガンバレ」

           応援句ですね。

(009) 天からのお示し如何に悪石島         新井  

(010) ローカル線青田が続く田舎の匂ひ       中津川 

(011) 香りよき幸せ届く母新茶           小野寺 

   1 治部    母とお茶は切り離せませんね。実家に帰省した

       時に母が入れてくれたお茶の香りは忘れられない

       ものです。新茶はことのほか香ります。「幸せ届

       く」いいですね。

   2 桜子    全体的にほんのりとした幸福感が感じられます。

(012) 立秋と言えども気温三〇度          豊     

(013) 木漏れ日の避暑地にて摘むくすり草      河村  

(014) 日盛りに森の高みを蝶は飛び         小野寺 

   1 宮澤    

(015) ほろ苦し避暑は彼方に白き波         吉良  

(016) サングラス悪役気取り老ひ予防        深瀬  

   1 桜子    ユニークながら理知的な感じを受けます。

   2 豊      兼題サングラスを詠んだ句の中では、これがよ

        かった。

(017) 避暑の地に咲く花三つかりゆしの       新井  

   1 柳町    

    ウクライナの黒土を踏み躙つた戦車、国花向日葵の抵抗。

(018) 向日葵よカタピラわだち埋め尽くせ      河村  

   1 中津川  ウクライナの戦いが一刻も早く終わることを祈

       ります。

(019) 五街道歩き終えたり夏至近し         中津川 

   1 治部    「歩き終えたり」が、夏至までかかってしまっ

       た、ではなく、夏至が来る前に達成できた。とい

       うやり遂げた感が伝わります。お疲れさまでした。

   2 吉良    長い時間をかけて、五街道巡りを達成した安堵

       感、満足感が伝わります。

(020) ふと隠す思い出苦しサングラス        吉良  

(021) 蚊帳の海蒼き螢は乱舞して          小野寺 

(022) あっちっちここはアラビア夢の中       宮澤   

(023) 新緑に時空彷徨ふ喜寿ひとり         深瀬  

(024) 修道女 (シスター) も教会出るやサングラス  河村  

   1 服部    

   2 宮澤    

   3 深瀬    黒い服にサングラスは不気味感もあります。

      4 小野寺  パロディでしょうか。なんだか微笑ましい。シ

          スターもまた女性ですね。

(025) 蝉時雨浜に小舟を曳きし跡          小野寺 

   1 治部    雨の浜辺に残る線。舟を出したのだろうか。無

       事に帰ればよいが・・ 詠み手の感性が伝わりま

       す。

(026) 図書館の椅子を独占避暑の人         桑子  

(027) 梅雨空の無いのも寂し六月尽         服部   

(028) 万緑の野に繚乱の白き百合          小野寺 

   1 吉良    緑の中の白さが際立ちます。

(029) 青嵐部屋でプロレス母子家庭         深瀬  

   1 河村    シングルマザーの家庭情景。がんばれ!母子で

       ー。

(030) 一夏のハスに構えしサングラス        小野寺 

(031) ノースリーブ黒のブラ紐艶めかし       服部   

(032) うらやまし明日からどこかでサングラス    治部   

(033) 猛暑日の因果を問ふて立ちくらみ       深瀬  

(034) 我を立てず女もすなる日傘さし        宮澤   

   1 治部    日傘は女だけのものではありません。近頃の強

       烈な日差しには、理屈抜きで男にも日傘が必要な

       のです。でも、これ、俳句にしちゃうのがすごい

       と思いますよ。

   2 服部    

   3 桑子    女もすなるとは土佐日記「男もすなる・・・」

       の逆ですか? 面白いです。

    高くついたオマケ

(035) トランプで避暑地の風も関税に        治部   

    解散したOB会の最後の幹事で八丈島へ行って(3句) 

(036) 八丈や温泉めぐりで避暑気分         中津川 

(037) 四葩咲く流人の島で慰労酒          中津川 

   1 柳町    

   2 深瀬    「流人の島で慰労」は複雑な心境を感じます。

   3 橋本    紫陽花の咲く、かつての流人の島で慰労酒とは

       巡り合わせですね。

(038) すわ空港へ高波欠航野分来る         中津川 

(039) 裕次郎気取ってかけるサングラス       豊     

   1 桜子    気分がUPします。このような楽しみを日常に入

       れるといいのだと思います。

(040) 黒い雲ゲリラ豪雨の兆しかな         新井  

(041) 打ち水の流るる先に人の待ち         小野寺 

   1 治部    打ち水の流れる先はどこでしょう。日本料理店

       での待ち合わせでしょうか?それとも旅館の女将

       が御出迎えなのでしょうか?発想が貧困ですみま

       せん。でも、誰が待っているのか、気になります

       よね。

   2 吉良    待ち人は古都の裏通りで巡り合った、色白な清

       楚な女性でしょうか。

   3 深瀬    かなり艶っぽい感じです。

(042) 熱風に抱かれ届く宅急便           宮澤   

    ノンボリ学生はインターナショナルの代わりに唐獅子牡

   丹を歌ってデモに行きました。

(043) 健さんの殺陣 (たて) を見終えてサングラス  河村  

      1 小野寺  懐かしいねぇ高倉健さんの殺陣みたらサングラ

              スかけたくなりますね。

(044) 青蜥蜴置き配荷物占拠せり          深瀬  

   1 河村    真夏のワンショット、青蜥蜴が効果的。

(045) 日焼け止めカラス天狗が自転車で       宮澤   

   1 治部    これは、ウーバーイーツの人ですかね。この季

       節の宅配業は日焼け止めは無力です。年間を通し

       て肌を焼く仕事と日焼け止めを取り合わせたとこ

       ろが、どうにもならない暑さを伝えています。お

       見事です。

   2 桑子    「カラス天狗」とはいい得て妙な表現です。

(046) 避暑にとて電車図書館老ひひとり       深瀬  

(047) ドラゴンの顔持つ蜥蜴舌を出し        小野寺 

(048) 都会より逃げて楽しき避暑の宿        豊     

(049) サングラス外す笑顔やあどけなき       治部   

   1 服部    

(050) 上高地ホテルデッキの避暑遥か        深瀬  

    先日の駒東仲間の旅で泊まった、「ホテルニュー白亜紀」

   窓からの景色を詠みました。(3句) 

(051) 鹿島灘冲ゆく船は霧の中           柳町   

(052) ぬくぬくと霧笛に咽ぶ露天風呂        柳町   

(053) 粛々と松風さわぐ磯の社           柳町   

(054) 巣の有りや烏の威嚇首竦 (すく) む      橋本   

(055) 滝近し木洩れ日通し涼の風          小野寺 

   1 宮澤    

(056) 炎天下影なき道を救急車           宮澤   

(057) 雨音に心静めて昼寝かな           橋本   

   1 深瀬    なにか落ち着いた静かな心境が伝わってきます。

   2 豊       雨の音を聞いていると不思議と心が落ち着い

        てきます。同感です。

(058) 暗いクラブハウスサングラスのまま      治部   

    知覧には「オモニへ」と書いた朝鮮出身特攻隊員の遺書

   もありました。

(059) 向日葵へ翼振り逝きし嗚呼知覧        河村  

   1 柳町    

   2 服部    

      3 小野寺  眼下の向日葵に翼で別れを告げ知覧から特攻で

              飛び去った若者達の貴い生命の代償に我々が今生

              きている事を忘れてはならない。

(060) ふるさとや母の淹れたる新茶飲む       小野寺 

   1 桜子    ほのぼのとした幸福感の中愛情があふれます。

       新茶で疲れが取れる感じがします。

(061) 湯上がりに新涼の風吹き抜ける        豊     

(062) 朝採りの有機もろきゅう比類無し       橋本   

   1 深瀬    確かにおいしそうです。子供のころ体験したか? 

