七句会のみなさま
第三十一回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、
たいへんありがとうございました。
およせいただいたものを、名前順に、ほぼそのまままとめてお届けします。
今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。
今回から、はじめに投句者毎の作品をまとめた作品集を追加しました。
七句会のweb http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。
今後とも、よろしくお願いいたします。
深瀬 (事務方)
追記
第三回目の自由連句 (少し式目を加えようと思っています。) を、4 月前半
を目処に、前回と同じ、小野寺さん、吉良さん、志方さん、豊さん、深瀬の5
名で行う予定です。これからの参加も可能ですので、ご希望の方がおられまし
たら、ご連絡方、よろしくお願いします。
1.第31回 ネット句会 作品集
○秋元さん
・花粉舞ウィルス防止マスクかけ
・数日の寒さ忘れて春来たり
・春節の傍迷惑なウィルス禍
・某国は自由世界に高リスク
・WHO は誰忖度だけで役目無し
・体制が招いた惨禍後が無し
・意味のない辻説法は意味不明
○小野寺さん
・凛と咲く冬薔薇愛でし孫の声
・除夜の鐘古都にて偲ぶ首里の海
・凍て土に耐えて牡丹の芽は紅し
・霜柱割りて水仙朝陽浴び
・雪解けの光集めて福寿草
・海恋し潮鳴りとほく風が哭き
・百舌鳥 (もず) 啼きて夜の静寂 (しじま) を渡りけり
・山雪解 (やまゆきげ) 轟音となり瀑布落つ
・朱染めし雪一面に寒椿
・ウミネコが消えぎえに啼き波吹雪
・新雪を踏む音軋み夜明け前
・春の雪夢から覚めて雨の音
・冬薔薇を愛でし人往き陽がのぼる
・我が朋は浄土に旅す雪の朝
・残月の凍れる峰を雁が翔び
・熱燗に湯豆腐たぎり夜は更けぬ
・慟哭の海鎮魂の小雪舞ひ
・潮鳴りや銀河落ち行く冬の海
・枯れ芒銀の穂波に風光り
・凍て蝶の痛みし翅に薄日差し
・海哭きて復興の鐘雪時雨 (ゆきしぐれ)
○吉良さん
年の瀬の下関・門司旅行で舟島(巌流島)、壇ノ浦を訪れた時の句です。
・舟島に小次郎惑う冬の浜
・みぞれ降る門司港なごむ焼きカレー
・戦(いくさ)はて安徳碑にも冬日差す
・夕されば渦潮寒し壇ノ浦
・冬空に瀬戸の波頭いきり立つ
○桑子さん
・暖冬や天気図梅雨と見間違え
・松過ぎて鳩が一羽の八幡様
・令和の空仰ぐオリオンいまいずこ
○志方さん
幼いころ霜柱を踏みしめていた日々が、冬の風物詩だったのですが。。。?
・カサカサと今年はいまだ霜柱
・暖冬にいのち儚し梅花舞う
酒の旨さは飲み仲間次第です。かけがいのない飲み朋が逝って半年しみじみ
・宙仰ぎ酒盃を交わす朋はなく
老いの頑張り、自らを鼓舞
・木枯らしに揺れる梢の老い桜
武蔵野の雑木林の冬の風景
・冬木立梢の先の雲の峰
わが命、そこまで持つか、永らえよう
・孫8才 (やっつ) 盃かわす日は遥か
この控えめな香、どんな香水より好ましい
・沈丁花仄かな香りの沈丁花
○治部さん
・寒紅梅別れ惜しみて家移る
・部屋干しで曇る眼鏡の寒さかな
・冬晴れの風に洗濯物回る
・断つ捨つる難きは離る片時雨
・寒雀電線地中化とまどって
・句会より酒会がよろし松のうち
○中津川さん
お年玉年賀はがきが一枚しか当たりませんでした。
・ただ一枚切手シートや減る賀状
・恐怖なり冬眠遅れて歩く熊
・意味が無し蝋梅の丘マスク顔
にわかファン増加のラグビー場
・人の波ダウンコートと楕円球
・格闘技紅白見ずして年惜しむ
中山道美濃路を歩いて(2句)
・実の赤さ葉落ち柿木やカラス鳴く
・彼尾花往時を想い関ケ原
○橋本さん
(庭の山茶花を2 句)
・山茶花にメジロヒヨドリ分かち合ふ
・遅咲きの山茶花庭の灯 (あかり) なり
・節分や春風爽やか生気満つ
・菜園に初霜柱咲く如し
・北風の雨戸の音に籠りたり
(政治の現状を川柳2 句)
・炎鵬の如き攻め技野党なく
・バラマキと隠蔽口先明日暗し
○宮澤さん
還暦を過ぎて10数年、再び小学校高学年になり、宿題の締切に悩まされてい
る感じです。最初の句は、いつもの投句遅れを反省?しての句とご理解くださ
い。
・締切だ 逃げる2 月に 追いつけず
・冬何処(いずこ) 池面(いけも) ゆらゆら 朝日映え
・木枯らしに ボールは何処(いずこ) 枯れ葉舞う
・寒き朝 膨らむ花芽 希望(ゆめ)を抱き
・独り身や 冷たき水で 髭を剃り
○豊さん
・雪見酒ぶり大根はまだ煮えず
・荒海を静かに照らす冬の月
・人混みにひときわ高き冬帽子
・氷上に白鳥の舞女子フィギュア
・冬空の青の広さや富士の山
・雪原に残る足あと情死行
○柳町さん
・しもやけの両手を擦る寒椿
先日、念願のマルタ騎士団の本拠地を訪問する機会を得た。その時の気持ち
を詠みました
・寄せ返るマルタの波に願い懸け
地元で交通指導員をしており、朝の小学生登校時に「おはよう!」の元気な
声に自分も励まされているように感じています
・おはようの声も凍る朝登校
○深瀬
・凍鶴の老ひに耐えるか目にひかり
・凍鶴の行灯のごと並びおり
・凍鶴やたまごのごとく宙に浮き
・時止まり凍鶴の背に青き空
・初霞居合の刃先陽を射てり
・初霞古都の梵鐘遠く聞き
・列をなす白木の遺骨朝霞
・早春の東京タワー師なつかし
・金星の侵略者ごと冬の宵
・たれこめし雲や吸い込む冬の鐘
・なまりいろ田圃 (たんぼ) を覆ふ冬の雲
・冬の陽の梢 (こずえ) に遊ぶすずめかな
・冬夕陽遠き山並み蒼深く
・銀座へ歩 (ほ) 日本橋から冬陽受け
・冬の朝西にくっきり小 (ち) さき富士
・冬空のカンヴァスに立つ欅 (けやき) かな
・静かさや無人ホームに冬の風
・夕食を部屋で待つ身の寒さかな
・花粉症アタック激化温暖化
・脛に粉クリーム塗りし老いの冬
・妻げんき寒 (さむ) 部屋ひとり安堵感
・安倍担き日本品格地に堕ちる
・不確実深めるこの世なに頼る
・戦死者の歴史に消さず美と無残
・知性とはなにか問ひたし今の世に
・動かぬなら動くまで待とうわがあたま
・なにもせず冬日暮れゆく老ひ土曜
2.第31回 ネット句会 自句自解
◎小野寺さん
大変多忙な中で慌ただしく投句もぎりぎり推敲なしの提出でしたが9 点も皆
さまに選句して頂きましたことを感謝いたします。
世の中 コロナウイルス一色に大変な様相を呈してきました。たまたまスペ
イン、スイス、イタリー、シンガポールなどにおります仕事の友人達よりは特
に欧州は医療が破綻しており生き死にの深刻な事態となっており皆さまに置か
れても決して侮らず自衛、ご自愛に務めてください。
七夕会も延期するようですが賢明な判断だと思います。七句会各位の皆様の
ご健康を祈ります。
・朱け染めし雪一面に寒椿 076 4 点句
雪の日の払暁 かすかに朱けた光が白い雪の原に差し始め一面に咲く寒椿の
紅い色と美しいハーモニーをなして息をのむような風景でした。
・枯れ芒銀の穂波に風光り 080 4 点句
秋深い初冬の荒涼とした峠路、枯れた芒の群落は逆光の中で銀色の穂波とな
って風に光り、静かに刻の流れる音を聞き惚れる想いでした。
・潮鳴りや銀河落ち行く冬の海 027 3 点句
故郷の三陸海岸の冬の海です。潮騒の暗い海の向こうに荘厳な真冬の銀河が
静かにゆっくりと流れ落ちてゆく様は悠久の自然の確かな時の移ろいを思いま
す。
・霜柱割りて水仙朝陽浴び 030 3 点句
霜柱を押し除けて黒い土に中から出てきた水仙の新芽は力強く朝陽に輝き、
春の息吹を感じさせました。
・凍て蝶の傷みし翅に薄日差し 056 3 点句
冬の日の戸袋の脇にうずくまりひっそりと息をつく蝶の傷ついて破れた翅は
厳しい自然を生き抜いた証しでもあり、最後の時に陽の光が当たり優しく生命
を見守っているようでもありました。
・凜と咲く冬薔薇愛でし孫の声 19 2点句
冬枯れの庭の片隅に健気に大輪の紅い薔薇が咲きました。偶々来ていた孫娘
がわーっ綺麗。と感嘆の声をあげ、いつの間にか大きくなった孫娘の成長を感
じた事でした。
・残月の凍れる峰を雁が翔び 038 2 点句
凍てつく様な白い月が煌煌と中天に輝く中暗い山々の峰を雁が連なって飛翔
する様は一幅の墨絵を観るようでもありました。
・ウミネコが消えぎえに啼き波吹雪 049 2点句
荒れた厳冬の海の波頭に粉雪が舞いウミネコの声は吹雪の嵐にに吹かれて消
えぎえに流されてゆきました。遠い三陸海岸の元風景です。
・海哭きて復興の鐘雪時雨(ゆきしぐれ) 054 2点句
先の東日本大震災で津波により被害甚大だった釜石は津波で命を失った人々
をの鎮魂と復興を祈願して新たに鐘楼が建造されました。あの日と同じように
海は哭き鎮魂の鐘に雪が舞います。
このたび釜石復興委員の方から依頼を受け震災鎮魂の祈りを込めて絵を寄贈
しました。作品は絵葉書になり3.11のセレモニーに鐘を突き参列した釜石の副
市長始め沢山の市民に配られ賛同を頂きました。育った故郷釜石に少しでもお
役に立てたことを感謝しております。 (ご参考までに添付します。)
◎桑子さんの自句自解
・暖冬や天気図梅雨と見間違え
今年の冬の暖かさはハンパでなく、天気図を見たとき停滞前線が出来ていて
、まさに梅雨時と同じだと感じました。
・令和の空仰ぐオリオンいまいずこ
昭和の時代、会社帰りで冬空を見上げたとき冬の代表オリオン座はすぐに見
つかったが、令和の現在街明かりでほとんど星が見えない。
オリオン座もどこかなと、ちょっと残念な気持ちを読みました。
・松過ぎて鳩が一羽の八幡様
いつもは静かな近所の八幡様(氏神様)だが、新年は参拝客で混んでいる。
しかし一週間も経つとまた元の静けさを取り戻しており、たまたま鳩が1~
2羽遊んでいた?その情景を詠みました。
◎宮澤さんの自句自解
コロナ騒ぎと年度末に加え、派遣業には同一労働同一賃金による法改正の4
月1 日施行も重なり、頭髪の伸びる余裕がない日々で、すいません正直失念し
ておりました。いつもご迷惑おかけします。
と、暇がないといいながら、本日散歩の足を目黒川の桜見物まで延ばしまし
た。ガーデンプレースから茶屋坂を下っている途中で目黒の清掃工場が建て替
え中で姿を消していることに初めて気づきました。
さて、自句自解ですが、自分では033 、025 、087 、043 という順で、気を
入れたつもりですが、それぞれ0点句、1 点句、2 点句、3 点句となっており
、評価いただいた句と、気の入れた句の順が逆になってしまいました。
・木枯らしにボールは何処 (いずこ) 枯れ葉舞う (043)
強風下のゴルフ、風が気になり落ち着かないままティーショット、落ち葉の
舞い散る空間目掛け、へぼボールは飛んでいるはず。ナイスショットかOBかも
分からない、いくらやっても進歩しない我が腕前にボールがさまよっている様
子です。
・独り身や冷たき水で髭を剃り (087)
これもゴルフへ行くので独り早朝に起き、湯沸かしの性能が悪く水の温度が
