2024年6月7日金曜日

七句会 第四十七回ネット句会 感想、自句自解です。

 七句会のみなさま


 第四十七回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をお寄せいただき、

たいへんありがとうございました。

 およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ

てお届けします。

 今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。

 七句会のweb  http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。

  今後とも、よろしくお願いいたします。

  深瀬 (事務方) 



1.第47回  ネット句会  作品集


(01) 桜子さん


・輪島塗海を渡れる世界一

・若き女医怒れば般若に様変わり

・歓迎会牛しゃぶしゃぶで囲む鍋

・夜桜のピンクのマシュマロふんわりと

・新入生正門くぐり一歩一歩

・新入生母の着物の袖つかむ

・竹の秋主役を地下にゆずりましょう

・竹の秋炊き込みご飯の準備かな

・能登の塩伝統の味日本一


(02) 小野寺さん


・気が付けば逃げ水追いて喜寿となり

・雪解けの瀬音流るる落ち椿

・花残月光かすめて鳥還る

・春蘭を愛でし人逝き空の青

・花透いて我が来し方に悔いなきや

・湯上がりの肌にひとひら花の白

・花冷えの古城の松に風は哭き

・春暮れて月光に触れ眠りけり

・廃村の瀬音ゆたかに山桜

・月白く花散る宵を舟は航き

・夜桜は蒼き夜空に散りしきり

・花明かり別れし人を隠しけり

・生きてあれ木々朝霧に木の芽吹き

・春雷の昏き光を朋渡り

・夜桜や梢は深き闇に消え

・星の畔 (あぜ) 蛙 (かわず) の歌の大合唱

・鎮魂の読経のしじま花吹雪

・春一番山轟かす風の音

・宵闇に漁火 (いさりび) 遠く春の雨

・みほとけの頸傾むきて春惜しむ

・花月夜凪の湖面を櫂の音

・父の墓碑風が手向けし花吹雪

・満州の戦火越え来し父の春


(03) 吉良さん


  ゴルフ場の行き帰りに通る利根川の岸辺の風景 (4 句) 

・菜の花や織りなす波に遊ぶ吾子

・微睡 (まどろみ) の眼窩に満ちる菜花かな

・黄金なる利根の菜花や空を断つ

・畔温み鷺舞い降りし春の風

・花盛る歌碑をたどりて人偲ぶ

・春眠や海越え届くホームラン


(04) 桑子さん


・花疲れ優先席の狸寝入り

・春雨や眼鏡に残るミスショット

・温暖化桜満開夏日かな

・数独の睡魔に負けし春の昼


(05) 志方さん


・霞みゆく川面のかなたに雉がなく

・花散らし早緑のなか風に舞い

・菜の花が朧月夜に薄化粧

・神田川散りし集まり花いかだ

・春愁の薄陽が照らす孫の頬

・舞い散りて残り桜の儚さが

・風に乗せ桜連れ去り初燕

・紅麹キックバックもAB遺産

・せせらぎの新緑のなか老い桜


(06) 治部さん


・冬旅や富士隠す雲にくにくし

・歳重ね去年より早し春一番

・筍の飯炊くかほり足止めて

・入学の朝は桜と決めていた

・あぁ桜なんと気まぐれ雨に咲く

・浅川の流れを覆う櫻花

・学園の桜吹雪や衿白し


(07) 中津川さん


・寒明けて語らう友も酒量減り

・標準木満開近し減る人出

・弾む声無口な孫に桜咲く

・苺花やがて香りの粒となり

・ぞろぞろと目黒の土手の花疲れ

・躑躅満つ迷路のごとき寺の庭

・なごり雪杖つく友に肩を貸し


(08) 橋本さん


・春浅し小川に跳ねる光かな

・ぷかりぷかり浮き雲連れて春来る

  気候変動 (温暖化) (2句)