(063) 特養の庭の紫陽花雨に咲き          深瀬  

(064) マッカーサーコーンパイプにサングラス    服部   

(065) 万緑を駆け抜く孫の玉の汗          小野寺 

   1 柳町    

(066) 盆踊り外国人も輪の中に           豊     

(067) 初蛍今年は見たり老いひとり         河村  

(068) 歯ブラシを一つ持つのは備えなり       新井  

(069) 選挙後の日本政界サングラス         中津川 

(070) 宵宮に華やぐ人の藍浴衣           小野寺 

   1 吉良    藍色の浴衣姿が目に浮かびます。

   2 豊      祇園祭の賑わいと華やかさに藍染めの浴衣がよ

       く似合います。

(071) 美人画は細めに団扇の浮世絵展        服部   

    八王子花火大会

(072) 老い二人ビルの隙間の花火かな        治部   

   1 吉良    人込みの花火会場ではなく、ビルの隙間から静

       かに花火を眺める、老夫婦の円熟味を感じます。

   2 河村    人ごみを避けた老夫婦、のどかというより哀愁

       を感じる。

   3 桑子    

   4 宮澤    

(073) 一人身に裏切りならぬ冷奴          吉良  

   1 桑子    ご飯のおかず、酒のおつまみ冷奴は裏切りませ

       ん。

   2 中津川  夏の酒の友に間違いなしです。

   3 橋本    裏切りならぬの迫力が凄い、簡単で味わい深い

       冷や奴、独り身に欠かせません。

    ヘミングウエーを偲ぶ

(074) 「午後の死」のロンダ人無し夏終わる      河村  

   1 深瀬    ヘミングウェーの世界をかいま見た気持ちがし

       ます。

(075) 白き瀬を超えて深みに鮎光り         小野寺 

   1 柳町    

(076) 海の日の昼寝の時は極楽よ          新井  

(077) 日盛や赤信号はビルの陰           桑子  

   1 服部    

(078) 梁に居て寝つけぬ夜にヤモリ鳴く       小野寺 

(079) 日盛りの電線の影踏み続け          深瀬  

   1 治部    これ、わかります。こんな細い影によく着目し

       たと思います。ほんのわずかな影を求めて伝い歩

       く様に暑さが伝わります。電線の影だからね、ほ

       とんど出てるんですけどね。選者も信号待ちの時

       に標識の柱の陰に立った事があります。暑いよ。

   2 河村    いささかオーバーだが気持ちはわかる。

   3 宮澤    

   4 中津川  少しでも日影を歩く、よく分かります。

(080) 日本に避暑地残るや温暖化          橋本   

(081) 白牡丹夜のとばりに沈みゆき         小野寺 

(082) 懐かしや新橋屋上ビヤガーデン        治部   

(083) 剪定しそよぐ葉涼し朝ご飯          橋本   

   1 治部    朝食前に刈り込んだのですかね。和食派の二人

       だけの朝食の様子に、そよぐ葉の動きが涼しげで

       とてもいいと思います。

    国民学校一年生で迎えた終戦、幼き日の想い出。

(084) 終戦の翌朝祖母は合歓を植え         河村  

   1 柳町    

      2 小野寺  お祖母様は大戦で大切な人を亡くされたのでし

              ょうか。紅い合歓の花は鎮魂の祈りでしょうか。

             孫達の為にも戦の無い世を護らねばなりません。

(085) グラサンと美女が二人でかっこつけ      治部   

(086) 流燈に消えゆく命流れゆき          小野寺 

(087) 日本酒の旨さひとのせ茄子焼いて       治部   

   1 柳町    

    蓼科にて 

(088) 白樺の避暑地に眠る火焔土器         河村  

   1 服部    

      2 小野寺  避暑地の白樺と縄文時代の火焔土器の焔の躍動

              の対比が面白い。                     

(089) いもり住むウッドデッキに慈雨来る      宮澤   

(090) 時の日に出船の汽笛響きけり。        小野寺 

(091) 大花火海の夜空が七色に           豊     

(092) 浴衣着のすれちがふ様万華鏡         深瀬  

   1 治部    これまた、女子たちの浴衣に目を細めて「万華

       鏡」とは、古いけどわかりますよ。見るべきは花

       火なのでしょう。変なおじさんと言われないよう

       にしましょう。でも、「浴衣」「すれちがう」「

       万華鏡」で花火大会を見せる技は素晴らしいと言

       わざるを得ませんね。流石です。

   2 中津川  夏祭か花火大会か女性の浴衣姿は美しい。

   3 橋本    最近のカラフルな浴衣の行き交う人混みなら万

       華鏡の如しかも。

(093) 滝壺や竜宮城を垣間見る           吉良  

(094) 釣竿の弓にしなりて鮎掛かる         小野寺 

(095) 木漏れ日の影を慕いてバスを待つ       宮澤   

   1 橋本    木陰が残る内に、早く来いバスですね。

(096) ひこばえも米にすんべえ米不足        服部   

   1 桑子    そうですね、温暖化でこれから二期作もできる

       ようになるかな。

(097) ウクライナ勝たせたかった安青錦       橋本   

(098) 青嵐の明るく流る過疎の村          小野寺 

(099) 滝風や登山者押せる急登坂          吉良  

(100) ホトトギス遠くに初鳴き明け易し       橋本   

(101) 山滴るセザンヌと北斎の青          河村  

   1 吉良    フランスのジャポニスムに影響した浮世絵。青

       の色が象徴しているのでしょうか。

   2 中津川  セザンヌは絵の事ですか、それとも化粧品(ア

       イシャドウ)の青?

(102) 日盛りをかみそり研ぎの声ゆけり       深瀬  

      1 小野寺  暑い日盛りの静寂の午後をかみそり研ぎの声が

              過ぎてゆく、作者の感性が光ります。

(103) 傾城の佳人も愛でし紅牡丹          小野寺 

(104) 音のみの遠き隅田の川花火          桑子  

   1 深瀬    花火の情景が浮き上がってきます。

   2 豊      俳句としてとてもよくまとまっている秀句だと

       思います。

      3 小野寺  ドーンという花火の音が静寂を破り遠い隅田川

              の空に鮮やかに上がりゆく見えないからこそ音だ

              けで闇の花火はいよいよ華やかに上がるのです。

(105) 避暑地にてめぐり逢い惜しみつつ帰路     河村  

   1 中津川  後ろ髪をひかれている気持ちを破調で強調して

       いるようです。

(106) ふんわりとかば焼きのせる鰻飯        新井  

(107) 高揚を過ぎて優しき夏至の雨         小野寺 

(108) 驚きの選挙結果や土用波           豊     

    喜寿の夏  十五句

(109) やつとこさ一日終へる喜寿の夏        深瀬  

(110) 寝る前に明日の有無問ふ喜寿の夏       深瀬  

(110) 1 河村    問うのは有無ですか、是非にして下さい!

(111) 残り日をひとり指折る喜寿の夏        深瀬  

(112) 杖握りふらつき歩く喜寿の夏         深瀬  

(113) ビームとて頭で反射喜寿の夏         深瀬  

(114) 想ひ出す受験予備校喜寿の夏         深瀬  

   1 河村    幾つになつても何度も受験の夢を見ますね。

   2 宮澤    

(115) 声援もかすれ声なり喜寿の夏         深瀬  

(116) 亡き恩師夢で再会喜寿の夏          深瀬  

(117) よろめきつ投票にいく喜寿の夏        深瀬  

   1 服部    

(118) 押し寄せる自分ファースト喜寿の夏      深瀬  

   1 桜子    最後の一言が効いていますが、本質を表すよう

       です。

(119) 遥なり "明日があるさ" 喜寿の夏       深瀬  

(120) なに遺すこたへにもがく喜寿の夏       深瀬  

   1 河村    心境わかります。いまだ残日の煩悩に纏われて

       ます。

   2 橋本    誰に、何を遺すのが良いのだろうか、暑き夏に

       もがいて下さい。

   3 豊      十五句の中で選ぶとすれば、この句でしょう。

(121) すれ違ひ墓まで覚悟喜寿の夏         深瀬  

(122) 外からの旅行者溢る喜寿の夏         深瀬  

(123) いつなにがあるか分からぬ喜寿の夏      深瀬  

   1 桑子    全くその通りです。地震・津波、病気、トラン

       プ関税と何が起きてもおかしくない今日この頃で

       す。

(124) 白金の並樹散歩に夏の月           深瀬  



2.作品集


(01) 新井さん (自句自解として受け取ったのですが、前につけました。) 

  群発地震に襲われている悪石島の先が心配です。人間には

どうしようもないので、逃げてほしいです。

・天からのお示し如何に悪石島

  先日に記録的短時間の豪雨に見舞われました。その直前に

不穏な黒い雲を見つめていました。

・黒い雲ゲリラ豪雨の兆しかな

  「うなぎの日」に、お椀にたれをかけたご飯を用意して、

鰻のかば焼きをそっと乗せると幸せです。

・ふんわりとかば焼きのせる鰻飯

  災害時、避難所では歯磨きをできなくなるので、平素から

カバンに入れておくのが備えとなります

・歯ブラシを一つ持つのは備えなり

  酷暑の海の日はお昼寝が幸せのひとときです

・海の日の昼寝の時は極楽よ

  那須高原を訪れた天皇ご一家のご様子です。かりゆしは、

内閣府でも着用が認められています。

・避暑の地に咲く花三つかりゆしの


(02) 小野寺さん

・日盛りに森の高みを蝶は飛び

・時の日に出船の汽笛響きけり

・白き瀬を超えて深みに鮎光り

・傾城の佳人も愛でし紅牡丹

・ドラゴンの顔持つ蜥蜴舌を出し

・宵宮に華やぐ人の藍浴衣

・青嵐の明るく流る過疎の村

・打ち水の流るる先に人の待ち

・流燈に消えゆく命流れゆき

・夏曇や初戦に敗れ涙のむ

・白牡丹夜のとばりに沈みゆき

・万緑を駆け抜く孫の玉の汗

・ふるさとや母の淹れたる新茶飲む

・釣竿の弓にしなりて鮎掛かる

・滝近し木洩れ日通し涼の風

・蝉時雨浜に小舟を曳きし跡

・蚊帳の海蒼き螢は乱舞して

・合歓の花沖には藍の潮流る

・香りよき幸せ届く母新茶

・蛍火の哀しく光り深き闇

・高揚を過ぎて優しき夏至の雨

・万緑の野に繚乱の白き百合

・梁に居て寝つけぬ夜にヤモリ鳴く

・一夏のハスに構えしサングラス


(03)  吉良さん

・ほろ苦し避暑は彼方に白き波

・ふと隠す思い出苦しサングラス

・滝風や登山者押せる急登坂

・滝壺や竜宮城を垣間見る

・一人身に裏切りならぬ冷奴


(04)  桑子さん

・日盛や赤信号はビルの陰

・図書館の椅子を独占避暑の人

・夏祭踊るパシスタ吾が胸も

・音のみの遠き隅田の川花火


(05)  河村さん

・修道女 (シスター) も教会出るやサングラス

・シヤイ隠すつもりが凄むサングラス

  ノンボリ学生はインターナショナルの代わりに唐獅子牡丹

を歌ってデモに行きました。

・健さんの殺陣 (たて) を見終えてサングラス

 蓼科にて

・白樺の避暑地に眠る火焔土器

・避暑地にてめぐり逢い惜しみつつ帰路

・木漏れ日の避暑地にて摘むくすり草

  国民学校一年生で迎えた終戦、幼き日の想い出。

・終戦の翌朝祖母は合歓を植え

  知覧には「オモニへ」と書いた朝鮮出身特攻隊員の遺書も

ありました。

・向日葵へ翼振り逝きし嗚呼知覧

  ウクライナの黒土を踏み躙つた戦車、国花向日葵の抵抗。

・向日葵よカタピラわだち埋め尽くせ

  ヘミングウエーを偲ぶ

・「午後の死」のロンダ人無し夏終わる

・山滴るセザンヌと北斎の青

・初蛍今年は見たり老いひとり


(06) 治部さん

・サングラス外す笑顔やあどけなき

・うらやまし明日からどこかでサングラス

・グラサンと美女が二人でかっこつけ

・暗いクラブハウスサングラスのまま

・懐かしや新橋屋上ビヤガーデン

・日本酒の旨さひとのせ茄子焼いて

 八王子花火大会

・老い二人ビルの隙間の花火かな

 高くついたオマケ

・トランプで避暑地の風も関税に


(07)  中津川さん

 解散したOB会の最後の幹事で八丈島へ行って(3句) 

