2020年3月3日火曜日

七句会 第三十一回目のネット句会 選句結果をご報告します。

 七句会のみなさま
 第三十一回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
4 点句
(006)  冬空のカンヴァスに立つ欅 (けやき) かな     深瀬
(076)  朱染めし雪一面に寒椿              小野寺
(080)  枯れ芒銀の穂波に風光り             小野寺
3 点句
(005)  荒海を静かに照らす冬の月            豊
(010)  人混みにひときわ高き冬帽子           豊
(026)  冬の陽の梢 (こずえ) に遊ぶすずめかな      深瀬
(027)  潮鳴りや銀河落ち行く冬の海           小野寺
(030)  霜柱割りて水仙朝陽浴び             小野寺
(043)  木枯らしにボールは何処 (いずこ) 枯れ葉舞う   宮澤
(044)  雪原に残る足あと情死行             豊
(056)  凍て蝶の痛みし翅に薄日差し           小野寺
(096)  宙仰ぎ酒盃を交わす朋はなく           志方
2 点句
(007)  暖冬にいのち儚し梅花舞う            志方
(012)  冬空の青の広さや富士の山            豊
(016)  夕されば渦潮寒し壇ノ浦             吉良
(019)  凛と咲く冬薔薇愛でし孫の声           小野寺
(020)  なにもせず冬日暮れゆく老ひ土曜         深瀬
(029)  木枯らしに揺れる梢の老い桜           志方
(038)  残月の凍れる峰を雁が翔び            小野寺
(039)  菜園に初霜柱咲く如し              橋本
(049)  ウミネコが消えぎえに啼き波吹雪         小野寺
(054)  海哭きて復興の鐘雪時雨 (ゆきしぐれ)       小野寺
(067)  寒紅梅別れ惜しみて家移る            治部
(077)  初霞居合の刃先陽を射てり            深瀬
(086)  妻げんき寒 (さむ) 部屋ひとり安堵感       深瀬
(087)  独り身や冷たき水で髭を剃り           宮澤
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
  次回については、4 月中旬ころにご連絡したいと思っていますので、よろし
くお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連絡を
いただきたく、よろしくお願いいたします。
 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
 今回の選句には、下記の14名が参加しました。
  秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さ
ん、中津川さん、橋本さん、藤原さん、宮澤さん、柳町さん、豊さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
  今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては3 月21日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
  句会の後の勉強会等については、みなさまのご意見をお聞きしながら、適宜
、行っていきたいと思っています。よろしくお願いします。
(3) 自由連句について
  第2 回の自由連句は、2 月中旬に満尾し、現在、次回に向けて、反省点等を
調整しています。3 月下旬ころから、第3 回を行いたいと思っています。参加
されたい方は、是非、ご連絡ください。よろしくお願いします。
  第2 回の自由連句の結果は、下記URL から参照可能です。
  https://nanaku-haiku.blogspot.com/
  2020.03.03
      代表   橋口侯之介 (休会中)
      顧問  豊  宣光
      事務方 深瀬久敬
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 1.兼題  冬
(001)  恐怖なり冬眠遅れて歩く熊            中津川
(002)  金星の侵略者ごと冬の宵             深瀬
(003)  冬薔薇を愛でし人往き陽がのぼる         小野寺
(004)  冬の朝西にくっきり小 (ち) さき富士       深瀬
(005)  荒海を静かに照らす冬の月            豊
1 吉良
2 藤原
3 治部    荒れている海と冬の月の取り合わせがいいと思
  います。照らすが別の表現になればもっといいと思いま
  す。荒海や・・・静かな冬の月では?
(006)  冬空のカンヴァスに立つ欅 (けやき) かな     深瀬
1 吉良
2 中津川
3 秋元
4 小野寺  寒さの中で凛として冬空に立つ欅の幹と枝えだ
  は、冬の風物詩です。空のカンバスが良いですね。
(007)  暖冬にいのち儚し梅花舞う            志方
1 柳町
2 橋本   この冬は異常なる暖冬で終わるのか。
(008)  銀座へ歩 (ほ) 日本橋から冬陽受け        深瀬
(009)  冬晴れの風に洗濯物回る             治部
1 豊      何でもないような風景を何でもなく詠んだとこ
 ろがいいですね。
(010)  人混みにひときわ高き冬帽子           豊
1 宮澤
2 桑子    頭一つでているのは目立つもの、目に浮かびま
 す。
3 秋元
(011)  たれこめし雲や吸い込む冬の鐘          深瀬
1 志方    冬の情感と量感が上手き表現されているなと感
 じました。
(012)  冬空の青の広さや富士の山            豊
1 秋岡    冬はどうしても暗い句が多くなりがちですが、
 青空を背に白い雪をかぶった富士の山はやっぱり絵(句)
 になります。
2 宮澤
      年の瀬の下関・門司旅行で舟島(巌流島)、壇ノ浦を
     訪れた時の句です。 (5 句)
(013)  舟島に小次郎惑う冬の浜             吉良
1 深瀬    かつて映画で見た武蔵、小次郎の巌流島の決闘
 の場面をあざやかに思い出させられました。朝日を背に
 海から登場する武蔵に「小次郎惑う」が効いている感じ
 です。
(014)  みぞれ降る門司港なごむ焼きカレー        吉良
(015)  戦(いくさ)はて安徳碑にも冬日差す       吉良
(016)  夕されば渦潮寒し壇ノ浦             吉良
1 豊      平家が滅んだ壇ノ浦の戦いを偲ばせる哀れさを
 感じさせます。
2 小野寺  平家一門最後の時を前に、夕刻の渦潮は、一門
  の無念を呑みこんで、一抹の寂寥が漂います。
(017)  冬空に瀬戸の波頭いきり立つ           吉良
1 中津川
(018)  なまりいろ田圃 (たんぼ) を覆ふ冬の雲      深瀬
(019)  凛と咲く冬薔薇愛でし孫の声           小野寺
1 吉良
2 深瀬    ついこの間まで体は多少大きくなってもまだ子
 どもだと思っていた孫の、こころの成長に、はっと気づ
 かされた瞬間がよく表現されていると思いました。
(020)  なにもせず冬日暮れゆく老ひ土曜         深瀬
1 志方    老ひの虚無感と諦観ですね
2 宮澤
(021)  暖冬や天気図梅雨と見間違え           桑子
1 深瀬    天気図の見方はあまりよく分かりませんが、地
 球温暖化もここまで進んでいるのかと衝撃を受けました。
(022)  静かさや無人ホームに冬の風           深瀬
      武蔵野の雑木林の冬の風景
(023)  冬木立梢の先の雲の峰              志方
(024)  冬夕陽遠き山並み蒼深く             深瀬
1 宮澤
(025)  冬何処 (いずこ) 池面 (いけも) ゆらゆら朝日映え 宮澤
1 橋本   この冬は異常なる暖冬で終わるのか。
(026)  冬の陽の梢 (こずえ) に遊ぶすずめかな      深瀬
1 吉良
2 秋岡    犬の散歩時に枯れ枝に遊ぶスズメをよく見かけ
  ますが、冬の代表的な風景の一つですね。
3 桑子    すずめがちゅんちゅんと飛び交っている、音が
 聞こえそうなその光景が目に浮かびます。
(027)  潮鳴りや銀河落ち行く冬の海           小野寺
1 橋本   冬の海の情景が浮んできます。
2 宮澤
3 藤原
(028)  脛に粉クリーム塗りし老いの冬          深瀬
1 中津川
 2.雑詠 (季語あり)
      老いの頑張り、自らを鼓舞
(029)  木枯らしに揺れる梢の老い桜           志方
1 柳町
2 小野寺  木枯しに揺れる梢は春を待つ老桜の耐え忍ぶ力
でしょうか。
(030)  霜柱割りて水仙朝陽浴び             小野寺
1 吉良
2 豊      霜と水仙、季語が重なっていますが、水仙の花
 の魅力がよく出ていると思います
3 秋元
(031)  時止まり凍鶴の背に青き空            深瀬
1 豊      時間が止まったように凍鶴がじっと立って動か
 ない。その背後に青空が広がっている。日本画の絵のよ
 うです。
(032)  春節の傍迷惑なウィルス禍            秋元
1 橋本   春節過ぎても中国発新型コロナウイルス拡散中
 ですね、治まって欲しい
(033)  寒き朝膨らむ花芽希望 (ゆめ) を抱き       宮澤
(034)  初霞古都の梵鐘遠く聞き             深瀬
1 小野寺  古都の梵鐘のかすかな音は初霞の淡い風景画を
  観る様です、
(035)  寒雀電線地中化とまどって            治部
(036)  しもやけの両手を擦る寒椿            柳町
(037)  花粉症アタック激化温暖化            深瀬
(038)  残月の凍れる峰を雁が翔び            小野寺
1 志方    冬の山水画が浮かびます
2 柳町
(039)  菜園に初霜柱咲く如し              橋本
1 吉良
2 中津川
      この控えめな香、どんな香水より好ましい
(040)  沈丁花仄かな香りの沈丁花            志方
(041)  凍鶴の老ひに耐えるか目にひかり         深瀬
1 宮澤
(042)  熱燗に湯豆腐たぎり夜は更けぬ          小野寺
1 秋元
(043)  木枯らしにボールは何処 (いずこ) 枯れ葉舞う   宮澤
1 桑子    ゴルフでしょうか?冬はいいスコアは出ません
 ね。
2 深瀬    少し状況が違うかもしれませんが、ラフの枯れ
 葉の積もったなかにボールが入るとかなりお手上げ的な
 気持ちになります。
3 治部    この作者は前回の句会でボールが視野の外へ行
  った方でしょうか。この作品は何処と言いながら具体的
  でいいと思います。枯れ葉舞うですからOBでしょう。木
  枯らしには、木枯らしやの方がいいと思います。
(044)  雪原に残る足あと情死行             豊
1 柳町
2 治部    雪原に残る足跡を見て情死行とは発想を飛ばし
  ましたね。恐れ入ります。失楽園のラストシーンを連想
  しますね。俳句はいいけどダメですよ。
3 小野寺  普通は俳句にするには忍びない情念の恋の道行
  きを、よく頑張り作られました。天城越えの世界でしょ
  うか。
(045)  句会より酒会がよろし松のうち          治部
1 秋岡    よくわかります。
(046)  慟哭の海鎮魂の小雪舞ひ             小野寺
      中山道美濃路を歩いて (2 句)
(047)  実の赤さ葉落ち柿木やカラス鳴く         中津川
(048)  彼尾花往時を想い関ケ原             中津川
(049)  ウミネコが消えぎえに啼き波吹雪         小野寺
1 橋本   冬の海の情景が浮   んできます。
2 宮澤
      幼いころ霜柱を踏みしめていた日々が、冬の風物詩だ
    っ たのですが。。。。?
(050)  カサカサと今年はいまだ霜柱           志方
1 桑子    ここ数年霜柱にはご無沙汰していますが、霜柱
 を踏むのは気持ちがいいです。カサカサという音の表現
 がすてきです。
(051)  列をなす白木の遺骨朝霞             深瀬
(052)  意味が無し蝋梅の丘マスク顔           中津川
(053)  数日の寒さ忘れて春来たり            秋元
(054)  海哭きて復興の鐘雪時雨 (ゆきしぐれ)       小野寺
1 柳町
2 豊      「海哭きて」がとても効果的です。復興の鐘と
 雪降る海の取り合わせが冬の風景を伝えてきます。
(055)  北風の雨戸の音に籠りたり            橋本
(056)  凍て蝶の痛みし翅に薄日差し           小野寺
1 桑子
2 秋元
3 治部    季節に取り残された蝶のじっとしている様子が
  見事です。
      庭の山茶花を2 句
(057)  山茶花にメジロヒヨドリ分かち合ふ        橋本
1 藤原
(058)  遅咲きの山茶花庭の灯 (あかり) なり       橋本
1 中津川
(059)  雪解けの光集めて福寿草             小野寺
1 深瀬    雪のとけた隙間の地面から小さく顔を出す黄色
 の福寿草は、冬の終わりを真っ先に教えてくれる感じが
 します。「花は花弁を使って日光を花の中心に集め、そ
 の熱で虫を誘引している。」というネットの説明を読み、
 さらに納得しました。
      地元で交通指導員をしており、朝の小学生登校時に「
     おはよう!」の元気な声に自分も励まされているように
     感じています。
(060)  おはようの声も凍る朝登校            柳町
(061)  我が朋は浄土に旅す雪の朝            小野寺
1 豊      亡くなった友人を惜しむ気持ちが伝わってきま
 す。
(062)  氷上に白鳥の舞女子フィギュア          豊
(063)  節分や春風爽やか生気満つ            橋本
(064)  新雪を踏む音軋み夜明け前            小野寺
(065)  凍鶴の行灯のごと並びおり            深瀬
1 治部    たくさんの鶴が首をすくめて並んでいる様子が
  よくわかります。行燈のようなのは夜なのでしょうか。
  寒さが伝わってきます。
(066)  山雪解 (やまゆきげ) 轟音となり瀑布落つ     小野寺
1 秋岡    冬の厳しさがひしひし伝わってきます。
(067)  寒紅梅別れ惜しみて家移る            治部
1 中津川
2 桑子  引っ越しでしょうか?長年育てた庭木、名残惜
 しいですね。家移るという表現がいいと思います。
(068)  夕食を部屋で待つ身の寒さかな          深瀬
(069)  百舌鳥 (もず) 啼きて夜の静寂 (しじま) を渡りけり小野寺
1 志方    百舌鳥の鋭い鳴き声が響きいてきます。
     還暦を過ぎて10数年、再び小学校高学年になり、宿題
    の締切に悩まされている感じです。いつもの投句遅れを
    反省?しての句とご理解ください。
(070)  締切だ逃げる2月に追いつけず          宮澤
(071)  除夜の鐘古都にて偲ぶ首里の海          小野寺
(072)  令和の空仰ぐオリオンいまいずこ         桑子
(073)  部屋干しで曇る眼鏡の寒さかな          治部
      にわかファン増加のラグビー場 (2 句)
(074)  人の波ダウンコートと楕円球           中津川
(075)  格闘技紅白見ずして年惜しむ           中津川
(076)  朱染めし雪一面に寒椿              小野寺
1 吉良
2 秋元
3 藤原
4 治部    椿が満開の様子が見えます。朱染めた椿と真っ
  白な雪との対比がとても良いと思います。
(077)  初霞居合の刃先陽を射てり            深瀬
1 中津川
2 小野寺  キラリと光る居合の刃先が陽を射るとは鋭い表
  現でテンポが良いと思います。
(078)  海恋し潮鳴りとほく風が哭き           小野寺
(079)  雪見酒ぶり大根はまだ煮えず           豊
(080)  枯れ芒銀の穂波に風光り             小野寺
1 志方    きらきら感が風光りにつきます。
2 柳町
3 宮澤
4 秋元
(081)  花粉舞ウィルス防止マスクかけ          秋元
(082)  早春の東京タワー師なつかし           深瀬
(083)  断つ捨つる難きは離る片時雨           治部
      お年玉年賀はがきが一枚しか当たりませんでした。
(084)  ただ一枚切手シートや減る賀状          中津川
1 桑子  亡くなったり、終活で年賀状を辞める人が増え
 ています。寂しい限りです。ちなみに私は二枚当たりま
 した。
(085)  凍て土に耐えて牡丹の芽は紅し          小野寺
1 秋岡    もう春の訪れがそこまで来ているのですね。
(086)  妻げんき寒 (さむ) 部屋ひとり安堵感       深瀬
1 橋本  頼りになる妻がいつまでも元気が一番でしょう
2 小野寺  糟糠の妻は元気でいい、自分は寒い部屋でひと
  りだが、安堵の気持ちだとは、いいえて妙です。愛妻家
  だがしっかり距離があって良い関係なのでしょう。楽し
  い句です。
(087)  独り身や冷たき水で髭を剃り           宮澤
1 秋岡    寂しい句ですが、いい句だと思いました
2 治部    やむを得ない独身の寂しさがよく出ていると思
  います。お察しします。
(088)  春の雪夢から覚めて雨の音            小野寺
(089)  松過ぎて鳩が一羽の八幡様            桑子
(090)  凍鶴やたまごのごとく宙に浮き          深瀬
 3.雑詠 (季語なし)
      政治の現状を川柳 (2 句)
(091)  炎鵬の如き攻め技野党なく            橋本
1 秋岡    確かに国会中継を聞いているとワンパターンの
 質問が多く、いつも簡単にかわされている感じで歯がゆ
 い限りです。
(092)  バラマキと隠蔽口先明日暗し           橋本
1 深瀬    今の政治は、お友達グループの強権的隠蔽体質
 が強く、官僚も萎縮し忖度に走っている感じがします。
 現代貨幣理論の手本ともてはやされたりし、若い人の支
 持は高いようです。この先どうなるのかいろいろ考えさ
 せられます。
(093)  安倍担き日本品格地に堕ちる           深瀬
1 志方    この人物は何なんだろう?コロナ対策以上にア
  ベのウィルス退治がさきですね。
(094)  WHOは誰忖度だけで役目無し          秋元
(095)  不確実深めるこの世なに頼る           深瀬
      酒の旨さは飲み仲間次第です。かけがいのない飲み朋
     が逝って半年しみじみ
(096)  宙仰ぎ酒盃を交わす朋はなく           志方
1 柳町
2 橋本  亡き友とはいろんな酒を飲み合った、思い出し
 飲む酒の味は、、、
3 深瀬    いつも気軽になんでも言い合っていた飲み友達
 に先立たれるというのはつらいと思います。年賀状のこ
 ともありましたが、私たちも少しずつ後退していく立場
 になったのだとつくづく思います。覚悟が求められてい
 る感じです。
(097)  某国は自由世界に高リスク            秋元
(098)  戦死者の歴史に消さず美と無残          深瀬
(099)  意味のない辻説法は意味不明           秋元
      先日、念願のマルタ騎士団の本拠地を訪問する機会を
     得た。その時の気持ちを詠みました。
(100)  寄せ返るマルタの波に願い懸け          柳町
      わが命、そこまで持つか、永らえよう
(101)  孫8才 (やっつ) 盃かわす日は遥か        志方
(102)  動かぬなら動くまで待とうわがあたま       深瀬
(103)  体制が招いた惨禍後が無し            秋元
(104)  知性とはなにか問ひたし今の世に         深瀬
1 志方    無恥と無知彼に問うても詮無いですね。
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七句会 第2回 自由連句 結果