上がらぬまませわしなく髭を剃る様です。そんなわびしければ、行くのをやめ
たらといわれそうです。
・冬何処 (いずこ) 池面 (いけも) ゆらゆら朝日映え (025)
小さな池に薄い氷がはる寒い朝が、東京でも何日かはあったはずが、今年は
、さっぱり。いつまでも池の水は凍らず、今日も池はゆらゆら揺れて朝日が反
射しています。川面という言葉ありますが、池面(いけも)という言葉はない
ようです。
・寒き朝膨らむ花芽希望 (ゆめ) を抱き (033)
我家のこぶしの花芽が膨らむのを楽しみにしていました。これまで、大量の
秋の落ち葉をきらい、花芽まで伐採していたことに気付き、昨年から、花芽を
残すようにしました。希望(ゆめ)を早春の開花に託しての句です。今満開で
すが、コロナで希望(ゆめ)が萎えています。
◎豊さんの自句自解
・荒海を静かに照らす冬の月
治部さんのご指摘のとおり、「照らす」はあまりにも月並みな表現でした。
「荒海や天に静かな冬の月」とでもすれば、少しはよくなったかもしれません。
・人混みにひときわ高き冬帽子
「ひときわ」としたので、かなり背の高い人と思われてしまったのでしょう
。冬帽子のとがった先が人よりも頭一つ飛び出している、という情景を詠んだ
つもりでした。そのためには「ひときわ」はふさわしくない言葉でした。
・雪原に残る足あと情死行
雪に埋もれて死ぬのは、きれいな死体になると言われているようです。許さ
れぬ恋を世間に糾弾されて、心中を選んだ二人。究極の愛のかたちです。失楽
園でも天城越えでもかまいません、自由に妄想してください。
・冬空の青の広さや富士の山
冬の快晴の日、真っ青な空を背景に雪をかぶった富士山がベランダから見え
ました。空の青と富士の雪、そのみごとな調和にしばし見とれました。
◎深瀬の自句自解
・凍鶴の老ひに耐えるか目にひかり
老化に伴い、なにか動きが鈍くなり、眼だけがさみしげになにかを見つめて
いる様を詠んでみました。
・凍鶴の行灯のごと並びおり
・凍鶴やたまごのごとく宙に浮き
頭を羽のなかに埋め、片足でじっとたっている様子を行灯や宙に浮いた卵に
なぞらえてみました。
・時止まり凍鶴の背に青き空
凍鶴のじっとした不動の姿勢が置物のように青空のもとにたたずんでいる様
を詠んでみました。
・初霞居合の刃先陽を射てり
朝日の射す寒稽古のような場の緊迫感を表現してみたいと思いました。
・初霞古都の梵鐘遠く聞き
周囲を初霞で包まれた朝方の古都で遠くの梵鐘の音が響いてくる様です。
・列をなす白木の遺骨朝霞
日中戦争のころ、大陸で戦死した兵士の遺骨が白い布で包まれた骨箱に納め
られ、帰還した兵士の首にかけられ続々と戻ってきた様子を思いました。
・早春の東京タワー師なつかし
小学校のころ、家庭教師の先生と春先に東京タワーに行ったときの写真が残
っています。
・金星の侵略者ごと冬の宵
まだ夕方のころ、西の空に赤っぽく大きく輝く金星から、なにか宇宙大戦争
の始まりを感じさせられました。
・たれこめし雲や吸い込む冬の鐘
・なまりいろ田圃 (たんぼ) を覆ふ冬の雲
東北地方に入っていくと空はだんだん鉛色の雲におおわれていきます。稲刈
りの終わった田圃もなにか役割を終わり、眠りに就く感じがします。
・冬の陽の梢 (こずえ) に遊ぶすずめかな
ときどき暖かそうな梢のなかからうるさいほどのすずめのさえずりを聞くこ
とがあります。
・冬夕陽遠き山並み蒼深く
かつて木造の家に住んでいたとき、夕方、寒さに閉口しながら、西方に蒼み
がかった富士山や丹沢連山を眺めていました。
・銀座へ歩 (ほ) 日本橋から冬陽受け
午後2 時ころ、日本橋で仕事が終わり、銀座の方に歩いていくと真っ正面か
ら太陽の陽を浴びます。あたりすぎるとシミになる感じです。
・冬空のカンヴァスに立つ欅 (けやき) かな
自宅の近くに欅の巨木があります。太い幹にこまかい枝を空一杯にひろげる
様子はなにか象徴的な印象を受けます。
・冬の朝西にくっきり小 (ち) さき富士
冬の朝、自宅からでもかなりはっきり富士山が見えます。富士山は不思議な
存在のような気がします。
・静かさや無人ホームに冬の風
郊外のローカル駅の様子を思いました。
・夕食を部屋で待つ身の寒さかな
夕方、自分の部屋で、夕食の時間を待っているときの心境です。夕食を家内
から呼ばれるのを待っていればよいという立場もありがたく感じます。
・花粉症アタック激化温暖化
今年は、突然、頭もしびれてしまうような花粉症に襲われましたが、翌日、
クリニックに飛び込み、最新の薬を処方してもらったら嘘のように消えました。
・脛に粉クリーム塗りし老いの冬
冬になると乾燥のせいで、脚全体が粉をふき痒くなります。老いをかみしめ
ながら寝る前に保湿クリームを塗っています。
・妻げんき寒 (さむ) 部屋ひとり安堵感
家内は、毎週、ストレッチや水泳で活動的です。加速化する老化現象を噛み
しめながら、少しほっとした気持ちになることがあります。
・安倍担き日本品格地に堕ちる
先日、テンミニッツTVというのを登録してみていたら、元外交官の岡崎久彦
氏が、安倍首相のことを激賞していました。岡崎氏は白金小学校OBでした。
やっかみかもしれませんが。
・不確実深めるこの世なに頼る
現代金融理論とか、新型コロナとか、米中対立とか、ポピュリズムの蔓延と
か、不気味な感じです。どう身を守るか迷います。
・戦死者の歴史に消さず美と無残
犠牲になってくれた戦死者を美化する気持ちは理解できますが、本人は悲惨
な状況のなかで、なんでオレがという気持ちで死んだのかもしれません。
・知性とはなにか問ひたし今の世に
文明や文化の発展の根底には、ある種の知性が働いていると思います。科学
技術の進歩だけで大丈夫なのか、やや不安です。
・動かぬなら動くまで待とうわがあたま
最近、なにもする気力がでない時間が増えている感じです。焦っても仕方な
いという心境です。
・なにもせず冬日暮れゆく老ひ土曜
土曜日の夕方、今日はなにをしたかなという気持ちになることがあります。
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2020年3月28日土曜日
2020年3月24日火曜日
第2 回、七句会自由連句の結果についての補足です。
第2 回、七句会自由連句の結果についての補足です。
1.第2 回、自由連句についての参加者のコメント
(1) 深瀬コメント
連句の流れについてのレビュー
沖縄の首里城が、漏電事故が原因なのか、消失してしまった。焼け跡近くに
は真っ赤な曼珠沙華が咲いている。
城を取り囲んでいた白い城壁も主を失い、再建を待っているようだ。
一方で、辺野古の方では軍事基地の造成のための大規模工事が進んでいる。
自然破壊がいろいろな場所で進むが、またいつか自然に戻ることだろう。
昨夜は、京都の除夜の鐘を聞き、沖縄の歴史を忍んだりしたが、家族と過ご
したせいか気がゆるみ、今日は二日酔いになってしまった。
寒さに耐える鶴が、じっと青空のもとにたたずんでいる。
いつか夜になり、風がでてきて、梢には月影が見える。
もう春が近い。蕗の薹がそろそろ芽をだそうと身構えている。
厳しい寒さに耐えてきた牡丹にも紅い芽が見え始めた。
道端には、真新しいランドセルを背負った少女が入学を待ちわびている。
この少女もグローバル化社会に巣立つのもそう先のことではないだろう。
凧をあげている孫は、風をよめないせいかまだうまくいかないようだ。
それを見ていた老婆が昔を懐かしむように微笑んでいる。
庭先に咲いた冬薔薇の美しさに驚いた孫娘の声が聞こえてきた。
あの娘 (こ) も、嫁いでいくのはそう遠くはないだろう。
寒さのなかで時間の流れも遅いが、桜が咲くのももうすぐだ。
かつての自分も、花吹雪のような華やいだ気持ちで人生と向き合っていた。
青春を謳歌していたころは、いろいろ苦労もあったが、凌いできた。
少し落ち着いた今、白い雲が空一杯に広がっているのがうつくしい。
冬空に枝だけになった欅がまっすぐに立っている。
病院の窓から見たすくっと立っていた欅の姿にはなにか励まされた。
寒さは少しずつゆるみ、霜柱の間から水仙が朝日を浴びている。
そういえば水仙の故郷は遠く離れた気候温暖なギリシャだ。
植物園では睡蓮も咲いていた。モネの絵画も印象的だが、その睡蓮の花の短
命さも身近に感ずる。
老境になると、花の命のはかなさとかにこころ打たれるが、禅の無心の世界
にあそぶのもありそうだ。
全体としてみると、わたしたちも70歳を過ぎ、老境を身近に感じていますが
、花とか孫とかに思いを寄せながら、若かりし過去から今現在に至るまでの、
それぞれの貴重な体験を踏まえて、各自の心境の一端が語られているように思
い、興味深く感じました。
(2) 豊さんのコメント
深瀬さんの連句のレビューについて。発句から最後の句までを一つの世界と
してまとめて理解しようとするのは、はたしていいことなのでしょうか。私に
は、無理して関係づけているように思えました。
もし、連句が完結したときにそこに全体として何かの世界が表現されている
必要があるとしたら、句の付け方にある程度制限をつけなければいけないでし
ょう。句はそれぞれ独立してつけられているはずなので、全体としてまとまっ
ていなくてもかまわないと思いますが、いかがでしょうか。
レビューのあとの深瀬さんの感想は、私も同感です。
深瀬注。この点について、わたしとしては、理系出身のこともあり、各句の
展開を補注も参照しながら、その連関の因果関係を多少論理的に理解したいと
いう作用が働いたものと思います。本人としては、そう無理してこじつけたと
いう意識はないのですが、全体としての感想はかなり一致している感じなので
、これはこれでよいかという印象です。
2.平島さんからのコメントて
(1) 2020年2 月18日付け
深瀬さん
連衆の皆様
満尾おめでとうございます。
自由連句ということなので小生の意見感想が当てはまるのかどうかはわかりま
せんがその昔蕉風連句をお手本に二十数本連句を巻いた経験から見た見立てを
披露させていただきます。
付けはその昔俳諧の連歌のころからの掛け合いから生じたものと言われいわば
問答です。古代の文学や神事のなかにあるものを「もどき」でもって茶化した
り、愚弄したり、滑稽でもって人を笑わせ楽しませ慰めることを狙っていまし
た。
更に音楽や漢詩にある転じ・転調も取り入れられ変化特に前へ前へが良いとさ
れ後戻りは嫌われました。
付けには付心(付けの手法・態度)があり三法有心付け(有心・向付・起情)
会釈(あしらい)(会釈・拍子・色立て)遁句〈遁句)付け所としまして八体
(其人・其場・時節・時分・天相・時宜・観想・面影) 各務支考の七名・八
体説が指導書・指南書として大いに参考にされました。
全体をざっと見た感想と致しましては人情句や天相・草木が比較的多く登場し
一生懸命作られて居られるのですが発想が似通っているなあと言うことがあり
ます。育ちや年恰好今まで生きて来た人経験にかなり共通点があるのだなあ・
・・・?