・八丈や温泉めぐりで避暑気分

・四葩咲く流人の島で慰労酒

・すわ空港へ高波欠航野分来る

・炎天や犬の散歩は抱いてする

・五街道歩き終えたり夏至近し

・ローカル線青田が続く田舎の匂ひ

・選挙後の日本政界サングラス


(08)  橋本さん

・巣の有りや烏の威嚇首竦 (すく) む

・剪定しそよぐ葉涼し朝ご飯

・朝採りの有機もろきゅう比類無し

・ホトトギス遠くに初鳴き明け易し

・雨音に心静めて昼寝かな

・日本に避暑地残るや温暖化

・ウクライナ勝たせたかった安青錦


(09)  服部さん

・梅雨空の無いのも寂し六月尽

・ノースリーブ黒のブラ紐艶めかし

・マッカーサーコーンパイプにサングラス

・ひこばえも米にすんべえ米不足

・美人画は細めに団扇の浮世絵展


(10)  宮澤さん

・炎天下影なき道を救急車

・熱風に抱かれ届く宅急便

・木漏れ日の影を慕いてバスを待つ

・いもり住むウッドデッキに慈雨来る

・日焼け止めカラス天狗が自転車で

・あっちっちここはアラビア夢の中

・我を立てず女もすなる日傘さし


(11)  柳町さん

  先日の駒東仲間の旅で泊まった、「ホテルニュー白亜紀」

の窓からの景色を詠みました。(3句) 

・鹿島灘冲ゆく船は霧の中

・ぬくぬくと霧笛に咽ぶ露天風呂

・粛々と松風さわぐ磯の社


(12)  豊さん

・都会より逃げて楽しき避暑の宿

・裕次郎気取ってかけるサングラス

・盆踊り外国人も輪の中に

・驚きの選挙結果や土用波

・大花火海の夜空が七色に

・立秋と言えども気温三〇度

・湯上がりに新涼の風吹き抜ける


(03)  深瀬

・サングラス悪役気取り老ひ予防

・猛暑日の因果を問ふて立ちくらみ

・避暑にとて電車図書館老ひひとり

・上高地ホテルデッキの避暑遥か

・青嵐部屋でプロレス母子家庭

・青蜥蜴置き配荷物占拠せり

・白金の並樹散歩に夏の月

・特養の庭の紫陽花雨に咲き

・新緑に時空彷徨ふ喜寿ひとり

・日盛りの電線の影踏み続け

・都会出で浴衣で憩ふ夕湖畔

・風鈴や時の断片残しけり

・日盛りをかみそり研ぎの声ゆけり

・浴衣着のすれちがふ様万華鏡

 喜寿の夏  十五句

・やつとこさ一日終へる喜寿の夏

・寝る前に明日の有無問ふ喜寿の夏

・残り日をひとり指折る喜寿の夏

・杖握りふらつき歩く喜寿の夏

・ビームとて頭で反射喜寿の夏

・想ひ出す受験予備校喜寿の夏

・声援もかすれ声なり喜寿の夏

・亡き恩師夢で再会喜寿の夏

・よろめきつ投票にいく喜寿の夏

・押し寄せる自分ファースト喜寿の夏

・遥なり "明日があるさ" 喜寿の夏

・なに遺すこたへにもがく喜寿の夏

・すれ違ひ墓まで覚悟喜寿の夏

・外からの旅行者溢る喜寿の夏

・いつなにがあるか分からぬ喜寿の夏


  ----

      


2025年8月4日月曜日

七句会 第五十二回目のネット句会 選句のご依頼です。

  七句会の皆様


  猛暑日の連続によりこの先が懸念される毎日ですが、みなさまお元気

にお過ごしのことと思います。

  七句会としての第五十二回目のネット句会となりますが、今回、下記

124 句の投句がありました。

  つきましては、次の要領で、選句をしていただきたく、よろしくお願

いいたします。


- 下記は、今回、投句していただいた全ての句を、作者を伏せ、兼題別

に、ランダムに列挙したものです。表記は、投句されたそのものです。

詞書きがあり、複数の句があるものは、まとめて並べてあります。兼題

句、自由題句、無季語句、川柳的な句、作者の特定が可能な句、等々、

なんでもありとしています。分類については、作者の意図と異なるかも

しれませんが、ご了承のほどお願いいたします。 (今回も分類を省略さ

せていただきました。) 

- このなかから、共感する俳句を、最大7 句選び、08月14日 (木) まで

に、下記へメールで返信してください。番号表記でも構いません。その

際、選んだ理由を一言、付け加えていただくとなお結構です。全体への

コメントでも結構です。

    hfukase@k03.itscom.net  (事務方  深瀬) 

- 蛇足ですが、選句にあたり、自作を選ぶのはご遠慮ください。

- 3 月中旬には、選句の結果をまとめ、皆さまにご報告する予定です。


  今回の投句者は、新井さん、小野寺さん、河村さん、吉良さん、

桑子さん、治部さん、中津川さん、橋本さん、服部さん、宮澤さん、

柳町さん、豊さん、深瀬 (以上13名) です。


 これまでの選句結果は、下記のURL から参照可能です。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/


 以上、よろしくお願いいたします。


  送付不要な場合、ご面倒ですがご一報下さい。以後、送付しないよう

にします。


        七句会 2025.08.04

          代表  橋口侯之介

     顧問  豊  宣光

          事務  深瀬久敬

   

--------------------------------------------------


   1. 全て (兼題、季語の有無など無関係) 


(001) 炎天や犬の散歩は抱いてする

(002) 合歓の花沖には藍の潮流る

(003) シヤイ隠すつもりが凄むサングラス

(004) 風鈴や時の断片残しけり

(005) 蛍火の哀しく光り深き闇

(006) 都会出で浴衣で憩ふ夕湖畔

(007) 夏祭踊るパシスタ吾が胸も

(008) 夏曇や初戦に敗れ涙のむ

(009) 天からのお示し如何に悪石島

(010) ローカル線青田が続く田舎の匂ひ

(011) 香りよき幸せ届く母新茶

(012) 立秋と言えども気温三〇度

(013) 木漏れ日の避暑地にて摘むくすり草

(014) 日盛りに森の高みを蝶は飛び

(015) ほろ苦し避暑は彼方に白き波

(016) サングラス悪役気取り老ひ予防

(017) 避暑の地に咲く花三つかりゆしの

(018) 向日葵よカタピラわだち埋め尽くせ

(019) 五街道歩き終えたり夏至近し

(020) ふと隠す思い出苦しサングラス

(021) 蚊帳の海蒼き螢は乱舞して

(022) あっちっちここはアラビア夢の中

(023) 新緑に時空彷徨ふ喜寿ひとり

(024) 修道女 (シスター) も教会出るやサングラス

(025) 蝉時雨浜に小舟を曳きし跡

(026) 図書館の椅子を独占避暑の人

(027) 梅雨空の無いのも寂し六月尽

(028) 万緑の野に繚乱の白き百合

(029) 青嵐部屋でプロレス母子家庭

(030) 一夏のハスに構えしサングラス

(031) ノースリーブ黒のブラ紐艶めかし

(032) うらやまし明日からどこかでサングラス

(033) 猛暑日の因果を問ふて立ちくらみ

(034) 我を立てず女もすなる日傘さし

   高くついたオマケ

(035) トランプで避暑地の風も関税に

   解散したOB会の最後の幹事で八丈島へ行って(3句) 

(036) 八丈や温泉めぐりで避暑気分

(037) 四葩咲く流人の島で慰労酒

(038) すわ空港へ高波欠航野分来る

(039) 裕次郎気取ってかけるサングラス

(040) 黒い雲ゲリラ豪雨の兆しかな

(041) 打ち水の流るる先に人の待ち

(042) 熱風に抱かれ届く宅急便

(043) 健さんの殺陣 (たて) を見終えてサングラス

(044) 青蜥蜴置き配荷物占拠せり

(045) 日焼け止めカラス天狗が自転車で

(046) 避暑にとて電車図書館老ひひとり

(047) ドラゴンの顔持つ蜥蜴舌を出し

(048) 都会より逃げて楽しき避暑の宿

(049) サングラス外す笑顔やあどけなき

(050) 上高地ホテルデッキの避暑遥か

   先日の駒東仲間の旅で泊まった、「ホテルニュー白亜紀」

  窓からの景色を詠みました。(3句) 

