2014年11月23日日曜日

第十回の七句会の選句結果をご報告いたします。

 七句会  各位
 第十回の七句会の選句結果をご報告いたします。
  今回の6 点句から3 点句は、下記のようでした。
 6 点句
(023)   秋の山 燃え立つ赤に 奮い立つ                柳町
 5 点句
(006)   鉄橋の川辺の秋や子ら跳ねる                  深瀬
 4 点句
(022)   半そでもセーターもいる秋の朝                 深瀬
(064)  団塊も背中を見せて消えんとす                 深瀬
(071)  ノータイの首にひんやり秋の風                 深瀬
(094)  地下迷路 利用者無視の 渋谷駅                野澤
 3 点句
(017)   秋空や エカテリーナの 夢のあと               古川
(030)   秋色に 心も染まる 川辺かな                 橋本
(035)  籾入りの木箱なつかしりんご便                 深瀬
(074)  落葉踏み たそがれせまる 帰り道               内野
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選ん
だ人の名前とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したも
のを添付します。
  次回については、来年4 月中旬ころにご連絡したいと思っていま
すので、よろしくお願いいたします。やり方について、ご意見があ
りましたら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。
  2014.11.23
  事務方      深瀬

 第十回  七句会選句結果      
 秋
(001)   秋風に 池辺のかも群 一列座                 中島
(002)   秋の夕赤黒灰の雲の列                     深瀬
1 治部 こんな光景を今年はよく見ました。
(003)   富士の嶺姿容を刻む秋の朝                   志方
1 橋本
2 古川
(004)   百手読む棋士の正座や秋気満つ                 土川
1 森
(005)   過ぎ去りし 日々よみがえる 秋の酒              吉良
1 志方
2 小幡
(006)   鉄橋の川辺の秋や子ら跳ねる                  深瀬
1 治部 列車の中から見た光景でしょうか。
2 吉良 電車からみた風景でしょうか?        
3 柳町
4 内野 モネが描いたアルジャントゥイユの鉄橋のそ
ばで跳ねる子供を連想しました。
5 古川
(007)   灯影が水面にゆらぐ秋の暮れ                  志方
(008)   未だみぬ空の青さで秋をしる                  小幡
(009)   台風が 嫌らしさ増し “秋”が来た              中島
(010)   秋夜空 星の彼方に 夢運べ                  古川
1 森
(011)   秋風や やさしく吹けと 爺が言い               中島
1 野澤 ちょっと強い風が吹くと背中を押される感じ
を受ける今日この頃です。
2 小幡
(012)   ビルの森 濃き秋空を 埋め尽くす               吉良
1 土川
2 内野 真っ青な秋空とビルの対比がみごとです。
(013)   日本海 夕陽沈みて 秋暮れる                 鳥海
1 内野 しみじみとした日本海の黄昏が思い浮かびま
す。
2 志方
(014)   秋来たり カラーボールに 冬が来た              中島
(015)   山寺は 蝉の声無し 錦秋で                  鳥海
1 土川
2 志方
(016)   秋雨の窓の水滴追いにけり                   深瀬
1 土川
(017)   秋空や エカテリーナの 夢のあと               古川
1 鳥海
2 森
3 中島
       神戸長田区美玲ちゃん・六歳の殺人犯人君野容疑者は、
       生活保護費で大酒を飲み、なんの罪もない、人なつっこ
       い、あどけない美玲ちゃんを殺害し、遺体をバラバラに
       したと言う報道に接して、強い憤りを感じる。納税者の
       一人として、国の税金で殺人者を養う、現行の生活保護
       制度は間違っていると思う。米国の如く、本当に困って
       いる人には、現金を支給するのではなく、フードスタン
       プを支給すべき。また、体が動ける者は、社会に対する
       恩返しで、一週間に一回、公園の清掃などのボランテイ
       ア活動を強制すべき。米国では、ボランテイア活動をし
       ない者には生活保護費を打ち切っている
(018)   殺人鬼 生活保護で 爪研ぐ秋                 杜瑯
1 中島
(019)   秋深し ロシア帰りに 軟き風                 古川
(020)   秋三昧 サンマ松茸 紅葉狩り                 野澤
1 内野 食欲の秋ですね。
2 橋本
(021)   人の縁はかなさを知る秋の夜                  小幡
1 深瀬  人間関係というのは、一筋縄ではいかないも
ののようです。こっちとしては、向こうに原因がある
としか思えませんが、客観的に見れば、こちらにもな
にか原因があるのかもしれません。秋の気配のなかで
は、それも仕方ないとあきらめられるということでし
ょうか。
(022)   半そでもセーターもいる秋の朝                 深瀬
1 土川
2 中島
3 橋本
4 澤藤 秋の朝のひんやりとした心地よさも長続きし
ない昨今の異常気象ですね
       紅葉をみて、「人生がしぼむ前の一花」を咲かせたいと
       いう思いがわき立ちます
(023)   秋の山 燃え立つ赤に 奮い立つ                柳町
1 森
2 中島
3 内野 作者のfighting spiritsに敬意を表します。
まだまだ頑張れる! 
4 深瀬  紅葉をみて、先の見えてきた人生にもう一花
咲かせたいという作者の前向きな姿勢にエールを送り
たい気持ちになりました。春に咲く花と紅葉の輝きと
では、同じ美しさでもその意味は180 度異なりますが、
その相違を超越できるというのは、すごいと思います。
5 小幡
6 古川
(024)   秋風が遠く去りゆく夕映えや                  志方
(025)   嗅覚で 秋の味覚を 満喫す                  野澤
(026)   秋雨に 魂鎮めよ 御嶽山                   吉良
1 治部 自然の怒りは計り知れません。犠牲者のご冥
福をお祈りします。
2 森
(027)   賑やかに つくつく法師の 初秋なり              橋本
(028)   秋一番 ゆるキャラ一番 グンマちゃん             古川
1 森
(029)   秋の朝陽の温かさ服に貯め                   深瀬
1 土川
2 野澤 退職し,朝から外出する事はほとんど無くな
りましたが,ひんやりする日には太陽の日を一杯服の
中にため込みたいと感じた日が懐かしく思い出されま
す。
(030)   秋色に 心も染まる 川辺かな                 橋本
1 吉良 紅葉の季節の美しさが目に浮かびます   
2 柳町
3 内野
(031)   秋が来て緋の色褪せた百日紅                  志方
1 澤藤 十年前の夏、胃ガン手術の退院のタクシーか
ら見た百日紅の赤さに胃が痛み出しました
       10月初旬、サンクトペテルブルグとモスクワ訪問しま
       した。特に、1991年ソ連が崩壊する、今から23年
       前までは、世界革命を推進する共産党の中心であった、
       クレムリン赤の広場の見学は感慨深いものがありました。
       なにせ、当時のクレムリンには共産党幹部でなくては入
       れない場所でしたから。ロシア人ガイドさんが言うには、
       ロシアの通貨、ルーブルは信用がおけなくて、US/EU ド
       ルで貯金しているそうです
(032)   秋雨に 夢は烟(けむ)りぬ クレムリン            杜瑯 
1 深瀬 団塊世代のわたしたちは、米ソ冷戦構造とい
う極端なイデオロギー対立のなかを長く生きたため、
確かにクレムリンということばには、なにか威圧的な
響きがあるように感じます。それがいまや観光で気軽
に訪れることができるというのは隔世の感もします。
強権的一党独裁の中国も、数10年後は、どうなってい
るのか、気になります。
(033)   夏は去り萩の花咲く秋の風                   志方
 りんご
(034)  もやもやをスパッと切れし林檎かな               水谷
1 吉良 「スパッと切れし」は あまり俳句らしから
ぬ表現で面白く思いました
(035)  籾入りの木箱なつかしりんご便                 深瀬
1 野澤 祖母の実家の青森からリンゴの木箱が送られ
てきたのを思い出しました。
2 橋本
3 澤藤 今や発泡スチロールクッションと段ボール箱
入り、故郷岩手からのりんご便が待ち遠しい五十年前
の秋でした
(036)  瓜二つ孫の可愛さと姫りんご                  澤藤
(037)  時過ぎて 林檎の歌を 誰ぞ知る                鳥海
1 柳町
2 志方
(038)  手でくるむ赤いリンゴに秋想う                 柳町
1 小幡
(039)  りんごもぎ両手にあふる里の秋                 澤藤
(040)  夕食のあとのりんごを妻むきぬ                 深瀬
(041)  りんご剥き 実習時代を 懐かしむ               中島
(042)  秋田出の父母の遺影にりんご置く                深瀬
1 土川
(043)  早よしいな(椎名)林檎が落ちる期限切れ            澤藤
(044)  外見良しも 手にも持ってみる リンゴかな           橋本
(045)  齧(かじ)られし林檎の芯や砂時計               土川
1 吉良 句を読んだ状況は想像しずらいのですが、画
になるような情景に思います
2 深瀬 齧られた林檎や砂時計は、シュールレアリズ
ムの絵画などによく見られるように思います。作者が
どういう気持ちで詠んだのか定かではありませんが、
なにかそうした超現実世界の不安感みたいのがあるの
だろうか、とひかれました。
(046)  山眠る前に微(頬)笑むりんごかな               澤藤
1 深瀬 東北の地では、秋も深まり冬が近づくと、空
の雲は重たくたれこめ、みぞれがふりだします。そう
いうなかで真っ赤なりんごが微笑んで気持ちを癒して
くれるというのはなにかほのぼのとしたものが感じら
れました。
(047)  戦後すぐ リンゴの気持ち 皆理解               古川
(048)  りんごの実かつては禁断神の知恵                深瀬
 人体
(049)  脇甘い 女性閣僚 押し出され                 橋本
1 鳥海
(050)  山寺で 足痛みて 句は出来ず                 鳥海
1 中島 「静けさや岩にしみ入る蝉の声」のたいそう
立派な石碑を前にして句が出来ない無念さに言い訳し
たくなる気持ち分かります。
2 橋本
(051)  よくみれば手のしわめだつ秋の夜                深瀬
1 小幡
(052)  そっと見た わが手掌に 希望湧く               古川
(053)  寒風と 踵の荒れに 秋感ず                  中島
(054)  足の爪切ればひからぶ音したる                 深瀬
(055)  湯上りの 櫛毛数ふる 秋の宵                 吉良
(056)  急かされて 段差に躓 老いた足                野澤
(057)  高齢者 腕・腰・足が 痛むなり                鳥海
(058)  電車内ネイルアートの秋の花                  深瀬
    加齢による膝の痛みをテーマに3部作をつくりました
(059)  朝散歩痛む膝で秋を知る                    柳町
(060)  痛む膝引きずりながら秋感ず                  柳町
(061)  痛む膝かばって歩く秋の朝                   柳町
(062)  ひからびし脛に白粉 (はくふん) 秋来たり            深瀬
    東名高速道路でスリップの自損事故を起こし
(063)  自損事故我にかえりて手をながむ                小幡
(064)  団塊も背中を見せて消えんとす                 深瀬
1 吉良 実感!
2 森
3 柳町
4 志方
(065)  秋寒や手をポケットに早足で                  水谷
(066)  脚腰や からだケアして ゴルフかな              橋本
(067)  秋の夜はグラス右手に本左                   水谷
1 深瀬 静かな秋の夜、洋室のソファに座り、ウィス
キーでも飲みながら、ひとり、読みたかったミステリ
ーとか歴史物とかの本を読んでいる。たいへん雰囲気
のある相当贅沢な至福の時間だと思いました。
(068)  左手の白き気になるゴルフ焼け                 深瀬
1 鳥海
(069)  無表情 ロシアの民に 笑顔見せ                古川
1 鳥海
(070)  耳遠く 大きな声に なりにけり                鳥海
1 野澤 確かに耳が遠くなると,自分では普通に話し
ているつもりでも,声が大き過ぎると注意されます。
(071)  ノータイの首にひんやり秋の風                 深瀬
1 土川
2 治部 ここ数年ネクタイをすることがなくなりまし
た。
3 野澤 あんなに窮屈に感じていたネクタイも,しめ
なくなると首がひんやりします。
4 中島
(072)  秋雨や 老いし肩より 沁み込みぬ               吉良
 自由題
(073)  天高く 鳥が群がる 庭の柿                  野澤
1 古川
(074)  落葉踏み たそがれせまる 帰り道               内野
1 治部 帰り道は好きですが、落ち葉を踏むと寂しさ
を感じます。
2 野澤 物事に耽りながら落ち葉の感触を愉しんだも
のです。
3 志方
(075)  散弾を受けしごとくに石榴(ざくろ)爆(は)ず         土川
1 吉良 ザクロの赤い実が裂け散る感じが見事にうた
われています 
(076)  紅葉と白樺映す雲場池                     水谷
    台風一家が過ぎ去った後の、どこまでも青く澄んだ空に、
    吾が志は高く昇華する、晩秋
(077)  野分け去り わが志気高く 青く澄み              杜瑯
(078)  優雅なり 水面の十五夜 連れ歩き               橋本
1 吉良 子供のころを思い出します
2 深瀬 なにかの用で夜外出し、池か川の近くを歩い
ていると、夜空の満月が足元近くの水面に写り、まる
で一緒に歩いてくれているようで、心奪われているの
だと思いました。たしかに、これほど贅沢というのか
雅びな”連れ”はいないかもしれません。
    人生は、小さい夢、大きい夢に挑戦する連続。短い一生
    を終える蝉でも、夢に向かって飛んで行く。その蝉のご
    とく、一生を終えるその日まで、夢を持ち続けたい、早
    秋。
(079)  夢目指し 一直線に 蝉のとび                 杜瑯
1 古川
(080)  野分去り夕照(セキショウ)淡く芒かな             志方
1 橋本 格調高いですね
    日光を代表する竜頭ノ滝ですが、紅葉の美しさには勝て
    ないと感じます
(081)  竜頭滝いろはもみじに鳴いている                柳町
1 古川
(082)  どの山も神の寝姿吾亦紅(われもこう)             土川
(083)  五色沼 湖面に映える 紅葉かな                鳥海
1 柳町
(084)  風さやか竜胆そよぐ野辺の路                  志方
1 古川
(085)  ざゝと湯の溢れて静か銀やんま                 土川
(086)  野分来て 枝葉かまわず 落としけり              橋本
(087)  梢揺れ猛暑連れ去る野分かな                  志方
(088)  紅葉の 賑わい何処(いずこ) 落葉かな            内野
                                             無季語、川柳
(089)  子育ての 反省込めて 孫の世話                野澤
1 鳥海
2 治部 おっしゃる通りです。
       長い海外旅行から帰国して
(090)  ホットするなじみの店のニホンソバ               小幡
1 柳町
(091)  億年のなかの一瞬我が命                    深瀬
1 内野 本当に生命は不思議です。
(092)  特養の 屋上から観る スカイツリー              野澤
       平成26年8月5日朝日新聞の従軍慰安婦記事が根拠の
       無い捏造だったと言う記事は衝撃であった。韓国の朴大
       統領は強制連行されたとする朝鮮売春婦に対する日本の
       歴史認識と賠償を執拗に責め立て、米国各地では日本軍
       に強制連行された朝鮮売春婦像が立ち並び、世界人権委
       員会からは日本人による強制的性奴隷を非難され、私達
       日本人としては世界で、誠に肩身の狭い思いをしていた。
       しかし、その根拠となる30年以上に及ぶ朝日新聞の従
       軍慰安婦記事が証拠のない、捏造であったとは?? 朝
       日新聞を信じていたのに・・・
(093)  日本国 捏造メデイアで 末(うら)枯れる           杜瑯
(094)  地下迷路 利用者無視の 渋谷駅                野澤
1 治部 何回も迷いました。駒東に通っているころは
簡単でした。
2 中島 作句が被らなくて良かった。
3 志方
4 橋本
(095)  人口で 超大国とは 片腹痛                  中島
       原発再稼働予定                                 (096)  川内に 人知を尽くし 明日がある               橋本
1 鳥海
(097)  ノーベル賞 人格までは 評価せず               野澤
(098)  重ねると難しさ増す俳句かな                  志方
1 鳥海
2 野澤 私はこれまで相手にしていたものとのギャップに戸惑っ
ています。
(099)  クラブハウス 聳える浅間山 向い打つ             橋本
(100)  自分との 歳を比べて 席を立つ                野澤
1 柳町
2 小幡
       意識について三句
(101)  偶然にいのちの意志の生まりょうか               深瀬
(102)  人間のいのちの意志の奇怪さ                  深瀬
(103)  ものでない意識の起源いずこにか                深瀬
(104)  見掛けでは 判断出来ぬ ひとごころ              野澤
(105)  黄昏や 大地まぶしき 地平線                 内野