それに色が一杯出て来ます。白・赤・青・紅意味は違うので一概には言えませ
んが単調になってしまいます。
人情句では思いや想い夢などが繰り返して出てきます。
初めての人は良いとしても後半になっても同じというのはやはり真似みたいに
なり別の発想の方が連句全体が豊かになります。
観音開き・
13に孫14をはさんで15の小野寺さんの句に孫が出て来ますこれは観音開きと
言って同字で発想も似通ってしまうので避けた方が良いことになっています。
ついでにもうし上げますと13の志方さんの句に風があり08で風鳴くと同一人
物が同じ言葉を使うのは離れているから構わないようなものの全体でせいぜい
一人7 句程度ですから同字重用は避けられた方が良いと思う次第です。
それに補注の件ですがやはりこの説明にとらわれて発想が飛ばなくなってしま
っているのではないでしょうか。五七五・または七七の少ない言葉から裏にあ
る作者の云いたいこと言外のニュアンスを読み取って、匂いとか響とか面影か
ら連想を膨らませるとまた違った展開が期待できると思います。ここがまた力
量を発揮できるところでもあります。俳句と違って季語の無い雑の句を入れら
れますので想いきり転じる可能性がありここで滑稽や笑いを取り入れられると
面白くなります。
所詮遊びですから楽しく愉快に遠慮なく好きな仲間と言いたいことを存分に言
い合って終わってみたら苦しいこともあったが、面白かった楽しかったなあと
お互いに思いあえるような作品が出来上がると本当に嬉しいものです。
年寄のたわごとで済みません。
妄言多謝
平島道彦拝
(2) 2020年3 月12日付け
全く余談になりますが今年年末年始イタリアを旅しました。ミラノからボロ
ーニアに向かう汽車の中でマフィアの本を読んでいました。
その昔船でシチリアからアメリカに渡った人たちが上陸前に最初に目にした
のは自由の女神像だったと思います。さあこれから一旗揚げようと一獲千金を
夢見て仕事を始めたことと想像します。
だが事志と違って何事も上手く行かず、ついには最底辺の仕事にもあぶれて
暗黒街に身を投じざるを得ない人も多々出て来ています。
自由の国アメリカでは自分の身は自分で守らねばならず銃を持ち最悪は人を
殺すこともやむを得ない国だと思います。自由にはやは相応の責任が伴って初
めて自由を謳歌出来るのかなとも。
自由の女神像はフランスからの贈り物みたいですが、自由・平等・博愛を掲
げて革命を起こしたフランスですが、先日ゴルフをしたフランス人が言ったこ
とは「パリは昔のパリではないアラブとアフリカばかりだ。だから家を売って
ポルトガルに引っ越してきた」と。
EUで移民問題が大きくなって来ていますが、これはこれからずっと続くで
しょう。中近東・アフリカには自由が無くヨーロッパのどこかに移りたいとい
う人たちが船で陸路で毎日ものすごく大勢の人が動いて居り皆が難民です。
何でこんな話になるのかというと深瀬さんの自由連句からこの自由とは何だ
ろうとふと思い連想が広がってヨーロッパの歴史や地政学にまで思いが及んで
行ってしまいました。
それからついでにもうひとつ。先日オランダ人夫妻を食事にお招きして聞い
た話。昨年ご夫妻は日本へ旅し東北は青森の恐山まで行かれたとか。ご主人は
語学の天才みたいな人で10年掛けてモンティ―ニュの随想録をオランダ語に訳
し、唐詩・漢詩も訳し、日本は何故東北かと言うと芭蕉の奥の細道を辿りたか
ったと。俳句も世界的です。
3.自由連句に関しての掲載URL
七句会第2 回自由連句結果
http://nanaku-haiku.blogspot.com/2020/03/2.html
七句会自由連句第一回 2019 年7 月9 日~9 月30日
http://nanaku-haiku.blogspot.com/2019/10/201979930.html
深瀬 (事務方)
1.第2 回、自由連句についての参加者のコメント
(1) 深瀬コメント
連句の流れについてのレビュー
沖縄の首里城が、漏電事故が原因なのか、消失してしまった。焼け跡近くに
は真っ赤な曼珠沙華が咲いている。
城を取り囲んでいた白い城壁も主を失い、再建を待っているようだ。
一方で、辺野古の方では軍事基地の造成のための大規模工事が進んでいる。
自然破壊がいろいろな場所で進むが、またいつか自然に戻ることだろう。
昨夜は、京都の除夜の鐘を聞き、沖縄の歴史を忍んだりしたが、家族と過ご
したせいか気がゆるみ、今日は二日酔いになってしまった。
寒さに耐える鶴が、じっと青空のもとにたたずんでいる。
いつか夜になり、風がでてきて、梢には月影が見える。
もう春が近い。蕗の薹がそろそろ芽をだそうと身構えている。
厳しい寒さに耐えてきた牡丹にも紅い芽が見え始めた。
道端には、真新しいランドセルを背負った少女が入学を待ちわびている。
この少女もグローバル化社会に巣立つのもそう先のことではないだろう。
凧をあげている孫は、風をよめないせいかまだうまくいかないようだ。
それを見ていた老婆が昔を懐かしむように微笑んでいる。
庭先に咲いた冬薔薇の美しさに驚いた孫娘の声が聞こえてきた。
あの娘 (こ) も、嫁いでいくのはそう遠くはないだろう。
寒さのなかで時間の流れも遅いが、桜が咲くのももうすぐだ。
かつての自分も、花吹雪のような華やいだ気持ちで人生と向き合っていた。
青春を謳歌していたころは、いろいろ苦労もあったが、凌いできた。
少し落ち着いた今、白い雲が空一杯に広がっているのがうつくしい。
冬空に枝だけになった欅がまっすぐに立っている。
病院の窓から見たすくっと立っていた欅の姿にはなにか励まされた。
寒さは少しずつゆるみ、霜柱の間から水仙が朝日を浴びている。
そういえば水仙の故郷は遠く離れた気候温暖なギリシャだ。
植物園では睡蓮も咲いていた。モネの絵画も印象的だが、その睡蓮の花の短
命さも身近に感ずる。
老境になると、花の命のはかなさとかにこころ打たれるが、禅の無心の世界
にあそぶのもありそうだ。
全体としてみると、わたしたちも70歳を過ぎ、老境を身近に感じていますが
、花とか孫とかに思いを寄せながら、若かりし過去から今現在に至るまでの、
それぞれの貴重な体験を踏まえて、各自の心境の一端が語られているように思
い、興味深く感じました。
(2) 豊さんのコメント
深瀬さんの連句のレビューについて。発句から最後の句までを一つの世界と
してまとめて理解しようとするのは、はたしていいことなのでしょうか。私に
は、無理して関係づけているように思えました。
もし、連句が完結したときにそこに全体として何かの世界が表現されている
必要があるとしたら、句の付け方にある程度制限をつけなければいけないでし
ょう。句はそれぞれ独立してつけられているはずなので、全体としてまとまっ
ていなくてもかまわないと思いますが、いかがでしょうか。
レビューのあとの深瀬さんの感想は、私も同感です。
深瀬注。この点について、わたしとしては、理系出身のこともあり、各句の
展開を補注も参照しながら、その連関の因果関係を多少論理的に理解したいと
いう作用が働いたものと思います。本人としては、そう無理してこじつけたと
いう意識はないのですが、全体としての感想はかなり一致している感じなので
、これはこれでよいかという印象です。
2.平島さんからのコメントて
(1) 2020年2 月18日付け
深瀬さん
連衆の皆様
満尾おめでとうございます。
自由連句ということなので小生の意見感想が当てはまるのかどうかはわかりま
せんがその昔蕉風連句をお手本に二十数本連句を巻いた経験から見た見立てを
披露させていただきます。
付けはその昔俳諧の連歌のころからの掛け合いから生じたものと言われいわば
問答です。古代の文学や神事のなかにあるものを「もどき」でもって茶化した
り、愚弄したり、滑稽でもって人を笑わせ楽しませ慰めることを狙っていまし
た。
更に音楽や漢詩にある転じ・転調も取り入れられ変化特に前へ前へが良いとさ
れ後戻りは嫌われました。
付けには付心(付けの手法・態度)があり三法有心付け(有心・向付・起情)
会釈(あしらい)(会釈・拍子・色立て)遁句〈遁句)付け所としまして八体
(其人・其場・時節・時分・天相・時宜・観想・面影) 各務支考の七名・八
体説が指導書・指南書として大いに参考にされました。
全体をざっと見た感想と致しましては人情句や天相・草木が比較的多く登場し
一生懸命作られて居られるのですが発想が似通っているなあと言うことがあり
ます。育ちや年恰好今まで生きて来た人経験にかなり共通点があるのだなあ・
・・・?