(051) 鹿島灘冲ゆく船は霧の中

(052) ぬくぬくと霧笛に咽ぶ露天風呂

(053) 粛々と松風さわぐ磯の社

(054) 巣の有りや烏の威嚇首竦 (すく) む

(055) 滝近し木洩れ日通し涼の風

(056) 炎天下影なき道を救急車

(057) 雨音に心静めて昼寝かな

(058) 暗いクラブハウスサングラスのまま

(059) 向日葵へ翼振り逝きし嗚呼知覧

(060) ふるさとや母の淹れたる新茶飲む

(061) 湯上がりに新涼の風吹き抜ける

(062) 朝採りの有機もろきゅう比類無し

(063) 特養の庭の紫陽花雨に咲き

(064) マッカーサーコーンパイプにサングラス

(065) 万緑を駆け抜く孫の玉の汗

(066) 盆踊り外国人も輪の中に

(067) 初蛍今年は見たり老いひとり

(068) 歯ブラシを一つ持つのは備えなり

(069) 選挙後の日本政界サングラス

(070) 宵宮に華やぐ人の藍浴衣

(071) 美人画は細めに団扇の浮世絵展

   八王子花火大会

(072) 老い二人ビルの隙間の花火かな

(073) 一人身に裏切りならぬ冷奴

   ヘミングウエーを偲ぶ

(074) 「午後の死」のロンダ人無し夏終わる

(075) 白き瀬を超えて深みに鮎光り

(076) 海の日の昼寝の時は極楽よ

(077) 日盛や赤信号はビルの陰

(078) 梁に居て寝つけぬ夜にヤモリ鳴く

(079) 日盛りの電線の影踏み続け

(080) 日本に避暑地残るや温暖化

(081) 白牡丹夜のとばりに沈みゆき

(082) 懐かしや新橋屋上ビヤガーデン

(083) 剪定しそよぐ葉涼し朝ご飯

(084) 終戦の翌朝祖母は合歓を植え

(085) グラサンと美女が二人でかっこつけ

(086) 流燈に消えゆく命流れゆき

(087) 日本酒の旨さひとのせ茄子焼いて

   蓼科にて

(088) 白樺の避暑地に眠る火焔土器

(089) いもり住むウッドデッキに慈雨来る

(090) 時の日に出船の汽笛響きけり

(091) 大花火海の夜空が七色に

(092) 浴衣着のすれちがふ様万華鏡

(093) 滝壺や竜宮城を垣間見る

(094) 釣竿の弓にしなりて鮎掛かる

(095) 木漏れ日の影を慕いてバスを待つ

(096) ひこばえも米にすんべえ米不足

(097) ウクライナ勝たせたかった安青錦

(098) 青嵐の明るく流る過疎の村

(099) 滝風や登山者押せる急登坂

(100) ホトトギス遠くに初鳴き明け易し

(101) 山滴るセザンヌと北斎の青

(102) 日盛りをかみそり研ぎの声ゆけり

(103) 傾城の佳人も愛でし紅牡丹

(104) 音のみの遠き隅田の川花火

(105) 避暑地にてめぐり逢い惜しみつつ帰路

(106) ふんわりとかば焼きのせる鰻飯

(107) 高揚を過ぎて優しき夏至の雨

(108) 驚きの選挙結果や土用波

   喜寿の夏  十五句

(109) やつとこさ一日終へる喜寿の夏

(110) 寝る前に明日の有無問ふ喜寿の夏

(111) 残り日をひとり指折る喜寿の夏

(112) 杖握りふらつき歩く喜寿の夏

(113) ビームとて頭で反射喜寿の夏

(114) 想ひ出す受験予備校喜寿の夏

(115) 声援もかすれ声なり喜寿の夏

(116) 亡き恩師夢で再会喜寿の夏

(117) よろめきつ投票にいく喜寿の夏

(118) 押し寄せる自分ファースト喜寿の夏

(119) 遥なり "明日があるさ" 喜寿の夏

(120) なに遺すこたへにもがく喜寿の夏

(121) すれ違ひ墓まで覚悟喜寿の夏

(122) 外からの旅行者溢る喜寿の夏

(123) いつなにがあるか分からぬ喜寿の夏

(124) 白金の並樹散歩に夏の月



 ---- 選句表作成者補注----


(007) 「パシスタ」は、サンバのパレードで踊る女性のソロダンサーを

指す言葉です。特に、リオのカーニバルなど、豪華な衣装と羽根を背負

って踊る姿が有名です。 


(009) 悪石島(あくせきじま)は、吐噶喇(トカラ)列島に浮かぶ島で

ある。今年7月3日午後4時13分ごろ、震度6 弱の揺れを観測した。


(037) 「四葩」は「よひら」と読み、アジサイの別名です。花びらが4 

枚あるように見えることから、この名前がつけられました。特に俳句で

よく使われます。 


(062) 「もろきゅう」とは、きゅうりに味噌をつけた料理、またはその

きゅうり自体を指す言葉です。特に、若くて小さめのきゅうりを指すこ

とが多いです。 


(074) 『午後の死(Death in the Afternoon)』は、アーネスト・ヘミ

ングウェイが1932年に発表したノンフィクション作品で、彼が深く愛し

たスペインの**闘牛(corrida de toros)**について情熱的かつ哲学的

に綴った書物です。この作品は単なる闘牛の解説書ではなく、死、勇気、

美、真実といったテーマを扱ったヘミングウェイらしい深みのある随筆

であり、彼の文学思想の中核にも触れることができます。

  ロンダ闘牛場

  ロンダで一番の観光スポットであるヌエボ橋から北へ200メートル

くらいのところにあります。闘牛場の直径は66メートルで規模が大きく、

観客席が2 階建てで、観客席数はかなり多いです。闘牛に関する資料館

や牛舎も見学できます。入場料7 ユーロ 1785年に作られたもっとも古

い闘牛場の一つとのことです。




2025年6月4日水曜日

七句会 第51回 句会 選句結果のご報告です。

  七句会のみなさま

 

 第五十一回目の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。

 今回の選句結果をご報告いたします。

 

4 点句

(016) 春の海ポンポン船や波のたり       深瀬

(030) 喜寿迎へやらされ感なき日々憩ふ     深瀬

(038) 山の端に沈む刹那の朱華(はねず)色   志方

(079) 春愁にまなざし優し阿修羅像       志方

(095) 新緑に余命意識す喜寿ひとり       深瀬

 

3 点句

(009) 逆光に輝きまして春の草         宮澤

(040) 新茶摘み山の鉄路の窓薫る        吉良

(046) あるじ亡き塀に盛れる夏蜜柑       吉良

(083) 夕闇に沈みゆくなり白牡丹        小野寺

(098) ふき味噌や残る苦みに口うれし      中津川

 

2 点句

(003) 遠き日や仙石原の水芭蕉         深瀬

(013) 山百合は真昼の風に語りかけ       小野寺

(021) 春の陽に吊り革揺れて駅近し       深瀬

(022) 木漏れ日の透き通りたる若葉かな     豊

(026) 淡雪に水音を聞く過疎の村        深瀬

(033) 春うれひ退会届け三つ書き        深瀬

(044) 浴衣着て気持ちときめく薄暑かな     小野寺

(047) 春深し瓦礫の街を鳥一羽         深瀬

(056) しょうぶ湯に浸かり懐かし幼き日     宮澤

(063) アルツとて饒舌の朋眼に若葉       小野寺

(064) 大森の縄文しのび潮干狩り        深瀬

(070) たけのこの皮むき香る山の土       宮澤

(074) さえずりの去りて大樹は眠りけり     小野寺

(082) 湯上りは珈琲牛乳風薫る         桑子

(101) 足軽しネモフィラの青夏近し         中津川

(105) 北斎の怒涛の青や夏の雲         小野寺

 

  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前

とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。

  次回については、今年7 月~ 8月ころにご連絡したいと思っていますので、

よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご

連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。

 

 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。

 

(1) 選句参加者

 今回の選句には、下記の14名が参加しました。

  桜子さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さん、

中津川さん、橋本さん、服部さん、平島さん、宮澤さん、柳町さん、豊さん、

深瀬。

 

(2) 今回の句会の結果を踏まえた感想、自句自解の募集について

  掲記について6 30日を期限として募ります。お寄せいただいた感想は、と

りまとめ次回の句会のキックオフメールに添付し配布します。

  句会としての作品集は作成 (当メールの後ろに添付) し、自句自解集は作成

しないことにしました。

 

  誤記、記入漏れなどありましたら、ご連絡ください。修正します。

 選句結果は、七句会の下記のweb に掲載します。よろしくお願いします。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/

 

  2025.06.03

 

      代表   橋口侯之介

      顧問  豊  宣光

      事務方 深瀬久敬

 

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(001) ナイスパー桜吹雪がお出迎え       桑子

      1 深瀬    ゴルフをたのしむ人にとっては最高の気分

          でしょう。

(002) 雨に濡れ葉のかさなりや若楓       小野寺

(003) 遠き日や仙石原の水芭蕉         深瀬

      1 中津川  箱根に湿生花園がありましたね。なぜか中

              学の時の仙石原の林間学校を思い出しました。

   2 桜子    なぜ遠き日なのか、ポーラ美術館をお尋ね

           になったのか。謎めいてもっと知りたくな

           る一句です。

(004) 輝ける水面は初夏の光かな        豊

(005) 三一一堤防高く春の波          中津川

   1 宮澤    2 度と津波被害を受けまいというリスク対

           策は、春の気配を知る感性を遠ざける代償を

           払って成り立つ切なさ感じます

(006) 球春だ選抜野球にMLG         服部

(007) 阿佐ヶ谷の古き町並みデジャヴュ感    深瀬

(008) 若楓萌ゆるみどりに影さして       小野寺

(009) 逆光に輝きまして春の草         宮澤

   1 吉良    逆光では草の緑が濃くなるのかと思いきや

           輝いて見えるとの発見が面白い。

   2 治部    見ている草の先に太陽。眩しさの中にキラ

       キラと草の揺れる春の光景が浮かび、選者も

       眩しくなりました。映像が素晴らしいです。

   3 桜子    新緑の美しさが輝くように伝わってきます。

(010) 大凧の願い乗せたり天空へ        桜子

   1 中津川  5月の浜松まつりの凧揚げでしょうか。

(011) 春憂や花粉と共にやって来る       橋本

   1 服部    春憂や花粉と共にやって来る

(012) 走線者米中はざま行き場なく       深瀬

(013) 山百合は真昼の風に語りかけ       小野寺

   1 吉良    百合と風との対話が新鮮に感じます。

   2 志方 

(014) 鯉のぼり風を吸い込み空泳ぐ       志方

(015) 睡蓮に揺れる木漏れ日もの想ひ      小野寺

(016) 春の海ポンポン船や波のたり       深瀬

   1 治部    ポンポン船とはレトロなものを引き出して

       きましたね。小船が凪いだ海に浮かぶ姿は春

       らしくていいですね。「のたり」がすべてを

       物語り何とも言えず穏やかでいい景色です。

       お見事です。

   2 服部    ポン船や波のたり

   3 平島    蕪村の句を思い出しながらポンポンという

       音が良いなあ!

