2022年2月24日木曜日

第8 回目の七句会自由連句実施要領

  第8 回目の七句会自由連句実施要領

 

 七句会自由連句のみなさま

  いつもたいへんお世話になり、ありがとうございます。

  コロナ禍はあと少しの辛抱だとよいのですが、第8 回目の七句会自由連句を

下記要領にて行いたいと思います。よろしくお願いします。

  豊さん、二句目をよろしくお願いします。

 

・参加者 新井さん、小野寺さん、吉良さん、志方さん、豊さん、深瀬(6名)

・発句  身をそぎて凜とそびえり枯れ銀杏   吉良さん

・選句者および作者のコメント

  選者コメント

      1 柳町

      2 志方

      3 宮澤    葉を落としきり、潔く素っ裸になってまた来年と言って

          いるようで、冬の銀杏ほんとに凛としています。

      4 中津川  年輪を重ねそびえている様がわかります。

      5 桑子 

  作者コメント

  神宮外苑の銀杏並木を句題としました。神宮外苑は11月頃から色づき、1 か

月間は車道に人が溢れる程の人気のあるスポットとなります。歩道には黄色い

葉っぱの絨毯ができて、子供が転げ回ったり、若いカップルがスマホで自撮り

をしたりとにぎやかです。でも人影の絶えた、12月中旬以降の冬の落葉後の銀

杏並木がもっと素晴らしいと思います。寒風に耐えて、20m近い巨木が白い

枝を暗闇の天に向かって伸ばす様子は生命の力強さを感じます。是非一度訪れ

てみてください。  

 

・座

 

    初折表六句

 

01 発句   冬    吉良

02 脇    冬    豊

03 第三   雑 無季 新井

04 四句目  雑 無季 小野寺

05 月の座  秋    深瀬

06 折端   秋    吉良

 

 初折裏十二句

 

07 折立   秋    豊

08 二句目  雑 無季 志方

09 三句目  雑 無季 小野寺

10 四句目  雑 無季 新井

11 五句目  雑 無季 吉良

12 六句目  雑 無季 深瀬

13 月の座  夏    志方

14 八句目  冬    豊

15 九句目  雑 無季 深瀬

16 十句目  雑 無季 小野寺

17 花の座  春    新井

18 折端   春    吉良

 

 名残表十二句

 

19 折立   春    志方

20 二句目  雑 無季 新井

21 三句目  雑 無季 吉良

22 四句目  雑 無季 深瀬

23 五句目  冬    志方

24 六句目  冬か雑  豊

25 七句目  雑 無季 志方

26 八句目  雑 無季 小野寺

27 九句目  雑 無季 豊

28 十句目  雑 無季 吉良

29 月の座  秋    小野寺

30 折端   秋    新井

 

 名残裏六句

 

31 折立   秋    吉良

32 二句目  雑 無季 深瀬

33 三句目  雑 無季 豊

34 四句目  雑か春  志方

35 花の座  春    深瀬

36 挙句   春    小野寺

 

・式目  特に前回と変わりません。同じ語句の使用は避ける、付合において

場面の繰り返しや後戻りはしない、付合の背景の補足コメント (付け筋) を簡

単に付記する、といった程度です。

  若干追加しますが、月、花の座については遵守する、固有名詞の使用はバラ

ンスを考慮する、雅的な雰囲気は少し避ける、などです。恋の座は取りやめま

した。また、表六句が序、裏~名残表が破、名残裏が急、あるいは、表六句が

起、裏が承、名残表が転、名残裏が結といっためりはりを意識したいと思いま

す。                                 

 

  補足

 

  各座を詠む上での備考です。

  下記より転記。

  http://www.local.co.jp/renku/4.html

 

    初折表六句

 

01 発句   冬    や、けり、かな、などの切れ字を用いるのが好まし

           い、とされる。

02 脇    冬    発句に密着し同季同場同時で補完。

03 第三   雑 無季 前句から転じて、て、に、にて、らん、もなし、の

                      留字で留める。

04 四句目  雑 無季 軽くサラリとつける。

05 月の座  秋    発句が秋の月の句の時は無季の句をつける。

06 折端   秋    軽くテンポのいい句をつける。

 

 初折裏十二句

 

07 折立   秋    恋の句はまだ早い。

08 二句目  雑 無季 独自の発想でバンバン行く。

09 三句目  雑 無季 恋句はこのあたりからだすのがよいともいわれる。

10 四句目  雑 無季 恋句は二句続ける。

11 五句目  雑 無季 独自の発想でバンバン行く。

12 六句目  雑 無季 同上。

13 月の座  夏    句の流れで月の句はもっと後でもよい。

14 八句目  冬    月の句の次は季節に準ずる。

15 九句目  雑 無季 独自の発想でバンバン行く。

16 十句目  雑 無季 花の句の前は植物を詠まないようにする。

17 花の座  春    花の句の定座、花とは桜のこと。但し発句が桜の時

           は梅を詠んでもいい。

18 折端   春    春の季語を入れて独自の発想でバンバン行く。

 

 名残表十二句

 

19 折立   春    春の季語を入れて独自の発想でバンバン行く。

20 二句目  雑 無季 独自の発想でバンバン行く。

21 三句目  雑 無季 同上。

22 四句目  雑 無季 同上。

23 五句目  冬    このあたりで季節を詠む。

24 六句目  冬か雑  季節は二句続いたほうが好ましい。

25 七句目  雑 無季 独自の発想でバンバン行く。濃厚な恋句を二句続き

           で盛り込むとよい。

26 八句目  雑 無季 同上。

27 九句目  雑 無季 同上。

28 十句目  雑 無季 同上。

29 月の座  秋    以前に詠まれた月の句と同趣同景にならぬようにす

           る。

30 折端   秋    以前に詠まれた秋の句と同趣同景にならぬようにす

                      る。

 

 名残裏六句

 

31 折立   秋    ここからは考え込まないで軽く穏やかな句をテンポ

           よく詠む。

32 二句目  雑 無季 テンポよく穏やかに詠む。

33 三句目  雑 無季 同上。

34 四句目  雑か春  同上。

35 花の座  春    以前に詠まれた花の句と同趣同景にならぬようにす

           る。

36 挙句   春    穏やかにおわる。

 

2022年2月6日日曜日

七句会 第38回 感想、自句自解です。

 

 七句会のみなさま

 

 第三十八回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、

たいへんありがとうございました。

 およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ

てお届けします。

 今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。

 七句会のweb  http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。

  今後とも、よろしくお願いいたします。

  深瀬 (事務方)

 

 

1.第38回  ネット句会  作品集

 

(01)秋元さん

・日の丸を掲げて過ぎし宴かな

・年の瀬に行き交う人も儘ならず

・夜目遠目落とした物も気がつかず

 

(02)新井さん

・カメラマン一瞬とらえる流れ星

・クリスマス深紅のネクタイ輝けり

・一時間遅く起きた日テレワーク

・祈る男賽銭箱の脇隠れ

・神様も覚えきれない願い事

・元日の朝の神社に白い息

・水仙の切り花包むパステル色

・ワクチンを待つ身に響く汽笛かな

・除夜の鐘待つ夕水仙ひっそりと

・ワクチンに振り回されし年惜しむ

・年惜しむ後に湧き出るしたいこと

 

(03)小野寺さん

・急流に紅葉敷き詰め陽は落ちぬ

・やはらかき猫の和毛 (にこげ) か冬の薔薇

・鮮やかに柿の葉濡れて初時雨

・小夜時雨沖の小舟に灯り揺れ

・千年の古都鎮めさせ時雨降る

・艶めきの過ぎてあはれを散るもみぢ

・近き嶺暮れて遠山冬茜

・雪の宵紅ひき結び別れ往き

・雪濡れのほおかすめ哭く潮の音

・墨にほふ途切れし筆の雪の朝

・混沌の二年を咲くや冬の薔薇

・鳶の輪を残して古都の秋は暮れ

・四面楚歌越え来し峰に寒椿

・星流る一期の命燃え尽きて

・凩 (こがらし) が哭きて故郷の無人駅

・小豆煮る母の匂ひの年の暮れ

・ふるさとの森眠らせて冬銀河

・椋鳥 (むくどり) の騒ぎ包みて帷 (とばり) 降り

・柚子かほる無音の闇夜迫り来て

・鬼瓦降り積む雪に雀舞ひ

・朋去りぬ酔えぬ酒浴び明けの星

・冬の夜の祖母の童話は動きだし

 

(04)吉良さん

・身をそぎて凜とそびえり枯れ銀杏

・スマホ手に落ち葉の雨のランデブー

・落葉踏む音も静けし夫婦老う

・黄昏の落ち葉まといて笑顔行く

 

(05)桑子さん

・つむじ風落葉舞上げ路掃除

・ミチクサに池を巡りて漱石忌

・着膨れてスイカまさぐり通せんぼ

・寒風や一人佇むショット待ち

・蜜避けて3 日遅れの初詣

 

(06)服部さん

・宝くじ懲りずに夢見る去年今年

・冬鳥の叫び虚空に突き抜けり

・正月も朝からゲームの孫達よ

・早々に喪中はがきの暮早し

・落ち葉来る仕舞いはいつなの掃き掃除

 

(07)志方さん

・老いてなほ黄昏寒し独酒かな

・木枯らしに老い桜耐えまた春を

・山稜の寒さを刻む夕照が

・寒空に銀漢流れ大宇宙

・しみたかなおでん恋しや大根が

・葉も散りて梢の先の熟柿かな

・割烹着師走の母を想い出し

 

(08)中津川さん

・正月や二年ぶりの孫を待つ

・鮟肝のつきだし小鉢友偲ぶ

・膝痛し風花舞いて峠越え

・受験生幸先詣でオミクロン

・冬紅葉逝きし報せを後で知り

・年始め今年もテレビで待つ駅伝

・会えぬから今年こそ書く年賀状

 

(09)橋本さん

・風雨明け芝生に描く落ち葉の絵

・ブルーベリー朱の葉留める松の内

・北風に寒波を連れた雲の峰

・鐘つきも酒も手水も無し初詣

・味深し杵つき餅の雑煮かな

 

(10)柳町さん

・しもやけの孫と割る手や鏡餅

・孫帰省疲れも忘れ遊びナウ

・紅白のビデオ見つつ雑煮味う

 