  補足1.選句にあたっての、全体的なコメントには、次のような
ものがありました。 (やや無関係のものもありますが。)
・土川さん: すみません。また鑑賞は書けませんでした。
・森 (杜瑯) さん: 今回は、激戦ですね。 
・野澤さん: 自分も詠みたいような句,光景が浮かべるようま句
を各群から選びました。皆さんのレベルからはほど遠く,お荷物
かもしれませんが自分なりに愉しんでおりますので,今後とも宜
しくお願いいたします。
・柳町さん: このところ相続の関係で、毎週のように実家に行っ
てます。財産 [特に土地!!) は持たない方がよいと痛感するこ
のごろです。
・中島さん: 何時も通り共感できる寂しくない句を選びました。
・内野さん: よい句が多く、選句に難渋しました。
・志方さん: 秋から受ける情感はなんだか、還暦すぎてみな同じ
かなとあらためて感じた次第です。林檎の歌でもうたってもう少
し頑張るかの心境です。
・橋本さん: 小さな我が庭ですが、四季咲きのバラと紅葉のアメ
リカ楓が並ぶ晩秋です。以下の7句を選びました。少し笑いのあ
る句も良いですね。
・澤藤さん: 素人なりに三句選ばさせて頂きました。
  補足2.水谷さんと澤藤さんのご紹介
 水谷さんは、古川充さんと白金小学校の同級生であり、早稲田
大学機械科を卒業され、自動車用の特殊パイプ、等を設計開発す
る会社を経営されています。
  澤藤さんは、東北大学法学部を卒業し、第一勧業銀行に勤めら
れ、今現在、セコム関係会社で深瀬と同僚です。お父さんが岩手
県出身のプロ野球選手であったこともあり、大学・社会人野球で
投手として活躍されるなど、多彩な趣味をお持ちです。
 以上









2014年8月24日日曜日

第九回の七句会の選句結果をご報告いたします。

 七句会  各位
 第九回の七句会の選句結果をご報告いたします。
  今回は、次の3 句が、それぞれ4 点、5 点、4 点となりました。
 (006)  孫が問う ジジはいつまで 夏休み      野澤07
 (078)  落ちてなお 飛沫 (しぶき) はあつし龍の瀧   杜瑯01
 (083)  東 (あがり) 崎 目元やさしき 与那国馬   橋本08
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選ん
だ人の名前とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したも
のを添付します。
  次回については、10月中旬ころにご連絡したいと思っていますの
で、よろしくお願いいたします。やり方について、ご意見がありま
したら、ご連絡をいただきたく、よろしくお願いいたします。 (選
句の期間は、10日程度に短縮したいと思っています。)
  2014.08.25
  事務方      深瀬
                              
                              
 第九回  七句会選句結果      
   兼題 夏、熱帯夜、暑さ
(001)  西豪雨 東は猛暑 ああ自然          橋本02
1 志方  気候変動の様が簡潔に表現されているようです。
2 治部  降ってほしいところには降らず、降れば豪雨。
思うようにならないものですね。それが余計に暑く感
じます。
3 野澤
(002)  夕立の 降れよと祈る 夏都会         吉良01
1 治部  都会のムンムンとした暑さがよく伝わってき
ます。
(003)  南洋を 思い出したり 夏の雲         内野05
(004)  この夏は 画面で愉しむ 花火かな       野澤16
1 橋本
2 中島
3 小幡
     大学卒後四十余年、常に理想と学究を追い求       
    めて来た孤高の友にも陰りが見え、その友にさ       
    えも夏の陽射しは容赦なく照る。             
(005)  天を指す 老いし友にも夏尖 (とが) り         杜瑯02
(006)  孫が問う ジジはいつまで 夏休み       野澤07
1 志方  実に見事なユーモアが感じられ、身につまさ
れます。
2 治部  夏休みに孫が傍にいる光景は幸せですね。作
者は何と答えたのでしょう。
3 中島
4 小幡
(007)  夏の陽に燃えるみどりのしずかさや       深瀬01
1 内野 夏の強烈さと静かさとの対比がみごと。
2 古川
     早く打ち水してくれないと俳句ができないと       
    いう私に、断固打ち水はしないという妻に一句       
    捧げます。                       
(008)  梅雨明けて 打ち水する君 夏の華       古川02
1 吉良
2 中島
(009)  暑い夏 孫と楽しむ かき氷          柳町01
(010)  夏痩せで 妻娘(つまこ)羨む 六キロ減    野澤14
1 深瀬  「妻娘羨む~」にドラマ風なユーモアを感じ
ました。しかし、六キロ減は、やや行き過ぎではない
か、と少し心配になりました。
2 橋本  本人もこのまま維持したい?
(011)  くらやみに ひかり輝く 夏祭り        内野02
1 吉良
2 柳町
3 深瀬  祭りは夜がクライマックスですが、そこは、
あかりと暗闇のコントラストの世界だと思います。都
会の最近の祭りは、その暗闇が中途半端でつまらなく
感じます。
(012)  湿暑に 昔の夏が 懐かしい          中島03
1 野澤
(013)  蒸暑い眠れぬ夜中に五七五           野澤09
(014)  蝉の聲夏がおわりて細くなる          小幡05
(015)  緑陰に 猛暑をさけて 涼をとり        内野03
1 野澤
2 古川
(016)  摩訶不思議 暑い暑いと 厚化粧        野澤08
(017)  暑き夏 原発稼働に 気持ち揺れ        中島04
1 鳥海
(018)  熱帯夜 まだ来ぬ睡魔に 五七五        野澤05
     孫を連れを行ったのはずなのに、結局は孫         
    に手をひかれている自分がいます             
(019)  夏祭り いつの間にやら 手をひかれ      柳町04
1 土川
2 野澤
(020)  夏祭り 孫の手をとり 盆踊り         野澤15
(021)  夏の朝 川辺につどい 老いを生く       吉良02
1 森
(022)  高層の窓辺に海の夏の夕             深瀬06
(023)  夏休み 孫の相手は じじとばば        野澤06
(024)  打ち水も 甲斐なきほどの 暑さかな      治部01
1 柳町
2 橋本
3 鳥海
(025)  老いの身に 猛暑こたえる エコ温度      野澤12
(026)  炎天に足裏だけの影を踏む           土川01
1 吉良
2 中島
3 小幡
(027)  夏の夜鉢植えに水桶二杯            深瀬02
1 吉良
(028)  真夏日は 昼寝の前に ひと泳ぎ        野澤01
1 柳町
(029)  夕の森 盛夏を謳う 蝉しぐれ         橋本01
1 森
(030)  我が家では 冷えた麦茶で 暑気払い      野澤11
(031)  赤信号日陰争奪夏の朝             深瀬03
1 土川
2 鳥海
(032)  寝苦しき暑さ忘れる朝の風           小幡01
     東京は不夜城のため、蝉の幼虫は夜も光で木       
    に登れず地面を徘徊していますので、夜の散歩       
    では木に運んであげています。トンボのヤゴの       
    ように、蝉の幼虫の呼び名が統一されていない       
    そうです。                       
(033)  蝉のため 幼虫レスキュー 夏の宵       古川04
1 橋本  都会の蝉は苦労しますね、初めて知りました
(034)  夏休み マンションの子ら 声消ゆる      中島02
1 土川
(035)  夏痩せで プールの波に 浮き沈み       野澤13
(036)  夏の海かごめにヨット点描画          深瀬04
(037)  夏盛り 緑グリーンに 陽炎立つ        中島01
(038)  熱帯夜 体内時計も 夏時間          野澤04
     新国立美術館で印象派展開催中             
(039)  印象派 巴里の風乗せ 夏東京         古川03
(040)  夏の山狼煙(のろし)の見ゆる距離に村     土川05
1 深瀬  狼煙で伝えあう社会に、人間同志の絆の原点
を垣間見る思いがしました。こうした距離感が、各村
落の独自文化を育んだのではないかという気がします。
(041)  想い出す夏のにほいと山の音          小幡04
1 柳町
2 内野 「にほい」が効いていますね。
(042)  真夏日の 散歩の伴は マイポット       野澤02
(043)  暑き日に すずしげに咲く 睡蓮花       内野04
1 吉良
     昨年は登れた山なのに、今年は怪我で登れず        
    、残念なきもちです。                  
(044)  けがの足 眺めて想う 去年の夏        柳町02
(045)  炎天下影を求めて蛇行する           小幡02
1 野澤
(046)  暑き日に、登る夏山 草深し          内野01
     天草の海辺での旅館から、酔眼で海を眺めて       
    いたら浮かんだ句が多いようです。以下、10句。      
(047)  黄昏に漁火遠く夏静か             志方01
1 土川
2 内野 心が落ち着く句です。
3 小幡
(048)  月明かり一筋伸びる夏の海           志方02
1 吉良
2 古川
(049)  西陽さす夏の夕暮れ影長く           志方03
(050)  蝉しぐれ木洩れ日揺らし夏の涼         志方04
1 内野 一陣の風が吹いたのですか?
2 古川
(051)  戸を開けて暑さ一服カナカナと         志方05
(052)  緋鮮やか夾竹桃が凛と咲く           志方06
1 治部
(053)  陽炎が溶けだし揺れて猛夏かな         志方07
1 吉良
2 小幡
(054)  夕間暮れ波が寄せくる夏の浜          志方08
1 治部
2 内野 波をみながら作者は何を思っているのでしょ
うか?
(055)  澪標誰が立てたか炎天に            志方09
1 土川
2 森
(056)  風にのり夏雲超えて蒼天が           志方10
(057)  熱帯夜 冴えぬ頭で 一句詠む         野澤03
(058)  さらけだす豊満裸身夏に映え          深瀬05
(059)  汗たらリ いそぎ行きたる 猛暑の日      内野06
(060)  脳トレで 前頭葉の 暑気払い         野澤10
     これから老齢期を迎える我々は斯くあらねば!      
(061)  暑きほど 真赤に燃えよ 我が血潮       古川01
   兼題 戦争
(062)  原爆も小さくなりし安倍政権          小幡06
1 中島
(063)  猛暑にも 戦争絶えぬ パレスチナ       中島05
(064)  父遺し戦争写真セピア色            深瀬09
1 志方  安倍総理の評価は我々世代には賛否著しいで
すが、謙虚さが消え、論理に深みがないのと感じるの
は、わたしだけでしょうか?
2 橋本
     安陪首相の右翼的行動に叛旗の一句、昔もノ       
    ンポリラジカル、犬の遠吠え派。             
(065)  アベノミス 戦争への道 まっしぐら      古川05
1 鳥海
(066)  戦争を話すことなく父の逝く          土川02
1 深瀬  さきの日中・太平洋戦争は、それに翻弄され
た父の世代にとってなんであったのか、考えさせられ
ます。巨大な時代の歯車のなかに押しつぶされてしま
ったということでしょうか。
2 小幡
(067)  安倍君を まず派遣せよ 戦争地        中島06
1 内野 選ばざるを得ません。
2 鳥海
3 古川
   兼題 兄弟姉妹 
(068)  ひさしぶり姉の姿に歳をみる          小幡03
1 中島
(069)  「暑いね」と性格違う義姉の来る        土川03
     今では遺産相続でもめて?               
(070)  幼き日 兄弟げんか 懐かしき         古川06
(071)  堕ろし子を妹だったかもと母ぽつり       深瀬07
1 土川
      子どもの頃の想い出                   
(072)  これ兄に買ってもらったと母に見せ       深瀬08
   自由題 有季語    
(073)  一杯の麦茶口にし人心地            野澤17
1 志方  涼しさの実感が旨く表現されています
2 治部  暑い時の麦茶ほんとにうまいですよね。
(074)  切り落としやもりのしっぽ跳ねており      深瀬14
(075)  金盥 (たらい) 孫と一緒に 水を噴く            柳町03
(076)  梅雨空に 銀鱗見せて ボラ跳ねる       橋本03
(077)  涼求め汗をかきかきウオーキング        野澤18
     鹿児島市加治木町の龍門の瀧にて。退職後も       
    自己の道を極め様と欲するあつき思いは、まだ       
    消えない。                       
(078)  落ちてなお 飛沫 (しぶき) はあつし龍の瀧    杜瑯01
1 土川
2 治部
3 深瀬  こういうはげしい思いを俳句に詠むことも可
能なのだと改めて思いました。瀧の飛沫の捉え方も、
みるひとの心情で千差万別だということだと思います。
4 鳥海
5 古川
(079)  青空に白パラソルの八角形           土川04
     最初で最後? の5月、5泊6日の沖縄旅行か       
    ら 以下、7 句。                    
(080)  沖縄の 歴史を刻む 旅初日          橋本05
(081)  初シュノーケル 風雨も忘れる 白保海     橋本06
(082)  玉取崎 石垣島リーフ 茫々と         橋本07
1 内野 私も行ってみたくなる雄大な風景です。
(083)  東 (あがり) 崎 目元やさしき 与那国馬    橋本08
1 森
2 柳町
3 鳥海
4 古川
(084)  与那国は 車道も牛馬の 牧場なり       橋本09
(085)  訪れて 沖縄の島々 近くなり         橋本10
1 中島
     (沖縄海越えホール)                   
(086)  181 ヤード 海越えたよと 慶佐次嬢      橋本11
1 深瀬  狭い意味での俳句としてはどうかと思います
が、ゴルフをたのしむ者同志としては詠みたい気持ち
がよく分かります。キャディーさんに言われて安心と
いうのは、眼の老化もあるのでしょうか。
(087)  風鈴の 音色なつかし 目を閉じる       吉良03
1 志方  懐かしい景色かな
2 橋本
3 小幡
(088)  朝霧に 無数に浮かぶ 蜘蛛の網        橋本04
1 志方  夏の朝が上手く表現されていると思います。
2 深瀬  幾何学模様の蜘蛛の巣に水滴が付着し光って
いるというのは、美しくも不気味です。なにかSF小
説的な世界に紛れ込んだ思いがしました。
(089)  孫だしに縁日愉しむ我が女房          野澤19
(090)  我庭で 生きた証か 蝉の殻          治部02
1 森
     リズム感がなくなっている事を痛感していま       
    ます!                         
(091)  盆踊り 孫にも負ける リズム感        柳町05
     愉快な、古川組と語らって、暑さを吹っ飛ば       
    そう                          
(092)  八朔に 君と語りし 天に駈け            杜瑯03
(093)  蚊をたたきいのちをひとつ消しにけり      深瀬13
1 橋本  蚊にもいのち,,, 蚊憎しで露も浮かびません
                              