  小野寺さん、吉良さん、志方さん、豊さん
CC  平島さん、桑子さん、中津川さん、柳町さん
  七句会  第2 回  自由連句
 昨年12月下旬にはじめた第2 回自由連句は、独自ルールですが、26句目をも
ち満尾を迎えることができました。たいへんありがとうございました。
  1 句あたり約 2.4日 (=62 日/26 句) のペースでした。
  次回の参考に資することを目的に、感想、批判、反省、等、なんでも結構で
すので、3 月1 日を目処にお送りいただけると幸いです。
  よろしくお願いします。
 深瀬
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01  沖縄のこころ焼けたり曼珠沙華             (豊)
02      くねる白壁主 (しゅ) 待ちたたずむ     (深瀬)
03  白砂と珊瑚哀しみ土砂が降る          (志方)
04   赤道線に陽はまた昇る         (吉良)
05 除夜の鐘古都にて偲ぶ首里の海       (小野寺)
06      屠蘇を飲み過ぎ二日酔いして     (豊)
07  時止まり凍鶴の背に青き空                (深瀬)
08      風鳴く梢月影淡し          (志方)
09 蕗の薹夢より醒めよ土跳ねよ        (吉良)
10   凍て土に耐え牡丹の芽紅し       (小野寺)
11 ランドセル背負いて少女春を待つ     (豊)
12      夢ふくらましいつか世界へ        (深瀬)
13  凧あげて孫のくやしさ風まかせ      (志方)
14    枯れ葉踏みしめ老婆微笑む       (吉良)
15  凛と咲く冬薔薇愛 (めで) し孫の声     (小野寺)
16      嫁ぐすがたに想ひ馳せらし        (深瀬)
17 いざ待たん桜の花の咲くまでは      (豊)
18      桜吹雪に夢追いし日よ         (小野寺)
19  汗水漬 (あせみずく) めざす嶺や山青し   (吉良)
20      見はるかす雲白さも白し       (志方)
21  冬空のカンヴァスに立つ欅 (けやき) かな  (深瀬)
22   闘病の身に勇気もらいて       (豊)
23 霜柱割りて水仙朝陽浴び          (小野寺)
24      ギリシャの空に思いを馳せる      (吉良)
25  睡蓮の儚き命モネの絵に         (志方)
26   無の心知る禅寺の庭         (豊)

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 七句会  第2 回  自由連句 補注
・01補注 (豊)     19年11月14日
  沖縄の歴史と文化には以前から関心を持っていました。辺野古埋め立てと首
里城の焼失、沖縄県 民の続く受難に深く同情します。
 まさか最高点になるとは思っていませんでしたが、皆さん沖縄に想いがある
ことを知ってうれしく思いました。
・02補注 (深瀬)    19年12月18日
 首里城の城壁は白い琉球石灰岩で作られ、地形に合わせてゆるやかなカーブ
を描いています。首里城が再建されるまで、この城壁がじっとその完成を見守
るのではないか、という気持ちです。
・03補注 (志方)    19年12月21日
  かって沖縄を訪れた時の、辺野古の海の美しさがおもいだされます。碧い空
と純白の雲が天地返しのように映っていた辺野古の海。戦禍に失われた命、夥
しい慰霊の鎮魂を踏みにじって恥じない土砂埋め。それでも美しい国をと唱え
る鉄面皮。桜を汚して恥じない誰かのおつむには響くはずもないか。
・04補注 (吉良)    19年12月24日
  自然の破壊は人間の業とも言えます。以前船で赤道線を越えた経験がありま
すが、広い海の自浄力に期待したいものです。
・05補注 (小野寺)   20年01月01日
  京都の年の瀬は秀吉とねねの縁の寺高台寺で除夜の鐘を聴きました。僧侶達
の般若心経の読経を聴きながら、打たれる除夜の鐘は悠久の時を超えて心に響
きました。
  今こうして京都の地で鐘を聴く平和は太平洋戦争で日本の防波堤となり、失
われた幾多の英霊と市民達の犠牲の上にあり、沖縄の海を忘れてはならない事
と思いを馳せました。
・06補注 (豊)     20年01月06日
  5句までの流れを変えて詠んでみました。実際は屠蘇で二日酔いをすること
はないと思いますが、そこは一つのユーモアとして理解してください。
・07補注 (深瀬)    20年01月06日
  凍鶴 (いてづる) は、鶴が厳寒に耐えるため、微動だにせず、一本脚で立ち
、頭を翼のなかに埋め込んでいる様です。こうすることで体温の喪失を少しで
も防ぎます。そうしたじっとしている鶴の群の向こう側に、青い冬空が広がっ
ている様を詠みました。朝とか昼間に、こうした光景が見られるか、やや疑問
もありますが想像です。
  前句の七七は、前々句の大晦日からお正月への単純な時間的推移を示したも
のと捉え、お屠蘇気分からの転換を指向してみました。
・08補注 (志方)    20年01月09日
  凍てつく冬の静止画のような情景が浮かび素晴らしい上句で、何を繋げるか
まよいました。
  青天の中に、葉を落としきった枝(冬木立)が風に揺れ、その先に白く淡い
月影がぼんやりと映っている様が、静の中に動きとまた滲んだような情景を対
比させてみました。
・09補注 (吉良)    20年01月10日
 凍てつく雪原の下にも生命の活動が始まっています。蕗の薹が芽吹き土から
顔を出す春が早く来てほしい気持ちを読みました。
・10補注 (小野寺)   20年01月14日
  冬枯れの殺風景な庭のなかで枯れ木の様に黒く立つ牡丹の幹に厳しい寒さを
ものともせずにひときわ赤くて硬い花芽が幾つも付いておりました。毎年4 月
末に満開となる牡丹の華の、自然の運行の確かさを感じました。
・11補注 (豊)     20年01月14日
  前句の牡丹の紅い芽を、新一年生になる少女と見立ててみました。また、前
々句からの植物の流れを変えて、人間の描写にしました。買ってもらったピカ
ピカのランドセルを背負って、早く学校に行きたいなと希望あふれる春を待っ
ている少女です。
・12補注 (深瀬)    20年01月16日
  今は肩幅よりランドセルの方が大きい少女も、どんどん成長し、いずれは社
会人として世界に羽ばたくときがくるだろうという期待を込めました。
・13補注 (志方)    20年01月20日
  13日の成人の日、娘の家の前の広場で、どんど焼きががその付近の町内会の
皆様の主催でおこなわれていました。
 多分60年ぶりに見る光景で、懐かしく幼き頃の楽しみと思い出しました。
 広い野原で、孫たちが近所の友達と凧揚げをはじめましたが、あいにく風を
読めなくで、悪戦苦闘の中真剣に取り組むさまに感動しました。
 『おじいちゃん、風を止む方法を教えてほしい』といわれて、『耳を澄まし
て風に聞いてごらん』苦し紛れにと答えました。
 こうした自然現象を肌で感じるようになったかと、孫の成長を実感した嬉し
さを表現してみました。
 風が止んだら、凧が上がらないことを気が付いて欲しいけど
・14補注 (吉良)    20年01月22日
 風で散った枯れ葉の積もった公園の林から、子供たちの凧あげを見ていた老
婆が楽しそうに微笑んでいる様子をよみました。
・15補注 (小野寺)   20年01月24日
  冬枯れの殺風景な庭に薔薇が一輪見事な真紅の花をつけておりました。背筋
を正す様な凛とした佇まいでした。たまたま来ていた孫娘がわーっ綺麗!と感
嘆の声を上げました。小学生ながら少女になってきた孫娘の冬薔薇に感動する
声に、孫娘の成長を感じ詠んでみました。
・16補注 (深瀬)    20年01月26日
  特に説明は不要と思いますが、孫の結婚式に出席できるようにがんばりたい
という気持ちも踏まえました。
  私のところは、5 歳と2 歳の男子ですが、相当な努力が必要な感じです。
・17補注 (豊)         20年01月28日
 前句につなげて、嫁ぐ日を桜が咲く日になぞらえました。皆さん、桜にはさ
まざまな思いを託していることでしょう。まだ1月、いまは苦しくても哀しく
ても、桜が咲くまでの辛抱です。
・18補注 (小野寺)     20年01月31日
  前句を引き継いで若い頃、春爛漫の桜が舞い散る日には先々の人生の夢を思
い描き船出の希望に満ちた日がありました。古希の坂道を越えてきた今幾人も
の友人達の死や、沢山の挫折にも出会い、西行の句 願わくは花の下にて春死
なんその望月の如月の頃の様に満開の桜と満月の日に、自分も逝きたいものだ
と思う反面桜吹雪に見た、夢に向かう自分を思いだし、いろいろな事に挑戦す
る気持ちを鼓舞しようとも思いこの句を詠みました。
・19補注 (吉良)       20年02月03日
  前句から、若い頃にはやった「青い山脈」が連想され読みました。高い目標
を目指して汗を流す若さが懐かく思いだされます。
・20補注 (志方)       20年02月03日
  鎌倉のハイキングコースの一つで、天園コースがありますが、何年かに一度
歩きます。円覚寺裏からけっこうきつい山道ですが、登り切った後に相模灘が
一望できます。
 山青きを受けて、水平線上に浮かぶ雲の白さを目にした感激を素直に表現し
てみました。
・21補注 (深瀬)       20年02月05日
  これまで、少女、孫、老婆なども登場しますが、基本的には、自らの挑戦者
としての体験を踏まえ、そうしたなかで出会った風景に想いをよせているよう
に感じました。
  欅 (けやき) は幹が太く、細かいたくさんの枝を伸ばし、比較的独立して立
っているように思います。子どものころは近くの古い大きなお屋敷の跡地に幾
本かありましたし、今でも駅までの途中に何本かの大きな欅があります。冬の
青空や曇り空に細かい枝をたくさん伸ばした欅の大木をみると、なにか絵画を
みるような幻想的郷愁的な想いにさせられます。
・22補注 (豊)         20年02月06日
  葉を落として直立する冬の欅は凜々しさを感じさせます。闘病中の人が病室
の窓から冬空に立つ欅を見て、「ああ、自分もがんばらなくてはいけないな」
と勇気を与えられた気持ちを付けてみました。
・23補注 (小野寺)     20年02月12日
  深瀬さんの欅の木から、昔国分寺に住んでいた頃府中の欅並木が有名で新緑
もさることながら自分も冬の欅の風景が好きで、この大自然を身近に置きたい
と欅の盆栽を随分作りました。冬の空に屹立する大木も雄々しさを感じますが
、固く閉じた霜柱をかき分け朝陽に向かう水仙の可憐な白い花にも欅に負けず
劣らず自然の強さを感じました。
・24補注 (吉良)       20年02月13日
  水仙はギリシャ神話では青年ナルキッソスが呪いにかけられ生まれたといわ
れ、原産地は地中海沿岸です。日本の冬の寒さに耐え太陽を浴びて咲き誇って
も、故郷の暖かい空を思いを馳せていることでしょう。
・25補注 (志方)       20年02月14日
  先日神代植物園に行き、越前水仙が可憐い咲き誇っておりましたが。園内の
池にに睡蓮が2株ほど桃色と白の花が顔を出しておりました。睡蓮の花の命は
短くて、3日程との説明書きがあり。モネの睡蓮の絵の印象が強かったので、
そのはかなさに、思わず感じいった次第です。そんな思いを読んでみました。
・26補注 (豊)         20年02月17日
 「ギリシャ」「モネ」と西洋の思考が続いたので、本当の哲学は東洋にある
と思い、句を付けました。
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2019年12月27日金曜日

