2021年1月18日月曜日

七句会 第三十四回目のネット句会 感想、自句自解をお送りします。

  七句会のみなさま


 第三十四回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、

たいへんありがとうございました。

 およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ

てお届けします。

 今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。

 七句会のweb  http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。

  今後とも、よろしくお願いいたします。

  深瀬 (事務方) 



1.第34回  ネット句会  作品集


(01)新井さん

・友の顔浮かべて癒す新酒かな

・新酒飲み鍋を囲むや家族愛

・憂国忌激情したたる若気かな

・不理解の極みに至る憂国忌

・秋の空風を飲み込み芝生触れ

・赤緑過ぎゆく小道爽やかに

・文化祭笑み笑みあふれ友家族

・洋館の銀杏のマントはんなりと


(02)小野寺さん

・秋高く鳶の眼 (まなこ) は尾根を追い

・小夜時雨京の町屋に灯が燈り

・鎌切りに食われし雄の覚悟観る

・破れ寺の紅葉 (もみじ) 踏む音風に消え

・朋去りぬ虫哭き送る独り酒

・幽谷の村流れゆく霧の音

・夕霧が古都の紅葉 (もみじ) も濡らしけり

・雲速し朋逝きし日に野分荒れ

・墓碑朽ちて無縁仏に曼珠沙華

・月光を浴びて薄 (すすき) は銀の海

・古都暮れて路地裏深く紅葉 (もみじ) 踏み

・北斗星無窮の闇に傾きて

・梟は夜のしじまを偲び啼き

・栗飯の甘い匂ひに孫はしゃぎ

・紅葉舞う散りゆく生命 (いのち) 煌めきて

・星冴ゆる沖の漁火窓に揺れ

・浪の音恋せし夜の冬銀河

・故郷の夜汽車の汽笛冬近し

・月冴えて墨の匂ひに筆を執り

・雁の声波浪の岬風に消え

・ふるさとは港の汽笛夜泣き蕎麦

・散る銀杏黒き枝えだ天に透き

 A さんの復帰を祝って一句、

・柿紅葉 (かきもみじ) 陽に照り映えて朋還る


(03)吉良さん

・あるじ待つあくまで白きとろろ汁

・初登山新蕎麦すする麓茶屋

・宅配のオリーブの実や風光る

・柿干せる母の手細し今は亡き

・河豚ちりや孫と同じ身摘まみけり


(04)桑子さん

・球打てばファーを聞くなり秋の空

・天高く筑波と富士がにらめっこ

・紫が天下取りたる秋の庭

・小春日や木漏れ日まぶし散歩道

・冬晴にタワークレーン富士摘まむ


(05)志方さん

・風に問うコロナの行くへ秋茜

・棘隠すバラの花園古女房

・木漏れ陽と風にゆられて梢かな

・今年また同じ紅葉の花舞台

・冠雪に薄紅染める朝の富士

・畦みちに直立不動の彼岸花

・熱燗も独酌続く胡麻和えと


(06)治部さん

・病む友を励ます文や暮れの秋

・霜降や日々の河原の草々も

・秋惜しむ何はなくとも茸鍋

・都庁までくっきり高尾の紅き秋

・雨後の蹊雫の出会う十三夜

・郷に入り吾もしてみむと吊るし柿

・木枯らしや塵もコロナも知らぬまま


(07)中津川さん

・すすき原泡立ち草が天下取り

・刈田道活きているごと立つ案山子

・民宿の香るどぶろく焼きイワナ

・実りたる街の畑に猪 (しし) 出でる

・落栗を踏んで登るや木曽の路

・天満宮合格祈る神無月

・半袖にダウンベストの小春日や


(08)橋本さん

・秋雨や川面に隈無く輪の並ぶ

・一輪の白ばら冴えて月夜かな

・色付く葉残し剪定秋惜しむ

・晩秋の夕暮れ澄みて富士の峰

・三密を逃れてゴルフ天高し

・GoToはコロナ微笑む処方箋


(09)宮澤さん

・懐かしやコロナ不在の去年の冬

・老いらくの思いかみしめ落ち葉踏む

・散髪し襟元抜ける冬の風

・ふつふつと牡蠣鍋を待つ箸二膳

・濡れ落ち葉拾い集めて我を知る


(10)森杜瑯さん

・紅葉は命の光照り返し

・紅梅は泪をたたえ君誘う

・散り急ぐ紅きもみじに吾重ね


(11)柳町さん

  「きんぎょそうの種って、怖いね!」と孫に言われ

てしみじみ見ました。本当にドクロでした

・金魚草ドクロ顔の種哀し

・流星群願いをこめて祈る空


(12)豊さん

・冬来たる富士山頂の薄化粧

・小春日やベンチに並ぶ老夫婦

・白菊を一輪供え別れかな

・冬木立掃きたる空の青深し

・トナカイの鈴の音遠き聖夜かな

・吐く息や初霜の朝窓曇る

・良き人の逝きし一年除夜の鐘


(13)深瀬

・死の形さまざまと問ふ憂国忌

・金閣寺夕陽に浮かぶ憂国忌

・憂国忌白手はち巻きなにを問ひ

・ただ死ぬを待つ身のときの重さかな

・生きている疑問すらなき時もあり

・温暖化百鬼夜行の野分かな

・新酒呑みトイムトラベル古老団

・仏壇の新酒に割れる父母遺影

・潮の香や海底 (うなぞこ) の夢秋の空

・来し方の岐路振り返る残暑かな

・頭上飛ぶ残暑の機影重たげに

・太極拳モザイクかかる残暑かな

・老ひ深むこころやすらぐ残暑かな

・ひぐらしや山河にこだま瑞穂国

・ひぐらしや子守の少女空見上げ

・ひぐらしや遠き夕陽を呼び起こし

・七十路に「君といつまでも」聞きひたり

・役目終へ風に舞ひ散る落ち葉かな

・ひとひねり蛇口から水手で受ける

・濡れ落ち葉朝陽に燃えるきよらかさ

・落ち葉ごとひそり消えたし老ひの朝

・城ヶ崎岩にくだける秋の波

・秋の陽に大島望む城ヶ崎




2.第34回  ネット句会  自句自解


◎  新井さんの感想


  108 句拝見し、本当に楽しかったです。古典的な美しい情緒あふれる日本語

に触れられる句から、現代のコロナ苦を詠ったものまでじっくり味わえました。

壮大な年月の移り変わりが感じられて、大満足でした。

  新年ということで、一句浮かびました。このプロジェクトに参加させて頂け

た、お礼の気持ちを表すためお伝えします。

  『新春の陽光まぶし腰重し』

  …年が明け、明るい日差しを感じられるのですが、このご時世で出かける気

分になれません…。今後ともよろしくお願いいたします。


  このような楽しみに参加させていただけて嬉しいです。上智のクラスメイト

の間でも、賀状に「俳句素晴らしいですね」なんて書かれています。



◎  小野寺さんの自句自解


 仕事の他、河村先生の奥様との先生との生い立ちの再確認の電話やいろいろ

あって遅れましたが自分の句は選句結果を中心に下記します。


・浪の音恋せし夜の冬銀河  (015) 

 真冬の浜辺危い恋に燃えた日夜の海に息を呑む様な満天の冬銀河が横たわっ

ておりました。


・ふるさとは港の汽笛夜泣き蕎麦  (078) 

 故郷北の街釜石の冬、港の汽笛が遠く消えぎえに聞こえて父に連れられて食

べた夜泣き蕎麦の暖かい味が切なく思いだされます。


・月冴えて墨の匂ひに筆を執り  (008) 

 煌々と冴えた月が上がった冬の夜半、走らせた筆の運びに墨の香りが立ち込

め師への奉書の返信に想いを馳せました。


・北斗星無窮の闇に傾むきて  (032) 

 北風張り詰めた冬の夜更けに無窮のしじまを北斗七星は傾きながら沈んでゆ

き大自然の確かな運航に身がすくむ思いでした。


・故郷の夜汽車の汽笛冬近し  (038) 