   4 志方 

(017) 今年はまだか筍(たけ)を待つ日や炊飯器 中津川

(018) モナリザに魅入られてをりパリの初夏   小野寺

(019) 定食の百円上がるしぶしぶの       桜子

(020) 浅緑に染まる煙雨の修学院        志方

(021) 春の陽に吊り革揺れて駅近し       深瀬

   1 服部    春の陽に吊り革揺れて駅近し

   2 中津川 

(022) 木漏れ日の透き通りたる若葉かな     豊

   1 吉良    5 月のさわやかな日差しを感じます

   2 宮澤    限りなく透明に近い新緑のすがすがしさを

           感じます。

(023) 栗の香やいのちのかぎり匂ひけり     小野寺

(024) 新顔に春の番組NHK          服部

(025) 苺食む三角錐の星の音よ            吉良

(026) 淡雪に水音を聞く過疎の村        深瀬

   1 桑子    春が訪れたのどかな農村の光景が目に浮か

       びます。

   2 小野寺  雪解けの水音だけが過疎の村に響き春の訪

       れを感じます。

(027) 花見上げれば碧空にも雲の花       橋本

   1 桑子    写真の風景にピッタリの句です。

(028) 葉桜に川面変わらず流れゆく       宮澤

(029) 水打てば広重の空輝きて         小野寺

(030) 喜寿迎へやらされ感なき日々憩ふ     深瀬

   1 橋本    私も状況に応じて割り切れる様になりまし

       たが、日々憩う迄はなかなかです。

   2 柳町   

   3 桜子    悠々自適で素敵な日々を想像します。

   4 志方 

(031) 春キャベツ大巾値下げカツ特上      中津川

   1 橋本    米はどうなるか、取り敢えず安くなったキ

       ャベツたっぷりに特上カツで溜飲を下さげる。

(032) 夕間暮れ古刹の塔頭千年かな       志方

(033) 春うれひ退会届け三つ書き        深瀬

   1 治部    何の退会届なのでしょうか。三つもという

       事は、相当な覚悟なのですね。事を始めるの

       も春ですが、引退の決断も春なのですね。う

       れいが伝わります。

   2 服部    春うれひ退会届け三つ書き

(034) 鳥帰る鎮守の森を後にして        小野寺

   1 橋本    近くをねぐらにしていたのか、いつものコ

       ースの途中なのか鎮守の森が良いです。

(035) 良い本に巡り合えれば友となり      桜子

(036) 葉桜や栄華の夢はいまいずこ       豊

   1 柳町   

(037) 菖蒲湯の香の染みし髪かきあげて     小野寺

   1 宮澤    想像力が湧いてきます。何かいいですね。

(038) 山の端に沈む刹那の朱華(はねず)色   志方

   1 治部    山の向こうに沈む夕日なんでしょうが、「

       山の端、刹那、朱華」とくれば、何とも特別

       な、それは美しい夕景と変わります。感性の

       なんと素晴らしいことでしょう。参りました。

   2 柳町   

   3 平島    今にも消え行く一瞬の空の色をキャッチし

       て綺麗だなあ。

      4 小野寺  日没の瞬間に輝くはねず色の表現が素敵で

       す。

(039) しずかさや被災の海を東風ゆけり     深瀬

(040) 新茶摘み山の鉄路の窓薫る        吉良

   1 中津川 

   2 桜子    この季節の楽しみである新茶に目をつけら

           れたところにセンスを感じます。

      3 小野寺  山道を走る鉄道の窓に新茶摘みの香が流れ

       る。心地よさが伝わります。

(041) 年金支給日豪華に初鰹          豊

   1 服部    年金支給日豪華に初鰹

(042) 恍惚の友たずぬれば初夏の風       小野寺

   1 吉良    自分も認知症にいつなってもおかしくない

           年齢。初夏の風が慰めてくれるのでしょうか。

(043) 若楓光きらめき万華鏡          深瀬

(044) 浴衣着て気持ちときめく薄暑かな     小野寺

   1 橋本    好きな浴衣を着てお出かけですか、何か良

       い出会いがありそうな。

   2 中津川  だんだん夏が近づいて来ているのですね。

(045) 髪あげる遠目日傘に胸騒ぎ        宮澤

      1 小野寺  もう忘れていた甘く儚い漢の感覚持ち続け

       るのが良い事です。

(046) あるじ亡き塀に盛れる夏蜜柑       吉良

   1 治部    最近は空き家が増えています。理由は様々

       ですが、高齢、核家族化が後押ししているよ

       うです。荒れた庭に、何事もなきように毎年

       実をつける夏蜜柑の黄色は鮮やかなのに、「

       あるじ亡き」 は何とも寂しさを感じます。

   2       住人が亡くなった空き家の庭に夏蜜柑が実

           をつけている。一つの物語が見えてくる風景

           ですね。

   3 桑子    「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花・・・・」

       を思い出しました。

(047) 春深し瓦礫の街を鳥一羽         深瀬

   1       能登半島地震の被災地の映像でしょうか。

       瓦礫の残っている街にも季節がめぐって春が

       くるのです。

   2 平島    能登地震を思わせて人工物の儚さに大自然

       の営みそれもたった一羽の鳥を対比させた句

       作りに感心。

(048) 傾城の佳人愛でしか紅牡丹        小野寺

(049) 大和路を風切るツバメ甍越し       志方

      1 深瀬    古都の雰囲気がよく伝わってきます。

(050) 純情な娘のごとく白牡丹         豊

(051) 彼おもひ手にはさみもつ桜貝       深瀬

(052) 庭飾る鮮やか三色菫かな         橋本

(053) 女湯の女姦し髪洗う              桑子

(054) 夜勤明け朝風呂匂ふ菖蒲かな       小野寺

(055) 女子並ぶケーキ屋のまえ花水木      深瀬

   1 宮澤    列をなす、はやりのケーキ屋が近所にあり

           ます。生クリームに花水木は似合いそうです。

(056) しょうぶ湯に浸かり懐かし幼き日     宮澤

   1 服部    しょうぶ湯に浸かり懐かし幼き日 

   2 深瀬    この歳になるとやや抵抗感がありますが気

       持ちは分かります。

(057) ヘソ出しに負けるものかと玉の汗     桑子

   1 中津川 

(058) 新緑や森の匂ひの青く甘く        橋本

(059) 今何月つぶやき増える寒暖差       桜子

(060) 若楓ビルの谷間の森の精         吉良

(061) 若竹の伸びて希望のふくらみぬ      豊

   1 吉良    若竹のみずみずしい成長が老いた体に元気

           をくれます。

(062) スリッパの足跡のまま置かれおり     深瀬

(063) アルツとて饒舌の朋眼に若葉       小野寺

   1 橋本    久し振りにあった朋、症状は未だ軽く饒舌

       も目に映る若葉が少し悲しいか。

   2 柳町   

(064) 大森の縄文しのび潮干狩り        深瀬

   1 橋本    大森の海岸で潮干狩りが出来るのですね、

       遙か縄文の時代から繋がっているとは、、、。

   2 桜子    古代を思わせるロマンあふれる句です。

(065) 大谷がホームラン寝起きの新茶      中津川

   1       大リーグの中継は朝が早い。眠気が残って

       いる頭で見た大谷のホームランは新茶のよう

       なさわやかさな刺激がありました。

(066) 母の炊く筍飯の香ほりけり        小野寺

   1       旬の食材を使ったおいしい筍飯。それをお

       母さんが炊いてくれている。母親に対する愛

       情あふれる句です。

(067) 被災地に女神降り立つ愛子姫       桜子

   1 橋本    敬宮愛子内親王を次の天皇に推したい気持

       ちです。

(068) 新じゃがの指先包む芽の香り       桜子

(069) まだら雪峠に消えず水芭蕉        小野寺

(070) たけのこの皮むき香る山の土       宮澤

   1 志方 

      2 小野寺  筍掘りたての皮剥けば山の黒土が香る感覚

       が良いですね。

(071) 息切らし桜求めて山城に         服部

(072) 逃水に津波の記憶空よぎり        深瀬

(073) 花粉症楽しい時にも目に涙        中津川

   1 深瀬    ちぐはぐ感のギャップがおもしろいです。

(074) さえずりの去りて大樹は眠りけり     小野寺

   1       自分の体の枝にとまってさえずっていた小

       鳥の声を楽しんで聞いていた大樹。その小鳥

       が去ったのでゆっくり眠ることにしたのです。

       さえずりと大樹の組み合わせがみごとです。

   2 宮澤    木陰の中のうるさいくらいのさえずりが突

           然やむ夕暮れ。大樹さんが電灯を消しておや

           すみと言っているようです。

(075) 息を呑む舞ふ初黄蝶の鮮やかさ      橋本

(076) 夏近し弾む胸元お待ちどう        宮澤

   1 桜子    思わず笑ってしまうユニークな句です。

