七句会自由連句のみなさま
歌仙形式の第3 回目が無事終了し、感想、等をお寄せいただき、たいへんあ
りがとうございました。
下記に、それらを整理し、ご報告します。
連句の結果は、別途、整理し、web に登録しておきます。
次回は、9 月か10月ころに行いたいと思っています。
よろしくお願いします。
深瀬
・小野寺さん
言葉の遊びごころといわれますが発せられた言葉は、その人の人格そのもの
の様にも思われます。
・志方さん
俳句も連句も、風情や心情を表現する文言の選択肢が多くて、漢字、ひらが
な、カタカナ、ローマ字等文字選択も加わって、難しさを痛感しております。
これが日本文化の特色かもしれませんね。言葉の選択がその奥行も考慮せず、
迂闊に発言してしまう我が国の最高無責任者の発出する、無知、無恥な発言が
横行している現状、日本文化の土台が浸食されてしまうか心配です。
自戒を含めて、人の心に響く表現の追求に、俳句創りの研鑚を重ねていきた
いと思っております。
・小野寺さん
確かに英語のアルファベットに比べて日本語は選択肢が多彩ですね。それだ
け、言葉の選択により、より深い伝達の可能性があると言う事でしょうか。
この国の責任者達は海外でも物笑いの種になってるようです。
早くコロナが下火になって一献傾ける日が来るといいですね。
俳句に携わった事によりお互い、言葉や文章の研鑽に努める機会に恵まれた
ように思います。お互い何も考えないで過ごすよりは俳句や、連句に携わって
いく事で感動や感情をいかに人に伝えられるかを楽しみながら、無理なく自分
にロードをかける事は意味のある事と思います。
・平島さん
今回の感想を送信しますが基本はあくまで蕉風連句の猿蓑辺りをお手本にし
たものです。
先ずは「36歩前へ」という事と同字重用の観点から見て行きます。
第三に風薫るがあります。
09に寅さんの風
31に麦秋の風
06に哀しき
26に声哀し
13に漁火
28に漁火
以前に誰かが使われた言葉は避けるべきであり言うなれば後戻りにもなるの
で注意が要ります。
数字の事。
発句で一面 14で二三 34で四葉
深瀬さんの登っていく感じの一二三四は上手いなあと思いました。
他に付け方転じ方につきましては別途送信します。
・小野寺さん
13 吉良さんの漁火がありましたが、暗い海の展開からの先に収まりの良い
漁火を使いました。
きちんと前句の中の漁火を検証してませんでした、反省です。
・平島さん
例えば漁火の代わりに潮鳴りとおく揺れる舷灯
という手もあります。それから18 木漏れ陽を瀬に春出帆す
ですが「瀬」は「背」ではないですか?
今回は古い友人を亡くされてそれも読み込んで終生忘れがたい連句興行とな
ったことと拝察します。
大兄の絵画的なセンスが縦横に出て来ますが少し欲張りすぎて観念的な美意
識が過剰かなと感じた部分もありました。
でも七句会の俳句の漢語の使い方はどんどん上達されて来ていると思います。
眼高手低陳謝。
・平島さん
皆さん総じて大変に上達されて運びも上手くなられたとおもいます。
特に前から感じていたのですが豊さんの天象と心象のアシライやそのバラン
ス、それに更に軽みが加わり、練達の士と思いました。昔からかなり読み込ん
でおられますね。
表の6句は穏やかにですがまだ少し劇的な展開もありました。
初折りの裏では身近な出来事中心の人情句が多くもう少し転じても良かった
かなと感じています。
名残りの表も連歌の名残りのみやびやかを意識されてか綺麗にまとまってい
ます。
名残りの裏は今回の興行の締めくくりとして良く出来上がったと思います。
小生も海外暮らしで日本語を忘れがちでしたが皆さんのお陰で脳みそを刺激
されて楽しかったです。今後ともよろしくお願いいたします。
・平島さん
謹慎中時間もあるので昔読み飛ばした本を少し丁寧に読み直しています。
小西甚一著「俳句の世界」で談林の新しみの中で
甚太 (チンタ) 瓶を捨つるや仮のフグもどき 清風
チンタはポルトガルからの舶来酒( 原語はVinho-tinto)他に チャルメラ
カルタ カステラ フラスコ ミイラ くろんぼ など読み込んだ句があり、
これらの談林派の無軌道ぶりに対する反省から蕉風俳諧が生まれて来ました。
1680年代に既に外来語を取り入れていた人達がいた事に日本人の新しいもの
好きに驚き且つ感心しています。
・小野寺さん
ご指摘痛み入ります。舟偏に玄の漢字は知りませんでした。これで漁火、い
さりびと詠むのでしょうか? 俳句の裾野は広いです。
木漏れ日を は確かに背です。木漏れ日を背に春出帆す。
です。変換間違いの不注意でした。ご指摘ありがとうございます。
そうですね。確かに私は絵画の映像記憶を意識して句を詠みますが、観念的
な美意識が過剰にあったかなと、ご指摘ありがとうございます。
(中略)
連句に参加させて頂いたお陰で、より深く言葉に対する感覚が増したかもし
れません。
平島さんの洞察にも感謝です。
・吉良さん
36句にわたる連句のまとめを有難うございました。参加された平島さんの批
評、皆の感想を読ませていただきました。全く文学的センスがない中で四苦八
苦して参加しましたが、前の句から転ずる難しさを実感しました。今後とも宜
しくお願いします。
・平島さん
舷灯はそのままげんとうと読みます。夜間船が航行する時に 右舷に緑左舷
に赤色を付ける事に決められています。潮鳴りとありましたので沖では風もき
つく船は揺れて舷灯も揺れている様を詠んでみました。
漁火が同字重用となるので似たような景色を想像してこんなのもありますが
と提示したものです。まだまだ色々考えて見ても良いと思います。
・平島さん
豊さんの事知らずに勝手なコメントを送っていましたが道理で上手いはずで
失礼しまた。文を扱うプロに対してチョット恥ずかしく思っています。
チンタの事ですが舶来酒だった頃飲めたのは少しの上流階級の人達だった筈
です。それが今現地に住んで毎日この赤ワインを飲んでいる不思議さを喜んで
いる次第です。一本千円以下ですよ。白はもっと安く500 円程度で手に入りま
す。飲み過ぎには注意はしていますがどうしても医者の薦める限度をオーバー
しがちです。まあ美味しく飲めればイイや と慰めながら。
・小野寺さん
舷灯とはおそれいりました。辞書では舷燈となってましたが舷灯とも記され
るのですね。潮鳴りの発想から、舷灯のほうが絵になり心に響きます。
・豊さん
今回の歌仙は、皆さん良い句になっていると思いました。
作者のコメントは本来ならばなくてもいいのでしょうが、コメントがあった
ほうが理解しやすくて、句をつけるのも悩まずにすむようです。
季語にこだわる必要がないので自由な発想ができて、連句のおもしろさがわ
かったような気がしました。
・深瀬の感想、レビュー
1)自由連句から式目尊重へ
これまでは、自由連句を標榜してきましたが、今回は、歌仙形式とし、初折
表、初折裏、名残表、名残裏の段落を意識し、かつ、季節、座をあらかじめ決
めておくというかなり伝統に則ったものになりました。そのためか、だいぶ連
句らしくなった感じがしました。これは平島さんのご助言や吉良さんの調査に
負うところが大だと感謝します。
2)展開の妙について
初折表、初折裏、名残表、名残裏の各段落に、起承転結を意識する展開とか
、同字重用のこと、付合や展開の妙を含めて、まだやや敷居が高い感じがして
います。
とはいえ、個人プレーの要素の強い俳句とは異なり、人それぞれの若かりし
ころや最近の老境の思いなど、呼応している面もあり、たいへん参考になった
と思いました。
3)付合のコメント
各句の付合については、簡単なコメントを付記していただき、次の詠み手に
回すようにし、過去のはweb に累積するようにしました。この方式は、とりあ
えずは踏襲したいと思います。
4)わたしなりの各句の鑑賞
ご参考までですが、わたしなりの各句の解釈を記してみました。
初折表
朝日が一面の雪に反射しているなか、たくさんの寒椿の朱色がその雪に映え
わたっている。それに圧倒された子供らは、息をのんで見つめている。
初土俵に臨む息子を応援に来た両親は、手に汗して気が気でない。いよいよ
制限時間もいっぱいになった。金星の期待が高まり、座布団が舞う。
お相撲さんの鬢付け油とは違うほのかな髪油をただよわせる女性が静かに月
を見上げている。その先で、旅に疲れ力尽きた雁が落ちて行った。
初折裏
里の方では、秋祭りの笛の音が響きわたっている。こどものころのほのかな
恋ごころがふと思い出される。
映画の寅さんのような感じに、思いを秘めながら今にいたってしまった。一
方、柴又のお饅頭はおいしく、若い女性は遠慮しながらも頬張っている。
寅さんのように挫折を味わっても前向きにチャレンジして生きてきた。確か
に、いつも晴天のときばかりではなかった。
沖合で漁火を焚いて漁をしている船の上には月が皓々と競うように輝いてい
る。浜辺では、線香花火を二つ三つ、たのしんでいる様子だ。
人生、夢幻のごとしと言われるが、過去のことはほとんど忘却の彼方になっ
てしまった。その中から時々ふと古い写真のように思い出されることもある。
訪れる人の少なくなった古寺の庭では、桜の花びらが、苔の上に静かに散っ
ている。あの春爛漫の故郷を高揚した気持ちで後にしたころが懐かしい。
名残表
瀬戸内の島々が春霞のなか、墨絵のような風情を湛えている。どこかで仙人
が詩を詠み酒を酌み交わしているようだ。
ことばの力は時空を超える。弓矢にことばで願いを込めた。その願いはめで
たくかない、見通しもたったことだ。
コロナ禍が世界を覆っている。ことばの力に除夜の鐘の力も加え、災害から
の脱却を確実にしたい。家では、家内と孫が南天の赤い実をみつめている。
三密を避けるため、結婚式が延期されてしまった。一方では、結婚相手に恵
まれず寂しそうにしている人もいる。
「太陽の季節」のような若さあふれる小説も遠い過去の思い出になってしま
った。子供のころ、故郷の夜の海では漁火が頼りなげに浮かんでいた。
40年くらい前の梅雨時の夜、紀尾井坂を歩いているとき、月光のもと白い梔
子が連なり甘い香りを放っていた。家では、夕食に白いとろろ汁の用意が進ん
でいる。
名残裏
海外でも共にした古くからの友人がその人柄にふさわしい麦秋のなか、逝っ
てしまった。あの世へも飄々と煙のように旅立っていることだろう。
かつては炭を焼いていた窯は、見捨てられ紅葉に覆われてしまっている。か
つてはサラリーマン家族で賑わったニュータウンも四葉クローバマークをつけ
た車がひっそり走っている。
年齢とともに人生も円熟し、味わい深いところも見えてきた感じだ。満開の
桜をみた後のなにかむなしい思いもあと何回経験することだろうか。
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2020年7月25日土曜日
2020年7月24日金曜日
七句会 第3 回 自由連句 結果 (2020年4 月~7 月)
七句会 第3 回 自由連句 結果 (2020年4 月~7 月)
初折表
01 発句 朱染めし雪一面に寒椿 小野寺 (春)
02 脇 息のむ子らのみひらく瞳 深瀬 (春)
03 第三 風薫る父母の手に汗初土俵 吉良 (春)
04 四句目 目指せ金星座布団乱舞 志方 (雑)
05 月の座 髪油匂う女が月見上げ 豊 (月)
06 折端 落ちゆく雁の啼くぞ哀しき 小野寺 (秋)
初折裏
07 折立 笛の音の里にしみいる秋まつり 深瀬 (秋)
08 二句目 埋み火のごとこころ騒ぎて 小野寺 (恋)
09 三句目 寅さんの風を背に受け思い秘め 志方 (恋)
10 四句目 乙女恥じらい団子頬張る 吉良 (雑)
11 五句目 来し方を脇目もふらず明日に賭け 小野寺 (雑)
12 六句目 雲のさえぎる日の光にて 豊 (雑)
13 月の座 漁火と競うがごとし夏の月 吉良 (夏)
14 八句目 浜辺に二三線香花火 深瀬 (夏)
15 九句目 夢覚めてたちまち消える面影よ 豊 (雑)
16 十句目 セピア色したアルバム残る 志方 (雑)
17 花の座 人絶えし苔むす寺に花の散り 深瀬) (花)
18 折端 木洩れ陽を瀬に春出帆す 小野寺 (春)
名残表
19 折立 霞立つ瀬戸の島影墨絵かな 志方 (春)
20 二句目 仙人詩い酒酌み交わす 吉良 (雑)
21 三句目 刻 (とき) を越えこの矢当たれと弓を引き 小野寺 (雑)
22 四句目 未来明るき大吉の運 豊 (雑)
23 五句目 憂きことも今年かぎりぞ除夜の鐘 吉良 (冬)
24 六句目 南天の実を妻孫見つめ 深瀬 (冬)
25 七句目 コロナ禍で延期されたる結婚式 豊 (雑)
26 八句目 梅雨にウグイス鳴く声哀し 志方 (恋)
27 九句目 太陽の季節はるけき古稀の夏 深瀬 (恋)
28 十句目 潮鳴りとほく漁火は哭き 小野寺 (雑)
29 月の座 名残花月に白雲梔子と 志方 (月)
30 折端 とろろ汁擦り夕餉の支度 吉良 (秋)
名残裏
31 折立 麦秋の風頬に受け朋は逝き 小野寺 (秋)
32 二句目 空へ流れる煙ひとすじ 豊 (雑)
33 三句目 人は去り紅葉に隠る炭の窯 吉良 (雑)
34 四句目 ニュータウンには四葉クローバ 深瀬 (雑)
35 花の座 年輪を重ねて老いの花が咲き 豊 (花)
36 挙句 春の訪ないあと幾たびか 志方 (花)
注。作成プロセス (付合のコメント) は、下記URL 参照。
http://nanaku-haiku.blogspot.com/2020/04/
初折表
01 発句 朱染めし雪一面に寒椿 小野寺 (春)
02 脇 息のむ子らのみひらく瞳 深瀬 (春)
03 第三 風薫る父母の手に汗初土俵 吉良 (春)
04 四句目 目指せ金星座布団乱舞 志方 (雑)
05 月の座 髪油匂う女が月見上げ 豊 (月)
06 折端 落ちゆく雁の啼くぞ哀しき 小野寺 (秋)
初折裏
07 折立 笛の音の里にしみいる秋まつり 深瀬 (秋)
08 二句目 埋み火のごとこころ騒ぎて 小野寺 (恋)
09 三句目 寅さんの風を背に受け思い秘め 志方 (恋)
10 四句目 乙女恥じらい団子頬張る 吉良 (雑)
11 五句目 来し方を脇目もふらず明日に賭け 小野寺 (雑)
12 六句目 雲のさえぎる日の光にて 豊 (雑)
13 月の座 漁火と競うがごとし夏の月 吉良 (夏)
14 八句目 浜辺に二三線香花火 深瀬 (夏)
15 九句目 夢覚めてたちまち消える面影よ 豊 (雑)
16 十句目 セピア色したアルバム残る 志方 (雑)
17 花の座 人絶えし苔むす寺に花の散り 深瀬) (花)
18 折端 木洩れ陽を瀬に春出帆す 小野寺 (春)
名残表
19 折立 霞立つ瀬戸の島影墨絵かな 志方 (春)
20 二句目 仙人詩い酒酌み交わす 吉良 (雑)
21 三句目 刻 (とき) を越えこの矢当たれと弓を引き 小野寺 (雑)
22 四句目 未来明るき大吉の運 豊 (雑)
23 五句目 憂きことも今年かぎりぞ除夜の鐘 吉良 (冬)
24 六句目 南天の実を妻孫見つめ 深瀬 (冬)
25 七句目 コロナ禍で延期されたる結婚式 豊 (雑)
26 八句目 梅雨にウグイス鳴く声哀し 志方 (恋)
27 九句目 太陽の季節はるけき古稀の夏 深瀬 (恋)
28 十句目 潮鳴りとほく漁火は哭き 小野寺 (雑)
29 月の座 名残花月に白雲梔子と 志方 (月)
30 折端 とろろ汁擦り夕餉の支度 吉良 (秋)
名残裏
31 折立 麦秋の風頬に受け朋は逝き 小野寺 (秋)
32 二句目 空へ流れる煙ひとすじ 豊 (雑)
33 三句目 人は去り紅葉に隠る炭の窯 吉良 (雑)
34 四句目 ニュータウンには四葉クローバ 深瀬 (雑)
35 花の座 年輪を重ねて老いの花が咲き 豊 (花)
36 挙句 春の訪ないあと幾たびか 志方 (花)
注。作成プロセス (付合のコメント) は、下記URL 参照。
http://nanaku-haiku.blogspot.com/2020/04/
2020年6月25日木曜日
七句会 第32回 ネット句会 作品集と自句自解
七句会のみなさま
第三十二回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、
たいへんありがとうございました。
およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ
てお届けします。
今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。
七句会のweb http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。
今後とも、よろしくお願いいたします。
深瀬 (事務方)
1.第32回 ネット句会 作品集
(01) 秋元さん
・コロナ禍に人ざわめきて花散りぬ
・三密で舫のままの屋形船
・川縁の疎らな人にコロナ風
・コロナ禍で街の喧騒過去の夢
・悪名を歴史に刻む武漢風邪
(02) 小野寺さん
・藤棚の花揺らめきて風光り
・コロナから娘逃げ切り風薫る
・雷光の雲低く垂れ燕来る
・稲妻に立ち向かいをり闇の雨
・万緑を越えて峠は風の音
・春風や睫毛に残る陽は眩し
・桜 (はな) 散りて時の足音流れゆき
・滝の音風は碧 (みどり) の光り帯び
・宵宮に埋み火おこり心燃ゆ
・古都の陽は静かに暮れて春の雨
・断捨離に封切り手紙そっと捨て
・夕闇に花閉じ眠る白牡丹
・青麦をザワザワ鳴らし風渡る
・囀 (さえず) りを窓開けて聴く花雲り
・春雷の轟く彼方光る海
・花筏流れの底を魚の影
・黒髪の匂いゆたかに藤の花
・初恋の遠いいたみか花吹雪
・星々が息留めて聴く華の声
・花冷えや墨の香りに筆を留め
・風蒼く橋桁を翔ぶ初燕
(03) 吉良さん
