七句会のみなさま
第五十三回目の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございます。
今回の選句結果をご報告いたします。
・5 点句
(076) 手踊りの乙女きりりと秋祭 桑子
・3 点句
(003) 盆栽の景色に小さき秋の見え 治部
(022) 振り返る道の長さや曼殊沙華 治部
(025) 山車ひく子少子化の波しみじみと 深瀬
(026) 米櫃を満たせぬ世相秋寒し 秋元
(033) Ennui(気怠さ)
を纏いセーヌは秋暮色 河村
(085) 喜寿二人昼飲み終えて鰯雲 中津川
(091) 旅先の無人駅舎に虫の声 深瀬
(098) 車窓ごし追いかけて来る能登の月 河村
(109) 母と子の秋刀魚ほおばるほお丸く 桜子
・2 点句
(007) 天網を超えて遥かに流れ星 小野寺
(011) 水澄むもわが身に沈む重き澱 深瀬
(016) 柚匂ふ母の描きし黄金色 小野寺
(021) 彼岸花朱華の空と競い合い 志方
(031) 月揺れて露天に浸かる独り旅 小野寺
(037) 七輪で秋刀魚焼きたし空焦がし 服部
(046) 紅葉酔う永観堂の逢瀬かな 小野寺
(047) 寒椿枯野の裾に色を添え 秋元
(062) 夕紅葉鞍馬の山に鬼となり 小野寺
(079) 喜寿すぎて何故か目につく彼岸花 志方
(084) 濡れ芝に光の宝石朝の庭 橋本
(101) 澄む水に心の澱 (おり) を見透かされ 小野寺
(105) 青空や透き通る秋野に山に 豊
下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
今回の選句には、下記の14名が参加しました。
秋元さん、桜子さん、小野寺さん、吉良さん、河村さん、桑子さん、
治部さん、中津川さん、橋本さん、服部さん、平島さん、宮澤さん、豊さん、
深瀬。
(2) 次回について
これまで3 カ月毎に開催してきましたが、隔月開催にしてはどうかという意
見があります。年齢のせいかやや間延び感もあるように思います。そのため次
回は試行として12月14日に投句依頼をしたいと思います。きびしいといったご
意見があれば元にもどしたいと思います。よろしくお願いします。
(3) 懇親会の開催について
対面したことのないメンバーもおられますので、来月前半くらいに懇親会を
行うことを検討しています。今現在の案としては、12月5 日 (金) 午後2 時か
約2 時間。場所は恵比寿駅のアトレ恵比寿6Fの銀座ライオンを検討しています。
はっきりしましたら、別途、ご連絡いたしますので、よろしくお願いします。
(4) 自句自解について
今後は、選句と一緒に自身の句の自句自解をお送りしていただければ、作品
集に掲載します。選句結果等を踏まえた感想は適宜、ご報告するようにします。
誤記、記入漏れなどありましたら、ご連絡ください。修正します。
選句結果は、七句会の下記のweb に掲載します。よろしくお願いします。
http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
2025.11.15
代表 橋口侯之介
顧問 豊 宣光
事務方 深瀬久敬
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1.選句結果
(001) 初時雨牡丹は紅く花芽吹き 小野寺
(002) 雲の峰見る間に崩れ空は凪 橋本
(003) 盆栽の景色に小さき秋の見え 治部
1 秋元
2 中津川
3 豊 俳句らしくよくまとまっています。
(004) 時ながれ老ひの背中に秋の風 深瀬
1 宮澤 これまで背負っていた荷は下したが、今は、老いた
自分を背負っているという感じがします。
(005) 秋祭りビルを呑み込む囃子声 吉良
1 服部
(006) 墓参り今年も咲いた彼岸花 志方
(007) 天網を超えて遥かに流れ星 小野寺
