2014年7月8日火曜日

七句会の集まり(13.08.18)の報告

 七句会の集まり(13.08.18)のご案内
  下記の要領で、俳句の「研究・啓発」を目的とした集まりをもちたいと思い
ます。趣旨に賛同し、ご都合がつけば、ふるってご参加のほど、お願いいたし
ます。
  出席される場合には、8 月 4日までに、事務方までご連絡をお願いいたしま
す。
・日時     2013年8 月18日 (日) 午後2 時~4 時
・場所    上智大学四谷キャンパス内紀尾井坂ビル B101教室
      四ツ谷キャンパスマップ
            http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/map/map_yotsuya
       (正門から入り、最も、右手奥の建物です。ホテルニューオータ
           ニに道路をはさんで面しています。)
・内容   1 これまでに投句した句や選句をした句から、最大、各5 句選んで
            参加していただき、各句について意見を述べ、話し合う。
          2 俳句に関するテーマについて、20~30分程度、だれかに話しをし
      てもらい、Q&A を行う。
           (詳細につきましては、追って、連絡したいとは思いますが、初回
          ですので、きらくに行きたいと思います。)
・参加費  教室の貸室料(5,000円前後) を、参加人数で割った金額。
・その他  1 初回ですので、今後のやり方について相談したいと思います。
     2 飲み会は、希望者が、周辺の適当な場所で適宜行う。
・補足  - 上智大学四谷キャンパス内の教室は、「研究と教育」を目的とす
      る会合に関してのみ、有料で利用することができ、この点につい
            ては、わたし (深瀬) と大学同期の小野山隆夫さん (上智大学の
            電子計算機システムや図書館システムの開発管理業務を担当され
            、昨年定年退職されました。) のご尽力による了解をうることが
            できました。
     - これまでの4 回の選句表の結果を添付します。第一回と第二回に
      ついては、全句がリストされていませんので、注意して下さい。
          - 橋口代表は、この期間、山ごもりのため、東京にいないため、残
      念ながら欠席です。
          - 当集まりは、土川さんと深瀬とで、俳句を題材に、なにかいろい
      ろ話しあう場があってもよいのではないか、という点で一致して
      行うことになったものです。
            事務方  深瀬

 七句会の集まり(13.08.18)の報告
- 日時      2013年8 月18日 (日) 午後2 時~4 時15分
- 場所      上智大学四谷キャンパス  紀尾井坂ビルB101教室
- 参加者    内野、志方、土川 (以上敬称略) 、深瀬
- 内容
1.各自の俳句との関係を紹介し、確認したり討議を行った。
 配布された資料は、次の通り。(pdf形式で添付)
(1) 七句会勉強会メモ [土川さん]
・句作に際して心掛けていること (私の好み) 。
・句例  芭蕉、今現在師事している先生の句、自身の句、等。
(2) 第1 ~4 回  七句会投句抜粋 (敬称略)(参加者のもの) 、および、松尾芭
蕉の俳句 (芳賀徹氏選)  [深瀬]
(3) 近代俳句の展開、および、水原秋桜子の俳句 (村田治夫「近代俳句要解」
抜粋)  [深瀬]
2.主な意見、感想、等
(1) 内野さん
・キャッチコピーのようになってはいけない、といった句作における具体的注
意点は役に立った。
・自分の場合には、日常生活のなかから句を作るのはむずかしい。
・「死」の問題は重たい。いずれ正面から立ち向かう必要がありそうだ。実存
主義俳句ともいえるだろう。
(2) 志方さん
・土川さんや内野さんと半世紀ぶりに出会い、詰め襟時代に思いを馳せること
ができた。
・俳句作りには多様な背景を踏まえる必要があり、ボケ防止のみならず、学ぶ
に値するもののようだ。還暦後の知的挑戦にも適っていそう。
・もう少し仲間を引き込む工夫が必要だろう。
(3) 土川さん
・いろいろな俳句を作ったり読んだりし、悩むことが多いが、今回は、他者の
正直な意見が聞けて良かった。
・深瀬の提示した自作句は、「自然科学俳句」と名付けたい。宇宙、生物史、
生命科学、哲学、等をテーマにするという路線も、四季の自然観を超えた上位
の自然観として、ありうるのではないか。
・これまでは、従来の俳句界の常識やデッサン力といったものを身につけるこ
とを心掛けてきたが、これからは自分らしい気持ちをこめることにも留意して
いきたい。
                                   