・3 月がつひに夏日となりにけり

・気候変動人を桜を振り回す

・窓越しに芽吹き楽しむ日永かな

・鵜を逃る小魚白鷺頂戴す


(09) 服部さん


・若芝のゴルフ楽しや息子らと

 毎年飽きずに同じ苗を

・トマト茄子苗は今年も同じもの

・初音在り師匠の音にはほど遠く

・満開だエージシュートだ桜咲く

 同期会、早世した友人を思い出

・春の宴中心避けたい記念写真


(10) 宮澤さん


・花筏かき分けながら舟が行く

・春眠と惰眠の間往き戻り

・すれ違い胸元まぶし春の服

・名も知らぬ雛も歴史を背負いたり

・さえずりや朝の気配の宅急便


(11) 柳町さん


    先日、草津温泉に行きましたので、その時の感じを詠んでみ

 ました。雪の大谷には負けますが、渋峠付近に雪の壁がある。

  温度が上がり雪が解けて夢幻惑煙状になり--------- 

・雪壁が作る煙や春一番

・夢幻なり遠目に消える雪煙


(12) 豊さん


・たんぽぽや錆の色濃き廃線路

・花冷えや亡き先生を偲ぶ会

・三年後何人残る入社式

・ああ旨しわが養老の花見酒

・絵画展大小の春並びおり

・江戸人も愛でし桜の隅田川

・初夏の白き素足や女高生


(13) 深瀬


・春眠と午睡重なる老いの日々

・異星人歩道橋から花めでる

・露天風呂花散る夜の静けさや

・老妻の手とり退院花吹雪

・両国の散歩葉ざくら江戸情緒

・喜寿の声花見マンネリ認知症

・新入りの兵は戻らず母涙

・溌剌の新入社員走馬灯

・認知症新入生の胸騒ぎ

・新境地老いのもがきか竹の秋

・春迎え老いのグッズの二つ三つ

・座を仕切る豊満の笑み姥桜

・余命聞き向き合う花に改まり

・けじめなき老いの春眠やるせなく

・咲き誇る花のこころに謎宇宙

・空覆う花の老木銀河ごと

・春とてもロシアを覆うマゾヒズム

・死者並ぶガザウクライナ春陽受け

・マリウポリ残虐ロシアに眼を背く

・タテ社会他者のこころに土足入り

・囲碁手談義理人情と真逆行く



2.第47回  ネット句会  感想と自句自解


◎ 桜子さん (新井さん) の自句自解


(071) 輪島塗海を渡れる世界一

  総理がバイデン首相にお贈りした輪島塗のお品は世界一と言えるで

しょう。


(038) 若き女医怒れば般若に様変わり

  担当の歯医者さんは若くてきれいな女医さんですが、怒ると般若に

見えます。


(016) 歓迎会牛しゃぶしゃぶで囲む鍋

  何年かぶりの歓迎会はしゃぶしゃぶ料理で盛り上がりました。


(080) 夜桜のピンクのマシュマロふんわりと

  職場のそばの夜桜が、マシュマロに見えました。


(013) 新入生正門くぐり一歩一歩

 大学の入学式では、校章のついたあの真田堀りの正門をくぐり、一

歩一歩と体育館へ向かいました。まさに期待と不安でいっぱいでした。


(044) 新入生母の着物の袖つかむ

 小学校の入学式で会場を前に怖くなり、思わず母の黒い着物の袖に

しがみつきました。


(091) 竹の秋主役を地下にゆずりましょう

 これからは筍の季節、地面の方に栄養を譲ります。


(030) 竹の秋炊き込みご飯の準備かな

 筍が出てくるのを楽しみに、炊き込みご飯のおいしいレシピを調べ

ます。


(052) 能登の塩伝統の味日本一

  大変な状況の能登半島ですが、最も被害を受けた珠洲市を始め、昔

から塩創りで有名です。きっと復活します。



◎  小野寺さんの自句自解、感想


(070) 湯上がりの肌にひとひら花の白    三点句

 治部さんの解釈の通り。湯上がりの女性の白い肌が薄紅色に変わり

おりしも降りかかるひとひらの桜の花びらの白は、美しいと息を呑み

ました。


(072) 気が付けば逃げ水追いて喜寿となり  三点句

 自分では一生懸命に身体を張って追い求めて来たもの、辿りついた

と思えば、逃げ水となり消えてゆく、邯鄲の夢に自分の人生が重なり

ます。


(037) 花月夜凪の湖面を櫂の音       二点句

  深瀬さんの解釈通り満開の夜桜の湖畔、小船を漕ぎだせば静かに櫂

の音だけが進んでゆく、往くあてはないのだけれど。


(041) 春雷の昏き光を朋渡り        二点句

 急逝した友人の野辺送り、暗い空に春雷が走り、儚げな光の路を友

は独りで渡ってしまったのです。


(078) 二点句みほとけの頸傾きて春惜しむ  二点句

  吉良さんの解釈の通りこの美しい春の日はいつまでも続いて欲しい

と御仏も首を傾げて、願っている様です。


(101) 宵闇に漁火( いさりび) 春の雨    二点句 

 宵闇の向こうに漁火が揺れ静かにやはらかい春の雨が窓を濡らす独

りオハコの舟唄の世界です。


(010) 夜桜や梢は深き闇に消え       一点句

 満開の夜桜、梢の先は漆黒の闇の中に消えて幽玄の情景を醸し出す。

夜桜は千両役者なのだ。


(017) 生きてあれ木々朝霧に木の芽吹き   一点句

 平島さんの目に止まりました。朝霧の中生命を託して一斉に芽吹く

木芽は辛くても生きろよ、と叫ぶ自然の応援歌です。


(025) 廃村の瀬音豊かに山桜        一点句

 今は住む人も絶えた廃村だが大自然は瀬音豊かに山桜を咲かせ悠然

と巡ってくるのです。


(085) 父の墓碑風が手向けし花吹雪     一点句

 父の墓碑にぬかづけば一陣の風とともに花吹雪が舞い、亡き父に風

が黙祷を捧げてくれたのです。


(088) 鎮魂の読経のしじま花吹雪      一点句

 平島さんの目に止まりましたか。大震災の復興を祈願し鎮魂の為の

読経は舞い散る花吹雪の中で一瞬静寂が支配しておりました。


(092) 花明かり別れし人を隠しけり     一点句

 豊さんの解釈の通りです。恋人と別れた花の夜、どうして別れてし

まったんだろうという未練が、花あかりの中に浮かんでました。


(098) 花透いて我が来し方に悔いなきや   一点句

  桜子さんの解説がおもしろい。桜を見つめながらそっとつぶやく。

映画のワンシーンで俳優がふとつぶやく。素敵です。しかし現実の自

分は悔いばかりなんですよね。


(108) 雪解けの瀬音流るる落ち椿      一点句

 これも平島さんの目に止まりました。雪解けの冷たい流れのなか花

ごと落ちる椿が音たてて鮮やかに流れていく。


(015) 満州の戦火越え来し父の春

  あまり、多くを語らなかった父は怒涛と混乱の満州を辛うじて生き

のび帰還しました。多くの戦友は死のふちからロシアに抑留され亡く

なりました。今自分がある事は僥倖として感謝せずにはおれません。


 追伸

 平島さんに七句の選句のうち私の句を四句も選んで頂きました。



◎ 豊さんの自句自解


(002) 雪帽子かぶりて黙す石地蔵 

 降った雪が石地蔵の頭に積もっています。地蔵は悟りの境地にある

ので雪も寒さも感じることがないのです。


(011) 大寒の寺鐘の音透き通る 

 小野寺さんの鑑賞のとおり、大寒のさえざえとした空気の感じを詠

んでみました。


(016) あでやかに成人の日の晴れ着かな

 用事があって駅前にでかけたとき、成人式帰りの晴れ着姿の女性グ

ループを見かけて、ああ若いというのはいいなあと思いました。


(051) 初場所や勝負の果ての乱れ髷

 土俵の上で力士は全力でぶつかり合います。整えていた髷が乱れる

ほどに。それが相撲のおもしろさです。


(061) 災害の悲しみ深し能登の雪

 元旦そうそうの能登大地震には本当に驚きました。潰れた家の下敷

きになって亡くなった人もたくさんいました。合掌です。


(093) 豆まきや鬼追う園児たちの声

 節分の豆まき、幼稚園では鬼に扮装した先生を園児たちが追いかけ

るのです。一票ぐらいは入ると思ったのですが、意外でした。


(097) 寒の入入浴剤を買い足しに 

 寒の入りを迎えて、これからさらに寒くなるので、体を暖める入浴

剤を多めに備えておこうと思ったのです。それがうまく伝わらなかっ

たようです。



◎ 深瀬の自句自解


(003) 咲き誇る花のこころに謎宇宙

  満開の桜を見るとなんのためにこんな華々しい咲き方をしているの

か不思議な気持ちに襲われます。


(007) 春とてもロシアを覆うマゾヒズム

  大方のロシアの人々がプーチン政権の残虐行為に沈黙し許容してい

るのは一種のマゾヒズムなのでしょうか。


(016) 春眠と午睡重なる老いの日々           1 点句

  午前中から眠くなることがあります。次第にひどくなりつつある感

じです。老いとはこういうものなのでしょうか。


(018) 花のした牛丼ひろげ紅生姜

  桜の花と真っ赤な紅生姜の対比がおもしろいのでは、と思ったので

すが。


(021) 初夏を行く髭にハットのダンディズム        1 点句

  最近の身近な老人は、結構、おしゃれな人が増えてきました。ひげ

は自己アピールなのでしょうか。


(024) タテ社会他者のこころに土足入り

 民主主義の社会では個の尊重が基本原則な筈なのですが。


(029) 露天風呂花散る夜の静けさや           2 点句

  露天風呂につかりながら、夜桜をみている状況を想像してみました。

一度は経験してみたいと思います。


(031) 異星人歩道橋から花めでる

  天現寺交差点の歩道橋の上から道路の両側の桜並木をみて、なにか

空中からみているような気持ちになりました。


(035) 新境地老いのもがきか竹の秋

  認知症の実感が次第に強まっていくときの心境とはどういうものな

のでしょうか。鬱の経験があるので少し自信があるのですが。


(040) 喜寿の声花見マンネリ認知症

 今年の目黒川の桜は、苗木の寿命のためかいま一つでした。それと

こっちの老化も重なっているようにも感じました。


(049) 両国の散歩葉ざくら江戸情緒

  10数名で両国に散歩に行き、吉良邸とか勝海舟生誕の地を見学しま

した。江戸の中心街はこの辺だったのだと実感しました。


(055) けじめなき老いの春眠やるせなく         2 点句

  たくさん寝たと思っても、かつてのようなすっきりした気持ちにな

らないのが、情けないです。


(058) こどもの日子になに学ぶ対話会

  哲学対話のようなこんな企画に参加してみました。若い人の参加が

多かったので新鮮でした。


(065) 新緑に孫の笑顔の夢二度寝

  孫の笑顔に新緑が映えれば、こんな美しいものはないとのもいます。


(073) 溌剌の新入社員走馬灯

  かつて自分も新入社員のとき、講堂に集められ、所属課長に引率さ

れて職場に向かいました。


(079) 座を仕切る豊満の笑み姥桜            2 点句

  男の側から見る女性の不思議は、年齢に関係ないと思います。


(083) マリウポリ残虐ロシアに眼を背く

  ロシア軍が攻め込んだマタウポリの様子を外国のジャーナストが必

死の覚悟で撮影したものをみましたが、下巻を見る気になれませんで

した。


(087) 空覆う花の老木銀河ごと

  夜空を一杯に花で埋める桜の大木の威圧感を詠んでみました。


(089) 新入りの兵は戻らず母涙

  戦死したロシアの若い兵隊の母親らの映像をみました。悲惨だとつ

くづく思います。


(093) 認知症新入生の胸騒ぎ

  認知症が始まっています、と宣告されたときどういう気持ちになる

ものでしょうか。


(097) 死者並ぶガザウクライナ春陽受け         1 点句

  戦争がいかに悲惨なものであるか、映像技術等の進歩によっていや

というほど分かっている筈なのですが。


(100) 余命聞き向き合う花に改まり           2 点句

  がんでは余命がかなりはっきり告げられるようですが、どういう心

境になるものか、想像してみました。


(103) 老妻の手とり退院花吹雪             5 点句句

  花吹雪に似合いそうな風景を想像してみました。


(109) 春迎え老いのグッズの二つ三つ

  老眼鏡とか杖とか、いろいろ老人グッズが増えていっています。


(115) 囲碁手談義理人情と真逆行く

  囲碁対局には義理人情が入り込む余地がないところがおもしろいで

す。


 --------

 

2024年5月13日月曜日

七句会 第47回 ネット句会 選句 結果

 

 七句会のみなさま

 

 第四十七回目の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。

 今回の選句結果をご報告いたします。

 

9 点句

(076) たんぽぽや錆の色濃き廃線路           豊   01

 

5 点句

(103) 老妻の手とり退院花吹雪             深瀬 04

 

4 点句

(034) ああ旨しわが養老の花見酒            豊   04

 

3 点句

(002) すれ違い胸元まぶし春の服            宮澤 03

(061) 微睡 (まどろみ) の眼窩に満ちる菜花かな     吉良 02

(070) 湯上がりの肌にひとひら花の白          小野寺06

(072) 気が付けば逃げ水追いて喜寿となり        小野寺01

(081) 名も知らぬ雛も歴史を背負いたり         宮澤 04

 

2 点句

(006) なごり雪杖つく友に肩を貸し           中津川07

(022) ぷかりぷかり浮き雲連れて春来る         橋本  02

(026) 躑躅満つ迷路のごとき寺の庭           中津川06

(029) 露天風呂花散る夜の静けさや           深瀬 03

(037) 花月夜凪の湖面を櫂の音             小野寺21

(041) 春雷の昏き光を朋渡り              小野寺14

(043) 寒明けて語らう友も酒量減り           中津川01

(044) 新入生母の着物の袖つかむ            桜子 06

(055) けじめなき老いの春眠やるせなく         深瀬 15

(060) 菜の花や織りなす波に遊ぶ吾子          吉良 01

(063) 畔温み鷺舞い降りし春の風            吉良 04

(078) みほとけの頸傾むきて春惜しむ          小野寺20

(079) 座を仕切る豊満の笑み姥桜            深瀬 13

(084) 数独の睡魔に負けし春の昼            桑子 04

(096) 窓越しに芽吹き楽しむ日永かな          橋本  05

(100) 余命聞き向き合う花に改まり           深瀬 14

(101) 宵闇に漁火 (いさりび) 遠く春の雨        小野寺19

(112) 江戸人も愛でし桜の隅田川            豊   06

 