(11)豊さん

・おごそかに海明けてくる初日の出

・若きよりLINEで届く年賀状

・故郷の味なつかしき雑煮かな

・冬の日ははや沈みけり黒き富士

・吐く息で指を暖め霜の朝

・冬木立快晴の空突き刺しぬ

 

(12)深瀬

・苦も楽も日記かえりみ年惜しむ

・帰らざる宇宙の時流年惜しむ

・年惜しむ残り少なき老ひ刻み

・水仙や時空旅して今ここに

・水仙や古池めぐる苔に和し

・かくれんぼこんなところにからすうり

・からすうり夕陽に染まり子ら家路

・去年今年つらぬくものはなにか問い

・年賀状もうやめますといく枚か

・お正月重ねし回の遠く消え

・お正月ことしの抱負夢の中

・お正月残り少なき歳数え

・隠居者の部屋はすっきりお正月

・静かさに老いをかさねてお正月

・お正月孫を迎えて子は父に

・新聞を切り抜き過ごす三が日

・お正月澄みし空気に老いきざみ

・米中のまなじり険しお正月

  初日の出世界十景 (10句)

・宇宙から見ればなんなの初日の出

・紫禁城いらかに燃える初日の出

・ガンジスの荼毘の岸辺に初日の出

・キャラバンを砂紋にうかす初日の出

・アメリカの荒野の地平初日の出

・朱を深めエアーズロックに初日の出

・初日の出伊豆の海原万華鏡

・柏手のひびく出雲の初日の出

・石組みの濠 (ほり) に清らか初日の出

・湾岸のビルとブリッジ初日の出

 

 

2.第38回  ネット句会  感想と自句自解

 

◎  新井さんの自句自解

 

・カメラマン一瞬とらえる流れ星

 カメラが好きなおじが、流星群を撮影した夜のことを熱く語っていました。

 

・クリスマス深紅のネクタイ輝けり

 おしゃれの好きな近所の大学生男子、クリスマスの朝に会うとかっこいいス

ーツを着ていました。素敵な赤のネクタイをしておられまして、光っていまし

た。

 

・一時間遅く起きた日テレワーク

 テレワークの嬉しいことはいつもより1 時間遅く起きることです。

 

・祈る男賽銭箱の脇隠れ

  元旦に神社へ行きましたが、前に並んでいた中年の男性、お祈りが終わった

後も、お賽銭箱の横に立っていました。そして、そこでも何度も頭を下げ神様

に願い事をしていました。後ろの人たちは次から次へとお祈りをしていました

が、なぜかこっそりと祈り続ける姿が目に焼き付きました。

  

・神様も覚えきれない願い事

  このコロナ禍ですと、人々からのお願い事も増えて、神様も混乱されている

のではないでしょうか。

 

・元日の朝の神社に白い息

  元旦の朝、という神聖な場所で、吐く息もすっかり白いと感じました。

 

・水仙の切り花包むパステル色

  水仙の切り花に似合うのは、パステル調の柔らかい色の包み紙でしょう。

 

・ワクチンを待つ身に響く汽笛かな

  横浜市の大規模接種でワクチンを受けました。港の検疫場でじっと待ってい

ると、船の汽笛が聞こえてきました。

 まさか港でワクチンを受けるとは夢にも思っていなかったので、やけに身に

染みて残りました。

 

・除夜の鐘待つ夕水仙ひっそりと

  大みそかの金蔵寺、夕方訪れると、水仙が除夜の鐘を待ってひっそりとたた

ずんでいるようでした。

 

・ワクチンに振り回されし年惜しむ

  2021年を振り返ると、ワクチンの予約がなかなか出来なくて、ずいぶん振り

回されたように感じました。

 また、副作用のうわさも飛び交いましたし、打つ前と打った後の気持ちの状

態も変わりました。

 

・年惜しむ後に湧き出るしたいこと

  一年と振り返るとできないこともたくさんありましたが、次の瞬間、新しい

一年を思ってやりたいことがどんどん出てきます。

 

 

◎  小野寺さんの自句自解

 

・5 点句 013 小豆煮る母の匂ひの年の暮れ

  平島さんの解説の通りです。毎年の暮れのお節の行事の準備、この匂いを嗅

ぐと母が割烹着で甲斐甲斐しく働いていた姿が思い出されます。正月を迎える

期待もあり。。匂いの記憶は生涯忘れられない懐かしさとなります。

 

・4 点句  035 柚子かほる無音の闇夜迫り来て

  橋本さんの解説の通りです。黄色の柚子と深い香りが閑かな漆黒の闇に包ま

れてゆく、、冬の情景です。

 

・4 点句 047 近き嶺暮れて遠山冬茜

  治部さんの解説が見事です、、八王子に住む高尾さんの山々に冬の日が沈む

と遠目の赤を背景に、手前の山々が黒々と沈んで遠くに感じます。私は子供の

頃故郷の、五葉山を背景にしてこの不思議な光景に接し、冬の日没の茜色の風

景を記憶してます。豊さんにお褒めいただいた、冬茜は夕映えの風景を表した

かった、私の造語です。

 

・4 点句 075 凩 (こがらし) が哭きて故郷の無人駅

  治部さんの解説のとおりです。久しぶりに帰ってみた故郷は、今時の無人駅

に凩が啜り泣き、何も変わらず、時間が止まっておりました。

 

・4 点句 088 混沌の二年を咲くや冬の薔薇

  平島さん他解釈の通りです。コロナコロナで振り回された二年でした。誰も

が、不安を抱いての二年が経ちましたが、薔薇はそんな浮世の騒憂には無関係

で、寒い冬に凛と咲いている。人間もこうありたいものです。

 

・3 点句 018 冬の夜の祖母の童話は動きだし

  吉良さんの解釈の通りです。寒い冬の夜、布団の中で聞く祖母の童話には巧

みな語りで迫るものがあり、夢現つの中で追ってくる山姥から山を越え一目散

に逃げておりました。

 

・3 点句  097 艶めきの過ぎてあはれを散るもみぢ

  遥かな記憶の中めくるめく刻は過ぎて、はらはらと散る紅葉にはもののあは

れを誘う自然の摂理がありました。過ぎ去った情念は埋み火と消えました。

 

・2 点句 009 墨にほふ途切れし筆の雪の朝

  硯で墨を擦り、手紙をかく筆を止めると雪の朝の白い世界に墨の香りが清々

しい冷気を発しておりました。

 

・2 点句 028 鬼瓦降り積む雪に雀舞ひ

  平島さんの解釈の通りです。厳しい黒い鬼瓦に降り積む白い雪。この白い雪

の中を戯れる可愛い雀達は一幅の絵巻を眺める様でもありました。

 

・2 点句 033 鮮やかに柿の葉濡れて初時雨

  紅く色づいた柿の葉に初時雨が降り柿の葉の赤がより一層の鮮やかさを演出

しておりました。

 

・朋去りぬ酔えぬ酒浴び明けの星

  長い付き合いの友人を亡くしたお通夜の日、独り酒を飲むしか手立てが無く

、しかし酔いは回らず、気がつくと白々と夜が明け一つ金星が輝いておりまし

た。

 

 

◎  吉良さんの感想、自句自解

 

  世界の初日の出の俳句は発想がとても面白く感心して読みました。自分の句

の自解より自戒というべきかもしれません。

 

  神宮外苑の銀杏並木を句題としました。神宮外苑は11月頃から色づき、1 か

月間は車道に人が溢れる程の人気のあるスポットとなります。歩道には黄色い

葉っぱの絨毯ができて、子供が転げ回ったり、若いカップルがスマホで自撮り

をしたりとにぎやかです。でも人影の絶えた、12月中旬以降の冬の落葉後の銀

杏並木がもっと素晴らしいと思います。寒風に耐えて、20m近い巨木が白い

枝を暗闇の天に向かって伸ばす様子は生命の力強さを感じます。是非一度訪れ

てみてください。  

 

 

◎  橋本さんの自句自解

 

・(063) 味深し杵つき餅の雑煮かな

  以下の方々から4点句に選んで頂きましたが、この句の「杵つき餅」につい

て紹介したいと思います。

  1 宮澤  もう何年も機械でついた餅ばかりで正月を過ごしています。杵も

    臼も見なくなって久しいが、つき加減が時々乱れる人力だよりが懐かしい

    です。美は乱調にあり。

    2 深瀬  臼と杵でうったお餅の味は違うのだろうと想像しました。

    3 秋元

    4 小野寺  市販のサトーの切り餅ではない杵付き餅の味はまた深い味わい

    があるのでしょう。

 

  餅は以下の手順で、田舎の実家で暮れの12月30日につき、正月にまず雑

煮で頂きます。

1)もち米の下準備・・・ 一臼分づつ洗い一晩水に浸けておき、蒸す前に水切り

2)もち米を蒸す・・・ ポータブルの竈 (かまど) を設置し、釜でお湯を沸かし

蒸籠 (せいろ) で蒸す。

3)前処理・・・ 木製の臼に蒸したもち米を入れ、杵でついても飛び散らない程

度に、杵で均等に押し回して潰す。

4)杵で餅つき・・・10kg 弱程度の木製の杵で、捏ね取りの人と呼吸を合わせて

数十回つく。 (体力のある元気な人でないと一気につき上げるのは難しい)

5)餅板作り (整形)・・・つけた餅の塊を臼から取り出し、のし板上に置き、の

し棒で均一で適度な厚さの四角な板状に整形する (餅取り粉をまぶして、板と

棒にくっつかないよう、しかも熱いうちに素早く行う作業なので、私のような

年1 回の者では満足な餅板はほとんど出来ない)

6)切り出し・・・ 数時間から1 日以内で、適度な堅さの内に餅板から所望の形

に包丁で切り出す。

  もち米の品質、蒸し米の状態、つき具合、餅板の整形などにより、ついた餅

 (臼) 毎に違いが出て来てしまうので味も変わります。宮澤さんの美は乱調に

ありですかね。

  恒例の兄弟4人集まっての暮れの餅つきも、皆歳を取りそろそろ無理な状況

に、子供達が継ぐかどうか、、、

 

 

◎  平島さんの感想 (小野寺さんとのその後のやりとりを僣越ですが含めまし

た。)

 

  小生の選んだ句が深瀬さん4 句小野寺さん3 句しかも小野寺さんのは5 点句

と4 点句でした。皆さんが上手くなられて選句も難しさを感じていました。

  でもこの偏りはどう評価してよいのか自分でも上手く表現出来ません。

  でも参加させていただいて楽しんでいますので今後ともよろしくお願いしま

す。

 