 豊さん、治部さんの感想の通りです。北の故郷の夜汽車の汽笛が確かな音と

して聞こえ出すと冬がそこまでやって来てました。夜汽車の紅いテールランプ

との追憶です。


・秋高く鳶の眼 (まなこ) は尾根を追い  (043) 

  秋の深く高い天空を翔る鳶の眼からはあかね色に紅葉した遥かな山の稜線が

走り去る風景として眺められるだろうと、思いました。


・月光を浴びて薄 (すすき) は銀の海  (062) 

 一面の薄の原野は月の光を浴びさながら銀色に輝く海にも似て寂寥と耽美が

交錯する美しくも哀しい風景でした。


・朋去りぬ虫哭き送る独り酒  (065) 

 酒が好きだった友人は確かに良い奴でした。何故にと嘆いてみても外では虫

達が葬送の調べの様に哭くばかりで。独り酒で送るしかなかったのです。


・小夜時雨京の町屋に灯が燈り  (082) 

 私の好きな京都の町屋の夕暮れのひとときぽつりぽつりと灯りが燈るり暖か

な温もりの風景です。


・紅葉舞う散りゆく生命 (いのち) 煌めきて  (084) 

 華やかに見える紅葉の散りゆく様は命を、燃やして最後の煌めきを放つ 人

の一生にも似て限りある己のあり様にも思えます。


・墓碑朽ちて無縁仏に曼珠沙華  (087) 

 訪れる人もなく朽ち果てた無縁仏の墓碑の傍に一面真っ赤な彼岸花が咲いて

いて、人の世の無常と寂寥が、この世のものとも思えない程辺りを支配してお

りました。


・古都暮れて路地裏深く紅葉 (もみじ) 踏み  (095) 

 京都の下町の路地裏に散り敷かれた紅葉を踏み入ると千年の古都のそこはか

とない息吹きが、足の底から伝わる想いがしました。


・星冴ゆる沖の漁り火窓に揺れ  (102) 

 海辺の旅の宿です。外は満天の星が冴え曇った窓ガラスに遠く漁り人が揺れ

て旅情を誘いました。


・散る銀杏黒き枝えだ天に透き  (021) 

 秋空に燦然と輝きをみせた黄金いろの葉達は衣を脱ぎ捨てたように散り果て

後に寒風に立ち向かう裸木が堂々と屹立する姿を描きました。平島さんの寸鉄

の鋭い批評に感服です。


・柿紅葉 (もみじ) 陽に照り映えて朋還る  (071) 

 死生を彷徨う大病をした友人が病を乗り越えて戻ってきた。まるで祝福する

ように柿の葉が紅く色づき陽に照り映えて光っておりました。


・破れ寺の紅葉 (もみじ) 踏む音風に消え  (049) 

 人里離れた破れ寺の紅葉を踏みしめながら歩くとカサコソという音が風にか

き消されて、志方さんの寸評の様に寅次郎が雪駄で歩く風景が言い得て妙です。



◎  桑子さんの自句自解


  コロナ禍の中で、健康維持のため近所の散歩やゴルフをしています。今回は

それらにちなんで詠んだものが多いです。


・球打てばファーを聞くなり秋の空

 3密の回避かゴルフ場も混んでおり、あるゴルフ場ではあちこちからファー

の声が聞こえてきていました。子規の「柿食えば・・・」をちょっとまねてみ

ました。


・紫が天下取りたる秋の庭

 秋の我が家の小さな庭は紫色の花が多く (ノボタン、アメジストセージ、そ

の他 [実はあまり花の名前は知らない] ) それらが咲き乱れているのを詠みま

した。


・小春日や木漏れ日まぶし散歩道

 以前は感じなかったが、 木漏れ日が眩しく年には勝てません。


・天高く筑波と富士がにらめっこ

 散歩の途中、公園の丘から天気の良い日には、北に筑波山、西に富士山が見

えます。

 やはり富士山の方が堂々として睨み付けている感じでしたが、表現としては

「にらめっこ」の方が良いかと?


・冬晴にタワークレーン富士摘まむ

 これも散歩の途中、建設中ビルの屋上にあるタワークレーンと遠くにある富

士山の位置関係が面白かったので。



◎  中津川さんの感想、自句自解


  今回、投句のご案内を見逃してしまい、リマインドメールで気付き急いでほ

ぼ1日で作ったため、ほとんど推敲せず送付してしまい反省しています。

  コロナの流行の中、密にならない様に9月・11月に中山道、10月に甲州

街道を歩いたことを中心に作ってみました。

 いつも皆さんの幅広い句を楽しんでいます。



◎  橋本さんの自句自解


・三密を逃れてゴルフ天高し (4点句) 

 ラウンド中は三密は忘れて楽しめるゴルフ、秋たけなわのコースが嬉しい (

私が参加している団塊世代が中心のゴルフ仲間の会「霞光会」 (長谷川会長) 

は、桑子さん、秋元さん、宮澤さん、深瀬さん、、、もメンバーで、3密を避

けてゴルフを続けており、おかげで一人住まいの身も解放されています。) 


・一輪の白ばら冴えて月夜かな  (2点句) 

 晩秋の夕暮れ、庭には四季咲きの白ばらが一輪くっきりと浮び、空を見上げ

れば半月の白い月


・秋雨や川面に隈無く輪の並ぶ  (1点句) 

 細い秋雨が座生川の静かな水面に落ち、大小の水滴の輪が適度な隙間を保ち

出来ては消える。繰り返すその様子が面白い。


・色付く葉残し剪定秋惜しむ  (1点句) 

 庭のアメリカ楓を剪定しすっきり、風が通り程良く残した色づく葉が風にそ

よいでいる。


・GoToはコロナ微笑む処方箋 (1点句:川柳) 

 経済回復の目的で繰り出すGo To キャンペーン (処方箋) は人出と気の緩み

を誘発し、新型コロナがほくそ笑み、感染の波が大きくなってしまった。



◎  平島さんの感想


  沢山の句から選ぶのは容易では無く最初は考えながらボツボツ進めましたが

時間が限られているので見た目の直感と言うかパっと閃くものがあればチェッ

クを入れて七句に絞り込んだ結果です。

  それにしても皆さんお上手ですよ。

  外国におりますと日本的なものが目の前になくどうしても観念俳句になって

しまうので句想が貧困で作るのは諦めています。

  でも選句は楽しいので今後とも宜しくお願いします。



◎  宮澤さんの感想、自句自解


  年初から始まったコロナ騒ぎは、収束を見ることなく年末を迎え、今冬に至

っても、人に会えない寂しい日々が続いています。

  こんな中、少しほっこりとした気分が欲しくて詠んだ牡蠣鍋が5 点句に選ば

れ、驚きながら喜んでいます。

  コロナの陰にどっぷり浸かっていても、つかの間の幸せでも享受して前向き

に生きたいという思いです。

  箸二膳の相手がどこかの美人だといいなという妄想をあとどのくらい持てる

でしょうか?