七句会 第三十回句会の自句自解です。

 七句会のみなさま
 第三十回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、た
いへんありがとうございました。
 およせいただいたものを、名前順に、ほぼそのまままとめてお届けします。
今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。

 七句会のweb  http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。
  今後とも、よろしくお願いいたします。
  深瀬 (事務方)

 追記
  自由連句を、12月上旬から、小野寺さん、吉良さん、志方さん、豊さん、深
瀬の5 名にて、5 回転し25句まで詠みたいと思っています。
  無事、終わりましたらみなさまにご報告したいと思っています。よろしくお
願いします。


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1.小野寺さんの自句自解
・石畳み紅葉敷き詰め小糠雨     (060)
 古都の石畳みに敷き詰めたように散り落ちた紅葉は小糠雨に濡れていっそう
の艷やかさを増し、さながら絵巻きのような風景でした。
・朝霧や柿の実ひとつ濡れ残り   (071)
 朝露のたち込めた秋の朝ぽつんと残った柿の実が、濡れたままで、淡い風景
の中で鮮やかな色を残しており心に残りました。
・蒼き露野仏の頬伝い落ち   (073)
  古都の苔むした蒼い野仏の頬をつたい落ちる露はさながら野仏が秘めやかに
涙をながして晩秋の深い哀しみを宿しているようでもありました
・蟷螂は健気に百舌の贄となり   (068)
 カマキリのオスは交尾して生きながらにしてメスが産卵する為の餌となりま
す。子孫を遺す為に食われた、身体半分のオスが更に百舌の早贄のために、枝
に突き刺されておりました。カマキリのオスの一生は健気ではありませんか。
・落ち葉踏む音静まれり古都の路   (076)
  吉良さんが指摘されたように、深く積もった落ち葉を踏む音は、古都の年月
を重ねた、不思議な静寂を連れて歩く様でもありました。
・月冴えて芒の原は銀の波    (080)
  中天にかかり煌々と輝きを増す月の光の中で芒の原の芒の穂波は、銀色に波
だち、さながら海原の波浪の様でもありました。静寂な幽玄を思わせる一幅の
墨絵の趣きがあったのです。
・芒原風は轍を残しけり    (083)
  一面の芒の原に一陣の風が舞い、吹き荒れ風の通り路には いく筋もの轍が
残されておりました。風は天に昇ったのでしょうか。
・あだし野に煙たなびき曼珠沙華   (086)
  徒然草の一節
   あだし野の露消ゆるときなく、鳥辺山の煙り
   立ちさらでのみ住みはつるならいならば
   いかでもののあはれもなからん。
 この世は定めなく、無常であるからいいのだ。と言ってます。嵯峨野から大
覚寺へ行く道すがら煙りがたなびき、曼珠沙華が紅く咲いており、京の片隅で
不思議な無常を思った事でした。
・コーナーを追い抜く孫の運動会    (005)
  リレー選手になった孫娘がコーナーをゴボウ抜きして走りさる姿を大声で叫
びながら応援しました。小学生時代の自分に、重ねておりました。
・鰻食ふ白寿の母に小春の陽    (032)
  白寿を迎える母は好きな油絵を描き好物の鰻を食べる笑顔に小春陽が降り注
ぎ来年の銀座の個展への参加を願います。

2.桑子さんの自句自解
・天高くティーショットは視野の外 (039)  
 ナイスショットもドジッたボールも、視力の衰えですぐに見えなくなるとい
う現実を読みました。治部さんの言うとおり「・・・視野の外へとティーショ
ット」の方がいいですね。
・秋寒し今宵納めの冷やの酒 (042)
 季重なりについては気になっていたところで、「冷や酒」(夏の季語)を「
冷やの酒」と「の」を入れることで無季語にならないかと。
・長き夜の話し相手はテレビかな (049)
 毎日だと、家内との会話もそうは続かないので必然的にテレビに向かって文
句を言っている今日この頃です。

3.橋本さんの自句自解
・枝見上げいましばらくの落ち葉掃き (4点句)
 落葉は自然任せ、庭と道路への落ち葉が気になると掃いている。枝に残る葉
の様子から未だしばらく付き合わされそうである、ヤレヤレ。(最後の1 枚は
12/20 に散りました、句は11月初旬)
・箍緩む瑞穂の国や台風禍 (1点句)
 台風15号、19号の風害、水害の被害は甚大、救える命・ 財産が対応の甘さで
失われたものも多い。温暖化で想定外の災害が増えている昨今、出来ることか
ら備えていかねば、、、
・血税の花見の宴に露と消ゆ (1点句)
 首相主催の「桜を見る会」は、税金の使途として甚だしく不適切、不愉快。
バラマキ政治の本質の一端が垣間見える。

4.宮澤さんの自句自解
・年寄りのうんちく姦し美術展  (015) 
  とにかく昨今の美術展は混んでいます。この作品の背景はから始まり、技法
、業界のランクまで知る限りの知識を披露してる人。一方、作品には関係なく
、なんでここでというよもやま話をしているおばさんたち。特別展だと入場料
も結構高いはずですが、年寄りはひたすら元気で好奇心旺盛という感じです。
浮世絵展などだと、作品が小さくて、人混みではよく見えないと思いますが、
それでも混むのはちょっと不思議な感じがします。特別展よりすいている常設
展を推奨します。
・稲妻にクラブ投げ出し命乞い  (028)
 これはまさに実感で、ゴルフで何が怖いといって、スコアが乱れることでは
なく、雷に直撃され命までかけることはないということ。格闘技ならごめんな
さいで命懸けの勝負は避けられますが、たかがゴルフで、勝負をかけるところ
でないところで命をかけたくないというわがままな気持ちです。
・青い目が神輿を担ぐビルの谷  (010) 
 1 治部    最近この光景をよく見る気がします。ビルの谷としたところが面
白いと思います。
 ありがとうございます。昔、仲宗根美樹が歌った「川は流れる」という曲で
、「街の谷、川は流れる」という詩がありました。ビルの谷は、そこから借用
です。
・秋の空雲の間に間に覗き見え  (035) 
 今年は、夏からすぐに冬で、秋空がたまにしか見えなかった残念感です。こ
んな年でも雲の向こうは、秋空が広がっているのでしょうという思いです。
・秋来ぬと目に見えぬまま痩せさんま (084)  
 1 中津川
 古今和歌集のパロディのつもりです。今年の秋は、夏が長く、秋に雨が多く
、いきなり冬という感じでした。古今和歌集の本歌は、風の音に秋が来たと聴
覚で秋を感じたようです。今年の秋は台風ばかりでこの聴覚を感じぬまま、痩
せたさんまに視覚と味覚と臭覚に、またあえて痩せた手触りの触覚の、五感の
内の四感で感じた、つかの間の貧しい秋だったなという気持ちです。

5.豊さんの自句自解
・沖縄のこころ焼けたり曼珠沙華
 沖縄の歴史と文化には以前から関心を持っていました。辺野古埋め立てと首
里城の焼失、沖縄県 民の続く受難に深く同情します。
 まさか最高点になるとは思っていませんでしたが、皆さん沖縄に想いがある
ことを知ってうれしく思いました。
・菊花展老いの一日また過ぎて
 小春日和のある日、老夫婦そろって菊花展に出かけた様子を想像して詠みま
した。
 老人の平和な日常の一端を切り取ったつもりです。
・月見には独りがよろし手酌酒
 名月を愛でるにはやはり一人がいいのです。ススキの生えている野原にぽつ
んと坐り、一升びん を片手に空の満月と対話している風流人を想像してみて
ください。