  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前

とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。

  次回については、7 月~  8 月ころにご連絡したいと思っていますので、よ

ろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連

絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。

 

 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。

 

(1) 選句参加者

 今回の選句には、下記の14名が参加しました。

  桜子さん (新井さん) 、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、

治部さん、中津川さん、橋本さん、服部さん、平島さん、宮澤さん、

柳町さん、豊さん、深瀬。

 

(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について

  今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので

はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り

たいと思います。一応、期限としては  6 3 日とし、事務方にメールでいた

だき、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/

 

  2024.05.13

 

      代表   橋口侯之介

      顧問  豊  宣光

      事務方 深瀬久敬

 

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(001) 花残月光かすめて鳥還る             小野寺03

      1       「花残月」という言葉を発見しただけでも見事。イメ

          ージが巧みです。

(002) すれ違い胸元まぶし春の服            宮澤 03

      1 服部

      2 治部    春のエロスを感じますね。「どこ見てんのよ」と、叱

          られそうですな。

      3 柳町

(003) 咲き誇る花のこころに謎宇宙           深瀬 16

(004) 鵜を逃る小魚白鷺頂戴す             橋本  06

(005) 紅麹キックバックもAB遺産           志方 08

(006) なごり雪杖つく友に肩を貸し           中津川07

      1 桑子

      2 桜子    長年のご友情が感じられて、温かい気持ちになれまし

          た。

(007) 春とてもロシアを覆うマゾヒズム         深瀬 18

(008) 花筏かき分けながら舟が行く           宮澤 01

(009) 標準木満開近し減る人出             中津川02

(010) 夜桜や梢は深き闇に消え             小野寺15

      1 宮澤

(011) 花疲れ優先席の狸寝入り             桑子 01

      1 服部

(012) 霞みゆく川面のかなたに雉がなく         志方 01

      1 平島   

(013) 新入生正門くぐり一歩一歩            桜子 05

(014) 満州の戦火越え来し父の春            小野寺23

(015) 初音在り師匠の音にはほど遠く          服部 04

      1 中津川  初鳴きのうぐいすの未熟さが伝わります。

(016) 春眠と午睡重なる老いの日々           深瀬 01

      1 服部

(017) 生きてあれ木々朝霧に木の芽吹き         小野寺13

      1 平島   

(018) 花のした牛丼ひろげ紅生姜            深瀬 07

(019) 学園の桜吹雪や衿白し              治部 07

      1 桜子    入学式の光景でしょうか。桜や制服のシャツの襟の白

          色など、色のコントラストが印象的です。

(020) さえずりや朝の気配の宅急便           宮澤 05

      1 小野寺  早朝、小鳥のさえずりで目覚めると宅急便の気配が重

             なり何か良い事がありそうな気配。清々しさを感じます。

(021) 初夏を行く髭にハットのダンディズム        深瀬 22

      1       まさに男のダンディズム、おしゃれな紳士の様子が伝

          わってきます。

(022) ぷかりぷかり浮き雲連れて春来る         橋本  02

      1 志方

      2 吉良    擬音がのんびりした春の景色になんともピッタリです。

(023) 春一番山轟かす風の音、             小野寺18

(024) タテ社会他者のこころに土足入り         深瀬 24

(025) 廃村の瀬音ゆたかに山桜             小野寺09

      1 橋本    廃村なれど、自然はそのままに巡っている。

(026) 躑躅満つ迷路のごとき寺の庭           中津川06

      1 宮澤

      2 柳町

(027) 歳重ね去年より早し春一番            治部 02

(028) 春雨や眼鏡に残るミスショット          桑子 02

(029) 露天風呂花散る夜の静けさや           深瀬 03

      1 桜子    夜の露天風呂の良さがしみじみ味わえます。

      2 服部

(030) 竹の秋炊き込みご飯の準備かな          桜子 08

      1 治部    やあ!香ってきますね。筍ご飯ですよね。準備中から

          わくわくしている様子が伝わってきます。美味しいに決

          まっています。

(031) 異星人歩道橋から花めでる            深瀬 02

(032) 菜の花が朧月夜に薄化粧             志方 03

      1 桜子    幻想的な一句です。

(033) 若芝のゴルフ楽しや息子らと           服部 01

(034) ああ旨しわが養老の花見酒            豊   04

      1 吉良    心から発する酒を飲む喜びの声が聞こえそうです。

      2 治部    ああ旨しがいいですね。このところ出来なかった花見

          酒、人生の後半にひとしおの旨さを感じている様子が伝

          わりますね。

      3 橋本    生きていればこそ、相応の美味い花見酒が呑める幸せ。

      4 小野寺  誰に気兼ねする訳ではない気ままな花見酒わが養老の

              花見酒はさぞ旨いことでしょう。

(035) 新境地老いのもがきか竹の秋           深瀬 11

      同期会、早世した友人を思い出

(036) 春の宴中心避けたい記念写真           服部 07

      1 治部    おやおや、もうひと働きを決めたのですか。もがいて

          いると表現した事と、春ではなく竹の秋とした所、何だ

          か振り絞っている感が伝わります。「もがきや」として

          強調すると決心がさらに強まるかな。

(037) 花月夜凪の湖面を櫂の音             小野寺21

      1 宮澤

      2 深瀬    夜の湖畔には満開の桜が並び、湖面には小舟が静かに

          櫂の音をたてて進んでいく。なにをしに行く舟なのでし

          ょうか。

(038) 若き女医怒れば般若に様変わり          桜子 02

(039) 風に乗せ桜連れ去り初燕             志方 07

(040) 喜寿の声花見マンネリ認知症           深瀬 06

(041) 春雷の昏き光を朋渡り              小野寺14

      1       急逝した友人を思う気持ちでしょうか。「春雷」が効

          果的です。

      2 柳町

(042) 花冷えや亡き先生を偲ぶ会            豊   02

(043) 寒明けて語らう友も酒量減り           中津川01

      1 桑子    小生も年に比例して減っています。共感します。

      2 治部    同感です。これ自分もですよね。暖かくなって久々に

          会い語らうも、酒の量は心なしか減っている。お互い体

          に気を付けて長く付き合いたいものです。

(044) 新入生母の着物の袖つかむ            桜子 06

      1 桑子    不安そうに、はにかむ様子が目に浮かびます。和服姿

          のお母さんはめっきり少なくなりました。

      2 宮澤

(045) 筍の飯炊くかほり足止めて            治部 03

        先日、草津温泉に行きましたので、その時の感じを詠んでみ

      ました。雪の大谷には負けますが、渋峠付近に雪の壁がある。

      温度が上がり雪が解けて夢幻惑煙状になり------(2)

(046) 雪壁が作る煙や春一番              柳町  01

(047) 夢幻なり遠目に消える雪煙            柳町 02

(048) 春眠と惰眠の間往き戻り             宮澤 02

(049) 両国の散歩葉ざくら江戸情緒           深瀬 05

(050) 花散らし早緑のなか風に舞い           志方 02

(051) 春暮れて月光に触れ眠りけり           小野寺08

(052) 能登の塩伝統の味日本一             桜子 09

(053) 苺花やがて香りの粒となり            中津川04

      1 小野寺  白い苺の花、眺めながら、いつか甘くて香るイチゴに

              なるのだ。その想像力が良いですね。

(054) 初夏の白き素足や女高生             豊   07

      1 志方

(055) けじめなき老いの春眠やるせなく         深瀬 15

      1 志方

      2 服部

(056) 月白く花散る宵を舟は航き            小野寺10

(057) 冬旅や富士隠す雲にくにくし           治部 01

(058) こどもの日子になに学ぶ対話会          深瀬 21

(059) 浅川の流れを覆う櫻花              治部 06

      ゴルフ場の行き帰りに通る利根川の岸辺の風景 (4 )

(060) 菜の花や織りなす波に遊ぶ吾子          吉良 01

      1 中津川  利根川の土手は菜の花と桜とのコラボのすばらしい場

          所がありますね。

      2 橋本

(061)   (まどろみ) の眼窩に満ちる菜花かな     吉良 02

      1       暖かい春になると、ついうとうとしてしまいますね。

          同感です。

      2 柳町

      3 小野寺  微睡のなかふと目をあければ一面の菜の花の黄色が飛

              び込んできた。幸せなひとときです。

(062) 黄金なる利根の菜花や空を断つ          吉良 03

(063) 畔温み鷺舞い降りし春の風            吉良 04

      1 志方

      2 小野寺  畦道の田圃が水温む季節になり、白鷺が舞い降りてき

              た。春のそよ風が気持ち良い、絵を観る様な情景です。

(064) 春蘭を愛でし人逝き空の青            小野寺04

(065) 新緑に孫の笑顔の夢二度寝             深瀬 20

(066) 絵画展大小の春並びおり             豊   05

      1 橋本    画の大きさのみならず、大きな春、小さな春も描かれ

          ているのでしょう。

      気候変動 (温暖化) (2句)