  落ち葉に関して2句し投句し、1 句が4 点句に選句されました。これも驚き

です。

  落ち葉の色具合、乾燥度、重なり合って横たわる様子を見るたび、役目を終

え「お勤めご苦労さん」というイメージが年長者の思いに同期します。

  寒くなる秋から冬にかけ落葉するため、人生の末期に合わせ、ますますその

感を強くしますが、翌年の為に葉を落とした樹木は、また来春、希望に溢れた

新芽を出します。

  そんな思いもこめたっかたのですが、句の印象は暗くなってしまったようで

す。


  新年を迎え、コロナの状況は改善されていませんが、早く平穏な日常に戻る

ことを祈るばかりです。



◎  豊さんの感想、自句自解


 今回は評価が分散したようですね。憂国忌の句がいくつかありましたが、三

島由紀夫は川端康成や大江健三郎にも劣らない作家だと私は思っています。演

劇的な自殺は評価しませんが、「金閣寺」「豊饒の海」は傑作です。

 さて、自句自解。

・白菊を一輪供え別れかな

・良き人の逝きし一年除夜の鐘

 有名無名に限らず、コロナに感染して亡くなった人が出た一年でした。追悼

の句です。

・吐く息や初霜の朝窓曇る

 「吐く息や初霜の朝」まではすぐにできたのですが、あとをどうするかで迷

いました。「窓曇る」が良かったとは思っていません。



◎  深瀬の自句自解


・死の形さまざまと問ふ憂国忌 (1点句) 

・金閣寺夕陽に浮かぶ憂国忌  (1点句) 

・憂国忌白手はち巻きなにを問ひ (2点句) 

 三島由紀夫氏の文学作品について、詳しい知識はないのですが、美意識、重

視した権威、人間とはどような存在なのかという認識、等について独自の理解

があり、それに殉じた自決であったのではないかと思います。なにか自らを追

い詰めてしまった心境に、時代的なものがあったようにも感じます。


・ただ死ぬを待つ身のときの重さかな (2点句) 

  この句は、11月末に心筋梗塞を起こす前に作ったものですが、高齢者が身近

に増えるなかで、ひとごととは思えない気持ちもあり詠みました。


・生きている疑問すらなき時もあり

  60歳ころ以前は、社会の荒波と格闘することに精一杯で、いずれ死がやって

くるなどといったことは意識すらしませんでした。今思えば、そういうものな

のかなと複雑な心境になります。


・温暖化百鬼夜行の野分かな (1点句) 

  台風の進路が、温暖化の影響で逆行してきたりとこれまでにはなかった径路

をたどることがあるようです。温暖化の深刻さを実感します。


・新酒呑みタイムトラベル古老団

  タイムトラベルを使ってみたいと思いました。古老団が抽象的すぎるかもし

れません。


・仏壇の新酒に割れる父母遺影

  お酒とたばこを巡っては、父と母はいつも対立していました。


・潮の香や海底 (うなぞこ) の夢秋の空 (2点句) 

  井上陽水の「積み荷のない船」が潜在意識にあったかもしれません。


・来し方の岐路振り返る残暑かな (1点句) 

  季節の変わり目を意識すると同時に、我が身をふり返っての気分のようなも

のを詠みました。


・頭上飛ぶ残暑の機影重たげに (1点句) 

  夕方、頭上近くを羽田に着陸する飛行機がよく飛んでいます。残暑のころに

はその機影が、気持ち的になにか重たげに見えるという感覚です。


・太極拳モザイクかかる残暑かな

  残暑とモザイクの組み合わせをイメージしてみました。


・老ひ深むこころやすらぐ残暑かな

  焼けつくような真夏が終わり残暑の気配が漂ってくると、老いの身には、安

心するような淋しいような複雑な心境になります。


・ひぐらしや山河にこだま瑞穂国

・ひぐらしや子守の少女空見上げ (1点句) 

・ひぐらしや遠き夕陽を呼び起こし (1点句) 

  ひぐらしは夕刻になるとすんだ遠くまで響くような声で鳴くというイメージ

があります。なにかもの悲しい郷愁的な気持ちになります。


・七十路に「君といつまでも」聞きひたり (2点句) 

  大学に入り、柔道部の新入生歓迎会のとき、ひとりの先輩が熱唱していまし

た。今はベンチャーズの演奏版をよく聞いています。


・役目終へ風に舞ひ散る落ち葉かな (4点句) 

  たくさんの落ち葉が目の前を風に舞い散っているのを見て、あの葉っぱも太

陽の光を受けて輝いていたときもあったのだ、と我が身にひきよせて詠みまし

た。


・ひとひねり蛇口から水手で受ける

  蛇口を回すと水が出てくるというのは、すごいことだなと噛みしめたいと思

いました。尾崎放哉の「入れものがない両手でうける」も無意識にあったかも

しれません。


・濡れ落ち葉朝陽に燃えるきよらかさ

  濡れ落ち葉は定年退職し自宅にずっといて、奥さんにまとわりつく亭主を象

徴するものになっていますが、そのイメージに逆らってみようと思いました。


・落ち葉ごとひそり消えたし老ひの朝

  最近、どういう死に方が適当なのか、ふと思うことがあります。


・城ヶ崎岩にくだける秋の波 (1点句) 

・秋の陽に大島望む城ヶ崎 (1点句) 

  11月下旬ころ、駒東の同級生4 人で伊東に一泊し、翌日、レンタカーで城ヶ

崎の方に行きました。絶好の観光日和で、岩に打ち寄せ砕け散る波のコバルト

ブルーと白い泡、間近に見える大島の島影が印象的でした。 (心筋梗塞を発症

する一週間前でした。ご迷惑をかけずに済み安堵しています。) 




2020年12月27日日曜日

 

 七句会のみなさま

 

 第三十四回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。

今回の選句結果をご報告いたします。

 

5 点句

(099) ふつふつと牡蠣鍋を待つ箸二膳           宮澤

 

4 点句

(010) 白菊を一輪供え別れかな              豊

(020) 老いらくの思いかみしめ落ち葉踏む         宮澤

(024) 三密を逃れてゴルフ天高し             橋本

(042) 役目終へ風に舞ひ散る落ち葉かな          深瀬

 

3 点句

(015) 浪の音恋せし夜の冬銀河              小野寺

(078) ふるさとは港の汽笛夜泣き蕎麦           小野寺

 

2 点句

(005) 潮の香や海底 (うなぞこ) の夢秋の空        深瀬

(008) 月冴えて墨の匂ひに筆を執り            小野寺

(016) 冠雪に薄紅染める朝の富士             志方

(017) 憂国忌白手はち巻きなにを問ひ           深瀬

(019) 良き人の逝きし一年除夜の鐘            豊

(032) 北斗星無窮の闇に傾きて              小野寺

(038) 故郷の夜汽車の汽笛冬近し             小野寺

(041) 都庁までくっきり高尾の紅き秋           治部

(043) 秋高く鳶の眼 (まなこ) は尾根を追い        小野寺

(045) ただ死ぬを待つ身のときの重さかな         深瀬

(047) 七十路に「君といつまでも」聞きひたり       深瀬

(062) 月光を浴びて薄 (すすき) は銀の海         小野寺

(065) 朋去りぬ虫哭き送る独り酒             小野寺

(073) 吐く息や初霜の朝窓曇る              豊

(074) 一輪の白ばら冴えて月夜かな            橋本

(076) 今年また同じ紅葉の花舞台             志方

(082) 小夜時雨京の町屋に灯が燈り            小野寺

(084) 紅葉舞う散りゆく生命 (いのち) 煌めきて      小野寺

(085) 柿干せる母の手細し今は亡き            吉良

(087) 墓碑朽ちて無縁仏に曼珠沙華            小野寺

(090) 郷に入り吾もしてみむと吊るし柿          治部

(095) 古都暮れて路地裏深く紅葉 (もみじ) 踏み      小野寺

(097) 冬晴にタワークレーン富士摘まむ          桑子

(104) 憂国忌激情したたる若気かな            新井

 

  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前

とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。

  次回については、来年3 ~4 月ころにご連絡したいと思っていますので、よ

ろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連

絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。

 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。

 

(1) 選句参加者

 今回の選句には、下記の14名が参加しました。

  秋岡さん、新井さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さ

ん、中津川さん、橋本さん、平島さん、福田さん、藤原さん、宮澤さん、森杜

瑯さん、柳町さん、豊さん、深瀬。

  初参加の、福田さんはゴルフ霞光会メンバー、平島さんは七句会自由連句の

ご指導をしていただいています。

 

(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について

  今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので

はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り

たいと思います。一応、期限としては来年1 月16日とし、事務方にメールでい

ただき、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/

 

  2020.12.27

      代表   橋口侯之介

      顧問  豊  宣光

      事務方 深瀬久敬

 

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(001) 夕霧が古都の紅葉 (もみじ) も濡らしけり      小野寺07