それに色が一杯出て来ます。白・赤・青・紅意味は違うので一概には言えませ
んが単調になってしまいます。
人情句では思いや想い夢などが繰り返して出てきます。
初めての人は良いとしても後半になっても同じというのはやはり真似みたいに
なり別の発想の方が連句全体が豊かになります。
観音開き・
13に孫14をはさんで15の小野寺さんの句に孫が出て来ますこれは観音開きと
言って同字で発想も似通ってしまうので避けた方が良いことになっています。
ついでにもうし上げますと13の志方さんの句に風があり08で風鳴くと同一人
物が同じ言葉を使うのは離れているから構わないようなものの全体でせいぜい
一人7 句程度ですから同字重用は避けられた方が良いと思う次第です。
それに補注の件ですがやはりこの説明にとらわれて発想が飛ばなくなってしま
っているのではないでしょうか。五七五・または七七の少ない言葉から裏にあ
る作者の云いたいこと言外のニュアンスを読み取って、匂いとか響とか面影か
ら連想を膨らませるとまた違った展開が期待できると思います。ここがまた力
量を発揮できるところでもあります。俳句と違って季語の無い雑の句を入れら
れますので想いきり転じる可能性がありここで滑稽や笑いを取り入れられると
面白くなります。
所詮遊びですから楽しく愉快に遠慮なく好きな仲間と言いたいことを存分に言
い合って終わってみたら苦しいこともあったが、面白かった楽しかったなあと
お互いに思いあえるような作品が出来上がると本当に嬉しいものです。
年寄のたわごとで済みません。
妄言多謝
平島道彦拝
(2) 2020年3 月12日付け
全く余談になりますが今年年末年始イタリアを旅しました。ミラノからボロ
ーニアに向かう汽車の中でマフィアの本を読んでいました。
その昔船でシチリアからアメリカに渡った人たちが上陸前に最初に目にした
のは自由の女神像だったと思います。さあこれから一旗揚げようと一獲千金を
夢見て仕事を始めたことと想像します。
だが事志と違って何事も上手く行かず、ついには最底辺の仕事にもあぶれて
暗黒街に身を投じざるを得ない人も多々出て来ています。
自由の国アメリカでは自分の身は自分で守らねばならず銃を持ち最悪は人を
殺すこともやむを得ない国だと思います。自由にはやは相応の責任が伴って初
めて自由を謳歌出来るのかなとも。
自由の女神像はフランスからの贈り物みたいですが、自由・平等・博愛を掲
げて革命を起こしたフランスですが、先日ゴルフをしたフランス人が言ったこ
とは「パリは昔のパリではないアラブとアフリカばかりだ。だから家を売って
ポルトガルに引っ越してきた」と。
EUで移民問題が大きくなって来ていますが、これはこれからずっと続くで
しょう。中近東・アフリカには自由が無くヨーロッパのどこかに移りたいとい
う人たちが船で陸路で毎日ものすごく大勢の人が動いて居り皆が難民です。
何でこんな話になるのかというと深瀬さんの自由連句からこの自由とは何だ
ろうとふと思い連想が広がってヨーロッパの歴史や地政学にまで思いが及んで
行ってしまいました。
それからついでにもうひとつ。先日オランダ人夫妻を食事にお招きして聞い
た話。昨年ご夫妻は日本へ旅し東北は青森の恐山まで行かれたとか。ご主人は
語学の天才みたいな人で10年掛けてモンティ―ニュの随想録をオランダ語に訳
し、唐詩・漢詩も訳し、日本は何故東北かと言うと芭蕉の奥の細道を辿りたか
ったと。俳句も世界的です。
3.自由連句に関しての掲載URL
七句会第2 回自由連句結果
http://nanaku-haiku.blogspot.com/2020/03/2.html
七句会自由連句第一回 2019 年7 月9 日~9 月30日
http://nanaku-haiku.blogspot.com/2019/10/201979930.html
深瀬 (事務方)
2020年3月3日火曜日
七句会 第三十一回目のネット句会 選句結果をご報告します。
七句会のみなさま
第三十一回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
4 点句
(006) 冬空のカンヴァスに立つ欅 (けやき) かな 深瀬
(076) 朱染めし雪一面に寒椿 小野寺
(080) 枯れ芒銀の穂波に風光り 小野寺
3 点句
(005) 荒海を静かに照らす冬の月 豊
(010) 人混みにひときわ高き冬帽子 豊
(026) 冬の陽の梢 (こずえ) に遊ぶすずめかな 深瀬
(027) 潮鳴りや銀河落ち行く冬の海 小野寺
(030) 霜柱割りて水仙朝陽浴び 小野寺
(043) 木枯らしにボールは何処 (いずこ) 枯れ葉舞う 宮澤
(044) 雪原に残る足あと情死行 豊
(056) 凍て蝶の痛みし翅に薄日差し 小野寺
(096) 宙仰ぎ酒盃を交わす朋はなく 志方
2 点句
(007) 暖冬にいのち儚し梅花舞う 志方
(012) 冬空の青の広さや富士の山 豊
(016) 夕されば渦潮寒し壇ノ浦 吉良
(019) 凛と咲く冬薔薇愛でし孫の声 小野寺
(020) なにもせず冬日暮れゆく老ひ土曜 深瀬
(029) 木枯らしに揺れる梢の老い桜 志方
(038) 残月の凍れる峰を雁が翔び 小野寺
(039) 菜園に初霜柱咲く如し 橋本
(049) ウミネコが消えぎえに啼き波吹雪 小野寺
(054) 海哭きて復興の鐘雪時雨 (ゆきしぐれ) 小野寺
(067) 寒紅梅別れ惜しみて家移る 治部
(077) 初霞居合の刃先陽を射てり 深瀬
(086) 妻げんき寒 (さむ) 部屋ひとり安堵感 深瀬
(087) 独り身や冷たき水で髭を剃り 宮澤
下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
次回については、4 月中旬ころにご連絡したいと思っていますので、よろし
くお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連絡を
いただきたく、よろしくお願いいたします。
事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
今回の選句には、下記の14名が参加しました。
秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さ
ん、中津川さん、橋本さん、藤原さん、宮澤さん、柳町さん、豊さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては3 月21日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
句会の後の勉強会等については、みなさまのご意見をお聞きしながら、適宜
、行っていきたいと思っています。よろしくお願いします。
(3) 自由連句について
第2 回の自由連句は、2 月中旬に満尾し、現在、次回に向けて、反省点等を
調整しています。3 月下旬ころから、第3 回を行いたいと思っています。参加
されたい方は、是非、ご連絡ください。よろしくお願いします。
第2 回の自由連句の結果は、下記URL から参照可能です。
https://nanaku-haiku.blogspot.com/
2020.03.03
代表 橋口侯之介 (休会中)
顧問 豊 宣光
事務方 深瀬久敬
----------------------------------------------------------------------
1.兼題 冬
(001) 恐怖なり冬眠遅れて歩く熊 中津川
(002) 金星の侵略者ごと冬の宵 深瀬
(003) 冬薔薇を愛でし人往き陽がのぼる 小野寺
(004) 冬の朝西にくっきり小 (ち) さき富士 深瀬
(005) 荒海を静かに照らす冬の月 豊
1 吉良
2 藤原
3 治部 荒れている海と冬の月の取り合わせがいいと思
います。照らすが別の表現になればもっといいと思いま
す。荒海や・・・静かな冬の月では?
(006) 冬空のカンヴァスに立つ欅 (けやき) かな 深瀬
1 吉良
2 中津川
3 秋元
4 小野寺 寒さの中で凛として冬空に立つ欅の幹と枝えだ
は、冬の風物詩です。空のカンバスが良いですね。
(007) 暖冬にいのち儚し梅花舞う 志方
1 柳町
2 橋本 この冬は異常なる暖冬で終わるのか。
(008) 銀座へ歩 (ほ) 日本橋から冬陽受け 深瀬
(009) 冬晴れの風に洗濯物回る 治部
1 豊 何でもないような風景を何でもなく詠んだとこ
ろがいいですね。
(010) 人混みにひときわ高き冬帽子 豊
1 宮澤
2 桑子 頭一つでているのは目立つもの、目に浮かびま
す。
3 秋元
(011) たれこめし雲や吸い込む冬の鐘 深瀬
1 志方 冬の情感と量感が上手き表現されているなと感
じました。
(012) 冬空の青の広さや富士の山 豊
1 秋岡 冬はどうしても暗い句が多くなりがちですが、
青空を背に白い雪をかぶった富士の山はやっぱり絵(句)
になります。
2 宮澤
年の瀬の下関・門司旅行で舟島(巌流島)、壇ノ浦を
訪れた時の句です。 (5 句)
(013) 舟島に小次郎惑う冬の浜 吉良
1 深瀬 かつて映画で見た武蔵、小次郎の巌流島の決闘
の場面をあざやかに思い出させられました。朝日を背に
海から登場する武蔵に「小次郎惑う」が効いている感じ
です。
(014) みぞれ降る門司港なごむ焼きカレー 吉良
(015) 戦(いくさ)はて安徳碑にも冬日差す 吉良
(016) 夕されば渦潮寒し壇ノ浦 吉良
1 豊 平家が滅んだ壇ノ浦の戦いを偲ばせる哀れさを
感じさせます。
2 小野寺 平家一門最後の時を前に、夕刻の渦潮は、一門
の無念を呑みこんで、一抹の寂寥が漂います。
(017) 冬空に瀬戸の波頭いきり立つ 吉良
1 中津川
(018) なまりいろ田圃 (たんぼ) を覆ふ冬の雲 深瀬
(019) 凛と咲く冬薔薇愛でし孫の声 小野寺
1 吉良
2 深瀬 ついこの間まで体は多少大きくなってもまだ子
どもだと思っていた孫の、こころの成長に、はっと気づ
かされた瞬間がよく表現されていると思いました。
(020) なにもせず冬日暮れゆく老ひ土曜 深瀬
1 志方 老ひの虚無感と諦観ですね
2 宮澤
(021) 暖冬や天気図梅雨と見間違え 桑子
1 深瀬 天気図の見方はあまりよく分かりませんが、地
球温暖化もここまで進んでいるのかと衝撃を受けました。
(022) 静かさや無人ホームに冬の風 深瀬
武蔵野の雑木林の冬の風景
(023) 冬木立梢の先の雲の峰 志方
(024) 冬夕陽遠き山並み蒼深く 深瀬
1 宮澤
(025) 冬何処 (いずこ) 池面 (いけも) ゆらゆら朝日映え 宮澤
1 橋本 この冬は異常なる暖冬で終わるのか。
(026) 冬の陽の梢 (こずえ) に遊ぶすずめかな 深瀬
1 吉良
2 秋岡 犬の散歩時に枯れ枝に遊ぶスズメをよく見かけ
ますが、冬の代表的な風景の一つですね。
3 桑子 すずめがちゅんちゅんと飛び交っている、音が
聞こえそうなその光景が目に浮かびます。
(027) 潮鳴りや銀河落ち行く冬の海 小野寺
1 橋本 冬の海の情景が浮んできます。
2 宮澤
3 藤原
(028) 脛に粉クリーム塗りし老いの冬 深瀬
1 中津川
2.雑詠 (季語あり)
老いの頑張り、自らを鼓舞
(029) 木枯らしに揺れる梢の老い桜 志方
1 柳町
2 小野寺 木枯しに揺れる梢は春を待つ老桜の耐え忍ぶ力
でしょうか。
(030) 霜柱割りて水仙朝陽浴び 小野寺
1 吉良
2 豊 霜と水仙、季語が重なっていますが、水仙の花
の魅力がよく出ていると思います
3 秋元
(031) 時止まり凍鶴の背に青き空 深瀬
1 豊 時間が止まったように凍鶴がじっと立って動か
ない。その背後に青空が広がっている。日本画の絵のよ
うです。
(032) 春節の傍迷惑なウィルス禍 秋元
1 橋本 春節過ぎても中国発新型コロナウイルス拡散中
ですね、治まって欲しい
(033) 寒き朝膨らむ花芽希望 (ゆめ) を抱き 宮澤
(034) 初霞古都の梵鐘遠く聞き 深瀬
1 小野寺 古都の梵鐘のかすかな音は初霞の淡い風景画を
観る様です、
(035) 寒雀電線地中化とまどって 治部
(036) しもやけの両手を擦る寒椿 柳町
(037) 花粉症アタック激化温暖化 深瀬
(038) 残月の凍れる峰を雁が翔び 小野寺
1 志方 冬の山水画が浮かびます
2 柳町
(039) 菜園に初霜柱咲く如し 橋本
1 吉良
2 中津川
この控えめな香、どんな香水より好ましい
(040) 沈丁花仄かな香りの沈丁花 志方
(041) 凍鶴の老ひに耐えるか目にひかり 深瀬
1 宮澤
(042) 熱燗に湯豆腐たぎり夜は更けぬ 小野寺
1 秋元
(043) 木枯らしにボールは何処 (いずこ) 枯れ葉舞う 宮澤
1 桑子 ゴルフでしょうか?冬はいいスコアは出ません
ね。
2 深瀬 少し状況が違うかもしれませんが、ラフの枯れ
葉の積もったなかにボールが入るとかなりお手上げ的な
気持ちになります。
3 治部 この作者は前回の句会でボールが視野の外へ行
った方でしょうか。この作品は何処と言いながら具体的
でいいと思います。枯れ葉舞うですからOBでしょう。木
枯らしには、木枯らしやの方がいいと思います。
(044) 雪原に残る足あと情死行 豊
1 柳町
2 治部 雪原に残る足跡を見て情死行とは発想を飛ばし
ましたね。恐れ入ります。失楽園のラストシーンを連想
しますね。俳句はいいけどダメですよ。
3 小野寺 普通は俳句にするには忍びない情念の恋の道行
きを、よく頑張り作られました。天城越えの世界でしょ
うか。
(045) 句会より酒会がよろし松のうち 治部
1 秋岡 よくわかります。
(046) 慟哭の海鎮魂の小雪舞ひ 小野寺
中山道美濃路を歩いて (2 句)
(047) 実の赤さ葉落ち柿木やカラス鳴く 中津川
(048) 彼尾花往時を想い関ケ原 中津川
(049) ウミネコが消えぎえに啼き波吹雪 小野寺
1 橋本 冬の海の情景が浮 んできます。
2 宮澤
幼いころ霜柱を踏みしめていた日々が、冬の風物詩だ
っ たのですが。。。。?