- 小野寺さんからの応答

  平島さんが選句していただいたもの全部で107 句あるなかで小生のを3 句、

深瀬さんを4句選句頂いたのは偶然ではないかもしれませんね。

  今回は友人の死でとても投句するような気持ちにならずおろおろしてました

が、たまたま見ていたしぶんぎ座流星群でみた流れ星から

 

・星流る一期の命燃え尽きて

・朋去りぬ酔えぬ酒浴び明けの星

 

のニ句を捻りだして、ため息をつきながら、他は記憶の引き出しから何も考え

ず無心の心境で紡ぎだしたものです。

  平島さんや他の方々の心に留められるものが自分で意識したものとは違う事

を感じました。

  釜石の田舎、昔の母のお節作りは、質素なものでしたが、小豆を煮る匂いが

子供の頃の幸せな、やわらかい記憶の中に刷り込まれていた事でした。平島さ

んの解説が的確で驚きました。この記憶は多分今の子供達にはありませんが、

共感して頂ける人達が沢山居る事を嬉しく思いました。

  俳句の楽しみのひとつかもしれませんね。

 

- 平島さんからの応答

  とらきちの朋友の突然の死に呆然とされた大兄の心境がわかる気もします。

小生なりにまねてみました。こんな感じです。

 

・流星や命の果ての友の魂

・朋去りぬ涙の苦杯夜明けまで

 

  俳句に興味を持たれてだんだん上手くなられて行くのが嬉しいです。言葉の

感性は美術や音楽などで目や耳を肥やして行くことで磨かれると思います。い

ま小生の音楽は専らモーツァルトですが。

 

- 小野寺さんからの応答

  朋友の死に際しての追悼句、平島さんの見事な俳句怖入ります。感嘆しまし

た。言葉の選択ですが追悼ですから、季語は考えなくてよろしいんですね。

  上手い俳句ではなく感嘆や感情の高揚がいかにつたわるかに腐心しますが、

なまじ頭で構成や季語を練るより浮かんでくる、単純な想いの表現が人の心に

共感を呼ぶのでしょうか。。

  皆さんに選句頂いた句はほとんど感情のおもむくままに書いたものでそうし

てみるとやはり俳句の奥は深いのですね。

 

- 平島さんからの応答

  この句はやっつけ仕事で大兄が藤嶋さんの遺影の前で慟哭しておられる場を

想像して作ったもので連句の雑の句みたいになりました。俳句なら追悼でも季

語は必要です。すっ飛んでいました。

 

 

◎  豊さんの自句自解、感想

 

・冬の日ははや沈みけり黒き富士

 吉良さんのご指摘の通り、黒富士を強調したほうがよかったと思います。た

だ、俳句では「や」と「けり」が重なるのは不可とされているので、「黒富士

や冬の陽ははや沈みつつ」「黒富士や冬の陽ははや沈みゆく」となるでしょう

か。

 

・おごそかに海明けてくる初日の出

 初日の出を詠もうと思ったのですが、 あたりまえの発想になってしまいまし

た。もうすこしひねったほうがよかったです。

 

・冬木立快晴の空突き刺しぬ

 「突き刺しぬ」と断定するのがいいかどうか迷ったのですが、やはり少し強

すぎたようです。

 

・吐く息で指を暖め霜の朝 

 これも平凡でした。「霜の朝」を別の言葉に変えたほうが良かったと思いま

す。

 

・故郷の味なつかしき雑煮かな 

 雑煮は地方地方で作り方や味が違います。都会に出てきた人が田舎の味を懐

かしんでいる様子を詠んだのですが、うまく伝わらなかったようです。

 

・若きよりLINEで届く年賀状 

 現代の風俗を取り入れたのですが、「LINE」という表現がなじまなかったの

でしょうか。

 

 今回の5点句はどちらもすばらしい句だと思います。よその句会に出しても

高得点になるのではないでしょうか。次回を楽しみにしています。

 

 

◎  深瀬の自句自解

 

・苦も楽も日記かえりみ年惜しむ

  コロナ禍であってもたのしかったことはあるものだと思います。

 

・帰らざる宇宙の時流年惜しむ

  ビッグバンから138 億年。時間に始まりがあるというのが不思議です。

 

・水仙や時空旅して今ここに

  中近東から中国を経て日本まではるばる、どんな旅だったのだろうと。

 

・水仙や古池めぐる苔に和し

  水仙と日本庭園の苔は、なにか似合うように感じます。

 

・かくれんぼこんなところにからすうり

  崖っぷちのやや危ないところに隠れたときの思い出てす。

 

・からすうり夕陽に染まり子ら家路

  子どものことは周辺に原っぱがいくつもあり、真っ赤なからすうりをよく見

かけました。

 

・去年今年つらぬくものはなにか問い

  言うまでもなく虚子の「去年今年貫く棒の如きもの」のパロディーです。

 

・年賀状もうやめますといく枚か

  この歳になったら直接会ったりやりとりする人だけとお正月を共有できたら

という心境になります。

 

・年惜しむ残り少なき老ひ刻み

・お正月重ねし回の遠く消え

・お正月ことしの抱負夢の中

・お正月残り少なき歳数え

・隠居者の部屋はすっきりお正月

・静かさに老いをかさねてお正月

・お正月澄みし空気に老いきざみ

  老人のお正月の感慨です。こんな句ばかりを詠んでいる自分に、若いころと

のあまりの違いに慄然とします。

 

・お正月孫を迎えて子は父に

  同じマンションの5 階に住む息子一家がお正月に訪れます。かつては一緒に

ここに住んでいた息子が、と世代の移りゆくのをしみじみ感じます。

 

・新聞を切り抜き過ごす三が日

  新聞の切り抜きは、時間潰しと頭の体操にはよいと思います。

 

・米中のまなじり険しお正月

  米中対立には、米ソ冷戦構造の時代とは別次元の圧迫感を感じます。

 

  初日の出世界十景 (10句)

・宇宙から見ればなんなの初日の出

・紫禁城いらかに燃える初日の出

・ガンジスの荼毘の岸辺に初日の出

・キャラバンを砂紋にうかす初日の出

・アメリカの荒野の地平初日の出

・朱を深めエアーズロックに初日の出

・初日の出伊豆の海原万華鏡

・柏手のひびく出雲の初日の出

・石組みの濠 (ほり) に清らか初日の出

・湾岸のビルとブリッジ初日の出

  初日の出を兼題に、はじめアメリカの荒野のものを詠んだのですが、やや調

子に乗って世界一周にチャレンジしてみました。宇宙からはどう詠むか中途半

端に終わってしまい残念です。

 

 

2022年1月19日水曜日

七句会 第三十八回目のネット句会 選句結果をご報告します。

  七句会のみなさま


 第三十八回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。

今回の選句結果をご報告いたします。

 (若干早めの締め切りですが、追加があれば補正します。) 



  5 点句

(013) 小豆煮る母の匂ひの年の暮れ           小野寺16

(080) 身をそぎて凜とそびえり枯れ銀杏         吉良01


  4 点句

(035) 柚子かほる無音の闇夜迫り来て          小野寺19

(047) 近き嶺暮れて遠山冬茜              小野寺07

(058) 朱を深めエアーズロックに初日の出        深瀬24

(063) 味深し杵つき餅の雑煮かな            橋本05

(075) 凩 (こがらし) が哭きて故郷の無人駅       小野寺15

(088) 混沌の二年を咲くや冬の薔薇           小野寺11


  3 点句

(014) 冬の日ははや沈みけり黒き富士          豊04

(018) 冬の夜の祖母の童話は動きだし          小野寺22

(020) 着膨れてスイカまさぐり通せんぼ         桑子03

(029) かくれんぼこんなところにからすうり       深瀬06

(056) キャラバンを砂紋にうかす初日の出        深瀬22

(097) 艶めきの過ぎてあはれを散るもみぢ        小野寺06


  2 点句

(003) からすうり夕陽に染まり子ら家路         深瀬07

(009) 墨にほふ途切れし筆の雪の朝           小野寺10

(010) 年惜しむ後に湧き出るしたいこと         新井11

(022) スマホ手に落ち葉の雨のランデブー        吉良02

(028) 鬼瓦降り積む雪に雀舞ひ             小野寺20

(031) 冬木立快晴の空突き刺しぬ            豊06

(033) 鮮やかに柿の葉濡れて初時雨           小野寺03

(036) 水仙や時空旅して今ここに            深瀬04

(053) 宇宙から見ればなんなの初日の出         深瀬19

(055) ガンジスの荼毘の岸辺に初日の出                深瀬21

(059) 初日の出伊豆の海原万華鏡            深瀬25

(061) 石組みの濠 (ほり) に清らか初日の出       深瀬27

(068) 会えぬから今年こそ書く年賀状          中津川07

(069) お正月孫を迎えて子は父に            深瀬15

(106) 去年今年つらぬくものはなにか問い        深瀬08



  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前

とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。

  次回については、今年3 月~4 月ころにご連絡したいと思っていますので、

よろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら

、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。


 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。


(1) 選句参加者

 今回の選句には、下記の15名が参加しました。

  秋元さん、新井さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さ

ん、中津川さん、橋本さん、服部さん、平島さん、宮澤さん、柳町さん、豊さ

ん、深瀬。


(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について

  今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので

はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り

たいと思います。一応、期限としては  2 月 2日とし、事務方にメールでいた

だき、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。


 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/


  2022.01.19


      代表   橋口侯之介

      顧問  豊  宣光

      事務方 深瀬久敬



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(001) 落ち葉来る仕舞いはいつなの掃き掃除       服部05