1 志方    古都の情景が、夕霧を誘っているようです。

(002) トナカイの鈴の音遠き聖夜かな           豊   05

1 新井   今年のコロナ禍のステイホームクリスマスの

        心情をよく表しておられます。

(003) 濡れ落ち葉拾い集めて我を知る           宮澤 05

(004) 紅梅は泪をたたえ君誘う              杜瑯 02

(005) 潮の香や海底 (うなぞこ) の夢秋の空        深瀬  09

1 杜瑯

2 宮澤   

(006) 雨後の蹊雫の出会う十三夜             治部 05

1 中津川  雨上がりで月も美しいのでしょう。

(007) GoToはコロナ微笑む処方箋             橋本 06

1 福田

(008) 月冴えて墨の匂ひに筆を執り            小野寺19

1 豊      冴えた月を見て詩心がわき、墨と筆で紙(で

        きれば和紙がいい)に一句したためた。そんな

        優雅な情景が浮かんできます。

2 藤原   

(009) 風に問うコロナの行くへ秋茜            志方 01

1 橋本    応えない風に問うしかありませんか。

(010) 白菊を一輪供え別れかな              豊   03

1 杜瑯

2 中津川  最近立て続けに友人、後輩が無くなりこの句

    が胸にきました。

3 平島    単純にスッキリとさようなら。

4 新井   最近親せきで不幸があり、心の真ん中に響き

    ました。

(011) 洋館の銀杏のマントはんなりと           新井 08

(012) 宅配のオリーブの実や風光る            吉良 03

   「きんぎょそうの種って、怖いね!」と孫に言われ

   しみじみ見ました。本当にドクロでした

(013) 金魚草ドクロ顔の種哀し               柳町 01

(014) 老ひ深むこころやすらぐ残暑かな          深瀬  13

(015) 浪の音恋せし夜の冬銀河              小野寺17

1 杜瑯

2 吉良    心のときめきのない年寄りに、新しい出会い

    をあこがれさせる句です。

3 橋本    ロマンチックを有り難うございます。

(016) 冠雪に薄紅染める朝の富士             志方 05

1 橋本    写真を見ているようなきれいな句です。

2 藤原   

(017) 憂国忌白手はち巻きなにを問ひ           深瀬  03

1 柳町   

2 桑子    もう50年になり記憶も薄らいでいるが、白手

        はち巻きの映像だけは覚えています。

(018) 天満宮合格祈る神無月               中津川06

(019) 良き人の逝きし一年除夜の鐘            豊   07

1 吉良    除夜の鐘を聞きながら親しかった故人をふり

        かえり、新しい日を迎える夜、前向きに生きよ

        うとする自分の気持ちを詠んだものでしょうか。

2 治部    ♬いいやつばかりが先に逝く、どうでもいい

        のが残される。歌にある通り、毎年の事なので

        すが除夜の鐘をきくと突き刺さりますね。

(020) 老いらくの思いかみしめ落ち葉踏む         宮澤 02

1 杜瑯

2 吉良    老いた自分と落ち葉を重ねたように見えます。

3 治部    この風景、イヤですね。

4 小野寺  落ち葉踏みしめながら思いを馳せるのは過ぎ

        て行った老いらくの恋でしょうか。

(021) 散る銀杏黒き枝えだ天に透き            小野寺22

1 平島    衣を脱ぎ捨て裸で堂々と立つ姿。

(022) 新酒飲み鍋を囲むや家族愛             新井 02

(023) 梟は夜のしじまを偲び啼き             小野寺13

(024) 三密を逃れてゴルフ天高し             橋本 05

1 福田    このコロナ禍の中で唯一のストレス解消です。

2 桑子    同じような考えの人が多いらしくゴルフ場が

        混んでいます。

3 新井   解放感が表れていて“ナーイスショット!”