(050) カサカサと今年はいまだ霜柱 志方
1 桑子 ここ数年霜柱にはご無沙汰していますが、霜柱
を踏むのは気持ちがいいです。カサカサという音の表現
がすてきです。
(051) 列をなす白木の遺骨朝霞 深瀬
(052) 意味が無し蝋梅の丘マスク顔 中津川
(053) 数日の寒さ忘れて春来たり 秋元
(054) 海哭きて復興の鐘雪時雨 (ゆきしぐれ) 小野寺
1 柳町
2 豊 「海哭きて」がとても効果的です。復興の鐘と
雪降る海の取り合わせが冬の風景を伝えてきます。
(055) 北風の雨戸の音に籠りたり 橋本
(056) 凍て蝶の痛みし翅に薄日差し 小野寺
1 桑子
2 秋元
3 治部 季節に取り残された蝶のじっとしている様子が
見事です。
庭の山茶花を2 句
(057) 山茶花にメジロヒヨドリ分かち合ふ 橋本
1 藤原
(058) 遅咲きの山茶花庭の灯 (あかり) なり 橋本
1 中津川
(059) 雪解けの光集めて福寿草 小野寺
1 深瀬 雪のとけた隙間の地面から小さく顔を出す黄色
の福寿草は、冬の終わりを真っ先に教えてくれる感じが
します。「花は花弁を使って日光を花の中心に集め、そ
の熱で虫を誘引している。」というネットの説明を読み、
さらに納得しました。
地元で交通指導員をしており、朝の小学生登校時に「
おはよう!」の元気な声に自分も励まされているように
感じています。
(060) おはようの声も凍る朝登校 柳町
(061) 我が朋は浄土に旅す雪の朝 小野寺
1 豊 亡くなった友人を惜しむ気持ちが伝わってきま
す。
(062) 氷上に白鳥の舞女子フィギュア 豊
(063) 節分や春風爽やか生気満つ 橋本
(064) 新雪を踏む音軋み夜明け前 小野寺
(065) 凍鶴の行灯のごと並びおり 深瀬
1 治部 たくさんの鶴が首をすくめて並んでいる様子が
よくわかります。行燈のようなのは夜なのでしょうか。
寒さが伝わってきます。
(066) 山雪解 (やまゆきげ) 轟音となり瀑布落つ 小野寺
1 秋岡 冬の厳しさがひしひし伝わってきます。
(067) 寒紅梅別れ惜しみて家移る 治部
1 中津川
2 桑子 引っ越しでしょうか?長年育てた庭木、名残惜
しいですね。家移るという表現がいいと思います。
(068) 夕食を部屋で待つ身の寒さかな 深瀬
(069) 百舌鳥 (もず) 啼きて夜の静寂 (しじま) を渡りけり小野寺
1 志方 百舌鳥の鋭い鳴き声が響きいてきます。
還暦を過ぎて10数年、再び小学校高学年になり、宿題
の締切に悩まされている感じです。いつもの投句遅れを
反省?しての句とご理解ください。
(070) 締切だ逃げる2月に追いつけず 宮澤
(071) 除夜の鐘古都にて偲ぶ首里の海 小野寺
(072) 令和の空仰ぐオリオンいまいずこ 桑子
(073) 部屋干しで曇る眼鏡の寒さかな 治部
にわかファン増加のラグビー場 (2 句)
(074) 人の波ダウンコートと楕円球 中津川
(075) 格闘技紅白見ずして年惜しむ 中津川
(076) 朱染めし雪一面に寒椿 小野寺
1 吉良
2 秋元
3 藤原
4 治部 椿が満開の様子が見えます。朱染めた椿と真っ
白な雪との対比がとても良いと思います。
(077) 初霞居合の刃先陽を射てり 深瀬
1 中津川
2 小野寺 キラリと光る居合の刃先が陽を射るとは鋭い表
現でテンポが良いと思います。
(078) 海恋し潮鳴りとほく風が哭き 小野寺
(079) 雪見酒ぶり大根はまだ煮えず 豊
(080) 枯れ芒銀の穂波に風光り 小野寺
1 志方 きらきら感が風光りにつきます。
2 柳町
3 宮澤
4 秋元
(081) 花粉舞ウィルス防止マスクかけ 秋元
(082) 早春の東京タワー師なつかし 深瀬
(083) 断つ捨つる難きは離る片時雨 治部
お年玉年賀はがきが一枚しか当たりませんでした。
(084) ただ一枚切手シートや減る賀状 中津川
1 桑子 亡くなったり、終活で年賀状を辞める人が増え
ています。寂しい限りです。ちなみに私は二枚当たりま
した。
(085) 凍て土に耐えて牡丹の芽は紅し 小野寺
1 秋岡 もう春の訪れがそこまで来ているのですね。
(086) 妻げんき寒 (さむ) 部屋ひとり安堵感 深瀬
1 橋本 頼りになる妻がいつまでも元気が一番でしょう
2 小野寺 糟糠の妻は元気でいい、自分は寒い部屋でひと
りだが、安堵の気持ちだとは、いいえて妙です。愛妻家
だがしっかり距離があって良い関係なのでしょう。楽し
い句です。
(087) 独り身や冷たき水で髭を剃り 宮澤
1 秋岡 寂しい句ですが、いい句だと思いました
2 治部 やむを得ない独身の寂しさがよく出ていると思
います。お察しします。
(088) 春の雪夢から覚めて雨の音 小野寺
(089) 松過ぎて鳩が一羽の八幡様 桑子
(090) 凍鶴やたまごのごとく宙に浮き 深瀬
3.雑詠 (季語なし)
政治の現状を川柳 (2 句)
(091) 炎鵬の如き攻め技野党なく 橋本
1 秋岡 確かに国会中継を聞いているとワンパターンの
質問が多く、いつも簡単にかわされている感じで歯がゆ
い限りです。
(092) バラマキと隠蔽口先明日暗し 橋本
1 深瀬 今の政治は、お友達グループの強権的隠蔽体質
が強く、官僚も萎縮し忖度に走っている感じがします。
現代貨幣理論の手本ともてはやされたりし、若い人の支
持は高いようです。この先どうなるのかいろいろ考えさ
せられます。
(093) 安倍担き日本品格地に堕ちる 深瀬
1 志方 この人物は何なんだろう?コロナ対策以上にア
ベのウィルス退治がさきですね。
(094) WHOは誰忖度だけで役目無し 秋元
(095) 不確実深めるこの世なに頼る 深瀬
酒の旨さは飲み仲間次第です。かけがいのない飲み朋
が逝って半年しみじみ
(096) 宙仰ぎ酒盃を交わす朋はなく 志方
1 柳町
2 橋本 亡き友とはいろんな酒を飲み合った、思い出し
飲む酒の味は、、、
3 深瀬 いつも気軽になんでも言い合っていた飲み友達
に先立たれるというのはつらいと思います。年賀状のこ
ともありましたが、私たちも少しずつ後退していく立場
になったのだとつくづく思います。覚悟が求められてい
る感じです。
(097) 某国は自由世界に高リスク 秋元
(098) 戦死者の歴史に消さず美と無残 深瀬
(099) 意味のない辻説法は意味不明 秋元
先日、念願のマルタ騎士団の本拠地を訪問する機会を
得た。その時の気持ちを詠みました。
(100) 寄せ返るマルタの波に願い懸け 柳町
わが命、そこまで持つか、永らえよう
(101) 孫8才 (やっつ) 盃かわす日は遥か 志方
(102) 動かぬなら動くまで待とうわがあたま 深瀬
(103) 体制が招いた惨禍後が無し 秋元
(104) 知性とはなにか問ひたし今の世に 深瀬
1 志方 無恥と無知彼に問うても詮無いですね。
------
第三十一回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
4 点句
(006) 冬空のカンヴァスに立つ欅 (けやき) かな 深瀬
(076) 朱染めし雪一面に寒椿 小野寺
(080) 枯れ芒銀の穂波に風光り 小野寺
3 点句
(005) 荒海を静かに照らす冬の月 豊
(010) 人混みにひときわ高き冬帽子 豊
(026) 冬の陽の梢 (こずえ) に遊ぶすずめかな 深瀬
(027) 潮鳴りや銀河落ち行く冬の海 小野寺
(030) 霜柱割りて水仙朝陽浴び 小野寺
(043) 木枯らしにボールは何処 (いずこ) 枯れ葉舞う 宮澤
(044) 雪原に残る足あと情死行 豊
(056) 凍て蝶の痛みし翅に薄日差し 小野寺
(096) 宙仰ぎ酒盃を交わす朋はなく 志方
2 点句
(007) 暖冬にいのち儚し梅花舞う 志方
(012) 冬空の青の広さや富士の山 豊
(016) 夕されば渦潮寒し壇ノ浦 吉良
(019) 凛と咲く冬薔薇愛でし孫の声 小野寺
(020) なにもせず冬日暮れゆく老ひ土曜 深瀬
(029) 木枯らしに揺れる梢の老い桜 志方
(038) 残月の凍れる峰を雁が翔び 小野寺
(039) 菜園に初霜柱咲く如し 橋本
(049) ウミネコが消えぎえに啼き波吹雪 小野寺
(054) 海哭きて復興の鐘雪時雨 (ゆきしぐれ) 小野寺
(067) 寒紅梅別れ惜しみて家移る 治部
(077) 初霞居合の刃先陽を射てり 深瀬
(086) 妻げんき寒 (さむ) 部屋ひとり安堵感 深瀬
(087) 独り身や冷たき水で髭を剃り 宮澤
下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
次回については、4 月中旬ころにご連絡したいと思っていますので、よろし
くお願いいたします。やり方、等について、ご意見がありましたら、ご連絡を
いただきたく、よろしくお願いいたします。
事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
今回の選句には、下記の14名が参加しました。
秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さ
ん、中津川さん、橋本さん、藤原さん、宮澤さん、柳町さん、豊さん、深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては3 月21日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
句会の後の勉強会等については、みなさまのご意見をお聞きしながら、適宜
、行っていきたいと思っています。よろしくお願いします。
(3) 自由連句について
第2 回の自由連句は、2 月中旬に満尾し、現在、次回に向けて、反省点等を
調整しています。3 月下旬ころから、第3 回を行いたいと思っています。参加
されたい方は、是非、ご連絡ください。よろしくお願いします。
第2 回の自由連句の結果は、下記URL から参照可能です。
https://nanaku-haiku.blogspot.com/
2020.03.03
代表 橋口侯之介 (休会中)
顧問 豊 宣光
事務方 深瀬久敬
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1.兼題 冬
(001) 恐怖なり冬眠遅れて歩く熊 中津川
(002) 金星の侵略者ごと冬の宵 深瀬
(003) 冬薔薇を愛でし人往き陽がのぼる 小野寺
(004) 冬の朝西にくっきり小 (ち) さき富士 深瀬
(005) 荒海を静かに照らす冬の月 豊
1 吉良
2 藤原
3 治部 荒れている海と冬の月の取り合わせがいいと思
います。照らすが別の表現になればもっといいと思いま
す。荒海や・・・静かな冬の月では?