1 桜子 美しくロマンティックな光景が目に浮かびます。気
持ちが洗われるようです。
2 豊 スケールの大きな句ですね。
(008) 流れ星光飲み込む都市の渦 吉良
(009) 新米や高値続いてパスタ買い 中津川
1 桑子 本当に、麺類の頻度が多くなりました。
(010) ご褒美はお頭付きのさんまかな 桜子
(011) 水澄むもわが身に沈む重き澱 深瀬
1 桑子 何が?気になります。
2 宮澤 年老いて、今までのしがらみは消えすっきりしてい
るようだ。くれぐれも沈んだ過去の澱はかき混ぜない
こと。
(012) ママ残業カレー煮て待つお月さま 河村
1 深瀬 メルヘンの高い薫りが伝わってきます。
(013) スポーツの秋に野球はオフとなり 治部
(014) 投げ売りの育ち過ぎたる梨甘し 中津川
(015) 秋の夜やしみじみと聴くノクターン 豊
(016) 柚匂ふ母の描きし黄金色 小野寺
1 治部 お母様が柚子の絵を描かれたのですかね。色遣いが
素晴らしかったのでしょう、句から柚子のいい香りが
漂うようです。
2 中津川
(017) 漂泊の宿の出迎へ鳳仙花 深瀬
1 河村 日陰に咲くこの花が似合う。
(018) 喜多方で至福のラーメン煮干だし 橋本
(019) 秋雨に足取り重く4
(フォー) パット 桑子
(020) 燈二つ切れし日友の急逝す 橋本
(021) 彼岸花朱華の空と競い合い 志方
1 中津川
2 深瀬 スケールの大きさと色彩感覚が印象的です。
(022) 振り返る道の長さや曼殊沙華 治部
1 河村 過ぎし道に咲いた赤き花は誰ぞ?
2 吉良 長い人生の苦労の中に、美しい思い出の詠嘆を感じ
ます。
3 平島 もうこんな年になってしまった。色んなことがあっ
たなあ!毒もある。別名彼岸花、死人花。綺麗だけど
なあ!
(023) まだかまだ擂り棒せかすとろろ汁 吉良
1 治部 擂粉木と言わずにすり棒としたのは、目線が汁から
擂粉木に重く、とろろ汁を待っている感が強く感じら
れます。流石です。
(024) 昏ながら山裾照らす夕紅葉 小野寺
1 秋元
(025) 山車ひく子少子化の波しみじみと 深瀬
1 桑子 小生の町会も役員・保護者が多く、子供はちらほら
です。
2 治部 秋祭りは子供のころから楽しみでした。最近、子供
神輿を見なくなったような気がします。山車を引く子
供の数も年々少なく、国が危ないと実感しますよね。
3 橋本 以前と較べて山車を引く子の少なさが気になる、少
子化、寂しい。
(026) 米櫃を満たせぬ世相秋寒し 秋元
1 中津川
2 橋本 米農政の貧弱さの末路でしょうか、米櫃がなんか良
いです。
3 豊 時事的な話題をうまく切り取りました。
(027) デッサンの筆圧強し秋灯下 小野寺
1 吉良 好きなデッサンにのめり込んだ様子が{筆圧強し」
に感じられます。
(028) 三日月にお供えかなと彼岸花 志方
(029) 煙り立つ七輪瞼に秋刀魚買う 吉良
1 服部
(030) ガザの民悲しみ深き夜寒かな 豊
(031) 月揺れて露天に浸かる独り旅 小野寺
1 秋元
2 橋本 湯面に映り、揺れる月をお供に露天風呂に独りゆっ
たりと、、、熊は心配ない?
(大陸四景)
(032) 枯葉舞うハーレムノクタン二番街 河村
1 桜子 クラシックの名曲のようですね。ブラームスの作曲
に出てきそうです。
(033) Ennui(気怠さ)
を纏いセーヌは秋暮色 河村
1 桑子
2 宮澤 パリの秋は暗く、フランス語のけだるい響きがよく
似合います。
3 豊 大陸四景の中ではこれがよかったです。
(034) 秋夕陽トブカブ宮を赤黒に 河村
(035) 紅楊 (タマリスク) の影延びて敦煌は秋 河村
(036) 澄む水はゆるやかに消ゆ大都会 吉良
(037) 七輪で秋刀魚焼きたし空焦がし 服部
1 小野寺 秋刀魚は庶民の食卓。空焦がすほどの景色が良いで
すね。
2 河村 あの匂い、サンマは戸外、七輪だよな!