(002) しみたかなおでん恋しや大根が          志方05

      1 秋元

(003) からすうり夕陽に染まり子ら家路         深瀬07

      1 新井    赤く染まった夕焼けが目に浮かびました。

      2 小野寺  紅いからすうりに夕陽があたり落日はつるべ落としで迫

              り家路に駆ける子供達の帰宅も急がれます。

(004) 鮟肝のつきだし小鉢友偲ぶ            中津川02

      1 服部

(005) 雪の宵紅ひき結び別れ往き            小野寺08

(006) ブルーベリー朱の葉留める松の内         橋本02

(007) 蜜避けて3 日遅れの初詣             桑子05

      1 新井    全く共感です。

(008) 早々に喪中はがきの暮早し            服部04

(009) 墨にほふ途切れし筆の雪の朝           小野寺10

      1 豊     きれいな句です。墨の黒と雪の白の対比がみごと。

      2 秋元

(010) 年惜しむ後に湧き出るしたいこと         新井11

      1 志方

      2 深瀬    前向きな気持ちがうらやましく感じました。

(011) 受験生幸先詣でオミクロン            中津川04

(012) 水仙や古池めぐる苔に和し            深瀬05

(013) 小豆煮る母の匂ひの年の暮れ           小野寺16

      1 新井    コトコトとお鍋の音が聞こえてくる、情緒あふれる一句

          です。

      2 平島    毎年の行事のお節。この匂いを嗅ぐと思い出されるのが

              母が割烹着で甲斐甲斐しく働いていた姿。今時の子供はも

              う味わえないのでは・・・  匂いの記憶は終生忘れないも

              のです。

      3 吉良    今はデパートで買えるものとなった「おせち料理」。年

              末の家庭の年中行事が懐かしく思われます。

      4 豊      正月祝いの準備をしているお母さんの思い出でしょうか。

          「匂ひの」は「匂ひや」としたほうが引き締まったと思い

          ます。

      5 服部

(014) 冬の日ははや沈みけり黒き富士          豊04

      1 吉良    赤富士、青富士でなく黒富士が新鮮に感じられました。

              黒富士を強調したほうが更に良い句になるように思います

              がいかがでしょうか?  "黒富士や冬の陽ははや沈みけり" 