(006) 冬空のカンヴァスに立つ欅 (けやき) かな 深瀬
1 吉良
2 中津川
3 秋元
4 小野寺 寒さの中で凛として冬空に立つ欅の幹と枝えだ
は、冬の風物詩です。空のカンバスが良いですね。
(007) 暖冬にいのち儚し梅花舞う 志方
1 柳町
2 橋本 この冬は異常なる暖冬で終わるのか。
(008) 銀座へ歩 (ほ) 日本橋から冬陽受け 深瀬
(009) 冬晴れの風に洗濯物回る 治部
1 豊 何でもないような風景を何でもなく詠んだとこ
ろがいいですね。
(010) 人混みにひときわ高き冬帽子 豊
1 宮澤
2 桑子 頭一つでているのは目立つもの、目に浮かびま
す。
3 秋元
(011) たれこめし雲や吸い込む冬の鐘 深瀬
1 志方 冬の情感と量感が上手き表現されているなと感
じました。
(012) 冬空の青の広さや富士の山 豊
1 秋岡 冬はどうしても暗い句が多くなりがちですが、
青空を背に白い雪をかぶった富士の山はやっぱり絵(句)
になります。
2 宮澤
年の瀬の下関・門司旅行で舟島(巌流島)、壇ノ浦を
訪れた時の句です。 (5 句)
(013) 舟島に小次郎惑う冬の浜 吉良
1 深瀬 かつて映画で見た武蔵、小次郎の巌流島の決闘
の場面をあざやかに思い出させられました。朝日を背に
海から登場する武蔵に「小次郎惑う」が効いている感じ
です。
(014) みぞれ降る門司港なごむ焼きカレー 吉良
(015) 戦(いくさ)はて安徳碑にも冬日差す 吉良
(016) 夕されば渦潮寒し壇ノ浦 吉良
1 豊 平家が滅んだ壇ノ浦の戦いを偲ばせる哀れさを
感じさせます。
2 小野寺 平家一門最後の時を前に、夕刻の渦潮は、一門
の無念を呑みこんで、一抹の寂寥が漂います。
(017) 冬空に瀬戸の波頭いきり立つ 吉良
1 中津川
(018) なまりいろ田圃 (たんぼ) を覆ふ冬の雲 深瀬
(019) 凛と咲く冬薔薇愛でし孫の声 小野寺
1 吉良
2 深瀬 ついこの間まで体は多少大きくなってもまだ子
どもだと思っていた孫の、こころの成長に、はっと気づ
かされた瞬間がよく表現されていると思いました。
(020) なにもせず冬日暮れゆく老ひ土曜 深瀬
1 志方 老ひの虚無感と諦観ですね
2 宮澤
(021) 暖冬や天気図梅雨と見間違え 桑子
1 深瀬 天気図の見方はあまりよく分かりませんが、地
球温暖化もここまで進んでいるのかと衝撃を受けました。
(022) 静かさや無人ホームに冬の風 深瀬
武蔵野の雑木林の冬の風景
(023) 冬木立梢の先の雲の峰 志方
(024) 冬夕陽遠き山並み蒼深く 深瀬
1 宮澤
(025) 冬何処 (いずこ) 池面 (いけも) ゆらゆら朝日映え 宮澤
1 橋本 この冬は異常なる暖冬で終わるのか。
(026) 冬の陽の梢 (こずえ) に遊ぶすずめかな 深瀬
1 吉良
2 秋岡 犬の散歩時に枯れ枝に遊ぶスズメをよく見かけ
ますが、冬の代表的な風景の一つですね。
3 桑子 すずめがちゅんちゅんと飛び交っている、音が
聞こえそうなその光景が目に浮かびます。
(027) 潮鳴りや銀河落ち行く冬の海 小野寺
1 橋本 冬の海の情景が浮んできます。
2 宮澤
3 藤原
(028) 脛に粉クリーム塗りし老いの冬 深瀬
1 中津川
2.雑詠 (季語あり)
老いの頑張り、自らを鼓舞
(029) 木枯らしに揺れる梢の老い桜 志方
1 柳町
2 小野寺 木枯しに揺れる梢は春を待つ老桜の耐え忍ぶ力
でしょうか。
(030) 霜柱割りて水仙朝陽浴び 小野寺
1 吉良
2 豊 霜と水仙、季語が重なっていますが、水仙の花
の魅力がよく出ていると思います
3 秋元
(031) 時止まり凍鶴の背に青き空 深瀬
1 豊 時間が止まったように凍鶴がじっと立って動か
ない。その背後に青空が広がっている。日本画の絵のよ
うです。
(032) 春節の傍迷惑なウィルス禍 秋元
1 橋本 春節過ぎても中国発新型コロナウイルス拡散中
ですね、治まって欲しい
(033) 寒き朝膨らむ花芽希望 (ゆめ) を抱き 宮澤
(034) 初霞古都の梵鐘遠く聞き 深瀬
1 小野寺 古都の梵鐘のかすかな音は初霞の淡い風景画を
観る様です、
(035) 寒雀電線地中化とまどって 治部
(036) しもやけの両手を擦る寒椿 柳町
(037) 花粉症アタック激化温暖化 深瀬
(038) 残月の凍れる峰を雁が翔び 小野寺
1 志方 冬の山水画が浮かびます
2 柳町
(039) 菜園に初霜柱咲く如し 橋本
1 吉良
2 中津川
この控えめな香、どんな香水より好ましい
(040) 沈丁花仄かな香りの沈丁花 志方
(041) 凍鶴の老ひに耐えるか目にひかり 深瀬
1 宮澤
(042) 熱燗に湯豆腐たぎり夜は更けぬ 小野寺
1 秋元
(043) 木枯らしにボールは何処 (いずこ) 枯れ葉舞う 宮澤
1 桑子 ゴルフでしょうか?冬はいいスコアは出ません
ね。
2 深瀬 少し状況が違うかもしれませんが、ラフの枯れ
葉の積もったなかにボールが入るとかなりお手上げ的な
気持ちになります。
3 治部 この作者は前回の句会でボールが視野の外へ行
った方でしょうか。この作品は何処と言いながら具体的
でいいと思います。枯れ葉舞うですからOBでしょう。木
枯らしには、木枯らしやの方がいいと思います。
(044) 雪原に残る足あと情死行 豊
1 柳町
2 治部 雪原に残る足跡を見て情死行とは発想を飛ばし
ましたね。恐れ入ります。失楽園のラストシーンを連想
しますね。俳句はいいけどダメですよ。
3 小野寺 普通は俳句にするには忍びない情念の恋の道行
きを、よく頑張り作られました。天城越えの世界でしょ
うか。
(045) 句会より酒会がよろし松のうち 治部
1 秋岡 よくわかります。
(046) 慟哭の海鎮魂の小雪舞ひ 小野寺
中山道美濃路を歩いて (2 句)
(047) 実の赤さ葉落ち柿木やカラス鳴く 中津川
(048) 彼尾花往時を想い関ケ原 中津川
(049) ウミネコが消えぎえに啼き波吹雪 小野寺
1 橋本 冬の海の情景が浮 んできます。
2 宮澤
幼いころ霜柱を踏みしめていた日々が、冬の風物詩だ
っ たのですが。。。。?
(050) カサカサと今年はいまだ霜柱 志方
1 桑子 ここ数年霜柱にはご無沙汰していますが、霜柱
を踏むのは気持ちがいいです。カサカサという音の表現
がすてきです。
(051) 列をなす白木の遺骨朝霞 深瀬
(052) 意味が無し蝋梅の丘マスク顔 中津川
(053) 数日の寒さ忘れて春来たり 秋元
(054) 海哭きて復興の鐘雪時雨 (ゆきしぐれ) 小野寺
1 柳町
2 豊 「海哭きて」がとても効果的です。復興の鐘と
雪降る海の取り合わせが冬の風景を伝えてきます。
(055) 北風の雨戸の音に籠りたり 橋本
(056) 凍て蝶の痛みし翅に薄日差し 小野寺
1 桑子
2 秋元
3 治部 季節に取り残された蝶のじっとしている様子が
見事です。
庭の山茶花を2 句
(057) 山茶花にメジロヒヨドリ分かち合ふ 橋本
1 藤原
(058) 遅咲きの山茶花庭の灯 (あかり) なり 橋本
1 中津川
(059) 雪解けの光集めて福寿草 小野寺
1 深瀬 雪のとけた隙間の地面から小さく顔を出す黄色
の福寿草は、冬の終わりを真っ先に教えてくれる感じが
します。「花は花弁を使って日光を花の中心に集め、そ
の熱で虫を誘引している。」というネットの説明を読み、
さらに納得しました。
地元で交通指導員をしており、朝の小学生登校時に「
おはよう!」の元気な声に自分も励まされているように
感じています。
(060) おはようの声も凍る朝登校 柳町
(061) 我が朋は浄土に旅す雪の朝 小野寺
1 豊 亡くなった友人を惜しむ気持ちが伝わってきま
す。
(062) 氷上に白鳥の舞女子フィギュア 豊
(063) 節分や春風爽やか生気満つ 橋本
(064) 新雪を踏む音軋み夜明け前 小野寺
(065) 凍鶴の行灯のごと並びおり 深瀬
1 治部 たくさんの鶴が首をすくめて並んでいる様子が
よくわかります。行燈のようなのは夜なのでしょうか。
寒さが伝わってきます。
(066) 山雪解 (やまゆきげ) 轟音となり瀑布落つ 小野寺
1 秋岡 冬の厳しさがひしひし伝わってきます。
(067) 寒紅梅別れ惜しみて家移る 治部
1 中津川
2 桑子 引っ越しでしょうか?長年育てた庭木、名残惜
しいですね。家移るという表現がいいと思います。
(068) 夕食を部屋で待つ身の寒さかな 深瀬
(069) 百舌鳥 (もず) 啼きて夜の静寂 (しじま) を渡りけり小野寺
1 志方 百舌鳥の鋭い鳴き声が響きいてきます。
還暦を過ぎて10数年、再び小学校高学年になり、宿題
の締切に悩まされている感じです。いつもの投句遅れを
反省?しての句とご理解ください。
(070) 締切だ逃げる2月に追いつけず 宮澤
(071) 除夜の鐘古都にて偲ぶ首里の海 小野寺
(072) 令和の空仰ぐオリオンいまいずこ 桑子
(073) 部屋干しで曇る眼鏡の寒さかな 治部
にわかファン増加のラグビー場 (2 句)
(074) 人の波ダウンコートと楕円球 中津川
(075) 格闘技紅白見ずして年惜しむ 中津川
(076) 朱染めし雪一面に寒椿 小野寺
1 吉良
2 秋元
3 藤原
4 治部 椿が満開の様子が見えます。朱染めた椿と真っ
白な雪との対比がとても良いと思います。
(077) 初霞居合の刃先陽を射てり 深瀬
1 中津川
2 小野寺 キラリと光る居合の刃先が陽を射るとは鋭い表
現でテンポが良いと思います。
(078) 海恋し潮鳴りとほく風が哭き 小野寺
(079) 雪見酒ぶり大根はまだ煮えず 豊
(080) 枯れ芒銀の穂波に風光り 小野寺
1 志方 きらきら感が風光りにつきます。
2 柳町
3 宮澤
4 秋元
(081) 花粉舞ウィルス防止マスクかけ 秋元
(082) 早春の東京タワー師なつかし 深瀬
(083) 断つ捨つる難きは離る片時雨 治部
お年玉年賀はがきが一枚しか当たりませんでした。
(084) ただ一枚切手シートや減る賀状 中津川
1 桑子 亡くなったり、終活で年賀状を辞める人が増え
ています。寂しい限りです。ちなみに私は二枚当たりま
した。
(085) 凍て土に耐えて牡丹の芽は紅し 小野寺
1 秋岡 もう春の訪れがそこまで来ているのですね。
(086) 妻げんき寒 (さむ) 部屋ひとり安堵感 深瀬
1 橋本 頼りになる妻がいつまでも元気が一番でしょう
2 小野寺 糟糠の妻は元気でいい、自分は寒い部屋でひと
りだが、安堵の気持ちだとは、いいえて妙です。愛妻家
だがしっかり距離があって良い関係なのでしょう。楽し
い句です。
(087) 独り身や冷たき水で髭を剃り 宮澤
1 秋岡 寂しい句ですが、いい句だと思いました
2 治部 やむを得ない独身の寂しさがよく出ていると思
います。お察しします。
(088) 春の雪夢から覚めて雨の音 小野寺
(089) 松過ぎて鳩が一羽の八幡様 桑子
(090) 凍鶴やたまごのごとく宙に浮き 深瀬
3.雑詠 (季語なし)
政治の現状を川柳 (2 句)
(091) 炎鵬の如き攻め技野党なく 橋本
1 秋岡 確かに国会中継を聞いているとワンパターンの
質問が多く、いつも簡単にかわされている感じで歯がゆ
い限りです。
(092) バラマキと隠蔽口先明日暗し 橋本
1 深瀬 今の政治は、お友達グループの強権的隠蔽体質
が強く、官僚も萎縮し忖度に走っている感じがします。
現代貨幣理論の手本ともてはやされたりし、若い人の支
持は高いようです。この先どうなるのかいろいろ考えさ
せられます。
(093) 安倍担き日本品格地に堕ちる 深瀬
1 志方 この人物は何なんだろう?コロナ対策以上にア