(4) 深瀬
・自分自身が多少とも意識して作っている句を土川さんから「自然科学俳句」
という、かなり立派な名前をつけてもらい、今後目指すべき方向をはっきりさ
せるうえで大きなヒントになった。世界観や人生観も、含まれるように感ずる

・俳句の歴史については、戦後の動向についても理解する必要を感じた。
・七句会は、別に参加している句会に比較して、なんでも言い合える点がよい
と感じた。
- 次回の予定は、明確には決めませんでしたが、3 ~6 ヶ月に1 回程度は行う
方向としたいと思います。よろしくお願いいたします。
  ご報告が遅くなり、申し訳ありません。
  文責  深瀬 (13.08.27)


[13.08.18 資料01]
                                   
七句会勉強会メモ
                         2013.8.18. 土川春穂
■句作に際して心掛けていること(私の好み)。
(1) 自分らしく。
  ・感動、表現において、定番や通説に頼らないで自分で感じたこと、考え   
      たことを表す。
  ・ユニークさを狙うのでなく、自分で考えれば結果として自分らしくなる
   と信じて。
  ・季題ありきでなく、感動ありき。感動していないものは表現できない。
(2) 現実( 物) を描写することで、自分の気持ちや考えを出す。
 ・主観的な感情形容詞 (うれしい、寂しい、つらいなど) を直接使わないで
  、それらの気持ちや考えを客観的な現実( 物) で表現する。
(3) 散文でなく、ポエムに。
 ・物や事実の説明だけにならないように。
 ・時事評論や風刺は川柳に譲る。
 ・事実の描写や伝達は2害リ 。それ以外に余情や含蓄が8割あるように。
 ・そこから物語が生まれるように。

■句例
 ① 紫陽花や北鎌倉に傘の列  重青(現代俳句協会ネット句会高得点句)
    ・・・観光ポスターの定番キャッチコピーのよう。こうならないよう
       にしたい。
 ② 霧しぐれ富士を見ぬ日ぞおもしろき 芭蕉
    ・・・“無いこどを詠う。おもしろし(古語)は主観的な感情形容詞
       ではない。
 ③ 跳箱の突き手一瞬冬が来る   友岡子郷
    ・・・物の表現で作者の感動が伝わってくる。動きもある。
       俳句論「天真のことば」(木阿弥書店)は触発された。“虹を
       指す指”
 ④ 線香花火左手は膝を抱いて   神野紗希
    ・・・ちょっと少女趣味だけど、“左手”に着目が新鮮。
 ⑤ 渡り鳥見えますとメニュー渡さるる   今井聖
    ・・・物語がある。かなり異端の人だが、“通俗を排ぜの考え方は好
       き。
 ⑥ 美しき落葉とならん願ひあり   森澄雄
    ・・・晩年は素直に自分の気持ちを出している作品が多い。
       「遺稿 森澄雄俳話集」(永田書店)は面白い。“理屈を捨て
       ろ”
 ⑦ 月白く緩和病棟最上階     土川春穂
    ・・・余情を狙うと体言が多くなってしまう。
       物そのものでなく、もっと動きや考えを表現した方がいいのか
       な。
 ⑧ 連山を おおう紅葉にうよう) 夕(ひ)にのまる  深瀬久敬
 ⑨ 廃線の鉄路の先の夕霞        志方洋介
 ⑩ 暴風雨、去りて残しし あかね雲   内野和顕
    ・・・みんな素晴らしい。私はこういう素直な句が作れないので羨ま
       しい。