   自由題 無季語      
(094)  灰皿に父の面影しみ込みて           深瀬10
(095)  戻りきてなにしに行きと自問せり        深瀬11
1 野澤
(096)  ポテンシャルあがるをじっと待つ身かな     深瀬12
(097)  生命の生殖メカをだれつくり          深瀬15
     先ほど我が家の前で50年以上の街路樹の柳       
    の大木が倒壊しました。                 
(098)  柳の木 倒れて君の 恵み知る         古川07
1 柳町
(099)  客観す意識のレベルひと進化          深瀬16
(100)  電車内ネット中毒あふれけり          深瀬17
1 志方  苦々しいと感じるのが私だけではないようです。
(101)  トタンうつ雨音に耳そばだてり         深瀬18
(102)  人生になにが起きるか先見えず         深瀬19
(103)  客観を組織の論理封じ込め           深瀬20
1 野澤

  補足1.選句にあたっての、全体的なコメントには、次のようなも
のがありました。
・森さん: 秀句が多いですね。
・志方さん: 総じて夏を上手く表現するのは難しいと思いました。
・野澤さん: 皆さんの句を愉しく詠ませて頂きました。選句にあた
り私自身が上手い下手の評価ができるレベルにありませんので日常
生活の中で、私が詠みたかった事、共感出来る事を基準にしました。
  本来ならばこれぞ俳句と思える高尚なものを選句すべきかも知れ
ませんが
・内野さん: 早めに選句しましたので、コメントもつけることが出
来ました。今回はよい句が多く、なかなか選句が難しかったです。
皆さんだいぶ腕が上がったのでは?
・橋本さん: 以下の7句を選びました。分かり易い句ばかりになっ
てしまいます。
・中島さん: いつも通り、まず、「共感」を選択基準としています。
・古川さん: だんだん皆がうまくなっていますね。私は今回は言訳
付きの句ばかりでした。次回は涼しい中さえた頭で句ひねりたいと
思います。
  補足2.森さんのご紹介
  森さんは、古川充さんの大学の同期であり、古川さんから次のよ
うなご紹介がありました。
 『1947年生まれ鹿児島枕崎出身の薩摩隼人。群馬大学医学部卒業
後群馬大学第一内科に所属、1980年から1983年まで米国ルイジアナ
州立大学内科留学、1991年〜2013年 群馬大学医学部第一内科(改
組・病態制御内科)教授、2013年より北関東肥満代謝研究所所長と
して肥満代謝の専門医として研究を行っております。
 注。北関東肥満代謝研究所 http://kimono-riom.jp/
  2006年には摂食抑制ペプチドであるNesfatin-1を発見し、Nature
に発表し注目を浴びております。
  駒場東邦の仲間たちで行っているゴルフ会霞光会に所属していま
す。』
  尚、森さんは、七杜節瑯のペンネーム (俳号は、杜瑯です。) で、
「男の死体 (最新医学新書) 」、「女の死体-君よ、女の死体に聞
け (最新医学新書) 」の著作があり、文学にも深い造詣をお持ちで
あり、多彩な活躍をされています。



2014年8月6日水曜日

 七句会の集まり(14.08.03)の報告                   
                                   
- 日時      2014年08月03日 (日) 午後2 時~4 時頃           
- 場所      上智大学四谷キャンパス  10号館 324教室          
- 参加者    小幡、土川 (以上敬称略) 、深瀬              
                                   
- 内容                                
1.資料(1) 「七句会 第八回句会の個人的なレビュー」 (深瀬) を使った討議
    俳句には作る人の人間性のようなものが、結構、現れる。       
                                   
2.資料(2) 「自由律俳句について」 (土川) を使った討議         
    言葉のリズムや拍子は、俳句でも大きな位置づけを占めている。    
                                   
3.資料(3) 「なぜ、わたしは俳句を作るのか5  (深瀬) を使った討議    
    俳句を作る目的、期待される効用は、人それぞれ千差万別であり、その多
様 性が興味深い。                          
                                   
 追記                                
  冒頭、小幡さんから、前々日、大阪から東京へ豪雨のなか、高速道路で帰る
途中、追いこし車線で道路上にできた水たまりにハンドルをとられスピンし、
ガードレールに激突し、車は大破し廃車になったが、エアバッグのおかげで奥
さまともども九死に一生をえたとのご報告がありました。それでも小幡さんは
、レンタカーを借りて前日、運転して帰って来たとのことで小幡さんの精神的
たくましさに敬服しました。                      
                                   
 深瀬  記                              
                                   
                                   
                                   
                                   
                                   
                                   
  資料(1)                               
                七句会勉強会資料  深瀬 (14.08.03)   
                                   
 七句会 第八回句会の個人的なレビュー                
                                   
1.七句会 第八回句会 投句表 (2014年5 月11日締め切り)          
                                   
 春愁や煙雨の向こうのおぼろ梅            志方01     
 あぜ道に命みなぎるつくしかな            志方02     
 若葉透け名残り桜に春は行く             志方03     
 みちすがら相馬の桜に鯉のぼり            志方04     
 相馬路の今年も悲しき山桜              志方05     
 この春も大地剥ぎ取る除染かな            志方06     
 残雪に夕陽が滲む那須連峰              志方07     
                                   
 この春も ひばりさえずる 分譲地          橋本01     
 春は花 花花花を 咲かせ行く            橋本02     
 新緑の フィールドアスレチック (の子ら)  声高く  橋本03     
 癒される 柔らか若葉の 散歩道           橋本04     
  (春のゴルフを2句)                        
 ティーショット 吸い込まれたい 皐月晴れ      橋本05     
 薫風が 運んでくれた ナイスオン          橋本06     
  (日本の公的債務 (借金) の危機的状況はどうなる?)   橋本07     
 借金が 世界遺産と ならぬ世に                   
                                   
 今年2 月に中央区に転居し、毎朝街中を散歩しています。        
 ビルの森 窓辺に映える 春の雲           吉良01     
 コンクリを 押し分け萌える 春の草         吉良02     
 ざわめきの ひと人ヒトに 春の顔          吉良03     
 春の陽の 水辺に照らす  白黄色          吉良04     
 行く春に 汗したたらせ 若葉かぐ          吉良05     
 隅田川 春待ちわびて 櫂をこぐ           吉良06     
                                   
 春愁やエンドロールの文字滲む            土川01     
 半地下にロシアの春のアコーディオン         土川02     
 「お帰り」といふ日本語の暖かし           土川03     
 朧月車窓に映る無表情                土川04     
 単線の上りを待ちて黄水仙              土川05     
                                   
 風香る 菜の花畑 春爛満              古川01     
 若葉寒 春の気まぐれ 風しみる           古川02     
 雲雀鳴き 春風そよぐ 幸せや            古川03     
 松永邸でバーベキュー御馳走になりました               
 友集い 春昼下がり 酒うまし            古川04     
 老いの先 宇宙の基へと 帰る道           古川05     
 雨風に 曝されても行くぞ 老いの道         古川06     
 農協の日替わり定食で、でてきたカレーと蕎麦で考えて         
 しまいました。ちなみに私も知らないおじさんもカレー         
 から食べました。                          
 カレーと蕎麦 どちらを先に 食べるべき       古川07     
                                   
 深みゆく緑に春を惜しみけり             深瀬01     
 春惜しみ老後戦略再吟味               深瀬02     
 障子切る鳥影の濃し春や行く             深瀬03     
 新緑に山はおおわれ別世界              深瀬04     
 海と陽といのちたわむる干潟かな           深瀬05     
 タイヤチェーン雪うつ音や都心夜           深瀬06     
 ボケたかと不安横切る老後日々            深瀬07     
 いつ終わる老後の道の一人旅             深瀬08     
 日本鬱中華帝国よみがえり              深瀬09     
 日本流耽美こだわりガラパゴス?           深瀬10     
 米中のはざまで問わる日本流             深瀬11     
 独立の意味いま問わる日本かな            深瀬12     
 うましくに日本に溢る汚染水             深瀬13     
 星をみて亡きひと想ういのちあり           深瀬14     
 自然との距離と関係思想生む?            深瀬15     
 自然への畏怖失せし世は空騒ぎ            深瀬16     
 自然への畏敬なき学うわ滑る             深瀬17     
 細胞の個々とわれとの関係は?            深瀬18     
 電王に腕組む棋士に疲労感              深瀬19     
 絶叫す中継アナに落差あり              深瀬20     
                                   
 桜みちはずむ歩みが春を呼ぶ.             小幡01     
 花びえに重きからだに老いとしる.           小幡02     
 土けむり孫が泣き出す春あらし.            小幡03     
 春うらら歳を忘れて岩登り.              小幡04     
 桜みち弾むこころに夢をみる.             小幡05     
                                   
2.個人的な見方                            
                                   
〇志方さんの俳句                           
 自然の風景をじっくり観察し、細かいところまで、味わっている。    
 その一方、人間のやっていることを、自分のことも含めて、やや肯定できず
にやや距離をおいて見ているクールな雰囲気も感じられそう。       
 俳句つくりになにを求めていくか、注目してみたい。          
                                   
〇橋本さんの俳句                           
 生活の場のなかで、自分自身の社会性も含めて、健全に肯定的に捉えている
。                                  
  分譲地、アスレチック、散歩道、ティーショット、など、日常の生活にしっ
かり根付いている感じ。                        
                                   
〇吉良さんの俳句                           
 都心のなかでたくましく存在している自然をしっかりと見つめ、自分自身の
位置づけも揺るぎなく肯定している。都会のなかで、自然や自分自身も含めて
、冷静に客観視することができている。お医者さんならでは?       
                                   
〇土川さんの俳句                           
 日常生活のなかで、普通はあまり意識されないような風景を、しっかりピン
トをあわてせて提示するというのは、土川さん独自の切り口のように思います
。                                  
 その切り口には、いろいろな教養や興味に裏打ちされたもので、土川さんの
人間性のようなものが深く刻み込まれたもののように感じます。      
 なにか絵画的で、よむ人の意表をつくというのか、少しはっとさせるような
面もあると思います。                         
 人間や社会を、否定的に捉えるという訳ではないが、だからといって肯定的
に捉えている訳でもなさそうです。                   
                                   