(077) 軒騒ぐ今年も会えし燕の子        吉良

(078) 五月雨を傘もささずに別れけり      小野寺

(079) 春愁にまなざし優し阿修羅像       志方

   1 深瀬    阿修羅象の面影が思い浮かびます。

   2       春愁をかかえたまま阿修羅像と向き合った

       作者。阿修羅像には怒りと微笑二つの顔があ

       りますが、やさしさの眼差しのほうにいやさ

       れたのでしょう。

   3 平島    名工の造った傑作は観る者に多彩な見方を

       させますが春愁の己にまなざしを「優し」と

       感じさせるほど素晴らしいのです。

      4 小野寺  あの阿修羅のまなざしに感じる春愁は自分

       のこころなのでしょうね。

(080) MAGAへの関税乱発春嵐        橋本

(081) 夏浅し仏間ただよふ鐘の音        深瀬

(082) 湯上りは珈琲牛乳風薫る         桑子

   1 治部    火照った体に冷たい珈琲牛乳うまいですよ

       ね~。風がす~っと通り抜ける、爽やかな句

       ですね。余談ですが、選者は「名糖の珈琲牛

       乳」が大好きでした。

   2 宮澤    銭湯の扇風機の前の竹製の椅子に座り飲む

           珈琲牛乳。冷蔵庫の横に吊るしてあった紙の

           蓋を開けるオープナーが思い出されます。

(083) 夕闇に沈みゆくなり白牡丹        小野寺

   1       うっすらと暗くなっていく夕闇の中に、白

       牡丹の白が浮き上がっています。「沈みゆく

       なり」という表現がいいですね。

   2 平島    暮れなずむ夕べに白色が闇に消えて行きそ

       うな瞬間を「沈みゆく」と表現されたのが上

       手いなあ。

   3 志方

(084) 亡き母をしのぶ童に春の月        深瀬

(085) 失恋す気分はずっと五月闇        豊

   1 深瀬    「五月闇」に切実感が伝わってきます。

   「かな」三句                     

(086) 何気なく見ている先に小蝿かな      治部

   1 桑子   

(087) プレイ中蕗見るほどの余裕かな      治部

(088) 米価とは無縁のごとき青田かな      治部

   1 中津川 

   そして番外                       

(089) かなかなかなとは蝉の声かな       治部

(090) 空青く芽吹く川辺の風清し        橋本

(091) 風揺らぎ小さきバラの花模様       宮澤

   1 吉良    大輪のバラではなく、小さいバラが集まっ

           て色のハーモニーを醸しだりている様子が美

           しい。

(092) 風そよぐポピー畑にホーホケキョ       桑子

   1 桜子    ホーホケキョ、が聞こえてきます。

(093) 雷と雨風襲うこいのぼり         桜子

(094) 望月の葉蔭に宿る薄暑かな        小野寺

(095) 新緑に余命意識す喜寿ひとり       深瀬

   1 服部    新緑に余命意識す喜寿ひとり

   2 宮澤    春の訪れを喜びつつ、この喜びをあと何回

           感じられるかと思ってしまいます。

   3 柳町   

   4 桑子    小生も平均寿命までは元気に生きたいと思

       う今日この頃です。

(096) 桜舞い地元アイドル舞い踊る       服部

(097) 薫風に緑彩る水面かな          志方

   1 治部    初夏の風に若葉の浅い緑が揺れる水面を彩

       っている光景。初夏の風景としてはあるある

       なのですが、目線が水面にあり、薫風が揺ら

       しているのがあえて緑の若葉ではなく水面だ

       と伝わり、何とも爽やかに感じました。

(098) ふき味噌や残る苦みに口うれし      中津川

   1 深瀬    食通の人のたのしみが漂ってきます。

   2 桑子    美味しさが伝わってきます。

   3 志方 

(099) 蕗の香や鍋に煌めくエメラルド      吉良

(100) 出棺を見送る空にひばり鳴く       深瀬

      1 小野寺  大切な人の野辺送り晴れた空で鳴くひばり

       は己れの涙の声でしょうか。

(101) 足軽しネモフィラの青夏近し         中津川

   1 柳町   

   2 桑子    絨毯のようなネモフィラ畑癒されます。

(102) 春暮るる出船の汽笛遠ざかり       小野寺

   1 志方 

(103) 読経の本堂流る薄暑かな         深瀬

   1 柳町   

(104) お日様もみゃくみゃく照らす歓喜の輪   桜子

(105) 北斎の怒涛の青や夏の雲         小野寺

   1 吉良    北斎の浮世絵が目の前に浮かびあがるよう

           に感じます。

   2 平島    あの有名な富士山を包み込む波を思わせて

       雄渾な大自然の情景です。

(106) 匂いたつ八重大藤に酔いしれて      服部

   1 平島    松江を旅しましたので八雲立つが思い浮か

       び、フジの花も沢山見まして、それこそ酔い

       しれて存分に楽しんで来ました。

(107) ぽい捨てを見ては一箱一万円       深瀬

 

 

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 ご参考 作品集

 

(01)  桜子さん

・新じゃがの指先包む芽の香り

・定食の百円上がるしぶしぶの

・お日様もみゃくみゃく照らす歓喜の輪

・今何月つぶやき増える寒暖差

・良い本に巡り合えれば友となり

・雷と雨風襲うこいのぼり

・被災地に女神降り立つ愛子姫

・大凧の願い乗せたり天空へ

 

(02)  小野寺さん

・春暮るる出船の汽笛遠ざかり

・さえずりの去りて大樹は眠りけり

・鳥帰る鎮守の森を後にして

・若楓萌ゆるみどりに影さして

・浴衣着て気持ちときめく薄暑かな

・雨に濡れ葉のかさなりや若楓

・まだら雪峠に消えず水芭蕉

・栗の香やいのちのかぎり匂ひけり

・母の炊く筍飯の香ほりけり

・望月の葉蔭に宿る薄暑かな

・睡蓮に揺れる木漏れ日もの想ひ

・恍惚の友たずぬれば初夏の風

・夕闇に沈みゆくなり白牡丹

・アルツとて饒舌の朋眼に若葉

・菖蒲湯の香の染みし髪かきあげて

・五月雨を傘もささずに別れけり

・モナリザに魅入られてをりパリの初夏

・夜勤明け朝風呂匂ふ菖蒲かな

・北斎の怒涛の青や夏の雲

・傾城の佳人愛でしか紅牡丹

・山百合は真昼の風に語りかけ

・水打てば広重の空輝きて

 

(03)  吉良さん

・新茶摘み山の鉄路の窓薫る

・軒騒ぐ今年も会えし燕の子

・苺食む三角錐の星の音よ

・あるじ亡き塀に盛れる夏蜜柑

・若楓ビルの谷間の森の精

・蕗の香や鍋に煌めくエメラルド

 

(04)  桑子さん

・ナイスパー桜吹雪がお出迎え

・女湯の女姦し髪洗う

・湯上りは珈琲牛乳風薫る

・ヘソ出しに負けるものかと玉の汗

・風そよぐポピー畑にホーホケキョ

 

(05)  志方さん

・山の端に沈む刹那の朱華(はねず)色

・浅緑に染まる煙雨の修学院

・大和路を風切るツバメ甍越し

・春愁にまなざし優し阿修羅像

・薫風に緑彩る水面かな

・鯉のぼり風を吸い込み空泳ぐ

・夕間暮れ古刹の塔頭千年かな

 

(06)  治部さん

  「かな」三句

・何気なく見ている先に小蝿かな

・プレイ中蕗見るほどの余裕かな

・米価とは無縁のごとき青田かな

  そして番外

・かなかなかなとは蝉の声かな

 

(07)  中津川さん

・三一一堤防高く春の波

・ふき味噌や残る苦みに口うれし

・花粉症楽しい時にも目に涙

・今年はまだか筍(たけ)を待つ日や炊飯器

・足軽しネモフィラの青夏近し

・大谷がホームラン寝起きの新茶

・春キャベツ大巾値下げカツ特上

 

(08)  橋本さん

・息を呑む舞ふ初黄蝶の鮮やかさ

・春憂や花粉と共にやって来る

・MAGAへの関税乱発春嵐

・庭飾る鮮やか三色菫かな

・花見上げれば碧空にも雲の花

・空青く芽吹く川辺の風清し

・新緑や森の匂ひの青く甘く

 

(09)  服部さん

・息切らし桜求めて山城に

・桜舞い地元アイドル舞い踊る

・球春だ選抜野球にMLG

・新顔に春の番組NHK

・匂いたつ八重大藤に酔いしれて

 

(10)  宮澤さん

・たけのこの皮むき香る山の土

・逆光に輝きまして春の草

・髪あげる遠目日傘に胸騒ぎ

・葉桜に川面変わらず流れゆく

・しょうぶ湯に浸かり懐かし幼き日

・夏近し弾む胸元お待ちどう

・風揺らぎ小さきバラの花模様

 

(11)  豊さん

・葉桜や栄華の夢はいまいずこ

・輝ける水面は初夏の光かな

・失恋す気分はずっと五月闇

・純情な娘のごとく白牡丹

・木漏れ日の透き通りたる若葉かな

・年金支給日豪華に初鰹

・若竹の伸びて希望のふくらみぬ

 

(12)  深瀬

・亡き母をしのぶ童に春の月

・彼おもひ手にはさみもつ桜貝

・春の海ポンポン船や波のたり

・しずかさや被災の海を東風ゆけり

・淡雪に水音を聞く過疎の村

・逃水に津波の記憶空よぎり

・春深し瓦礫の街を鳥一羽

・大森の縄文しのび潮干狩り

・春の陽に吊り革揺れて駅近し

・春うれひ退会届け三つ書き

・読経の本堂流る薄暑かな

・若楓光きらめき万華鏡

・女子並ぶケーキ屋のまえ花水木

・出棺を見送る空にひばり鳴く

・遠き日や仙石原の水芭蕉

・夏浅し仏間ただよふ鐘の音

・阿佐ヶ谷の古き町並みデジャヴュ感

・喜寿迎へやらされ感なき日々憩ふ

・新緑に余命意識す喜寿ひとり

・スリッパの足跡のまま置かれおり

・走線者米中はざま行き場なく

・ぽい捨てを見ては一箱一万円

 