        と声をかけたくなります。

4 藤原   

(025) すすき原泡立ち草が天下取り            中津川01

(026) 棘隠すバラの花園古女房              志方 02

1 中津川  バラの棘も女房の棘もさされると痛そうです。

(027) ひぐらしや子守の少女空見上げ           深瀬  15

1 橋本    子守の少女、幼き日々の頃の情景かと想像し

        選びました。

(028) 鎌切りに食われし雄の覚悟観る           小野寺03

(029) 球打てばファーを聞くなり秋の空          桑子 01

1 福田

(030) 熱燗も独酌続く胡麻和えと             志方 07

(031) 半袖にダウンベストの小春日や           中津川07

1 深瀬    半袖にダウンベストの服装に、とても都会的

        でおしゃれな雰囲気を感じました。

(032) 北斗星無窮の闇に傾きて              小野寺12

1 柳町   

2 宮澤   

(033) 秋の陽に大島望む城ヶ崎              深瀬  23

1 志方    最近、鎌倉の天園の頂から相模灘の向こうに

        三原山がくっきりと見え、何か感動しました。

(034) 小春日やベンチに並ぶ老夫婦            豊   02

1 秋岡    高齢化社会となっていますが、老夫婦のこの

        様な姿は何かほっとします。

(035) 散り急ぐ紅きもみじに吾重ね            杜瑯 03

1 小野寺  はらはらと散り落ちる紅いもみじをやがてこ

        の世を去る自分の存在に重ねたのでしょうか。

        散り急ぐが効いてます。

(036) 秋雨や川面に隈無く輪の並ぶ            橋本 01

1 宮澤   

(037) あるじ待つあくまで白きとろろ汁          吉良 01

(038) 故郷の夜汽車の汽笛冬近し             小野寺18

1 豊      冬が近いことを感じ、北国の故郷を思い出し

        ている都会生活者でしょうか。「夜汽車の汽笛」

        に昭和の懐かしさがあります。

2 治部    嘗ての交通事情が想い出されますね。冬近し

        で澄んだ汽笛の音を感じます。

(039) ひぐらしや山河にこだま瑞穂国           深瀬  14

(040) 秋の空風を飲み込み芝生触れ            新井 05

(041) 都庁までくっきり高尾の紅き秋           治部 04

1 豊      私も高尾山へは何度も行ったことがあります。

        山の中腹あたりから、天気が良ければ都庁を見

        ることができます。高尾の紅葉の風景を切り取

        った一句ですね。

2 桑子    都庁までくっきり高尾の紅き秋。

(042) 役目終へ風に舞ひ散る落ち葉かな          深瀬  18

1 治部    舞う落ち葉に歴戦の勇士が戦列を退く様が・

    ・やっぱり寂しいです。

2 秋岡    枯れ葉の様を詠んだものでしょうが、サラリ

    ーマン人生を感じさせますね。作者の意図はこ

    ちらでしょうね。

3 桑子    役目終へという表現がステキです。

4 志方    老いは誰にも避けられない自然の摂理、落ち

    葉は土に還る。

(043) 秋高く鳶の眼 (まなこ) は尾根を追い        小野寺01

1 深瀬    少し違いますが、歌川広重の浮世絵・名所江

    戸百景に「深川洲崎十万坪」というのがありま

    す。画面上側に大きく描かれた鷲が、空の上か

    ら深川、筑波山(?) などを見下ろしている風景

    ですが、それに近い広々とした感じを受けまし

    た。

2 志方    昔はとびが、カラス以上にそらをまっていま

        したが、今は眼にする事がなくなりました。

(044) 刈田道活きているごと立つ案山子          中津川02

(045) ただ死ぬを待つ身のときの重さかな         深瀬  04

1 豊      老いの心境をストレートに表現していますね。

        俳句としては直情すぎるかもしれませんが、最

        近は私もこの作者と同じ心境になりつつありま

        す。「ときの重さ」が見事です。

2 橋本    その場面になった人しか詠めない心境の表現

        ですね。

(046) 冬木立掃きたる空の青深し             豊   04

1 小野寺  晴れた日の冬木立の落ち葉掃き、ふと見上げ

        た空は深い青だという気持ちの爽やかさが伝わ

        ります。

(047) 七十路に「君といつまでも」聞きひたり       深瀬  17

1 桑子    いい歌ですね、時々CDで聞いています。

2 新井   なぜだかほのぼのとした温かい余韻が残る一

        句です。

(048) 畦みちに直立不動の彼岸花             志方 06

1 中津川  稲刈りが終わった田んぼの畦に赤い花が目に

        浮かびます。

(049) 破れ寺の紅葉 (もみじ) 踏む音風に消え       小野寺04

1 志方    寅さんの古びた鞄と雪駄をおもいだします。

(050) 色付く葉残し剪定秋惜しむ             橋本 03

1 深瀬    紅葉を残しながら剪定をし、秋の深まりをし

        みじみ感じている落ち着いた雰囲気です。

(051) 太極拳モザイクかかる残暑かな           深瀬  12

(052) 栗飯の甘い匂ひに孫はしゃぎ            小野寺14

(053) 新酒呑みタイムトラベル古老団           深瀬  07

(054) 木枯らしや塵もコロナも知らぬまま         治部 07

(055) 冬来たる富士山頂の薄化粧             豊   01

1 治部    例年だとこれが初冬の風景なのですが、今年

        の富士はなかなか冠雪しません。これも異常気

        象なのでしょうか。

(056) 落栗を踏んで登るや木曽の路            中津川05

(057) 河豚ちりや孫と同じ身摘まみけり          吉良 05

1 秋岡    ほのぼのとして思わず笑みがこぼれます。

(058) 雲速し朋逝きし日に野分荒れ            小野寺08

(059) 来し方の岐路振り返る残暑かな           深瀬  10

1 柳町   

(060) 散髪し襟元抜ける冬の風              宮澤 03

(061) 病む友を励ます文や暮れの秋            治部 01

1 秋岡    最近は文で病床の友を励ます情景が浮かびに

    くくなってきましたが、大切な友にはメール等

    でなく文で見舞うものでしょうか。”秋の暮れ”

    でなく”暮れの秋”にひとひねり?

(062) 月光を浴びて薄 (すすき) は銀の海         小野寺10

1 秋岡    情景がまざまざと浮かんできます。素直に淋

    しくもあり美しくもあり。

2 宮澤   

(063) 紫が天下取りたる秋の庭              桑子 03

(064) 不理解の極みに至る憂国忌             新井 04

1 福田

(065) 朋去りぬ虫哭き送る独り酒             小野寺05

1 平島    いい奴だったなあ しみじみと奴を偲んで。

2 志方    飲みともが去ってしまった寂しさが表現され

    ている。

(066) 落ち葉ごとひそり消えたし老ひの朝         深瀬  21

(067) 民宿の香るどぶろく焼きイワナ           中津川03

(068) 温暖化百鬼夜行の野分かな             深瀬  06

1 橋本    温暖化でますます嵐(台風、 ハリケーン、 サ

    イクロン等)は凶暴化しているようです。

(069) 友の顔浮かべて癒す新酒かな            新井 01

(070) 晩秋の夕暮れ澄みて富士の峰            橋本 04

      A さんの復帰を祝って一句、                      

(071) 柿紅葉 (かきもみじ) 陽に照り映えて朋還る     小野寺23

1 宮澤   

(072) 文化祭笑み笑みあふれ友家族            新井 07

(073) 吐く息や初霜の朝窓曇る              豊   06

1 深瀬    子供のころの懐かしい経験を思い浮かべまし

    た。そこに絵を描いたりして遊んでいました。          

2 藤原   

(074) 一輪の白ばら冴えて月夜かな            橋本 02

1 新井   白いバラが月明かりに照らされて美しく輝く

    …絵画のような作品です。

2 小野寺  真冬の庭に咲く白薔薇は月光の下で淡い光を

    浴びて輝きを増した事でしょう。

(075) 死の形さまざまと問ふ憂国忌            深瀬  01

1 小野寺  あの当時全共闘との討論会の翌年三島由紀夫

    の自決は衝撃でした。今なお日本は尖閣諸島始

    め国防の重要性を問われています。

(076) 今年また同じ紅葉の花舞台             志方 04

1 豊      春の桜と同じように、今年もまた紅葉の美し

    い季節が巡ってきた。自然の移り変わりに思い

    を寄せている作者の詩情が伝わってきます。

2 平島    年々歳々花相似たり 年々歳々人同じからず。

(077) 小春日や木漏れ日まぶし散歩道           桑子 04

(078) ふるさとは港の汽笛夜泣き蕎麦           小野寺21

1 吉良    演歌の場面を彷彿とさせる懐かしい情景が目

    に浮かぶ句です。

2 深瀬    汽笛と夜泣き蕎麦の取り合わせに独自の世界

    を感じます。

3 平島    北国の思い出、視覚聴覚味覚で。

(079) 初登山新蕎麦すする麓茶屋             吉良 02

(079) 1 中津川 

(080) 濡れ落ち葉朝陽に燃えるきよらかさ         深瀬  20

(081) 霜降や日々の河原の草々も             治部 02

(082) 小夜時雨京の町屋に灯が燈り            小野寺02

1 秋岡    冬の京都の町の風情がしみじみ伝わってきま

    す。

2 藤原   

(083) 仏壇の新酒に割れる父母遺影            深瀬  08

(084) 紅葉舞う散りゆく生命 (いのち) 煌めきて      小野寺15

1 杜瑯

2 柳町   

(085) 柿干せる母の手細し今は亡き            吉良 04

1 深瀬    あまり若いころではないようですが、母上の

    イメージが鮮明に切り取られている感じです。

2 小野寺  干し柿をほしていた母上への郷愁が細き手に

    の言葉に詠み込まれてます。

(086) 紅葉は命の光照り返し               杜瑯 01

1 橋本    生命の最後の輝き、一生の生き様の反映かと

    捉えましたが、違いますか。

(087) 墓碑朽ちて無縁仏に曼珠沙華            小野寺09

1 深瀬    朽ちた墓標と曼珠沙華の取り合わせに絵画的

    な鮮明さを感じます。

2 宮澤   

(088) 生きている疑問すらなき時もあり          深瀬  05

(089) 実りたる街の畑に猪 (しし) 出でる         中津川04

1 福田    故郷の田舎を思い出します。最近猿も出たと

    いう話です。

(090) 郷に入り吾もしてみむと吊るし柿          治部 06

1 吉良    田舎に転居して地元の慣習を楽しんでいる様

    が浮かびます。

2 桑子   

(091) ひぐらしや遠き夕陽を呼び起こし          深瀬  16

1 小野寺  かなかなと啼くひぐらしの声が昔日の寂しく

    も儚い日々を思い起こさせたのでしょう か。

(092) 天高く筑波と富士がにらめっこ           桑子 02

1 秋岡    秋の澄み切った大きな大きな天空が見えてき

    ます。”筑波と富士がにらめっこ”はいいです

    ね。

(093) 城ヶ崎岩にくだける秋の波             深瀬  22

1 新井   荒々しい波しぶきが岩に砕けて、夕日に照ら

    される風景が目に浮かび、波音が聞こえてきま

    した。

(094) 秋惜しむ何はなくとも茸鍋             治部 03

(095) 古都暮れて路地裏深く紅葉 (もみじ) 踏み      小野寺11

1 柳町   

2 平島    京の下町を旅人がひとり凄然と。

(096) 赤緑過ぎゆく小道爽やかに             新井 06

(097) 冬晴にタワークレーン富士摘まむ          桑子 05

1 吉良    「クレーンが富士山をつまむ」面白い発想で

    す。

2 中津川  俳句でうまく遠近法を表現しています

(098) 幽谷の村流れゆく霧の音              小野寺06

(099) ふつふつと牡蠣鍋を待つ箸二膳           宮澤 04

1 吉良    「ふつふつ」という擬音語は鍋の煮える状況

    にぴったり。鍋の出来上がるのを今か今かと待

    つ夫婦を「箸二膳」で表現され、ユーモアを感

    じさせます。

2 豊      牡蠣鍋がふつふつと煮立ってきて、そろそろ

    食べごろ。食欲がわいてきます。夫婦でしょう

    か、恋人同士でしょうか、顔を見合わせながら

    語り合っている。「箸二膳」がいいですね。

3 治部    箸二膳は仲の良さ、ふつふつは温かくて旨そ

    うな、いい景色です。

4 桑子    夫婦二人での夕食の光景が目に浮かびます。

5 平島    二膳とは誰と誰?想像が膨らむところが好き

    です。

(100) 金閣寺夕陽に浮かぶ憂国忌             深瀬  02

1 柳町   

(101) 流星群願いをこめて祈る空             柳町 02

1 藤原   

(102) 星冴ゆる沖の漁火窓に揺れ             小野寺16

1 志方    海辺の旅の宿から味わえた光景、いいですね。

(103) 懐かしやコロナ不在の去年の冬           宮澤 01

1 新井   全く同感です

(104) 憂国忌激情したたる若気かな            新井 03

1 柳町   

2 治部    激情したたる若気なのですかね。憂国忌は賛

    否あるでしょうが季語ですよね。

(105) 頭上飛ぶ残暑の機影重たげに            深瀬  11

1 中津川  航路が変わって爆音の飛行機が増えました。

(106) 木漏れ陽と風にゆられて梢かな           志方 03

(107) 雁の声波浪の岬風に消え              小野寺20

(108) ひとひねり蛇口から水手で受ける          深瀬  19

 