(067) 3 月がつひに夏日となりにけり          橋本  03

(068) 気候変動人を桜を振り回す            橋本  04

(069) 神田川散りし集まり花いかだ           志方 04

(070) 湯上がりの肌にひとひら花の白          小野寺06

      1 桑子    妖艶な光景を想像しちゃいます。

      2 桜子    温泉地での一コマでしょうか。絵葉書に描かれた美し

          い女性のようです。

      3 治部    「湯上りの肌」で、美しき女性の白い肌が湯上りで薄

          紅色になっていることを思わせて、そこへひとひらの白

          い花びらいいですね。これを色気というのかな。お見事

          です。

(071) 輪島塗海を渡れる世界一             桜子 01

(072) 気が付けば逃げ水追いて喜寿となり        小野寺01

      1 宮澤

      2 中津川  「逃げ水」は何を象徴しているのでしょうか?  求め

          て来たものは何だったか気になります。

      3 柳町

(073) 溌剌の新入社員走馬灯              深瀬 09

(074) 入学の朝は桜と決めていた            治部 04

      毎年飽きずに同じ苗を

(075) トマト茄子苗は今年も同じもの          服部 03

(076) たんぽぽや錆の色濃き廃線路           豊   01

      1 宮澤

      2 深瀬    たんぽぽの黄色とさび付いた線路の茶色が調和してい

          る感じがします。

      3 平島   

      4 中津川  廃線された後にはいろいろな思い出があるものです。

      5 服部

      6 吉良    廃線となった錆びた線路とたんぽぽの色の対比が面白

          い。

      7 治部    役目を終えて久しい錆びた廃線路の周りを囲むたんぽ

          ぽの黄色が、のんびりとした暖かさを感じさせます。疲

          れを癒しているような春らしい光景が目にうかびますね。

      8 橋本    タンポポの鮮やかな花の黄色と葉の緑が、廃線の錆の

          色をいっそう際立たせている。

      9 小野寺  忘れ去られた廃線路、錆色が濃いなかにひときわ健気

              に黄色のたんぽぽが咲いている。何処にでも生きる生命

              があるんですね。対象に目がゆく作者の感性が光ります。

(077) ぞろぞろと目黒の土手の花疲れ          中津川05

      1       目黒川は桜の名所、たくさんの人で賑わいます。人混

          みで「花疲れ」したのでしょう。

(078) みほとけの頸傾むきて春惜しむ          小野寺20

      1 吉良    美しい春の日はいつまでも続いてほしい。御仏も同じ

          思いなのでしょう。

      2 柳町

(079) 座を仕切る豊満の笑み姥桜            深瀬 13

      1 宮澤

      2 中津川  中高年の女子会か?それとも居酒屋の女将か?あるあ

          るですね。

(080) 夜桜のピンクのマシュマロふんわりと       桜子 04

(081) 名も知らぬ雛も歴史を背負いたり         宮澤 04

      1 桑子

      2 中津川  各家庭にはお雛様だけでなく歴史を伝える何かがある

          のではと思います。

      3 吉良    その時代を背負って生きた様々な人々に受け継がれた

          古いひな人形。でも人形の優しい微笑みは時を超えて変

          わらないことでしょう。

(082) 弾む声無口な孫に桜咲く             中津川03

      1 深瀬    共感するものがあります。小学生の上の孫が不登校に

          なり、今度、下の孫が入学しました。今は二人で仲良く

          登校しています。ほっとしています。

(083) マリウポリ残虐ロシアに眼を背く         深瀬 23

(084) 数独の睡魔に負けし春の昼            桑子 04

      1 深瀬    最近、昼食後、しばらくすると猛烈な睡魔に襲われま

          す。老化を実感します。

      2 橋本    数独は時間が掛かり疲れるのでやりませんが、やはり

          眠くなりますか。

(085) 父の墓碑風が手向けし花吹雪           小野寺22

      1 深瀬    我が家のお墓は室内にたくさん並んでいるタイプです。

          こうした景色とは無縁で残念です。

(086) 花盛る歌碑をたどりて人偲ぶ           吉良 05

(087) 空覆う花の老木銀河ごと             深瀬 17

(088) 鎮魂の読経のしじま花吹雪            小野寺17

      1 平島   

(089) 新入りの兵は戻らず母涙             深瀬 08

(090) 春愁の薄陽が照らす孫の頬            志方 05

(091) 竹の秋主役を地下にゆずりましょう        桜子 07

(092) 花明かり別れし人を隠しけり           小野寺12

      1       別れた人は恋人でしょうか。もっと会っていたかった

          という未練の想いが、花明かりの中に浮かんでいるので

          す。

(093) 認知症新入生の胸騒ぎ              深瀬 10

(094) 三年後何人残る入社式              豊   03

(095) 夜桜は蒼き夜空に散りしきり           小野寺11

(096) 窓越しに芽吹き楽しむ日永かな          橋本  05

      1 深瀬    穏やかな日々を過ごしている様が実感として伝わって

          きます。

      2 平島   

(097) 死者並ぶガザウクライナ春陽受け         深瀬 19

      1 吉良    平和な春の陽光とはうらはらな残酷な情景ですね。人

          間の知性は物質文明の進歩とはうらはらに益々退化して

          いるのでしょうか。

(098) 花透いて我が来し方に悔いなきや         小野寺05

      1 桜子    桜を見つめながらそっとつぶやく。映画で俳優さん

          がつぶやくようで、素敵です。

(099) あぁ桜なんと気まぐれ雨に咲く          治部 05

(100) 余命聞き向き合う花に改まり           深瀬 14

      1 中津川  自分が宣告された時は・・・・と想像しました。

      2 小野寺  余命を宣告されて、よく俳句を作る気になったと驚き

              を禁じ得ません。花に向き合い、心の動揺を抑えられた

              としたらそれはまた大変な覚悟です。

(101) 宵闇に漁火 (いさりび) 遠く春の雨        小野寺19

      1 志方

      2 平島   

(102) せせらぎの新緑のなか老い桜           志方 09

(103) 老妻の手とり退院花吹雪             深瀬 04

      1 桑子    ほほえましい光景ですね。病院へ行くと手を取り合う

          老夫婦を多く見かけます。

      2       入院していた奥さんが退院することになった。その喜

          びを花吹雪が盛り上げてくれるのです。うらやましい老

          夫婦です。

      3 服部

      4 吉良    愛情のあふれるすばらしい光景です。

      5 橋本

(104) 舞い散りて残り桜の儚さが            志方 06

      1 柳町

(105) 花冷えの古城の松に風は哭き           小野寺07

(106) 歓迎会牛しゃぶしゃぶで囲む鍋          桜子 03

(107) 春眠や海越え届くホームラン           吉良 06

(108) 雪解けの瀬音流るる落ち椿            小野寺02

      1 平島   

(109) 春迎え老いのグッズの二つ三つ          深瀬 12

(110) 満開だエージシュートだ桜咲く          服部 05

(111) 春浅し小川に跳ねる光かな            橋本  01

(112) 江戸人も愛でし桜の隅田川            豊   06

      1 深瀬    先日、両国界隈を散歩し、江戸時代は、隅田川沿いが

          繁華街の中心であったことを実感しました。

      2 柳町

(113) 温暖化桜満開夏日かな              桑子 03

      1 桜子    季語を入れながらも、現代の環境問題をズバリとつい

          ておられます。

(114) 星の畔 (あぜ) (かわず) の歌の大合唱     小野寺16

(115) 囲碁手談義理人情と真逆行く           深瀬 25

 

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  ご参考  選句時にお寄せいただいたコメントを、僣越ですが、下記に添付し

ます。

 

○ 桜子さん (新井さん)

 楽しく拝見し、選句致しました。

  桜の光景を詠まれた句が多く、幻想的な光景を表現なされていた句が多かっ

たようです。

  日常のつぶやきにも、現代の問題が語られていて、さすが視野の広さがあら

れます。

 楽しいひと時をありがとうございます。

  自分で俳句を作るのも、「私はこんなことを思っていたんだ」と発見になり

ますが、他の方の句を読ませていただくのも、どのあたりが目に留まるかで、

自分の関心に気づくものですね。

 

○ 志方さん

 春を詠むと、似たような句が多く、選句に苦労いたしました。

 

○ 柳町さん

  早めに選句して、気持ちよく(?)旅行に出かけたいと思います。

 御免なさい、どうしても8句になってしまいます(笑)

 

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2024年5月1日水曜日

七句会 第四十七回目のネット句会 選句表

 

 七句会の皆様

 

  桜の季節から初夏にジャンプしてしまったような今日このころですが、

みなさまお元気にお過ごしのことと思います。

  七句会としての第四十七回目のネット句会となりますが、今回、下記

115 句の投句がありました。

  つきましては、次の要領で、選句をしていただきたく、よろしくお願

いいたします。

 

- 下記は、今回、投句していただいた全ての句を、作者を伏せ、兼題別

に、ランダムに列挙したものです。表記は、投句されたそのものです。

詞書きがあり、複数の句があるものは、まとめて並べてあります。兼題

句、自由題句、無季語句、川柳的な句、作者の特定が可能な句、等々、

なんでもありとしています。分類については、作者の意図と異なるかも

しれませんが、ご了承のほどお願いいたします。 (今回も分類を省略さ

せていただきました。)

- このなかから、共感する俳句を、最大7 句選び、5 12 () まで

に、下記へメールで返信してください。番号表記でも構いません。その

際、選んだ理由を一言、付け加えていただくとなお結構です。全体への

コメントでも結構です。

    hfukase@k03.itscom.net  (事務方  深瀬)