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2025年3月10日月曜日

七句会 第50回 選句結果です。

 

 七句会のみなさま

 

 第五十回目の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。

 今回の選句結果をご報告いたします。

 

4 点句

(005) 朝陽受け透ける紅葉の朱さかな        橋本  04

(056) 老いてなおうらやむ気持ち猫の恋       深瀬  05

 

3 点句

(004) 今一度老いの挑みに春一番          治部  02

(007) シベリアの鉄路遥かに冬銀河         小野寺14

(018) 物足りぬ賀状仕舞のポスト開け        中津川04

(020) 吉凶に悲喜こもごもや初みくじ        豊    02

(025) 蠟梅や二人で歩く理由となり         治部  05

(030) 一人夜は湯気ほのぼのとおでん鍋       吉良  03

(038) 落日や木の葉の落ちる音を聴き        小野寺13

(050) 夜廻りの拍子木の音雪が呑み         小野寺09

(091) 鯛焼きの五臓はじけて熱る餡         吉良  04

(096) ボケの花二羽のメジロの鬼ごっこ       桜子  01

(102) できたよと孫の蹴上がり冬の影        小野寺18

 

2 点句

(027) 冬薔薇 (ふゆそうび) 夜明けに目覚め風を聴く 小野寺17

(039) 豆まきや子の声響く今日の寺         中津川05

(046) 喜寿を過ぎ旧き仲間とまた一杯        志方  03

(051) 空に雲いく億年の地球かな          深瀬  22

(053) 門松や外した後の捨てどころ         中津川03

(074) ワンルーム大寒の夜の孤独かな        豊    03

(092) 人垣の後ろの闇やどんと焼き         小野寺01

(108) あといくつ寝ると正月?いやあの世      深瀬  06

(109) 着膨れてナニを出すのも一苦労        桑子  05

 

 

  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前

とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。

  次回については、今年4 月~ 5月ころにご連絡したいと思っていますので、

よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご

連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。

 

 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。

 

(1) 選句参加者

 今回の選句には、下記の14名が参加しました。

  桜子さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さん、

中津川さん、橋本さん、服部さん、平島さん、宮澤さん、柳町さん、豊さん、

深瀬。

 

(2) 今回の句会の結果を踏まえた感想の募集について

  掲記について3 20日を期限として募ります。お寄せいただいた感想は、と

りまとめ次回の句会のキックオフメールに添付し配布します。

  作品集と自句自解は現状を鑑み、今回から作成しないものとします。

  選句結果は、七句会の下記のweb に掲載します。よろしくお願いします。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/

 

  2025.03.06

 

      代表   橋口侯之介

      顧問  豊  宣光

      事務方 深瀬久敬

 

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(001) 木枯らしに死は翼上げ野辺を駆け       小野寺02