(038) 廃屋の庭の鶏頭賑わしく 深瀬
(039) 金色に染まる畑の稲穂波 豊
(040) 女蟷螂雄組み敷きて生命 (いのち) 継ぐ 小野寺
1 深瀬 この年齢になるとそんなものだろうと感じます。
(041) 連立や定数削減うそ寒し 中津川
(042) 足早に紅黄駆け降る甲斐信濃 治部
(043) 秋祭り都会の隅にほそぼそと 深瀬
1 桜子 大都会では見逃しがちな風景ですが、切り取って読
んでおられるところに優しさが感じられます。
(044) 期待して寿司ネタ見るも秋刀魚なく 橋本
(045) 信濃路の祭り囃子や秋の声 河村
(046) 紅葉酔う永観堂の逢瀬かな 小野寺
1 中津川
2 豊 永観堂は紅葉の名所ですね。
(047) 寒椿枯野の裾に色を添え 秋元
1 治部 選者は、実はこの景色を見たことがありません。椿
は大概人家の庭か生垣で見たものです。で、想像です
が、枯野の椿はほんとに赤が目立つのでしょうね。是
非見たいと思いました。
2 平島 もの寂れ茶色に枯れた野に色鮮やかな椿が目に映え
ます。
(048) 故郷や秋刀魚煙れる路地の裏 吉良
1 服部
(049) 病室の窓に久しき鰯雲 深瀬
(050) 生きてれば父百歳の墓参り 服部
1 桜子 お父様を思うお心の愛情の深さが感じられます。
(051) 畑中の風に抱かれる彼岸花 志方
(052) 羽音たて澄む川翔ぶや鬼ヤンマ 小野寺
(053) 風そよぎじゃれ親しみぬ鶏頭花 吉良
(054) 秋暑し孫に叱られ親子酒 桑子
1 治部 いい景色ですね。帰省又は大家族での事ですかね。
真顔で�る孫に、何とも叱られた感のない父と子。「
そのうち分かる」と言っているようです。お見事。
(055) ロンドンは満員御礼のSUMO 橋本
(056) 群がりて空中遊泳赤とんぼ 豊
(057) 釣り人の背中照らして水澄めり 吉良
(058) 落ち鮎を父と喰らひし簗の暮れ 小野寺
(059) 飛鳥路をたどれば愛し彼岸花 志方
1 橋本 飛鳥路には、やはり紅いあの彼岸花が似合うのでし
ょう。
(060) 秋刀魚焼く少しを猫におすそ分け 豊
1 橋本 愛猫には少しでもやらない分けにはいきませんが、
どの部位をあげたのか。
(061) 草の花わが身省み応援歌 深瀬
(062) 夕紅葉鞍馬の山に鬼となり 小野寺
1 吉良 「鬼となり」の表現が面白く感じました。
2 深瀬 「夕紅葉」と「鬼となり」が効果的です。
(063) 待ちわびし甘き香寄せる稲の波 吉良
(064) 面接でさんまが好きとさすが兄 深瀬
(065) 秋刀魚焼く一人一匹皿の上 桑子
(066) 無月なり弱法師 (よろぼし) のごと立ち竦む 河村
(067) 木犀の香り残して別れけり 小野寺
(068) 焼きさんま骨だけ残しこども卒 深瀬
(069) 夕餉何秋刀魚ですよと妻答う 服部
(070) 重陽の節句と陽気は離れおり 治部
(071) 秋日入る教会めぐる癒し旅 吉良
(072) 祇王寺に亡き人偲ぶ曼珠沙華 小野寺
(073) 懐かしや夕食に並ぶああ秋刀魚 秋元
1 治部 選者は数年の間秋刀魚を食べられませんでした。今
年は豊漁で価格も下がり、型もよく旨い。しかし、何
だか束の間だったような気もします。「懐かしや」「
ああ秋刀魚」がいいですね。共感を呼びます。
(074) 月光に浸たりて過去を流しけり 小野寺
(075) 阿波踊りパリに沸き立つジャポニズム 深瀬
1 小野寺 阿波踊りがパリジャンの前で踊る時代になったんで
すね。相撲もイギリスで大盛況でした。
(076) 手踊りの乙女きりりと秋祭 桑子
1 秋元
2 中津川
3 服部
4 平島 句がきりりと締まっています。いなせな江戸っ子の
カッコいい姿。
5 深瀬 「手踊り」と「きりり」で引き締まっています。
(077) 稲光り家揺れるごとゲリラ雨 中津川
(078) やっとこさ秋の気配だ待ってたよ 服部
1 桜子 嬉しさの余韻が残ります。全く共感です。
(079) 喜寿すぎて何故か目につく彼岸花 志方
1 服部
2 宮澤 確かに、昔は気に留めなかった彼岸花がやけに目に