      2 志方

      3 橋本    冬は空が澄み、西の空にくっきりと浮かび上がる富士の

          姿は感動的でもあります。

(015) 一時間遅く起きた日テレワーク          新井03

(016) 苦も楽も日記かえりみ年惜しむ          深瀬01

      1 小野寺  年の終わりに過ぎて行った日々を懐かしく慈しむ、時の

              過ぎさる速さに取り残されそうです

(017) 冬鳥の叫び虚空に突き抜けり           服部02

      1 秋元

(018) 冬の夜の祖母の童話は動きだし          小野寺22

      1 吉良    「童話は動きだし」の表現が秀逸です。祖母の童話の話

              を聞いているうちに、孫が夢のおとぎの国にさまよい込ん

              だ様子が目に浮かびます。

      2 中津川  童話を聞いている孫はきっと主人公になっているのでし

          ょう。

      3 深瀬    朗読の仕方が上手なのでしょう。「動きだし」がリアル

          です。

(019) お正月残り少なき歳数え             深瀬12

(020) 着膨れてスイカまさぐり通せんぼ         桑子03

      1 服部

      2 宮澤    自動改札の前でこのようなおじさんが前にいて、電車来

          ているのにと蹴とばしたくなること度々。しかし、同じこ

          とをして自分が通せんぼしているときは、他人を意識して

          いません。わがままなものです。

      3 深瀬    サザエさんの漫画を彷彿とさせます。

(021) 鐘つきも酒も手水も無し初詣           橋本04

(022) スマホ手に落ち葉の雨のランデブー        吉良02

      1 新井    最後のランデブーが歌謡曲の一幕のようです。

      2 中津川  スマホの近代性と古いランデブーという表現が面白いで

          す。

(023) 年賀状もうやめますといく枚か          深瀬09

      1 桑子    毎年欠礼の挨拶の年賀状が届きます。寂しいとともにな

              ぜかほっとする思いがします。

(024) 星流る一期の命燃え尽きて            小野寺14

      1 吉良    宇宙のなかでは人間の一生は流れ星のように一瞬のこと

              のように思われます。

(025) 風雨明け芝生に描く落ち葉の絵          橋本01

(026) 日の丸を掲げて過ぎし宴かな           秋元01

(027) おごそかに海明けてくる初日の出         豊01

      1 深瀬    海からの初日の出をすっきり詠んでいると感じます。

(028) 鬼瓦降り積む雪に雀舞ひ             小野寺20

      1 治部    景色がいいですね。快晴の青空が目にうかびます。降り

              積むとして場合、現在降っているようであり快晴ではない

              のかも知れません。(積りし雪に…だと雪の白と空の青が

              明確なのですが…)雀が舞ってるのだから快晴ですよね。

      2 平島    厳めしい黒い色の鬼瓦、そこに降り積む白い雪。この雪

              に遊び戯れる可愛い雀の踊り。蕪村的絵画。

(029) かくれんぼこんなところにからすうり       深瀬06

      1 新井    すべてひらがなにしたところが印象的で、子供の心を表

              しているようです。

      2 吉良    幼いこどものちょっとした事に対する純粋な驚きの心を

              表現できることに驚嘆しました。

      3 宮澤    いつもと違う動きをしたときに、何か思わぬ発見がある

          と、自分にまだこんな感受性があったのかとうれしくなり

          ます。

(030) 元日の朝の神社に白い息             新井06

(031) 冬木立快晴の空突き刺しぬ            豊06

      1 志方

      2 橋本    見上げればまさしくこの表現、いいですね。

(032) 米中のまなじり険しお正月            深瀬18

(033) 鮮やかに柿の葉濡れて初時雨           小野寺03

      1 中津川  先日紅くなった柿の葉がわずか数枚残っているのを見ま

          した。

      2 秋元

(034) 冬紅葉逝きし報せを後で知り           中津川05

      1 治部    訃報を聞いて「そんな前に」という事よくあります。家

              族だけで送ることが多いからでしょうか、コロナのせいで

              しょうか、寂しい別れが増えたように思います。気持ちそ

              のままで、冬紅葉がよく表していると思います。

(035) 柚子かほる無音の闇夜迫り来て          小野寺19

      1 柳町

      2 服部

      3 橋本    黄色い柚子とその香りが閑かな闇夜に包まれていく、、

          、情景はいくつか浮びます。

      4 秋元

(036) 水仙や時空旅して今ここに            深瀬04

      1 平島    あまり俳句に馴染む言葉ではない時空。でも哲学的には

              時間も空間も同義語。今ここに生きていることの有難さ、

              尊さ。可憐な水仙が引き立っています。

      2 豊      不思議な味わいのある句ですね。どのような時空を旅し

              たのかはわかりませんが、「人生」の象徴として読むと、

              なかなか深い趣があります。

(037) カメラマン一瞬とらえる流れ星          新井01

(038) 正月も朝からゲームの孫達よ           服部03

      1 桑子    小生の孫達も全く同じです。

(039) 寒空に銀漢流れ大宇宙              志方04

(040) 新聞を切り抜き過ごす三が日           深瀬16

(041) 椋鳥 (むくどり) の騒ぎ包みて帷 (とばり) 降り  小野寺18

      1 宮澤    鳥のさえずりというにはやや騒音に近い椋鳥の声を、帷

          で光と一緒にを包むという感覚が素敵です。

(042) 寒風や一人佇むショット待ち           桑子04

      1 治部    ロングヒッターが同伴者のセカンドショットの後、前の

              組のグリーンが空くのを待っているのでしょうか。2オン

              狙いですかね。寒いですね。まさか一人ゴルフではないで

              すよね。

(043) 年の瀬に行き交う人も儘ならず          秋元02

(044) 隠居者の部屋はすっきりお正月          深瀬13

(045) 吐く息で指を暖め霜の朝             豊05

      1 深瀬    子どもころをなつかしく思い出します。しばらく霜をみ

           ていません。

(046) 孫帰省疲れも忘れ遊びナウ            柳町02

(047) 近き嶺暮れて遠山冬茜              小野寺07

      1 治部    選者は八王子に住んでいますので、高尾の山々が近くに

              見えます。冬の日が沈むとその赤をバックに手前の山々が

              黒く遠くに感じます。同じ光景ですかね。科学で説明でき

              るのでしょうが、不思議なままがいいです。

      2 豊      無駄な言葉のない、いい句だと思います。「冬茜」とし

              たことで、冬の夕映えの美しさが伝わってきます。

      3 秋元

      4 桑子

(048) 割烹着師走の母を想い出し            志方07

(049) 四面楚歌越え来し峰に寒椿            小野寺13

(050) ミチクサに池を巡りて漱石忌           桑子02

      1 橋本    小説名をうまく取り込んで面白い。

(051) 神様も覚えきれない願い事            新井05

(052) 鳶の輪を残して古都の秋は暮れ          小野寺12

      1 志方

      初日の出~世界十景 (10句)            深瀬  

(053) 宇宙から見ればなんなの初日の出         深瀬19

      1 吉良    面白い試みとして楽しめました。

      2 中津川  初日の出世界10景のアイデアを選びました。

(054) 紫禁城いらかに燃える初日の出          深瀬20

      1 吉良    面白い試みとして楽しめました。

(055) ガンジスの荼毘の岸辺に初日の出                深瀬21

      1 吉良    面白い試みとして楽しめました。

      2 小野寺  ガンジス川に死者をおくりその岸辺から新年の太陽があ

              がる。繰り返し続く輪廻と悠久の生生流転を感じます。

(056) キャラバンを砂紋にうかす初日の出        深瀬22

      1 治部    何だか昔の映画で見たような光景です。陽炎のように揺

              れていました。これ、初日の出ですか。選者も是非見たい

              と思いました。

      2 平島    色んな世界の日の出を詠んでおられる中で月の砂漠を彷

              彿させるキャラバンと砂紋を配置して日本のお正月を思い

              ささせる対象の妙。スケールの大きい句です。

      3 吉良    面白い試みとして楽しめました。

(057) アメリカの荒野の地平初日の出          深瀬23

      1 吉良    面白い試みとして楽しめました。

(058) 朱を深めエアーズロックに初日の出        深瀬24

      1 新井    エアーズロックのダイナミックな光景が一気に迫ってき

              ました、今は「ウルル」という名前になったでしょうか。

      2 吉良    面白い試みとして楽しめました。

      3 服部

      4 桑子    初日の出~世界十景の中で砂漠の日の出は一度は見たい

              ものです。

(059) 初日の出伊豆の海原万華鏡            深瀬25

      1 平島    日本での初日の出。伊豆から東の空に昇ってくる旭日が

              相模灘の海原を刻々変化する色に染めている。これも時空

              をとらえた佳い句だと思います。

      2 吉良    面白い試みとして楽しめました。

(060) 柏手のひびく出雲の初日の出           深瀬26

      1 吉良    面白い試みとして楽しめました。

(061) 石組みの濠 (ほり) に清らか初日の出       深瀬27

      1 吉良    面白い試みとして楽しめました。

      2 橋本    十句の中から、日本の地味 (寂び?) な初日の出を選び

          ました。

(062) 湾岸のビルとブリッジ初日の出          深瀬28

      1 吉良    面白い試みとして楽しめました。

(063) 味深し杵つき餅の雑煮かな            橋本05

      1 宮澤    もう何年も機械でついた餅ばかりで正月を過ごしていま

          す。杵も臼も見なくなって久しいが、つき加減が時々乱れ

           る人力だよりが懐かしいです。美は乱調にあり。

      2 深瀬    臼と杵でうったお餅の味は違うのだろうと想像しました。

      3 秋元

      4 小野寺  市販のサトーの切り餅ではない杵付き餅の味はまた深い

              味わいがあるのでしょう。

(064) 老いてなほ黄昏寒し独酒かな           志方01

      1 柳町

(065) ワクチンを待つ身に響く汽笛かな         新井08

(066) 急流に紅葉敷き詰め陽は落ちぬ          小野寺01

(067) 夜目遠目落とした物も気がつかず         秋元03

(068) 会えぬから今年こそ書く年賀状          中津川07

      1 深瀬    こちらはもう会うことがないだろうと思う人には今年で

          やめることにしました。

      2 小野寺  年賀状は今年限りとくる人々の賀状ですがコロナで会え

              ぬ親しい人達との交流はまた別な温もりがあると思います。

(069) お正月孫を迎えて子は父に            深瀬15

      1 治部    ジジババが目を細めているそのままの気持ち。正月に皆

              が集まっている賑やかな様子が見えます。

      2 柳町

(070) 紅白のビデオ見つつ雑煮味う           柳町03

(071) 黄昏の落ち葉まといて笑顔行く          吉良04

(072) 千年の古都鎮めさせ時雨降る           小野寺05

(073) しもやけの孫と割る手や鏡餅           柳町01

      1 豊      ユニークなところに目をつけた句ですね。「しもやけの

              手の孫と割る」としたほうが、お孫さんの印象が強くなっ

              たのではないかと思いますが、どうでしょう。

(074) お正月重ねし回の遠く消え            深瀬10

(075) 凩 (こがらし) が哭きて故郷の無人駅       小野寺15

      1 治部    久々に帰ってきた故郷なのですね。凩と今時の無人駅で、

              寒々として昔と何も変わっていない様子がうかがえます。

      2 柳町

      3 服部

      4 志方

(076) 故郷の味なつかしき雑煮かな           豊03

(077) 除夜の鐘待つ夕水仙ひっそりと          新井09

(078) 雪濡れのほおかすめ哭く潮の音          小野寺09

(079) 年惜しむ残り少なき老ひ刻み           深瀬03

      1 豊      老年の心境、同感です。

(080) 身をそぎて凜とそびえり枯れ銀杏         吉良01

      1 柳町

      2 志方

      3 宮澤    葉を落としきり、潔く素っ裸になってまた来年と言って

          いるようで、冬の銀杏ほんとに凛としています。

      4 中津川  年輪を重ねそびえている様がわかります。

      5 桑子

(081) 朋去りぬ酔えぬ酒浴び明けの星          小野寺21

(082) クリスマス深紅のネクタイ輝けり         新井02

      1 橋本    クリスマスは何故か赤が似合います、ネクタイですか。

(083) ふるさとの森眠らせて冬銀河           小野寺17

(084) 木枯らしに老い桜耐えまた春を          志方02

      1 小野寺  冬の木枯らしの厳しい寒さに耐え春を待つ老木の芯の強

              さはただものではありません。春爛漫の桜の光景が浮かび

              上がります。

(085) お正月澄みし空気に老いきざみ          深瀬17

(086) 祈る男賽銭箱の脇隠れ              新井04

(087) 膝痛し風花舞いて峠越え             中津川03

(088) 混沌の二年を咲くや冬の薔薇           小野寺11

      1 新井    このご時世にも負けずに美しく咲く薔薇。勇気づけられ

              ます。

      2 平島    コロナコロナで振り回された二年でした。誰もが複雑な

              思いを抱いて過ごした二年でした。でも薔薇はそんな浮世

              の騒擾には関係なく寒い冬に凛と咲いている。人間もこう

              で無くちゃあ。

      3 吉良    コロナ禍の2 年、人間の混乱とは関係なく、冬になると

              美しい花を咲かせるバラの自然の力を感じます。

      4 宮澤    コロナで暮れ、コロナで明けるという年をまたいで、寒

          さに負けずけなげに咲く薔薇に、何か希望を託したくなり

          ます。

(089) 静かさに老いをかさねてお正月          深瀬14

(090) つむじ風落葉舞上げ路掃除            桑子01

      1 新井    小さな光景ですが、一瞬をうまく表しておられます。

(091) 葉も散りて梢の先の熟柿かな           志方06

      1 小野寺  紅葉の柿の葉は全て散り去った梢の先にポツンと残った

              熟柿は寒さを凌ぐ鳥達の為に残した自然の恵でしょうか。

              熟柿を眺める作者の柔らかい心の温かみを感じます。

(092) 水仙の切り花包むパステル色           新井07

(093) やはらかき猫の和毛 (にこげ) か冬の薔薇     小野寺02

(094) 山稜の寒さを刻む夕照が             志方03

(095) 年始め今年もテレビで待つ駅伝          中津川06

(096) ワクチンに振り回されし年惜しむ         新井10

      1 桑子    全くワクチンに翻弄された1年でした。

(097) 艶めきの過ぎてあはれを散るもみぢ        小野寺06

      1 柳町

      2 志方

      3 中津川  もみぢが枯れ散って地面が紅くなっている様が見えます。

(098) 宝くじ懲りずに夢見る去年今年          服部01

      1 中津川  私も年末ジャンボだけは毎年買っています。

(099) 正月や二年ぶりの孫を待つ            中津川01

(100) 落葉踏む音も静けし夫婦老う           吉良03

(101) お正月ことしの抱負夢の中            深瀬11

(102) 小夜時雨沖の小舟に灯り揺れ           小野寺04

      1 桑子    幻想的な光景が目に浮かびます。

(103) 帰らざる宇宙の時流年惜しむ           深瀬02

(104) 北風に寒波を連れた雲の峰            橋本03

      1 柳町

(105) 若きよりLINEで届く年賀状            豊02

(106) 去年今年つらぬくものはなにか問い        深瀬08

      1 平島    今の時代時間がとてつもなく速く流れて行き不易流行と

              は何か考えさせられます。早すぎる有為転変のなかに昔か

              ら変わらぬ不変の価値あるものは無いものかねえ!  ある

              けれど見過ごしていないか?  自問自答が良いなあ。

      2 橋本    地球の、また日本の問題を考え根源を問う、大きいです

          ね。どう動きますか。


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  補足


 選句者の選句におけるコメントを僣越ですがご参考までにご紹介します。


・新井さん

  楽しかったので8 句選んだのですが、だめでしょうか。


・小野寺さん

  今回は全く予期せね突然の友人の死に遭遇し、投句が浮かんで来ず大変苦労

しましたが、寄せられた皆さんの句の中に心に響く句が沢山あり選句七句では

足りないな、と思いました。

  我々はもう明日がわからない境遇に足を踏み入れているのだとしみじみと思

いました。

  自分が生きてきた証とは何であろうと自問します。久しぶりに厳しい寒さの

中で流星群を眺めましたが、不思議な心の落ち着きを覚えました。

  悠久の厳しい大自然の中で芥子粒の様な存在ながら心して生きたいと感じた

次第です。


・志方さん

  以上それぞれの句には古希過ぎて老境の心象風景があふれて、選句に苦労し

ました。


・治部さん

  今回は投句をサボりました。ので、選句は早めにと。いつも通り素人のくせ

に勝手なことを書きました。適当にカットしてください。


・橋本さん

  オミクロン株の感染が激増中ですが、ワクチン・飲み薬が有効になり、早く

インフルエンザ並の扱いになることを願うばかりです。


・平島さん

  また選句のみで参加させて頂きます。

  以上七句勝手な独断での選句です。他にも共感を覚える句も多いのですが限

定で七句しかないのであしからず。


・宮澤さん

 年明けに合わせオミクロン株の猛威で、困ったものです。「いい加減にしろ

」と誰に言ったらよいのか?

  投句はパスさせていただきましたが、選句には参加させていただき下記6 句

選句しました。

  ところで、貴メールで小笠原さん経由で元IHI の亀井氏が亡くなった知らせ

に触れていました。

  小生のIHI 勤務は化学プラントの業務が主でしたが、10年弱物流システム業

務にも携わっていました。その関係で、先週の13日に旧物流システムOBのゴル

フコンペに行った際、亀井氏が亡くなったことが話題になっていました。

  そのゴルフコンペは10年近く続いていますがその初期に、亀井氏も仲間であ

ったとのこと。小生自身は、亀井氏との接点はあまりありませんが、思わぬ縁

に驚いています。

  小笠原さんと亀井氏の縁が分からないので話が見えないところがあります。


・柳町さん

  訳の分からぬオミクロン株の跋扈で未だにGolf以外の外出もままならず、こ

の鬱憤をどこに向けたらいいのやらーーーーーー!!??