・日溜りのベランダ光る君子蘭
・夫婦老い酒酌み交わし春惜しむ
以前に愛媛県松山・道後温泉に旅した思い出 3句
・花盛る城壁わびし武者の影
・窯煙る砥部の里にも山桜
・子規偲ぶ道後の湯殿若芽吹く
(04) 桑子さん
今回は主に憎くきコロナに関連して読みました。5 句
・人混みを避けて遠目の桜かな
・今日も又濃厚接触妻ひとり
・さあ出番コロナ退治ぞ鍾馗様
・脳トレと名画で刻む春の昼
・レジ袋冠る烏帽子や春時雨
(05) 志方さん
幼いころから、一番好きな季節と風物詩
・浅緑の風に向かいて鯉昇る
コロナは向日葵の代名詞名のはずだが
・向日葵もゴッホも迷惑コロナかな
物憂げ儚い情景を詠んでみました
・春愁の野に漂うは綿帽子
孫の成長と自生の竹の子の生命力が合わさって
・孫が採る筍肴に酒旨し
目に映る純な緑を表現してみました。
・青紅葉風にきらきら枝騒ぐ
薄いオレンジ色の空の暮色
・朧雲日暮れて遠い山の端に
泥縄、泥沼 壊れた司令塔、深海に引き込まれて欲しい
・引き潮の目を剥く速さアベコロナ
(06) 治部さん
・水温む子らとの会話楽しめり
・流失の橋の骸や桜降る
・久々の河原散歩や山笑う
・コロナとて巣籠る老いに春の雪
・蒲公英のわた飛ぶ校庭や寂しげに
・此の春ぞ過去のシネマでやり過ごし
・細道や垣もうっすら暮れの春
・笑顔みゆシロツメクサの四つ葉かな
(07) 中津川さん
スーパーでの買い物で
・密避けて外で妻待つ春キャベツ
外出自粛でこんな感じかなと、今は猫はいませんが
・自粛して猫と昼寝のあたたかさ
無観客場所のテレビを観て
・ぶちかます音や響ける春の場所
テレワークの次女が土曜日に長時間のネット宴会をした
とのことで
・コロナ禍やネット宴会花の宵
コロナから抜け出ませんでした
・夏近しコロナしか出ぬ俳句かな
学校が再開できずにいます
・春休み終われど校庭 (にわ) に声のなし
桜の名所は今年も綺麗に咲きました
・コロナとて今年も変わらぬ桜かな
(08) 橋本さん
春の句
・鶯の初鳴き遠く雲流る
・花に川新緑青空いつまでも
・雨戸開け狭き庭にも春の行く
コロナ禍の春の句
・新入生弾む家路も親マスク
・賑やかな人出まぼろし花の散る
雑詠
・菜園に雀の砂浴び覗き見る
コロナ禍の川柳;アベノマスク
・配る人配るマスクも汚れをり
コロナ禍の川柳;馴染めないコイケゴ
・呼び掛けも何処の人かと田舎人
(09) 宮澤さん
・永眠を恐れ春眠浅くなり
・桜散りつつじ枯れてもコロナ咲く
・鯉のぼりコロナの風で深呼吸
・華の街緑に翠美登利往き
・花一つマラソン人の靴の裏
(10) 森さん
・夕闇に君の襟元白梅香
・紅梅は泪をたたえ君誘う
・百年後も桜並木は君を待つ
・桜花死処を選びて落ちにけり
(11) 柳町さん
我が家前の登校路に子供の声が絶えてすでに2 ヶ月、寂
しいですね
・登校路消えて久しく子らの声
外出自粛でゴルフも行けず、イメージ・ゴルフで日々を
過ごしています
・芝の目の見かたも忘れティーショット
不要不急の外出自粛で孫も我が家に近寄らず、電話で元
気をもらう日々です
・孫の声電話の向こうに遠ざかり
(12) 豊さん
・見ぬままに今年の桜散りにけり
・安静のベッドより見る春の山
・コロナ禍やマスク美人の増える春
・喜びをリモートで知る入社式
・行く春を惜しむ多摩川暮色かな
・春がゆく過去をベンチに置き忘れ
(13) 深瀬
・身売りされ車窓の青田見つめる娘 (こ)
・ひとまばら棺 (ひつぎ) 見送る青田かな
・うすものに黒き瞳や艶 (えん) 湛え
・うすものを羽織りし母の細きかな
・体躯してうすものの僧経唱え
・走る人歩く人コロナ禍五月朝景色
・確かさの老いて狭まる春の靄 (もや)
・コロナ禍に若葉一枝妻飾り
・にぎわいの甍に若葉江戸の街
・老夫婦若葉並木を支え会ひ
・独り寝の耳にこだます猫の恋
・組織人やめて親しき猫の恋
・物干しの街灯の影猫の恋
・ぎゃあどさっ静寂 (しじま) ゆさぶる猫の恋
・孫はさみ妻と指差す春の雲
・母逝きし火葬の空に春の雲
・死に向かふ覚悟はいかに自問せり
・ふるさとを問われ地球と宇宙から
・古来からオスのロマンにメス打算
・足指に力を込めて春散歩
・巣籠もりに老前整理ハイピッチ
2.第32回 ネット句会 自句自解
◎ 小野寺さんの自句自解
・花冷えや墨の香りに筆を留め (5 点-48)
幼年時代祖父から受けた硯を擦り筆で手紙を書く習慣は長じて役に立ちまし
た。漢文の河村廣通先生とは海外駐在中も含めて巻紙に書いた筆の便りの交信
が先生が亡くなられるまで続きました。硯を擦ると心が落ち着き墨の香りが、
花冷えの室内に満ちて筆を留めました。多忙な生活の中で墨の香は心の静謐を
誘ってくれます。
・囀( さえず) りを窓開けて聴く花曇り (3点-40)
葉桜の外の景色は小鳥の囀りと相まって花曇りの春愁を心なしか癒してくれ
る様な気がします。
・花筏流れの底を魚の影 (2点-43)
満開の桜が散り花筏となって川面を流されてゆくふと覗いてみると川底の辺
りに稚魚の走る影があり散る生命と生きる生命の移り変わりを垣間みた思いで
した。
・春雷の轟く彼方光る海 (2点-58)
一瞬の春の嵐、稲妻の雷光の先に遠く水平に海が輝いていて、不思議な光の
ハーモニーでした。
・初恋の遠いいたみか花吹雪 (2点-68)
春も終わりを告げる散りしく花吹雪のなかふと過ぎていった叶わぬ初恋の片
想いを微かな痛みとともに思い出しておりました。
・断捨離に封切り手紙そっと捨て (2点-75)
コロナで自宅待機の断捨離中未開封の手紙をみつけ何故かそっと開封し、一
瞥してそっと捨てたのでした。
・桜 (はな) 散りて時の足音流れけり (2点-80)
宮澤さんご指摘のように爛漫の桜舞い散る中入学式や入社式等様々な行事が
果たせぬまま過ぎてしまった事を散るさくらに、音たてて時が流れてゆくと感
じたものです。
・藤棚の花ゆらめきて風光る (2点-84)
藤棚の藤の花房が風にゆれて逆光の木漏れ陽が空いて、あたかも風が光る錯
覚にとらわれたのでした。
・黒髪の匂いゆたかに藤の花 (2 点-96)
藤棚の藤の花のむせる様な甘い匂いは過ぎた日の長い髪を風になびかせた人
の昔を想いださせました。
・万緑を越えて峠は風の音 (2点-66)
万緑の碧滴る様な山路を越えて来てふと振り返ると、額の大粒の汗を吹き飛
ばすように風が轟々と鳴っておりました。
・雷光の雲低く垂れ燕来る (1点-100)
春雷の稲妻が光る低く垂れた黒い雲の中を初燕が飛んできた。一幅の絵を観
る様な光景でした。
・星々が息留めて聴く華の声 (1点-60)
夜桜の神秘的な美しさを夜も更けた深い静寂 (しじま) の中で天空の遥かな
星たちが、息を留めて華の精の声を聴いているのだと感じました。
・春風や睫毛に残る陽は眩し (1点-94)
宮澤さんの解釈の通りです。葉桜となり春も終わる頃泣き濡れた瞳と睫毛に
残る涙に陽があたり、それを眩しく見つめていた遠い日の思い出ながら、別れ
の日の情景が切なく蘇がえってきました。
・夕闇に花閉じ眠る白牡丹 (1点-103)
牡丹の花は夜が来ると花弁を閉じて眠ります。暗闇が迫る夕暮れ時、眠りに
ついた白牡丹はぼんやりと暗闇の中で白く光ります。牡丹の花が眠る現象は育
ててみて判ります。これも又確かな自然の運行です。
追記
俳句を創る事は絵画作品を創り出す作業に似ています。感動した風景や感じ
た情景を絵筆ではなく言葉で紡ぐ作業は、ある時堰を切ったように、浮かんで
くる風景や事象への再確認です。言葉を組み立てる作業ではなく感動や思いを
人に素直に伝える心ではないか。と最近思うようになりました。
◎ 吉良さんの自句自解
コロナ騒ぎの直前に子規が生まれた松山に旅行した折に詠んだ句です。松山
城の歴史を学んだり、地方の焼き物の町を訪れたりしたときの情景を読みまし
た。
◎ 桑子さんの自句自解
今回はやはりコロナ関連の句がほとんどでした。
・人混みを避けて遠目の桜かな
5 点ももらって恐縮です。花見の時期「人混みを避けて」とだいぶ言われて
おり、そのフレーズを頂いて作りました。実際遠くから眺めて花見のハシゴを
していました。
・今日も又濃厚接触妻ひとり
・脳トレと名画で刻む春の昼
コロナ禍の外出自粛要請の中での実体験です。
・さあ出番コロナ退治ぞ鍾馗様
端午の節句に飾る鍾馗様は疫病を追い出すと言われており、願望を込めて読
みました。
・レジ袋冠る烏帽子や春時雨
買物帰り、雨が降ってきたので雨よけに持っていたレジ袋を冠(かぶ)った
ら、まさに烏帽子のようでその光景を読みました。
◎ 中津川さんの自句自解
世の中と同様七句会俳句も新型コロナウィルス旋風に巻き込まれた様です。
・密避けて外で妻待つ春キャベツ (4点句)
治部さんご指摘のように春キャベツという季語を句の頭に持って来るか悩ん
だところです。今回はスーパーの外で私以外の男性が何人も待っていることを
出したくてあえて春キャベツを強調せず後ろに置きました。
コメント。5点句、4点句、3点句で私以外の6首はいづれも素晴らしく、
選句に迷った句ばかりでした。特に「うすものを羽織し母の細きかな」 はは
はへの思いが伝わりすばらしいと感じましたが、 "うすもの" は夏の季語(今
回は兼題が春)として、恐縮ですが選句外とさせていただきました。
◎ 豊さんの自句自解
・コロナ禍やマスク美人の増える春
俳句というよりも川柳に近い内容なので、どうかと思いましたが、5 点も入
るとは意外でした。わかりやすかったからでしょうか。
・見ぬままに今年の桜散りにけり
いつもなら花見に出かけるのに、今年は外出自粛で外に出られず、気がつけ
ばいつの間にか桜が散ってしまっていた、という心境です。
・安静のベッドより見る春の山
4月下旬から5月の連休明けまで、私は股関節の手術で入院していました。
そのとき病室の窓から見た風景です。
・春がゆく過去をベンチに置き忘れ
治部さんの指摘のとおり、「置き去りに」としたほうが、句に深みが出たよ
うです。
◎ 深瀬の自句自解
・身売りされ車窓の青田見つめる娘 (こ)
昭和恐慌のころの秋田で身売りされる少女の話しを母から聞かされました。
・ひとまばら棺 (ひつぎ) 見送る青田かな
父の遺したアルバムのなかに若くして亡くなった親戚の人の葬儀のセピア色
の写真があります。これは、幟を立てたり、かなりの賑わいのようでしたが。
・うすものに黒き瞳や艶 (えん) 湛え
うすものと聞くとなにかオリエント風の艶っぽいものを連想します。
・うすものを羽織りし母の細きかな
母は勤務医でしたが、それを辞め、70歳をすぎたあるころから急に痩せた感
じでした。もう少し世話をしてあげたらとやや後悔しています。
・体躯してうすものの僧経唱え
体躯は大柄な体つきのつもりですが、誤用のようです。
・走る人歩く人コロナ禍五月朝景色
これまでの朝には出逢わなかった人たちが、トレナーを着て、歩いたり走っ
たりしています。在宅勤務や自宅待機の広がりを感じます。
・確かさの老いて狭まる春の靄 (もや)
高齢になった認知症の専門医だった人のドキュメンタリーを見ました。確か
さが日々減っていくという言葉になにか同感するものがありました。
・コロナ禍に若葉一枝妻飾り
コロナ禍のなかでも、精神的ゆとりを感じたいと思いました。
・にぎわいの甍に若葉江戸の街
若葉は、江戸の黒瓦が並ぶ町並みに似合うように感じました。三越前駅地下
コンコース壁面に常設されている『熈代勝覧』の複製絵巻も念頭に置きました。
・老夫婦若葉並木を支え会ひ
いずれ互いに杖をついたりするのだろうか、想像です。
・独り寝の耳にこだます猫の恋
猫の恋を、少しスマートに詠みたいと思いました。
・組織人やめて親しき猫の恋
サラリーマンのころは、精神的に余裕がなかったなと感じます。
・物干しの街灯の影猫の恋
昭和の物干し台をイメージしました。
・ぎゃあどさっ静寂 (しじま) ゆさぶる猫の恋
一体となって塀の上から落ちる様は想像です。
・孫はさみ妻と指差す春の雲
たまに、息子の嫁さんと家内と二人の男の孫の五人で近くを散歩します。
・母逝きし火葬の空に春の雲
母は10年ほど前の新緑のうつくしい5 月に柿生の方の病院で亡くなりまし
た。火葬の煙を見たわけではありませんが。
・死に向かふ覚悟はいかに自問せり
古稀をすぎるとやはり死を身近に感じます。なにか準備することがあるの
か、むずかしい問いの感じです。
・ふるさとを問われ地球と宇宙から
宇宙飛行士のなんにんかにインタビューするTV番組がありました。そのなか
で、「わたしのふるさとは地球です」と答えていました。そうなると思います。
・古来からオスのロマンにメス打算
「メス打算」は表現がよくありませんが、持続可能性を踏まえた冷静さによ
って、過剰な欲望を抑制し、社会のバランスをとっているように思います。
・足指に力を込めて春散歩
最近、歩くとき、足指で大地を噛むように意識しています。ふらつきが減っ
た感じがします。UFC のマイク・タイソンの歩き方に似ているかも(?) 。
・巣籠もりに老前整理ハイピッチ
コロナ禍の巣籠もりもありますが、老前整理を日々意識する今日この頃です。
----
第三十二回の選句結果を踏まえて、感想や自句自解、等をおよせいただき、
たいへんありがとうございました。
およせいただいたものを、作品集とともに、名前順に、ほぼそのまままとめ
てお届けします。
今後のやり方に、ご意見、等ありましたら、よろしくお願いします。
七句会のweb http://nanaku-haiku.blogspot.jp/ にも掲載してあります。
今後とも、よろしくお願いいたします。
深瀬 (事務方)
1.第32回 ネット句会 作品集
(01) 秋元さん
・コロナ禍に人ざわめきて花散りぬ
・三密で舫のままの屋形船
・川縁の疎らな人にコロナ風
・コロナ禍で街の喧騒過去の夢
・悪名を歴史に刻む武漢風邪
(02) 小野寺さん
・藤棚の花揺らめきて風光り
・コロナから娘逃げ切り風薫る
・雷光の雲低く垂れ燕来る
・稲妻に立ち向かいをり闇の雨
・万緑を越えて峠は風の音
・春風や睫毛に残る陽は眩し
・桜 (はな) 散りて時の足音流れゆき
・滝の音風は碧 (みどり) の光り帯び
・宵宮に埋み火おこり心燃ゆ
・古都の陽は静かに暮れて春の雨
・断捨離に封切り手紙そっと捨て
・夕闇に花閉じ眠る白牡丹
・青麦をザワザワ鳴らし風渡る
・囀 (さえず) りを窓開けて聴く花雲り
・春雷の轟く彼方光る海
・花筏流れの底を魚の影
・黒髪の匂いゆたかに藤の花
・初恋の遠いいたみか花吹雪
・星々が息留めて聴く華の声
・花冷えや墨の香りに筆を留め
・風蒼く橋桁を翔ぶ初燕
(03) 吉良さん
・日溜りのベランダ光る君子蘭
・夫婦老い酒酌み交わし春惜しむ
以前に愛媛県松山・道後温泉に旅した思い出 3句
・花盛る城壁わびし武者の影
・窯煙る砥部の里にも山桜
・子規偲ぶ道後の湯殿若芽吹く
(04) 桑子さん
今回は主に憎くきコロナに関連して読みました。5 句
・人混みを避けて遠目の桜かな
・今日も又濃厚接触妻ひとり
・さあ出番コロナ退治ぞ鍾馗様
・脳トレと名画で刻む春の昼
・レジ袋冠る烏帽子や春時雨
(05) 志方さん
幼いころから、一番好きな季節と風物詩
・浅緑の風に向かいて鯉昇る
コロナは向日葵の代名詞名のはずだが
・向日葵もゴッホも迷惑コロナかな
物憂げ儚い情景を詠んでみました
・春愁の野に漂うは綿帽子
孫の成長と自生の竹の子の生命力が合わさって
・孫が採る筍肴に酒旨し
目に映る純な緑を表現してみました。
・青紅葉風にきらきら枝騒ぐ
薄いオレンジ色の空の暮色
・朧雲日暮れて遠い山の端に
泥縄、泥沼 壊れた司令塔、深海に引き込まれて欲しい
・引き潮の目を剥く速さアベコロナ
(06) 治部さん
・水温む子らとの会話楽しめり
・流失の橋の骸や桜降る
・久々の河原散歩や山笑う
・コロナとて巣籠る老いに春の雪
・蒲公英のわた飛ぶ校庭や寂しげに
・此の春ぞ過去のシネマでやり過ごし
・細道や垣もうっすら暮れの春
・笑顔みゆシロツメクサの四つ葉かな
(07) 中津川さん
スーパーでの買い物で
・密避けて外で妻待つ春キャベツ
外出自粛でこんな感じかなと、今は猫はいませんが
・自粛して猫と昼寝のあたたかさ
無観客場所のテレビを観て
・ぶちかます音や響ける春の場所
テレワークの次女が土曜日に長時間のネット宴会をした
とのことで
・コロナ禍やネット宴会花の宵
コロナから抜け出ませんでした
・夏近しコロナしか出ぬ俳句かな
学校が再開できずにいます
・春休み終われど校庭 (にわ) に声のなし
桜の名所は今年も綺麗に咲きました
・コロナとて今年も変わらぬ桜かな
(08) 橋本さん
春の句
・鶯の初鳴き遠く雲流る
・花に川新緑青空いつまでも
・雨戸開け狭き庭にも春の行く
コロナ禍の春の句
・新入生弾む家路も親マスク
・賑やかな人出まぼろし花の散る
雑詠
・菜園に雀の砂浴び覗き見る
コロナ禍の川柳;アベノマスク
・配る人配るマスクも汚れをり
コロナ禍の川柳;馴染めないコイケゴ
・呼び掛けも何処の人かと田舎人
(09) 宮澤さん
・永眠を恐れ春眠浅くなり
・桜散りつつじ枯れてもコロナ咲く
・鯉のぼりコロナの風で深呼吸
・華の街緑に翠美登利往き
・花一つマラソン人の靴の裏
(10) 森さん
・夕闇に君の襟元白梅香
・紅梅は泪をたたえ君誘う
・百年後も桜並木は君を待つ
・桜花死処を選びて落ちにけり
(11) 柳町さん
我が家前の登校路に子供の声が絶えてすでに2 ヶ月、寂
しいですね
・登校路消えて久しく子らの声
外出自粛でゴルフも行けず、イメージ・ゴルフで日々を
過ごしています
・芝の目の見かたも忘れティーショット
不要不急の外出自粛で孫も我が家に近寄らず、電話で元
気をもらう日々です
・孫の声電話の向こうに遠ざかり
(12) 豊さん
・見ぬままに今年の桜散りにけり
・安静のベッドより見る春の山