13.08.18資料02]
【13.08.18 七句会勉強会資料】  第1 ~4 回 七句会投句抜粋(敬称略)
(015)   五月晴れ孫がはじけて背比べ        志方08④
(026)   浅緑の風に向かって孫駆ける        志方04④
(035)   鮮緑の武蔵野林に野鳥啼く         志方05④
(040)   浅緑の川面になびく鯉幟          志方01④
(052)   阿武隈の山波遠く春哀し          志方07④
(056)   陸奥の傷跡癒す山桜            志方02④
(063)   夕されば川面に続く菜の花や        志方03④
(065)   廃線の鉄路の先の夕霞           志方06④
(047)   新緑の緑百色山緑             土川02④
(061)   広き葉の重なりて夏透過光         土川01④
(067)   共白髪四十年目のボート漕ぐ        土川03④
(069)   草萌えに白き点描の風来る         土川04④
(071)   まだ開(あ)かぬ丸み重たき白き薔薇    土川05④
(048)   小春日に横一列の足湯かな         土川04③
(051)   菊を置き菊を重ねて逝く人を        土川05③
(053)   泥葱の皮むけば白凛々(リリ)しかリ    土川03③
(058)   月白く緩和病棟最上階           土川02③
(061)   枯れ木(ぼく)に仏刻みて春の雪      土川01③
(032)   腰折リて銀杏拾ふ世捨て人         土川 ②
(044)   蓄音機夜長に珈琲漉す時間         土川 ②
(062)   秋蘇州音曲の調(てう)移リけリ      土川 ②
(065)   逝く母の我生まれ出でしところ拭く     土川 ②
(072)   ざる一枚平らげしばし蕎麦湯待つ      土川 ②
                               
    [詞書]北海道を思い出しつつ作句しました。以下、3句。
(020)   大雪に はるか北国 懐かしき       内野03③
(021)   豪雪に 北の大地を 思い出し       内野04③
(022)   みぞれ吹く 北国の冬 あとわずか     内野05③
(028)   雪の中、真っ赤に咲ける 山茶花の花    内野01③
    [詞書]視界を全く失う豪雪の中、磁石を頼りに絶望の内
     に仲間と山行を続けました。そして三日目、突然視界が
     ひらけ目的の山小屋を望めたときは、実に感動し安堵し
     たのです。以下、4句。
(034)   視界なき 吹雪の中の 山スキー      内野06③
(035)   ブリザード、前か見えない、山行だ     内野07③
(036)   山行は 三日三晩のブリザード       内野08③
(037)   吹雪止み、はるかに彼方に、山小屋が    内野09③
(039)   さざんかは 雪にも負けず 赤く咲き    内野02③
(071)   漆黒に 蒼き地球の 寂寥感        深瀬 ②
(067)   翼竜ら 太古の空を 滑空す        深瀬 ②
(059)   誰が決め 塩基コドンに アミノ酸     深瀬11④
      4種の塩基(AUGC)を3 つ組み合わせ(コドン)
         パク質中の20種のアミノ酸の配列を指定する。
(076)   雲変化 空を彩る 自在さや        深瀬20③
(069)   地殻割け マグマに消える いのちかな   深瀬24③
(074)   おおつなみ 街のみこみて すがたなし   深瀬13④
(065)   死の床で 雲の流れに 別れ言う      深瀬20③
(050)   死ぬときは 一人旅立つ 父母のもと    深瀬24③
(062)   (火葬場にて)残リしを掃きて集めし母の骨 深瀬13④
(044)   死出の旅 無事参らせと 祈るかな     深瀬22③
(055)   さらに生き なにかよきこと あるか問い  深瀬21③
(045)   おそるべし 孤独とひまに 居場所なく   深瀬27③
(011)   特養で ムンクの「叫び」 みるおもひ   深瀬  ①
(003)   かみなりに へその仇討ち かえる跳ぶ   深瀬  ①
(087)   レクイエム 遠きかみなリ 交じるかな   深瀬  ①

[13.08.18 資料03]
                【13.08.18 七句会勉強会資料】
   松尾芭蕉の俳句 芳賀徹氏選
  「日経アカデミア 詩歌に読む日本近代 ~徳川から明治へ」より
   (全5 回 2013年5 月7日~7 月2日)
01 明ぼのやしら魚しろきこと一寸(いっすん)
02 山路来て何やらゆかしすみれ草
03 よく見れば斉花さく垣根かな
04 月はやしこずゑはあめを持ながら
05 鷹一つ見付てうれしいらご崎
06 草臥(くたびれ)て宿かる比(ころ)や藤の花
07 冬寵リまたよりそはん此(この)はしら
08 行はるや鳥啼うをの目は沼
09 山も庭もうごき入(いる)るや夏座敷
10 涼しさを我(わが)宿にしてねまる也
11 株(まぐさ)負ぶ人を枝折(しおり)の夏野哉
12 雲の峰幾つ崩て月の山
13 暑き日を海にいれたリ最上川
14 象潟や雨に西施がねぶの花
15 荒海や佐渡によこたふ天河
16 石山の石より白し秋の風
17 手を打てば木魂(こだま)に明(あく)る夏の朝
18 郭公(ほととぎす)声横たふや水の上
19 夏の夜や崩て明し冷し物