6.深瀬の自句自解
・国東の古代の田にも今年米  (077)
  九州・国東半島の水田は、平安時代から続いているそうです。水田の生産の
安定性やそれが日本列島に広がっていった様子を思いました。
・翼竜や秋の雲間を滑り飛ぶ  (023)
  恐竜時代に思いを馳せました。翼竜がたくさん空を舞っている様子はどんな
感じだったのでしょうか。
・鉄骨を吊るすクレーンや秋の雲  (046)
  都心では、あっちこちで高層ビルの建築が進んでいます。時代の変化や躍動
感に感じ取っていただけたらと思います。
・六十年 (むそとせ) のすまいの朝に秋の雲  (034)
  同じ場所に物心ついてから60年以上住んでいます。朝、マンションの4 階の
廊下に出て、近所を見回しますが、ふと感慨におそわれることがあります。
・秋の陽を反射す額また広く   (041)
・秋の風広がる額すべりゆく   (027)
  最近、急速に額あたりの頭髪が消えていきます。そのスピード感に驚いてい
ます。
・それぞれの終活事情秋の風   (021)
・秋空に終活思案まとまらず   (054)
  終活として、なにをどういう手順でするか考えることがあります。蔵書や遺
産の整理とかあるとは思いますが、どうもそれだけないような気もします。人
それぞれの課題のようにも思います。
・こがらしに終活見据えよろけけり   (019)
  終活をがんばろうとか気合を入れた瞬間によろけたりするのがなさけない感
じです。
・善く生きる問ひを背負いて秋の声   (025)
  昔の人は、善く生きるとはどういうことか、という問いが日常的にあったの
ではないかと思うことがあります。競争社会やスマホ社会のなかでは、そうい
う意識が後退してしまっているのか気になることがあります。
・仰向けの蝉の見つめる虚空かな    (067)
  朝、マンションの外廊下に、蝉が仰向けにころがっていることがあります。
もう死んでいるのかと手をふれると、ぱっと飛び立っていきます。あんなかっ
こうでなにをしていたのか不思議に思います。
・地表には巨大ひとつ目野分行く    (037)
  気象衛星からみた地表の雲の様子は日常茶飯になりましたが、台風の目の映
像は、改めて自然の脅威を思い知らされます。
・地下タンク野分の水を捌くかな    (050)
  荒川や神田川にはあふれた水を貯水したり別の川に放水する巨大な仕組みが
地下に作られているようです。温暖化による雨量の増大とのいたちごっこにな
らないかと心配になります。
・学らんの大根踊りや青き空    (002)
  東京農大の応援団の大根踊りはユニークだと思います。
・大根の葉っぱ広げしヘアかな   (058)
  大根やパイナップルの上についている葉っぱのようなヘアスタイルの女性を
見ることがあります。女性には似合う感じもします。
・大根の磨かれし艶パリ画風    (072)
  大根の色というのは、よくみると深みがあって引き込まれます。藤田嗣治と
かユトリロの絵なんかを連想しました。
・ママチャリの荷台の大根夕陽受け  (055)
  夕方の買い物帰りの主婦の様子を思い浮かべました。
・昼呑みに大根おでんつまみけり   (085)
  これはかなりフィクションですが、昼呑みの機会は増えました。なにかかな
り贅沢をしている気持ちになります。
・大根に網タイツ着せフェティシズム  (063)
  大根を見つめていたら、こういう気持ちも湧くのではないかという想像です。
・アラーキー萎び大根 (だいこ) の美学かな  (089)
  写真家荒木経惟は、萎びて枯れかけた花や野菜を被写体にしているようです
が、それが美しいと言われると、不思議にそうかなという気持ちになります。
日本人のわびさびの美意識につながるのかもしれません。
・チアガール大根踊りのどはくりょく    (016)
  大根踊りのときのチアガールは、大根は持ちません。持って踊っている姿を
勝手に想像したものです。
・神の旅此処も水没後ろ髪    (013)
  今年の台風19号は広い範囲に大雨を降らし、雨があがった後に洪水が押し寄
せました。地球温暖化に起因し、今後も増えそうだとのことです。のんびり秋
祭りをたのしんでいる余裕がなくなるのか心配です。
・唄太鼓十津川踊り神の留守   (009)
  十津川の盆踊りは、唄と太鼓のみで、両手にもった扇子の動きや唄の歌詞に
伝統の重みを感じます。歌詞がかなり世俗的でおもしろいと感じました。
・神の旅一神教ではさみしけり    (007)
  日本中の神様が収穫を終えた各地方から出雲に集まってくるというのは、一
神教の世界では考えられないことです。日本人の心象の奥深くにある感じです。
・目黒川さくら並木も紅葉に    (096)
  春には、川の両岸が満開の桜で彩られますが、今は、紅や黄色に色づいた枯
れ葉が並んでいます。最近は、枯れ葉も落ちてしまいました。四季と生の循環
のダイナミズムを実感しました。
・いつのまに「まいったなもう」口癖に  (061)
  最近、お風呂やトイレにいく途中などの合間合間に、このフレーズが頭のな
かに現れます。
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2019年12月6日金曜日

七句会 第三十回目のネット句会 選句の結果をご報告します。

 七句会のみなさま
 第三十回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
  5 点句
(082)  沖縄のこころ焼けたり曼珠沙華       豊 
  4 点句
(060)  石畳み紅葉敷き詰め小糠雨         小野寺
(067)  仰向けの蝉の見つめる虚空かな       深瀬
(079)  枝見上げいましばらくの落ち葉掃き     橋本
  3 点句
(014)  菊花展老いの一日また過ぎて        豊
(031)  月見には独りがよろし手酌酒        豊 
(039)  天高くティーショットは視野の外      桑子
(042)  秋寒し今宵納めの冷やの酒         桑子
(071)  朝霧や柿の実ひとつ濡れ残り        小野寺
(073)  蒼き露野仏の頰伝い落ち          小野寺
  2 点句
(015)  年寄りのうんちく姦し美術展        宮澤
(027)  秋の風広がる額すべりゆく         深瀬
(028)  稲妻にクラブ投げ出し命乞い        宮澤
(037)  地表には巨大ひとつ目野分行く       深瀬
(038)  秋月や真白に染まる醤油倉         吉良
(051)  夕映えに柘榴が独つ空に溶け        志方
(066)  八千草の岸辺や今に伝えけん        治部
(068)  蟷螂は健気に百舌の贄となり        小野寺
(076)  落ち葉踏む音静まれり古都の路       小野寺
(080)  月冴えて芒の原は銀の波          小野寺
(083)  芒原風は轍を残しけり           小野寺
(086)  あだし野に煙たなびき曼珠沙華       小野寺

  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
  次回については、来年1 月中旬ころにご連絡したいと思っていますので、よ
ろしくお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連
絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
 今回の選句には、下記の14名が参加しました。
  秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さ
ん、鳥海さん、中津川さん、橋本さん、宮澤さん、柳町さん、豊さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
  今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては12月23日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
  句会の後の勉強会等については、みなさまのご意見をお聞きしながら、適宜
、行っていきたいと思っています。よろしくお願いします。
(3) 自由連句第二回について
  末尾に付記として、要領を記しました。よろしくお願いします。
  2019.12.06
      代表   橋口侯之介 (休会中)
      顧問  豊  宣光
      事務方 深瀬久敬
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 1.兼題  秋の行事
   
(001)  今年も並ぶ鉢増えて菊花展         中津川
(002)  学らんの大根踊りや青き空         深瀬
1 吉良    大根の白が青空を背景に空を舞う光景が素敵です。
(003)  穂の重み沁みて楽しむ秋祭り        柳町
1 志方    季節と種の生育の時間とと農民の感謝が調和している
(004)  いが栗や長靴で割る味たのし        中津川
(005)  コーナーを追い抜く孫の運動会       小野寺
1 豊      前を走っているランナーを追い抜く孫を、はらはらし
 ながら応援しているおじいちゃん。かつての自分を見ているの
 かもしれません。
         60の手習いで始めた先輩たちの個展で上手
       なことにびっくりしました
(006)  柿の絵に進歩を示す個展かな        中津川
1 深瀬    前の勤務先の社友会の会報がときどき送られてきます。
 そこに写真、絵画、工芸品などの、かつて職場をともにした人
 たちの作品の掲載があります。この人にこんな趣味があったの
 だと新鮮な感動を呼び起こされます。
(007)  神の旅一神教ではさみしけり        深瀬
1 桑子    旅は道連れ、一人ではつまらないと思います。
 孫の運動会に行くと、自分の子供の運動会
の応援よりも大声になっていくのが不思議で
す
(008)  大声は孫のためかな運動会            柳町
(009)  唄太鼓十津川踊り神の留守         深瀬
(010)  青い目が神輿を担ぐビルの谷        宮澤
1 治部    最近この光景をよく見る気がします。ビルの谷とした
 ところが面白いと思います。
(011)  べったら市香りほのかな江戸の街      吉良
1 中津川
(012)  秋燃ゆるベートーベンの楽曲に       豊 
(013)  神の旅此処も水没後ろ髪          深瀬
(014)  菊花展老いの一日また過ぎて        豊 
1 秋岡    小生も今年は菊花展に出かけました。丹精込めた菊を
 眺めていると確かに時間が早く過ぎてしまいます。
2 柳町   
3 宮澤  予定表に終了のチェックマークを付けました。次の予
 定は「白内障の検査」か「入れ歯の修理」かな?
(015)  年寄りのうんちく姦し美術展        宮澤
1 中津川
2 橋本
(016)  チアガール大根踊りのどはくりょく     深瀬

 2.兼題  秋の天文
(017)  潮鳴りを耳殻で聴きし小春かな       小野寺
(018)  野分後に八百屋に並ぶ高値菜        中津川
(019)  こがらしに終活見据えよろけけり      深瀬
(020)  箍 (たが) 緩む瑞穂の国や台風禍      橋本
1 治部    危機意識が薄れていることを天が教えています。災害
 や、テロ等に対する備えを再考すべき時だとこの句が告げてい
 ます。流石です。
(021)  それぞれの終活事情秋の風         深瀬
1 豊      秋はすべてが滅びへ向かう季節。人生の終わりを間近
 にして、人それぞれにさまざまな思いがめぐります。
(022)  土手に来て復興祈る雨野分         中津川
(023)  翼竜や秋の雲間を滑り飛ぶ         深瀬
1 吉良    雲を翼竜に見たてたのかと思いましたが、秋の青空の
  深さが感じられます。
(024)  灯消え岬の街は星月夜           小野寺
(025)  善く生きる問ひを背負いて秋の声      深瀬
1 橋本    人生も末頃となり善く生きたかなと振り返り、未だ間
 に合うところもあるかなとも
(026)  秋晴れや万国旗ゆれて園児の輪       治部
1 鳥海    何故か孫の運動会は張り切ってしまいますね。
(027)  秋の風広がる額すべりゆく         深瀬
1 柳町   
2 宮澤  年老いて、季節を感じる新しいセンサーが機能しだし
ました。
(028)  稲妻にクラブ投げ出し命乞い        宮澤
1 鳥海    今年の夏に駒東OBと一緒に行った際これで死んだら
  皆様に何て言われるかと、雷の音で即中止した事を思い出しま
  した。
2 桑子    カミナリが近くに来るまでプレーしていたのですね。
  ゴルフが余程好きな人ですね、命あっての物種です。命乞いは
  土下差して低くしていたのですかね。
 バスツアーで飛騨高山方面へ行きました。
       紅葉が思った以上に良かった。
(029)  天高し響く異国語白川郷          中津川
(030)  見上げれば金刀比羅宮に秋日濃し      吉良
(031)  月見には独りがよろし手酌酒        豊 
1 吉良    たまたま一人なのか、独り身なのかはわかりませんが、
 共感を生みます。
2 中津川
3 小野寺  独りで、月見酒。自分と向き合いながら呑む酒はまた
格別ですね。
(032)  鰻食ふ白寿の母に小春の陽         小野寺
1 豊      食欲旺盛な99歳と高齢の母。まだまだ元気です。「
 小春の陽」という言葉がみごと。かなり俳句作りになれた作者
 でしょう。
(033)  秋の雲瀬戸の波間に船流がる        吉良
(034)  六十年 (むそとせ) のすまいの朝に秋の雲  深瀬
(035)  秋の空雲の間に間に覗き見え        宮澤
(036)  空澄みて古都の石段にわか雨        小野寺
(037)  地表には巨大ひとつ目野分行く       深瀬
1 中津川
2 橋本    宇宙から詠みましたか、地表は大変です
(038)  秋月や真白に染まる醤油倉         吉良
1 秋元    絵画を思わせる
2 深瀬    醤油蔵の白壁が秋月の光に照らされ、夜空を背景にた
 たずんでいる景色は、なにか幻想的な絵画のようです。酒蔵で
 も味噌蔵でもないのもよいと感じました。高校時代に習った萩
 原朔太郎の詩「猫」を連想したりもしました。
(039)  天高くティーショットは視野の外      桑子
1 鳥海    加齢により視力が落ちてボールの行方を見る事が出来
 ない人。意図した方向とは全く異なり行方が分からない人。色
 々あると思いますが。
2 橋本    秋の青空に白球がのはずが、右に左にまっすぐ飛ばず
 探すのが一苦労、同類です
3 治部    テンプラですか、OBですか?「・・・視野の外へとテ
 ィーショット」では?
(040)  野分止み野に金色の月のぼり        小野寺
1 志方    野分の後の静寂が表現され、いいですね
(041)  秋の陽を反射す額また広く         深瀬
(042)  秋寒し今宵納めの冷やの酒         桑子
1 秋岡    季重なりのようですが、気分は良く分かります。これ
 からはやはり人肌のぬる燗、さらに熱燗ですか。
2 秋元    酒飲みに敬意を表して
3 小野寺  寒い季節となり熱燗が恋しくなる前に飲み納めの冷酒
はまたおつですな
(043)  台風禍暗闇ひそみ祈る声          吉良
        想定外の災害が人間のおごり産物で、かっ
       て台風は子供心に何か楽しかった記憶があり
       ます。
(044)  今は無く野分またの日碧き空        志方
(045)  古時計音秘めやかに小夜時雨        小野寺
1 深瀬    子供のころの柱時計は、歯車の噛み合う音がしていま
 した。夜中に前を通ったりするとよく響いていました。小夜時
 雨の夜中だと余計大きく響き、こころに迫るものがありそうで
 す。
(046)  鉄骨を吊るすクレーンや秋の雲       深瀬
1 秋岡    大都会の秋の風景ですね。秋の雲は、すじ雲ですか、
 うろこ雲ですか?
(047)  水害の忘る間の無き瑞穂国         橋本
(048)  台風の老木倒す強さかな          豊 
(049)  長き夜の話し相手はテレビかな       桑子
1 秋岡    独り身の夜なのでしょうか?秋は一層さみしいです。
 昔は書物、今はテレビですか?単身赴任の時はこんな感じでし
 たね。
(050)  地下タンク野分の水を捌くかな       深瀬
        下記の3 つの句は秋の夕暮れを読んでみま
       した。
(051)  夕映えに柘榴が独つ空に溶け        志方
1 治部    (独つ)とすることで最後の一個とわかります。夕映
 えの中に溶け込んで、存在感が薄れています。寂しい様子が人
 生の終盤に重なっちゃいますね。(071) の朝霧と柿の取り合わ
  せとの違いが面白かった。
2 深瀬    かつて住んでいた家の庭の西側に柘榴の木が植わって
 いました。夕陽を背にした柘榴の光景が思い出されました。独
 つというのも絵になる感じです。
(052)  雁帰行秋の夕暮れ山の端に         志方
(053)  風誘う夕陽に染まる芒かな         志方
(054)  秋空に終活思案まとまらず         深瀬
1 小野寺  冬を控えた秋の風の日、終活の案などなおさら、思い
乱れてまとまりませんよね