・コロナ禍やマスク美人の増える春
・喜びをリモートで知る入社式
・行く春を惜しむ多摩川暮色かな
・春がゆく過去をベンチに置き忘れ
(13) 深瀬
・身売りされ車窓の青田見つめる娘 (こ)
・ひとまばら棺 (ひつぎ) 見送る青田かな
・うすものに黒き瞳や艶 (えん) 湛え
・うすものを羽織りし母の細きかな
・体躯してうすものの僧経唱え
・走る人歩く人コロナ禍五月朝景色
・確かさの老いて狭まる春の靄 (もや)
・コロナ禍に若葉一枝妻飾り
・にぎわいの甍に若葉江戸の街
・老夫婦若葉並木を支え会ひ
・独り寝の耳にこだます猫の恋
・組織人やめて親しき猫の恋
・物干しの街灯の影猫の恋
・ぎゃあどさっ静寂 (しじま) ゆさぶる猫の恋
・孫はさみ妻と指差す春の雲
・母逝きし火葬の空に春の雲
・死に向かふ覚悟はいかに自問せり
・ふるさとを問われ地球と宇宙から
・古来からオスのロマンにメス打算
・足指に力を込めて春散歩
・巣籠もりに老前整理ハイピッチ
2.第32回 ネット句会 自句自解
◎ 小野寺さんの自句自解
・花冷えや墨の香りに筆を留め (5 点-48)
幼年時代祖父から受けた硯を擦り筆で手紙を書く習慣は長じて役に立ちまし
た。漢文の河村廣通先生とは海外駐在中も含めて巻紙に書いた筆の便りの交信
が先生が亡くなられるまで続きました。硯を擦ると心が落ち着き墨の香りが、
花冷えの室内に満ちて筆を留めました。多忙な生活の中で墨の香は心の静謐を
誘ってくれます。
・囀( さえず) りを窓開けて聴く花曇り (3点-40)
葉桜の外の景色は小鳥の囀りと相まって花曇りの春愁を心なしか癒してくれ
る様な気がします。
・花筏流れの底を魚の影 (2点-43)
満開の桜が散り花筏となって川面を流されてゆくふと覗いてみると川底の辺
りに稚魚の走る影があり散る生命と生きる生命の移り変わりを垣間みた思いで
した。
・春雷の轟く彼方光る海 (2点-58)
一瞬の春の嵐、稲妻の雷光の先に遠く水平に海が輝いていて、不思議な光の
ハーモニーでした。
・初恋の遠いいたみか花吹雪 (2点-68)
春も終わりを告げる散りしく花吹雪のなかふと過ぎていった叶わぬ初恋の片
想いを微かな痛みとともに思い出しておりました。
・断捨離に封切り手紙そっと捨て (2点-75)
コロナで自宅待機の断捨離中未開封の手紙をみつけ何故かそっと開封し、一
瞥してそっと捨てたのでした。
・桜 (はな) 散りて時の足音流れけり (2点-80)
宮澤さんご指摘のように爛漫の桜舞い散る中入学式や入社式等様々な行事が
果たせぬまま過ぎてしまった事を散るさくらに、音たてて時が流れてゆくと感
じたものです。
・藤棚の花ゆらめきて風光る (2点-84)
藤棚の藤の花房が風にゆれて逆光の木漏れ陽が空いて、あたかも風が光る錯
覚にとらわれたのでした。
・黒髪の匂いゆたかに藤の花 (2 点-96)
藤棚の藤の花のむせる様な甘い匂いは過ぎた日の長い髪を風になびかせた人
の昔を想いださせました。
・万緑を越えて峠は風の音 (2点-66)
万緑の碧滴る様な山路を越えて来てふと振り返ると、額の大粒の汗を吹き飛
ばすように風が轟々と鳴っておりました。
・雷光の雲低く垂れ燕来る (1点-100)
春雷の稲妻が光る低く垂れた黒い雲の中を初燕が飛んできた。一幅の絵を観
る様な光景でした。
・星々が息留めて聴く華の声 (1点-60)
夜桜の神秘的な美しさを夜も更けた深い静寂 (しじま) の中で天空の遥かな
星たちが、息を留めて華の精の声を聴いているのだと感じました。
・春風や睫毛に残る陽は眩し (1点-94)
宮澤さんの解釈の通りです。葉桜となり春も終わる頃泣き濡れた瞳と睫毛に
残る涙に陽があたり、それを眩しく見つめていた遠い日の思い出ながら、別れ
の日の情景が切なく蘇がえってきました。
・夕闇に花閉じ眠る白牡丹 (1点-103)
牡丹の花は夜が来ると花弁を閉じて眠ります。暗闇が迫る夕暮れ時、眠りに
ついた白牡丹はぼんやりと暗闇の中で白く光ります。牡丹の花が眠る現象は育
ててみて判ります。これも又確かな自然の運行です。
追記
俳句を創る事は絵画作品を創り出す作業に似ています。感動した風景や感じ
た情景を絵筆ではなく言葉で紡ぐ作業は、ある時堰を切ったように、浮かんで
くる風景や事象への再確認です。言葉を組み立てる作業ではなく感動や思いを
人に素直に伝える心ではないか。と最近思うようになりました。
◎ 吉良さんの自句自解
コロナ騒ぎの直前に子規が生まれた松山に旅行した折に詠んだ句です。松山
城の歴史を学んだり、地方の焼き物の町を訪れたりしたときの情景を読みまし
た。
◎ 桑子さんの自句自解
今回はやはりコロナ関連の句がほとんどでした。
・人混みを避けて遠目の桜かな
5 点ももらって恐縮です。花見の時期「人混みを避けて」とだいぶ言われて
おり、そのフレーズを頂いて作りました。実際遠くから眺めて花見のハシゴを
していました。
・今日も又濃厚接触妻ひとり
・脳トレと名画で刻む春の昼
コロナ禍の外出自粛要請の中での実体験です。
・さあ出番コロナ退治ぞ鍾馗様
端午の節句に飾る鍾馗様は疫病を追い出すと言われており、願望を込めて読
みました。
・レジ袋冠る烏帽子や春時雨
買物帰り、雨が降ってきたので雨よけに持っていたレジ袋を冠(かぶ)った
ら、まさに烏帽子のようでその光景を読みました。
◎ 中津川さんの自句自解
世の中と同様七句会俳句も新型コロナウィルス旋風に巻き込まれた様です。
・密避けて外で妻待つ春キャベツ (4点句)
治部さんご指摘のように春キャベツという季語を句の頭に持って来るか悩ん
だところです。今回はスーパーの外で私以外の男性が何人も待っていることを
出したくてあえて春キャベツを強調せず後ろに置きました。
コメント。5点句、4点句、3点句で私以外の6首はいづれも素晴らしく、
選句に迷った句ばかりでした。特に「うすものを羽織し母の細きかな」 はは
はへの思いが伝わりすばらしいと感じましたが、 "うすもの" は夏の季語(今
回は兼題が春)として、恐縮ですが選句外とさせていただきました。
◎ 豊さんの自句自解
・コロナ禍やマスク美人の増える春
俳句というよりも川柳に近い内容なので、どうかと思いましたが、5 点も入
るとは意外でした。わかりやすかったからでしょうか。
・見ぬままに今年の桜散りにけり
いつもなら花見に出かけるのに、今年は外出自粛で外に出られず、気がつけ
ばいつの間にか桜が散ってしまっていた、という心境です。
・安静のベッドより見る春の山
4月下旬から5月の連休明けまで、私は股関節の手術で入院していました。
そのとき病室の窓から見た風景です。
・春がゆく過去をベンチに置き忘れ
治部さんの指摘のとおり、「置き去りに」としたほうが、句に深みが出たよ
うです。
◎ 深瀬の自句自解
・身売りされ車窓の青田見つめる娘 (こ)
昭和恐慌のころの秋田で身売りされる少女の話しを母から聞かされました。
・ひとまばら棺 (ひつぎ) 見送る青田かな
父の遺したアルバムのなかに若くして亡くなった親戚の人の葬儀のセピア色
の写真があります。これは、幟を立てたり、かなりの賑わいのようでしたが。
・うすものに黒き瞳や艶 (えん) 湛え
うすものと聞くとなにかオリエント風の艶っぽいものを連想します。
・うすものを羽織りし母の細きかな
母は勤務医でしたが、それを辞め、70歳をすぎたあるころから急に痩せた感
じでした。もう少し世話をしてあげたらとやや後悔しています。
・体躯してうすものの僧経唱え
体躯は大柄な体つきのつもりですが、誤用のようです。
・走る人歩く人コロナ禍五月朝景色
これまでの朝には出逢わなかった人たちが、トレナーを着て、歩いたり走っ
たりしています。在宅勤務や自宅待機の広がりを感じます。
・確かさの老いて狭まる春の靄 (もや)
高齢になった認知症の専門医だった人のドキュメンタリーを見ました。確か
さが日々減っていくという言葉になにか同感するものがありました。
・コロナ禍に若葉一枝妻飾り
コロナ禍のなかでも、精神的ゆとりを感じたいと思いました。
・にぎわいの甍に若葉江戸の街
若葉は、江戸の黒瓦が並ぶ町並みに似合うように感じました。三越前駅地下
コンコース壁面に常設されている『熈代勝覧』の複製絵巻も念頭に置きました。
・老夫婦若葉並木を支え会ひ
いずれ互いに杖をついたりするのだろうか、想像です。
・独り寝の耳にこだます猫の恋
猫の恋を、少しスマートに詠みたいと思いました。
・組織人やめて親しき猫の恋
サラリーマンのころは、精神的に余裕がなかったなと感じます。
・物干しの街灯の影猫の恋
昭和の物干し台をイメージしました。
・ぎゃあどさっ静寂 (しじま) ゆさぶる猫の恋
一体となって塀の上から落ちる様は想像です。
・孫はさみ妻と指差す春の雲
たまに、息子の嫁さんと家内と二人の男の孫の五人で近くを散歩します。
・母逝きし火葬の空に春の雲
母は10年ほど前の新緑のうつくしい5 月に柿生の方の病院で亡くなりまし
た。火葬の煙を見たわけではありませんが。
・死に向かふ覚悟はいかに自問せり
古稀をすぎるとやはり死を身近に感じます。なにか準備することがあるの
か、むずかしい問いの感じです。
・ふるさとを問われ地球と宇宙から
宇宙飛行士のなんにんかにインタビューするTV番組がありました。そのなか
で、「わたしのふるさとは地球です」と答えていました。そうなると思います。
・古来からオスのロマンにメス打算
「メス打算」は表現がよくありませんが、持続可能性を踏まえた冷静さによ
って、過剰な欲望を抑制し、社会のバランスをとっているように思います。
・足指に力を込めて春散歩
最近、歩くとき、足指で大地を噛むように意識しています。ふらつきが減っ
た感じがします。UFC のマイク・タイソンの歩き方に似ているかも(?) 。
・巣籠もりに老前整理ハイピッチ
コロナ禍の巣籠もりもありますが、老前整理を日々意識する今日この頃です。
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2020年6月8日月曜日
七句会 第三十二回ネット句会の選句の結果です。
七句会のみなさま
第三十二回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
5 点句
(015) コロナ禍やマスク美人の増える春 豊
(027) 人混みを避けて遠目の桜かな 桑子
(048) 花冷えや墨の香りに筆を留め 小野寺
4 点句
(038) 密避けて外で妻待つ春キャベツ 中津川
(070) うすものを羽織りし母の細きかな 深瀬
3 点句
(040) 囀 (さえず) りを窓開けて聴く花雲り 小野寺
(085) 流失の橋の骸や桜降る 治部
2 点句
(003) 蒲公英のわた飛ぶ校庭や寂しげに 治部
(023) 見ぬままに今年の桜散りにけり 豊
(037) 三密で舫のままの屋形船 秋元
(046) 夕闇に君の襟元白梅香 森
(053) 花筏流れの底を魚の影 小野寺
(055) 笑顔みゆシロツメクサの四つ葉かな 治部
(058) 春雷の轟く彼方光る海 小野寺
(064) にぎわいの甍に若葉江戸の街 深瀬
(066) 万緑を越えて峠は風の音 小野寺
(068) 初恋の遠いいたみか花吹雪 小野寺
(073) 春がゆく過去をベンチに置き忘れ 豊
(075) 断捨離に封切り手紙そっと捨て 小野寺
(080) 桜 (はな) 散りて時の足音流れゆき 小野寺
(084) 藤棚の花揺らめきて風光り 小野寺
(088) 花盛る城壁わびし武者の影 吉良
(096) 黒髪の匂いゆたかに藤の花 小野寺
(102) 花一つマラソン人の靴の裏 宮澤
(105) うすものに黒き瞳や艶 (えん) 湛え 深瀬
下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
次回については、7 月下旬ころ (季節の変わり目を意識します。) にご連絡
したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。やり方、等について、
ご意見がありましたら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
今回の選句には、下記の15名が参加しました。
秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さ
ん、中津川さん、橋本さん、藤原さん、宮澤さん、森さん、柳町さん、豊さん、
深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては6 月21日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
(3) 自由連句について
第3 回の自由連句 (歌仙) は、今現在、20句まで進みました。上記のURL か
ら参照可能です。
2020.06.08
代表 橋口侯之介 (休会中)
顧問 豊 宣光
事務方 深瀬久敬
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1.兼題 コロナ禍
(001) コロナ禍で街の喧騒過去の夢 秋元
コロナ禍の川柳;馴染めないコイケゴ
(002) 呼び掛けも何処の人かと田舎人 橋本
(003) 蒲公英のわた飛ぶ校庭や寂しげに 治部
1 柳町
2 秋岡 家の周りの犬の散歩が日課ですが、小学校の
校庭はいつも閑散としていて本当に寂しげで残念です。
外出自粛でゴルフも行けず、イメージ・ゴルフで日々
を過ごしています
(004) 芝の目の見かたも忘れティーショット 柳町
テレワークの次女が土曜日に長時間のネット宴会をし
たとのことで
(005) コロナ禍やネット宴会花の宵 中津川
(006) 安静のベッドより見る春の山 豊
(007) 鯉のぼりコロナの風で深呼吸 宮澤
1 森
コロナ禍の春の句 2 句
(008) 新入生弾む家路も親マスク 橋本
(009) 賑やかな人出まぼろし花の散る 橋本
1 治部 いつもの賑わいがまぼろしのような寂しさの中
で散る桜は、それはそれで美しいものでしょうが、はか
なき人生につながります。花が岡江久美子さんに重なる
のは選者だけでしょうかね。
不要不急の外出自粛で孫も我が家に近寄らず、電話で
元気をもらう日々です
(010) 孫の声電話の向こうに遠ざかり 柳町
外出自粛でこんな感じかなと、今は猫はいませんが
(011) 自粛して猫と昼寝のあたたかさ 中津川
1 秋元
(012) 川縁の疎らな人にコロナ風 秋元
(013) 此の春ぞ過去のシネマでやり過ごし 治部
1 中津川 やり過ごしの表現に外出できないイライラが
込められていますね。
(014) 走る人歩く人コロナ禍五月朝景色 深瀬
(015) コロナ禍やマスク美人の増える春 豊
1 宮澤 三密避けて夜外出、折あしく春雨が降り出し、
遠くに傘をさすマスク美人が目に留まる。夜目、遠目、
傘の内にマスクとくれば皆美人。
2 藤原
3 深瀬 同感します。コロナ禍ですれ違う人が変わっ
たせいだけではない? 不思議な感覚です。
4 秋岡 確かに目元のきれいな女性が多いのを感じます。
失礼ながら眉毛やまつげは加工がしやすいのかなあ (?)。
5 小野寺 マスクして目元だけ見ると皆美人に見える春。
目は口ほどにものをいうですね。
(016) 桜散りつつじ枯れてもコロナ咲く 宮澤
無観客場所のテレビを観て
(017) ぶちかます音や響ける春の場所 中津川
(018) コロナから娘逃げ切り風薫る 小野寺
コロナは向日葵の代名詞名のはずだが
(019) 向日葵もゴッホも迷惑コロナかな 志方
泥縄、泥沼 壊れた司令塔、深海に引き込まれて欲し
い
(020) 引き潮の目を剥く速さアベコロナ 志方
1 橋本 節度無き長すぎる政権、コロナと共に消えて
欲しい。
(021) コロナ禍に若葉一枝妻飾り 深瀬
1 中津川
コロナから抜け出ませんでした
(022) 夏近しコロナしか出ぬ俳句かな 中津川
1 橋本
(023) 見ぬままに今年の桜散りにけり 豊
1 柳町
2 吉良 本当に残念なことでした。また来年に期待し
たいものです。
(024) コロナとて巣籠る老いに春の雪 治部
コロナ禍の川柳;アベノマスク
(025) 配る人配るマスクも汚れをり 橋本
学校が再開できずにいます
(026) 春休み終われど校庭 (にわ) に声のなし 中津川
1 柳町
今回は主に憎くきコロナに関連して読みました。5 句
(027) 人混みを避けて遠目の桜かな 桑子
1 治部 三密防止の中でも桜は咲きます。心無い人で
混んでいるのでしょうか。作者が色々考えながら遠く
から見ている様子が伝わります。コロナ禍ではなくて
もありうる光景がよいと思います。
2 秋元
3 豊 コロナ禍の花見の様子がうまく表現されてい
ます。
4 秋岡 幸いにも近所の桜はそれほど有名な場所では
なかったのでいつものようにゆっくり鑑賞できました。
密集ではない程度に人は集まっていました。
5 小野寺 人ごみを避けるようにして遠目に観る桜は又
かえって風情があるのでしょう。
(028) 今日も又濃厚接触妻ひとり 桑子
1 深瀬 おもしろい句だと思いました。濃厚接触とい
うのもリアリティーがあり、すごい言葉だと思います。
(029) さあ出番コロナ退治ぞ鍾馗様 桑子
(030) 脳トレと名画で刻む春の昼 桑子
(031) レジ袋冠る烏帽子や春時雨 桑子
1 柳町
(032) コロナ禍に人ざわめきて花散りぬ 秋元
(033) 喜びをリモートで知る入社式 豊
1 中津川
桜の名所は今年も綺麗に咲きました
(034) コロナとて今年も変わらぬ桜かな 中津川
(035) 悪名を歴史に刻む武漢風邪 秋元
(036) 巣籠もりに老前整理ハイピッチ 深瀬