[13.08.18 資料04]
 【13.08.18 七句会勉強会資料】
  村田治夫、「近代俳句要解」、有精堂、昭和52年3 月  21版発行
1.近代俳句の展開 (P.1 ~4)
一、正岡子規の業績 (省略)
二、虚子と碧梧桐の業績 (省略)
三、水原秋桜子と新興俳句
  虚子の「花鳥諷詠」は自然を主体とするところで伝統に忠実な説ではあった
が、一種の人間疎外が見られた。と言うのは、「人間界の現象を諷詠する」と
言っても、それはあくまで「これに伴う」という限定があり、この意味は「春
夏秋冬の四季の移り変わりに伴うところの」ということで、人間をうつすので
も自然現象の中に於いてとらえられた人間であって自然からきりはなされた、
例えば近代社会の中に苦しみつつ生きる人間の姿というようなものは除外され
る。こうなると、近代社会で最も意がはらわれねばならぬところの人間研究と
いうものは、少なくとも「花鳥諷詠」思潮の中では出来ないと言うことである
。門下の俊秀が、泰然としてこの主張に安んじていられなくなったのも当然で
ある。虚子のこの線をあくまですすめて行けば近代文学運動の大筋からははず
されて、文人趣味の非社会的、非近代的なものにおちて行かざるを得なくなる
。ここにホトトギス一門の若手の苦悶があった。
  第一に虚子の主張に抗してホトトギスと別れたのが水原秋桜子である。秋桜
子は虚子の主張に対してその純客観的写生句を否定し、自然の真をうつすには
、作者の個性が主観を透して光り輝いていなければならないことを主張した。
言いかえてみれば俳句にもちこんだ浪漫主義である。これは漸く沈滞の中に守
旧していたホトトギスの若い人達を新鮮な空気で刺激し、加藤楸邨、石田波郷
らの共鳴を得てのびてゆくのである。
 秋桜子についで山口誓子が「新しい現実を新しい視角に於いて把握し、新し
い俳句の世界を構成せんと、俳句を自然の中から人間世界へ持ち込んだ。これ
もまた虚子一派に対する挑戦である点に於いては秋桜子と同じであるが、秋桜
子がロマンティックな主観浸透の抒情を説いたのに対し誓子は、もっとはげし
く人間社会の生々しい現実に肉迫した。そこでは自然が主体でなく、人間その
ものが主体となり、知的、即物的な句がよまれるようになった。これらを新興
俳句という名で呼んだ。
四、戦争以後の俳句界
  戦争中は俳壇をも戦火にまきこんだ。新興俳句の人達も官憲の圧迫を受け検
挙される人が続出した。殊に昭和15年の「京大俳句」の手入れは激しく、西東
三鬼らが検挙されたのもこの時であったが、続いて検挙の手がのびるに従って
新興俳句もすっかり瓦解してしまった。ただ戦時中は虚子一派の守旧派の独り
舞台であったが文芸として生気のある新鮮なものではなかった。
  戦後文芸の復興にともない俳壇も自由民主の風潮にのって活発になって来た
。伝統派も反省の機を得て、近代の中にいかに伝統を生かすかに思いを致し、
また一方戦前の生活派もこれを近代社会の中に文芸として生かす方法を探究し
た。この二つが合流し、一本のもとにまとまって昭和21年に超党派的な結合、
「新俳句人連盟」が出来た。しかし、細かい点に於いて、主義を異にする俳壇
は、一本のもとにまとめ得ることは結局は不可能であった。多くの起伏がつぎ
からつぎにおこって紛争が絶えなかった。この時に俳壇に大きなショックを与
えたのが、桑原武夫の「第二芸術論」である。「第二芸術論」は昭和21年の「
世界」 (岩波書店) 11月号にのった論文で、その要旨かなり手きびしく、俳句
がただ同好者の特殊グループのもてあそびものであって傍から見れば極めて退
屈、また専門家と素人との区別がつかずこうした点から芸術的感興は湧かない
。しかもこの小詩型は、近代社会の思想を織りこむことは最早不可能であり、
小説や近代劇を芸術とよぶなら、俳句は第二芸術であるとしたもので、要する
に日本文学を国際水準に高めるために日本文学の特殊性なるものが再吟味され
始めたことに並行して行われたものであり、俳句の前近代性を徹底的に批判し