付くようになりました。
(080) 妻遺すメモを片手に秋刀魚焼く 河村
1 桑子 奥様の愛情がうかがえます。
(081) へばりつく赤ひ太陽原爆忌 深瀬
(082) 女の子秋刀魚祭りではしゃぐ夕 桜子
(083) 友と来て鍋を囲んできりたんぽ 秋元
1 平島
kite kakonnde kiri 読み返すとカ行の音が心地よ
い。
(084) 濡れ芝に光の宝石朝の庭 橋本
1 桜子 日々目にする風景をこのような目でご覧になられる
と、ずいぶん日々豊かにお過ごしだろうとお察ししま
す。
2 宮澤 真珠をちりばめたように輝く水滴が目に浮かびます。
(085) 喜寿二人昼飲み終えて鰯雲 中津川
1 治部 先日、やったところです。昼から蕎麦屋で日本酒。
店を出てもまだ明るく、見上げれば鰯雲。流石ですね。
2 平島 もういい年だし沢山は飲めないが、いい酒だったな
あ!人生ももう秋か。鰯雲がいつもと違って見える。
3 宮澤 ほろ酔いで店を出ると、陽はまだ高い。何か得した
感あり、これ年寄の特権。
(086) 白雲と水面に映る彼岸花 志方
(087) 落人の心となりて枯野描く 小野寺
1 河村 落人と枯れ野の取り合わせが妙。
(088) 江戸前のボラ悠々と野田の川 橋本
(089) 炭坑節耳に焼きつく秋祭り 深瀬
1 小野寺 我々の時代秋祭りにはあのノスタルジックな歌詞と
メロディーが主役でしたね。月が出た出た月が出た、
懐かしいリフレインです。
(090) 閑居して新酒行脚の独り飯 吉良
1 中津川
(091) 旅先の無人駅舎に虫の声 深瀬
1 秋元
2 小野寺 虫の鳴き声に送られるのは自分なのだと気づきます
ね。
3 豊 旅情の風景が目に浮かびます。
(092) 初紅葉頬の涙にことば呑み 小野寺
(093) 秋祭り夜見世ソースの切なさも 河村
(094) 諸手あげ脚軽やかに阿波踊り 深瀬
1 吉良 阿波踊りの様子が目の前に浮かびます。
(095) 手あふるる梨の重さよ老いの皺 吉良
(096) 主人 (あるじ) 亡き庭の陽だまり草の花 小野寺
1 吉良 主のない土地もしっかり生きている草の花の強さを
感じます。
(097) お墓には曼殊沙華が良く馴染み 服部
(098) 車窓ごし追いかけて来る能登の月 河村
1 秋元
2 小野寺 作者は能登の災害の手伝いに行ったのでしょうか。
消え消えに車窓ごしにあの能登の月がいつまでも追い
かけてくる。しみじみといた情感を感じます。
3 橋本 災害から復興途上の能登、月はどんな思いで追いか
けて来るのでしょう。
(099) 晴天に飛び出し戻り秋衣 治部
(100) 水澄みて沈む木立に日の光 深瀬
(101) 澄む水に心の澱 (おり) を見透かされ 小野寺
1 秋元
2 吉良 面白い発想です。
(102) 秋進む庭の木の実の色づいて 服部
(103) 秋祭江戸っ子には似合わねえ 桑子
1 河村 祭りは夏だ!秋は侘びしいぜ!
(104) ベランダにはにかみ舞える秋の蝶 吉良
1 宮澤 ちょっと遅れてきてすいませんという感じがいとお
しいです。
(105) 青空や透き通る秋野に山に 豊
1 桑子 「透き通る秋」という表現がステキです。
2 深瀬 秋らしい景色が目に浮かびます。
(106) 過疎の村孤老見守る流れ星 深瀬
1 小野寺 ひと気の無い過疎の村 夜空を眺める独りの老人を
まるで見守る様に星が流れてゆく。我々も皆この老人
の如く逝く時はただ独りなのです。
(107) 人知れずベランダ萌ゆる草の花 吉良
(108) 泣く我に風にまかれて秋の蝶 小野寺
1 河村 感傷でなくしみじみとした句に仕上げている。
(109) 母と子の秋刀魚ほおばるほお丸く 桜子
1 吉良 秋刀魚祭りでしょうか。親子の楽し気な様子が感じ
られます。
2 桑子 ほほえましい光景です。
3 橋本 久しぶりの秋刀魚だったのか、二人で食べる幸せ感
がよく出ています。
(110) 秋深し女性宰相船出かな 中津川
1 平島 日本最初の女総理。季節は冬に向かう時節の船出。
前途は厳しそうだが上手く乗り切って!