1 秋岡 確かに持て余す時間で身の回りの整理が随
分進みました。
(037) 三密で舫のままの屋形船 秋元
1 橋本 解除は一番遅れそうですね。
2 宮澤 人は三密を避け、屋形船は舫で密に。あちら
を立てるためにこちらは密で我慢しています。
(038) 密避けて外で妻待つ春キャベツ 中津川
1 治部 選者も同様です。ソーシャルディスタンスを
保ちつつ人々を観察しています。この句は季語を主役
に「春キャベツ外で妻待つ密避けて」でいただきまし
た。
2 桑子 スーパーかと思いますが、我々亭主は荷物運
びに必要なだけですからね。
3 深瀬 コロナ禍での日常生活の一断面が鋭く切り取
られている感じです。
4 秋岡 今年の春はこんな情景があちこちで見られま
したが、春キャベツがいいですね。
我が家前の登校路に子供の声が絶えてすでに2 ヶ月、
寂しいですね
(039) 登校路消えて久しく子らの声 柳町
1 小野寺 コロナ休校でふと気がつくと賑やかに話しな
がら子供達がいない。寂しさが募りますね。
2.兼題春、雑詠
(040) 囀 (さえず) りを窓開けて聴く花雲り 小野寺
1 秋元
2 中津川
3 桑子
孫の成長と自生の竹の子の生命力が合わさって
(041) 孫が採る筍肴に酒旨し 志方
(042) 華の街緑に翠美登利往き 宮澤
1 柳町
(043) 花に川新緑青空いつまでも 橋本
(044) 母逝きし火葬の空に春の雲 深瀬
1 小野寺 母を亡くし火葬場の空に煙が垂れて春が一層
に寂しさを増します。
(045) 久々の河原散歩や山笑う 治部
(046) 夕闇に君の襟元白梅香 森
1 治部 君とは誰ですか?襟元からのぞく肌に白梅の
色と香りを感じるとはまだまだ現役ですね。しかし、
これは妄想だと思いますよ。俳句としては・・ 選者
は決して羨ましいのではありません・・・
2 藤原
(047) 組織人やめて親しき猫の恋 深瀬
(048) 花冷えや墨の香りに筆を留め 小野寺
1 吉良 習字に励んでいるのでしょうか、墨の何とも
言えなえい香は日本の伝統を感じさせます。
2 秋元
3 豊 書道で文字を書いていたら、濃い墨の香りが
して思わず筆を留めた。清々しさがいいですね。「花
冷え」の季語も効果的です。
4 宮澤 何か一筆と筆をとり、花冷えに、障子を閉め
ると漂う墨の香りに気付き心がなごむという感じで便
りを書きたいな。でも、墨をするなど大昔の話。そも
そも、毛筆の手紙など書いたことあったっけ。
5 藤原
(049) 確かさの老いて狭まる春の靄 (もや) 深瀬
(050) 稲妻に立ち向かいをり闇の雨 小野寺
(051) 足指に力を込めて春散歩 深瀬
(052) 永眠を恐れ春眠浅くなり 宮澤
1 秋岡 中々ショッキングな一句ですね。歳を取ると
いうことは複雑ですね。
(053) 花筏流れの底を魚の影 小野寺
1 柳町
2 豊 川面いっぱいに桜の花びらが流れている下を
泳いでいる魚の影が見えた。何の稚魚でしょうか。き
れいな句です。
(054) 桜花死処を選びて落ちにけり 森
1 志方 古希過ぎて、実感できる句です。
(055) 笑顔みゆシロツメクサの四つ葉かな 治部
1 志方 ツメクサの朝の滴が目に浮かぶ。
2 橋本
(056) 古都の陽は静かに暮れて春の雨 小野寺
1 藤原
(057) ふるさとを問われ地球と宇宙から 深瀬
1 豊 おもしろい発想の句ですが、ややわかりにく
いです。「宇宙」から問われて「地球」と答えたので
しょうか。それとも違う意味があるのでしょうか。
(058) 春雷の轟く彼方光る海 小野寺
1 吉良 絵になる光景です。
2 志方 一瞬の光のときめきの表現がターナの絵画み
たい。
(059) 孫はさみ妻と指差す春の雲 深瀬
1 桑子 春ののどかな光景が目に浮かびます。
(060) 星々が息留めて聴く華の声 小野寺
1 深瀬 桜の花の美しさが、宇宙スケールで表現され
ていると思います。「息留めて聴く」という表現はユ
ニーク。
(061) 身売りされ車窓の青田見つめる娘 (こ) 深瀬
(062) 滝の音風は碧 (みどり) の光り帯び 小野寺
1 志方 春の盛りの彩が味わえます。
(063) 鶯の初鳴き遠く雲流る 橋本
1 藤原
(064) にぎわいの甍に若葉江戸の街 深瀬
1 秋元
2 豊 江戸の街の初夏の風景を巧みに詠み込んでい
ます。300 年前にタイムスリップした感じです。
薄いオレンジ色の空の暮色
(065) 朧雲日暮れて遠い山の端に 志方
(066) 万緑を越えて峠は風の音 小野寺
1 志方 風の通り路が上手く表現されていると思いま
す。
2 橋本
(067) 死に向かふ覚悟はいかに自問せり 深瀬
0 秋岡 選句外として、季語が良くわからなかったの
ですが、作者の内なる感情が伝わってきて捨てがたい
句だなあ感じました。
(068) 初恋の遠いいたみか花吹雪 小野寺
1 柳町
2 森
(069) 細道や垣もうっすら暮れの春 治部
(070) うすものを羽織りし母の細きかな 深瀬
1 治部 今年も衣替えの季節になりましたが、夏物は
記事が薄く母の細さがあはれをさそいます。母上に感
謝していたわっている作者の気持ちが伝わります。
2 桑子 お母様への愛しさが感じます。
3 豊 母親に対する作者の愛情が感じられる句です。
4 小野寺 薄物を羽織った母が老いて細くなったなとし
みじみ思ったのですね。
0 秋岡 選句外として、季語が良くわからなかったの
ですが、作者の内なる感情が伝わってきて捨てがたい
句だなあ感じました。
(071) 青麦をザワザワ鳴らし風渡る 小野寺
目に映る純な緑を表現してみました。
(072) 青紅葉風にきらきら枝騒ぐ 志方
(073) 春がゆく過去をベンチに置き忘れ 豊
1 治部 共感できる句です。ベンチがいいですね。誰
と座っていたのでしょう。相手の人が過去の人なので
すね。特に人ではないのですかね。忘れたいのか、忘
れてしまったのか。選者の場合は、「置いたまま」と
か、「置き去りに」とか意思を見せたいです。
2 深瀬 なにか青春歌謡の歌詞のような感じもします
が、なにか想像がふくらみます。
(074) 百年後も桜並木は君を待つ 森
(075) 断捨離に封切り手紙そっと捨て 小野寺
1 桑子 「そっと捨て」の表現がステキです。誰から
の手紙だったか興味をそそります。
2 深瀬 身辺整理は身近な課題ですが、そういうこと
もあるのかと心が動かされました。
(076) ひとまばら棺 (ひつぎ) 見送る青田かな 深瀬
幼いころから、一番好きな季節と風物詩
(077) 浅緑の風に向かいて鯉昇る 志方
(078) 夫婦老い酒酌み交わし春惜しむ 吉良
(079) 独り寝の耳にこだます猫の恋 深瀬
(080) 桜 (はな) 散りて時の足音流れゆき 小野寺
1 吉良 毎年桜を迎えるころになると一年無事であっ
たことを意識させられます。
2 宮澤 時の移ろいを、卒業式、結婚式、入学式など
の行事で感ずることが多いが、コロナ禍の中では、春
の訪れの開花にも気付かず、舞う花びらでそうか、も
う春かと気付く切なさ。
(081) 菜園に雀の砂浴び覗き見る 橋本
1 中津川
(082) 古来からオスのロマンにメス打算 深瀬
1 小野寺 古代の昔から牡の本性はロマンチストな阿呆。
牝は計算高い存在と相場が決まってますね。笑
(083) 雨戸開け狭き庭にも春の行く 橋本
(084) 藤棚の花揺らめきて風光り 小野寺
1 志方 もう初夏の訪れですかね。
2 宮澤 藤棚の隙間を風が抜ける。隙間から漏れる光
は風の道を照らしている。ちょうどよい具合の風と光
のハーモニー。
(085) 流失の橋の骸や桜降る 治部
1 吉良 昨年は全国の大雨による天災が目立つ年でし
た。今年は平穏な年となることを桜が祈っている気が
します。
2 中津川 昨年の台風の爪痕でしょうか、毎年季節は廻
ります。
3 橋本
(086) ぎゃあどさっ静寂 (しじま) ゆさぶる猫の恋 深瀬
1 桑子 擬音語?の表現がいいです。騒々しさが伝わ
ってきます。
(087) 宵宮に埋み火おこり心燃ゆ 小野寺
以前に愛媛県松山・道後温泉に旅した思い出 3句
(088) 花盛る城壁わびし武者の影 吉良
1 深瀬 「春高楼の花の宴」に近いイメージかなと思
いましたが、「武者の影」も想像豊かな感じがしまし
た。
2 秋岡 古城の石垣だけが残る城壁には、特ににそん
な雰囲気がありますね。
(089) 窯煙る砥部の里にも山桜 吉良
1 秋元
(090) 子規偲ぶ道後の湯殿若芽吹く 吉良
1 治部 道後温泉いいですよね。選者も入りましたが、
深さが微妙で少し戸惑いました。若芽が時期を特定し
て、同じ風景を変えています。漱石も入ったんでしょ
うね。
(091) 風蒼く橋桁を翔ぶ初燕 小野寺
1 吉良 燕の元気な姿をみると元気がでます。
(092) 紅梅は泪をたたえ君誘う 森
1 森
(093) 体躯してうすものの僧経唱え 深瀬
(094) 春風や睫毛に残る陽は眩し 小野寺
1 宮澤 涙目の睫毛に漂うひとしずくに陽が当たる。
たいしたことなく泣いたのに、まぶしいほど日が輝い
ている。・・・なんちゃって。70歳の翁。青春懐かし
いです。
(095) 行く春を惜しむ多摩川暮色かな 豊
1 志方 コロナ自粛で、チャリ移動が多くなり、多摩
川堤で何度か目に焼き付く情景です。
(096) 黒髪の匂いゆたかに藤の花 小野寺
1 吉良 黒髪は昔の思い出か?日本画の絵を見るよう
な感じがします。
2 秋元
(097) 日溜りのベランダ光る君子蘭 吉良
物憂げ儚い情景を詠んでみました
(098) 春愁の野に漂うは綿帽子 志方
1 橋本
(099) 老夫婦若葉並木を支え会ひ 深瀬
(100) 雷光の雲低く垂れ燕来る 小野寺
1 豊 「雷光の雲」と「燕」の取り合わせが一つの
風景を見事に表しています。
(101) 物干しの街灯の影猫の恋 深瀬
(102) 花一つマラソン人の靴の裏 宮澤
1 中津川
2 桑子
(103) 夕闇に花閉じ眠る白牡丹 小野寺
1 藤原
(104) 水温む子らとの会話楽しめり 治部
(105) うすものに黒き瞳や艶 (えん) 湛え 深瀬
1 柳町
2 小野寺 薄物の着ながし黒い瞳に見つめられたら男は
引くに引かれませんね。
----
第三十二回の七句会にご参加いただきたいへんありがとうございました。
今回の選句結果をご報告いたします。
5 点句
(015) コロナ禍やマスク美人の増える春 豊
(027) 人混みを避けて遠目の桜かな 桑子
(048) 花冷えや墨の香りに筆を留め 小野寺
4 点句
(038) 密避けて外で妻待つ春キャベツ 中津川
(070) うすものを羽織りし母の細きかな 深瀬
3 点句
(040) 囀 (さえず) りを窓開けて聴く花雲り 小野寺
(085) 流失の橋の骸や桜降る 治部
2 点句
(003) 蒲公英のわた飛ぶ校庭や寂しげに 治部
(023) 見ぬままに今年の桜散りにけり 豊
(037) 三密で舫のままの屋形船 秋元
(046) 夕闇に君の襟元白梅香 森
(053) 花筏流れの底を魚の影 小野寺
(055) 笑顔みゆシロツメクサの四つ葉かな 治部
(058) 春雷の轟く彼方光る海 小野寺
(064) にぎわいの甍に若葉江戸の街 深瀬
(066) 万緑を越えて峠は風の音 小野寺
(068) 初恋の遠いいたみか花吹雪 小野寺
(073) 春がゆく過去をベンチに置き忘れ 豊
(075) 断捨離に封切り手紙そっと捨て 小野寺
(080) 桜 (はな) 散りて時の足音流れゆき 小野寺
(084) 藤棚の花揺らめきて風光り 小野寺
(088) 花盛る城壁わびし武者の影 吉良
(096) 黒髪の匂いゆたかに藤の花 小野寺
(102) 花一つマラソン人の靴の裏 宮澤
(105) うすものに黒き瞳や艶 (えん) 湛え 深瀬
下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
次回については、7 月下旬ころ (季節の変わり目を意識します。) にご連絡
したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。やり方、等について、
ご意見がありましたら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
事務方から、以下、ご連絡、ご依頼です。
(1) 選句参加者
今回の選句には、下記の15名が参加しました。
秋岡さん、秋元さん、小野寺さん、吉良さん、桑子さん、志方さん、治部さ
ん、中津川さん、橋本さん、藤原さん、宮澤さん、森さん、柳町さん、豊さん、
深瀬。
(2) 今回の句会の結果を踏まえた自句自解、感想、等の募集について
今回の句会の選句結果を踏まえて、各自、表明しておきたいこともあるので
はないかと思いますので、自句自解、感想、等、なんでも結構ですので、募り
たいと思います。一応、期限としては6 月21日とし、事務方にメールでいただ
き、それを七句会の下記のweb に掲載することにしたいと思います。
http://nanaku-haiku.blogspot.jp/
(3) 自由連句について
第3 回の自由連句 (歌仙) は、今現在、20句まで進みました。上記のURL か
ら参照可能です。
2020.06.08
代表 橋口侯之介 (休会中)
顧問 豊 宣光
事務方 深瀬久敬
----------------------------------------------------------------------
1.兼題 コロナ禍
(001) コロナ禍で街の喧騒過去の夢 秋元
コロナ禍の川柳;馴染めないコイケゴ
(002) 呼び掛けも何処の人かと田舎人 橋本
(003) 蒲公英のわた飛ぶ校庭や寂しげに 治部
1 柳町
2 秋岡 家の周りの犬の散歩が日課ですが、小学校の
校庭はいつも閑散としていて本当に寂しげで残念です。
外出自粛でゴルフも行けず、イメージ・ゴルフで日々
を過ごしています
(004) 芝の目の見かたも忘れティーショット 柳町
テレワークの次女が土曜日に長時間のネット宴会をし
たとのことで
(005) コロナ禍やネット宴会花の宵 中津川
(006) 安静のベッドより見る春の山 豊
(007) 鯉のぼりコロナの風で深呼吸 宮澤
1 森
コロナ禍の春の句 2 句
(008) 新入生弾む家路も親マスク 橋本
(009) 賑やかな人出まぼろし花の散る 橋本
1 治部 いつもの賑わいがまぼろしのような寂しさの中
で散る桜は、それはそれで美しいものでしょうが、はか
なき人生につながります。花が岡江久美子さんに重なる
のは選者だけでしょうかね。
不要不急の外出自粛で孫も我が家に近寄らず、電話で
元気をもらう日々です
(010) 孫の声電話の向こうに遠ざかり 柳町
外出自粛でこんな感じかなと、今は猫はいませんが
(011) 自粛して猫と昼寝のあたたかさ 中津川
1 秋元
(012) 川縁の疎らな人にコロナ風 秋元
(013) 此の春ぞ過去のシネマでやり過ごし 治部
1 中津川 やり過ごしの表現に外出できないイライラが
込められていますね。
(014) 走る人歩く人コロナ禍五月朝景色 深瀬
(015) コロナ禍やマスク美人の増える春 豊
1 宮澤 三密避けて夜外出、折あしく春雨が降り出し、
遠くに傘をさすマスク美人が目に留まる。夜目、遠目、
傘の内にマスクとくれば皆美人。
2 藤原
3 深瀬 同感します。コロナ禍ですれ違う人が変わっ
たせいだけではない? 不思議な感覚です。
4 秋岡 確かに目元のきれいな女性が多いのを感じます。
失礼ながら眉毛やまつげは加工がしやすいのかなあ (?)。
5 小野寺 マスクして目元だけ見ると皆美人に見える春。
目は口ほどにものをいうですね。
(016) 桜散りつつじ枯れてもコロナ咲く 宮澤
無観客場所のテレビを観て
(017) ぶちかます音や響ける春の場所 中津川
(018) コロナから娘逃げ切り風薫る 小野寺
コロナは向日葵の代名詞名のはずだが
(019) 向日葵もゴッホも迷惑コロナかな 志方
泥縄、泥沼 壊れた司令塔、深海に引き込まれて欲し
い
(020) 引き潮の目を剥く速さアベコロナ 志方
1 橋本 節度無き長すぎる政権、コロナと共に消えて
欲しい。
(021) コロナ禍に若葉一枝妻飾り 深瀬
1 中津川
コロナから抜け出ませんでした
(022) 夏近しコロナしか出ぬ俳句かな 中津川
1 橋本
(023) 見ぬままに今年の桜散りにけり 豊
1 柳町
2 吉良 本当に残念なことでした。また来年に期待し
たいものです。
(024) コロナとて巣籠る老いに春の雪 治部
コロナ禍の川柳;アベノマスク
(025) 配る人配るマスクも汚れをり 橋本
学校が再開できずにいます
(026) 春休み終われど校庭 (にわ) に声のなし 中津川
1 柳町
今回は主に憎くきコロナに関連して読みました。5 句
(027) 人混みを避けて遠目の桜かな 桑子
1 治部 三密防止の中でも桜は咲きます。心無い人で
混んでいるのでしょうか。作者が色々考えながら遠く
から見ている様子が伝わります。コロナ禍ではなくて
もありうる光景がよいと思います。
2 秋元
3 豊 コロナ禍の花見の様子がうまく表現されてい
ます。
4 秋岡 幸いにも近所の桜はそれほど有名な場所では
なかったのでいつものようにゆっくり鑑賞できました。
密集ではない程度に人は集まっていました。
5 小野寺 人ごみを避けるようにして遠目に観る桜は又
かえって風情があるのでしょう。
(028) 今日も又濃厚接触妻ひとり 桑子
1 深瀬 おもしろい句だと思いました。濃厚接触とい
うのもリアリティーがあり、すごい言葉だと思います。
(029) さあ出番コロナ退治ぞ鍾馗様 桑子
(030) 脳トレと名画で刻む春の昼 桑子