〇古川さんの俳句                           
 やや気張っているのが、古川さんらしい感じがします。その一方、やや首を
傾げて、疑問を投げかけるような気配もあります。しかし、全てに対して、肯
定的な気分を強く感じます。                      
                                   
〇小幡さんの俳句                           
 自然や日常の生活の場で生きている自分を、鷹揚に、肯定的に捉えている小
幡さんの姿勢が強く感じられます。人生とは、こういうものなのだ、というメ
ッセージがここちよく、説得力があると思います。            
                                   
 以上                                
                                   
                                   
                                   
  資料(2)                               
                                   
 七句会勉強会メモ                          
                     2014.8.3.  土川春穂    
                                   
■自由律俳句について                         
  俳句は「五七五」の定型を守るというよりも、基本的に七五調のリズムを大
切にすることと私は思っています。しかし、定型の意味をもう少し考えるため
に、敢て定型俳句の対極にある自由律(無定型)俳句について勉強してみるこ
とにしました。(文献:池内紀編 岩波文庫 尾崎放哉句集)       
  自由律の俳句と言うと尾崎放哉(おざきほうさい)が有名です。彼は大正1
年に41歳で早逝していますが、十代半ばから30歳ぐらいまでの一高、東大、エ
リートサラリーマン時代は定型俳句を書いていました。その後、俳誌「層雲」
で萩原井泉水(おぎわらせいせんすい)の指導のもと、自由律俳句に転じてい
ます。                                
  尾崎放哉の代表句というと、                     
      咳をしても一人                         
      墓の裏にまわる                         
が知られていますが、これは自由律と言うよりも、私には「三三三」の定型に
見えます。                              
  話は少し余談になりますが、日本の歌謡曲、特に演歌を見ると、その歌詞の
大部分が七五調になっています。それほど、七五調は日本人の心に訴求性があ
るリズムと言えます。たとえば、「北の宿から」(阿久悠作詞、都はるみ歌唱
)は、                                
      あなた一人じゃ ないですか  日ごと寒さが 募ります      
      着てはもらえぬ セーターを  涙こらえて  編んでます     
と、見事な七五調です。                        
  日本語は基本的にかな一文字一拍のリズムをもった言語です。七五調は、実
は休みの拍を入れると八拍ごとの八分の八拍子になります。それが日本人には
心地良いリズムなのです。                       
                                   
                                    
<---- 8音----> <---- 8音 ---> <---- 8音 ---->           
♪♪♪♪♪・・・♪♪♪♪♪♪♪・♪♪♪♪♪・・・           
うみにでて・・・こがらしかえる・ところなし・・・           
ふるいけや・・・・かわずとびこむみずのおと・・・           
      * 中七は三四の時は初めに休みが、四三の時は後に休みが入る 
                                   
 七五調の他にも日本人の好きなリズムがあります。「津軽海峡冬景色」(阿
久悠作詞、石川さゆり歌唱)を歌ってみてください。           
   上野 発の 夜行 列車 降りた 時か ら・・          
 これは「三三三・・・」の三連符(三拍子ではない)の連続です。三連符も
日本人の大好きなリズムと言えます。上記の放哉の代表句も実は「三三三」な
のです。                               
                                   
 晩年になっても放哉は井泉水に徹底的に添削指導されていたようで、井泉水
の死後に倉庫から発見された放哉の句稿から、その添削の様子が分かります。
面白いので、添削前後をいくつか並べて書きます。            
  尾崎放哉句稿 (上段)    萩原井泉水添削後 (下段)         
  たった一人分の米白々と洗ひあげたる                
           -->  一人分の米白々と洗いあげたる      
  時計が動いて居る寺の荒れてゐること                
          -->  時計が動いて居る寺の荒れてゐる     
  いつも泣いて居る女の絵が気になる壁の新聞             
          -->  壁の新聞の女はいつも泣いて居る     
  お粥をすする音のふたをする                    
          -->  お粥煮えてくる音の鍋のふた       
  一つ二つ蛍見てたずね来りし                    
          -->  一つ二つ蛍見てたずねる家        
  口あけぬ蜆(しじみ)淋しや                    
          -->  口あけぬ蜆死んでゐる          
                                   
 いずれも少しの添削よって、自由律といえども(自由律だから)リズムが躍
動して、情景が生き生きとするのが分かります。俳句というものはやはり定型
というよりリズム、さらに言えば、それによって表現される感動が重要なんだ
ということをあらためて感じました。                  
                                   
                                   
                                   
  資料(3)                               
                七句会勉強会資料  深瀬 (14.08.03)   
                                   
 なぜ、わたしは俳句を作るのか                    
                                   
1.自分の置かれている状況                       
 - 産業経済社会、企業組織から離脱                  
  - 子育て、老いた両親の世話も終了                  
  - 人生の消化時間    一句「人生の消化時間に俳句よみ」        
  - 身辺整理の時。この世に別れを言う準備をする段階に。        
  - ある程度、納得して、この一回限りの人生に別れを言いたい。     
  - ゴーギャン  「われわれはどこから来たのかわれわれは何者かわれわれは
どこへ行くのか」                           
 - 運命に翻弄されるがままに死んでいくというのではなく。       
  - 一句「支えとすこの百句もち永久の旅」               
                                   
2.俳句の効用                             
  - 普段、意識を向けないものに意識を向けるようになり、自然の美しさや人
生の不思議に気がつくようになる。                   
  - 大学  『心ここにあらざれば視れども見えず、聴けども聞こえず、食らえ
どもその味を知らず、此れを“身を脩(おさ)むるはその心を正すに在り”と
謂う』。意識を向けるということがむずかしい。  仏教の教えも、本質はこう
いうことらしい。( ゴルフも囲碁も同じでは、と最近感じます。)      
  - 俳句は、ことばを探して、それを表現し、客観化し、他者と共有できる。
五七五や兼題などの制約を通して、意識を集中できる方法論もある。    
                                   
3.俳句を作るという観点でその他気になること-作る目的、理由との絡みで 
 - 高得点を得たいという気持ち。誰のために作るのか。         
  - こどもの俳句の斬新さ。大人の視点は、次第に曇る?         
 - 芭蕉の俳句を除いて、座右に置いてもよいという俳句があまりない。  
   権威主義的なもの。規範にはめられすぎ?             
 - 独自性、オリジナリティーということ。               
   人それぞれの独自世界は大切。多様性。              
  - 季語重なり、動詞が多い、等の制限規則。              
                                   
4.「支えとすこの百句もち永久の旅」--今現在の候補          
 永久の旅の支えになるか?  なにが支えとなるのか? 「こういう人生だった
。そういうこともあった。」                      
                                   
 春ころ                               
○ 胎動の不安帯びたる春の風                     
○ 地下鉄の駅の生け花春ともす                    
○ 日暮れ延び気持ち和らぐ春や来る                  
○ 抹茶たてうぐひすを聞く桃源郷                   
                                   
 夏ころ                               
○ 水面のバラの花弁に蟻ひとつ                    
○ バラの茎昇り降りする黒き蟻                    
○ バラの香に思いはせるや異邦人                   
○ 戦没の海にビールを注ぐかな                    
○ 仏壇のビールに笑ふ父遺影                     
○ 父ビール王冠バッチで子ら遊ぶ                   
○ かみなりを合図に妖怪湧き出でる                  
○ かみなりにへその仇討ちかえる跳ぶ                 
○ あさがほの淡きいろどり江戸情緒                  
○ ろくろ首あさがほに見る不気味かな                 
○ 夏の陽にみみずのたうつ断末魔                   
○ 夏旅館朝日きらめく海入れる                    
○ 夏の道電線の影踏みつづけ                     
○ 夏休み終着駅に波の音                       
○ とんぼとり虫かご母に見せし日も                  
                                   
 秋ころ                               
○ 妻ひとつわれもひとつとぶどう食べ                 
○ チェロの音に紅茶かたむけ秋の夜                  
○ 満月を湖面にゆらす小舟かな                    
○ 月光に谷底の川ひびきおり                     
○ 芋の葉の朝日吸い込む収穫日                    
○ しらぎくに英霊の眼になみだかな                  
○ ひとのみし海に菊投げ鎮魂す                    
○ 野にしても卑にあらずとは菊の花                  
○ 清涼の空と野菊に母想う                      
○ 鎮魂を菊に託すか海浜辺                      
○ 英霊に白菊捧げ黙祷す                       
○ 軍艦のごとく雲ゆく野分かな                    
○ 野分きて魑魅魍魎ら雀躍す                     
                                   
 冬ころ                               
○ 寒稽古終わりて教会鐘の音                     
○ 夕焼けの電線よぎる落ち葉かな                   
○ 街頭のひとごみ縫って舞う落ち葉                  
○ 落ち葉踏みコーヒー片手に急ぐ朝                  
○ 冬来たりこころ鎮まる寒さかな                   
○ 垣根越し時雨れに急ぐ人の影                    
                                   
 無季語・川柳                            
○ 死の床で雲の流れに別れ言ふ                    
○ 死ぬときは一人旅立つ父母のもと                  
○ さらに生きなにかよきことあるか問ひ                
○ みずからの生き方したか問いて死ぬ                 
○ 母と待ったこの三越のエレベータ                  
○ いつの日かにこにこ顔もデスマスク                 
○  (火葬場にて) 残りしを掃きて集めし母の骨             
○ 集めたり分けている間に寿命尽き                  
○ 死の床で父母に再会思うかな                    
                                   
○ 漆黒に蒼き地球の寂寥感                      
○ 雲変化空を彩る自在さや                      
○ 翼竜ら太古の空を滑空す                      
                                   
○ 前をゆくまるみ帯びたる大ヒップ                  
○ つけまつげ電車のなかも宝塚                    
                                   
 以上                                
                                   

2014年7月8日火曜日

七句会の集まり(13.12.01)の報告

 七句会の集まり(13.12.01)の報告
- 日時      2013年12月01日 (日) 午後2 時~4 時頃
- 場所      上智大学四谷キャンパス  9 号館 454教室
- 参加者    小幡、土川 (以上敬称略) 、深瀬
           (志方さんは、大学までこられましたが、教室が分からず、残念な
          がら参加ならずでした。)
- 内容
1.第六回句会の選句
2.各自の俳句との関係を紹介と討議
 配布された資料は、次の通り。(pdf形式で添付)
(1) 七句会勉強会メモ [土川さん]
・最近の心境です。
・森澄雄俳句集 (上・下)(永田書房) を読みました。
(2) 芭蕉の俳句の世界とは  蕪村、一茶と対比して [深瀬]


[13.12.01 資料01]
七句会勉強会メモ
                     2013.12.1. 土川春穂
■最近の心境です。
 自分の詠んだ句が選ばれなくても、「それは未熟だからしょうがない。」と
思えるのですが、選者が選んだ句や人々に人気のある句が私には「何故いいの
かちっとも分からない。」というのが辛いですね。すなわち、それは「いい句
は何かが分かっていないので、いくら頑張ってもいい句を作れない。」という
ことを意味しているからです。やはり私は俳句には向いてないかな。
■森澄雄俳話集 (上・下)(永田書房)  を読みました。
 森澄雄(1919-2010) は人間探求派加藤楸邨の一番弟子です。この本は2004年
7月から2010年2月まで毎月行われた句会(52 回分) での講話の全記録です。
毎回、門人の投句に痛快な指摘と添削がなされ、その情熱と迫力に圧倒されま
す。読んで面白い本です。
 その中で多くのことが語られていますが、一貫して繰り返し言われているこ
との一つは「 ああだこうだと理屈を言うな」 です。私には何か理屈で、何か理
屈でないのか今一つ理解できませんでしたが、「 ‥‥理屈はどこまでも理屈な
んです。人間の小さな頭で考えるからです。頭を働かせず、向う側の自然が見
えないと駄目なんです。つまり物と物を包んでいる虚空が同時に見えないと、
本当に見たことにならない。物が見えるということは心に宿った一瞬のひかり
なんです。その一瞬のひかりを言い留めるのが俳句なんだと・・・」 。
 以下に、森澄雄に添削された句のビフォア・アフターと彼の指摘の例を示し
ます。
頬張って老いのはにかむ雛あられ
 →頬張りて老いはにかめる雛あられ (添削で理屈がなくなる)
足裏に畳冷たき夏隣
 →足裏に畳冷たし夏隣    (冷たきは説明、実感がない)
打ち水に灯しの早き神楽坂
 →打ち水に早き灯の神楽坂  (説明でなく情景で)
青葉ずく啼いて暗闇祭来る
 →青葉ずく啼ける暗闇祭かな (理屈じゃない)
妻寵より馬寵へ歩き風薫る
 →妻馥より馬馥の道や風薫る (理屈がなくなり季語が大きく包む)
夏鶯こゑのほがらや極楽寺
 →夏鶯こゑしきりなる極楽寺 (作者の勝手な感想)
水満ちて川の濁れる牛蛙
 →水満ちて川濁りたる牛蛙  (「の」が説明)
舟遊び深き緑の嵐山
 →舟遊び緑の深き嵐山    (説明的)
小賀玉の花の香ある極楽寺
 →小賀玉の花の香あり極楽寺 (こういう寺ですという説明)
ごよろぎの浜に来たれば冷酒酌み
 →こよろぎの浜に来たりて冷酒酌む (仮定の条件は理屈)
忘られて菅笠古りし鮎の宿
 →忘られし菅笠古りし鮎の宿 (経過の説明でなく現在を)
私なり解釈して、日本語文法的(技巧的)にまとめると
・時間的経緯や理由の説明でなく、現在の情景を詠う。
・下五の名詞を中七の形容詞や動詞の連体形で修飾するのでなく、中七を終止
形で切る。
・動作(変化)でなく今の状態を詠う。
 - ヒトを主語にして、他動詞で動作を表現するのでなく、モノを主語にして
 自動詞で状態を表す。
 (日本人は自動詞を使った表現が好きということと関連しているように思う
  。)
 - 他動詞は、ヒトが主語で、目的語を取って、動作を表す。      
    →(ヒトが)本を折る。
 - モノを主語に、自動詞・テイル形・ある/ いる文・・形容詞文などで状態を
 表す。→本が折れる。
ただ、彼の言う“本質”は、たぶん文法(言葉遣いの技巧)というよりは物の
認識なんだと思います。
      以上