 

 

  補足

 

 選句にあたってお寄せいただいたコメントをご紹介します。

 

- 福田さん

  なんとなく共感できる次の5句を選んでみました。

 

- 柳町さん

  今年は三島由紀夫がこの世を去って50年とか。NHK でも特集が組まれ

ていましたね。「憂国忌」を入れ込んだ句に共感を覚えるのは年をとっ

たという事でしょうか??

 

- 秋岡さん

  コロナは神戸も東京ほどではありませんが高止まりしており鬱陶しい

毎日ですが小生は元気にやっております。

 

- 中津川さん

  私も12月9日に大腸ポリープを4個取り一泊入院して、2週間禁運

動、禁酒で過ごしました。幸い良性で良かったです。

 

- 宮澤さん

  コロナで明け暮れた1 年でした。密でない景色の句が目に留まったよ

うです。

                                                 

 

2020年12月17日木曜日

七句会 第三十四回目のネット句会 選句のご依頼です。

  七句会の皆様

 

  コロナ禍が収まることなく師走を迎えてしまいましたが、みなさまお

元気にお過ごしのことと思います。

  七句会としての第三十四回目のネット句会となりますが、今回、下記

108 句の投句がありました。

  つきましては、次の要領で、選句をしていただきたく、よろしくお願

いいたします。

 

- 下記は、今回、投句していただいた全ての句を、作者を伏せ、兼題別

に、ランダムに列挙したものです。表記は、投句されたそのものです。

詞書きがあり、複数の句があるものは、まとめて並べてあります。兼題

句、自由題句、無季語句、川柳的な句、作者の特定が可能な句、等々、

なんでもありとしています。分類については、作者の意図と異なるかも

しれませんが、ご了承のほどお願いいたします。 (今回は分類を省略さ

せていただきました。)

- このなかから、共感する俳句を、最大7 句選び、12月27日 (日) まで

に、下記へメールで返信してください。番号表記でも構いません。その

際、選んだ理由を一言、付け加えていただくとなお結構です。全体への

コメントでも結構です。

    hfukase@k03.itscom.net  (事務方  深瀬)

- 蛇足ですが、選句にあたり、自作を選ぶのはご遠慮ください。

- 12月下旬には、選句の結果をまとめ、皆さまにご報告する予定です。

 

  今回の投句者は、新井さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方

さん、治部さん、中津川さん、橋本さん、宮澤さん、森杜瑯さん、柳町

さん、豊さん、深瀬 (以上13名) です。

 

 これまでの選句結果は、下記のURL から参照可能です。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/

 

 以上、よろしくお願いいたします。

 

  送付不要な場合、ご面倒ですがご一報下さい。以後、送付しないよう

にします。

 

        七句会 2020.12.16

          代表  橋口侯之介

     顧問  豊  宣光

          事務  深瀬久敬

   

--------------------------------------------------

 

 

    1.全て (兼題、季語の有無など無関係)

 