(031) レジ袋冠る烏帽子や春時雨 桑子
1 柳町
(032) コロナ禍に人ざわめきて花散りぬ 秋元
(033) 喜びをリモートで知る入社式 豊
1 中津川
桜の名所は今年も綺麗に咲きました
(034) コロナとて今年も変わらぬ桜かな 中津川
(035) 悪名を歴史に刻む武漢風邪 秋元
(036) 巣籠もりに老前整理ハイピッチ 深瀬
1 秋岡 確かに持て余す時間で身の回りの整理が随
分進みました。
(037) 三密で舫のままの屋形船 秋元
1 橋本 解除は一番遅れそうですね。
2 宮澤 人は三密を避け、屋形船は舫で密に。あちら
を立てるためにこちらは密で我慢しています。
(038) 密避けて外で妻待つ春キャベツ 中津川
1 治部 選者も同様です。ソーシャルディスタンスを
保ちつつ人々を観察しています。この句は季語を主役
に「春キャベツ外で妻待つ密避けて」でいただきまし
た。
2 桑子 スーパーかと思いますが、我々亭主は荷物運
びに必要なだけですからね。
3 深瀬 コロナ禍での日常生活の一断面が鋭く切り取
られている感じです。
4 秋岡 今年の春はこんな情景があちこちで見られま
したが、春キャベツがいいですね。
我が家前の登校路に子供の声が絶えてすでに2 ヶ月、
寂しいですね
(039) 登校路消えて久しく子らの声 柳町
1 小野寺 コロナ休校でふと気がつくと賑やかに話しな
がら子供達がいない。寂しさが募りますね。
2.兼題春、雑詠
(040) 囀 (さえず) りを窓開けて聴く花雲り 小野寺
1 秋元
2 中津川
3 桑子
孫の成長と自生の竹の子の生命力が合わさって
(041) 孫が採る筍肴に酒旨し 志方
(042) 華の街緑に翠美登利往き 宮澤
1 柳町
(043) 花に川新緑青空いつまでも 橋本
(044) 母逝きし火葬の空に春の雲 深瀬
1 小野寺 母を亡くし火葬場の空に煙が垂れて春が一層
に寂しさを増します。
(045) 久々の河原散歩や山笑う 治部
(046) 夕闇に君の襟元白梅香 森
1 治部 君とは誰ですか?襟元からのぞく肌に白梅の
色と香りを感じるとはまだまだ現役ですね。しかし、
これは妄想だと思いますよ。俳句としては・・ 選者
は決して羨ましいのではありません・・・
2 藤原
(047) 組織人やめて親しき猫の恋 深瀬
(048) 花冷えや墨の香りに筆を留め 小野寺
1 吉良 習字に励んでいるのでしょうか、墨の何とも
言えなえい香は日本の伝統を感じさせます。
2 秋元
3 豊 書道で文字を書いていたら、濃い墨の香りが
して思わず筆を留めた。清々しさがいいですね。「花
冷え」の季語も効果的です。
4 宮澤 何か一筆と筆をとり、花冷えに、障子を閉め
ると漂う墨の香りに気付き心がなごむという感じで便
りを書きたいな。でも、墨をするなど大昔の話。そも
そも、毛筆の手紙など書いたことあったっけ。
5 藤原
(049) 確かさの老いて狭まる春の靄 (もや) 深瀬
(050) 稲妻に立ち向かいをり闇の雨 小野寺
(051) 足指に力を込めて春散歩 深瀬
(052) 永眠を恐れ春眠浅くなり 宮澤
1 秋岡 中々ショッキングな一句ですね。歳を取ると
いうことは複雑ですね。
(053) 花筏流れの底を魚の影 小野寺
1 柳町
2 豊 川面いっぱいに桜の花びらが流れている下を
泳いでいる魚の影が見えた。何の稚魚でしょうか。き
れいな句です。
(054) 桜花死処を選びて落ちにけり 森
1 志方 古希過ぎて、実感できる句です。
(055) 笑顔みゆシロツメクサの四つ葉かな 治部
1 志方 ツメクサの朝の滴が目に浮かぶ。
2 橋本
(056) 古都の陽は静かに暮れて春の雨 小野寺
1 藤原
(057) ふるさとを問われ地球と宇宙から 深瀬
1 豊 おもしろい発想の句ですが、ややわかりにく
いです。「宇宙」から問われて「地球」と答えたので
しょうか。それとも違う意味があるのでしょうか。
(058) 春雷の轟く彼方光る海 小野寺
1 吉良 絵になる光景です。
2 志方 一瞬の光のときめきの表現がターナの絵画み
たい。
(059) 孫はさみ妻と指差す春の雲 深瀬
1 桑子 春ののどかな光景が目に浮かびます。
(060) 星々が息留めて聴く華の声 小野寺
1 深瀬 桜の花の美しさが、宇宙スケールで表現され
ていると思います。「息留めて聴く」という表現はユ
ニーク。
(061) 身売りされ車窓の青田見つめる娘 (こ) 深瀬
(062) 滝の音風は碧 (みどり) の光り帯び 小野寺
1 志方 春の盛りの彩が味わえます。
(063) 鶯の初鳴き遠く雲流る 橋本
1 藤原
(064) にぎわいの甍に若葉江戸の街 深瀬
1 秋元
2 豊 江戸の街の初夏の風景を巧みに詠み込んでい
ます。300 年前にタイムスリップした感じです。
薄いオレンジ色の空の暮色
(065) 朧雲日暮れて遠い山の端に 志方
(066) 万緑を越えて峠は風の音 小野寺
1 志方 風の通り路が上手く表現されていると思いま
す。
2 橋本
(067) 死に向かふ覚悟はいかに自問せり 深瀬
0 秋岡 選句外として、季語が良くわからなかったの
ですが、作者の内なる感情が伝わってきて捨てがたい
句だなあ感じました。
(068) 初恋の遠いいたみか花吹雪 小野寺
1 柳町
2 森
(069) 細道や垣もうっすら暮れの春 治部
(070) うすものを羽織りし母の細きかな 深瀬
1 治部 今年も衣替えの季節になりましたが、夏物は
記事が薄く母の細さがあはれをさそいます。母上に感
謝していたわっている作者の気持ちが伝わります。
2 桑子 お母様への愛しさが感じます。
3 豊 母親に対する作者の愛情が感じられる句です。
4 小野寺 薄物を羽織った母が老いて細くなったなとし
みじみ思ったのですね。
0 秋岡 選句外として、季語が良くわからなかったの
ですが、作者の内なる感情が伝わってきて捨てがたい
句だなあ感じました。
(071) 青麦をザワザワ鳴らし風渡る 小野寺
目に映る純な緑を表現してみました。
(072) 青紅葉風にきらきら枝騒ぐ 志方
(073) 春がゆく過去をベンチに置き忘れ 豊
1 治部 共感できる句です。ベンチがいいですね。誰
と座っていたのでしょう。相手の人が過去の人なので
すね。特に人ではないのですかね。忘れたいのか、忘
れてしまったのか。選者の場合は、「置いたまま」と
か、「置き去りに」とか意思を見せたいです。
2 深瀬 なにか青春歌謡の歌詞のような感じもします
が、なにか想像がふくらみます。
(074) 百年後も桜並木は君を待つ 森
(075) 断捨離に封切り手紙そっと捨て 小野寺
1 桑子 「そっと捨て」の表現がステキです。誰から
の手紙だったか興味をそそります。
2 深瀬 身辺整理は身近な課題ですが、そういうこと
もあるのかと心が動かされました。
(076) ひとまばら棺 (ひつぎ) 見送る青田かな 深瀬
幼いころから、一番好きな季節と風物詩
(077) 浅緑の風に向かいて鯉昇る 志方
(078) 夫婦老い酒酌み交わし春惜しむ 吉良
(079) 独り寝の耳にこだます猫の恋 深瀬
(080) 桜 (はな) 散りて時の足音流れゆき 小野寺
1 吉良 毎年桜を迎えるころになると一年無事であっ
たことを意識させられます。
2 宮澤 時の移ろいを、卒業式、結婚式、入学式など
の行事で感ずることが多いが、コロナ禍の中では、春
の訪れの開花にも気付かず、舞う花びらでそうか、も
う春かと気付く切なさ。
(081) 菜園に雀の砂浴び覗き見る 橋本
1 中津川
(082) 古来からオスのロマンにメス打算 深瀬
1 小野寺 古代の昔から牡の本性はロマンチストな阿呆。
牝は計算高い存在と相場が決まってますね。笑
(083) 雨戸開け狭き庭にも春の行く 橋本
(084) 藤棚の花揺らめきて風光り 小野寺
1 志方 もう初夏の訪れですかね。
2 宮澤 藤棚の隙間を風が抜ける。隙間から漏れる光
は風の道を照らしている。ちょうどよい具合の風と光
のハーモニー。
(085) 流失の橋の骸や桜降る 治部
1 吉良 昨年は全国の大雨による天災が目立つ年でし
た。今年は平穏な年となることを桜が祈っている気が
します。
2 中津川 昨年の台風の爪痕でしょうか、毎年季節は廻
ります。
3 橋本
(086) ぎゃあどさっ静寂 (しじま) ゆさぶる猫の恋 深瀬
1 桑子 擬音語?の表現がいいです。騒々しさが伝わ
ってきます。
(087) 宵宮に埋み火おこり心燃ゆ 小野寺
以前に愛媛県松山・道後温泉に旅した思い出 3句
(088) 花盛る城壁わびし武者の影 吉良
1 深瀬 「春高楼の花の宴」に近いイメージかなと思
いましたが、「武者の影」も想像豊かな感じがしまし
た。
2 秋岡 古城の石垣だけが残る城壁には、特ににそん
な雰囲気がありますね。
(089) 窯煙る砥部の里にも山桜 吉良
1 秋元
(090) 子規偲ぶ道後の湯殿若芽吹く 吉良
1 治部 道後温泉いいですよね。選者も入りましたが、
深さが微妙で少し戸惑いました。若芽が時期を特定し
て、同じ風景を変えています。漱石も入ったんでしょ
うね。
(091) 風蒼く橋桁を翔ぶ初燕 小野寺
1 吉良 燕の元気な姿をみると元気がでます。
(092) 紅梅は泪をたたえ君誘う 森
1 森
(093) 体躯してうすものの僧経唱え 深瀬
(094) 春風や睫毛に残る陽は眩し 小野寺
1 宮澤 涙目の睫毛に漂うひとしずくに陽が当たる。
たいしたことなく泣いたのに、まぶしいほど日が輝い
ている。・・・なんちゃって。70歳の翁。青春懐かし
いです。
(095) 行く春を惜しむ多摩川暮色かな 豊
1 志方 コロナ自粛で、チャリ移動が多くなり、多摩
川堤で何度か目に焼き付く情景です。
(096) 黒髪の匂いゆたかに藤の花 小野寺
1 吉良 黒髪は昔の思い出か?日本画の絵を見るよう
な感じがします。
2 秋元
(097) 日溜りのベランダ光る君子蘭 吉良
物憂げ儚い情景を詠んでみました
(098) 春愁の野に漂うは綿帽子 志方
1 橋本
(099) 老夫婦若葉並木を支え会ひ 深瀬
(100) 雷光の雲低く垂れ燕来る 小野寺
1 豊 「雷光の雲」と「燕」の取り合わせが一つの
風景を見事に表しています。
(101) 物干しの街灯の影猫の恋 深瀬
(102) 花一つマラソン人の靴の裏 宮澤
1 中津川
2 桑子
(103) 夕闇に花閉じ眠る白牡丹 小野寺
1 藤原
(104) 水温む子らとの会話楽しめり 治部
(105) うすものに黒き瞳や艶 (えん) 湛え 深瀬
1 柳町
2 小野寺 薄物の着ながし黒い瞳に見つめられたら男は
引くに引かれませんね。
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2020年4月19日日曜日
七句会 第三回 自由連句 作成プロセス
七句会 第三回 自由連句 作成プロセス
01 朱け染めし雪一面に寒椿 (小野寺 20.02.17)
雪の日の払暁、かすかに朱けた光が白い雪の原に差し始め一面に咲く寒椿の
紅い色と美しいハーモニーをなして息をのむような風景でした。
02 息のむ子らのみひらく瞳 (深瀬 20.04.12)
脇句は、発句と同季、同場、同時であり、体言止めがよいということを意識
しました。
「朱染めし」は「明け初めし」のようにも思いましたが、朝の空が朱に染ま
って行く様子と白雪と寒椿の紅が呼応しているのが、発句の印象的なところで
あり、納得しました。
03 風薫る父母の手に汗初土俵 (吉良 20.04.13)
「子が息をのみ瞳を開いて」を緊張している様子ととり、5 月場所の初土俵
に立つ本人とその息子を見ている父母の緊張した様子を読みました。
04 目指せ金星座布団乱舞 (志方 20.04.15)
コロナ感染の拡大が、社会全体に重苦しい雰囲気に包まれているようですね
。こんな時に、未来ある子供の成長を願わずにいられない両親の心情を受けて
以下の句にしてみました。
相撲界も無観客興業の春場所が終わり、日本の文化、伝統からすると相当違
和感覚えております。こんな社会情勢の中で、初土俵を踏んだ息子さんの頑張
りが、来年の春場所には、満員御礼の中で、横綱の対戦できる番付に昇進し、
金星をあげ、コロナに打ち勝った証として、座布団乱舞の状況が観られること
を願っています。
05 髪油匂う女が月見上げ (豊 20.04.16)
前句の力士のびんつけ油から連想して、髪油としました。さらに、定座の月
を入れて、和服姿の日本髪の女性が窓辺に座って月を見ている、やや古風な日
本画的なイメージを詠んでみました。
06 落ちゆく雁の啼くぞ哀しき (小野寺 20.05.08)
五句豊さんの句、髪油匂う女が月見上げ、と定座の月を眺めて嘆息する髪の
匂いのうら若き女をイメージし秋の定座を入れて詠みました。
平島さんの連句 (注) にインスパイアされました。
(注) 平島さんの独吟連句は、下段の通りです。今後の連句のお手本にさせて
いただきたいと思います。 (深瀬)
07 笛の音の里にしみいる秋まつり (深瀬 20.05.12)
気持ち的にも、登場するものにも、なにかさみしい感じがありましたので、
ややにぎわいのある広々として空間に転換したつもりです。
なにか平凡すぎる感じもありますが。
08 埋み火のごとこころ騒ぎて (小野寺 20.05.15)
恋の句への展開は、前句の秋のしっとりとした秋の情景を生かし詠みました。
秋祭りの笛の音は遠い昔に置き去りにしてきた、あの日のかなわぬ想いが埋
み火となって、湧き上がっきた。そのような心情を描いてみました。
09 寅さんの風を背に受け思い秘め (志方 20.05.16)
寅さん映画がテレビで毎週放映され、惚れっぽい寅さんの心模様が何かもの
哀しく、だけどホッとする結末がお決まりです。
江戸川土手を去っていく姿を詠んでみました。
10 乙女恥じらい団子頬張る (吉良 20.05.18))
寅さんと言えば柴又参道の団子屋のシーンが欠かせませんね。団子の美味し
さに我慢できず、憧れの彼女もムシャムシャと食べてしまった。
11 来し方を脇目もふらず明日に賭け (小野寺 20.05.21)
柴又の寅さんはいつも一心不乱に人の世話を焼きますが、ほのかな恋はいつ
も実らず、失敗しても陰で泣いて平気を装い、又明日を向く。我々団塊世代の
心のよりどころでしたね。
12 雲のさえぎる日の光にて (豊 20.05.21)
だれでも人生に夢や希望を持っていますが、思いどおりにならないことがた
くさんあります。しかし、たとえ一時は雲にさえぎられても、やがて雲は流れ
て再び日の光が差してくるのです。
13 漁火と競うがごとし夏の月 (吉良 20.05.23)
昼間の重苦しい曇り空もすっかり晴れて、夕闇に赤々とした夏の月が海に登
る情景を読みました。
14 浜辺に二三線香花火 (深瀬 20.05.24)
漁火と月という海と空の広大な景色がでましたので、場面を浜辺に転じまし
た。
15 夢覚めてたちまち消える面影よ (豊 20.05.25)
前句の線香花火から連想して「たちまち消える」の言葉が浮かびました。夢
の中に懐かしい人が出てきたのですが、覚めたとたんに消えてしまい、誰だっ
たのだろうと思い返しているのです。
16 セピア色したアルバム残る (志方 20.05.26)
消したくなるのか、消えてほしくないのか、心の中は割り切れない。古希過
ぎると、10代の頃のでき事、かえってほろ苦く思いだされることがあります。
押入れの奥にしまっている旧きアルバムを取り出して観ることを思い出します。
17 人絶えし苔むす寺に花の散り (深瀬 20.05.27)
セピア色から苔に転じました。詞付けのつもりです。
18 木洩れ陽を瀬に春出帆す (小野寺 20.5.30)
桜の花は既に散り青葉となった逆光の木洩れ陽の中を春は過ぎ往く。との表
現を船出していったとしました。越路吹雪のシャンソン人生は過ぎゆく、La
vi sen vaの哀愁のメロディが流れてゆきます。
19 霞立つ瀬戸の島影墨絵かな (志方 20.06.01)
春というイメージで春霞を思い浮かべました。最初は 霞立つ霞が関はいつ
晴れる としたかったのですが、少し露骨かなと思い、30数年年前の瀬戸大
橋開通間際の橋上から眺めた早朝の瀬戸内のしまなみの薄墨色の静止画を思い
出し表現いたしました。
20 仙人詩い酒酌み交わす (吉良 20.06.03) 俗世界を離れた山紫水明の地で仙人が詩を読みながら、酒宴を開いている
墨 絵の一コマです。
21 刻 (とき) を越えこの矢当たれと弓を引き (小野寺 20.06.13)
吉良さんの仙人の酒盛りから久米の仙人を連想し展開しようて思いましたが、
高校時代古文の先生が解説した日本語の言霊 (ことだま) について発想を変え
ました。
源平合戦の折、屋島の戦いの舞台で海に逃れた平家軍から挑発の為に出され
た小舟に掲げられた撃ち落とせるもなら落としてみよと波間に動く日の丸の扇
を、源氏の若武者那須の与一が失敗すれば腹切る覚悟で臨んだ舞台で波打ち際
に馬で乗り込み、我を生かし賜わんと欲するなら、この矢あたれー。と放つた
鏑矢は40間75米をとび、見事扇の要を射抜き日の丸の扇は夕日の中を舞った。
この一本の矢の成功は与一の言霊に込められたものだったとまるで絵巻物を観
る思いで聞いた授業でした。
言葉の持つ霊力を思うとあだやおろそかに言葉を発してはならないと思うよ
うになりました。長じて洋の東西を問わず人の心にはいり人を動かすものは言
葉だと思うようになりました。
22 未来明るき大吉の運 (豊 20.06.14)
那須の与一の成功を踏まえて、おみくじで大吉を引いた幸運を詠んでみまし
た。前句と少しつきすぎているかもしれませんが。