[13.12.01 資料02]
                     七句会資料(13.12.01) 深瀬
   芭蕉の俳句の世界とは - 蕪村、一茶と対比して -
1.芭蕉、蕪村、一茶の俳句の区分けの試み
  芭蕉の俳句を、無常観、生命観、自然観 (雄大な自然との一体感) に区別し
てみる。
  蕪村の俳句に、絵画的なものに注目してみる。
  一茶の俳句に、自虐的なもの、同情的 (他の生き物もの気持ち) 、に注目し
てみる。
(1) 芭蕉俳句抄
01 猿を聞く人捨子に秋の風いかに              生命観
02 道のべの木槿 (むくげ) は馬にくはれけり         生命観
03 手にとらば消えんなみだぞあつき秋の霜
04 碪 (きぬた) 打ちて我にきかせよや坊が妻
05 死にもせぬ旅寝の果よ秋の暮れ              無常観
06 よく見れば薺 (なずな) 花咲く垣根かな          生命観
07 古池や蛙飛びこむ水の音                 自然観
08 旅人とわが名呼ばれん初しぐれ              無常観
09 草臥 (くたび) れて宿かる頃や藤の花
10 父母 (ちちはは) のしきりに恋 (こひ) し雉子 (きじ) の声 生命観
11 若葉して御めの雫ぬぐはばや
12 おもしろうてやがて悲しき鵜舟 (うぶね) かな
13 物言えば唇寒し秋の風
14 草の戸も住替 (すみかは) る代 (よ) ぞひなの家      無常観
15 行く春や鳥啼き魚の目は泪
16 田一枚植ゑて立ち去る柳かな
17 夏草や兵 (つはもの) どもが夢の跡            無常観
18 閑さや岩にしみ入る蝉の声                自然観
19 五月雨 (さみだれ) をあつめて早し最上川         自然観
20 荒海や佐渡に横たふ天の川                自然観
21 一家 (ひとつや) に遊女も寝たり萩と月
22 初しぐれ猿も小蓑 (こみの) をほしげなり         生命観
23 病雁 (びょうがん) の夜寒に落ちて旅寝かな        無常観
24 菊の香や奈良には古き仏たち
25 この道や行く人なしに秋の暮れ              無常観
26 秋深き隣は何をする人ぞ
27 旅に病んで夢は枯野をかけめぐる             無常観
28 山路来て何やらゆかしすみれ草              生命観
29 月はやしこずゑはあめを持ちながら            自然観
30 山も庭も動き入るるや夏座敷               自然観
31 雲の峰幾つ崩て月の山                  自然観
32 暑き日を海にいれたり最上川               自然観
33  手をうてば木魂に明る夏の月               自然観
(2) 蕪村俳句抄
01 古庭にうぐひす鳴きぬ日もすがら
02 春の海ひねもすのたりのたりかな
03 をの入れて香に驚くや冬木立ち
04 くすの根を静かにぬらす時雨 (しぐれ) かな        絵画的
05 不二 (ふじ) ひとつうづみ残して若葉かな         絵画的
06 ぼたん散つてうち重なりて二三片             絵画的
07 石工 (いしきり) ののみ冷したる清水 (しみず) かな    絵画的
08 菜の花や月は東に日は西に                絵画的
09 夕風や水あをさぎの脛 (はぎ) を打つ           絵画的
10 涼しさや鐘を離るる鐘の音                絵画的
11 五月雨 (さみだれ) や大河を前に家二軒          絵画的
12 行く春や重たき琵琶 (びは) の抱きごころ
13 白梅に明くる夜ばかりとなりにけり
14 おそき日の積もりて遠き昔かな
15 閻王 (えんわう) の口やぼたんを吐かんとす        絵画的
16 朝顔や一輪深き淵 (ふち) の色              絵画的
17 白露やいばらの刺 (はり) に一つづつ           絵画的
18 月天心貧しき町を通りけり                絵画的
19 ねぎ買うて枯れ木の中を帰りけり             絵画的
  注。蕪村には、古今の故事を題材に詠んだ句も多いが略してある。
(3) 一茶俳句抄
01 秋雨や乳放 (ちばな) れ馬の旅に立つ           同情的
02 夕つばめわれにはあすのあてはなき            自虐的
03 ふるさとやよるもさはるも茨 (ばら) の花
04 これがまあつひの住みかか雪五尺             自虐的
05 うつくしや障子の穴の天の川
06 悠然 (いうぜん) として南山 (なんざん) を見るかはづかな
07 むまそうな雪がふうはりふうはりと
08 われと来て遊べや親のないすずめ             同情的
09 涼風 (すずかぜ) の曲がりくねつて来たりけり
10 すずめの子そこのけそこのけお馬が通る          同情的
11 めでたさも中ぐらゐなりおらが春             自虐的
12 蟻 (あり) の道雲の峰より続きけり
13 ともかくもあなた任せの年の暮れ
14 大ほたるゆらりゆらりと通りけり             同情的?
15 秋風やむしりたがりし赤い花
16 まかりいでたるはこのやぶの蟇 (ひき) にて候 (さうらふ)  同情的?
17 露の世は露の世ながらさりながら             自虐的
18 麦秋 (むぎあき) や子を負ひながらいわし売り
19 春めくややぶありて雪ありて雪
20 やれ打つなはへが手をする足をする            同情的
21 寝せつけし子の洗濯や夏の月
22 一人 (いちにん) と帳面につく夜寒かな
23 次の間の灯 (ひ) で膳 (ぜん) につく寒さかな
24 夕月や鍋の中にて鳴く田にし               同情的
25 名月のごらんのとほり屑家 (くづや) かな         自虐的
26 衰へや榾 (ほだ) 折りかねるひざがしら
2.芭蕉の俳句の世界                          
 (1)無常観
・芭蕉の人生は旅。おくのほそ道、等。
  「月日は百代 (はくたい) の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。」
・鴨長明  方丈記
 「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮ぶうたか
たは、かつ消えかつ結びて、久しく止まる事なし。世の中にある人と住家と、
またかくの如し。」
・徒然草  兼好法師
・日本人にとって無常観は、伝統的なもの。「人生五十年、化天のうちに比ぶ
れば、夢幻の如くなり」敦盛。もののあわれ論 (源氏物語) 。
・禅の世界。無の思想。
 (2)生命観
・小さな命を通して生命全体、宇宙全体を観る態度。
 (3)自然観
・雄大な自然の景色と一体となり、広大な宇宙を感じ取る。
・日本の自然の四季の変化の美しさを介することもある。「春は花夏ほととぎ
す秋は月冬雪さえて冷 (すず) しかりけり」道元。
・柳田國男の死者の霊魂の行くところとしての山里。
3.現代社会
・産業社会のなかで、目標遂行 (プロジェクト) に、日々、追われている。機
能、効率、品質向上、コスト低下、等。PDCAサイクル。
・経済生活、物質的欲望に絶えず刺激され、無常観、生命観、自然観に、ここ
ろを遊ばせるゆとりを失っている?

七句会の集まり(13.08.18)の報告

 七句会の集まり(13.08.18)のご案内
  下記の要領で、俳句の「研究・啓発」を目的とした集まりをもちたいと思い
ます。趣旨に賛同し、ご都合がつけば、ふるってご参加のほど、お願いいたし
ます。
  出席される場合には、8 月 4日までに、事務方までご連絡をお願いいたしま
す。
・日時     2013年8 月18日 (日) 午後2 時~4 時
・場所    上智大学四谷キャンパス内紀尾井坂ビル B101教室
      四ツ谷キャンパスマップ
            http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/map/map_yotsuya
       (正門から入り、最も、右手奥の建物です。ホテルニューオータ
           ニに道路をはさんで面しています。)
・内容   1 これまでに投句した句や選句をした句から、最大、各5 句選んで
            参加していただき、各句について意見を述べ、話し合う。
          2 俳句に関するテーマについて、20~30分程度、だれかに話しをし
      てもらい、Q&A を行う。
           (詳細につきましては、追って、連絡したいとは思いますが、初回
          ですので、きらくに行きたいと思います。)
・参加費  教室の貸室料(5,000円前後) を、参加人数で割った金額。
・その他  1 初回ですので、今後のやり方について相談したいと思います。
     2 飲み会は、希望者が、周辺の適当な場所で適宜行う。
・補足  - 上智大学四谷キャンパス内の教室は、「研究と教育」を目的とす
      る会合に関してのみ、有料で利用することができ、この点につい
            ては、わたし (深瀬) と大学同期の小野山隆夫さん (上智大学の
            電子計算機システムや図書館システムの開発管理業務を担当され
            、昨年定年退職されました。) のご尽力による了解をうることが
            できました。
     - これまでの4 回の選句表の結果を添付します。第一回と第二回に
      ついては、全句がリストされていませんので、注意して下さい。
          - 橋口代表は、この期間、山ごもりのため、東京にいないため、残
      念ながら欠席です。
          - 当集まりは、土川さんと深瀬とで、俳句を題材に、なにかいろい
      ろ話しあう場があってもよいのではないか、という点で一致して
      行うことになったものです。
            事務方  深瀬

 七句会の集まり(13.08.18)の報告
- 日時      2013年8 月18日 (日) 午後2 時~4 時15分
- 場所      上智大学四谷キャンパス  紀尾井坂ビルB101教室
- 参加者    内野、志方、土川 (以上敬称略) 、深瀬
- 内容
1.各自の俳句との関係を紹介し、確認したり討議を行った。
 配布された資料は、次の通り。(pdf形式で添付)
(1) 七句会勉強会メモ [土川さん]
・句作に際して心掛けていること (私の好み) 。
・句例  芭蕉、今現在師事している先生の句、自身の句、等。
(2) 第1 ~4 回  七句会投句抜粋 (敬称略)(参加者のもの) 、および、松尾芭
蕉の俳句 (芳賀徹氏選)  [深瀬]
(3) 近代俳句の展開、および、水原秋桜子の俳句 (村田治夫「近代俳句要解」
抜粋)  [深瀬]
2.主な意見、感想、等
(1) 内野さん
・キャッチコピーのようになってはいけない、といった句作における具体的注
意点は役に立った。
・自分の場合には、日常生活のなかから句を作るのはむずかしい。
・「死」の問題は重たい。いずれ正面から立ち向かう必要がありそうだ。実存
主義俳句ともいえるだろう。
(2) 志方さん
・土川さんや内野さんと半世紀ぶりに出会い、詰め襟時代に思いを馳せること
ができた。
・俳句作りには多様な背景を踏まえる必要があり、ボケ防止のみならず、学ぶ
に値するもののようだ。還暦後の知的挑戦にも適っていそう。
・もう少し仲間を引き込む工夫が必要だろう。
(3) 土川さん
・いろいろな俳句を作ったり読んだりし、悩むことが多いが、今回は、他者の
正直な意見が聞けて良かった。
・深瀬の提示した自作句は、「自然科学俳句」と名付けたい。宇宙、生物史、
生命科学、哲学、等をテーマにするという路線も、四季の自然観を超えた上位
の自然観として、ありうるのではないか。
・これまでは、従来の俳句界の常識やデッサン力といったものを身につけるこ
とを心掛けてきたが、これからは自分らしい気持ちをこめることにも留意して
いきたい。
                                   
(4) 深瀬
・自分自身が多少とも意識して作っている句を土川さんから「自然科学俳句」
という、かなり立派な名前をつけてもらい、今後目指すべき方向をはっきりさ
せるうえで大きなヒントになった。世界観や人生観も、含まれるように感ずる

・俳句の歴史については、戦後の動向についても理解する必要を感じた。
・七句会は、別に参加している句会に比較して、なんでも言い合える点がよい
と感じた。
- 次回の予定は、明確には決めませんでしたが、3 ~6 ヶ月に1 回程度は行う
方向としたいと思います。よろしくお願いいたします。
  ご報告が遅くなり、申し訳ありません。
  文責  深瀬 (13.08.27)


[13.08.18 資料01]
                                   
七句会勉強会メモ
                         2013.8.18. 土川春穂
■句作に際して心掛けていること(私の好み)。
(1) 自分らしく。
  ・感動、表現において、定番や通説に頼らないで自分で感じたこと、考え   
      たことを表す。
  ・ユニークさを狙うのでなく、自分で考えれば結果として自分らしくなる
   と信じて。
  ・季題ありきでなく、感動ありき。感動していないものは表現できない。
(2) 現実( 物) を描写することで、自分の気持ちや考えを出す。
 ・主観的な感情形容詞 (うれしい、寂しい、つらいなど) を直接使わないで
  、それらの気持ちや考えを客観的な現実( 物) で表現する。
(3) 散文でなく、ポエムに。
 ・物や事実の説明だけにならないように。
 ・時事評論や風刺は川柳に譲る。
 ・事実の描写や伝達は2害リ 。それ以外に余情や含蓄が8割あるように。
 ・そこから物語が生まれるように。