- 蛇足ですが、選句にあたり、自作を選ぶのはご遠慮ください。

- 2 月下旬には、選句の結果をまとめ、皆さまにご報告する予定です。

 

  今回の投句者は、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方

さん、中津川さん、橋本さん、服部さん、柳町さん、豊さん、深瀬 (

11) です。

 

 これまでの選句結果は、下記のURL から参照可能です。

 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/

 

 以上、よろしくお願いいたします。

 

  送付不要な場合、ご面倒ですがご一報下さい。以後、送付しないよう

にします。

 

        七句会 2024.05.01

          代表  橋口侯之介

     顧問    宣光

          事務  深瀬久敬

   

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   1. 全て (兼題、季語の有無など無関係)

 

(001) 花残月光かすめて鳥還る

(002) すれ違い胸元まぶし春の服

(003) 咲き誇る花のこころに謎宇宙

(004) 鵜を逃る小魚白鷺頂戴す

(005) 紅麹キックバックもAB遺産

(006) なごり雪杖つく友に肩を貸し

(007) 春とてもロシアを覆うマゾヒズム

(008) 花筏かき分けながら舟が行く

(009) 標準木満開近し減る人出

(010) 夜桜や梢は深き闇に消え

(011) 花疲れ優先席の狸寝入り

(012) 霞みゆく川面のかなたに雉がなく

(013) 新入生正門くぐり一歩一歩

(014) 満州の戦火越え来し父の春

(015) 初音在り師匠の音にはほど遠く

(016) 春眠と午睡重なる老いの日々

(017) 生きてあれ木々朝霧に木の芽吹き

(018) 花のした牛丼ひろげ紅生姜

(019) 学園の桜吹雪や衿白し

(020) さえずりや朝の気配の宅急便

(021) 初夏を行く髭にハットのダンディズム

(022) ぷかりぷかり浮き雲連れて春来る

(023) 春一番山轟かす風の音

(024) タテ社会他者のこころに土足入り

(025) 廃村の瀬音ゆたかに山桜

(026) 躑躅満つ迷路のごとき寺の庭

(027) 歳重ね去年より早し春一番

(028) 春雨や眼鏡に残るミスショット

(029) 露天風呂花散る夜の静けさや

(030) 竹の秋炊き込みご飯の準備かな

(031) 異星人歩道橋から花めでる

(032) 菜の花が朧月夜に薄化粧

(033) 若芝のゴルフ楽しや息子らと

(034) ああ旨しわが養老の花見酒

(035) 新境地老いのもがきか竹の秋

      同期会、早世した友人を思い出

(036) 春の宴中心避けたい記念写真

(037) 花月夜凪の湖面を櫂の音

(038) 若き女医怒れば般若に様変わり

(039) 風に乗せ桜連れ去り初燕

(040) 喜寿の声花見マンネリ認知症

(041) 春雷の昏き光を朋渡り

(042) 花冷えや亡き先生を偲ぶ会

(043) 寒明けて語らう友も酒量減り

(044) 新入生母の着物の袖つかむ

(045) 筍の飯炊くかほり足止めて

        先日、草津温泉に行きましたので、その時の感じを詠んでみ

      ました。雪の大谷には負けますが、渋峠付近に雪の壁がある。

      温度が上がり雪が解けて夢幻惑煙状になり------(2)

(046) 雪壁が作る煙や春一番

(047) 夢幻なり遠目に消える雪煙

(048) 春眠と惰眠の間往き戻り

(049) 両国の散歩葉ざくら江戸情緒

(050) 花散らし早緑のなか風に舞い

(051) 春暮れて月光に触れ眠りけり

(052) 能登の塩伝統の味日本一

(053) 苺花やがて香りの粒となり

(054) 初夏の白き素足や女高生

(055) けじめなき老いの春眠やるせなく

(056) 月白く花散る宵を舟は航き

(057) 冬旅や富士隠す雲にくにくし

(058) こどもの日子になに学ぶ対話会

(059) 浅川の流れを覆う櫻花

      ゴルフ場の行き帰りに通る利根川の岸辺の風景 (4 )

(060) 菜の花や織りなす波に遊ぶ吾子

(061) 微睡 (まどろみ) の眼窩に満ちる菜花かな

(062) 黄金なる利根の菜花や空を断つ

(063) 畔温み鷺舞い降りし春の風

(064) 春蘭を愛でし人逝き空の青

(065) 新緑に孫の笑顔の夢二度寝

(066) 絵画展大小の春並びおり

   気候変動 (温暖化) (2句)

(067) 3 月がつひに夏日となりにけり

(068) 気候変動人を桜を振り回す

(069) 神田川散りし集まり花いかだ

(070) 湯上がりの肌にひとひら花の白

(071) 輪島塗海を渡れる世界一

(072) 気が付けば逃げ水追いて喜寿となり

(073) 溌剌の新入社員走馬灯

(074) 入学の朝は桜と決めていた

      毎年飽きずに同じ苗を

(075) トマト茄子苗は今年も同じもの

(076) たんぽぽや錆の色濃き廃線路

(077) ぞろぞろと目黒の土手の花疲れ

(078) みほとけの頸傾むきて春惜しむ

(079) 座を仕切る豊満の笑み姥桜

(080) 夜桜のピンクのマシュマロふんわりと

(081) 名も知らぬ雛も歴史を背負いたり

(082) 弾む声無口な孫に桜咲く

(083) マリウポリ残虐ロシアに眼を背く

(084) 数独の睡魔に負けし春の昼

(085) 父の墓碑風が手向けし花吹雪

(086) 花盛る歌碑をたどりて人偲ぶ

(087) 空覆う花の老木銀河ごと

(088) 鎮魂の読経のしじま花吹雪

(089) 新入りの兵は戻らず母涙

(090) 春愁の薄陽が照らす孫の頬

(091) 竹の秋主役を地下にゆずりましょう

(092) 花明かり別れし人を隠しけり

(093) 認知症新入生の胸騒ぎ

(094) 三年後何人残る入社式

(095) 夜桜は蒼き夜空に散りしきり

(096) 窓越しに芽吹き楽しむ日永かな

(097) 死者並ぶガザウクライナ春陽受け

(098) 花透いて我が来し方に悔いなきや

(099) あぁ桜なんと気まぐれ雨に咲く

(100) 余命聞き向き合う花に改まり

(101) 宵闇に漁火 (いさりび) 遠く春の雨

(102) せせらぎの新緑のなか老い桜

(103) 老妻の手とり退院花吹雪

(104) 舞い散りて残り桜の儚さが

(105) 花冷えの古城の松に風は哭き

(106) 歓迎会牛しゃぶしゃぶで囲む鍋

(107) 春眠や海越え届くホームラン

(108) 雪解けの瀬音流るる落ち椿

(109) 春迎え老いのグッズの二つ三つ

(110) 満開だエージシュートだ桜咲く

(111) 春浅し小川に跳ねる光かな

(112) 江戸人も愛でし桜の隅田川

(113) 温暖化桜満開夏日かな

(114) 星の畔 (あぜ) (かわず) の歌の大合唱

(115) 囲碁手談義理人情と真逆行く

 

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2024年3月11日月曜日

七句会 第46回 ネット句会 感想と自句自解

 七句会のみなさま


 第四十六回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をお寄せいただき、

たいへんありがとうございました。

 およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ

てお届けします。

 今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。

 七句会のweb  http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。

  今後とも、よろしくお願いいたします。

  深瀬 (事務方) 



1.第46回  ネット句会  作品集


(01) 秋元さん

・時過ぎて足尾の街は冬枯れて

・渓流の小滝の姿名を残す


(02) 小野寺さん

・絵硝子の吹雪の向こう紅き薔薇

・年の背の支度に母はたすき掛け

・夜廻りの拍子木の音雪が呑み

・紅葉葉の降り積む音に朋は逝き

・星流る寒さ忘るる冬銀河

・祖父の骨埋めし山は雪の中

・長々と出船の霧笛雪の宵

・吹雪やみ街屋の屋根に月冴ゆる

・冬紅葉落日の山うかびたり

・粉雪の舞い散る坂で別れけり

・情念の橋渡り来て修羅の雪

・父と汲む熱燗香ほる帰省の夜

・柚子薫る妻の雑煮で年が明け

・梟がふわりと止まり杉の月

・小夜時雨ゴメ (海猫) 啼く波止場汽笛鳴り

・柚子湯してほのかに髪の匂ひけり

・野佛の翳に一輪寒椿

・寒月の光に浸かる露天の湯

・野佛や朽ちし墓標に初時雨

・父還る番屋ですする夜泣き蕎麦

・銀漢や遠賀川なる母の里

・冬至の夜父子で湯ぶねを溢れさせ


(03) 吉良さん

・湯豆腐や泡音友に一人酒

 鎌倉の散策で (4 句) 