(111) 風止みて祖父の墓標に木の実落ち 小野寺
(112) 愛息の帰省を待つや落花生 治部
(113) 赤煉瓦海風載せて秋刀魚焼き 河村
(114) 自然美の圧倒的な鱗雲 橋本
1 深瀬 スケールの大きさに同感します。
(115) 都市田舎こんなに違ふ夏夜空 深瀬
(116) 秋の灯を消せば満天星廻り 小野寺
1 桜子 日常のちょっとした行いながら、句の最後にダイナ
ミックに広がっていく…、そんなように感じます。
(117) 店先や今年はうまし秋刀魚の目 中津川
(118) 車窓より寄せ来る波に野分かな 志方
(119) 渓流に立ち舞う紅葉秋の風 秋元
1 小野寺 季重なりですが渓流の風に舞う紅葉の色は逆光を浴
びてヒラヒラと輝きを増す。やがて闇の中に包まれる
滅びの舞は世の無常を誘います。
(120) 星ひとつ削りし命流れ逝き 小野寺
1 河村 星は季語?何故か「昴」の曲を連想する。
(121) 山車を引く子らの法被や秋祭 豊
(122) 天めざし虚空掴める蔦の蔓 吉良
1 平島 タ行の音が繰り返され読んで響きリズムが胸に落ち
ます。
(123) 八月もなかばを過ぎて肩で息 深瀬
2.作品集
(01) 秋元さん
・友と来て鍋を囲んできりたんぽ
・米櫃を満たせぬ世相秋寒し
・渓流に立ち舞う紅葉秋の風
・懐かしや夕食に並ぶああ秋刀魚
・寒椿枯野の裾に色を添え
(02) 桜子さん
・母と子の秋刀魚ほおばるほお丸く
・女の子秋刀魚祭りではしゃぐ夕
・ご褒美はお頭付きのさんまかな
(03) 小野寺さん
・羽音たて澄む川翔ぶや鬼ヤンマ
・主人 (あるじ) 亡き庭の陽だまり草の花
・月揺れて露天に浸かる独り旅
・落ち鮎を父と喰らひし簗の暮れ
・月光に浸たりて過去を流しけり
・星ひとつ削りし命流れ逝き
・初時雨牡丹は紅く花芽吹き
・木犀の香り残して別れけり
・澄む水に心の澱 (おり) を見透かされ
・祇王寺に亡き人偲ぶ曼珠沙華
・泣く我に風にまかれて秋の蝶
・女蟷螂雄組み敷きて生命 (いのち) 継ぐ
・デッサンの筆圧強し秋灯下
・夕紅葉鞍馬の山に鬼となり
・秋の灯を消せば満天星廻り
・風止みて祖父の墓標に木の実落ち
・柚匂ふ母の描きし黄金色
・紅葉酔う永観堂の逢瀬かな
・天網を超えて遥かに流れ星
・落人の心となりて枯野描く
・初紅葉頬の涙にことば呑み
・昏ながら山裾照らす夕紅葉
(04) 河村さん
・赤煉瓦海風載せて秋刀魚焼き
・妻遺すメモを片手に秋刀魚焼く
・信濃路の祭り囃子や秋の声
秋の祭りがまとう哀愁。
・秋祭り夜見世ソースの切なさも
・ママ残業カレー煮て待つお月さま
・車窓ごし追いかけて来る能登の月
老いた身の不安と怖れ
・無月なり弱法師 (よろぼし) のごと立ち竦む
(大陸四景)
イーストエンドのハーレムで聴いたサックスの名曲
・枯葉舞うハーレムノクタン二番街
キザな句です。
・Ennui(気怠さ) を纏いセーヌは秋暮色
沈む太陽が染め上げた壮大な明暗
・秋夕陽トブカブ宮を赤黒に
オアシスにも小さな秋がー
・紅楊 (タマリスク) の影延びて敦煌は秋
(05) 吉良さん
・流れ星光飲み込む都市の渦
・風そよぎじゃれ親しみぬ鶏頭花