■句例
 ① 紫陽花や北鎌倉に傘の列  重青(現代俳句協会ネット句会高得点句)
    ・・・観光ポスターの定番キャッチコピーのよう。こうならないよう
       にしたい。
 ② 霧しぐれ富士を見ぬ日ぞおもしろき 芭蕉
    ・・・“無いこどを詠う。おもしろし(古語)は主観的な感情形容詞
       ではない。
 ③ 跳箱の突き手一瞬冬が来る   友岡子郷
    ・・・物の表現で作者の感動が伝わってくる。動きもある。
       俳句論「天真のことば」(木阿弥書店)は触発された。“虹を
       指す指”
 ④ 線香花火左手は膝を抱いて   神野紗希
    ・・・ちょっと少女趣味だけど、“左手”に着目が新鮮。
 ⑤ 渡り鳥見えますとメニュー渡さるる   今井聖
    ・・・物語がある。かなり異端の人だが、“通俗を排ぜの考え方は好
       き。
 ⑥ 美しき落葉とならん願ひあり   森澄雄
    ・・・晩年は素直に自分の気持ちを出している作品が多い。
       「遺稿 森澄雄俳話集」(永田書店)は面白い。“理屈を捨て
       ろ”
 ⑦ 月白く緩和病棟最上階     土川春穂
    ・・・余情を狙うと体言が多くなってしまう。
       物そのものでなく、もっと動きや考えを表現した方がいいのか
       な。
 ⑧ 連山を おおう紅葉にうよう) 夕(ひ)にのまる  深瀬久敬
 ⑨ 廃線の鉄路の先の夕霞        志方洋介
 ⑩ 暴風雨、去りて残しし あかね雲   内野和顕
    ・・・みんな素晴らしい。私はこういう素直な句が作れないので羨ま
       しい。

13.08.18資料02]
【13.08.18 七句会勉強会資料】  第1 ~4 回 七句会投句抜粋(敬称略)
(015)   五月晴れ孫がはじけて背比べ        志方08④
(026)   浅緑の風に向かって孫駆ける        志方04④
(035)   鮮緑の武蔵野林に野鳥啼く         志方05④
(040)   浅緑の川面になびく鯉幟          志方01④
(052)   阿武隈の山波遠く春哀し          志方07④
(056)   陸奥の傷跡癒す山桜            志方02④
(063)   夕されば川面に続く菜の花や        志方03④
(065)   廃線の鉄路の先の夕霞           志方06④
(047)   新緑の緑百色山緑             土川02④
(061)   広き葉の重なりて夏透過光         土川01④
(067)   共白髪四十年目のボート漕ぐ        土川03④
(069)   草萌えに白き点描の風来る         土川04④
(071)   まだ開(あ)かぬ丸み重たき白き薔薇    土川05④
(048)   小春日に横一列の足湯かな         土川04③
(051)   菊を置き菊を重ねて逝く人を        土川05③
(053)   泥葱の皮むけば白凛々(リリ)しかリ    土川03③
(058)   月白く緩和病棟最上階           土川02③
(061)   枯れ木(ぼく)に仏刻みて春の雪      土川01③
(032)   腰折リて銀杏拾ふ世捨て人         土川 ②
(044)   蓄音機夜長に珈琲漉す時間         土川 ②
(062)   秋蘇州音曲の調(てう)移リけリ      土川 ②
(065)   逝く母の我生まれ出でしところ拭く     土川 ②
(072)   ざる一枚平らげしばし蕎麦湯待つ      土川 ②
                               
    [詞書]北海道を思い出しつつ作句しました。以下、3句。
(020)   大雪に はるか北国 懐かしき       内野03③
(021)   豪雪に 北の大地を 思い出し       内野04③
(022)   みぞれ吹く 北国の冬 あとわずか     内野05③
(028)   雪の中、真っ赤に咲ける 山茶花の花    内野01③
    [詞書]視界を全く失う豪雪の中、磁石を頼りに絶望の内
     に仲間と山行を続けました。そして三日目、突然視界が
     ひらけ目的の山小屋を望めたときは、実に感動し安堵し
     たのです。以下、4句。
(034)   視界なき 吹雪の中の 山スキー      内野06③
(035)   ブリザード、前か見えない、山行だ     内野07③
(036)   山行は 三日三晩のブリザード       内野08③
(037)   吹雪止み、はるかに彼方に、山小屋が    内野09③
(039)   さざんかは 雪にも負けず 赤く咲き    内野02③
(071)   漆黒に 蒼き地球の 寂寥感        深瀬 ②
(067)   翼竜ら 太古の空を 滑空す        深瀬 ②
(059)   誰が決め 塩基コドンに アミノ酸     深瀬11④
      4種の塩基(AUGC)を3 つ組み合わせ(コドン)
         パク質中の20種のアミノ酸の配列を指定する。
(076)   雲変化 空を彩る 自在さや        深瀬20③
(069)   地殻割け マグマに消える いのちかな   深瀬24③
(074)   おおつなみ 街のみこみて すがたなし   深瀬13④
(065)   死の床で 雲の流れに 別れ言う      深瀬20③
(050)   死ぬときは 一人旅立つ 父母のもと    深瀬24③
(062)   (火葬場にて)残リしを掃きて集めし母の骨 深瀬13④
(044)   死出の旅 無事参らせと 祈るかな     深瀬22③
(055)   さらに生き なにかよきこと あるか問い  深瀬21③
(045)   おそるべし 孤独とひまに 居場所なく   深瀬27③
(011)   特養で ムンクの「叫び」 みるおもひ   深瀬  ①
(003)   かみなりに へその仇討ち かえる跳ぶ   深瀬  ①
(087)   レクイエム 遠きかみなリ 交じるかな   深瀬  ①

[13.08.18 資料03]
                【13.08.18 七句会勉強会資料】
   松尾芭蕉の俳句 芳賀徹氏選
  「日経アカデミア 詩歌に読む日本近代 ~徳川から明治へ」より
   (全5 回 2013年5 月7日~7 月2日)
01 明ぼのやしら魚しろきこと一寸(いっすん)
02 山路来て何やらゆかしすみれ草
03 よく見れば斉花さく垣根かな
04 月はやしこずゑはあめを持ながら
05 鷹一つ見付てうれしいらご崎
06 草臥(くたびれ)て宿かる比(ころ)や藤の花
07 冬寵リまたよりそはん此(この)はしら
08 行はるや鳥啼うをの目は沼
09 山も庭もうごき入(いる)るや夏座敷
10 涼しさを我(わが)宿にしてねまる也
11 株(まぐさ)負ぶ人を枝折(しおり)の夏野哉
12 雲の峰幾つ崩て月の山
13 暑き日を海にいれたリ最上川
14 象潟や雨に西施がねぶの花
15 荒海や佐渡によこたふ天河
16 石山の石より白し秋の風
17 手を打てば木魂(こだま)に明(あく)る夏の朝
18 郭公(ほととぎす)声横たふや水の上
19 夏の夜や崩て明し冷し物

[13.08.18 資料04]
 【13.08.18 七句会勉強会資料】
  村田治夫、「近代俳句要解」、有精堂、昭和52年3 月  21版発行
1.近代俳句の展開 (P.1 ~4)
一、正岡子規の業績 (省略)
二、虚子と碧梧桐の業績 (省略)
三、水原秋桜子と新興俳句
  虚子の「花鳥諷詠」は自然を主体とするところで伝統に忠実な説ではあった
が、一種の人間疎外が見られた。と言うのは、「人間界の現象を諷詠する」と
言っても、それはあくまで「これに伴う」という限定があり、この意味は「春
夏秋冬の四季の移り変わりに伴うところの」ということで、人間をうつすので
も自然現象の中に於いてとらえられた人間であって自然からきりはなされた、
例えば近代社会の中に苦しみつつ生きる人間の姿というようなものは除外され
る。こうなると、近代社会で最も意がはらわれねばならぬところの人間研究と
いうものは、少なくとも「花鳥諷詠」思潮の中では出来ないと言うことである
。門下の俊秀が、泰然としてこの主張に安んじていられなくなったのも当然で
ある。虚子のこの線をあくまですすめて行けば近代文学運動の大筋からははず
されて、文人趣味の非社会的、非近代的なものにおちて行かざるを得なくなる
。ここにホトトギス一門の若手の苦悶があった。
  第一に虚子の主張に抗してホトトギスと別れたのが水原秋桜子である。秋桜
子は虚子の主張に対してその純客観的写生句を否定し、自然の真をうつすには
、作者の個性が主観を透して光り輝いていなければならないことを主張した。
言いかえてみれば俳句にもちこんだ浪漫主義である。これは漸く沈滞の中に守
旧していたホトトギスの若い人達を新鮮な空気で刺激し、加藤楸邨、石田波郷
らの共鳴を得てのびてゆくのである。
 秋桜子についで山口誓子が「新しい現実を新しい視角に於いて把握し、新し
い俳句の世界を構成せんと、俳句を自然の中から人間世界へ持ち込んだ。これ
もまた虚子一派に対する挑戦である点に於いては秋桜子と同じであるが、秋桜
子がロマンティックな主観浸透の抒情を説いたのに対し誓子は、もっとはげし
く人間社会の生々しい現実に肉迫した。そこでは自然が主体でなく、人間その
ものが主体となり、知的、即物的な句がよまれるようになった。これらを新興
俳句という名で呼んだ。
四、戦争以後の俳句界
  戦争中は俳壇をも戦火にまきこんだ。新興俳句の人達も官憲の圧迫を受け検
挙される人が続出した。殊に昭和15年の「京大俳句」の手入れは激しく、西東
三鬼らが検挙されたのもこの時であったが、続いて検挙の手がのびるに従って
新興俳句もすっかり瓦解してしまった。ただ戦時中は虚子一派の守旧派の独り
舞台であったが文芸として生気のある新鮮なものではなかった。
  戦後文芸の復興にともない俳壇も自由民主の風潮にのって活発になって来た
。伝統派も反省の機を得て、近代の中にいかに伝統を生かすかに思いを致し、
また一方戦前の生活派もこれを近代社会の中に文芸として生かす方法を探究し
た。この二つが合流し、一本のもとにまとまって昭和21年に超党派的な結合、
「新俳句人連盟」が出来た。しかし、細かい点に於いて、主義を異にする俳壇
は、一本のもとにまとめ得ることは結局は不可能であった。多くの起伏がつぎ
からつぎにおこって紛争が絶えなかった。この時に俳壇に大きなショックを与
えたのが、桑原武夫の「第二芸術論」である。「第二芸術論」は昭和21年の「
世界」 (岩波書店) 11月号にのった論文で、その要旨かなり手きびしく、俳句
がただ同好者の特殊グループのもてあそびものであって傍から見れば極めて退
屈、また専門家と素人との区別がつかずこうした点から芸術的感興は湧かない
。しかもこの小詩型は、近代社会の思想を織りこむことは最早不可能であり、
小説や近代劇を芸術とよぶなら、俳句は第二芸術であるとしたもので、要する
に日本文学を国際水準に高めるために日本文学の特殊性なるものが再吟味され
始めたことに並行して行われたものであり、俳句の前近代性を徹底的に批判し
たものであった。すべてが首肯すべきものであるか否かは別として、反省すべ
き機会を与えたことは事実であった。
  中村草田男、加藤楸邨、石田波郷ら、ヒューマニズムによる人生派は、人間
探求に意欲を示し、「俳句を近代人間としての自己の生き方に密着させること
により人間を回復しよう」と試みている。
  昭和34年、俳壇の事実上の大御所的存在として、明治、大正、昭和三代にわ
たり、俳壇史を歩いてきた虚子の死は何と言っても巨木の倒れた感じであるが
、問題は今後にも多くのこされている。
2.水原秋桜子 (P.95~106)
 明治25年~。本職は医師。東京生まれ。東大医学部卒業。
  昭和7 年宮内省侍医寮御用掛、傍ら産婦人科病院を経営する。
  大正11年東大俳句会を設立ホトトギス派の闘士として活躍したが次第にその
主張が、虚子一派の純客観的主張と入れず、昭和6 年「ホトトギス」を離れて
「馬酔木」により、いわゆる新興俳句の道を歩むようになった。
  「自然の真は直ちに芸術上の真ではあり得ない。作者の主題に浸透すること
によって芸術作品となし得る」
  この秋桜子の主張は、虚子のいわゆる「花鳥諷詠」の純客観的、没個性的な
ものとは入れぬものであった。石田波郷、加藤楸邨らを門下に「馬酔木」の主
張は大きく俳壇を動かし抒情的浪漫主張の句作が新鮮味を以て迎えられたので
ある。
01 春惜 (はるおし) むおんすがたこそとこしなへ
02 蟇 (ひき) ないて唐招提寺春いづこ
03 馬酔木 (あしび) 咲く金堂 (こんどう) の扉 (と) にわが触れぬ
04 来 (こ) しかたや馬酔木咲く野の日のひかり
05 れんげうや真間 (まま) の里びと垣を結 (ゆ) はず
06 葛飾 (かつしか) や桃の籬 (まがき) も水田 (みずた) べり
07 梨 (なし) 咲くと葛飾の野はとの曇り
08 高嶺星 (たかねぼし) 蚕飼 (こが) ひの村は寝しづまり
09 蝶 (ちょう) うせぬ早瀬落ち合ふ渦の上
10 桑の葉の照るに堪へゆく帰省かな
11 白樺に月照りつゝも馬柵 (ませ) の霧
12 啄木鳥 (きつつき) や落葉をいそぐ牧の木々
13 蓮の中羽搏 (う) つものある良夜かな
14 鯊 (はぜ) 釣りや不二暮れそめて手を洗ふ
15 わがいのち菊にむかひてしづかなる
16 落葉踏む今日の明るさ明日もあれ
  以上
 追記 13.08.18
・前近代の構図: 自然と人間- 一一〉近代の構図: 社会と個人
・曹洞宗開祖道元の和歌 春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえて涼しかりけリ
・寺田寅彦「俳句の精神」抜粋 
  http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/card2513.html
 俳句の修業はその過程としてまず自然に対する観察力の練磨れんまを要求す
る。俳句をはじめるまではさっぱり気づかずにいた自然界の美しさがいったん
俳句に入門するとまるで暗やみから一度に飛び出してでも来たかのように眼前
に展開される。今までどうしてこれに気がつかなかったか不思議に思われるの
である。これが修業の第一課である。しかし自然の美しさを観察し自覚しただ
けでは句はできない。次にはその眼前の景物の中からその焦点となリ象徴とな
るべきものを選択し抽出することか必要である。これはもはや外側に向けた目
だけではできない仕事である。自己と外界との有機的関係を内省することによ
って始めて可能になる。
 句の表現法は、言葉やてにはの問題ばかりでなくてやはり自然対自己の関係
のいかなる面を抽出するかという選択法に係わるものである。
・正岡子規 月並み俳句を批判 写生。夏目漱石 近代的な個の自覚。
・戦後 個人体験化、私小説化。
・俵万智 「この味がいいね」と君が言つたから7月6日はサラダ記念日