・切通し亡者の声か冬の風

・初詣黄金夢見る銭洗い

・枯葉舞う子リス飛び跳ねカクレンボ

・日脚伸ぶ路地裏奥の垣の影


(04) 桑子さん

・ピロピロンお屠蘇気分をぶっ飛ばし

・大川の流れに抗す鴨は二羽

・あの人もゴルフ初めの五日かな

・福詣谷中銀座で一休み

・大寒もマスク帽子の散歩かな


(05) 志方さん

・讃岐路のど越し確か釜揚げや

・備讃瀬戸島影薄し雪舞いて

・白鷺が浮かぶ黄昏城下町

・玄海のわたりゆく風海千鳥

・湯煙と阿蘇の山脈雪化粧

・三十年 (みとせ) ぶり変わらぬ友の懐かしさ

・菅公の想い伝わる梅枝かな


(06) 中津川さん

・襟立てて石仏参る女(ひと)一人

・迷いつつ今年で最後と賀状書く

・紅葉散る城址見下ろす廉太郎

・ジャンボ籤年の瀬毎に夢を追う

・大寒や派閥解散偽装かな

・冷凍便今年も頼り節(せち)並ぶ

・孫受験神仏はしご初参り


(07) 橋本さん

・山茶花の紅揺れメジロ見え隠れ

・ブルーベリー紅葉は庭のナナカマド

 新型コロナ収束後、田舎の実家で再開した餅つきに出かけて (2 句) 

・賑やかに実家の餅つき十九人

・餅つきや野菜も一緒の帰車の中

・初詣戻れば頻脈( 拍) 失せており

・正月の咲きし白ばら香もほのか

・元日や能登半島地震の辛さかな


(08) 服部さん

・携帯を無くす師走の慌ただし

・おのこ孫正月毎に色気づき

・被災地に冷たい雨雪痛ましく

・コンビニに続く足跡朝の雪

・能登地震飛行機事故と正月は


(09) 柳町さん

 この歳になってもやめられないスキーを詠んでみました。(3句) 