たものであった。すべてが首肯すべきものであるか否かは別として、反省すべ
き機会を与えたことは事実であった。
  中村草田男、加藤楸邨、石田波郷ら、ヒューマニズムによる人生派は、人間
探求に意欲を示し、「俳句を近代人間としての自己の生き方に密着させること
により人間を回復しよう」と試みている。
  昭和34年、俳壇の事実上の大御所的存在として、明治、大正、昭和三代にわ
たり、俳壇史を歩いてきた虚子の死は何と言っても巨木の倒れた感じであるが
、問題は今後にも多くのこされている。
2.水原秋桜子 (P.95~106)
 明治25年~。本職は医師。東京生まれ。東大医学部卒業。
  昭和7 年宮内省侍医寮御用掛、傍ら産婦人科病院を経営する。
  大正11年東大俳句会を設立ホトトギス派の闘士として活躍したが次第にその
主張が、虚子一派の純客観的主張と入れず、昭和6 年「ホトトギス」を離れて
「馬酔木」により、いわゆる新興俳句の道を歩むようになった。
  「自然の真は直ちに芸術上の真ではあり得ない。作者の主題に浸透すること
によって芸術作品となし得る」
  この秋桜子の主張は、虚子のいわゆる「花鳥諷詠」の純客観的、没個性的な
ものとは入れぬものであった。石田波郷、加藤楸邨らを門下に「馬酔木」の主
張は大きく俳壇を動かし抒情的浪漫主張の句作が新鮮味を以て迎えられたので
ある。
01 春惜 (はるおし) むおんすがたこそとこしなへ
02 蟇 (ひき) ないて唐招提寺春いづこ
03 馬酔木 (あしび) 咲く金堂 (こんどう) の扉 (と) にわが触れぬ
04 来 (こ) しかたや馬酔木咲く野の日のひかり
05 れんげうや真間 (まま) の里びと垣を結 (ゆ) はず
06 葛飾 (かつしか) や桃の籬 (まがき) も水田 (みずた) べり
07 梨 (なし) 咲くと葛飾の野はとの曇り
08 高嶺星 (たかねぼし) 蚕飼 (こが) ひの村は寝しづまり
09 蝶 (ちょう) うせぬ早瀬落ち合ふ渦の上
10 桑の葉の照るに堪へゆく帰省かな
11 白樺に月照りつゝも馬柵 (ませ) の霧
12 啄木鳥 (きつつき) や落葉をいそぐ牧の木々
13 蓮の中羽搏 (う) つものある良夜かな
14 鯊 (はぜ) 釣りや不二暮れそめて手を洗ふ
15 わがいのち菊にむかひてしづかなる
16 落葉踏む今日の明るさ明日もあれ
  以上
 追記 13.08.18
・前近代の構図: 自然と人間- 一一〉近代の構図: 社会と個人
・曹洞宗開祖道元の和歌 春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえて涼しかりけリ
・寺田寅彦「俳句の精神」抜粋 
  http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/card2513.html
 俳句の修業はその過程としてまず自然に対する観察力の練磨れんまを要求す
る。俳句をはじめるまではさっぱり気づかずにいた自然界の美しさがいったん
俳句に入門するとまるで暗やみから一度に飛び出してでも来たかのように眼前
に展開される。今までどうしてこれに気がつかなかったか不思議に思われるの
である。これが修業の第一課である。しかし自然の美しさを観察し自覚しただ
けでは句はできない。次にはその眼前の景物の中からその焦点となリ象徴とな
るべきものを選択し抽出することか必要である。これはもはや外側に向けた目
だけではできない仕事である。自己と外界との有機的関係を内省することによ
って始めて可能になる。
 句の表現法は、言葉やてにはの問題ばかりでなくてやはり自然対自己の関係
のいかなる面を抽出するかという選択法に係わるものである。
・正岡子規 月並み俳句を批判 写生。夏目漱石 近代的な個の自覚。
・戦後 個人体験化、私小説化。
・俵万智 「この味がいいね」と君が言つたから7月6日はサラダ記念日

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