・豊さん

 以下の通り選句します。今回は力作揃いで、迷いました。


                                                                                                                                            

2021年12月10日金曜日

七句会 第7 回 自由連句の結果です。

  七句会 第7 回 自由連句のみなさま


 10月はじめからスタートした今回の歌仙も無事、満尾することができました。

感想、等を後ろにつけました。よろしくお願いします。



 初折表

01 発句  夏   紫陽花の青滴りて虹の玉                (小野寺) 

02 脇   夏    天道虫 (てんとう虫) はいま飛び立てり (吉良) 

03 第三  雑  コロナ禍の収まり活気飲み屋街          (深瀬) 

04 四句目 雑    お久ぶりね酒盃しみいる             (志方) 

05 月の座  秋  ススキ野や月にいるうさぎはいずこ      (豊) 

06 折端    秋    鰯雲越え火星目指すや                (小野寺) 


 初折裏

07 折立    秋  徒然に孫の手ひきて茸狩り              (吉良) 

08 二句目  雑    乳白色の美肌にとろける              (新井) 

09 三句目  雑  のど越しに讃岐うどんがつるりんと      (志方) 

10 四句目  雑    天国地獄人の世の旅                  (深瀬) 

11 五句目  雑  腰すえて流れのままに棹差さん          (小野寺) 

12 六句目  雑    無限軌道の円の道かな                (豊) 

13 月の座  冬  満月のアタック一打星散らし            (新井) 

14 八句目  冬    冬眠覚めて熊は戸惑う              (吉良) 

15 九句目  雑  去年とは一変したる穴の外             (豊) 

16 十句目  雑    紅葉彩 (いろどり) 日々深まりて    (志方) 

17 花の座  春  花のした孫や曾孫の家族行く       (深瀬) 

18 折端    春    桃の節句を宇宙で言祝ぐ (ことほぐ)   (小野寺) 


 名残表

19 折立    春  お花見のパンダ愛でる子歌う夢          (新井) 

20 二句目  雑    科学のひかり深まる闇間              (深瀬) 

21 三句目  雑  朝陽射す人の心に夢を呼び             (小野寺) 

22 四句目  雑    明るきところ影ありと知る            (豊) 

23 五句目  夏  向日葵の枯れた小道に願う人            (新井) 

24 六句目  夏     フラメンコ舞いほとばしる汗          (吉良) 

25 七句目  雑   シャガールの絵筆のそばで愛語らん      (新井) 

26 八句目  雑     地蔵微笑む夕陽を浴びて             (志方) 

27 九句目  雑   烏飛ぶ山郷近し旅の宿                 (吉良) 

28 十句目  雑     夜明けの空は風煌 (きら) めきて      (小野寺) 

29 月の座  秋   残照のすすきの河原風渡る            (志方) 

30 折端    秋     山々澄みて魁夷を偲ぶ              (深瀬) 


  名残裏

31 折立    秋   谷川に紅葉敷き詰め陽は落ちぬ        (小野寺) 

32 二句目  雑     赤ちゃんに万札を握らせ            (豊) 

33 三句目  雑   老いてなお「学び続けよ」天の声       (吉良) 

34 四句目  春     ドローン操り鶯の友                  (新井) 

35 花の座  春   菜の花の油で料理いろいろと            (豊) 

36 挙句    春     何はなくとも筍御飯              (志方) 



 36の付け筋 (志方さん) 

  幼き頃から、混ぜご飯が大好きで、よくお代りをしておりました。地表にわ

ずかにか顔出す春先の筍の穂先の生命力が感じられる料理です。


 35の付け筋 (豊さん) 

  春と言えば菜の花。ドローンが菜の花畑の上を飛んでいます。たくさんの菜

の花から取った菜種油で、今夜はどんな料理を作りましょうか。


 34の付け筋 (新井さん) 

  人生の後半の学びは、今の時代はIT。デジタル機器をマスターし、ドローン

を日常的に操れる日が来るかもしれません。そして、鶯を追いかけて、仲間と

思ってもらえたら楽しいことでしょう…。


 33の付け筋 (吉良さん) 

  1 万円札といえば肖像福沢諭吉「学問のすすめ」。団塊の世代は揺り籠から

墓場まで競争の時代を生き抜く運命ですね。


 32の付け筋 (豊さん) 

  秋の自然の句が続いたので、人間に転換しました。赤ちゃんの手は紅葉にた

とえられます。その手に一万円札を握らせて、将来お金を稼げる人間になって

ほしいと願う親です。


 31の付け筋 (小野寺さん) 

  東山魁夷の作品からは静謐な画風が感じられます。秋深い谷川の清流の底に

鮮やかな紅葉が沈む速い流れは、おりしも秋の落日の輝きと相まって不思議な

静謐を醸し出しておりました。


 30の付け筋 (深瀬) 

  「残照」というと東山魁夷の絵画が想いだされます。「風渡る」から地球温

暖化のことでも詠もうかと思ったのですが、前にシャガールが出ているので、

日本画家を出してみました。

  http://higashiyama-kaii.or.jp/残照.html 


 29の付け筋 (志方さん) 

  多摩川の土手に咲き乱れるすすきの穂が風に揺られている情景を詠んでみま

した。


 28の付け筋 (小野寺さん) 

  吉良さんの旅の宿を受けて、懐かしい旅の宿で熟睡した翌日、清々しい夜明

けの朝、風が光り輝いて流れてゆくのを感じた事でした。


 27の付け筋 (吉良さん) 

  夕日のお地蔵様には日本の原風景の烏が欠かせません。疲れた旅人が烏の住

む山郷の宿を目指している風景を描きました。


 26の付け筋 (志方さん) 

  シャガールの絵画も何か優しさを空想させる作品が多いと記憶しております

。小学生時代、故郷の分かれ道に、一対のお地蔵さんが祭られており、遊び疲

れての帰り道夕陽が挿し込んで、慈しみ深い眼差しが思い出されます。


 25の付け筋 (新井さん) 

  娘を見かけたシャガールが、熱心に誘って自分の絵のモデルにします。恋を

夢見る娘には本望。幻想的な絵に描いてもらえるものの、シャガールの相手で

は複雑さが残ります。


 24の付け筋 (吉良さん) 

  向日葵の枯れた暑さの残る夕方、裏路地では恋を願う村娘が一心不乱にフラ

メンコを踊っています。


 23の付け筋 (新井さん) 

  明るい方向を向いてどんどん伸びる向日葵…。近所の小学校の小道に, 降り

注ぐ太陽を浴びる向日葵を見た夏。秋に通りがかると、学校は選挙会場となり

、小道にちょっとイライラした感じで並ぶ人々を見かけました。夏の明るさと

は対照的で、今の落ち着かない世相を見た気がします…。 (夏から秋を語る) 


 22の付け筋 (豊さん) 

  光には闇、明には暗、善には悪、物事には必ず表と裏の二面性があります。

人の心も同じでしょう。夢に燃えて充実するときもあれば、夢破れて絶望する

ときもある。人生の浮き沈み、一喜一憂せずにのんびり行くのがいいのです。


 21の付け筋 (小野寺さん) 

  科学技術の進歩で、人類は不可能を可能にしてきました。しかしどんなに科

学技術や医学が進歩しても人の生き死には如何となりません。コロナに始まる

世界規模での暗い世相の中人の心に希望の虹を創りだすのは一筋の陽の光かも

しれません。

 昨今の世界の鉄鋼需給は混沌の最中にありロシアやインドの安定で久々に落

ち着くかと見えた市況が突然の中国ミルの投げ売りで大混乱に陥っておりこの

数日徹夜に近い経験をしました。酔眼朦朧として、投句してはいけませんね。

笑  世界規模でミルは空前の利益をあげてますがトレーダーは散々です。

  それでもこの緊張が絵を描くエネルギーになるかもと勝手に独り慰めてます

。ご指摘に感謝です。シャキッとしました。


 20の付け筋 (深瀬) 

  ゲノム編集によってパンダの人工繁殖や小型化が実現し、ペットとして広く

普及するというのは、なにかブラックユーモアだと思います。効果的な新薬が

開発されても高額すぎて使用できる人が限られるとか、どうなるのでしょう。

 

 19の付け筋 (新井さん) 

  状況の変化は動物たちにも及び…、今より色々な動物たちが身近になり、パ

ンダの繁殖も成功、身近に見られるようになるでしょう。上野公園に子供たち

とお花見に行き、パンダのそばで子供たちが未来を夢見て歌う…、そんなにぎ

やかな未来を描きました。


 18の付け筋 (小野寺さん) 

  昨今の状況変化は激しさは増しております。直ぐに孫達ぐらいでは、無理で

しょうが曽孫ぐらいの時代には自由に宇宙を行き来する時代が来るかもしれま

せんね。


 17の付け筋 (深瀬) 

  今後の世界の激変を危惧しますが、孫や曾孫の家族が花見をたのしんでいる

であろうことを願っています。100 歳くらいまで元気で生きていれば一緒に過

ごせるのでしょうか。


 16の付け筋 (志方さん) 

  このところの、コロナウィルスの減少ぶり、自然の調和力が人知をこえてあ

るのかもしれません。そんな中で、今年の秋の紅葉は淡々と深まる様はやはり

自然の流れのようです。年々歳々花相似たりの句が思い浮かべた次第です。


 15の付け筋 (豊さん) 

  外に出てみたら、周囲の様子が冬眠前の世界とはすっかり変わっていたので

す。核戦争で人類が滅亡してしまったのか、大規模な気候変動で自然が壊れて

しまったのか。S F的発想です。


 14の付け筋 (吉良さん) 

  月のアタックで散った星が地表に落ちて冬眠中の熊を目覚めさせたようです。


 13の付け筋 (新井さん) 

  満月をバレーボールのように思い切りアタック、破片で辺りの星を散らすこ

とで、世界が変わり、劇的に現状を変えたらどうだろうな…と思います。


 12の付け筋 (豊さん) 

  川の流れにはいつかは終点がありますが、丸い円の道は同じところをぐるぐ

るまわり続けるだけで、終点も出口もありません。あえてひねった句にしてみ

ました。


 11の付け筋 (小野寺さん) 

  人生の変遷はまさに山あり谷ありです。水源に始まる川の流れもまた奔流を

経て海に注ぎますが、流れに逆らわずしてしかも、その流れを見極めながら舵

取りをして生きたいものです。


 10の付け筋 (深瀬) 

  うどんがつるんとのどを通ったあとのことなどを思いました。それを人に当

てはめると、人生には、多様な天国と地獄のときが、入れ代わり立ち代わり現

れるものではないでしょうか。


 09の付け筋 (志方さん) 

  讃岐うどんは何と言っても弾力性が命で、咽喉につるりと入る味わいが醍醐

味です。分葱と生姜をたっぷり添えて。さっと生醤油をかけて熱い麺をすする

。ああ峠の立ち食いうどん屋で食したときは、一杯50円でした(35年前)

ちなみにタクシー代は往復5千円でしたけど。。。。


 08の付け筋 (新井さん) 

  茸のクリームパスタを作りたくなりました。ホワイトソースをお鍋でかき混

ぜているうちに、乳白色になり、つやが出て、美味しそう…と見え、だんだん

と「美白つや出しクリーム」に見えてきました。最近、石田ゆり子が宣伝して

いる資生堂のつや出しクリームを思い浮かべました。(アラフィフの女性に人

気No.1なのです)美味しいクリームパスタを食べ、肌によく作用するといいだ

ろうな…、と楽しい連想が浮かびました。


 07の付け筋 (吉良さん) 