2014年5月26日月曜日

第八回の七句会の選句結果

 七句会  各位
 第八回の七句会の選句結果をご報告いたします。
  投句者は、土川さん、古川さん、志方さん、橋本さん、吉良さん、小幡さん
、深瀬の7 名であり、選句者は、投句者全員の他、鳥海さん、内野さん、柳町
さん、中島さんです。
  内野さんと中島さんは、投句の締め切り日に誤認があったようで残念でした
。次回は、よろしくお願いいたします。
  今回は、次の2 句が5 点句となりました。
  (012) 春は花 花花花を 咲かせ行く            橋本02
  (048) 「お帰り」といふ日本語の暖かし           土川03
 橋本さんは、長谷川さんと同じ東工大機械科卒の同級で、元IHI 生産機械事
業部長を勤められ、七句会メンバーの多くとゴルフを共にしています。
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
  次回については、8 月上旬ころにご連絡したいと思っていますので、よろし
くお願いいたします。やり方について、ご意見がありましたら、ご連絡をいた
だきたく、よろしくお願いいたします。
  2014.05.25
  事務方      深瀬

 第八回  七句会選句結果
  1.兼題  春
(001) 若葉透け名残り桜に春は行く             志方03
1 古川
(002) 障子切る鳥影の濃し春や行く             深瀬03
1 吉良
2 古川
      松永邸でバーベキュー御馳走になりました。以下1 句。
(003) 友集い 春昼下がり 酒うまし            古川04
1 橋本
2 鳥海  同席していた者として、全く同感。飲めない私でもつい飲みすぎてし
まいました。
3 小幡
4 中島
(004) この春も ひばりさえずる 分譲地          橋本01
1 土川
(005) 春愁や煙雨の向こうのおぼろ梅            志方01
1 柳町
2 吉良
3 古川
(006) 深みゆく緑に春を惜しみけり             深瀬01
1 志方
2 内野
(007) 雲雀鳴き 春風そよぐ 幸せや            古川03
1 深瀬  春風そよぐ野原のようなところで、雲雀が飛び交う空を見上げ、幸せ
を実感しているさまだと思います。ストレートな表現ですが、幸せとは、こう
いうものなのだと、かなり同感しました。
      春のゴルフを2句。以下2 句。
(008) ティーショット 吸い込まれたい 皐月晴れ      橋本05
1 鳥海  作者を知っていますが、本人から聞いた際、気持ちは同じでした。な
かなかナイスオンとはいきませんが・・・。沖縄の181Yの海超えドライバ
ーショットが成功した時の爽快さは一生忘れないと思います。
(009) 薫風が 運んでくれた ナイスオン          橋本06
1 鳥海 (008) のコメントと同じ。
2 中島
(010) 春愁やエンドロールの文字滲む            土川01
1 深瀬  句の真意はつかめませんが、春愁、エンドロール、文字滲む、の三つ
の言葉の組み合わせに独特の雰囲気を感じました。エンドロールとは結婚式の
最後に流されるもののようですが。娘さんの結婚式の父親の心情?
2 古川
(011) 土けむり孫が泣き出す春あらし.            小幡03
1 柳町
2 橋本  もっとも乾燥する春の強風は手ごわいです
(012) 春は花 花花花を 咲かせ行く            橋本02
1 土川
2 柳町
3 吉良
4 深瀬  桜の花を、日本列島に沿って、絨毯のように咲かせていく自然の力強
さが簡潔に説得力をもって読まれていると感じました。「花花花」のたたみか
けがかなり効いている感じです。
5 小幡
(013) 風香る 菜の花畑 春爛満              古川01
1 内野
2 鳥海
(014) 半地下にロシアの春のアコーディオン         土川02
(015) 春惜しみ老後戦略再吟味               深瀬02
1 中島
(016) 若葉寒 春の気まぐれ 風しみる           古川02
1 志方
(017) 春うらら歳を忘れて岩登り.              小幡04
(018) この春も大地剥ぎ取る除染かな            志方06
     今年2 月に中央区に転居し、毎朝街中を散歩しています。以下6 句。
(019) ビルの森 窓辺に映える 春の雲           吉良01
1 橋本
(020) コンクリを 押し分け萌える 春の草         吉良02
1 土川
2 小幡
(021) ざわめきの ひと人ヒトに 春の顔          吉良03
1 深瀬  春の明るさに、都会の人々の顔もはなやいだ感じになっていくのだと
思いますが、「ひと人ヒト」ということで、その表情にもいろいろあるという
作者の観察眼のきめ細かさを感じました。
(022) 春の陽の 水辺に照らす  白黄色          吉良04
1 古川
(023) 行く春に 汗したたらせ 若葉かぐ          吉良05
1 柳町
(024) 隅田川 春待ちわびて 櫂をこぐ           吉良06
1 土川
(025) 桜みちはずむ歩みが春を呼ぶ.             小幡01
1 内野
2 古川
     2.兼題  老い、老後
(026) 雨風に 曝されても行くぞ 老いの道         古川06
1 志方  老いをどう認識し前向きに考えるか、覚悟がうかがえます。
(027) ボケたかと不安横切る老後日々            深瀬07
1 柳町
2 鳥海  日々感じていることです。
3 小幡
(028) 花びえに重きからだに老いとしる.           小幡02
1 吉良
(029) いつ終わる老後の道の一人旅             深瀬08
1 志方
2 中島
(030) 老いの先 宇宙の基へと 帰る道           古川05
1 橋本  ふとした時、死後はそうなるのかとも思いますが
     3.自由題 (季語)
(031) あぜ道に命みなぎるつくしかな            志方02
1 土川
2 内野
3 小幡
4 中島
(032) 単線の上りを待ちて黄水仙              土川05
1 吉良
(033) 海と陽といのちたわむる干潟かな           深瀬05
1 土川
2 内野
3 橋本  石垣島のサンゴ礁の浅瀬でもいのちの多様さを実感、残したい
4 鳥海  沖縄の海岸で高齢者がはしゃいでいた様子が思いだされます。
(034) 相馬路の今年も悲しき山桜              志方05
1 吉良
2 深瀬  放射能汚染で廃墟となった山里の家々の間に、美しい桜が満開にさき
ほこっている様子をテレビ画像でみると、人間の罪深さ、業、愚かさといった
なにか非常に複雑な思いがあり、共感しました。
(035) 朧月車窓に映る無表情                土川04
1 柳町
2 小幡
(036) 桜みち弾むこころに夢をみる.             小幡05
(037) タイヤチェーン雪うつ音や都心夜           深瀬06
1 土川
(038) 残雪に夕陽が滲む那須連峰              志方07
(039) 癒される 柔らか若葉の 散歩道           橋本04
(040) みちすがら相馬の桜に鯉のぼり            志方04
(041) 新緑の フィールドアスレチック (の子ら)  声高く  橋本03
(042) 新緑に山はおおわれ別世界              深瀬04
1 志方
2 鳥海
   4.自由題 (無季語、川柳)
(043) 絶叫す中継アナに落差あり              深瀬20
     日本の公的債務 (借金) の危機的状況はどうなる? 以下1 句。
(044) 借金が 世界遺産と ならぬ世に           橋本07
1 志方
2 中島
(045) うましくに日本に溢る汚染水             深瀬13
(046) 細胞の個々とわれとの関係は?            深瀬18
1 古川
(047) 星をみて亡きひと想ういのちあり           深瀬14
1 吉良
(048) 「お帰り」といふ日本語の暖かし           土川03
1 柳町
2 深瀬  日本語の母音の単純さとか、音の強弱や高低をあまり強調しないとい
ったせいなのか、外国人の声楽家が日本唱歌の暖かみのようなものを指摘して
いるのを聞いたことがあります。「お帰り」も、確かに、そういう感じがある
ように思いました。
3 橋本
4 小幡
5 中島
(049) 米中のはざまで問わる日本流             深瀬11
(050) 独立の意味いま問わる日本かな            深瀬12
(051) 自然への畏敬なき学うわ滑る             深瀬17
1 志方  川柳ですが、世相の不安に我々世代へ思いを表現しています。
(052) 電王に腕組む棋士に疲労感              深瀬19
1 橋本
     農協の日替わり定食で、でてきたカレーと蕎麦で考えて
     しまいました。ちなみに私も知らないおじさんもカレー
     から食べました。
(053) カレーと蕎麦 どちらを先に 食べるべき       古川07
1 深瀬  わたしは、まあ、どっちでも同じだろう、と思う方ですが、こういう
問題提起をするのは、駒東生に意外に多いのかもしれない、などと思いました
。やはりカレーが先、が正しい?
(054) 日本鬱中華帝国よみがえり              深瀬09
(055) 日本流耽美こだわりガラパゴス?           深瀬10
(056) 自然への畏怖失せし世は空騒ぎ            深瀬16
(057) 自然との距離と関係思想生む?            深瀬15

 [補足] 選句者からのコメントをご参考までに、以下、掲載します。
・土川さん
 いつも選句は悩ましいです。詩 (的) であるというのはどういうことなので
しょうか。今回も選句のコメントを書けませんでした。
・柳町さん
 毎回、みなさん上手くて選定に困ります。
・志方さん
  選句にいい意味で苦労しました。
・内野さん
 季語のあるものを選んでしまいました。(老いのテーマには怖くて、向き合
えないのです。)
・吉良さん
 田舎の春の情景をうまく表現した上手な句が多く選ぶのに多少悩みました。
 またそろそろ老い支度を考える年代となり、実感の湧く句を選びました。 
・橋本さん [少し本題とはなれるかもしれませんが]
 沖縄旅行は、一寸欲張りな旅程でしたので疲れましたが、晴れ男の鳥海さん
のおかげもあり十分楽しめました。
・中島さん
  10句作成済で7句厳選して投句を考えているうちに期限を過ぎてしましま
した。皆さまからは共感できる句が多数寄せられ選句には苦労させられます。
  以上

第一回の七句会の選句結果

 七句会  各位
 第一回の七句会の選句結果をお報告いたします。
  下記に、作者名つき選句表、および、選句の結果表を添付します。
  諸事情で、ご報告がかなり遅延したことを深くお詫びいたします。
  次回については、追ってご連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
  投句や選句のやり方やまとめ方など、ご意見がありましたら、よろしくお願い
いたします。
  七句会代表  橋口
  事務局      深瀬
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 七句会 選句表 (2012年 9月 1日)                     
                                  作者 
1.兼題  雷                            (敬称略)
(001)  ・雷で ガマが元気に 合唱団                        鳥海 
(003)  ・かみなりに へその仇討ち かえる跳ぶ               深瀬
(004)    最近ワイルドだと称し受けている芸人がいますので、    古川 
       ・雷や 肝ビビるぜ ワイルドだ                         
(006)    雷雲の後にうろこ雲が出るか否かは不知ですが、夏から秋  鳥海 
     に移り行く様子を詠って?みました。                       
    ・雷が 過ぎた後には うろこ雲                  
(009)  ・かみなりに 都会の騒音 押し黙る                     深瀬 
(010)  ・雷を 眼下に望む スカイツリ                       古川 
(012)  ・いかずちよ風よふかせよ俳句丸                       中島 
(013)  ・雷の 恨めし悲し 原子力                          吉良 
(014)  ・ごろごろと なまけびとには かみなりも                 深瀬 
(015)  ・いかずちに向ってうつぜゴルフ道                     中島 
(018)  ・高層の 窓にかみなり 覗くかな                     深瀬 
(019)  ・かみなりを 合図に妖怪 湧き出でる                   深瀬 
(028)  ・奥座敷 遠きかみなり ひっそりと                     深瀬 
(038)  ・遠雷や 涼風届け 夏深し                         古川 
(039)  ・雷鳴や 一瞬止まる 蝉しぐれ                    古川 
(040)  ・かみなりに 森や田の神 迎え出る             深瀬 
(041)  ・遠雷の 雨待ち遠しい 熱帯夜               橋口 
(052)  ・遠雷や 何処や去りし 夏行けり              古川 
(059)  ・雲海に 裂雷 (いかづち) 走る 佐久平           古川 
(060)  ・かみなりにすぐに退散我がゴルフ              中島 
(061)  ・遠雷よ 今いいスコア 近づくな              鳥海 
(062)  ・雷を 部屋で楽しむ ページェント             橋口 
(065)     台風一過のある夏の夕方、高速湾岸線で家路を急ぐ車のは  内野 
     るかかなたに浮かんでいた、あかね雲の神々しさに私は自然     
     の雄大さを感じたのです。                    
    ・あかね雲 あらしの後に かがやけり               
    ・暴風雨、去りて残しし あかね雲                 
    ・夕暮れの 空にきらめく あかね雲                
    ・雷鳴が とどろき叫ぶ 家路かな                 
(074)  ・雷の 過ぎし後には 高い空                鳥海 
(084)  ・雷鳴に 驚き騒ぐ 孫清き                 吉良 
(087)  ・レクイエム 遠きかみなり 交じるかな           深瀬 
(092)  ・かみなりに 「やかましい」とは おそろしく        深瀬 
(094)     ゴルフ中に雷が鳴り、スコアが良くないためでしょうか、  鳥海 
     中止にしたい気持ちがよく現れていますね。            
    ・雷に 怯えたふりで ゴルフやめ                 
(100)  ・雷よ ベストスコアだ 少し待て              鳥海 
(108)    雷->怖い(恐れる)女性・心身不安定->(安定させるため  鳥海 
     )そっと抱く->抱いたら甘い香りがした->若い時の過去の話     
     として創作をイメージしたものです。               
    ・雷で 甘き香りが よみがえり                  
                                     