23 憂きことも今年かぎりぞ除夜の鐘 (吉良 20.06.15)
今年はオリンピックも中止となり、コロナウィルス感染症に世界中が苦しめ
られています。除夜の鐘の音で煩悩とともに憂い事が去ってほしいものです。
大吉が来年に正夢になるよう期待した句です。
24 南天の実を妻孫見つめ (深瀬 20.06.16)
年が明け、お正月の飾りの南天の赤い実を、妻と孫が綺麗だねと一緒に見つ
めている様です。南天は「難を転ずる」としてめでたいとも言われているよう
です。
25 コロナ禍で延期されたる結婚式 (豊 20.06.16)
めでたい結婚式がコロナ禍で延期になった。しかし、延期のおかげで、その
難を転じたよりめでたい式にすることができるでしょう。
26 梅雨にウグイス鳴く声哀し (志方 20.06.19)
コロナの納まりも見えず、梅雨のうっとおしい季節です。
先日、深大寺の植物園(水生)を4 ~5 名の駒東悪友とあやめの鑑賞を兼ね
て、昼下がりに深大寺蕎麦を肴にちょいと一杯です。大変楽しいひと時を過ご
しました。特に紫陽花の季節、様々な色彩の花ぶりになくうぐいすの鳴き声が
聞こえておりました。その鳴き声が妙に切なく聴こえ、皐月の空に相手を見つ
けられなかった鶯に、ものの哀れを感じました。
鯉幟はウグイスにとって恋昇りで相方を見つけて,子づくりに励むころです
が、見つけられなかったオスの鶯。その鶯の心情に思いを馳せてみました。
27 太陽の季節はるけき古稀の夏 (深瀬 20.06.19)
梅雨に入っても相手を見つけることのできなかった鶯から、70歳過ぎの我が
身に転じ、石原慎太郎の「太陽の季節」なんていう小説があったなと回顧して
いる様です。季節は、梅雨から夏に進展させたつもりです。
28 潮鳴りとほく漁火は哭き (小野寺 20.06.23)
前句の古希にして太陽の季節への回顧を下敷きに名残表、雑は少年時代の三
陸の暗い海への懐旧です。もう戻し様もない、寂しい、夏の夜の海には遥か遠
くに消え消えに漁火( いさりび) が輝いていました。
越えてきた幾つもの波頭遥かに泣けとばかりに潮騒の記憶があり、耳殻の底
に、漁火は哭くかの如く蘇ります。
29 名残花月に白雲梔子と (志方 20.06.27)
先日、陽が暮れて紀尾井坂を四谷駅に向かってあるいておりました。40年
ぐらい昔、この坂の道路脇には、延々と梔子 (くちなし) の植栽が連なってお
り梅雨時の夕暮れに、何とも言えない芳しい薫りをはなっておりました。
今はつつじばかりですが、梅雨時には珍しく、月が煌々と輝き、ゆっくり流
れる白雲を照らして、その光景が過ぎ去った日々、咲き誇る梔子の白さを思い
出させてくれました。
30 とろろ汁擦り夕餉の支度 (吉良 20.06.28)
月の光、白い雲、くちなしの花の白から秋の味覚とろろ汁が連想されました。
31 麦秋の風頬に受け朋は逝き (小野寺 20.07.01)
つい4 日前ほぼ52年の歳月を北米の駐在を含め家族で共にした学生時代から
の友人の死に立ち合いました。
吉良さんの秋の味覚から発想を得て秋の句を作ろうと思いましたが、初夏を
迎える事なく逝ってしまった友人の死を悼み、風に吹かれるようにいつも飄飄
としていた、友人の風貌より季語が違いますが、麦秋 (ばくしゅう) の明かる
い風に吹かれて荒れ野に旅立った友の颯爽とした旅立ちを見送りました。
32 空へ流れる煙ひとすじ (豊 20.07.03)
前の句を踏まえ、火葬場の風景になぞらえて、人生の無常感を詠んでみまし
た。大げさすぎたでしょうか。
33 人は去り紅葉に隠る炭の窯 (吉良 20.07.04)
「空に流れる煙ひとすじ」から山道で出会った炭窯を思いだしました。すで
に炭を焼く人もなく、紅葉場に埋もれ美しいながらも朽ち果てようとしていま
した。
34 ニュータウンには四葉クローバ (深瀬 20.07.05)
都会に転じました。起伏の多い郊外型ニュータウンでは人口減少と高齢化が
進み、四葉クローバ (季語ではないつもり) マークを付けた車が目立っていま
す。もみじマークは枯葉のようだとのことで廃止されたそうです。
35 年輪を重ねて老いの花が咲き (豊 20.07.06)
前句の「高齢者」のイメージに「花の座」を関連付けました。
36 春の訪ないあと幾たびか (志方 20.07.08)
花といえば、太閤晩年の醍醐寺三宝院の壮大な花見を想起しました。この半
年後に秀吉は、遂に帰らぬ人となりました。
昨年の5 月に、久しぶり醍醐寺三宝院の庭園の見学に参った時に桜散った後
の新緑に、秀吉の胸に何が去来したのか、老いの無常を感じました。
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独吟連句ポルトガル縛り「チンタディキャンタの巻」令和二年四月
初折りの表
01 香り立つチンタディキャンタ春今宵 春
02 ナイチンゲール鳴く音軽やか 春
03 客人が褒めるアスパラその食味 春
04 妻が急かせる歯科医の予約 雑
05 外つ国で仰ぐ名月幾たびぞ 秋の月
06 団子に代えて供ふマジパン 秋
初折りの裏
07 落ち葉踏みファドの夕べの教会へ 秋
08 黒衣老女の哀歌切々 恋
09 ままならぬ倫ならぬ恋果てしなく 恋
10 手拍子ブラボー出るお国柄 雑
11 テージョ川渡り来る風頬に受け 雑
12 洗濯物見て下りるアルファマ 雑
13 夕月夜浴衣の金髪団扇手に 夏の月
14 炭火鰯の列に加わる 夏
15 少年使節立ち寄りし跡この辺り 雑
16 探し当てれど今修理中 雑
17 記念写真花吹雪の下皆笑顔 花
18 送辞の言葉ふと口に出て 春
名残の表
19 リスボアは坂多き街東風吹いて 春
20 小さい虹のかかる噴水 雑
21 自由という名を冠したる大通り 雑
22 土産物屋の店主黒人 雑
23 コルクの木皮を剥がれて寒々と 冬
24 どんぐりのみを食べる黒豚 冬
25 長身の旅人誰も無口にて 雑
26 胸に秘めたる憧れの君 恋
27 流麗な筆の恋文祖父仕込み 恋
28 義父の形見は「楽分」の額 雑
29 上げ潮に望月登るアルガルベ 秋の月
30 ヴィーノヴェルデで祝う豊漁 秋
名残の裏
31 ベレンの塔秋の夕陽に包まれて 秋
32 こんなところに種子島銃 雑
33 落日を拾いに行かんロカ岬 雑
34 親も自慢の記念スタンプ 雑
35 アーモンド桜の花と見まごうて 花
36 散るはなびらの色も形も 春
湘風道人識
脚注:あまり気乗りはしないのですが、初心者及びポルトガルに馴染みのな
い方の為に説明文を入れておきます。それに目障りですが下に季題配置も。
01.チンタ:ポルトガル語で赤ワインはVHINO TINTOで明治大正の
ころまでは詩歌にはチンタと昔の発音で出て来ます。
02.ディキャンタ:古い良い(高価な)ワインを別の器に移すことですが、私
達の毎日飲んでいる安いワインはやっても味は変わりません。
03.マジパン:ハンザ同盟の都市リューベックが、元祖と名乗りを挙げていま
す。ポルトガルでもポピュラーで甘い菓子類の代表格です。
04.ファド:アマリア ロドリゲスは別格の歌手。最近ではマリザも聞かせま
す。ブラジルからの民謡風でもあり、その元には奴隷のアフリカ土着の悲しい
メロディもあるという。
05.女性の歌手にはブラバーが正しいのですが、ブラボーが飛び交います。
06.アルファマ:1755年の大地震でも岩盤のため打撃を受けず、昔の佇ま
いを残しています。洗濯物は「ポルトガルの洗濯女」の歌のとおりで至る所に
ぶら下がっています。
07.天正の少年使節の訪問先はいろいろありますが、リスボン市内にもあって
ガイドブックにも載っています。でもちょっとわかり難い所ですが。
08 リスボア:英語名リスボン。フェニキア人が付けたオリシポ(良い港)が
元。因みにポルトガルはポルタスガレ伯領(Portus Gale 穏やかな港)から
来ています。
09.リベルタ―デ大通り:フランスが革命で勝ち取った自由・平等・博愛の自
由を名前に。シャンジェリジェ通りがお手本とか。日本語のみですがリスボン
に来られた人には判ると思います。
10.黒人:植民地にはアンゴラ・モザンビークがあり最大最古はブラジル。大
半が出稼ぎの労働者ですが、お金を儲けた成功組もいます。
11.コルク:一度皮を剥ぐと北の地方では9 年、南でも7 年は待たねばなりま
せん。昔は世界の60%のシェアを持つ輸出アイテムでもありました。
12.黒豚:スペインのイベリコ豚と同じです。ハムは美味。
13.「楽分」:分を楽しめ。上を見て羨ましがったり、下を見て偉そうにする
な!穏やかな分相応の日常の暮らしをと。東大寺館長清水公照筆。私事。
14.アルガルベ:アラビア語で西の果ての国。イスラムがここらを征服した時
の名残り。女子サッカーのアルガルベ杯の会場は家から車で10分足らずで行け
ます。なでしこジャパンは最後独逸に負け準優勝でしたが応援に行きました。
ここの海岸線は遠浅で、大型貨物船が接岸出来る港は無く、工業に代わりゴル
フ場と別荘地が開発され、ヨーロッパの避寒の地として今はこれ等が大きな収
入源となっています。
15.豊漁:大西洋に面した港町も沢山ありTAVIRAにはマグロ博物館があります
。輸出先は日本でした。OLHAO には日葡合弁のマグロの畜養会社もあります。
これは余談:QUARTEIRA という漁港は車で5 分もかからず魚市場の人達とは顔
見知りで女房は漁師からクレディットででも買えるのが自慢です。タコイカア
ンコウサバイワシアジタイスズキボラエビカニなど日本人に馴染みのものが豊
富です。
16.VHINO VERDE (緑酒)は北の地方のブドウでとれる発砲酒です。出たばか
りのが新酒として人気があります。第一高等学校寮歌の緑酒は違うと思います
がこれだとロマンが感じられます。
17.ベレンの塔:大航海時代の船乗りがこれが見えるとああ故郷に戻ったと思
えたとか。地下には牢屋もあって、見たほど優雅でなないのですが・・・・
18. 種子島銃:火縄銃を改良して元のものよりも立派なものをすぐに作り、半
世紀もたたぬ内に、もう大きな輸出品となっていたとか。ジェロニモス修道院
に隣接する海洋博物館に陳列されており、ああこれがあの有名な鉄砲かと感慨
深いものがありました。
19.落日を拾いに行かん海の果て 檀一雄の碑が有名です。パクリです。
20.ロカ岬:ユーラシア大陸の最西端:観光客用に大きな記念のスタンプを押
して売り出し市の大きな収入源となっているそうです。その昔両親が訪れて子
供達に行ったら是非もらって来いと進めるとか。日本人では我々の親の年代は
海外旅行も裕福でないと中々行けなかった。
21.アーモンド:もう一月には花が開きます。実は薬として昔から効用がある
と言われ、今でも農家は生産に注力しています。焙ればワインのおつまみにも
最適。
脚注補遺 2020.05.11
・ナイチンゲール :西洋ウグイスとも。小夜鳴き鳥。人名のナイチンゲール
方が馴染みがあると思います。英国の首相ボリス ジョンソン氏がコロナに罹
り入院治療されのがナイチンゲール セント トーマス病院で、ここでなかっ
たら助からなかったかもとも言われています。
・アスパラ :ポルトガル産は細く野生に近いので輸入物よりは少し硬く茹で
加減が微妙に難しいこともあります。これが判るのはまあ食通です。
・幾年ぞ:小生1992年に日本を出てアフリカ11年、定年退職した2003年に半年
間11月末まで日本に暮らした後、ポルトガルに流れ着いてずっと住んでいます。
まだ旅の途次という感じです。やはり故郷は日本ですから。
・哀歌切々:ポルトガル人はこの歌はサウダーデだ、とよく使い、これは「孤
愁」等とも翻訳されています。新田次郎・藤原正彦と親子でモラエスの伝記を
執筆され本の題名がこれになっています。失って取り戻せない大事なものを思
う心とか、失恋したが憎めないあいつとか、怨歌との訳もあり。
・少年使節:天正少年使節の本としては比較的あたらしいものとして若菜みど
り著「クアトロ・ラガッツィ」集英社があります。550頁の大作で読みごた
えのある傑作です。
・送辞の言葉:小学校5 年生の時に「花笑い鳥歌ううららかな春が訪れて参り
ましたこの時に当たり六年生の皆さまは無事六か年の学業を終えられ・・」と
読んだ言葉が何故か突然出てきたものです。
・筆の恋文:小野寺さんをイメージ。祖父文之進さんから子供のころにお習字
を厳しく指導され、今でも巻紙に書けるほどかなりの腕前と聞いています。
・アルガルベ :随筆的案内書「ポルトガル物語ー漁師町の春夏秋冬ー」青目
海著ポルトガルと日本との合弁のマグロ畜養会社で働くご主人との20年以上に
わたるここでの生活が女性の目で活写されています。
九州にある出版社名は書肆侃々房。OLHAO には今は外人が急に増えてフラン
ス語イタリア語が、市場で飛び交っています。
・落日の句碑 :檀一雄が住んだSANTA CRUZに碑があります。そこの隣町
で高倉健主演の「昔男ありき」というドキュメンタリー映画を見に行ったです
が、大西洋からの風が吹き荒れてる寂れた街でした。
・湘風道人 :生意気にも号を持っています。其の昔高校時代の恩師達と小
学校中学校・高校まで一緒の友人と四人で連句を始めて合計で二十数巻歌仙を
巻きました。瀟湘湖南の地茅ケ崎に居を卜する風狂の道を極めんとする仙人を
目指すという欲張った号なのです。今では小生一人が何とかまだ頑張っている
という状況です。
01 朱け染めし雪一面に寒椿 (小野寺 20.02.17)
雪の日の払暁、かすかに朱けた光が白い雪の原に差し始め一面に咲く寒椿の
紅い色と美しいハーモニーをなして息をのむような風景でした。
02 息のむ子らのみひらく瞳 (深瀬 20.04.12)
脇句は、発句と同季、同場、同時であり、体言止めがよいということを意識
しました。
「朱染めし」は「明け初めし」のようにも思いましたが、朝の空が朱に染ま
って行く様子と白雪と寒椿の紅が呼応しているのが、発句の印象的なところで
あり、納得しました。
03 風薫る父母の手に汗初土俵 (吉良 20.04.13)
「子が息をのみ瞳を開いて」を緊張している様子ととり、5 月場所の初土俵
に立つ本人とその息子を見ている父母の緊張した様子を読みました。
04 目指せ金星座布団乱舞 (志方 20.04.15)
コロナ感染の拡大が、社会全体に重苦しい雰囲気に包まれているようですね
。こんな時に、未来ある子供の成長を願わずにいられない両親の心情を受けて
以下の句にしてみました。
相撲界も無観客興業の春場所が終わり、日本の文化、伝統からすると相当違
和感覚えております。こんな社会情勢の中で、初土俵を踏んだ息子さんの頑張
りが、来年の春場所には、満員御礼の中で、横綱の対戦できる番付に昇進し、
金星をあげ、コロナに打ち勝った証として、座布団乱舞の状況が観られること
を願っています。
05 髪油匂う女が月見上げ (豊 20.04.16)
前句の力士のびんつけ油から連想して、髪油としました。さらに、定座の月
を入れて、和服姿の日本髪の女性が窓辺に座って月を見ている、やや古風な日
本画的なイメージを詠んでみました。
06 落ちゆく雁の啼くぞ哀しき (小野寺 20.05.08)
五句豊さんの句、髪油匂う女が月見上げ、と定座の月を眺めて嘆息する髪の
匂いのうら若き女をイメージし秋の定座を入れて詠みました。
平島さんの連句 (注) にインスパイアされました。
(注) 平島さんの独吟連句は、下段の通りです。今後の連句のお手本にさせて
いただきたいと思います。 (深瀬)
07 笛の音の里にしみいる秋まつり (深瀬 20.05.12)
気持ち的にも、登場するものにも、なにかさみしい感じがありましたので、
ややにぎわいのある広々として空間に転換したつもりです。
なにか平凡すぎる感じもありますが。
08 埋み火のごとこころ騒ぎて (小野寺 20.05.15)
恋の句への展開は、前句の秋のしっとりとした秋の情景を生かし詠みました。
秋祭りの笛の音は遠い昔に置き去りにしてきた、あの日のかなわぬ想いが埋
み火となって、湧き上がっきた。そのような心情を描いてみました。
09 寅さんの風を背に受け思い秘め (志方 20.05.16)
寅さん映画がテレビで毎週放映され、惚れっぽい寅さんの心模様が何かもの
哀しく、だけどホッとする結末がお決まりです。
江戸川土手を去っていく姿を詠んでみました。
10 乙女恥じらい団子頬張る (吉良 20.05.18))
寅さんと言えば柴又参道の団子屋のシーンが欠かせませんね。団子の美味し
さに我慢できず、憧れの彼女もムシャムシャと食べてしまった。
11 来し方を脇目もふらず明日に賭け (小野寺 20.05.21)
柴又の寅さんはいつも一心不乱に人の世話を焼きますが、ほのかな恋はいつ
も実らず、失敗しても陰で泣いて平気を装い、又明日を向く。我々団塊世代の
心のよりどころでしたね。
12 雲のさえぎる日の光にて (豊 20.05.21)
だれでも人生に夢や希望を持っていますが、思いどおりにならないことがた
くさんあります。しかし、たとえ一時は雲にさえぎられても、やがて雲は流れ
て再び日の光が差してくるのです。
13 漁火と競うがごとし夏の月 (吉良 20.05.23)
昼間の重苦しい曇り空もすっかり晴れて、夕闇に赤々とした夏の月が海に登
る情景を読みました。
14 浜辺に二三線香花火 (深瀬 20.05.24)
漁火と月という海と空の広大な景色がでましたので、場面を浜辺に転じまし
た。
15 夢覚めてたちまち消える面影よ (豊 20.05.25)
前句の線香花火から連想して「たちまち消える」の言葉が浮かびました。夢
の中に懐かしい人が出てきたのですが、覚めたとたんに消えてしまい、誰だっ
たのだろうと思い返しているのです。