(001) 夕霧が古都の紅葉 (もみじ) も濡らしけり

(002) トナカイの鈴の音遠き聖夜かな

(003) 濡れ落ち葉拾い集めて我を知る

(004) 紅梅は泪をたたえ君誘う

(005) 潮の香や海底 (うなぞこ) の夢秋の空

(006) 雨後の蹊雫の出会う十三夜

(007) GoToはコロナ微笑む処方箋

(008) 月冴えて墨の匂ひに筆を執り

(009) 風に問うコロナの行くへ秋茜

(010) 白菊を一輪供え別れかな

(011) 洋館の銀杏のマントはんなりと

(012) 宅配のオリーブの実や風光る

     「きんぎょそうの種って、怖いね!」と孫に言われ

     しみじみ見ました。本当にドクロでした

(013) 金魚草ドクロ顔の種哀し

(014) 老ひ深むこころやすらぐ残暑かな

(015) 浪の音恋せし夜の冬銀河

(016) 冠雪に薄紅染める朝の富士

(017) 憂国忌白手はち巻きなにを問ひ

(018) 天満宮合格祈る神無月

(019) 良き人の逝きし一年除夜の鐘

(020) 老いらくの思いかみしめ落ち葉踏む

(021) 散る銀杏黒き枝えだ天に透き

(022) 新酒飲み鍋を囲むや家族愛

(023) 梟は夜のしじまを偲び啼き

(024) 三密を逃れてゴルフ天高し

(025) すすき原泡立ち草が天下取り

(026) 棘隠すバラの花園古女房

(027) ひぐらしや子守の少女空見上げ

(028) 鎌切りに食われし雄の覚悟観る

(029) 球打てばファーを聞くなり秋の空

(030) 熱燗も独酌続く胡麻和えと

(031) 半袖にダウンベストの小春日や

(032) 北斗星無窮の闇に傾きて

(033) 秋の陽に大島望む城ヶ崎

(034) 小春日やベンチに並ぶ老夫婦

(035) 散り急ぐ紅きもみじに吾重ね

(036) 秋雨や川面に隈無く輪の並ぶ

(037) あるじ待つあくまで白きとろろ汁

(038) 故郷の夜汽車の汽笛冬近し

(039) ひぐらしや山河にこだま瑞穂国

(040) 秋の空風を飲み込み芝生触れ

(041) 都庁までくっきり高尾の紅き秋

(042) 役目終へ風に舞ひ散る落ち葉かな

(043) 秋高く鳶の眼 (まなこ) は尾根を追い

(044) 刈田道活きているごと立つ案山子

(045) ただ死ぬを待つ身のときの重さかな

(046) 冬木立掃きたる空の青深し

(047) 七十路に「君といつまでも」聞きひたり

(048) 畦みちに直立不動の彼岸花

(049) 破れ寺の紅葉 (もみじ) 踏む音風に消え

(050) 色付く葉残し剪定秋惜しむ

(051) 太極拳モザイクかかる残暑かな

(052) 栗飯の甘い匂ひに孫はしゃぎ

(053) 新酒呑みトイムトラベル古老団

(054) 木枯らしや塵もコロナも知らぬまま

(055) 冬来たる富士山頂の薄化粧

(056) 落栗を踏んで登るや木曽の路

(057) 河豚ちりや孫と同じ身摘まみけり

(058) 雲速し朋逝きし日に野分荒れ

(059) 来し方の岐路振り返る残暑かな

(060) 散髪し襟元抜ける冬の風

(061) 病む友を励ます文や暮れの秋

(062) 月光を浴びて薄 (すすき) は銀の海

(063) 紫が天下取りたる秋の庭

(064) 不理解の極みに至る憂国忌

(065) 朋去りぬ虫哭き送る独り酒

(066) 落ち葉ごとひそり消えたし老ひの朝

(067) 民宿の香るどぶろく焼きイワナ

(068) 温暖化百鬼夜行の野分かな

(069) 友の顔浮かべて癒す新酒かな

(070) 晩秋の夕暮れ澄みて富士の峰

      A さんの復帰を祝って一句、

(071) 柿紅葉 (かきもみじ) 陽に照り映えて朋還る

(072) 文化祭笑み笑みあふれ友家族

(073) 吐く息や初霜の朝窓曇る

(074) 一輪の白ばら冴えて月夜かな

(075) 死の形さまざまと問ふ憂国忌

(076) 今年また同じ紅葉の花舞台

(077) 小春日や木漏れ日まぶし散歩道

(078) ふるさとは港の汽笛夜泣き蕎麦

(079) 初登山新蕎麦すする麓茶屋

(080) 濡れ落ち葉朝陽に燃えるきよらかさ

(081) 霜降や日々の河原の草々も

(082) 小夜時雨京の町屋に灯が燈り

(083) 仏壇の新酒に割れる父母遺影

(084) 紅葉舞う散りゆく生命 (いのち) 煌めきて

(085) 柿干せる母の手細し今は亡き

(086) 紅葉は命の光照り返し

(087) 墓碑朽ちて無縁仏に曼珠沙華

(088) 生きている疑問すらなき時もあり

(089) 実りたる街の畑に猪 (しし) 出でる

(090) 郷に入り吾もしてみむと吊るし柿

(091) ひぐらしや遠き夕陽を呼び起こし

(092) 天高く筑波と富士がにらめっこ

(093) 城ヶ崎岩にくだける秋の波

(094) 秋惜しむ何はなくとも茸鍋

(095) 古都暮れて路地裏深く紅葉 (もみじ) 踏み

(096) 赤緑過ぎゆく小道爽やかに

(097) 冬晴にタワークレーン富士摘まむ

(098) 幽谷の村流れゆく霧の音

(099) ふつふつと牡蠣鍋を待つ箸二膳

(100) 金閣寺夕陽に浮かぶ憂国忌

(101) 流星群願いをこめて祈る空

(102) 星冴ゆる沖の漁火窓に揺れ

(103) 懐かしやコロナ不在の去年の冬

(104) 憂国忌激情したたる若気かな

(105) 頭上飛ぶ残暑の機影重たげに

(106) 木漏れ陽と風にゆられて梢かな

(107) 雁の声波浪の岬風に消え

(108) ひとひねり蛇口から水手で受ける

 

 

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  今回は、事務方が心筋梗塞を患い、選句表をお届けするのが遅れてし

まい、たいへん申し訳ありませんでした。インペラなどの先端医療技術

をタンミングよく適用していただくことができ、九死に一生を得るとと

もに最小限のダメージで済んだ感じです。

  みなさまからご心配をいただき、たいへんありがとうございました。

 (深瀬)

2020年11月23日月曜日

七句会 第4 回 自由連句 結果

  七句会 第4 回 自由連句  


  第4 回  自由連句は、下記のように満尾しました。

 連衆のみなさま、たいへんありがとうございました。

 今後のことも踏まえ、12月13日をめどに、今回の連句についての感想、コメ

ント、等をお寄せいただけたら幸いです。


 初折表

01 発句  晩夏 鎮魂の読経に和すや蝉時雨          (小野寺) 

02 脇   月     旅人送る十六夜(いざよい)の月     (吉良) 

03  第三    秋    茶をそそぎ車窓のすすき消え去りて         (深瀬) 

04  四句目  雑      稲刈り終えたさびしき案山子      (志方) 

05  月の座 夏  月の夜お化け屋敷はにぎやかに       (豊) 

06  折端  夏    もののけ棲むや青葉づく鳴く      (小野寺) 

 初折裏

07  折立   雑  六本木学術会議智慧問われ          (深瀬) 

08  二句目  恋        揺れて恋道秋空高く                  (新井) 

09  三句目  恋    老いらくの想いはあれど海深く            (志方) 

10 四句目  雑     母見る赤子もみじ手伸ばす        (吉良) 

11  五句目  雑    時翔 (かけ) る孫の明日に夢を置き      (小野寺) 

12 六句目  雑    出口の見えぬトンネルの中       (豊) 

13  月の座  冬月  冬の月明るい未来の道しるべ          (新井) 

14  八句目  冬        熱燗並べDX (ディエクス) 議論    (深瀬) 

15  九句目  雑    横文字と略語が並ぶ危うさよ        (豊) 

16  十句目  雑    お好み焼きかアベノミックスは     (志方) 

17  花の座  花    太閤の花見茶会に貴も賤も         (深瀬) 

18  折端    春        浪花 (なにわ) の春は夢のまた夢    (小野寺) 

  名残表

19  折立    春    送別会幾年先の桜酒            (新井) 

20  二句目  雑     男一人の秘湯巡りよ               (吉良) 

21  三句目  雑   幾山河越え来し峰に風光り              (小野寺) 

22  四句目  雑    セピア調なるモードで撮れば      (豊) 

23 五句目 夏  烏賊 (イカ) 釣火星空ぬぐい釣果待つ    (吉良) 

24  六句目  夏        白装束の滝行の女 (ひと)        (深瀬) 

25  七句目  雑    艶やかな衣装の清く凛と立つ        (新井) 

26  八句目  恋      シラノの想い木漏れびに秘め      (志方) 

27 九句目  恋   十代は武蔵お通に胸おどり         (深瀬) 

28  十句目  雑      散りゆく生命 (いのち) 煌めくや今   (小野寺) 

29  月の座  月  李陵往く月の砂漠に影哀し         (志方) 

30 折端  秋    銀河を見上げ歌口ずさむ        (吉良) 

  名残裏

31  折立    秋   秋高く鳶の眼 (まなこ) は尾根を追い    (小野寺) 

32  二句目  雑    猟師の銃は獲物を狙う         (豊) 

33  三句目  雑  徒競走待てる号砲胸躍る           (吉良) 

34  四句目  雑        大人の散歩気になる歩数        (新井) 

35 花の座  花  西行の旅の終わりは花の下         (豊) 

36  挙句  春     蓮華畑に大地の目覚め         (志方) 


 深瀬 (事務方) 


  補足


・第4 回の実施要領は、下記URL を参照してください。

  http://nanaku-haiku.blogspot.com/2020/10/4.html 


・七句会  第四回自由連句  作成プロセスは、下記URL を参照してください。

  http://nanaku-haiku.blogspot.com/2020/10/blog-post.html 



2020年10月13日火曜日

七句会 第四回 自由連句 作成プロセス

  七句会第四回自由連句作成プロセス

01  鎮魂の読経に和すや蝉時雨      (小野寺 20.08.25)
 災害で亡くなった故人を追悼する盆供養の読経の声が朗々と響く中、寺の外
では蝉時雨がさながら読経に唱和する様に聞こえて、鎮魂への祈りの深さが動
と静に相成り 尚一層深まる想いがしました。              

02 旅人送る十六夜(いざよい)の月   (吉良 20.10.13) 
 鎮魂の発句から旅人を連想:旅立つ旅人の背中を照らす十六夜の月が、旅に
出る旅人と旅人を見送る人の葛藤を表しています。            

03  茶をそそぎ車窓のすすき消え去りて   (深瀬 20.10.14)
  旅人はローカル列車に乗り、お茶を蓋の容器に注いでいます。車窓にすすき
の群れが現れましたが、すっと消えていきました。

04  稲刈り終えたさびしき案山子     (志方  20.10.14) 
  秋の風物詩、すすきの後に、稲刈りをつなげてみました。

05  月の夜お化け屋敷はにぎやかに    (豊    20.10.15) 
  案山子→人形→お化けと連想して、夏の季節感と月を結びつけました。

06  もののけ棲むや青葉づく鳴く     (小野寺 20.10.17)
  お化け屋敷より物の怪を連想。深い薄暗い初夏の木立で鳴くふくろうの青葉
づくの声の響きとしました。

07  六本木学術会議智慧問われ        (深瀬 20.10.18)
 フクロウは、ローマ神話の智恵の女神ミネルヴァを象徴するものとして知ら
れています。昨今の新たな会員任命問題に揺れる六本木にある学術会議に転換
してみました。

08  揺れて恋道秋空高く          (新井 20.10.18)
 学術会議で世間が揺れていて、恋心というものは揺れるという発想をしまし
た。

09  老いらくの想いはあれど海深く      (志方 20.10.18)
  古希過ぎて、世相に品格や衒いがなくなり、発した言葉が簡単に翻る時代、
人への想いだけは大切に護りたいですね。