・膝痛を痛打やスキーの爽快さ

・老骨に打ち勝つ術のスキーかな

・春未来白のぬくもり雪の色


(10) 豊さん

・災害の悲しみ深し能登の雪

・あでやかに成人の日の晴れ着かな

・雪帽子かぶりて黙す石地蔵

・寒の入入浴剤を買い足しに

・大寒の寺鐘の音透き通る

・初場所や勝負の果ての乱れ髷

・豆まきや鬼追う園児たちの声


(11) 深瀬

・神棚に朝日さしこむ初稽古

・認知症ぼやく賀状に頷けり

・年賀状やめどき意識かすむ文字

・青空に白雲の筋冬の冬

・晴れわたり雲ひとつなき冬の空

・図書館の暖房に寝る老いひとり

・老いひとり優先席に冬陽受け

・着たきりのとっくりセーター毛玉とる

・寒空に茫然自失瓦礫山

・冬の朝こずえくっきり朝日背に

・シャンソンにワインひとくち冬の夜

・タワマンのエレ前ラッシュ松明けて

・昼呑みに老いし旧友冬憩う

・昼呑みのてんぷら談義冬忘れ

・集団でいがみ合うひと個はどこに

・帰らざる七十五年すでに生き

・座し思うあと幾年のいのちかな

・生き死ぬる意味を自問す人として

・自然生む男女の相違その巧緻

・直進す時の流れに疑義を持ち

・月面を身近に生きる老いのいま

・細胞の老化の意味に神思う

・交差点赤にダッシュの老勇姿

・みな同じそれでめでたし小学校

・過激化す地球沸騰夏思う

・止まらない科学の進歩また加速

・ポピュリズム自国ファーストなにを生む

・MAGAの声日本動乱ひたひたと

・他人ごと?気候難民やまとの地

・さまざまな筋肉ゆるみ老い自覚



2.第46回  ネット句会  感想と自句自解


◎  小野寺さんの自句自解、感想


  7 点句

(046) 寒月の光に浸かる露天の湯

  信州の宿、冬の月を眺めながらゆっくりと冷気の中で入る露天風呂はキラキ

ラと輝く月の光に浸かるようで、日本人に生まれた幸せを噛みしめました。


  5 点句

(001) 柚子薫る妻の雑煮で年が明け

  下着を全て新しく変えて新酒の屠蘇で新年を祝い家族息災で迎える妻の雑煮

は柚子の香りに包まれて温かな気持ちのスタートとなりました。


  4 点句

(064) 星流る寒さ忘るる冬銀河

 満天の冬の夜娘と流星群観察の為ベランダに寝袋を敷き眺めた折突然光の尾

を引く流れ星に歓声を上げ、寒さを忘れました。

 平島さんご指摘の  nagaru  wasururu  は結果的になめらかに冬の天体ショ

ーに引き込まれました。


  3 点句

(031) 夜廻りの拍子木の音雪が呑み

 我々の子供時代は全国的に [日の用心] を拍子木を打ち鳴らしながら当番で

夜廻りをしました。シンシンと降り積む雪の中拍子木の音が雪に呑み込まれて

耳が痛くなる寒さでした。


  3 点句

(053) 柚子湯してほのかに髪の匂ひけり、

 吉良さん、中津川さんの通り冬至の風習の柚子湯は冬の夜の楽しみでした。

柚子湯の香りが鼻腔をくすぐりました。


  3 点句

(081) 銀漢や遠賀川なる母の里

  平島さんの解説の通りです。ginn kann onn の畳み掛け天と地の遠賀川を歌

いながら望郷の念をこめて母の里で締める。壮大な叙情詩としました。

  母の里は自分の郷愁でもあります。治部さんや豊さんの共感もありがたい。


  2 点句  

(015) 野佛や朽ちし墓標に初時雨

  京都嵯峨野から東福寺に向かう道すがら野佛のそばに朽ち果てた墓標があり

、折りしも初時雨が墓標を濡らし始めこの世の無常を感じさせるひとときでし

た。


  2 点句

(036) 長々と出船の霧笛雪の宵

  治部さんのご指摘の通りこの様な港の光景はなかなか見られなくなりました

。これは小生の記憶の中にある三陸の釜石の港町の降りしきる雪の中で消え消

えに響いた出船の霧笛です。

 宮澤さん、だから小生は八代亜紀の舟唄が大好きでした。


  2 点句

(049) 梟がふわりと止まり杉の月

  平島さん、豊さんのご指摘がありがたい。FuクロウがFuわりととやわらかく

、尖った杉の木立にかかる月か少し鋭く冴えて対称の妙あり、と作者として感

服です。


  2 点句 (059) 情念の橋渡り来て修羅の雪

  豊さんの解説、高倉健の任侠映画の最後の場面  降る雪の中、命を掛けて殴

り込みに行くのです。

 作者の発句を見事に推測されてます。情熱で走った最後には決まって命懸け

の修羅場があります。


  2 点句

(073) 吹雪やみ町屋の屋根に月冴ゆる

  治部さんの感想の通りです。真冬の吹雪が吹き荒れたあとはふと見上げた町

屋の空に白く月が光り輝き自分の心も冴えわたる気がしますね。


  2 点句 

(091) 冬至の夜父子で湯ぶねを溢れさせ、

  今となってはもっと声をかけて話せば良かったと悔恨の気持ちが自分を責め

ます。冬至の夜父と一緒に入り湯船を溢れさせた父の温かい優しさが浮かんで

きます。


  1 点句 

(021) 冬紅葉落日の山うかびたり

 橋本さんの解説の通りです。西日が当たると冬紅葉の山はスポットライトを

当てたように黄金虫に輝くのです。

 全山朱や黄色に染まる秋の紅葉と違い枯れる前の冬紅葉は風情があります。


  1 点句 

(086) 野佛の翳に一輪寒椿

 苔寺、西方寺の参道への道端に佇む野佛の翳に咲く寒椿の紅はひときわ野佛

の存在を引き立たせておりました。


  1 点句 

(098) 絵硝子の吹雪の向こう紅き薔薇

  ステンドグラスの外は吹雪模様、色ガラスの光を通して一面の白い風景の中

に咲き遅れた薔薇が一輪凛として吹雪に抗しておりました。


  感想

  絵画活動の個展の制作が重なり締め切りを延ばしていただき心に響いた記憶

の引き出しから短い時間の中で紡ぎだした俳句でしたが多数の皆様の共感を頂

き望外の感激でした。



◎  豊さんの自句自解


(002) 雪帽子かぶりて黙す石地蔵 

  降った雪が石地蔵の頭に積もっています。地蔵は悟りの境地にあるので雪も

寒さも感じることがないのです。


(011) 大寒の寺鐘の音透き通る 

 小野寺さんの鑑賞のとおり、大寒のさえざえとした空気の感じを詠んでみま

した。


(016) あでやかに成人の日の晴れ着かな

 用事があって駅前にでかけたとき、成人式帰りの晴れ着姿の女性グループを

見かけて、ああ若いというのはいいなあと思いました。


(051) 初場所や勝負の果ての乱れ髷

 土俵の上で力士は全力でぶつかり合います。整えていた髷が乱れるほどに。

それが相撲のおもしろさです。


(061) 災害の悲しみ深し能登の雪

 元旦そうそうの能登大地震には本当に驚きました。潰れた家の下敷きになっ

て亡くなった人もたくさんいました。合掌です。


(093) 豆まきや鬼追う園児たちの声

 節分の豆まき、幼稚園では鬼に扮装した先生を園児たちが追いかけるのです

。一票ぐらいは入ると思ったのですが、意外でした。


(097) 寒の入入浴剤を買い足しに 

 寒の入りを迎えて、これからさらに寒くなるので、体を暖める入浴剤を多め

に備えておこうと思ったのです。それがうまく伝わらなかったようです。



◎  深瀬の自句自解


(004) シャンソンにワインひとくち冬の夜

 最近、シャンソンのなにか成熟した世界に引き込まれています。


(007) 老いひとり優先席に冬陽受け

 最近は、優先席に躊躇なく座るようになりました。


(009) 座し思うあと幾年のいのちかな

 静座は精神衛生的によいと感じています。


(014) 昼呑みに老いし旧友冬憩う

 2 月に御徒町の吉池食堂で同期5 人で昼のみをしました。


(017) 青空に白雲の筋冬の冬

  真冬の青空に、刷毛で掃いたような白雲はなにか印象的です。


(020) 神棚に朝日さしこむ初稽古

  相撲の稽古場の気迫にあふれた朝をイメージしてみました。


(022) ポピュリズム自国ファーストなにを生む

  自国優先の機運が盛り上がっていますがどうなるのでしょうか。


(025) 冬の朝こずえくっきり朝日背に

  やや詠み方の工夫が足りない感じです。


(032) 月面を身近に生きる老いのいま

  アルテミス計画など月面基地もそう遠くはなさそうです。


(037) 交差点赤にダッシュの老勇姿

  なにかみっともない走り方をしていると思います。


(039) 生き死ぬる意味を自問す人として

  76歳になり自分の死を身近に思うことが多くなりました。


(042) タワマンのエレ前ラッシュ松明けて

  想像です。タワマンのエレベータはAI制御なのでしょうか。


(045) 年賀状やめどき意識かすむ文字

  最近、帯状疱疹の後遺症で眼が日常的に気になっています。


(050) みな同じそれでめでたし小学校

  集団主義、規格化教育からどう抜け出していくのだろうか。


(056) 過激化す地球沸騰夏思う

  二酸化炭素で覆われた灼熱の金星のようになっては困ります。


(058) 図書館の暖房に寝る老いひとり

  大学等の図書館は、広々としているので老後の居場所として快適です。


(060) 直進す時の流れに疑義を持ち

  時間の戻りのない直進性とはなんなのか気になっています。


(063) 他人ごと?気候難民やまとの地

  日本は移民や難民を厳しく制限していますが…。


(066) 寒空に茫然自失瓦礫山

  自然災害であれ、戦禍であれ、人間の営みのことを考えさせられます。


(068) 昼呑みのてんぷら談義冬忘れ

  昼呑みしながら、同級生のこういう話を聞くと引き込まれます。


(071) 集団でいがみ合うひと個はどこに

  戦争は個を消し去る典型のように感じます。


(074) 細胞の老化の意味に神思う

  アポトーシスとかオートファジーとか誰が設計したのでしょう。


(076) 認知症ぼやく賀状に頷けり

  認知症は次第に身近な脅威になりつつあります。


(078) 自然生む男女の相違その巧緻

  身近でありながらよく分からない不思議の一つです。


(083) 止まらない科学の進歩また加速

  人間と同じように学ぶ深層学習は人間を凌駕して当然かもしれません。


(087) さまざまな筋肉ゆるみ老い自覚

 筋力の衰えを日々自覚しますが、鍛練する気力が湧いてきません。


(089) 晴れわたり雲ひとつなき冬の空

 真冬の透き通った真っ青な空をみるとなにか気持ちが引き締まります。


 七句会のみなさま

 

 第四十六回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をお寄せいただき、

たいへんありがとうございました。

 およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ

てお届けします。

 今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。

 七句会のweb  http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。

  今後とも、よろしくお願いいたします。

  深瀬 (事務方)

 

 

1.46  ネット句会  作品集

 

(01) 秋元さん

・時過ぎて足尾の街は冬枯れて

・渓流の小滝の姿名を残す

 

(02) 小野寺さん

・絵硝子の吹雪の向こう紅き薔薇

・年の背の支度に母はたすき掛け

・夜廻りの拍子木の音雪が呑み

・紅葉葉の降り積む音に朋は逝き

・星流る寒さ忘るる冬銀河

・祖父の骨埋めし山は雪の中

・長々と出船の霧笛雪の宵

・吹雪やみ街屋の屋根に月冴ゆる

・冬紅葉落日の山うかびたり

・粉雪の舞い散る坂で別れけり

・情念の橋渡り来て修羅の雪

・父と汲む熱燗香ほる帰省の夜

・柚子薫る妻の雑煮で年が明け

・梟がふわりと止まり杉の月

・小夜時雨ゴメ (海猫) 啼く波止場汽笛鳴り

・柚子湯してほのかに髪の匂ひけり

・野佛の翳に一輪寒椿

・寒月の光に浸かる露天の湯

・野佛や朽ちし墓標に初時雨

・父還る番屋ですする夜泣き蕎麦

・銀漢や遠賀川なる母の里

・冬至の夜父子で湯ぶねを溢れさせ

 

(03) 吉良さん

・湯豆腐や泡音友に一人酒

 鎌倉の散策で (4 )

・切通し亡者の声か冬の風

・初詣黄金夢見る銭洗い

・枯葉舞う子リス飛び跳ねカクレンボ

・日脚伸ぶ路地裏奥の垣の影

 

(04) 桑子さん

・ピロピロンお屠蘇気分をぶっ飛ばし

・大川の流れに抗す鴨は二羽

・あの人もゴルフ初めの五日かな

・福詣谷中銀座で一休み

・大寒もマスク帽子の散歩かな

 

(05) 志方さん

・讃岐路のど越し確か釜揚げや

・備讃瀬戸島影薄し雪舞いて

・白鷺が浮かぶ黄昏城下町

・玄海のわたりゆく風海千鳥

・湯煙と阿蘇の山脈雪化粧

・三十年 (みとせ) ぶり変わらぬ友の懐かしさ

・菅公の想い伝わる梅枝かな

 

(06) 中津川さん

・襟立てて石仏参る女(ひと)一人

・迷いつつ今年で最後と賀状書く

・紅葉散る城址見下ろす廉太郎

・ジャンボ籤年の瀬毎に夢を追う

・大寒や派閥解散偽装かな

・冷凍便今年も頼り節(せち)並ぶ

・孫受験神仏はしご初参り

 

(07) 橋本さん

・山茶花の紅揺れメジロ見え隠れ

・ブルーベリー紅葉は庭のナナカマド

 新型コロナ収束後、田舎の実家で再開した餅つきに出かけて (2 )

・賑やかに実家の餅つき十九人

・餅つきや野菜も一緒の帰車の中

・初詣戻れば頻脈( ) 失せており

・正月の咲きし白ばら香もほのか

・元日や能登半島地震の辛さかな

 

(08) 服部さん

・携帯を無くす師走の慌ただし

・おのこ孫正月毎に色気づき

・被災地に冷たい雨雪痛ましく

・コンビニに続く足跡朝の雪

・能登地震飛行機事故と正月は

 

(09) 柳町さん

 この歳になってもやめられないスキーを詠んでみました。(3)

・膝痛を痛打やスキーの爽快さ

・老骨に打ち勝つ術のスキーかな

・春未来白のぬくもり雪の色

 

(10) 豊さん

・災害の悲しみ深し能登の雪

・あでやかに成人の日の晴れ着かな

・雪帽子かぶりて黙す石地蔵

・寒の入入浴剤を買い足しに

・大寒の寺鐘の音透き通る

・初場所や勝負の果ての乱れ髷

・豆まきや鬼追う園児たちの声

 

(11) 深瀬

・神棚に朝日さしこむ初稽古

・認知症ぼやく賀状に頷けり

・年賀状やめどき意識かすむ文字

・青空に白雲の筋冬の冬

・晴れわたり雲ひとつなき冬の空

・図書館の暖房に寝る老いひとり

・老いひとり優先席に冬陽受け

・着たきりのとっくりセーター毛玉とる

・寒空に茫然自失瓦礫山

・冬の朝こずえくっきり朝日背に

・シャンソンにワインひとくち冬の夜

・タワマンのエレ前ラッシュ松明けて

・昼呑みに老いし旧友冬憩う

・昼呑みのてんぷら談義冬忘れ

・集団でいがみ合うひと個はどこに

・帰らざる七十五年すでに生き

・座し思うあと幾年のいのちかな

・生き死ぬる意味を自問す人として

・自然生む男女の相違その巧緻

・直進す時の流れに疑義を持ち

・月面を身近に生きる老いのいま

・細胞の老化の意味に神思う

・交差点赤にダッシュの老勇姿

・みな同じそれでめでたし小学校

・過激化す地球沸騰夏思う

・止まらない科学の進歩また加速

・ポピュリズム自国ファーストなにを生む

・MAGAの声日本動乱ひたひたと

・他人ごと?気候難民やまとの地

・さまざまな筋肉ゆるみ老い自覚

 

 

2.46  ネット句会  感想と自句自解

 

  小野寺さんの自句自解、感想

 

  7 点句

(046) 寒月の光に浸かる露天の湯

  信州の宿、冬の月を眺めながらゆっくりと冷気の中で入る露天風呂はキラキ

ラと輝く月の光に浸かるようで、日本人に生まれた幸せを噛みしめました。

 

  5 点句

(001) 柚子薫る妻の雑煮で年が明け

  下着を全て新しく変えて新酒の屠蘇で新年を祝い家族息災で迎える妻の雑煮

は柚子の香りに包まれて温かな気持ちのスタートとなりました。

 