16 セピア色したアルバム残る (志方 20.05.26)
消したくなるのか、消えてほしくないのか、心の中は割り切れない。古希過
ぎると、10代の頃のでき事、かえってほろ苦く思いだされることがあります。
押入れの奥にしまっている旧きアルバムを取り出して観ることを思い出します。
17 人絶えし苔むす寺に花の散り (深瀬 20.05.27)
セピア色から苔に転じました。詞付けのつもりです。
18 木洩れ陽を瀬に春出帆す (小野寺 20.5.30)
桜の花は既に散り青葉となった逆光の木洩れ陽の中を春は過ぎ往く。との表
現を船出していったとしました。越路吹雪のシャンソン人生は過ぎゆく、La
vi sen vaの哀愁のメロディが流れてゆきます。
19 霞立つ瀬戸の島影墨絵かな (志方 20.06.01)
春というイメージで春霞を思い浮かべました。最初は 霞立つ霞が関はいつ
晴れる としたかったのですが、少し露骨かなと思い、30数年年前の瀬戸大
橋開通間際の橋上から眺めた早朝の瀬戸内のしまなみの薄墨色の静止画を思い
出し表現いたしました。
20 仙人詩い酒酌み交わす (吉良 20.06.03) 俗世界を離れた山紫水明の地で仙人が詩を読みながら、酒宴を開いている
墨 絵の一コマです。
21 刻 (とき) を越えこの矢当たれと弓を引き (小野寺 20.06.13)
吉良さんの仙人の酒盛りから久米の仙人を連想し展開しようて思いましたが、
高校時代古文の先生が解説した日本語の言霊 (ことだま) について発想を変え
ました。
源平合戦の折、屋島の戦いの舞台で海に逃れた平家軍から挑発の為に出され
た小舟に掲げられた撃ち落とせるもなら落としてみよと波間に動く日の丸の扇
を、源氏の若武者那須の与一が失敗すれば腹切る覚悟で臨んだ舞台で波打ち際
に馬で乗り込み、我を生かし賜わんと欲するなら、この矢あたれー。と放つた
鏑矢は40間75米をとび、見事扇の要を射抜き日の丸の扇は夕日の中を舞った。
この一本の矢の成功は与一の言霊に込められたものだったとまるで絵巻物を観
る思いで聞いた授業でした。
言葉の持つ霊力を思うとあだやおろそかに言葉を発してはならないと思うよ
うになりました。長じて洋の東西を問わず人の心にはいり人を動かすものは言
葉だと思うようになりました。
22 未来明るき大吉の運 (豊 20.06.14)
那須の与一の成功を踏まえて、おみくじで大吉を引いた幸運を詠んでみまし
た。前句と少しつきすぎているかもしれませんが。
23 憂きことも今年かぎりぞ除夜の鐘 (吉良 20.06.15)
今年はオリンピックも中止となり、コロナウィルス感染症に世界中が苦しめ
られています。除夜の鐘の音で煩悩とともに憂い事が去ってほしいものです。
大吉が来年に正夢になるよう期待した句です。
24 南天の実を妻孫見つめ (深瀬 20.06.16)
年が明け、お正月の飾りの南天の赤い実を、妻と孫が綺麗だねと一緒に見つ
めている様です。南天は「難を転ずる」としてめでたいとも言われているよう
です。
25 コロナ禍で延期されたる結婚式 (豊 20.06.16)
めでたい結婚式がコロナ禍で延期になった。しかし、延期のおかげで、その
難を転じたよりめでたい式にすることができるでしょう。
26 梅雨にウグイス鳴く声哀し (志方 20.06.19)
コロナの納まりも見えず、梅雨のうっとおしい季節です。
先日、深大寺の植物園(水生)を4 ~5 名の駒東悪友とあやめの鑑賞を兼ね
て、昼下がりに深大寺蕎麦を肴にちょいと一杯です。大変楽しいひと時を過ご
しました。特に紫陽花の季節、様々な色彩の花ぶりになくうぐいすの鳴き声が
聞こえておりました。その鳴き声が妙に切なく聴こえ、皐月の空に相手を見つ
けられなかった鶯に、ものの哀れを感じました。
鯉幟はウグイスにとって恋昇りで相方を見つけて,子づくりに励むころです
が、見つけられなかったオスの鶯。その鶯の心情に思いを馳せてみました。
27 太陽の季節はるけき古稀の夏 (深瀬 20.06.19)
梅雨に入っても相手を見つけることのできなかった鶯から、70歳過ぎの我が
身に転じ、石原慎太郎の「太陽の季節」なんていう小説があったなと回顧して
いる様です。季節は、梅雨から夏に進展させたつもりです。
陸の暗い海への懐旧です。もう戻し様もない、寂しい、夏の夜の海には遥か遠
くに消え消えに漁火( いさりび) が輝いていました。
越えてきた幾つもの波頭遥かに泣けとばかりに潮騒の記憶があり、耳殻の底
に、漁火は哭くかの如く蘇ります。
29 名残花月に白雲梔子と (志方 20.06.27)
先日、陽が暮れて紀尾井坂を四谷駅に向かってあるいておりました。40年
ぐらい昔、この坂の道路脇には、延々と梔子 (くちなし) の植栽が連なってお
り梅雨時の夕暮れに、何とも言えない芳しい薫りをはなっておりました。
今はつつじばかりですが、梅雨時には珍しく、月が煌々と輝き、ゆっくり流
れる白雲を照らして、その光景が過ぎ去った日々、咲き誇る梔子の白さを思い
出させてくれました。
30 とろろ汁擦り夕餉の支度 (吉良 20.06.28)
月の光、白い雲、くちなしの花の白から秋の味覚とろろ汁が連想されました。
31 麦秋の風頬に受け朋は逝き (小野寺 20.07.01)
つい4 日前ほぼ52年の歳月を北米の駐在を含め家族で共にした学生時代から
の友人の死に立ち合いました。
吉良さんの秋の味覚から発想を得て秋の句を作ろうと思いましたが、初夏を
迎える事なく逝ってしまった友人の死を悼み、風に吹かれるようにいつも飄飄
としていた、友人の風貌より季語が違いますが、麦秋 (ばくしゅう) の明かる
い風に吹かれて荒れ野に旅立った友の颯爽とした旅立ちを見送りました。
32 空へ流れる煙ひとすじ (豊 20.07.03)
前の句を踏まえ、火葬場の風景になぞらえて、人生の無常感を詠んでみまし
た。大げさすぎたでしょうか。
33 人は去り紅葉に隠る炭の窯 (吉良 20.07.04)
「空に流れる煙ひとすじ」から山道で出会った炭窯を思いだしました。すで
に炭を焼く人もなく、紅葉場に埋もれ美しいながらも朽ち果てようとしていま
した。
34 ニュータウンには四葉クローバ (深瀬 20.07.05)
都会に転じました。起伏の多い郊外型ニュータウンでは人口減少と高齢化が
進み、四葉クローバ (季語ではないつもり) マークを付けた車が目立っていま
す。もみじマークは枯葉のようだとのことで廃止されたそうです。
35 年輪を重ねて老いの花が咲き (豊 20.07.06)
前句の「高齢者」のイメージに「花の座」を関連付けました。
36 春の訪ないあと幾たびか (志方 20.07.08)
花といえば、太閤晩年の醍醐寺三宝院の壮大な花見を想起しました。この半
年後に秀吉は、遂に帰らぬ人となりました。
昨年の5 月に、久しぶり醍醐寺三宝院の庭園の見学に参った時に桜散った後
の新緑に、秀吉の胸に何が去来したのか、老いの無常を感じました。
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初折りの表
01 香り立つチンタディキャンタ春今宵 春
02 ナイチンゲール鳴く音軽やか 春
03 客人が褒めるアスパラその食味 春
04 妻が急かせる歯科医の予約 雑
05 外つ国で仰ぐ名月幾たびぞ 秋の月
06 団子に代えて供ふマジパン 秋
初折りの裏
07 落ち葉踏みファドの夕べの教会へ 秋
08 黒衣老女の哀歌切々 恋
09 ままならぬ倫ならぬ恋果てしなく 恋
10 手拍子ブラボー出るお国柄 雑
11 テージョ川渡り来る風頬に受け 雑
12 洗濯物見て下りるアルファマ 雑
13 夕月夜浴衣の金髪団扇手に 夏の月
14 炭火鰯の列に加わる 夏
15 少年使節立ち寄りし跡この辺り 雑
16 探し当てれど今修理中 雑
17 記念写真花吹雪の下皆笑顔 花
18 送辞の言葉ふと口に出て 春
名残の表
19 リスボアは坂多き街東風吹いて 春
20 小さい虹のかかる噴水 雑
21 自由という名を冠したる大通り 雑
22 土産物屋の店主黒人 雑
23 コルクの木皮を剥がれて寒々と 冬
24 どんぐりのみを食べる黒豚 冬
25 長身の旅人誰も無口にて 雑
26 胸に秘めたる憧れの君 恋
27 流麗な筆の恋文祖父仕込み 恋
28 義父の形見は「楽分」の額 雑
29 上げ潮に望月登るアルガルベ 秋の月
30 ヴィーノヴェルデで祝う豊漁 秋
名残の裏
31 ベレンの塔秋の夕陽に包まれて 秋
32 こんなところに種子島銃 雑
33 落日を拾いに行かんロカ岬 雑
34 親も自慢の記念スタンプ 雑
35 アーモンド桜の花と見まごうて 花
36 散るはなびらの色も形も 春
湘風道人識
脚注:あまり気乗りはしないのですが、初心者及びポルトガルに馴染みのな
い方の為に説明文を入れておきます。それに目障りですが下に季題配置も。
01.チンタ:ポルトガル語で赤ワインはVHINO TINTOで明治大正の
ころまでは詩歌にはチンタと昔の発音で出て来ます。
02.ディキャンタ:古い良い(高価な)ワインを別の器に移すことですが、私
達の毎日飲んでいる安いワインはやっても味は変わりません。
03.マジパン:ハンザ同盟の都市リューベックが、元祖と名乗りを挙げていま
す。ポルトガルでもポピュラーで甘い菓子類の代表格です。
04.ファド:アマリア ロドリゲスは別格の歌手。最近ではマリザも聞かせま
す。ブラジルからの民謡風でもあり、その元には奴隷のアフリカ土着の悲しい
メロディもあるという。
05.女性の歌手にはブラバーが正しいのですが、ブラボーが飛び交います。
06.アルファマ:1755年の大地震でも岩盤のため打撃を受けず、昔の佇ま
いを残しています。洗濯物は「ポルトガルの洗濯女」の歌のとおりで至る所に
ぶら下がっています。
07.天正の少年使節の訪問先はいろいろありますが、リスボン市内にもあって
ガイドブックにも載っています。でもちょっとわかり難い所ですが。
08 リスボア:英語名リスボン。フェニキア人が付けたオリシポ(良い港)が
元。因みにポルトガルはポルタスガレ伯領(Portus Gale 穏やかな港)から
来ています。
09.リベルタ―デ大通り:フランスが革命で勝ち取った自由・平等・博愛の自
由を名前に。シャンジェリジェ通りがお手本とか。日本語のみですがリスボン
に来られた人には判ると思います。
10.黒人:植民地にはアンゴラ・モザンビークがあり最大最古はブラジル。大
半が出稼ぎの労働者ですが、お金を儲けた成功組もいます。
11.コルク:一度皮を剥ぐと北の地方では9 年、南でも7 年は待たねばなりま
せん。昔は世界の60%のシェアを持つ輸出アイテムでもありました。
12.黒豚:スペインのイベリコ豚と同じです。ハムは美味。
13.「楽分」:分を楽しめ。上を見て羨ましがったり、下を見て偉そうにする
な!穏やかな分相応の日常の暮らしをと。東大寺館長清水公照筆。私事。
14.アルガルベ:アラビア語で西の果ての国。イスラムがここらを征服した時
の名残り。女子サッカーのアルガルベ杯の会場は家から車で10分足らずで行け
ます。なでしこジャパンは最後独逸に負け準優勝でしたが応援に行きました。
ここの海岸線は遠浅で、大型貨物船が接岸出来る港は無く、工業に代わりゴル
フ場と別荘地が開発され、ヨーロッパの避寒の地として今はこれ等が大きな収
入源となっています。
15.豊漁:大西洋に面した港町も沢山ありTAVIRAにはマグロ博物館があります
。輸出先は日本でした。OLHAO には日葡合弁のマグロの畜養会社もあります。
これは余談:QUARTEIRA という漁港は車で5 分もかからず魚市場の人達とは顔
見知りで女房は漁師からクレディットででも買えるのが自慢です。タコイカア
ンコウサバイワシアジタイスズキボラエビカニなど日本人に馴染みのものが豊
富です。
16.VHINO VERDE (緑酒)は北の地方のブドウでとれる発砲酒です。出たばか
りのが新酒として人気があります。第一高等学校寮歌の緑酒は違うと思います
がこれだとロマンが感じられます。
17.ベレンの塔:大航海時代の船乗りがこれが見えるとああ故郷に戻ったと思
えたとか。地下には牢屋もあって、見たほど優雅でなないのですが・・・・
18. 種子島銃:火縄銃を改良して元のものよりも立派なものをすぐに作り、半
世紀もたたぬ内に、もう大きな輸出品となっていたとか。ジェロニモス修道院
に隣接する海洋博物館に陳列されており、ああこれがあの有名な鉄砲かと感慨
深いものがありました。
19.落日を拾いに行かん海の果て 檀一雄の碑が有名です。パクリです。
20.ロカ岬:ユーラシア大陸の最西端:観光客用に大きな記念のスタンプを押
して売り出し市の大きな収入源となっているそうです。その昔両親が訪れて子
供達に行ったら是非もらって来いと進めるとか。日本人では我々の親の年代は
海外旅行も裕福でないと中々行けなかった。
21.アーモンド:もう一月には花が開きます。実は薬として昔から効用がある
と言われ、今でも農家は生産に注力しています。焙ればワインのおつまみにも
最適。
脚注補遺 2020.05.11
・ナイチンゲール :西洋ウグイスとも。小夜鳴き鳥。人名のナイチンゲール
方が馴染みがあると思います。英国の首相ボリス ジョンソン氏がコロナに罹
り入院治療されのがナイチンゲール セント トーマス病院で、ここでなかっ
たら助からなかったかもとも言われています。
・アスパラ :ポルトガル産は細く野生に近いので輸入物よりは少し硬く茹で
加減が微妙に難しいこともあります。これが判るのはまあ食通です。
・幾年ぞ:小生1992年に日本を出てアフリカ11年、定年退職した2003年に半年
間11月末まで日本に暮らした後、ポルトガルに流れ着いてずっと住んでいます。
まだ旅の途次という感じです。やはり故郷は日本ですから。
・哀歌切々:ポルトガル人はこの歌はサウダーデだ、とよく使い、これは「孤
愁」等とも翻訳されています。新田次郎・藤原正彦と親子でモラエスの伝記を
執筆され本の題名がこれになっています。失って取り戻せない大事なものを思
う心とか、失恋したが憎めないあいつとか、怨歌との訳もあり。
・少年使節:天正少年使節の本としては比較的あたらしいものとして若菜みど
り著「クアトロ・ラガッツィ」集英社があります。550頁の大作で読みごた
えのある傑作です。
・送辞の言葉:小学校5 年生の時に「花笑い鳥歌ううららかな春が訪れて参り
ましたこの時に当たり六年生の皆さまは無事六か年の学業を終えられ・・」と
読んだ言葉が何故か突然出てきたものです。
・筆の恋文:小野寺さんをイメージ。祖父文之進さんから子供のころにお習字
を厳しく指導され、今でも巻紙に書けるほどかなりの腕前と聞いています。
・アルガルベ :随筆的案内書「ポルトガル物語ー漁師町の春夏秋冬ー」青目
海著ポルトガルと日本との合弁のマグロ畜養会社で働くご主人との20年以上に
わたるここでの生活が女性の目で活写されています。
九州にある出版社名は書肆侃々房。OLHAO には今は外人が急に増えてフラン
ス語イタリア語が、市場で飛び交っています。
・落日の句碑 :檀一雄が住んだSANTA CRUZに碑があります。そこの隣町
で高倉健主演の「昔男ありき」というドキュメンタリー映画を見に行ったです
が、大西洋からの風が吹き荒れてる寂れた街でした。
・湘風道人 :生意気にも号を持っています。其の昔高校時代の恩師達と小
学校中学校・高校まで一緒の友人と四人で連句を始めて合計で二十数巻歌仙を
巻きました。瀟湘湖南の地茅ケ崎に居を卜する風狂の道を極めんとする仙人を
目指すという欲張った号なのです。今では小生一人が何とかまだ頑張っている
という状況です。
2020年4月15日水曜日
七句会 第3 回 自由連句 式目 (ご参考) 20年05月25日現在
七句会 第3 回 自由連句 式目 (ご参考)
七句会の第3 回目の自由連句の参考としての式目は、以下の通りです。
実際は、各自の適宜のご理解によるものとします。
よろしくお願いします。
深瀬
(1) 進め方
・歌仙形式36句を下記の順番で詠む。 (敬称略)
表六句 1 小野寺2 深瀬 3 吉良 4 志方 5 豊 6 小野寺
裏十二句 7 深瀬 8 小野寺9 志方 10吉良 11小野寺12豊
13吉良 14深瀬 15豊 16志方 17深瀬 18小野寺
名残の表十二句 19志方 20吉良 21小野寺22豊 23吉良 24深瀬
25豊 26志方 27深瀬 28小野寺29志方 30吉良
名残の裏六句 31小野寺32豊 33吉良 34深瀬 35豊 36志方
注。表六句の最後は、発句を詠んだ小野寺さんにお願いします。
・定座、季節
表六句 1 春 2 春 3 春 4 雑 5 月 6 秋
裏十二句 7 秋 8 恋 9 恋 10雑 11雑 12雑
13夏月 14夏 15雑 16雑 17花 18春
名残の表十二句 19春 20雑 21雑 22雑 23冬 24冬
25雑 26恋 27恋 28雑 29月 30秋
名残の裏六句 31秋 32雑 33雑 34雑 35花 36春
・発句は、前回の句会で選句の多かった小野寺さんの下記の句です。
朱染めし雪一面に寒椿
・心がける点としては、①2 ~3 日を目処に詠み、1 週間以上かかる場合には
みなさんに連絡する。②次にあげる式目をある程度参考にして、各自、自由に
詠む。③前句をどのように踏まえ、どのように転じたか、できればコメントを
加える (必須ではない) 。
(2) 式目 (ご参考。吉良さんのまとめを踏まえました。)
・脇句は、発句に寄り添い援助する内容の句で、季節も同じ内容とする。
・第三は、前句から出来るだけ違った発想で読む (転ずる) 。
・句を作るときは打越し (前の前の句) から出来るだけ転ずる。