(002) 枯れ葉千千木枯らし流れ街の谷        宮澤  08

      1 志方    街の谷という表現が枯葉の終着駅かな。

(003) 昼酒をこんな小春日に友人と         服部  02

(004) 今一度老いの挑みに春一番          治部  02

      1 橋本    春一番が追い風になってくれると信じて。

      2       「老いの挑み」の意味がよくわかりませんが、

          なんとなくニュアンスは伝わります。

      3 中津川

(005) 朝陽受け透ける紅葉の朱さかな        橋本  04

      1 平島    アカイロに朱の字を充てられたのが鮮やかさを

          際立たせました。

      2 柳町

      3 志方    すっきりした朝がうまく表現されています。

      4 深瀬    朝陽に透ける紅葉という観察眼に圧倒されます。

(006) くさめ止まず皆顔そむけ模擬試験       中津川06

(007) シベリアの鉄路遥かに冬銀河         小野寺14

      1 治部    乗った事は無いですが、シベリア鉄道と聞いた

              だけで遥か遠いイメージです。冬銀河との取り合

              わせが良く、999 も彷彿させ、寒さも増して旅の

              長さを感じます。人生もかなぁ。

      2 桜子    冬の美しさが全体に感じられる素敵な句です

      3       シベリアの大地と冬銀河の雄大さ。以前にも似

          たような句があったと思いますが、気のせいでし

          ょうか。

(008) 鏡餅食す喜寿には命がけ           桑子  03

      1 桜子    ユニークで微笑ましい句です

(009) 湯豆腐の熱き想いか喉を過ぎ         宮澤  06

      1 服部

(010) 夕映えの天地境は朱華かな          志方  02

(011) 春浅しカバンに詰め込むカーディガン     桜子  03

(012) 天狼 (シリウス) の光は蒼く雪に落ち     小野寺22

(013) 見上げれば山茶花の赤空に冴え        宮澤  02

(013) 1 深瀬    山茶花の赤い花が空に冴えるという視点がいい

          です。

(014) 争いも少しはなごむ二月の陽         深瀬  08

      1 桜子    2 月になるとほっとするような日差しが感じら

          れます。わかる気がします。

(015) 雁啼くやいつも心に祖父は居て        小野寺12

(015) 1 柳町

(016) 早めにと準備していざあれはどこ       深瀬  14

(017) 胸の奥早春の風吹き抜ける          豊    05

(018) 物足りぬ賀状仕舞のポスト開け        中津川04

      1 桜子    全く共感です。お正月は、ポストを開けるとた

          くさんの年賀状が届いてこそ「新年」の喜びが感

          じられました。

      2 宮澤    きっぱりと賀状仕舞をしたつもりだけど、ポス

          トに送付されてきた分だけは、返信するかと、後

          ろ髪ひかれる思いですか。

      3 小野寺  これは理解と同情します。年賀状はこれが最後

          です。としたもののふとポストを開けてみる。気

          持ち分かります。

(019) 音楽を探しわくわく二月かな         深瀬  09

(020) 吉凶に悲喜こもごもや初みくじ        豊    02

      1 吉良    迷信とは知りながら、ハラハラしてお御籤を開

          いた昔が懐かしく思い出されます。

      2 平島    家族でお詣りをして籤引きに。ジジババや孫達

          が喜んだり悲しんだり平和な新年です。

      3 橋本    繰り返される日本の年初の光景ですね。

(021) トランプの手品の様に行くだろか       橋本  06

(022) 慟哭の一夜明ければ冬の薔薇         小野寺08

      1 柳町

(023) 雄雉子の走る師走のゴルフかな        橋本  03

(024) 猫の恋テレビ局にも伝播かな         深瀬  04

(025) 蠟梅や二人で歩く理由となり         治部  05

      1 吉良    年を取るとつい家に引きこもってしまう自分と

          重なりあいます。

      2 桑子    相手は奥様?照れくさいのでしょうか、優しさ

          が伝わります。

      3 中津川

(026) ボソボソと締めは闇夜へ「鬼は外」      桑子  04

(027) 冬薔薇 (ふゆそうび) 夜明けに目覚め風を聴く 小野寺17

      1 桜子    ロマンティックで魅かれます。

      2 桑子

(028) 風吹けば二月の散歩身縮む          深瀬  10

(029) 建国の祭りに舞い込むシジュウカラ      桜子  06

(030) 一人夜は湯気ほのぼのとおでん鍋       吉良  03

      1 桜子    ほのぼのとした温かさが感じられます。

      2 志方    老妻が出かけた晩、一人宴会のワクワク感が寂

          しさを吹き飛ばしている。

      3 深瀬    一人でもおでん鍋というのは便利で暖まりそう

          です。

(031) 冬木立木洩れ日揺らす影法師         志方  04

(032) AIも進化し今はエイジェント        深瀬  18

(033) 寒き朝木漏れ日優し窓の外          宮澤  05

      1 小野寺  寒い朝ふと窓の外の木漏れ日が優しく感じられ

          たのですね。

      新聞で「ひめはじめ」の句をみて

(034) 姫初め遠い昔の事となり           服部  04

      1 桑子    同感です。

(035) 尾根伝い落ちゆく夕陽冬紅葉         小野寺20

      1       冬紅葉の哀れさと夕陽の対比がうまく繋がって

          います。

(036) 春句会飽きず投句も駄句は駄句        治部  01

(037) 入試後の大学図書館閑散と          深瀬  13

(038) 落日や木の葉の落ちる音を聴き        小野寺13

      1 治部    「木の葉の落ちる音を聴いている間に沈んでし

              まう 冬の落日のなんと早いことよ」ですかね。

              「音を聴き」がサラサラと思わず目を瞑るような

              美しさと、儚さを感じますね。流石です。

      2 平島    真っ赤に空を染め上げて音も無く落ちる夕日を

          眺めているとどこからともなく聞こえて来た落ち

          葉の音。ラクとオチる漢字の使い方が絶妙。

      3 宮澤    視覚が聴覚と転ずる幻覚の妙を感じます。

(039) 豆まきや子の声響く今日の寺         中津川05

      1 吉良    普段は静かなお寺の境内が、節分の日ばかりは

          賑わっている様が実感できます。

      2 平島    昨今戸外で遊ぶ子供が少なくなってしまったが

          節分に元気に寺の境内を駆け回る子供達の声を聞

          くと元気がもらえるよ。

(040) 猫の恋ピラミッドの下花開く         桜子  04

(041) 浅き春次はあるかと杖をつき         深瀬  02

(042) 遠霞富士も恥じらう峠道           治部  06

(043) 春立つ日青年希望新たにす          豊    06

      1 吉良    希望があふれる句です。

(044) 窓の外蕾けなげに春を待つ          宮澤  07

(045) あの世へと旅立つ意味を問う二月       深瀬  12

(046) 喜寿を過ぎ旧き仲間とまた一杯        志方  03

      1 治部    多分、いつもやってますよね。でも、喜寿を過

          ぎお互いの健康を確認しながら祝杯ですかね。何

          だか年寄りが集まってほのぼのとした光景が見え

          ます。

      2 深瀬    学生時代の友との一杯は本当に心がなごみます。

(047) 三十年復興見守る六甲山           桜子  07

(048) はなみずき枝を揺すりて落ち葉掃く      橋本  01

      1 小野寺  はなみずきの枯葉を枝ゆすってでも綺麗に掃き

          清めたかったのですね。

(049) 囲碁打てば身の程をしる二月かな       深瀬  07

      1 中津川

(050) 夜廻りの拍子木の音雪が呑み         小野寺09

      1 吉良    昔懐かしい夜回り。子供のころを思い出します。

      2 服部    雪積もる静かな夜の情景が浮かびます。

      3 中津川 夜中の夜廻り、寒さが伝わって来ますね。

(051) 空に雲いく億年の地球かな          深瀬  22

      1       悠久の宇宙の歴史を感じさせる壮大な句です。

      2 志方    雲の流れる変化と悠久の地球の変わりゆく様の

          堆肥が見事ですね。

(052) 韓流に嵌る女房の顔に春           治部  04

(053) 門松や外した後の捨てどころ         中津川03

      1 服部

      2 宮澤    クリスマスツリーはプラスチック製で来年も再

          使用可能だが、生身の門松は、さて、燃えるゴミ

          では切ないなという思いを感じます。

(054) 透き通る大根炊きし母の指          吉良  02

      1 小野寺  大根を炊いてくれた優しい母への愛惜なのです

          ね。

(055) 冬三日月我が魂は吸われけり         小野寺03

      1       冬の三日月に魂が吸われる。作者の精神のきび

          しさが伝わってきます。

(056) 老いてなおうらやむ気持ち猫の恋       深瀬  05

      1 吉良    恋心をいつの年齢になっても忘れたくないです

          ね。

      2 服部

      3 柳町

      4 桑子    まだまだお若いですね、羨ましい。小生はただ

          うるさいだけです。

(057) 大寒やトランプ大統領返り咲き        橋本  07

(058) 喜寿を越えトラトラトラと今年また      志方  05

(059) 筆置けば霙 (みぞれ) 降りしき鐘の音     小野寺05

      1 治部    絵筆か文字筆か、何れにせよやり終えた感が伝

          わります。鐘の音がいいですね。

(060) 着ぶくれて猫背となりて読書かな       吉良  05

      1 平島    例年に無く寒い冬で重ね着をせざる得ずどうし

          ても猫背となって仕舞うがまあ好きな読書が出来

          てこれもまた楽しいなあ。

(061) かわいいな言葉一つの小梅なり        桜子  08

      1 橋本    小梅を見てかわいいと言葉一つが浮んだ素直な

              気持ちが伝わります。

(062) 昭和歌謡いつまで続くリバイバル       深瀬  16

      1 志方    テレビの旧いコンテンツが生き生きしてますね。

(063) 百舌鳥の声枝移り来て椿落つ         小野寺07

      1 柳町

(064) 語り合う友と熱燗時忘れ           中津川01

      1 深瀬    熱燗には心を沸き立たせるなにかがありそうで

          す。

(065) 冬の朝猫膝に置き暖を取る          宮澤  01

      1 小野寺  冬の寒い日の朝大好きな猫は膝に寝て心まで暖

          かくしてくれるのですね。

(066) 浅き春ティーンネイジを想ういま       深瀬  01

(067) 青鷺の狩りはただただ待つばかり       橋本  02

(068) 木の葉散る我が生涯に悔いなきや       小野寺19

(069) 人凌駕AI学習仰ぎ見る           深瀬  20

      1 橋本    元々のデータは人間が積み上げてきたものです

              が、、、それを利用してAIが凌駕してしまうの

              か。

(070) 春浅し恵みの時へ千枚田           桜子  02

      1 中津川 秋の収穫への祈り、きっと豊作でしょう。

(071) 初富士の清き姿や山中湖           豊    01

      1 平島    秀麗な冠雪の富士の姿を鏡の様な湖面に映す静

          寂さ。ありふれた中に日本人の郷愁が滲み出てい

          ます。

(072) 音もなく輝く翼空寒し            宮澤  04

(073) 道祖神日脚伸び来る那須の山         中津川07

      1 柳町

(074) ワンルーム大寒の夜の孤独かな        豊    03

      1 吉良    今の若者は孤独をSNS で紛らわしているのでし

          ょうか。

      2 深瀬    少し単身赴任をしましたが、合理的すぎるのも

          問題です。

(075) 霧流れ早池峰越しに霞む海          志方  01

      1 小野寺  流れる雲早池峰越しに霞む海は一幅の絵巻きで

          すね。

(076) 熊穴に入る(いる)も忘れる温暖化      桑子  01

(077) 凍鶴はシベリアの空夢を馳せ         小野寺21

(078) 民主主義小突かれまくる今世界        深瀬  15

(079) ひかり立つ菜の花群舞蒼い空         志方  06

(080) 青い空日差しの差し込む啓示なり       桜子  05

(081) 都会猫恋も静かにならされて         深瀬  03

(082) 停車場で手を振る祖父に寒椿         小野寺10

      1 治部    親に連れられての帰省帰りの記憶なのでしょう

          か。何だかしんみりです。手を振るのが祖母では

          なく祖父であるところに寂しさを感じます。寒椿

          との取り合わせが見事です。

(083) すき焼きや慣れぬ手つきで友迎え       吉良  01

      1 桜子    お友達を思って手作りをされて待っていた温か

          さが感じられました。

(084) 陥没の道路の穴の風寒し           服部  03

      1 桑子    運転手さん早く見つかってほしいです。

(085) 冬銀河祖父の気魄を恃みとす         小野寺04

(086) 復興はまだまだ遠し能登の雪         豊    07

(087) 晦日そば紅白よりは裏番で          中津川02

(088) 書に疲れ雨雪の音聴きに行く         小野寺16

(089) 生きるとは苦しき春のいく度か        治部  03

      1 深瀬    年度末の人事異動とかノルマの追い込みとかで

          しょうか。

(090) 二月には世の中閑散老い出番         深瀬  11

(091) 鯛焼きの五臓はじけて熱る餡         吉良  04

      1 服部

      2 桑子    ほくほくのおいしい鯛焼きが目に浮かびます。

          食べたくなります。

      3 中津川 アツアツの鯛焼き、焼きたて感いっぱいです。

(092) 人垣の後ろの闇やどんと焼き         小野寺01

      1       大勢の人が集まっているどんど焼きの風景をう

          まく切り取っています。

      2 中津川 子供の頃に見たどんと焼きはこんな感じでした。

(093) AIに乗っ取られるか独裁者         深瀬  17

(094) 縁側の陽だまり猫も居場所無く        志方  07

(095) 朋訪ふや柚子の香りの懐かしき        小野寺06

      1 平島    忙しない都会の喧騒に慣れてしまった昨今だが

          昔馴染みのポン友に会いに行ったら懐かしい柚子

          の香に出会い、来て良かった。

(096) ボケの花二羽のメジロの鬼ごっこ       桜子  01

      1 宮澤    花の風情などに忖度なく、せわしなく飛び回る

          メジロを可愛く、うらやましく思います。

      2 志方    何となくボケと鬼ごっこ組み合わせがストーン

          と取り込めますね

      3 小野寺  ポケの花のそばで、メジロのつがいが鬼ごっこ。

          寒いけど春ですね。

(097) 関税で脅しかけるのいかんぜよ        服部  05

(098) 大いばりフィクション跋扈情報化       深瀬  21

(099) 球は行方不明枯芝のショット         桑子  02

(100) 月光を浴びて鋭く冬木立           小野寺11

      1 志方    凛とした冬木立の立ち居を月光が照らしている

          様、一幅の墨絵です。                   

(101) 年毎に年末大掃除の手抜き          服部  01

      1 橋本    毎年、体力、気力も衰えてきて同感です。

(102) できたよと孫の蹴上がり冬の影        小野寺18

      1 吉良    子供の成長を見るのはいつの時代も楽しいです

          ね。

      2 宮澤    伸び盛りの孫の達成感と、それを見つめる老い

          ゆく自分の寂寥感を感じます。

      3 橋本    やっと出来た蹴上り、影が伸びる頃まで見守っ

              てあげたのですね。

(103) 節分や追われし鬼の行く先は         豊    04

(104) AIに巨額投資後大津波           深瀬  19

(105) 寒き朝垣根の奥で鳥睦み           宮澤  03

(106) 父祖の地に鐘の音響き星冴ゆる        小野寺15

(107) 力なきバッタが一匹日向ぼこ         橋本  05

(108) あといくつ寝ると正月?いやあの世      深瀬  06

      1 柳町

      2 桑子

(109) 着膨れてナニを出すのも一苦労        桑子  05

      1 服部    「着膨れてかき分けかき分けせにゃならぬ」の

          自句を思い出しました。

      2 橋本    最後にこの句、まさか、、、笑ってしまいまし

              た。

 

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 ご参考 選句にあたってお寄せいただいたコメントを僣越てすが、ご参考ま

でに添付しておきます。

 

・志方さん

 今回は秀作が多く、選句を絞るのに大変でした。20句位選びかったですね。

 

・平島さん

 どうしても正統な句の姿を好むので単調といえば単調です。

 今年はポルトガルはどちらかと言えば暖冬です。日本は所によっては本当に

大寒波に見舞われいるみたいでくれぐれも御自愛下さい。

 

・桜子さん

 今回は、日常の何気ない一コマを詠んでおられる句が多かったようで、自分

が気になっていることを代弁してくれているような気になりました。