・天めざし虚空掴める蔦の蔓
・閑居して新酒行脚の独り飯
・まだかまだ擂り棒せかすとろろ汁
・釣り人の背中照らして水澄めり
・澄む水はゆるやかに消ゆ大都会
・秋日入る教会めぐる癒し旅
・手あふるる梨の重さよ老いの皺
・人知れずベランダ萌ゆる草の花
・故郷や秋刀魚煙れる路地の裏
・秋祭りビルを呑み込む囃子声
・ベランダにはにかみ舞える秋の蝶
・待ちわびし甘き香寄せる稲の波
・煙り立つ七輪瞼に秋刀魚買う
(06) 桑子さん
・秋暑し孫に叱られ親子酒
・手踊りの乙女きりりと秋祭
・秋祭江戸っ子には似合わねえ
・秋刀魚焼く一人一匹皿の上
・秋雨に足取り重く4 (フォー)
パット
(07) 志方さん
・畑中の風に抱かれる彼岸花
・彼岸花朱華の空と競い合い
・白雲と水面に映る彼岸花
・飛鳥路をたどれば愛し彼岸花
・喜寿すぎて何故か目につく彼岸花
・三日月にお供えかなと彼岸花
・墓参り今年も咲いた彼岸花
・車窓より寄せ来る波に野分かな
(08) 治部さん
・振り返る道の長さや曼殊沙華
・重陽の節句と陽気は離れおり
・愛息の帰省を待つや落花生
・盆栽の景色に小さき秋の見え
・晴天に飛び出し戻り秋衣
・スポーツの秋に野球はオフとなり
・足早に紅黄駆け降る甲斐信濃
(09) 中津川さん
・秋深し女性宰相船出かな
・稲光り家揺れるごとゲリラ雨
・投げ売りの育ち過ぎたる梨甘し
・店先や今年はうまし秋刀魚の目
・喜寿二人昼飲み終えて鰯雲
・連立や定数削減うそ寒し
・新米や高値続いてパスタ買い
(10) 橋本さん
・期待して寿司ネタ見るも秋刀魚なく
・雲の峰見る間に崩れ空は凪
・濡れ芝に光の宝石朝の庭
・燈二つ切れし日友の急逝す
・江戸前のボラ悠々と野田の川
・自然美の圧倒的な鱗雲
・喜多方で至福のラーメン煮干だし
・ロンドンは満員御礼のSUMO
(11) 服部さん
・秋進む庭の木の実の色づいて
・やっとこさ秋の気配だ待ってたよ
・生きてれば父百歳の墓参り
・お墓には曼殊沙華が良く馴染み
・七輪で秋刀魚焼きたし空焦がし
・夕餉何秋刀魚ですよと妻答う
(12) 豊さん
・山車を引く子らの法被や秋祭
・秋刀魚焼く少しを猫におすそ分け
・秋の夜やしみじみと聴くノクターン
・金色に染まる畑の稲穂波
・ガザの民悲しみ深き夜寒かな
・青空や透き通る秋野に山に
・群がりて空中遊泳赤とんぼ
(13) 深瀬
・病室の窓に久しき鰯雲
・漂泊の宿の出迎へ鳳仙花
・諸手あげ脚軽やかに阿波踊り
・阿波踊りパリに沸き立つジャポニズム
・過疎の村孤老見守る流れ星
・廃屋の庭の鶏頭賑わしく
・都市田舎こんなに違ふ夏夜空
・へばりつく赤ひ太陽原爆忌
・八月もなかばを過ぎて肩で息
・草の花わが身省み応援歌
・水澄むもわが身に沈む重き澱
・旅先の無人駅舎に虫の声
・時ながれ老ひの背中に秋の風
・水澄みて沈む木立に日の光
・焼きさんま骨だけ残しこども卒
・面接でさんまが好きとさすが兄
・秋祭り都会の隅にほそぼそと
・炭坑節耳に焼きつく秋祭り
・山車ひく子少子化の波しみじみと
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