ベのウィルス退治がさきですね。
(094) WHOは誰忖度だけで役目無し 秋元
(095) 不確実深めるこの世なに頼る 深瀬
酒の旨さは飲み仲間次第です。かけがいのない飲み朋
が逝って半年しみじみ
(096) 宙仰ぎ酒盃を交わす朋はなく 志方
1 柳町
2 橋本 亡き友とはいろんな酒を飲み合った、思い出し
飲む酒の味は、、、
3 深瀬 いつも気軽になんでも言い合っていた飲み友達
に先立たれるというのはつらいと思います。年賀状のこ
ともありましたが、私たちも少しずつ後退していく立場
になったのだとつくづく思います。覚悟が求められてい
る感じです。
(097) 某国は自由世界に高リスク 秋元
(098) 戦死者の歴史に消さず美と無残 深瀬
(099) 意味のない辻説法は意味不明 秋元
先日、念願のマルタ騎士団の本拠地を訪問する機会を
得た。その時の気持ちを詠みました。
(100) 寄せ返るマルタの波に願い懸け 柳町
わが命、そこまで持つか、永らえよう
(101) 孫8才 (やっつ) 盃かわす日は遥か 志方
(102) 動かぬなら動くまで待とうわがあたま 深瀬
(103) 体制が招いた惨禍後が無し 秋元
(104) 知性とはなにか問ひたし今の世に 深瀬
1 志方 無恥と無知彼に問うても詮無いですね。
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七句会 第2回 自由連句 結果
小野寺さん、吉良さん、志方さん、豊さん
CC 平島さん、桑子さん、中津川さん、柳町さん
七句会 第2 回 自由連句
昨年12月下旬にはじめた第2 回自由連句は、独自ルールですが、26句目をも
ち満尾を迎えることができました。たいへんありがとうございました。
1 句あたり約 2.4日 (=62 日/26 句) のペースでした。
次回の参考に資することを目的に、感想、批判、反省、等、なんでも結構で
すので、3 月1 日を目処にお送りいただけると幸いです。
よろしくお願いします。
深瀬
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01 沖縄のこころ焼けたり曼珠沙華 (豊)
02 くねる白壁主 (しゅ) 待ちたたずむ (深瀬)
03 白砂と珊瑚哀しみ土砂が降る (志方)
04 赤道線に陽はまた昇る (吉良)
05 除夜の鐘古都にて偲ぶ首里の海 (小野寺)
06 屠蘇を飲み過ぎ二日酔いして (豊)
07 時止まり凍鶴の背に青き空 (深瀬)
08 風鳴く梢月影淡し (志方)
09 蕗の薹夢より醒めよ土跳ねよ (吉良)
10 凍て土に耐え牡丹の芽紅し (小野寺)
11 ランドセル背負いて少女春を待つ (豊)
12 夢ふくらましいつか世界へ (深瀬)
13 凧あげて孫のくやしさ風まかせ (志方)
14 枯れ葉踏みしめ老婆微笑む (吉良)
15 凛と咲く冬薔薇愛 (めで) し孫の声 (小野寺)
16 嫁ぐすがたに想ひ馳せらし (深瀬)
17 いざ待たん桜の花の咲くまでは (豊)
18 桜吹雪に夢追いし日よ (小野寺)
19 汗水漬 (あせみずく) めざす嶺や山青し (吉良)
20 見はるかす雲白さも白し (志方)
21 冬空のカンヴァスに立つ欅 (けやき) かな (深瀬)
22 闘病の身に勇気もらいて (豊)
23 霜柱割りて水仙朝陽浴び (小野寺)
24 ギリシャの空に思いを馳せる (吉良)
25 睡蓮の儚き命モネの絵に (志方)
26 無の心知る禅寺の庭 (豊)
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七句会 第2 回 自由連句 補注
・01補注 (豊) 19年11月14日
沖縄の歴史と文化には以前から関心を持っていました。辺野古埋め立てと首
里城の焼失、沖縄県 民の続く受難に深く同情します。
まさか最高点になるとは思っていませんでしたが、皆さん沖縄に想いがある
ことを知ってうれしく思いました。
・02補注 (深瀬) 19年12月18日
首里城の城壁は白い琉球石灰岩で作られ、地形に合わせてゆるやかなカーブ
を描いています。首里城が再建されるまで、この城壁がじっとその完成を見守
るのではないか、という気持ちです。
・03補注 (志方) 19年12月21日
かって沖縄を訪れた時の、辺野古の海の美しさがおもいだされます。碧い空
と純白の雲が天地返しのように映っていた辺野古の海。戦禍に失われた命、夥
しい慰霊の鎮魂を踏みにじって恥じない土砂埋め。それでも美しい国をと唱え
る鉄面皮。桜を汚して恥じない誰かのおつむには響くはずもないか。
・04補注 (吉良) 19年12月24日
自然の破壊は人間の業とも言えます。以前船で赤道線を越えた経験がありま
すが、広い海の自浄力に期待したいものです。
・05補注 (小野寺) 20年01月01日
京都の年の瀬は秀吉とねねの縁の寺高台寺で除夜の鐘を聴きました。僧侶達
の般若心経の読経を聴きながら、打たれる除夜の鐘は悠久の時を超えて心に響
きました。
今こうして京都の地で鐘を聴く平和は太平洋戦争で日本の防波堤となり、失
われた幾多の英霊と市民達の犠牲の上にあり、沖縄の海を忘れてはならない事
と思いを馳せました。
・06補注 (豊) 20年01月06日
5句までの流れを変えて詠んでみました。実際は屠蘇で二日酔いをすること
はないと思いますが、そこは一つのユーモアとして理解してください。
・07補注 (深瀬) 20年01月06日
凍鶴 (いてづる) は、鶴が厳寒に耐えるため、微動だにせず、一本脚で立ち
、頭を翼のなかに埋め込んでいる様です。こうすることで体温の喪失を少しで
も防ぎます。そうしたじっとしている鶴の群の向こう側に、青い冬空が広がっ
ている様を詠みました。朝とか昼間に、こうした光景が見られるか、やや疑問
もありますが想像です。
前句の七七は、前々句の大晦日からお正月への単純な時間的推移を示したも
のと捉え、お屠蘇気分からの転換を指向してみました。
・08補注 (志方) 20年01月09日
凍てつく冬の静止画のような情景が浮かび素晴らしい上句で、何を繋げるか
まよいました。
青天の中に、葉を落としきった枝(冬木立)が風に揺れ、その先に白く淡い
月影がぼんやりと映っている様が、静の中に動きとまた滲んだような情景を対
比させてみました。
・09補注 (吉良) 20年01月10日
凍てつく雪原の下にも生命の活動が始まっています。蕗の薹が芽吹き土から
顔を出す春が早く来てほしい気持ちを読みました。
・10補注 (小野寺) 20年01月14日
冬枯れの殺風景な庭のなかで枯れ木の様に黒く立つ牡丹の幹に厳しい寒さを
ものともせずにひときわ赤くて硬い花芽が幾つも付いておりました。毎年4 月
末に満開となる牡丹の華の、自然の運行の確かさを感じました。
・11補注 (豊) 20年01月14日
前句の牡丹の紅い芽を、新一年生になる少女と見立ててみました。また、前
々句からの植物の流れを変えて、人間の描写にしました。買ってもらったピカ
ピカのランドセルを背負って、早く学校に行きたいなと希望あふれる春を待っ
ている少女です。
・12補注 (深瀬) 20年01月16日
今は肩幅よりランドセルの方が大きい少女も、どんどん成長し、いずれは社
会人として世界に羽ばたくときがくるだろうという期待を込めました。
・13補注 (志方) 20年01月20日
13日の成人の日、娘の家の前の広場で、どんど焼きががその付近の町内会の
皆様の主催でおこなわれていました。
多分60年ぶりに見る光景で、懐かしく幼き頃の楽しみと思い出しました。
広い野原で、孫たちが近所の友達と凧揚げをはじめましたが、あいにく風を
読めなくで、悪戦苦闘の中真剣に取り組むさまに感動しました。
『おじいちゃん、風を止む方法を教えてほしい』といわれて、『耳を澄まし
て風に聞いてごらん』苦し紛れにと答えました。
こうした自然現象を肌で感じるようになったかと、孫の成長を実感した嬉し
さを表現してみました。
風が止んだら、凧が上がらないことを気が付いて欲しいけど
・14補注 (吉良) 20年01月22日
風で散った枯れ葉の積もった公園の林から、子供たちの凧あげを見ていた老
婆が楽しそうに微笑んでいる様子をよみました。
・15補注 (小野寺) 20年01月24日
冬枯れの殺風景な庭に薔薇が一輪見事な真紅の花をつけておりました。背筋
を正す様な凛とした佇まいでした。たまたま来ていた孫娘がわーっ綺麗!と感
嘆の声を上げました。小学生ながら少女になってきた孫娘の冬薔薇に感動する
声に、孫娘の成長を感じ詠んでみました。
・16補注 (深瀬) 20年01月26日
特に説明は不要と思いますが、孫の結婚式に出席できるようにがんばりたい
という気持ちも踏まえました。
私のところは、5 歳と2 歳の男子ですが、相当な努力が必要な感じです。
・17補注 (豊) 20年01月28日
前句につなげて、嫁ぐ日を桜が咲く日になぞらえました。皆さん、桜にはさ
まざまな思いを託していることでしょう。まだ1月、いまは苦しくても哀しく
ても、桜が咲くまでの辛抱です。
・18補注 (小野寺) 20年01月31日
前句を引き継いで若い頃、春爛漫の桜が舞い散る日には先々の人生の夢を思
い描き船出の希望に満ちた日がありました。古希の坂道を越えてきた今幾人も
の友人達の死や、沢山の挫折にも出会い、西行の句 願わくは花の下にて春死
なんその望月の如月の頃の様に満開の桜と満月の日に、自分も逝きたいものだ
と思う反面桜吹雪に見た、夢に向かう自分を思いだし、いろいろな事に挑戦す
る気持ちを鼓舞しようとも思いこの句を詠みました。
・19補注 (吉良) 20年02月03日
前句から、若い頃にはやった「青い山脈」が連想され読みました。高い目標
を目指して汗を流す若さが懐かく思いだされます。
・20補注 (志方) 20年02月03日
鎌倉のハイキングコースの一つで、天園コースがありますが、何年かに一度
歩きます。円覚寺裏からけっこうきつい山道ですが、登り切った後に相模灘が
一望できます。
山青きを受けて、水平線上に浮かぶ雲の白さを目にした感激を素直に表現し
てみました。
・21補注 (深瀬) 20年02月05日
これまで、少女、孫、老婆なども登場しますが、基本的には、自らの挑戦者
としての体験を踏まえ、そうしたなかで出会った風景に想いをよせているよう
に感じました。
欅 (けやき) は幹が太く、細かいたくさんの枝を伸ばし、比較的独立して立
っているように思います。子どものころは近くの古い大きなお屋敷の跡地に幾
本かありましたし、今でも駅までの途中に何本かの大きな欅があります。冬の
青空や曇り空に細かい枝をたくさん伸ばした欅の大木をみると、なにか絵画を
みるような幻想的郷愁的な想いにさせられます。
・22補注 (豊) 20年02月06日
葉を落として直立する冬の欅は凜々しさを感じさせます。闘病中の人が病室
の窓から冬空に立つ欅を見て、「ああ、自分もがんばらなくてはいけないな」
と勇気を与えられた気持ちを付けてみました。
・23補注 (小野寺) 20年02月12日
深瀬さんの欅の木から、昔国分寺に住んでいた頃府中の欅並木が有名で新緑
もさることながら自分も冬の欅の風景が好きで、この大自然を身近に置きたい
と欅の盆栽を随分作りました。冬の空に屹立する大木も雄々しさを感じますが
、固く閉じた霜柱をかき分け朝陽に向かう水仙の可憐な白い花にも欅に負けず
劣らず自然の強さを感じました。
・24補注 (吉良) 20年02月13日
水仙はギリシャ神話では青年ナルキッソスが呪いにかけられ生まれたといわ
れ、原産地は地中海沿岸です。日本の冬の寒さに耐え太陽を浴びて咲き誇って