10 母見る赤子もみじ手伸ばす      (吉良 20.10.19) 
  人間の愛の根源である母子の愛情表現を老いの情愛と対比しました。

11  時翔 (かけ) る孫の明日に夢を置き   (小野寺 20.10.21)
  12年前もみじのような初孫の手に喜びましたが来年は早中学、孫娘も娘と背
丈を並べるまでになり、瞬く間に成長する姿を見て孫娘の未来に幸あれとそっ
と夢を重ねます。

12 出口の見えぬトンネルの中         (豊  20.10.21) 
  今の日本は、出口の見えないトンネルの中にあるようです。私たちの世代が
いなくなった後の世界と日本がどうなっていくのか、孫たちの未来が心配です。

13  冬の月明るい未来の道しるべ       (新井 20.10.24)
  12月会議が終わるころには美しい冬の月が楽しめることでしょう。その頃に
は明るい未来が少しでも見えるといいのに…という願いを込めました。

14  熱燗並べDX (ディエクス) 議論   (深瀬 20.10.25)
  コロナ禍とクラウドなどのIT技術の進歩で、DX(Digital Transformation)の
勢いが続きそうです。20年ほど前、パソコン通信からISDNのインターネットに
移行したころを思うと、これからの未来社会は明るいのか想像を超えます。

15  横文字と略語が並ぶ危うさよ     (豊  20.10.25) 
  深瀬さんの句で初めてDX という言葉を知りました。私が世の中に遅れてい
るのかもしれませんが、文章でも会話でも横文字と略語が多くなって肝心の日
本語が忘れられているような気がします。

16  お好み焼きかアベノミックスは    (志方 20.10.26)
  巷には、高齢者には難解な横文字が溢れ、文言がどういう表現なのか、理解
不能なケースによく遭遇します。近年、最も意味不明なフレーズをお好み焼き
の一種かなと思っておりました。自身の名前を付けて、世界に吹聴していた奥
ゆかしき御仁がいましたが、世界に冠たる借金で、経済対策を行った様ですが、
何でも一番で目標達成で隠居のようです。これぞヤマトダマシいに極みですか
ね。 [美しい日本万歳] 

17  太閤の花見茶会や貴も賤も      (深瀬 20.10.27)
  前政権は、モリカケ問題、桜を見る会などの隠蔽体質が目立ちましたが、や
や無理筋ですが、太閤秀吉の茶会や花見の風流のオープンさを対比しました。

18  浪花 (なにわ) の春は夢のまた夢   (小野寺  20.10.28) 
  権勢を誇った太閤秀吉も病の床の中で五大老の筆頭家康に嫡男秀頼の後事を
頼みますが大阪城は落城、歴史の歯車は浪花から江戸に移っていきます。秀吉
の願った浪花の春は夢の彼方となりました。
  コロナの世界蔓延も誰も予期しなかった事ですが世の中が、変わって行きま
すね。

19  送別会幾年先の桜酒         (新井 20.10.31)
  今年の三月に予定されていた職場の送別会が「延期」とされました。それか
ら、小野寺様の仰る通りこのような事態なるとは思わなくて…、一体いつにな
るのか…桜の咲く季節に美味しいお酒を皆で頂く夢を見るような気持になりま
す。

20  男一人の秘湯巡りよ              (吉良 20.11.02)
  定年退職の送別会も中止になり、妻には友達と旅行したいと断られ、一人で
旅する男の何とも言えない切なさよ。

21 幾山河越え来し峰に風光り           (小野寺  20.11.05) 
 吉良さんの男の哀愁を受けて我々団塊の世代は振り返ると競争の時代でした。
その中で家庭を守り世の荒波を潜り抜けてきたという密かな自負もあります。
さりとてそれが何だと言う一末の諦観もあります。男はやはり独りなのだ、と
ふと思う時があります。昔、男は黙ってトリスを飲む、という宣伝がありまし
たね。

 補。「男は黙って」は、サッポロビールだったと思います。トリスは、柳原
良平氏によるアンクルトリスの絵が懐かしいです。コピーライターは開高健の
ようでした。 (深瀬) 

22  セピア調なるモードで撮れば     (豊  20.11.05) 
 昔の写真はセピア色に変色して残っています。現在のデジタルカメラの写真
も、セピア調モードで撮影すれば古き懐かしい風景になります。

23 烏賊 (イカ) 釣火星空ぬぐい釣果待つ (吉良 20.11.07)
  セピア色は烏賊墨の色。烏賊釣り漁船の漁火の光りの下で大漁を待つ熱気、
夜空の星も拭われたように目立たない光景を読みました。

24  白装束の滝行の女 (ひと)       (深瀬 20.11.08)
  水しぶきをあげる夏の滝に打たれる白装束の女性に転換してみました。

25  艶やかな衣装の清く凛と立つ     (新井 20.11.08)
  滝の修行(?) が終わった後、色鮮やかな洋服に着替えて、かつ心は清らかに
凛として次へ向かう…のイメージで作りました。

26  シラノの想い木漏れびに秘め     (志方 20.11.08)
  何か恋がテーマばかりで、恋愛経験の乏しい爺さんとしては、そんなことあ
ったかなという情景が中々浮かばないですね。映画でシラノドベルジュラック
の最後のシーンを想い、凛としたロクサーヌを胸に焼き付けたか秋の陽ざしの
中で、静かに眠りについた情景を思いだしました。
  こんな献身的な恋に感動した、若き日を思いをよんでみました。気恥ずかし
いですが。。。。。。

27  十代は武蔵お通に胸おどり      (深瀬 20.11.09)
 恋は多様だと思います。十代のころ、吉川英治の小説「宮本武蔵」のなかの
武蔵とお通さんの恋物語に感動していました。

28  散りゆく生命 (いのち) 煌めくや今  (小野寺 20.11.12)
  恋に悩んだ稀代の剣豪にも死は一様に訪れます。時の差こそあれ、人は皆死
から逃れる術はありません。されば、生きている日々の一瞬一瞬を己に誠実に
輝いて生きたいものです。

29  李陵往く月の砂漠に影哀し      (志方 20.11.15)
  未だ見ぬシルクロードへの憧れは消えがたく、李陵という悲劇の漢の武将は
特に脳裡に残ります。はからずも、匈奴の捕虜となった李陵の心象をよんでみ
ました。

30 銀河を見上げ歌口ずさむ       (吉良 20.11.17)
  李陵も望郷の思いで夜空を見上げたのでは。こちらは小学校でならった童謡
「月の砂漠」を懐かしみ思わず口ずさんでしまった老人。

31  秋高く鳶の眼 (まなこ) は尾根を追い   (小野寺 20.11.21)
  吉良さんの月の砂漠の美しい夜のイメージから明るい空に転じました。秋晴
れの空高く天空で輪を描く鳶 (とび) の眼は風に乗り遥か眼下の紅葉の尾根を
追いかけるのでしょうか。

32  猟師の銃は獲物を狙う        (豊 20.11.21)
  上空から地上の餌を狙っている鳶の姿から、人間世界の猟師に場面を変えて
みました。

33  徒競走待てる号砲胸躍る        (吉良 20.11.22)
 銃のパンという音で、小学生の運動会:徒競走の号砲のなる数秒間の何とも
言えない緊張感を思い出させられます。

34  大人の散歩気になる歩数       (新井 20.11.22)
 子供の時はスタートにドキドキしたけれど、大人になった今は、ダイエット
が気がかりです。

35 西行の旅の終わりは花の下      (豊 20.11.22)
 漂泊の歩く旅を重ねた西行は、現在の大阪府南河内郡の弘川寺で没しました。
望みどおりの「花の下」にて。

36  蓮華畑に大地の目覚め        (志方  20.11.23) 
  どんな人にも、等しく終焉は訪れますが、大地は四季の恵みを毎年繰り返し
受けます。幼き頃の記憶ですが、春先に咲き誇る蓮華の光景に何故かワクワク
したものでした。今は、化学肥料や農薬が闊歩し、蓮華畑が余り見あたりませ
ん。こんな時代に西行は何を想うのか?