・五七五、七七のいずれもそれ自身で単独で意味として完結している。前句が
なければ理解できないのは良くない。
・原則として同じ言葉は繰り返し使わない。同字は三句去り。
・付合は、下記の三通りとし、前句を受けながらも打越以前からは離れた句を
作る。
①詞付け:前句の言葉から連想される言葉で付ける。
②心付け:意味 (内容) で付ける。前句 (原因) =付け句 (結果) 。
③匂い付け:前句の雰囲気をもとに付ける。
・打越、前句、付句の内容、発想が続く三句がらみは避ける。
・観音開きと言われる、打越の句と似た内容になっている、又は、打越と前句
の付け、前句と付句の付けの発想が同じような内容になっていることは避ける。
・定座として、5,13,29 句目は月、17,35 句目は花 (、8,26句目は恋) 。「引
き上げる」、「こぼす」もある。
・春と秋の句は3 ~5 句、夏と冬は1 ~3 句、恋は2 ~5 句、続ける。同じ季
節の間は5 句以上あける。
・ご参考 歌仙の巻き方は、初折表、初折裏、名残表、名残裏と下記のよう
に進行しますが、平島さんから、この辺は漢詩の模倣であり、起承転結の展開
を目論んでいるとも言われるとの助言がありました。よろしくお願いします。
起承転結や序破急など、全体の流れを意識するのは、かなり高度な技術が必
要な感じがしています。
01 初折表 発句 春 19 名残表 折立 春
02 脇 春 20 二句目 雑
03 第三 春 21 三句目 雑
04 四句目 雑 22 四句目 雑
05 月の座 月 23 五句目 冬
06 折端 秋 24 六句目 冬
25 七句目 雑
07 初折裏 折立 秋 26 八句目 恋
08 二句目 恋 27 九句目 恋
09 三句目 恋 28 十句目 雑
10 四句目 雑 29 月の座 月
11 五句目 雑 30 折端 秋
12 六句目 雑
13 月の座 夏月 31 名残裏 折立 秋
14 八句目 夏 32 二句目 雑
15 九句目 雑 33 三句目 雑
16 十句目 雑 34 四句目 雑
17 花の座 花 35 花の座 花
18 折端 春 36 挙句 春
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ご参考
・日本連句協会 連句とは
https://renku-kyokai.net/renku/
・古典解釈シリーズ
湯沢賢之助著、文法全解 芭蕉名句、旺文社、昭和43年1 月初版
連句編 1.猿蓑 市中の巻 P,103 ~119
http://nanaku-haiku.blogspot.com/2020/04/431-1.html
七句会の第3 回目の自由連句の参考としての式目は、以下の通りです。
実際は、各自の適宜のご理解によるものとします。
よろしくお願いします。
深瀬
(1) 進め方
・歌仙形式36句を下記の順番で詠む。 (敬称略)
表六句 1 小野寺2 深瀬 3 吉良 4 志方 5 豊 6 小野寺
裏十二句 7 深瀬 8 小野寺9 志方 10吉良 11小野寺12豊
13吉良 14深瀬 15豊 16志方 17深瀬 18小野寺
名残の表十二句 19志方 20吉良 21小野寺22豊 23吉良 24深瀬
25豊 26志方 27深瀬 28小野寺29志方 30吉良
名残の裏六句 31小野寺32豊 33吉良 34深瀬 35豊 36志方
注。表六句の最後は、発句を詠んだ小野寺さんにお願いします。
・定座、季節
表六句 1 春 2 春 3 春 4 雑 5 月 6 秋
裏十二句 7 秋 8 恋 9 恋 10雑 11雑 12雑
13夏月 14夏 15雑 16雑 17花 18春
名残の表十二句 19春 20雑 21雑 22雑 23冬 24冬
25雑 26恋 27恋 28雑 29月 30秋
名残の裏六句 31秋 32雑 33雑 34雑 35花 36春
・発句は、前回の句会で選句の多かった小野寺さんの下記の句です。
朱染めし雪一面に寒椿
・心がける点としては、①2 ~3 日を目処に詠み、1 週間以上かかる場合には
みなさんに連絡する。②次にあげる式目をある程度参考にして、各自、自由に
詠む。③前句をどのように踏まえ、どのように転じたか、できればコメントを
加える (必須ではない) 。
(2) 式目 (ご参考。吉良さんのまとめを踏まえました。)
・脇句は、発句に寄り添い援助する内容の句で、季節も同じ内容とする。
・第三は、前句から出来るだけ違った発想で読む (転ずる) 。
・句を作るときは打越し (前の前の句) から出来るだけ転ずる。
・五七五、七七のいずれもそれ自身で単独で意味として完結している。前句が
なければ理解できないのは良くない。
・原則として同じ言葉は繰り返し使わない。同字は三句去り。
・付合は、下記の三通りとし、前句を受けながらも打越以前からは離れた句を
作る。
①詞付け:前句の言葉から連想される言葉で付ける。
②心付け:意味 (内容) で付ける。前句 (原因) =付け句 (結果) 。
③匂い付け:前句の雰囲気をもとに付ける。
・打越、前句、付句の内容、発想が続く三句がらみは避ける。
・観音開きと言われる、打越の句と似た内容になっている、又は、打越と前句
の付け、前句と付句の付けの発想が同じような内容になっていることは避ける。
・定座として、5,13,29 句目は月、17,35 句目は花 (、8,26句目は恋) 。「引
き上げる」、「こぼす」もある。
・春と秋の句は3 ~5 句、夏と冬は1 ~3 句、恋は2 ~5 句、続ける。同じ季
節の間は5 句以上あける。
・ご参考 歌仙の巻き方は、初折表、初折裏、名残表、名残裏と下記のよう
に進行しますが、平島さんから、この辺は漢詩の模倣であり、起承転結の展開
を目論んでいるとも言われるとの助言がありました。よろしくお願いします。
起承転結や序破急など、全体の流れを意識するのは、かなり高度な技術が必
要な感じがしています。
01 初折表 発句 春 19 名残表 折立 春
02 脇 春 20 二句目 雑
03 第三 春 21 三句目 雑
04 四句目 雑 22 四句目 雑
05 月の座 月 23 五句目 冬
06 折端 秋 24 六句目 冬
25 七句目 雑
07 初折裏 折立 秋 26 八句目 恋
08 二句目 恋 27 九句目 恋
09 三句目 恋 28 十句目 雑
10 四句目 雑 29 月の座 月
11 五句目 雑 30 折端 秋
12 六句目 雑
13 月の座 夏月 31 名残裏 折立 秋
14 八句目 夏 32 二句目 雑
15 九句目 雑 33 三句目 雑
16 十句目 雑 34 四句目 雑
17 花の座 花 35 花の座 花
18 折端 春 36 挙句 春
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ご参考
・日本連句協会 連句とは
https://renku-kyokai.net/renku/
・古典解釈シリーズ
湯沢賢之助著、文法全解 芭蕉名句、旺文社、昭和43年1 月初版
連句編 1.猿蓑 市中の巻 P,103 ~119
http://nanaku-haiku.blogspot.com/2020/04/431-1.html
2020年4月12日日曜日
古典解釈シリーズ
湯沢賢之助著、文法全解 芭蕉名句、旺文社、昭和43年1 月初版
連句編 1.猿蓑 市中の巻 P,103 ~119
猿蓑読解 (前半のみ)
芭蕉七部集の五番目。元禄三年四月ころから約一年かけてできた。
①連句
初表 (表六句)
01 市中 (いちなか) は物のにほひや夏の月 凡兆(夏の月・夏)
02 あつしあつしと門 (かど) 々の声 芭蕉(あつし・夏)
03 二番草取りも果さず穂に出でて 去来(二番草・夏)
04 灰うちたたくうるめ一枚 凡兆(雑)
05 この筋は銀も見しらず不自由さよ 芭蕉(雑)
06 たゞとひゃうしに長き脇指 去来(雑)
初裏 (ここから二の折の表半分までは変わった句も変化もつけてよい。)
07 草村に蛙 (かはず) こはがる夕まぐれ 凡兆(蛙・春)
08 蕗 (ふき) の芽とりに行燈 (あんど) ゆり消す 芭蕉(蕗の芽・春)
09 道心のおこりは花のつぼむ時 去来(花・春)
10 能登の七尾の冬は住みうき 凡兆(冬・冬)
11 魚の骨しはぶるまでの老いを見て 芭蕉(雑)
12 待人 (まちびと) 入れし小御門 (こみかど) の鎰 (かぎ) 去来(雑・恋)
13 立ちかかり屏風を倒す女子 (をなご) ども 凡兆(雑)
14 湯殿は竹の簀子 (すのこ) わびしき 芭蕉(雑)
15 茴香 (うゐきやう) の実を吹き落とす夕嵐 去来(茴香の実・秋)
16 僧ややさむく寺にかへるか 凡兆(ややさむ・秋)
17 さる引の猿と世を経る秋の月 芭蕉(秋の月・秋)
18 年に一斗の地子 (ぢし) はかるなり 去来(雑)
名残ノ表
19 五六本生木つけたる潴 (みずたまり) 凡兆(雑)
20 足袋ふみよごす黒ぼこの道 芭蕉(雑)
21 追っ立てて早き御馬の刀持 去来(雑)
22 でっちが荷 (にな) ふ水こぼしたり 凡兆(雑)
23 戸障子もむしろがこひの売屋敷 芭蕉(雑)
24 てんじゃうまもりいつか色づく 去来(てんじゃうまもり・秋)
25 こそこと草鞋を作る月夜ざし 凡兆(月・秋)
26 蚤をふるひに起きし初秋 芭蕉(初秋・秋)
27 そのままにころび落ちたる升落し 去来(雑)
28 ゆがみて蓋のあはぬ半櫃 (びつ) 凡兆(雑)
29 草庵にしばらく居ては打ちやぶり 芭蕉(雑)
30 いのち嬉しき撰集の沙汰 去来(雑)
名残ノ裏
31 さまざまに品かはりたる恋をして 凡兆(雑・恋)
32 浮世の果は皆小町なり 芭蕉(雑)
33 なに故ぞ粥すするにも涙ぐみ 去来(雑)
34 御留守となれば広き板敷 凡兆(雑)
35 手のひらに虱這はする花のかげ 芭蕉(花・春)
36 かすみ動かぬ昼のねむたさ 去来(かすみ・春)
②通釈・付合
01通釈 昼間の暑さはないが、物のにおいがたちこめ、涼しそうな月がでてい
る。
02付合 暑さに耐えきれず、夕涼みをしている人々の情景に。
脇句は発句によく応じて詠む。体言止めが原則。
03付合 農家に転じ例年にない暑さのため稲の生育が早いという会話に。
第三句目は大きく情景を転ずる。「て、に、にて、らん」止め。
04通釈 炉端で焼いているうるめ (ひもの) 鰯。
付合 農繁期の農家の食事の様子に。
四句目からは平句となり軽く受けてよい。
05付合 粗末な食事から山国の風景に。村人は銀貨をしらないので旅行者がな
げいている。03、04が農家の風景なので、片田舎に来た都会の人を登場させ変
化させた。
月の定座だが発句にあるので詠んでいない。
06付合 前句の人を突拍子もなく長い脇差しをさした博徒とした。
脇差は武士以外でも一本させた。長脇差は町奴、博徒の異称。
07通釈 長い脇差しをさしているが臆病な奴なのだ。
08付合 蛙をこわがる人を若い女性とみ、日暮れころにこわがった拍子に行燈
を消してしまった。
09付合 蕗の芽をとりに出た女性を僧庵の尼とみ、ぱっと消えた行燈のように
世の無常を悟って発心したのは若い時のことだ。
花の座。花の定座は前へ引き上げることはできる。
10付合 前句をある僧侶の物語りとみ、かつて住んだ七尾の寒さを振り返る。
月の十日間は能登で修行した「撰集抄」にある見仏上人を想定している。
11付合 前句をさびしい漁村とみ、そこに老いをむさぼる人物がいるとした。
前句の衰退の余情から衰老と移った。
例外的に、春から冬に転じた。
12通釈 門番が通ってきた恋人を入れた。
付合 前句の老人を「源氏物語」の「末摘花」の巻の門守りの翁というよう
に連想した。俤 (おもかげ) 付。
13通釈 さびれた屋敷内に招き入れられた待人をみようとする女中たちのはし
たない行動を詠んだ。恋の句。
14付合 前句の屏風を湯殿の囲いとみ、前句の御殿の世界を場末の旅宿に転換
した。
前句の浮き立ったところを巧妙に抑えた。
15付合 湯殿の近くの茴香の実が秋の夕風にこぼれ散るわびしい風景。
これまでは人間世界の人事を詠んできたが、ここでは景色を詠んでいる。
16付合 前句の蕭条たる気分をみ、その夕景に僧衣をひるがえしとぼとぼ歩く
僧侶をみた。
17付合 前句とは独立した句。二句あわせて世相を述べた。前から秋の句が三
つ出たので月を出した。
18付合 猿回しの貧しい生活でも一年の一斗の年貢は納めて正直に生きている
のだ。
湯沢賢之助著、文法全解 芭蕉名句、旺文社、昭和43年1 月初版
連句編 1.猿蓑 市中の巻 P,103 ~119
猿蓑読解 (前半のみ)
芭蕉七部集の五番目。元禄三年四月ころから約一年かけてできた。
①連句
初表 (表六句)
01 市中 (いちなか) は物のにほひや夏の月 凡兆(夏の月・夏)
02 あつしあつしと門 (かど) 々の声 芭蕉(あつし・夏)
03 二番草取りも果さず穂に出でて 去来(二番草・夏)
04 灰うちたたくうるめ一枚 凡兆(雑)
05 この筋は銀も見しらず不自由さよ 芭蕉(雑)
06 たゞとひゃうしに長き脇指 去来(雑)
初裏 (ここから二の折の表半分までは変わった句も変化もつけてよい。)
07 草村に蛙 (かはず) こはがる夕まぐれ 凡兆(蛙・春)
08 蕗 (ふき) の芽とりに行燈 (あんど) ゆり消す 芭蕉(蕗の芽・春)
09 道心のおこりは花のつぼむ時 去来(花・春)
10 能登の七尾の冬は住みうき 凡兆(冬・冬)
11 魚の骨しはぶるまでの老いを見て 芭蕉(雑)
12 待人 (まちびと) 入れし小御門 (こみかど) の鎰 (かぎ) 去来(雑・恋)
13 立ちかかり屏風を倒す女子 (をなご) ども 凡兆(雑)
14 湯殿は竹の簀子 (すのこ) わびしき 芭蕉(雑)
15 茴香 (うゐきやう) の実を吹き落とす夕嵐 去来(茴香の実・秋)
16 僧ややさむく寺にかへるか 凡兆(ややさむ・秋)
17 さる引の猿と世を経る秋の月 芭蕉(秋の月・秋)
18 年に一斗の地子 (ぢし) はかるなり 去来(雑)
名残ノ表
19 五六本生木つけたる潴 (みずたまり) 凡兆(雑)
20 足袋ふみよごす黒ぼこの道 芭蕉(雑)
21 追っ立てて早き御馬の刀持 去来(雑)
22 でっちが荷 (にな) ふ水こぼしたり 凡兆(雑)
23 戸障子もむしろがこひの売屋敷 芭蕉(雑)
24 てんじゃうまもりいつか色づく 去来(てんじゃうまもり・秋)
25 こそこと草鞋を作る月夜ざし 凡兆(月・秋)
26 蚤をふるひに起きし初秋 芭蕉(初秋・秋)
27 そのままにころび落ちたる升落し 去来(雑)
28 ゆがみて蓋のあはぬ半櫃 (びつ) 凡兆(雑)
29 草庵にしばらく居ては打ちやぶり 芭蕉(雑)
30 いのち嬉しき撰集の沙汰 去来(雑)
名残ノ裏
31 さまざまに品かはりたる恋をして 凡兆(雑・恋)
32 浮世の果は皆小町なり 芭蕉(雑)
33 なに故ぞ粥すするにも涙ぐみ 去来(雑)
34 御留守となれば広き板敷 凡兆(雑)
35 手のひらに虱這はする花のかげ 芭蕉(花・春)
36 かすみ動かぬ昼のねむたさ 去来(かすみ・春)
②通釈・付合
01通釈 昼間の暑さはないが、物のにおいがたちこめ、涼しそうな月がでてい
る。
02付合 暑さに耐えきれず、夕涼みをしている人々の情景に。
脇句は発句によく応じて詠む。体言止めが原則。
03付合 農家に転じ例年にない暑さのため稲の生育が早いという会話に。
第三句目は大きく情景を転ずる。「て、に、にて、らん」止め。
04通釈 炉端で焼いているうるめ (ひもの) 鰯。
付合 農繁期の農家の食事の様子に。
四句目からは平句となり軽く受けてよい。
05付合 粗末な食事から山国の風景に。村人は銀貨をしらないので旅行者がな
げいている。03、04が農家の風景なので、片田舎に来た都会の人を登場させ変
化させた。
月の定座だが発句にあるので詠んでいない。
06付合 前句の人を突拍子もなく長い脇差しをさした博徒とした。
脇差は武士以外でも一本させた。長脇差は町奴、博徒の異称。
07通釈 長い脇差しをさしているが臆病な奴なのだ。
08付合 蛙をこわがる人を若い女性とみ、日暮れころにこわがった拍子に行燈
を消してしまった。
09付合 蕗の芽をとりに出た女性を僧庵の尼とみ、ぱっと消えた行燈のように
世の無常を悟って発心したのは若い時のことだ。
花の座。花の定座は前へ引き上げることはできる。
10付合 前句をある僧侶の物語りとみ、かつて住んだ七尾の寒さを振り返る。
月の十日間は能登で修行した「撰集抄」にある見仏上人を想定している。
11付合 前句をさびしい漁村とみ、そこに老いをむさぼる人物がいるとした。
前句の衰退の余情から衰老と移った。
例外的に、春から冬に転じた。
12通釈 門番が通ってきた恋人を入れた。
付合 前句の老人を「源氏物語」の「末摘花」の巻の門守りの翁というよう
に連想した。俤 (おもかげ) 付。
13通釈 さびれた屋敷内に招き入れられた待人をみようとする女中たちのはし
たない行動を詠んだ。恋の句。
14付合 前句の屏風を湯殿の囲いとみ、前句の御殿の世界を場末の旅宿に転換
した。
前句の浮き立ったところを巧妙に抑えた。
15付合 湯殿の近くの茴香の実が秋の夕風にこぼれ散るわびしい風景。
これまでは人間世界の人事を詠んできたが、ここでは景色を詠んでいる。
16付合 前句の蕭条たる気分をみ、その夕景に僧衣をひるがえしとぼとぼ歩く
僧侶をみた。
17付合 前句とは独立した句。二句あわせて世相を述べた。前から秋の句が三
つ出たので月を出した。
18付合 猿回しの貧しい生活でも一年の一斗の年貢は納めて正直に生きている
のだ。
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