  3.雑詠、無季語
(055)  ママチャリの荷台の大根夕陽受け      深瀬
(056)  野仏に木枯らし哭きて古都は暮れ      小野寺
1 橋本   
(057)  山肌を紅葉飾りて秋化粧          秋元
1 志方    山麓の秋が目に浮かぶ
(058)  大根の葉っぱ広げしヘアかな        深瀬
(059)  寺町をながむる松やうそ寒し        治部
1 小野寺  寺町の長い歴史を見守ってきた老い松には木枯らしの
季節はとりわけ寒さが身に沁みるのでしょうか。
(060)  石畳み紅葉敷き詰め小糠雨         小野寺
1 橋本   
2 秋元    秋の色に染まった情景を思わせる
3 深瀬    石畳みの上に紅葉がたくさん敷きつめられ、そこにこ
 まかい雨が静かに降り、紅葉の色がさらに映えている様子が思
 い浮かべられました。
4 宮澤  同じ濡れ落ち葉でも、紅葉は風情があります。そうい
えば「小糠雨ふる御堂筋・・」と歌った欧陽菲菲はどこへ行った
のでしょうか?
(061)  いつのまに「まいったなもう」口癖に    深瀬
(062)  川堤五羽の白鷺照らす月          橋本
(063)  大根に網タイツ着せフェティシズム     深瀬
(064)  天透きて嵯峨野の路に彼岸花        小野寺
(065)  秋雨晴れ厳かなり即位式          中津川
(066)  八千草の岸辺や今に伝えけん        治部
1 豊      岸辺のアルバムは名作でした。八千草薫の清楚な姿が
 浮かびます。静かな死に合掌。
2 柳町   
(067)  仰向けの蝉の見つめる虚空かな       深瀬
1 吉良    仰向けの息を引きとる前の蝉に自分を重ねているので
  しょうか。無になってすべてを受け入れる覚悟を感じます。
2 治部    自分の寿命が分かっているようで虚しいですよね。何
  を考えているのでしょうか。でも最後の一飛びの力は残してい
  るのです。ただ、今回の句会の季節としてはどうですかね。
3 宮澤  「八日目の蝉」を演じきって満足なのか、地上での短
い寿命の不条理を憤っているのか?合掌。
4 小野寺  生きとしいけるもの、皆平等に死はやってきます。蝉
の複眼が死の底でみた先は無限の虚空だったかもしれませんね。
(068)  蟷螂は健気に百舌の贄となり        小野寺
1 桑子    健気に贄となるという表現がすてきです。気に入りま
  した。
2 橋本    カマキリが百舌の贄となっているのは見たことがあり
 ませんが、健気がなんとも、、、
(069)  血税の花見の宴に露と消ゆ         橋本
1 中津川
(070)  蟋蟀の声不意に消え藪暗し         豊 
1 宮澤  虫の演奏が突然終わり、静寂が訪れると、寂しさに抱
きすくめられたような気になります。
(071)  朝霧や柿の実ひとつ濡れ残り        小野寺
1 吉良    そろそろ冬も近くなり、少し寂し気な田園風景を想像
  させられます。
2 豊      秋の朝の風景をうまく切り取っています。「濡れ残り」
 が効果的です。
3 治部    柿は一つ取り残した方が翌年の実りが良いそうです。
  濡れ残りが朝霧を強調していていいですね。
(072)  大根の磨かれし艶パリ画風         深瀬
(073)  蒼き露野仏の頰伝い落ち          小野寺
1 秋岡    ”蒼き”露とはどんなイメージなのでしょうか?絵画
 的ですね。
2 志方    秋の情緒がひそやかに伝わります
3 柳町   
(074)  美咲呼び紅葉且つ散る道志川        治部
(075)  コスモスの咲き乱れたる野の原に      秋元
(076)  落ち葉踏む音静まれり古都の路       小野寺
1 吉良    本当は落ち葉の踏む音がしてるのでしょうが、それも
  聞こえない静寂さを感じることができました。
2 秋元    古都の静寂が伝わって来る
(077)  国東の古代の田にも今年米         深瀬
(078)  熱燗の温さを好む朋逝きて         志方
1 小野寺  熱燗の温さ加減を知り抜いていた朋の死はしみじみと
切ないですね。
(079)  枝見上げいましばらくの落ち葉掃き     橋本
1 桑子
2 志方    儚さが上手く表現されている秀作ですね(2 点句)
3 深瀬    毎朝、きちんと落ち葉を掃いている人の感慨のような
 ものが自然体で詠まれ、こころに響くものを感じました。
4 宮澤  最後の葉一枚が落ちると冬が来ます。外の焚火では寒
いので、家に入り暖炉で暖まりましょう。
(080)  月冴えて芒の原は銀の波          小野寺
1 秋岡    季重なりのようですが、絵画的で美しい句ですね。月
 が砂漠を照らし銀色に輝く有名な絵画(?)にも通じるような。
2 深瀬    夜の芒の原に月光が降り注ぎ、銀色の芒の穂が波のよ
 うに揺らいでいるというのは、なにか幻想的な絵画のようです。
 落ち武者の金目のものを奪おうとする盗賊でも出てきそうな不
 気味さも感じました。
 半世紀に亘る飲み友達に先立たれ
(081)  朋逝きて野辺にたたずむ彼岸花       志方
1 小野寺  長いあいだ苦楽を共にした友人の死は忍びがたいもの
があり、心に開いた穴にたたずむ彼岸花は作者自身でしょうか。
(082)  沖縄のこころ焼けたり曼珠沙華       豊 
1 鳥海    何年か前に沖縄旅行で首里城に行った事を思い出しま
  した。沖縄復帰20周年事業の一環として首里城が復活したの
  に・・・。今、「アジアの歴史と文化」と題する大学の講義の
  中で、琉球の歴史を学習しています。沖縄の墓石には中国の元
  号、日本の元号、西暦、日本の元号記載の変遷があるそうです。
  最初の日本元号使用は、琉球王朝を琉球藩にし更に沖縄県にし、
  中国との両属関係にあった琉球を組込んだ日本の「近代化」に
  よる所謂琉球処分よりも後の日清戦争に中国が負けた後の事の
  様です。
2 吉良    早く再建されることを祈るばかりです。
3 中津川
4 秋元    沖縄人の悲嘆に思いを馳せて
5 柳町   
(083)  芒原風は轍を残しけり           小野寺
1 治部    以前仙石原でこの風景を見た気がします。鉛色の空か
  ら風が吹いて芒の穂が揺れる様子が波のようだったのですが、
  轍ですか・・・なるほど恐れ入りました。
2 宮澤  風の通り道が、幾筋も見えます。この道を通って風は
どこへ行ったのでしょうか?
(084)  秋来ぬと目に見えぬまま痩せさんま     宮澤
1 中津川
(085)  昼呑みに大根おでんつまみけり       深瀬
1 志方    のんべい万歳
(086)  あだし野に煙たなびき曼珠沙華       小野寺
1 桑子  最初はちょっと分からなかったのですが、あだし野の
 意味を調べて納得しました。
2 柳町   
(087)  食卓に上らぬ秋刀魚懐かしや        秋元
1 桑子   
(088)  朱の空百舌啼く里は冬支度         小野寺
(089)  アラーキー萎び大根 (だいこ) の美学かな  深瀬
(090)  黄葉や街に小さな鼓笛隊          治部
1 豊      きれいに黄葉した銀杏並木が続く通りを、子供の鼓笛
 隊が進んでいく。その奏でる音が聞こえてくるようです。
(091)  渾身の羽ふりしぼり雁は翔び        小野寺
(092)  秋飾る石積み土手に見入り居り       橋本
        下記の2 つの句は秋そのものの季語であり、
       花弁の散る様を惜しんで
(093)  こぬか雨金木犀の花散らし         志方
1 秋元    雨に濡れた季節感のある情景
(094)  何想う金木犀の残り香に          志方
1 柳町   
(095)  山茶花は通学の子等見守りて        小野寺
1 秋岡    もう山茶花が咲きだしているのですね。都会では山茶
 花の垣根も少なくなってきたのでは。
(096)  目黒川さくら並木も紅葉に         深瀬
(097)  紅葉燃え永観堂に陽は落ちぬ        小野寺
1 志方    今年の春に青紅葉に圧倒され、晩秋の光景を想像して
 いましたが。
  注。選句にあたって寄せられたコメント
・友人の死を悼み作った句が多くなりましたね。私自身、長いあ
いだ付き合った友人の葬儀に幾つも立ち会い、残されたご家族の
慟哭の涙をみて断腸の思いでした。おろそかには、生きられない
と思うようになりました。 小野寺  健

  -------
  付記
  自由連句に参加される方のご連絡をお待ちしています。
  前回の自由連句は、7 月上旬から9 月末までの約3 ヶ月にわた
り、橋本さんの「新緑や葉裏を見せて風渡る」を発句として、小
野寺さん、吉良さん、豊さん、深瀬の四人で行いました。
  できあがったものは、七句会HPの「七句会自由連句第一回2019
年7 月9 日~9 月30日」を参照してください。
  前回の反省を踏まえ、12月下旬くらいから、下記のような要領
で第二回を行いたいと思っています。参加してもよいと思う方は、
12月中旬ころまでに、ご連絡をお願いします。 
  事務方  深瀬
  ・・・・・・・・・・
  前回は、歌仙形式 (36句) の自由連句として行われた。10句目
あたりから、わたしたちの残りの人生の整理にむけた気持ちのよ
うなものが中心的になったが、それはそれでたいへん興味深いも
のになった。
 次回に向けては、下記のような方向で行う。
1.式目 (ルール)
・次の句をつける人に誤解や戸惑いを与えないように、なるべく
補足説明を記すように心がける。 (すでに行っている人もいるが。)
・「花」、「月」、「恋」などといった定座のような規則は設け
ない。ネット運営なので時間的ゆとりがあり、特に単調になった
りすることを危惧する必要はないと思われるため。
・次の句に、前の句と同じような言葉は使わないといった基本的
なルールは、自主的に尊重すればよいという考えで進める。
・捌き手とか特に設けないが、投句の整理をする程度とする。
2.発句
・なるべく連句に参加する人が作ったもので、これまでの同季節
の句会で高い点数を得たもののなかから、適宜、選ぶという方向
とする。 (発句の選び方が、その後の流れにどのように影響する
のかは、よく分かっていない。)
3.実施する間隔、参加者
・1 ラウンドするのに前回は、約3 ヶ月 (7 月初旬から9 月末。)
かかった。ラウンドの間は、2 ~3 ヶ月はあける。
・1 ラウンドする期間は、参加する人数にもよる。前回は4 人で
あったが、あと2 ~3 人、増えても大丈夫そうである。
・前回は、歌仙形式の36句で行ったが、やや長すぎるので、24句
を1 ラウンドとする。
4.その他
・実施している最中でも、適宜、問題、等があれば、相談するよ
うにする。
----

2019年10月24日木曜日

七句会 自由連句 第一回 2019年7月9日~9月30日

 自由連句のみなさま
  平島道彦様 多大な励ましをいただき、たいへんありがとうございます。

  今回は、7 月9 日に、橋本さんの
    新緑や葉裏を見せて風渡る
を発句として手さぐり的に始めた連句も、下記のように、歌仙形式の36句目を
小野寺さんに詠んでいただき、無事、満尾することができました。きびしい暑
さのなか、たいへんありがとうございました。
 10月中に、できれば今回の結果を踏まえて反省会のようなこと (例えば、ル
ールの修正。ご参考までに下段に掲載。) を行いたいと思っています。日程、
等につきましては、豊さんをはじめみなさまにご相談したいと思っています。
  深瀬

 追記
  連句と並行して、小野寺さんの伊藤忠時代の先輩であり、俳句にお詳しい平
島さんから、多大な励ましのお言葉をいただきました。満尾にしたことについ
て、下記のようなメールをいただきました。小野寺さんとわたしにいただいた
ものですが、ご参考までに下記に掲載させていただきます。注。平島さんは、
阪大OB、ポルトルガルにお住まいです。

  平島さんのメール(1)
  満尾おめでとうございます。
  自由連句という事で皆さんかなり奔放に楽しめた事でしょう。各人の長句短
句のバランスも取れていると思います。もしこれから本気で連句・歌仙に挑戦
するのであれば基本的な式目を会得して欲しいと思います。
  もう既にお持ちの方もおられるかと思いますが岩波新書1121「歌仙の愉しみ
」を参考書として読まれることをお勧めします。
  ラグビーのワールドカップで皆さん盛り上っていると思いますがあの風変わ
りなルールがあってこそ面白さが倍加していると思います。歌仙も式目に則っ
て作りますと各個人の個性が如実に発揮されて転調も大胆、作品が複雑な色合
いや音や匂いの展開で深く幅広いものになること請け合いです。
  やればやるほど面白さに嵌り、遊び心に身体も軽やかに伸びやかに応じるよ
うになりますよ!  呻吟は避けて通れないですが・・・  産みの苦しみはこれ
も快楽!
 平島道彦拝