も、故郷の暖かい空を思いを馳せていることでしょう。
・25補注 (志方) 20年02月14日
先日神代植物園に行き、越前水仙が可憐い咲き誇っておりましたが。園内の
池にに睡蓮が2株ほど桃色と白の花が顔を出しておりました。睡蓮の花の命は
短くて、3日程との説明書きがあり。モネの睡蓮の絵の印象が強かったので、
そのはかなさに、思わず感じいった次第です。そんな思いを読んでみました。
・26補注 (豊) 20年02月17日
「ギリシャ」「モネ」と西洋の思考が続いたので、本当の哲学は東洋にある
と思い、句を付けました。
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CC 平島さん、桑子さん、中津川さん、柳町さん
七句会 第2 回 自由連句
昨年12月下旬にはじめた第2 回自由連句は、独自ルールですが、26句目をも
ち満尾を迎えることができました。たいへんありがとうございました。
1 句あたり約 2.4日 (=62 日/26 句) のペースでした。
次回の参考に資することを目的に、感想、批判、反省、等、なんでも結構で
すので、3 月1 日を目処にお送りいただけると幸いです。
よろしくお願いします。
深瀬
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01 沖縄のこころ焼けたり曼珠沙華 (豊)
02 くねる白壁主 (しゅ) 待ちたたずむ (深瀬)
03 白砂と珊瑚哀しみ土砂が降る (志方)
04 赤道線に陽はまた昇る (吉良)
05 除夜の鐘古都にて偲ぶ首里の海 (小野寺)
06 屠蘇を飲み過ぎ二日酔いして (豊)
07 時止まり凍鶴の背に青き空 (深瀬)
08 風鳴く梢月影淡し (志方)
09 蕗の薹夢より醒めよ土跳ねよ (吉良)
10 凍て土に耐え牡丹の芽紅し (小野寺)
11 ランドセル背負いて少女春を待つ (豊)
12 夢ふくらましいつか世界へ (深瀬)
13 凧あげて孫のくやしさ風まかせ (志方)
14 枯れ葉踏みしめ老婆微笑む (吉良)
15 凛と咲く冬薔薇愛 (めで) し孫の声 (小野寺)
16 嫁ぐすがたに想ひ馳せらし (深瀬)
17 いざ待たん桜の花の咲くまでは (豊)
18 桜吹雪に夢追いし日よ (小野寺)
19 汗水漬 (あせみずく) めざす嶺や山青し (吉良)
20 見はるかす雲白さも白し (志方)
21 冬空のカンヴァスに立つ欅 (けやき) かな (深瀬)
22 闘病の身に勇気もらいて (豊)
23 霜柱割りて水仙朝陽浴び (小野寺)
24 ギリシャの空に思いを馳せる (吉良)
25 睡蓮の儚き命モネの絵に (志方)
26 無の心知る禅寺の庭 (豊)
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七句会 第2 回 自由連句 補注
・01補注 (豊) 19年11月14日
沖縄の歴史と文化には以前から関心を持っていました。辺野古埋め立てと首
里城の焼失、沖縄県 民の続く受難に深く同情します。
まさか最高点になるとは思っていませんでしたが、皆さん沖縄に想いがある
ことを知ってうれしく思いました。
・02補注 (深瀬) 19年12月18日
首里城の城壁は白い琉球石灰岩で作られ、地形に合わせてゆるやかなカーブ
を描いています。首里城が再建されるまで、この城壁がじっとその完成を見守
るのではないか、という気持ちです。
・03補注 (志方) 19年12月21日
かって沖縄を訪れた時の、辺野古の海の美しさがおもいだされます。碧い空
と純白の雲が天地返しのように映っていた辺野古の海。戦禍に失われた命、夥
しい慰霊の鎮魂を踏みにじって恥じない土砂埋め。それでも美しい国をと唱え
る鉄面皮。桜を汚して恥じない誰かのおつむには響くはずもないか。
・04補注 (吉良) 19年12月24日
自然の破壊は人間の業とも言えます。以前船で赤道線を越えた経験がありま
すが、広い海の自浄力に期待したいものです。
・05補注 (小野寺) 20年01月01日
京都の年の瀬は秀吉とねねの縁の寺高台寺で除夜の鐘を聴きました。僧侶達
の般若心経の読経を聴きながら、打たれる除夜の鐘は悠久の時を超えて心に響
きました。
今こうして京都の地で鐘を聴く平和は太平洋戦争で日本の防波堤となり、失
われた幾多の英霊と市民達の犠牲の上にあり、沖縄の海を忘れてはならない事
と思いを馳せました。
・06補注 (豊) 20年01月06日
5句までの流れを変えて詠んでみました。実際は屠蘇で二日酔いをすること
はないと思いますが、そこは一つのユーモアとして理解してください。
・07補注 (深瀬) 20年01月06日
凍鶴 (いてづる) は、鶴が厳寒に耐えるため、微動だにせず、一本脚で立ち
、頭を翼のなかに埋め込んでいる様です。こうすることで体温の喪失を少しで
も防ぎます。そうしたじっとしている鶴の群の向こう側に、青い冬空が広がっ
ている様を詠みました。朝とか昼間に、こうした光景が見られるか、やや疑問
もありますが想像です。
前句の七七は、前々句の大晦日からお正月への単純な時間的推移を示したも
のと捉え、お屠蘇気分からの転換を指向してみました。
・08補注 (志方) 20年01月09日
凍てつく冬の静止画のような情景が浮かび素晴らしい上句で、何を繋げるか
まよいました。
青天の中に、葉を落としきった枝(冬木立)が風に揺れ、その先に白く淡い
月影がぼんやりと映っている様が、静の中に動きとまた滲んだような情景を対
比させてみました。
・09補注 (吉良) 20年01月10日
凍てつく雪原の下にも生命の活動が始まっています。蕗の薹が芽吹き土から
顔を出す春が早く来てほしい気持ちを読みました。
・10補注 (小野寺) 20年01月14日
冬枯れの殺風景な庭のなかで枯れ木の様に黒く立つ牡丹の幹に厳しい寒さを
ものともせずにひときわ赤くて硬い花芽が幾つも付いておりました。毎年4 月
末に満開となる牡丹の華の、自然の運行の確かさを感じました。
・11補注 (豊) 20年01月14日
前句の牡丹の紅い芽を、新一年生になる少女と見立ててみました。また、前
々句からの植物の流れを変えて、人間の描写にしました。買ってもらったピカ
ピカのランドセルを背負って、早く学校に行きたいなと希望あふれる春を待っ
ている少女です。
・12補注 (深瀬) 20年01月16日
今は肩幅よりランドセルの方が大きい少女も、どんどん成長し、いずれは社
会人として世界に羽ばたくときがくるだろうという期待を込めました。
・13補注 (志方) 20年01月20日
13日の成人の日、娘の家の前の広場で、どんど焼きががその付近の町内会の
皆様の主催でおこなわれていました。
多分60年ぶりに見る光景で、懐かしく幼き頃の楽しみと思い出しました。
広い野原で、孫たちが近所の友達と凧揚げをはじめましたが、あいにく風を
読めなくで、悪戦苦闘の中真剣に取り組むさまに感動しました。
『おじいちゃん、風を止む方法を教えてほしい』といわれて、『耳を澄まし
て風に聞いてごらん』苦し紛れにと答えました。
こうした自然現象を肌で感じるようになったかと、孫の成長を実感した嬉し
さを表現してみました。
風が止んだら、凧が上がらないことを気が付いて欲しいけど
・14補注 (吉良) 20年01月22日
風で散った枯れ葉の積もった公園の林から、子供たちの凧あげを見ていた老
婆が楽しそうに微笑んでいる様子をよみました。
・15補注 (小野寺) 20年01月24日
冬枯れの殺風景な庭に薔薇が一輪見事な真紅の花をつけておりました。背筋
を正す様な凛とした佇まいでした。たまたま来ていた孫娘がわーっ綺麗!と感
嘆の声を上げました。小学生ながら少女になってきた孫娘の冬薔薇に感動する
声に、孫娘の成長を感じ詠んでみました。
・16補注 (深瀬) 20年01月26日
特に説明は不要と思いますが、孫の結婚式に出席できるようにがんばりたい
という気持ちも踏まえました。
私のところは、5 歳と2 歳の男子ですが、相当な努力が必要な感じです。
・17補注 (豊) 20年01月28日
前句につなげて、嫁ぐ日を桜が咲く日になぞらえました。皆さん、桜にはさ
まざまな思いを託していることでしょう。まだ1月、いまは苦しくても哀しく
ても、桜が咲くまでの辛抱です。
・18補注 (小野寺) 20年01月31日
前句を引き継いで若い頃、春爛漫の桜が舞い散る日には先々の人生の夢を思
い描き船出の希望に満ちた日がありました。古希の坂道を越えてきた今幾人も
の友人達の死や、沢山の挫折にも出会い、西行の句 願わくは花の下にて春死
なんその望月の如月の頃の様に満開の桜と満月の日に、自分も逝きたいものだ
と思う反面桜吹雪に見た、夢に向かう自分を思いだし、いろいろな事に挑戦す
る気持ちを鼓舞しようとも思いこの句を詠みました。
・19補注 (吉良) 20年02月03日
前句から、若い頃にはやった「青い山脈」が連想され読みました。高い目標
を目指して汗を流す若さが懐かく思いだされます。
・20補注 (志方) 20年02月03日
鎌倉のハイキングコースの一つで、天園コースがありますが、何年かに一度
歩きます。円覚寺裏からけっこうきつい山道ですが、登り切った後に相模灘が
一望できます。
山青きを受けて、水平線上に浮かぶ雲の白さを目にした感激を素直に表現し
てみました。
・21補注 (深瀬) 20年02月05日
これまで、少女、孫、老婆なども登場しますが、基本的には、自らの挑戦者
としての体験を踏まえ、そうしたなかで出会った風景に想いをよせているよう
に感じました。
欅 (けやき) は幹が太く、細かいたくさんの枝を伸ばし、比較的独立して立
っているように思います。子どものころは近くの古い大きなお屋敷の跡地に幾
本かありましたし、今でも駅までの途中に何本かの大きな欅があります。冬の
青空や曇り空に細かい枝をたくさん伸ばした欅の大木をみると、なにか絵画を
みるような幻想的郷愁的な想いにさせられます。
・22補注 (豊) 20年02月06日
葉を落として直立する冬の欅は凜々しさを感じさせます。闘病中の人が病室
の窓から冬空に立つ欅を見て、「ああ、自分もがんばらなくてはいけないな」
と勇気を与えられた気持ちを付けてみました。
・23補注 (小野寺) 20年02月12日
深瀬さんの欅の木から、昔国分寺に住んでいた頃府中の欅並木が有名で新緑
もさることながら自分も冬の欅の風景が好きで、この大自然を身近に置きたい
と欅の盆栽を随分作りました。冬の空に屹立する大木も雄々しさを感じますが
、固く閉じた霜柱をかき分け朝陽に向かう水仙の可憐な白い花にも欅に負けず
劣らず自然の強さを感じました。
・24補注 (吉良) 20年02月13日
水仙はギリシャ神話では青年ナルキッソスが呪いにかけられ生まれたといわ
れ、原産地は地中海沿岸です。日本の冬の寒さに耐え太陽を浴びて咲き誇って
も、故郷の暖かい空を思いを馳せていることでしょう。
・25補注 (志方) 20年02月14日
先日神代植物園に行き、越前水仙が可憐い咲き誇っておりましたが。園内の
池にに睡蓮が2株ほど桃色と白の花が顔を出しておりました。睡蓮の花の命は
短くて、3日程との説明書きがあり。モネの睡蓮の絵の印象が強かったので、
そのはかなさに、思わず感じいった次第です。そんな思いを読んでみました。
・26補注 (豊) 20年02月17日
「ギリシャ」「モネ」と西洋の思考が続いたので、本当の哲学は東洋にある
と思い、句を付けました。
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