  コロナ禍も明け、久しぶりに故郷に帰ってきた息子家族と宇宙すごろくゲー

ムで月・火星旅行して遊び疲れ、やることもなくに裏山に茸狩りに出かけまし

た。 


 06の付け筋 (小野寺さん) 

  月に人類が降りたって半世紀。うさぎ伝説を超え今やアメリカの火星探査機

パーサビアランスは地球の隣の惑星に降り立ち、荒涼とした赤い風景に驚きま

した。茜の鰯雲の先に人類の夢は広がります。


 05の付け筋 (豊さん) 

  ススキ野原で満月を見上げながら月見酒をしています。月にはうさぎがいる

という伝説がありましたが、宇宙時代の今日、あの伝説はどうなってしまった

のでしょうか。


 04の付け筋 (志方さん) 

  赤提灯が何故か生き生きと輝き、暖簾がおいでとおいでと手招きするので。

。。。 抗しがたい誘いです。


 03の付け筋 (深瀬) 

  コロナ禍が急速に収まりつつあります。飲み屋さんの前を通ると店員にかな

り気合が入っているのを感じます。飛び立つものが違いますが。


 02の付け筋 (吉良さん) 

  雨に葉陰で息ひそめていた天道虫が、紫陽花に光をそそぐ太陽に向かって一

斉に飛翔している様子を読みました。


 深瀬 (事務方) 



・補足 適宜、下記を参照いただければ幸いです。

 七句会第7 回自由連句の要領

  http://nanaku-haiku.blogspot.com/2021/10/7.html 



  追記  いただいた感想、等。


・豊さん


  志方さんの見事な挙句でうまく収まりましたね。私自身もそうですが、回を

重ねるにつれて皆さん慣れてきたようで、面白くなってきました。

 次回も楽しみです。


・平島さん


  満尾おめでとうございます。また勝手に好きなことを言わせてもらいます。

  深瀬さん:世相や身近な題材も入れられて目が広く行き渡って流石です。

  志方さん:呑兵衛、食いしん坊の面目躍如。

  吉良さん:退院されて自然現象や人事に細やかな観察特に最後の学び続ける

はゴヤの晩年の有名なスケッチ「俺はまだ学ぶぞ!」を彷彿させる良い句だと

思います。

  豊さん :やはり練達の読み手ですね。大胆な転じ方、軽いいなし方など慣

れておられるなあ。

  新井さん:唯一紅一点でやはり女らしさが現れて全体に華やぎを醸し出され

ています。

  小野寺さん:句に天象が多く例えば 虹 鰯雲 火星 空 風  夜明け な

どやはり発想の貧困と言われても仕方ないでしょうね。もうひとつ19句で新

井さんが歌う夢に対して21句で夢を呼び とあるのは観音開きに当たり避けら

れた方が良いとされいます。これも天象に関わりますが陽の字が頻繁に出てき

ます。現役で仕事をされたおられ多忙ではあると思いますが人の句にも気を配

られて同字重用はなるべく避けられるのが良いと思います。身内の後輩だから

か言いたいことを言わせてもらいました。済みません。

  でも皆さんがこうやって楽しく作品を作り上げておられるのはきっと良い思

い出になると思います。小野寺さんは母上が百歳の誕生日を迎えられた年の興

行ということで忘れられない記念の連句だと思います。これからも皆さん和気

あいあいに続けられんことを祈っています。深瀬さんの纏め上手がある限りま

だ当分は楽しめることでしょう。

  何時も年寄りの言いたい放題で申し訳ありません。今後ともよろしくお願い

します。


・深瀬


  平島さん

  平島さんならではの踏み込んだコメント、たいへんありがとうございます。

  連句には、句会とは異なり、詠み手同志のつながりのようなものがあり、そ

の辺を平島さんのコメントからよりはっきり感ずることができました。

  個人的には、詠む順番とか、展開のダイナミズムとか、さらに工夫が必要か

なと感じたりもしています。

  少しずつでもたのしさが増していくように、これからもよろしくご指導のほ

どお願いします。


・小野寺さん


 平島さん

 第七回自由連句

 句に天象が多すぎる、とのご指摘全く気付かずに、意識せずに発句していた

事反省です。発想の貧困その通りです!もう少し大胆に世相や身近な題材も入

れて、流れを変えていける様にしてみます。これは絵画の創作にも同じで発想

の転換、大胆な試みに常に挑戦できる様に気配りができるようにしてゆきます。

  コロナの為に二年半ぶりで会いにいきました100 歳になった母が、新しい画

材に対して、まだまだ好奇心をつねらせている事に感心してきました。常日頃

から新しい事に挑戦できる感性や意識を培って行きたいと思います。

  二年間延期してきた来年の二月から始まる絵画の個展に向けて一層の精進を

したいと思います。

  目から鱗のご指摘に感謝です。



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2021年11月4日木曜日

七句会 第三十七回目のネット句会 感想、自句自解をご報告します。

  七句会のみなさま


 第三十七回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、

たいへんありがとうございました。

 およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ

てお届けします。

 今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。

 七句会のweb  http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。

  今後とも、よろしくお願いいたします。

  深瀬 (事務方) 



1.第37回  ネット句会  作品集


(01)秋元さん

・焼き茄子と香り味噌にて夕餉かな


(02)新井さん

・ふくらはぎ秋の灯に沿いもみほぐす

・秋の灯に百人一首めくるめく

・刈田から手招く笑顔ひいじいちゃん

・寂し気に刈田にたたずむペルシャ猫

・草の陰白いラッパの秋奏で

・三十歳自由へ飛び立つシンデレラ

・摩天楼無垢な瞳に影映す

・摩天楼彷徨う二人を包み込み

・ウォーキング最も安価な減量法


(03)小野寺さん

・日だまりに肩で息つく秋の蝶

・引き波は砕けて光り鰯雲

・帯解きし祇園囃子の古都の宵

・蛍火は鼓動となりて闇に棲み

・雲一朶芒の原を翳らせて

・あだし野に一期の別れ曼珠沙華

・カナカナの声こだまして友は発ち

・水澄みて瀬音駆け抜くオニヤンマ

・冬銀河原野の町に沈みけり

・川底に陽の光りあり秋の影

・荒海に冬の銀河は傾きて

・時雨哭く朋逝きし夜の濁り酒

・シベリアの鉄路凍らせ冬銀河

・熟柿食ふ陽の匂ひして腹に沁み

・百舌鳥 (もず) 鳴きて墨の香りに筆を置き

・銀杏散り黒き梢に白き月

・鳥渡る故郷の祖父と別れし日

・朋惜しむ読経のしじま蝉時雨

・独り酒今生きてをり時雨降る

・黒髪の匂ひ羽織りて紅葉燃え

・新酒酌む深き匂いに父偲ぶ

・谷川を紅葉流れて朋は逝き


(04)吉良さん

 舌癌の手術治療を受けて:

・臥して見る天井奥に銀河濃し

・病室の窓泳ぎ行く鱗雲

・舌腫れて柘榴のごとく鎮座せり

・舌を病み知る美味しさぞ新豆腐

・とろろ汁食うもどかしさ痺れ舌


(05)桑子さん

・ISS一直線に宵の秋

・敬老会古希過ぎてなお若手かな

・池ポチャに100切りならぬ秋の夕

・物言えば3 倍返し秋の声

・名月や輝き放つ星二つ


(06)志方さん

・さわやかにピュアーピンクの百日紅

・茜舞う風穂の先の草千里

・彼岸花黄泉に誘う思い馳せ

・切り通し超えて山路に地蔵かな

・山霧が流れ林に郭公が

・久方の暖簾をくぐり喉癒す

・懐かしき赤提灯はお馴染みさん


(07)治部さん

・老いらくや今更のジム秋の風

・ティーショット道具に頼る秋の空

・二学期がリモートとなる孫の鬱

・月明かり隣家と柿の今は無く

・一打差でコンペを制し山も澄む


(08)中津川さん

・紅白や敬老餅と彼岸花

・痛いほどきっと味良し栗拾い

・信濃路やそよぎ光りてそばの花

・稲穂垂れ思い出多し蝗取り

・赤蜻蛉半袖シャツを追い出せり

・色溢れ果物の秋道の駅

・高過ぎる買う気の起きぬ痩せさんま


(09)橋本さん

・風に乗り遙かな法師蝉時雨

・かなかなの一鳴き響き森暮れる

・古希過ぎて初孫を抱く赤とんぼ

・孫二人大の字揃へて眠る秋

・夜風入れ虫の音を聞く良夜かな


(10)服部さん

・お隣も旦那がゴミ出し秋の朝

・お釈迦様秋の日差しに目を細め

・懐かしや火薬の匂い運動会

・秋麗店主の居眠り骨董市

・秋涼し今宵の酒はチンをして


(11)宮澤さん

・プロ野球残り試合で秋を知る

・半身づつサンマ高値で睦まじく

・風の音谷に集いて秋深し

・千鳥足舗道の銀杏 (ぎんなん) 踏まぬよう

  (本句は、公序良俗に反するようでしたら割愛願います。) 

・秋風に胸の谷間も店 (見せ) 仕舞い


(12)柳町さん

・香りたつ菊の白さに母想う

・我が庵は終の棲家や紅紅葉

  