  平島さんのメール(2)
  俳句に練達の人に釈迦に説法みたいで面映ゆいです。でも気の置けない仲間
で切磋琢磨すれば更に親和力も増して友情・友愛も深まっていきます。遠慮な
く羽目を外せるのも座の文学の良いところ。
  紹介した本 [大岡信、丸谷才一、岡野弘彦著  「歌仙の愉しみ」 (岩波新書
) 、2008年3 月刊] にありますが野坂昭如のパロディ「男の果てはみなインポ
なり」というのがありますが、これは猿蓑の「市中はものの匂ひや夏の月」の
名残の裏の凡兆の「さまざまに品かはりたる恋をして」に対して芭蕉が「浮世
の果ては皆小町なり」と付けたのを捻ったものです。
  これは極端にしても王朝文学やら滑稽やら自由闊達に奔放に遊べますので是
非皆さんでワイワイガヤガヤやりあって下さい。
 妄言多謝
 平島拝

  ----------

01  新緑や葉裏を見せて風渡る         (橋本)
02   野原に遊ぶ園児らの声        (豊)

03  チャンバラの斬られ役の子ポーズ決め     (深瀬)
04   草雲雀啼き雲流れゆく         (小野寺)

05 梅雨雲や光り焦がれる花芽かな        (吉良)
06     光合成もいまや遅しと          (深瀬)

07  よみがえる強き日射しや夏の雲      (豊)
08   鵜と戯れし不忍の池          (吉良)

09  紫陽花の青滴りぬ古都の庭         (小野寺)
10   青もいつしか枯れて黄色に      (豊)

11 駒東の紅顔男子も七十路に           (深瀬)
12   頬かすめゆく煌めきの時空(とき)   (小野寺)

13 友は逝き夢み果てなむ天の川          (吉良)
14      人それぞれの旅路はるかに       (深瀬)

15 この世からあの世へ運ぶ渡し舟      (豊)
16   漆黒の海に星流れ散る           (吉良)

17  鐘の音 (ね) に遠雷和して陽は沈み     (小野寺)
18      孤独な人の哀しみ深し        (豊)

19  予定表余白数えて蝉の声            (深瀬)
20      炎暑の浜へ潮鳴りが呼ぶ        (小野寺)

21  夏の海船誘 (いざな) いてイルカ舞う    (吉良)
22      どこまでともに一期一会を          (深瀬)

23  老いてなお若さを保つうれしさよ     (豊)
24   果てなる旅路しばし待ち詫ぶ       (吉良)

25 雲速し今際 (いまは) の声か蝉時雨     (小野寺)
26   地には空蝉ばかり残して       (豊)

27 仰向けの蝉の見つめる虚空かな         (深瀬)
28   限りある日を生命 (いのち) 尽くさむ  (小野寺)

29 朽ち果てし巨木押し上げ夏木立       (吉良)
30      若きいのちの船出しずかに         (深瀬)

31 老兵はまだ消え去らず曼珠沙華      (豊)
32    心静かに秋空見上ぐ          (吉良)

33 闇の音碧い息吐き蛍舞ひ          (小野寺)
34   源氏平家の戦い終えて        (豊)

35 六十年 (むそとせ) の住居 (すまい) の朝に秋の雲  (深瀬)
36   結界超えていざ旅発たん        (小野寺)



  ご参考  自由連句の基本ルール (当初)

・ルール  01
  発句のあとに、2 番目の人が短句(77)を詠み、それを踏まえて3 番目の人が
長句(575) を詠み、4 番目の人が3 番目の人の詠んだ長句を踏まえて短句(77)
を詠む、という手順を繰り返す。基本的に1 つ前の句のみ踏まえればよいもの
とするが、それ以前の句も踏まえるかは自由とする。

・ルール  02
  句を詠む順番は、あらかじめ決めておく。参加者が偶数人数のときは、同じ
順番で繰り返すと、長句を詠んだ人はずっと長駆を、短句を詠んだ人はずっと
短句を詠むことになってしまうので、2 巡目以降、適宜、入れ換えるようにす
る。

・ルール  03
 発句は、適当に持ってくるものとする。必ずしも、連句に参加している人の
詠んだ句にこだわらず、協議のうえ、だれの句でも発句とすることができるも
のとする。

・ルール  04
  句を詠んだら、次の人にメールで連絡するとともに、他の参加者にはCCを入
れることにする。他の参加者が進捗状況を知るため。
  次の人は、受け取ってから3 日以内に自分の句を詠んでメールすることを基
本とする。ただし、間に合わないときには、あと何日待ってくださいと連絡す
るものとする。

・ルール  05
  長句や短句を詠んだとき、なにか分かりにくい点があれば補足的な説明を加
えることも可能とする。最終的には、注釈的に残すのみとする。



2019年9月21日土曜日

七句会 第29回 ネット句会 自句自解

 七句会のみなさま
 第二十九回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、
たいへんありがとうございました。
 およせいただいたものを、名前順に、ほぼそのまままとめてお届けします。
今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。
 七句会のweb  http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。
  今後とも、よろしくお願いいたします。
  深瀬 (事務方)
 追記
  自由連句を、7 月上旬から、小野寺さん、吉良さん、豊さん、深瀬の4 名に
て、歌仙形式 (36句で満尾) で行っています。あと2 句で満尾となります。無
事、終わりましたらみなさまにご報告したいと思っています。よろしくお願い
します。

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1.小野寺さん
・漣 (さざなみ) に足沈めをり夏の雲 (010)
  炎暑の海、波打ち際に足を浸して涼を取ると、波の彼方に積乱雲がわいてお
り、風が流れて、夏の日のさざめきでした。
・鐘の音に遠雷和して陽は沈み (088)
  志方さんの評がありがたい。夕暮れの寺の鐘の音と大自然の遠い雷鳴が共鳴
し合い、折しも赤い夕陽が薄闇の彼方に沈みゆく様は、自分を忘我の境地に誘
う光景でした。
・滝近し風とほりきて夏木立 (012)
  治部さんの感想の通りです。滝の音ではなく、木立を抜けて来た冷たい風と
飛沫で、滝が近くにあると感じたのです。長いあいだ杣道を歩き続けて来て汗
がすーっと引いていきました。
・梅雨あけて橋桁翔ける夏燕 (005)
  梅雨あけの晴れた日  鉄橋の橋桁を飛翔する燕は初夏の風を運ぶ夏の風物詩
です。
・紫陽花の青滴りて古都の庭 (077)
  豊さんの感想の通りです。京都の庭の片隅で雨に濡れて咲く紫陽花の花弁か
ら落ちる雫は、紫陽花の青紫をそのまま、滴らせて落ちる様でもあり脳裏に焼
き付いた風情でした。
・夏蝶の翅閉じてをり滝飛沫 (しぶき)  (095)
  滝のしぶきが微かにかかる岩に翅を閉じたまま微動だにしないルリタテハ蝶
はそこだけ山の静寂が支配しておりました。
・風孕み白帆の跡は蒼き海 (102)
  深瀬さんの評の如くです。満帆の白い帆が風を受けて大海原を走り跡に蒼い
海の航跡が鮮やかに残ります。白い帆の跡が海の蒼さを際立たせます。
・宵宮に行き交う人は薄化粧 (056)
  古都の宵宮薄明かりの中を行き交う人の横顔は皆薄化粧で艶めいておりまし
た。

2.桑子さん
・スーツ女(め)に歩調合わせて玉の汗
  スーツ姿のキャリアウーマンらしき若い女が颯爽と追い抜いて行ったので負
けるものかと後について行ったが、汗がダラダラ。年を取った、体力が落ちた
と実感したのを読みました。

3.志方さん
・ネット句会の皆様
  今回の選句結果、特に5 点句、4 点句の評価は古希過ぎた我々には、共感を
得られるもので、素晴らしいですね。
  私が一番評価したものは (漣 (さざなみ) に足沈めをり夏の雲)でした。
一幅の山水画のようなイメージが、俳句に見事に表現され、洗練された技量に
素直に評価できました。w評価(2 点)をしたいぐらいです。
  作者名をみて、さすがと、改めて感じいりました。
  そのあとの(阿蘇夏野子連れの牛の草を喰む)も淡いタッチの水彩画みたい
でいいなと思いました。同じ作者の結い上げし黒髪云々は5 点句に比べて、女
性経験の差がでているのか、残念ですね。
  さて自句解説ですが、、瀬戸の夕凪の句ですが、、もう30年以上前の瀬戸の
島々で、夕凪の暑さが停まっているのが水面に現れ、後ろからヒグラシの鳴き
声が聞こえてくる情景が時として懐かしく思い出されます。
  何かまだ働き盛りのころの残照が懐かしいですね。
  ここで提案ですが、選句の時、2 点評価を1 句だけ選句できるような選句方
法もいいかなと思っています。皆様の御意見如何ですか。

4.中津川さん
・風呂浴びて 香るみょうがの 冷奴
・流れ来る 薬味で食う 冷素麺
  毎年知人から沢山のみょうがを頂きます。酢味噌で和えたり、卵とじにした
りで食します。今回句にした次の二つも好きな食べ方です。
 4点句となった
  風呂浴びて 香るみょうがの 冷奴
はあえて季重なりでみょうがを強調したつもりです。
 もう一句の
  流れ来る 薬味で食う 冷素麺
は季重なりにならないように作りました。
・焼き鮎を 狙いし鷺の 止まる桟
  京都鴨川の川床料理屋さんで実際に体験した情景ですが、あまり現実感を出
せなかったようです。
 焼き鮎を 狙うがごとく 鷺が舞う
の方が動きがあって良かったなと思いました。

5.宮澤さん
・抜き襟の  うなじの汗に  ときめいて
 さて、皆様の味わい深い投句の中で、5 点句という望外の結果に、うなじで
はなく、わきの下に冷や汗が流れています。
  満員電車で押されると、私は背が高く、乗客を見下ろすことが多く、間近に
いた妙齢の女性の襟元につい目がいったときの状況です。
  目をそらそうとしても、身動き取れません。
  せっかくのご褒美なので素直にときめかせていただきました。
  目にした襟元は洋服ですが、和服のイメージに脚色しています。
  ほとんど妄想の世界で、正直、この句で5 点句となると、三振王の8 番バッ
ターが、偶然ホームランを打ってしまったようです。
  次回から「ホームラン王!」などと冷やかされるのが嫌で、ずる休みしよう
かなと思っています。
・人は待ち  熱風渡る  赤信号
  2 点句の「人は待ち」のほうは、夏散歩の途中赤信号で止まっても、わがま
まな熱風と自転車は信号を守りません。
  暑い中律儀に信号を待ちながら、感じたまま書きました。自転車は省きまし
た。
  車が来ないと時々赤信号を無視します。よその人は私を見て、わがままな老
人だと思っているのでしょう。
6.柳町さん
・震災の 陰りも見せず 光る海
  鉄道ファンの私としては、東日本大震災で壊滅的な破壊を受けてから8 年、
今年三月に三陸鉄道再開通のお祝い(?) に乗車してきました。
 途中は堰堤を直したり、陸橋の再敷設さらには駅そのものが位置も建屋も変
わっている箇所もありの周りは随分と様変わりしてましたが、三陸の海は以前
と同じように光輝いていました。
 そんな情景を読んでみました。

7.豊さん
・最高点句について
 「ときめきて」という生々しい表現が気になって私は選ばなかったのですが
、かえってそこがいいと皆さんは思われたのかもしれません。「 抜き襟のうな
じに汗が光っている」 、確かに色っぽいです。
・生姜擦る冷やそうめんの昼げかな
・猛暑日や激辛カレー胆試し
 この2作は我ながら駄作でした。4点句のおふたりの作品のほうがずっとい
いです。
・八月や兵士の霊が戸をたたく
 八月はお盆の月であり、戦争を語る月でもあります。太平洋戦争で南の島と
海で死んだ兵士たちの霊がお盆に合わせて故郷に帰ってくる。亡くなった兵士
の無念と、高齢化した遺族の忘れることのできないつらい記憶を組み合わせた
のですが、少し難しすぎたようです。