  4 点句

(064) 星流る寒さ忘るる冬銀河

 満天の冬の夜娘と流星群観察の為ベランダに寝袋を敷き眺めた折突然光の尾

を引く流れ星に歓声を上げ、寒さを忘れました。

 平島さんご指摘の  nagaru  wasururu  は結果的になめらかに冬の天体ショ

ーに引き込まれました。

 

  3 点句

(031) 夜廻りの拍子木の音雪が呑み

 我々の子供時代は全国的に [日の用心] を拍子木を打ち鳴らしながら当番で

夜廻りをしました。シンシンと降り積む雪の中拍子木の音が雪に呑み込まれて

耳が痛くなる寒さでした。

 

  3 点句

(053) 柚子湯してほのかに髪の匂ひけり、

 吉良さん、中津川さんの通り冬至の風習の柚子湯は冬の夜の楽しみでした。

柚子湯の香りが鼻腔をくすぐりました。

 

  3 点句

(081) 銀漢や遠賀川なる母の里

  平島さんの解説の通りです。ginn kann onn の畳み掛け天と地の遠賀川を歌

いながら望郷の念をこめて母の里で締める。壮大な叙情詩としました。

  母の里は自分の郷愁でもあります。治部さんや豊さんの共感もありがたい。

 

  2 点句  

(015) 野佛や朽ちし墓標に初時雨

  京都嵯峨野から東福寺に向かう道すがら野佛のそばに朽ち果てた墓標があり

、折りしも初時雨が墓標を濡らし始めこの世の無常を感じさせるひとときでし

た。

 

  2 点句

(036) 長々と出船の霧笛雪の宵

  治部さんのご指摘の通りこの様な港の光景はなかなか見られなくなりました

。これは小生の記憶の中にある三陸の釜石の港町の降りしきる雪の中で消え消

えに響いた出船の霧笛です。

 宮澤さん、だから小生は八代亜紀の舟唄が大好きでした。

 

  2 点句

(049) 梟がふわりと止まり杉の月

  平島さん、豊さんのご指摘がありがたい。FuクロウがFuわりととやわらかく

、尖った杉の木立にかかる月か少し鋭く冴えて対称の妙あり、と作者として感

服です。

 

  2 点句 (059) 情念の橋渡り来て修羅の雪

  豊さんの解説、高倉健の任侠映画の最後の場面  降る雪の中、命を掛けて殴

り込みに行くのです。

 作者の発句を見事に推測されてます。情熱で走った最後には決まって命懸け

の修羅場があります。

 

  2 点句

(073) 吹雪やみ町屋の屋根に月冴ゆる

  治部さんの感想の通りです。真冬の吹雪が吹き荒れたあとはふと見上げた町

屋の空に白く月が光り輝き自分の心も冴えわたる気がしますね。

 

  2 点句 

(091) 冬至の夜父子で湯ぶねを溢れさせ、

  今となってはもっと声をかけて話せば良かったと悔恨の気持ちが自分を責め

ます。冬至の夜父と一緒に入り湯船を溢れさせた父の温かい優しさが浮かんで

きます。

 

  1 点句 

(021) 冬紅葉落日の山うかびたり

 橋本さんの解説の通りです。西日が当たると冬紅葉の山はスポットライトを

当てたように黄金虫に輝くのです。

 全山朱や黄色に染まる秋の紅葉と違い枯れる前の冬紅葉は風情があります。

 

  1 点句 

(086) 野佛の翳に一輪寒椿

 苔寺、西方寺の参道への道端に佇む野佛の翳に咲く寒椿の紅はひときわ野佛

の存在を引き立たせておりました。

 

  1 点句 

(098) 絵硝子の吹雪の向こう紅き薔薇

  ステンドグラスの外は吹雪模様、色ガラスの光を通して一面の白い風景の中

に咲き遅れた薔薇が一輪凛として吹雪に抗しておりました。

 

  感想

  絵画活動の個展の制作が重なり締め切りを延ばしていただき心に響いた記憶

の引き出しから短い時間の中で紡ぎだした俳句でしたが多数の皆様の共感を頂

き望外の感激でした。

 

 

  豊さんの自句自解

 

(002) 雪帽子かぶりて黙す石地蔵 

  降った雪が石地蔵の頭に積もっています。地蔵は悟りの境地にあるので雪も

寒さも感じることがないのです。

 

(011) 大寒の寺鐘の音透き通る 

 小野寺さんの鑑賞のとおり、大寒のさえざえとした空気の感じを詠んでみま

した。

 

(016) あでやかに成人の日の晴れ着かな

 用事があって駅前にでかけたとき、成人式帰りの晴れ着姿の女性グループを

見かけて、ああ若いというのはいいなあと思いました。

 

(051) 初場所や勝負の果ての乱れ髷

 土俵の上で力士は全力でぶつかり合います。整えていた髷が乱れるほどに。

それが相撲のおもしろさです。

 

(061) 災害の悲しみ深し能登の雪

 元旦そうそうの能登大地震には本当に驚きました。潰れた家の下敷きになっ

て亡くなった人もたくさんいました。合掌です。

 

(093) 豆まきや鬼追う園児たちの声

 節分の豆まき、幼稚園では鬼に扮装した先生を園児たちが追いかけるのです

。一票ぐらいは入ると思ったのですが、意外でした。

 

(097) 寒の入入浴剤を買い足しに 

 寒の入りを迎えて、これからさらに寒くなるので、体を暖める入浴剤を多め

に備えておこうと思ったのです。それがうまく伝わらなかったようです。

 

 

  深瀬の自句自解

 

(004) シャンソンにワインひとくち冬の夜

 最近、シャンソンのなにか成熟した世界に引き込まれています。

 

(007) 老いひとり優先席に冬陽受け

 最近は、優先席に躊躇なく座るようになりました。

 

(009) 座し思うあと幾年のいのちかな

 静座は精神衛生的によいと感じています。

 

(014) 昼呑みに老いし旧友冬憩う

 2 月に御徒町の吉池食堂で同期5 人で昼のみをしました。

 

(017) 青空に白雲の筋冬の冬

  真冬の青空に、刷毛で掃いたような白雲はなにか印象的です。

 

(020) 神棚に朝日さしこむ初稽古

  相撲の稽古場の気迫にあふれた朝をイメージしてみました。

 

(022) ポピュリズム自国ファーストなにを生む

  自国優先の機運が盛り上がっていますがどうなるのでしょうか。

 

(025) 冬の朝こずえくっきり朝日背に

  やや詠み方の工夫が足りない感じです。

 

(032) 月面を身近に生きる老いのいま

  アルテミス計画など月面基地もそう遠くはなさそうです。

 

(037) 交差点赤にダッシュの老勇姿

  なにかみっともない走り方をしていると思います。

 

(039) 生き死ぬる意味を自問す人として

  76歳になり自分の死を身近に思うことが多くなりました。

 

(042) タワマンのエレ前ラッシュ松明けて

  想像です。タワマンのエレベータはAI制御なのでしょうか。

 

(045) 年賀状やめどき意識かすむ文字

  最近、帯状疱疹の後遺症で眼が日常的に気になっています。

 

(050) みな同じそれでめでたし小学校

  集団主義、規格化教育からどう抜け出していくのだろうか。

 

(056) 過激化す地球沸騰夏思う

  二酸化炭素で覆われた灼熱の金星のようになっては困ります。

 

(058) 図書館の暖房に寝る老いひとり

  大学等の図書館は、広々としているので老後の居場所として快適です。

 

(060) 直進す時の流れに疑義を持ち

  時間の戻りのない直進性とはなんなのか気になっています。

 

(063) 他人ごと?気候難民やまとの地

  日本は移民や難民を厳しく制限していますが

 

(066) 寒空に茫然自失瓦礫山

  自然災害であれ、戦禍であれ、人間の営みのことを考えさせられます。

 

(068) 昼呑みのてんぷら談義冬忘れ

  昼呑みしながら、同級生のこういう話を聞くと引き込まれます。

 

(071) 集団でいがみ合うひと個はどこに

  戦争は個を消し去る典型のように感じます。

 

(074) 細胞の老化の意味に神思う

  アポトーシスとかオートファジーとか誰が設計したのでしょう。

 

(076) 認知症ぼやく賀状に頷けり

  認知症は次第に身近な脅威になりつつあります。

 

(078) 自然生む男女の相違その巧緻

  身近でありながらよく分からない不思議の一つです。

 

(083) 止まらない科学の進歩また加速

  人間と同じように学ぶ深層学習は人間を凌駕して当然かもしれません。

 

(087) さまざまな筋肉ゆるみ老い自覚

 筋力の衰えを日々自覚しますが、鍛練する気力が湧いてきません。

 

(089) 晴れわたり雲ひとつなき冬の空

 真冬の透き通った真っ青な空をみるとなにか気持ちが引き締まります。

 

(092) 着たきりのとっくりセーター毛玉とる

 とっくりセーターは暖かいせいか癖になります。

 

(096) MAGAの声日本動乱ひたひたと

 日米同盟はさらなる深まりを経ないと危険な感じがします。

 

(100) 帰らざる七十五年すでに生き

 この先あと何年あるのか、そして、どう過ごすか切実な課題です。

 

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