(13)豊さん

・旅寝かな中天の月枕とし

・時刻む柱時計や秋深し

・野分後の澄みたる空の青さかな

・熟柿枝より落ちる五秒前

・人も樹もいま黄落の時の中


(14)深瀬

・狂騒の東京音頭に阿鼻の陰

・盆踊り漁火遠く伊豆の浜

・盆踊りセザンヌの構図行き来して

・じゃがいもの地中つらなる小惑星

・エルドラドじゃがいもの皮アンデス史

・秋の夜ゆぶねでしばし目をつむり

・秋の陽に疲れを知らぬ孫の声

・コロナ禍の人生の秋これもあり

・深む老い肩に背負いて秋の暮れ

・日比谷にて議事堂噴水秋の風

・秋日差し永久 (とわ) に地にあれ祈るかな

・秋深夜トイレに起きてポップコーン

・図書室の学生まばら秋の朝

・曼珠沙華さんぽの道にみつけおり

・いつのまに手すりに頼る老いの秋

・ふるさとへ刈田のつづく鉄路行く

・原発の廃墟に並ぶ刈田かな

・一年の仕事終わりし刈田かな

・秋灯下祖父の形見の拡大鏡

・秋灯の団地の窓に老いの影



2.第37回  ネット句会  自句自解


◎  新井さんの自句自解


  自句自解

・ふくらはぎ秋の灯に沿いもみほぐす

 秋の夜、夏の気配の残る昼間を過ごし、寝る前に明かりでふくらはぎを照ら

し、丹念にもみほぐします。1日の疲れをとるために…。


・秋の灯に百人一首めくるめく

 秋の夜長に延々と百人一首を一枚一枚めくり、唱えて過ごします。お正月の

親戚の集まりで百人一首をしても勝てるでしょう。


・刈田から手招く笑顔ひいじいちゃん

 幼い頃、田舎で曽祖父に「こっちに来てごらん。」と笑顔で呼ばれ、いった

い何があるのだろうかと分からなくなったことがあります。


・寂し気に刈田にたたずむペルシャ猫

 収穫の終わった田んぼにペルシャ猫…変わった組み合わせの光景であったの

で、印象に残っています。


・草の陰白いラッパの秋奏で

 公園の雑草の陰に一凛の白いユリが咲いていました。秋の訪れをを告げるラ

ッパのようでした。


・三十歳自由へ飛び立つシンデレラ

 眞子さまへの応援メッセージです。


・摩天楼無垢な瞳に影映す

 眞子さまのような皇室しかご存じない方は、アメリカ社会での生活にも戸惑

われるかもしれません。


・摩天楼彷徨う二人を包み込み

 色々あったお二人、ニューヨークのパワーの元力強く生きていってほしいで

す。


・ウォーキング最も安価な減量法

 コロナ禍でウォーキングを始めましたが、実感しています。


 感想 (やや深瀬への私信的ですが。深瀬) 

 選句結果、楽しく拝読しました。今回、私は深瀬さんのご作品3点位選んだ

かと思います。感想をお伝えしたくなりました。

 どの作品も、一人の人が詠んだとは思えないくらいに違う雰囲気が流れてお

られます。一つの句ごとに、表したい雰囲気がよく出ておられると思います。

 図書館の静けさや、コロナ禍を達観したようなお気持ちや、十分よく表れて

いると感じました。



◎  小野寺さんの自句自解


(001) 雲一朶芒の原を翳らせて

 桑子さんの感想の通りです。一面の芒の原を翳らせながら一塊の雲が走り流

れてゆく光景です。雲一朶は司馬遼太郎の日露戦争をテーマにした坂の上の雲

の冒頭の文から拝借しました。


(012) 帯解きし祇園囃子の古都の宵

 若い頃の遠い記憶のなかで祇園囃子と太鼓の音が衣摺れの音と共に古都の宵

宮を思い起こします。


(023) 川底に陽の光りあり秋の影

 平島さんの講評そのものです。秋の光と影を川底に見咎めた観察眼。澄んだ

空気、清流に映り消える秋の気配が美しい。と感じたのです。


(025)   引き波は砕けて光り鰯雲

 治部さんと橋本さんの講評の通りです。砕けた引き波の波濤の光の煌めきの

先遥かに鰯雲が流れて、穏やかな秋の気配を感じた事でした。


(031) 銀杏散り黒き梢に白き月

 平島さんの感想の通りです。葉を落として高く聳える銀杏の木々その黒い梢

の先を白い月の光が照らし黒と白い光が一幅の墨絵の様でもありました。


(033) 新酒酌む深き匂いに父偲ぶ

 新酒を開けた時の甘い香りに酒を愛した父を偲び、もっと一緒に飲む機会を

作れば良かったとおもう自責の念を込めて、深い匂いとしたものです。


(040) 熟柿食ふ陽の匂火して腹に沁み

  熟れた柿のしみじみとした美味さは陽をたっぷりと浴びて育まれたものに違

いないのです。橋本さんの感想に脱帽です。


(047) 独り酒今生きてをり時雨降る

 平島さん吉良さんの感想そのものです。人生今まで生きてきていろんな事が

あったけど秋の夜雨の音を聴きながら、独りで酒をしみじみと愉しむ、今生き

ている幸せをかみしめます。


(059) 鳥渡る故郷の祖父と別れし日

 渡り鳥が南に帰る秋の深まった日に遠い故郷の駅頭で手を振ってくれた祖父

の手を思い出します。それが今生の別れとなり、渡り鳥の季節になると小さく

なっていった祖父の姿を思いだします。

  

(065) シベリアの鉄路凍らせ冬銀河

 志方さん豊さんの講評の通りです。シカゴ駐在時代ロシアからの鋼材出荷の

立ち会いに海が凍るとシベリアの鉄道を使いました。極寒の凍てつく鉄路の大

地に冬の銀河が傾き圧倒的な光景でした。


(069) あだし野に一期の別れ曼珠沙華

 平島さんの講評の通りです。人は誰でもいつかは死ぬことは知ってます。し

かしまさかの親友の死に立ち会い、彼岸花が一面に咲くという向こう側の世に

いってしまうとは、なんという事だろう、嗚呼


(075) 日だまりに肩で息つく秋の蝶

 秋の穏やかな日だまりの中夏の暑さを生き抜いてきた羽に破れめのあるタテ

ハ蝶が、ひっそりと羽根を開く様子はまるで肩でかろうじて息継ぎをしている

、と見えたのです。


(083) 百舌鳥( もず) 鳴きて墨の香りに筆を置き

 初冬の夜更け手紙を書く為に墨を摺ると鋭く百舌鳥の声がして、ふと墨の香

りに筆を取るのを忘れてました。



◎ 吉良さんの感想、自句自解

 今回の病気に際して、七句会の皆から励ましのお言葉をいただき有難うござ

いました。希少な舌ガンは意外でした。普段舌の機能など全く意識しなかので

すが、いざ障害をうけるとその絶妙な機能に驚くばかりです。手術後3 週間目

ぐらいから少しづつなんとか痛みも和らぎ食べられるようになり、話も出来る

ようになりました。今回は貴重な体験を5句にしたためた次第です。



◎ 中津川さんの感想、自句自解


 感想

 4点句が5句、3点句が8句、2点句が15句合計28句でした。いつもよ

り分散してているような気がします。それだけ皆さんの作句の広がり、選句へ

の見方、思いが多様化しているのでしょうか?これからも楽しみです。


 自句自解: 

・信濃路やそよぎ光りてそばの花

 4人の方に選んでいただいた句。塩尻近くの「そば切り発祥の里」というお

店の周りが一面そばの花が咲いていてそれが秋風に揺れてそばの味も一段とお

いしく感じられられました。白い花が光っているように感じました。



◎ 豊さんの自句自解


・時刻む柱時計や秋深し 

 いま読み返してみると、われながら何を言いたかったのかわかりません。柱

時計の「ボン」となった音で秋の深さを感じたということなのですが、凡句で

したね。


・旅寝かな中天の月枕とし

 橋本さんのご指摘の通り、「中天の月を枕に旅寝かな」としたほうがよかっ

たと思います。


・熟柿枝より落ちる五秒前 

 「五秒前」という表現をどのように理解してもらえるか不安だったのですが

、中津川さん、ありがとうございました。


・人も樹もいま黄落の時の中 

 吉良さんが疑問に思ったように、「時の中」はわかりにくい表現でした。「

時にあり」とでもしたほうがよかったかもしれません。


・野分後の澄みたる空の青さかな 

 まさにそのままの句です。当たり前すぎてどうかな、と思ったのですが。


 以上、今回の私の作品は凡作で終わったと反省しています。次回はもう少し

いい句を。



◎  深瀬の自句自解


・狂騒の東京音頭に阿鼻の陰

  たくさんの戦死者をだしていた日中戦争や太平洋戦争のさなか、東京音頭に

躍る熱狂があったというのは、なにか怖い感じがします。


・盆踊り漁火遠く伊豆の浜

  浜辺からみた遠近感を表現してみたかったのですが。音のことはあまり意識

しませんでしたが、今後、注意してみたいと思います。


・盆踊りセザンヌの構図行き来して

  セザンヌには沐浴の人体の図がいろいろありますが、盆踊りの人々の体の動

きもユニークだと感じます。


・じゃがいもの地中つらなる小惑星

  「地中つらなる」がよかったのかと。共感をいただきありがとうございまし

た。


・エルドラドじゃがいもの皮アンデス史

  スペイン人の黄金郷を目指したたくましさというのか、すごいと思います。


・秋の夜ゆぶねでしばし目をつむり

  涼しくなってお風呂で目をつむっているとなにか落ち着きます。


・秋の陽に疲れを知らぬ孫の声

  同じマンションに住む孫の声がときどき聞こえます。生命力の違いを実感し

ます。


・コロナ禍の人生の秋これもあり

  コロナ禍の自粛生活がこんなに続くとは思いませんでした。団塊の世代の戦

争体験みたいにも感じます。


・深む老い肩に背負いて秋の暮れ

  70歳をすぎ、疲労感とか眠気とかに襲われる時間が多くなりました。


・日比谷にて議事堂噴水秋の風

  自宅に一日いるのは鬱陶しいので、日比谷図書館にときどき行っています。


・秋日差し永久 (とわ) に地にあれ祈るかな

  秋の日差しの温かさに生命の源泉を感じたりします。環境破壊が心配です。


・秋深夜トイレに起きてポップコーン

  夜中、口淋しさでなにか口に入れたくなります。ポップコーンなら太らない

かなどと思うのですが。


・図書室の学生まばら秋の朝

  卒業した大学の図書館を利用できます。コロナ禍のためか朝はかなりすいて

います。


・曼珠沙華さんぽの道にみつけおり

  いつも歩いている歩道の脇に白い曼珠沙華が咲いているのに驚きました。


・いつのまに手すりに頼る老いの秋

  この前まで自宅のなかの階段の手摺りなんかは目に入らなかったのですが。


・ふるさとへ刈田のつづく鉄路行く

  両親の郷里の秋田には奥羽本線で行っていました。そのときの景色です。


・原発の廃墟に並ぶ刈田かな

  土の入れ替えとかたいへんだったようですが、なにか複雑な心境です。


・一年の仕事終わりし刈田かな

  米の収穫の終わった田んぼは、擬人法的にはやれやれというところだと思い

ます。


・秋灯下祖父の形見の拡大鏡

  まさか父の引き出しに入っていた祖父の拡大鏡が役に立つとは。


・秋灯の団地の窓に老いの影

 団地全体の高齢化が進むというのは、なにか人間の営みの不自然さを感じま

す。