8.深瀬
・夏の雲空にくっきり輪郭線
  夏の雲は、強い陽差しによって、くっきりと見えます。空の蒼さと雲の白さ
のコントラスの鮮やかさが印象的です。
・阿蘇夏野子連れの牛の草を食み
  TV番組で見た風景です。旅行をほとんどしないかわりに、TV番組の録画はた
くさんあるので、録画で世界中を見てみたいと思っています。邪道(?) 。
・静かさに戦車朽ちゆく夏野かな
・ノモンハン塹壕埋む夏野かな
 TV番組でノモンハン事件のドキュメンタリーをみました。芭蕉の「夏草や兵
どもが夢のあと」からの連想もあったと思います。近代の戦争の方がよりむな
しさを感じさせられます。
・生きすぎて戸惑う人や夏の雲
  医療、食糧、生活の便利さ、等によって寿命が伸びていますが、その一方、
どう老後を過ごすか戸惑いも増えてきており、複雑な心境です。
・静かさや夏野にうなる光合成
  植物の光合成の働きは神秘的です。生命の根源のようにも感じます。
・結い上げし黒髪凛々し夏女
  お祭りに行く女性とか、銀座の夜の蝶とか、女性の変身には神秘性が感じら
れます。
・夏くれば海の蒼さに波の音
  波の音は、生命の故郷に誘い、時間を超越させてくれる感じがします。
・待合所人それぞれの夏姿
・夏空に旗立て旅行者声高く
・バッグ引きそろい半袖旅行団
  たまにJR品川駅の新幹線待合所で時間を潰すことがあります。そのとき見た
風景です。
・電線の夏雲を断つ静かさや
  以前、「夕焼けの電線よぎる落ち葉かな」という句を作りました。今度は、
夏雲が電線によって切られるという視点で詠みました。電線は昭和のイメージ
でしょうか。台風15号では電柱が倒壊したりし、地中化が進むそうです。
・木筒からにょろにょろいずるところてん
  子供のころ、秋田の母の実家に行ったとき、朝ごはんのときだったのか、目
の前で作ってくれたのが強く印象に残っています。
・水ようかん匙で切り取り孫笑顔
  もう少しで五歳になる孫 (男) との日常を思い作りました。
・ガラス器に赤いすいかの黒き種
  ややひねりすぎか、とも思います。
・おかあさーん八月の空遠くから
  戦場で兵士が死んでいくときのことを思いました。なぜ悲惨な戦争が繰り返
されるのか不思議です。
・マンションの朝つつみけり蝉の声
  周囲がほとんどアスファルトなのに、東京はかなり自然が残っているようで
す。蝉の鳴き声のシャワーをあびるとなにかほっとします。
・古池や浮かぶ花弁に蟻二匹
  以前、「水面のバラの花弁に蟻ひとつ」という句を作ったのですが、季重な
りでもあり、芭蕉の句も意識して作りなおしてみました。
・足もとの蟻踏み避けて生思ふ
  「蟻」という兼題の句会で、日常的に感じていることを詠みました。
・緑陰のひかり濃淡万華鏡
  新緑のころの木蔭から太陽の陽が差してくる光景を詠んでみました。万華鏡
でよいのか迷いましたが、家内の「いんじゃないの」の一言でこうしました。
・梅雨の朝街路のみどり輝けり
  梅雨のころは曇天が多いのですが、朝の街路樹は意外と輝いてみえるのが印
象に残りました。
・屋形船連句に興ず旦那衆
  連句はゆとりのある旦那衆とか呼ばれる人たちのたのしみだと言われていま
す。芭蕉の紀行文もそうした人たちとの交流のなかで作られたようです。いま
はネットの時代なので、そういう制約もなくなったと感じています。
・街電車みどりに染まり走りゆく
  街路樹や線路沿線の深い緑を思って詠みました。
・奈落へと引きずりこまる老ひごこち
  七十歳も超えると、急に老化が進む感じをもつことがあります。そうしたと
きの恐怖感のようなものを詠んでみました。
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2019年8月29日木曜日

第二十九回 七句会 ネット句会 選句の結果をご報告します。

 七句会のみなさま                          
                                   
 第二十九回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。 
今回の選句結果をご報告いたします。                  
                                   
 5 点句                               
(066)   抜き襟の うなじの汗に ときめきて    宮澤        
                                   
 4 点句                               
(032)   風呂浴びて 香るみょうがの 冷奴     中津川       
(070)   古希過ぎて悪びれもせず昼寝かな      治部        
                                   
 3 点句                               
(010)   漣 (さざなみ) に足沈めをり夏の雲     小野寺       
(011)   阿蘇夏野子連れの牛の草を食み       深瀬        
(015)   結い上げし黒髪凛々し夏女         深瀬        
(017)   電線の夏雲を断つ静かさや         深瀬        
(053)   風止まる 瀬戸の夕凪 蝉しぐれ      志方        
(055)   屋根の上たまに顔出す花火かな       桑子        
(088)   鐘の音に遠雷和して陽は沈み        小野寺       
                                   
 2 点句                               
(005)   梅雨あけて橋桁翔ける夏燕         小野寺       
(012)   滝近し風とほりきて夏木立         小野寺       
(014)   生茂る 夏草のなか 百合一輪       志方        
(019)   生きすぎて戸惑う人や夏の雲        深瀬        
(026)   一涼の鶯の声夏の朝            橋本        
(029)   水ようかん匙で切り取り孫笑顔       深瀬        
(034)   茄子胡瓜トマト青紫蘇朝もぎり       秋元        
(038)   庭育ち味噌付け胡瓜の旨さかな       橋本        
(043)   素麺の 木箱に染まる 潮の香や      吉良        
(049)   花火果て空に静けさ戻りけり        豊          
(057)   瀬の音や若き岩魚の影速し         治部        
(071)   緑陰のひかり濃淡万華鏡          深瀬        
(077)   紫陽花の青滴りて古都の庭         小野寺       
(080)   震災の 陰りも見せず 光る海       柳町        
(083)   足もとの蟻踏み避けて生思ふ        深瀬        
(084)   人は待ち 熱風渡る 赤信号        宮澤        
(087)   スーツ女 (め) に歩調合わせて玉の汗    桑子        
(095)   夏蝶の翅閉じてをり滝飛沫 (しぶき)     小野寺       
(102)   風孕み白帆の跡は蒼き海          小野寺       
                                   
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。  
  次回については、10月中旬ころにご連絡したいと思っていますので、よろし
くお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連絡を
いただきたく、よろしくお願いいたします。               
                                   
 事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。               
                                   
(1) 選句参加者                            
 今回の選句には、下記の14名が参加しました。             
  秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さ
ん、中津川さん、橋本さん、宮澤さん、森杜瑯さん、柳町さん、豊さん、深瀬
。                                  
                                   
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について    
  今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては9 月16日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。    
 http://nanaku-haiku.blogspot.jp/                  
  これまで、句会の後、勉強会としての集まりを企画していましたが、参加者
が少ないこともあり、改めることにしました。集まっての勉強会も適宜、行い
たいとは思っていますが、よろしくお願いします。            
                                   
  2019.08.29                            
      代表   橋口侯之介 (休会中)                   
      顧問  豊  宣光                        
      事務方 深瀬久敬                        
                                   
----------------------------------------------------------------------
                                   
  1.兼題  夏 (夏野、夏の海、夏の雲、夏の月、夏の山、夏祭、等)     
                                   
(001)   エアコンを効かして掃除すなる夏      橋本        
(002)   待合所人それぞれの夏姿          深瀬        
1 秋岡    旅行先或いは帰省先での待合所でしょうか、夏の風物      
  詩を感じます                            
       昔、夏の「白馬」に登山した時の思い出を            
     読みました。                          
(003)   残雪に 心浮かれる 夏の山        柳町        
1 秋元                                  
(004)   静かさに戦車朽ちゆく夏野かな       深瀬        
1 豊      長い年月が経ち、すっかりさびて戦場跡に残されたま      
 まの戦車。静かな夏野の風景に戦争の記憶をうまく詠みこんで      
 います。                              
(005)   梅雨あけて橋桁翔ける夏燕         小野寺       
1 宮澤                                
2 橋本                                
       以前勤めていた会社主催の「夏祭り大会」            
     に孫にせがまれて連れて行ったところ、金魚            
     すくいで思わぬほど大漁(?) で大きなビニー            
     ル袋に入れてくれたのはいいが、重くて孫に            
     は持てない状況を読みました。                  
(006)   孫の手に 余る金魚や 夏祭        柳町        
(007)   夏くれば海の蒼さに波の音         深瀬        
(008)   命懸け 耐熱テスト 夏散歩        宮澤        
1 橋本                                
(009)   ノモンハン塹壕埋む夏野かな        深瀬        
(010)   漣 (さざなみ) に足沈めをり夏の雲     小野寺       
1 志方    涼しさが絵画的に伝わってきます。              
2 秋元                                
3 宮澤                                
(011)   阿蘇夏野子連れの牛の草を食み       深瀬        
1 治部    草千里のあたりでしょうか、牛の親子が草を食む様子      
 が何とも穏やかな景色ですね。目に見えるようです。          
2 志方    のどかさ想像できて、いいですね。              
3 柳町                                
(012)   滝近し風とほりきて夏木立         小野寺       
1 治部    山道を歩いていて滝に出くわすことありますよね。似      
  たような句はいくつかあると思いますが、たいがい音が先に来      
  るのに、作者は風に乗ってきた飛沫や涼しさで滝の接近を感じ      
  たのでしょう。木立の中を歩いて汗をかいた後の涼しげな雰囲      
  気がよくわかります。                        
2 中津川  木の間を抜けて滝の音も聞こえて来ますね           
(013)   白球が真夏の空へ甲子園          豊          
1 秋岡    ストレートに詠んだ句が高校野球らしくていいです。      
(014)   生茂る 夏草のなか 百合一輪       志方        
1 桑子    緑の中にぽつんと白い百合、ひときわ目立つその光景      
 が目に浮かびます。小生も庭の草木の中に切り忘れたあじさい      
 が一輪在って、その光景を読みたがったが浮かばなかったです。     
2 小野寺  夏草の繁る雑草のなか白い山百合の花一輪、風情があ      
 りますね。                             
(015)   結い上げし黒髪凛々し夏女         深瀬        
1 治部    黒髪を結い上げている夏女はたぶん浴衣姿でしょう。      
  艶っぽかったでしょうに。凛々しく見えたのは家族だからです      
  かね。違うでしょう。本当は凛々しではなかったのではないで      
  すか作者殿?いかが?                        
2 森杜瑯                               
3 小野寺  きりりと結びあげたひっつめの黒髪は健康的で爽やか      
 な美人でしょうか。夏女とはいいですね。               
(016)   夏霧や 虫の骸に 蝉時雨         宮澤        
1 柳町                                
(017)   電線の夏雲を断つ静かさや         深瀬        
1 吉良    電線は送電線ですかね。日常の何気ない風景の観察が      
 良いと思います。                          
2 中津川  一本の電線が空(空間)を上下に切り分けています       
3 小野寺  夏の入道雲を切り従える電線は確かに動と静で静寂を      
 感じさせますね。                          
(018)   振り返る 間もなく光る 夏の雲      吉良        
1 治部    夏の雷の様子がよくわかりますね。一文字開けないほ      
  うがいいと思いますよ。間もなく光るのではないでしょう。光      
  った方を振り返る間もなく次が光るのでしょう。夏の積乱雲を      
  飛び交う稲妻は、光のショウタイムのように見えることがあり      
  ますね。                              
(019)   生きすぎて戸惑う人や夏の雲        深瀬        
1 志方    古希過ぎて、老いをどう認識するか、考えさせらます。     
2 森杜瑯                               
      夏休みの部活                         
(020)   たくましさ 日に日に黒く 孫の夏     中津川       
1 桑子    夏休みで野球かサッカーの練習でもしているのでしょ      
  うか、孫の成長を見守る情景が目に浮かびます。            
(021)   ホットする たまには涼し 夏の風     志方        
(022)   夏の雲空にくっきり輪郭線         深瀬        
1 宮澤                                
(023)   止まり木に 心残して 夏の酔い(宵)   志方        
1 治部    この句はオールシーズンですね。春夏秋冬いつでも止      
  まり木に心残す人はいるものです。作者は、酒も止まり木も大      
  好きなのでしょう。選者もしかりです。                
(024)   静かさや夏野にうなる光合成        深瀬        
(025)   夏祭り 浴衣に赤い 鼻緒かな       志方        
1 深瀬    白い浴衣と下駄の赤い鼻緒の色彩感覚、そして、それ      
 らを身につけた女性の雰囲気がほのかに漂ってくる感じです。      
(026)   一涼の鶯の声夏の朝            橋本        
1 吉良    鶯は春の季語ですが、夏山に行くと爽やかな声で迎え      
 てくれます。                            
2 小野寺  鶯は春の季語ですが、初夏の朝に啼く鶯は確かに、涼      
 を呼びますね。                           
(027)   夏空に旗立て旅行者声高く         深瀬        
                                   
                                   
  2.兼題  夏の食べ物、料理 (トマト、かき氷、素麺、ところてん、等)   
                                   
(028)   炎天下 並んで待つか かき氷       中津川       
(029)   水ようかん匙で切り取り孫笑顔       深瀬        
1 桑子    匙で切り取るという表現がすてきです。おいしさが伝      
  わってきます。                           
2 秋岡    お孫さんがかわいくて仕方がないのですね。          
(030)   素麺を 黙してすする 昼下がり      吉良        
(031)   夏昼餉梅干し納豆熱いお茶         橋本        
(032)   風呂浴びて 香るみょうがの 冷奴     中津川       
1 志方    冷酒一杯と直ぐに注文したくなる句ですね           
2 秋岡    夏はこのパターンが最高ですね、後は冷酒か冷えたビ      
  ールですね。                            
3 橋本                                
4 深瀬    みょうがと冷奴の色彩感覚に惹かれました。ビールと      
 か飲みながら、風呂上がりのゆったりした雰囲気も伝わってき      
 ます。                               
(033)   生姜擦る冷やそうめんの昼げかな      豊          
(034)   茄子胡瓜トマト青紫蘇朝もぎり       秋元        
1 柳町                                
2 吉良    朝とれたての感じが「もぎり」で表現されています。      
(035)   細けれど素麺助く細る食          橋本        
(036)   切るのみで 買いし巻き寿司 食べる昼   中津川       
(037)   ガラス器に赤いすいかの黒き種       深瀬        
(038)   庭育ち味噌付け胡瓜の旨さかな       橋本        
1 桑子    やはり自分で育てた野菜は形はどうあれうまい。もろ      
  きゅうは最高です。                         
2 中津川  自分で育てた野菜の味は一層おいしいでしょう         
(039)   道の駅一足早い心太            治部        
1 豊      車で旅する途中なのでしょう。もしかすると名物の心      
 太を求めての旅なのかもしれません。「 一足早い」 とあります      
 から、たまたま立ち寄った道の駅で、目的地よりも早く心太に      
 出会ったということでしょうか。                   
      鴨川の川床料理で                       
(040)   焼き鮎を 狙いし鷺の 止まる桟      中津川       
(041)   そうめんは トマトに胡瓜 錦糸卵     志方        
(042)   木筒からにょろにょろいずるところてん   深瀬        
(043)   素麺の 木箱に染まる 潮の香や      吉良        
1 秋元                                
2 深瀬    かつてはお中元とかで、束ねた素麺がいくつか入った      
 木箱をよくみかけました。独特な香りですが、web によれば、      
 「日本国内では近世より西日本を中心に素麺生産が盛んであっ      
 た。これは原料となる小麦、水(軟水)、食塩(海水塩)の産      
 地が近かったことが1 つの理由である。」との解説があり、納      
 得しました。                            
       以前勤めていた会社主催の「夏祭り大会」            
     に孫にせがまれて連れて行ったところ、懐か            
     しい後輩が出店でトマトを販売していたので            
     思わず買って食べた時の情景です。                
(044)   夏祭 孫と頬張る 冷トマト        柳町        
(045)   孫惑う 赤青黄色 かき氷         吉良        
(046)   江戸切子 静かに漂う 冷素麺       宮澤        
(047)   猛暑日や激辛カレー胆試し         豊          
(048)   流れ来る 薬味で食らう 冷素麺      中津川       
                                   
                                   
  3.雑詠、無季語                           
                                   
(049)   花火果て空に静けさ戻りけり        豊          
1 秋元                                
2 宮澤                                
(050)   夕闇の川面を急ぐ屋形船          秋元        
(051)   海恋し炎暑の浜へ潮鳴りは呼ぶ       小野寺       
(052)   パリ祭や 踊る乙女の 夢たどる      吉良        
(053)   風止まる 瀬戸の夕凪 蝉しぐれ      志方        
1 柳町                                
2 吉良    経験がないのですが一度訪ねてみたくなる気分を感じ      
 させます。                             
3 宮澤                                
(054)   蓮子の花水面( みなも) の下に蜘蛛の糸   小野寺       
(055)   屋根の上たまに顔出す花火かな       桑子        
1 橋本                                
2 深瀬    実際の花火大会の現場に行ったことがありません。い      
 つも屋根の上とかビルの合間からみています。既視感に訴えら      
 れた感じです。                           
3 小野寺  屋根の上から眺める花火は確かに音も微かで、たまに      
 しか顔を出さないと言う表現が言い得て妙に面白い。          
(056)   宵宮に行き交う人は薄化粧         小野寺       
1 中津川  京都の町の浴衣の女性は皆美しく見えます           
(057)   瀬の音や若き岩魚の影速し         治部        
1 吉良    山間の沢の涼しさを味わえる句です。             
2 深瀬    岩魚の素早い動きが音感や色彩感覚の両面から活写さ      
 れているように印象深く感じました。                 
(058)   変幻に姿を変える仕掛け火や        秋元        
(059)   雨に濡れ問はずかたりの白牡丹       小野寺       
(060)   おかあさーん八月の空遠くから       深瀬        
      夏の立山で発見                        
(061)   見つけたり 雷鳥親子 走り去り      中津川       
(062)   古希過ぎて頬かすめ行く煌めきの時空 (とき) 小野寺       
(063)   大輪の夜空の頬を赤に染め         秋元        
(064)   大花火滝のしたたり闇の音         小野寺       
(065)   屋形船連句に興ず旦那衆          深瀬        
(066)   抜き襟の うなじの汗に ときめきて    宮澤        
1 治部    いいかげん卒業しましょう。でもわかりますよ。ホン      
  ト                                 
2 秋元                                
3 森杜瑯                               
4 桑子    まだときめきがあるというのはすばらしいしうらやま      
  しい、と同時にうなじの汗が見えるのは視力がいいせいなのか      
  はたまた見えるほど近づいていたのでしょうか。気になるとこ      
  ろです。                              
5 小野寺  抜き襟のうなじに滲む汗は確かに艶めいて、色気があ      
 りますね。                             
(067)   潮騒は読経の声か蝉時雨          小野寺       
1 森杜瑯                               
(068)   花火咲き台場の橋を透かし見る       秋元        
(069)   昼下がりジムのプールや四面女声      桑子        
(070)   古希過ぎて悪びれもせず昼寝かな      治部        
1 吉良    リタイアしてのんびり過ごせる身分がうらやましく思      
 えます。                              
2 桑子    70も過ぎると恥も外聞もなくなってくるが、それを      
  悪びれもせずと開き直っている?ことに感心しました。         
3 秋岡    ”悪びれもせず”という言葉で思わずニヤリとしまし      
  た。                                
4 中津川  私も悪びれず昼寝します                   
(071)   緑陰のひかり濃淡万華鏡          深瀬        
1 志方    井之頭公園の奥の雑木林の夏木立の中を散歩している      
 ときに、感じます。                         
2 小野寺  木漏れ日の緑の光の濃淡はさながら自然の万華鏡です      
 ね。美しい。                            
(072)   蠍座は銀河の彼方紅く燃ゆ         小野寺       
(073)   マンションの朝つつみけり蝉の声      深瀬        
(074)   肩紐のあとが残れる日焼け肌        豊          
(075)   川面ゆく舟の灯りに蝉時雨         秋元        
1 柳町                                
      全英女子オープンゴルフ優勝のスマイルシ            
     ンデレラ渋野選手、元気もらった                 
(076)   全英のスマイルシブノ有難し        橋本        
(077)   紫陽花の青滴りて古都の庭         小野寺       
1 秋元                                
2 豊      鎌倉にあじさい寺があります。あるいは、 古都は京都      
 かもしれません。「 青滴りて」 なので、雨がやんだあと紫陽花      
 の花に雫が残っている情景でしょうか。きれいな句です。        
(078)   街電車みどりに染まり走りゆく       深瀬        
1 橋本                                
(079)   送り火や火照りし人の洗い髪        小野寺       
       東日本大震災から8 年、三陸鉄道全通のお            
     祝い(?) に乗車しました。駅の周りは随分と            
     様変わりしてましたが、三陸の海は以前と同            
     じように光輝いていました。                   
(080)   震災の 陰りも見せず 光る海       柳町        
1 志方    三陸の復興の様が伝わって、うれしいですね          
2 橋本                                
(081)   硯洗いの桶墨絵のキャンバス        治部        
1 中津川  無季語、破調の句が新鮮に感じました             
(082)   谷深し山鳩啼きて朋は逝き         小野寺       
(083)   足もとの蟻踏み避けて生思ふ        深瀬        
1 宮澤                                
2 豊      足を踏み出そうとしたら、足もとに蟻が這っているの      
 を見つけたので、踏み潰さないように避けた。小さな生き物の      
 命が自分の命と重なったのです。作者の優しさがうかがえます。     
(084)   人は待ち 熱風渡る 赤信号        宮澤        
1 秋岡    本当に暑い夏です。信号待ちの時間は熱風が一段と熱      
  く感じます。”熱風渡る”が面白いですね。              
2 橋本                                
(085)   天地 (あめつち) を濡らして匂ふ百合の花  小野寺       
(086)   八月や兵士の霊が戸をたたく        豊          
(087)   スーツ女 (め) に歩調合わせて玉の汗    桑子        
1 治部    なぜ歩調を合わせたのかが不明。スーツ女は誰ですか。     
  娘、孫でなければ作者は変ですよ。ただ、行動に移さずに汗を      
  かかない選者にも気が付きました。                  
2 秋岡    スーツ姿は就職活動中の若い娘でしょうか、彼女らに      
  歩調を合わせて歩くと間違いなく汗が吹き出します。しかし負      
 けたくない。いいですね。                      
(088)   鐘の音に遠雷和して陽は沈み        小野寺       
1 志方    音の共鳴が見事に表現されています。夕陽が水平線に、     
 ポトンと落ちていく様が想像されます。                
2 秋元                                
3 森杜瑯                               
(089)   梅雨の朝街路のみどり輝けり        深瀬        
(090)   打ち水の 朝顔咲ける  路地裏は     志方        
(091)   郭公は谺 (こだま) となりて友を呼び    小野寺       
(092)   古池や浮かぶ花弁に蟻二匹         深瀬        
1 柳町                                
(093)   朝一でラジオに合わせ集う子ら       秋元        
(094)   雨音の閑かに包む梅雨の朝         橋本        
1 深瀬    梅雨らしい朝の静寂の雰囲気がよく描写されていると      
 感じました。                            
(095)   夏蝶の翅閉じてをり滝飛沫 (しぶき)     小野寺       
1 吉良    絵になる光景ですね。                    
2 豊      翅を閉じているのですから、蝶は石の上か花の上に止      
 まっているのでしょう。近くで滝がしぶきを上げている。けれ      
 ども蝶は逃げることなく止まったまま。山の静かな風景が想像      
 されます。                             
(096)   子供らの遠ざかる声薮蚊たつ        治部        
1 豊      夏休みの子供たちが野原で遊んでいます。藪蚊が出て      
 きたので子供たちは遠ざかったのか、それとも騒いでいた子供      
 たちがいなくなったから藪蚊がたったのか。どちらにしても、      
 夏の一コマです。                          
(097)   バッグ引きそろい半袖旅行団        深瀬        
(098)   鈍色の汀 (みぎわ) さざめき糸トンボ    小野寺       
1 中津川  子供の頃の池のある景色を思い出しました           
(099)   運試し ジャンボは外れ 暑気当たり    宮澤        
(100)   夕立や傘開かずに雨宿り          治部        
(101)   奈落へと引きずりこまる老ひごこち     深瀬        
(102)   風孕み白帆の跡は蒼き海          小野寺       
1 柳町                                
2 深瀬    満帆の白い帆が蒼い海の上をまっすぐに突き進み、航      
 跡波を長くひいている情景が目に浮かびました。            
                                   
                                   
                                   
  追記                                
                                   
1.選句の際、お送りいただいたコメントです。              
・ちょっと偏った選句になりましたが、暑さに免じてお許しください。 (治部
さん)                                 
・今回は傑作が多く選句に迷いましたが、個人的な共感だけで選んでみました
。 (志方さん)                             
・暑いですね!!孫も帰り、ほっとした時間を過ごしています。 (柳町さん)
・素人なので的外れになるかもしれませんが、ご容赦下さい。感想になってし
まいましたがよろしくお願いいたします。 (桑子さん)           
・今回は、私の投句は間に合いませんでした。 (森杜瑯さん)        
・7月の初めに母親が95歳で亡くなり、昨日満中陰志を終えました。長く寝
込むこともなく95歳まで長生きしてくれましたので感謝しています。遅くな
りましたが以下の通り選句させて頂きましたのご連絡いたします。 (秋岡さん
                                   
・暑かった今夏の情景を思い浮かべ、六句選句しました。 (宮澤さん)    
・猛暑のせいか、今回は皆さんだいぶ苦労されたようでした。 (豊さん)   
・ようやく少し凌ぎやすくなってきましたので、体調を良くして行きたいと思
っています。庭木、芝が伸び放題なのでまずこれを片付けねばなりません。 (
橋本さん)                               
                                   
2.七句会自由ネット連句の進捗状況                   
  7 月上旬に始めた自由連句は、今現在、下記のようになっています。参加し
てもよいとお思いの方は事務方までご連絡ください。           
                                   
01  新緑や葉裏を見せて風渡る       (橋本)            
02   野原に遊ぶ園児らの声      (豊)            
                                   
03  チャンバラの斬られ役の子ポーズ決め   (深瀬)            
04   草雲雀啼き雲流れゆく       (小野寺)           
                                   
05 梅雨雲や光り焦がれる花芽かな      (吉良)            
06     光合成もいまや遅しと        (深瀬)            
                                   
07  よみがえる強き日射しや夏の雲    (豊)            
08   鵜と戯れし不忍の池        (吉良)            
                                   
09  紫陽花の青滴りぬ古都の庭       (小野寺)           
10   青もいつしか枯れて黄色に    (豊)            
                                   
11 駒東の紅顔男子も七十路に         (深瀬)            
12   頬かすめゆく煌めきの時空(とき) (小野寺)           
                                   
13 友は逝き夢み果てなむ天の川        (吉良)            
14      人それぞれの旅路はるかに     (深瀬)            
                                   
15 この世からあの世へ運ぶ渡し舟    (豊)            
16   漆黒の海に星流れ散る         (吉良)            
                                   
17  鐘の音 (ね) に遠雷和して陽は沈み   (小野寺)           
18      孤独な人の哀しみ深し      (豊)            
                                   
19  予定表余白数えて蝉の声          (深瀬)            
20      炎暑の浜へ潮鳴りが呼ぶ      (小野寺)           
                                   
21  夏の海船誘 (いざな) いてイルカ舞う  (吉良)            
22      どこまでともに一期一会を        (深瀬)            
                                   
23  老いてなお若さを保つうれしさよ   (豊)            
24   果てなる旅路しばし待ち詫ぶ     (吉良)            
                                   
25 雲速し今際 (いまは) の声か蝉時雨   (小野寺)           
26   地には空蝉ばかり残して     (豊)            
                                   
27 仰向けの蝉の見つめる虚空かな       (深瀬)            
                                   
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