2.兼題  朝顔                               
(016)  ・朝顔も 涼を求めて 軽井沢                鳥海 
(021)  ・竹ぐしを あさがほの蔓(つる) ふきこぼる        深瀬 
(022)  ・朝顔や 夕日が落ちて 微睡みぬ              古川 
(025)    緑のカーテンの朝顔、昼間はこの猛暑で萎れています。そ  長谷川
     こで一句、                           
    ・雷雲に こうべを上げた 朝顔が                 
(027)  ・朝顔の 淡いピンクに 母思う               吉良 
(037)  ・朝顔や悪官育てた自民党                  中島 
(042)     宿題で観察しようとしても朝起きる事ができなかった様子  鳥海 
     がわかりますね。                        
    ・朝顔の 観察日記 創作で                    
(051)  ・朝顔や政治で遊ぶ元首相                  中島 
(053)  ・朝顔や今年の夏も暑いぜよ                 中島 
(083)  ・ろくろ首 あさがほに見る 不気味かな           深瀬 
(085)  ・朝顔や 遠く背比べ スカイツリ              古川 
(086)  ・朝顔に 浴衣の君や 映えにけり              古川 
(088)  ・朝顔に昔の夏を懐かしむ                  中島 
(090)  ・あさがほの 淡きいろどり 江戸情緒            深瀬 
(091)  ・朝顔や何をやるのか小沢君                 中島 
(093)  ・雷鳴に しだれ朝顔 首を上げ               長谷川
(097)  ・あさがほの 咲きたる数を 今朝も記す           深瀬 
(099)  ・朝顔に 見送られて 心立つ                吉良 
(101)  ・今朝咲いた あさがほ夕に 摘みにけり           深瀬 
(106)  ・朝顔や 暑さに耐えて 花咲かす              鳥海 
                                     
3.自由題                                 
(002)  ・山門の甍にひびく夏のあめ。                小幡 
(011)  ・特養で ムンクの「叫び」 みるおもひ           深瀬 
(017)  ・いい加減 それもゆるす 江戸の本             橋口 
(020)  ・ゴルフ道 たまには妻に 声をかけ             古川 
(023)  ・なんでかと 問うときすでに とき遅し           深瀬 
(024)  ・堪忍の できない暑さ 温度計               橋口 
(029)  ・滑稽の 嘘字で遊ぶ 江戸の本               橋口 
(032)    今日午後より犬を引き連れ、熊,猿の里に出発します。途  古川 
     中家内の実家前橋には野生の雉が生息しており、まさに桃太     
     郎になった気がします。                     
    ・夏草や 獣の里に 我行かん                   
    ・静かさや 猿のいびきに 起こされし               
    ・山里や 風雪耐えて 我が別荘                  
    ・分け去れや 君の姿を 追い求め                 
    ・愛犬や 熊を見るなり 逃げ去りぬ                
(045)     私が独身貴族だった28歳の頃、300 万円で信州の佐久平に  古川 
     面する御代田町に別荘を建てました。ボロ別荘と称し卑下し     
     ていました。近くに日本最古の唐松植林地が残っています。     
     そこで30数年毎年夏お世話になった別荘を、この際 "唐松庵     
     " と称し敬い、次いでに俳号を‘古川唐松’と図々しくも称     
     す事としました。                        
    ・唐松や 風散歩道 枝そよぎ                   
(054)  ・風の盆 編笠女性 皆美人                 古川 
(055)    東山魁夷の有名な白馬が池のほとりにいる絵のモデルにな  橋口 
     った八ヶ岳の池を訪れると 季題なし。              
    ・ノスリ舞い 空が青くなる 山の池                
    ・白犬が 白馬のいない 森におり                 
(063)  ・叩かれた ボール飛び込む 池の音             鳥海 
(064)  ・せみの声不意のあらしにかきけされ。             小幡 
(072)  ・ミンミンと ひぐらし鳴きて せせらぎの音 (ね)       長谷川
(073)  ・白球や バンカ目指して まっしぐら            鳥海 
(075)  ・自分だか 自分でないか こころ病む            深瀬 
(076)    御代田町からサンラインで40分上田方面に走ると東御市が  古川 
     あります。雷電の出身地ですが、ここに深井先生はお住まい     
     でした。20年ぐらい前に家族で訪問した事があります。草深     
     き御宅で、先生は隣人に草が生え過ぎと言われると、秋にな     
     れば枯れると言って、草刈はしないとおっしゃっていたのを     
     思い出します。                         
    ・雷電と 同郷なりし 深井さん                  
    ・草深き タヌキの里に 深井さん                 
(089)  ・白球よ 何度叩けば、言うこと聞くの?           長谷川
(098)  ・流れ星 雲間にひょっこり 穴をあけ            橋口 
(102)    アサギマダラという滑空する蝶が、ヨツバヒヨドリ花の匂  橋口 
     いを好んでとまります                      
    ・山越えて アサギマダラの 休みどこ               
    ・匂う草 蝶を集めて 奏でたり                  
(107)  ・堪忍の できる暑さ セミ時雨               橋口 
(112)  ・前をゆく まるみ帯びたる 大ヒップ            深瀬 
                                      
    以上
--------------------------------------------------------------------------
  七句会  選句の結果表 (2012年10月 6日)            
 はじめに、選者のコメントを紹介します。
 橋口代表
 レベルはともかく、全般に気楽につくった感じということで、無理
のない句でした。かえってそれが、肩に力が入りすぎない、楽しいも
のになりました。60代のおじさん(もう高齢者だそうですが)らしく
もあります。票は全体にばらけました。飛び抜けた人がいないことも
あるででょうが、選ぶ側も、うまさとか、俳句らしさより、共感性に
重きを置いたようでした。ま、これを数回続けていくと、趣味の領域
は超えませんが、いい会になる可能性はあります。        
 大谷さん
  皆様の俳句?読ませていただきました。あらためて難しさを感じま
した。七句選べということでしたが、小生が共感できたのは、しいて
いえば、次の四句でした。今少し修練が必要かなと思います。   
 小幡さん
  選句の基準は、よんでイメージが具体的に湧いてくるものに絞りま
した、また、よんで面白い句もありましたが川柳にちかいと感じた句
は避けました。076 は深井先生に敬意をこめ、選句しました。以上で
す。
 内野さん
  いずれも文語的表現で、写実的なものを選んでしまいました。  

  以下、選句の結果です。
  注。番号のしたの名前が選んだ人です。敬称略。       
    注。橋口代表は、9 句選ばれました。            
                               
5 点句                            
(086)  ・朝顔に 浴衣の君や 映えにけり              古川
 橋口                                 
 小幡                                 
 吉良  昔の若き頃の思い出が他人ごとではあるが懐かしく思い出     
    させる句である                         
 鳥海  拓郎等のフォークの世界を思い出す。              
 中島  いいですね                          
                                    
4 点句                                 
(038)  ・遠雷や 涼風届け 夏深し                         古川
 橋口                                 
 内野                                 
 吉良  蒸し暑い今年の夏に思わず涼しい風が欲しい気持ちがでて     
    いる。                             
 中島  今年の夏の蒸し暑さが応えてます                
                                    
(039)  ・雷鳴や 一瞬止まる 蝉しぐれ                    古川
 橋口
 小幡
 内野
 吉良  (009) に通ずるところがありますが、セミも思わず驚いた
    様子が面白い。
(059)  ・雲海に 裂雷 (いかづち) 走る 佐久平           古川 
 橋口
 大谷
 小幡
 内野
(065)     台風一過のある夏の夕方、高速湾岸線で家路を急ぐ車のは  内野
     るかかなたに浮かんでいた、あかね雲の神々しさに私は自然
     の雄大さを感じたのです。
    ・あかね雲 あらしの後に かがやけり
    ・暴風雨、去りて残しし あかね雲
    ・夕暮れの 空にきらめく あかね雲
    ・雷鳴が とどろき叫ぶ 家路かな
 橋口
 古川
 小幡
 深瀬   一日の仕事の緊張から解放され、家路に急ぐ途中で、神々
    しい景色に出会い、別次元に引き込まれた作者の貴重な体験
    に共感できました。
(089)  ・白球よ 何度叩けば、言うこと聞くの?
 鳥海  「言う事聞くの」は字あまりで、5文字に収めると「意の
    ままに」になると思うが、「言う事聞くの」の方が気持ちを
    忠実に表現し、とても共感できます。ゴルフの世界だけでは
    なく、夫婦・親子等の人間関係まで広がりを見せていると感
    じた。  
 中島  正に実感と共に諦めが、共感されます
  橋口
  深瀬    俳句としての許容範囲ぎりぎりの感じもしますが、なにか
    実感がひしひしと感じられ、つい選んでしまいました。
   
(090)  ・あさがほの 淡きいろどり 江戸情緒            深瀬
 橋口
 古川
 吉良  朝顔市の様子が眼に浮かべられる句
 鳥海  綺麗でしっとり感あり。
3 点句 (なし)
2 点句
(002)  ・山門の甍にひびく夏のあめ。                小幡
 吉良  突然の雨に山門に雨宿りしていると、雨の音を通して昔の
    華やかな情景が思い出させられる気持ちが伝わる
 深瀬  雨の降りしきり線と音、そして、甍の色彩感の組み合わせ
    が美しく、浮世絵的な一幅の絵画のイメージがあり、新鮮に
    感じられました。 
(041)  ・遠雷の 雨待ち遠しい 熱帯夜               橋口 
 鳥海  同感。
 深瀬  熱帯夜の涼を求める気持ちが、遠雷にほぐされる構図がお
    もしろいと思いました。
(076)  ・草深き マヌキの里に 深井さん              古川
 中島  深井先生を小諸に訪ねたことを思い出しました
 小幡  深井先生に敬意をこめ、選句しました。
(088)  ・朝顔に昔の夏を懐かしむ                  中島 
 鳥海  介護保険の対象者ともなると色々な思い出があります。
 長谷川
(099)  ・朝顔に 見送られて 心立つ                吉良 
 古川
 深瀬  出勤前の緊張感と朝顔のなにげない存在感の共振がすばら
    しいと感じました。ばたばたした出勤では、味わえない心境
    のようにも思います。      
1 点句
(003)  ・かみなりに へその仇討ち かえる跳ぶ                      深瀬
 鳥海    面白い。
(009)  ・かみなりに 都会の騒音 押し黙る             深瀬
 吉良  轟く雷鳴に一瞬「押し黙る」が実感としてよく描写されて
    いる。          
(010)  ・雷を 眼下に望む スカイツリ               古川
 中島  ナウイ句です
(011)  ・特養で ムンクの「叫び」 みるおもひ           深瀬
 小幡
(013)  ・雷の 恨めし悲し 原子力                 吉良
 中島  福島の怨念が見えます
(016)  ・朝顔も 涼を求めて 軽井沢                鳥海
 内野
(017)  ・いい加減 それもゆるす 江戸の本             橋口
 深瀬   なにか作者のこころのひろさを素直に表現している感じが
    伝わってきました。そして、江戸時代の人々の自由奔放なた
    のしみ方もいいと思いました。  
(019)  ・かみなりを 合図に妖怪 湧き出でる            深瀬
 橋口
(021)  ・竹ぐしを あさがほの蔓(つる) ふきこぼる        深瀬
 吉良  勢いのある朝顔の弦がからまりあい飛び出ている感じをフ
    キコボルとの表現がよい
(022)  ・朝顔や 夕日が落ちて 微睡みぬ              古川
 橋口
(023)  ・なんでかと 問うときすでに とき遅し           深瀬
 鳥海  「後悔先に立たず」に近く、高校時代に【後悔後に立つ】
    と戸塚と言っていたことを思い出ださせてくれました。
(027)  ・朝顔の 淡いピンクに 母思う               吉良
 内野
(028)  ・奥座敷 遠きかみなり ひっそりと                     深瀬
 内野
(032)    今日午後より犬を引き連れ、熊,猿の里に出発します。途  古川
     中家内の実家前橋には野生の雉が生息しており、まさに桃太
     郎になった気がします。
    ・夏草や 獣の里に 我行かん
    ・静かさや 猿のいびきに 起こされし
    ・山里や 風雪耐えて 我が別荘
    ・分け去れや 君の姿を 追い求め
    ・愛犬や 熊を見るなり 逃げ去りぬ
 橋口  (愛犬や 熊を見るなり 逃げ去りぬ)                       
(045)     私が独身貴族だった28歳の頃、300 万円で信州の佐久平に  古川
     面する御代田町に別荘を建てました。ボロ別荘と称し卑下し
     ていました。近くに日本最古の唐松植林地が残っています。
     そこで30数年毎年夏お世話になった別荘を、この際 "唐松庵
     " と称し敬い、次いでに俳号を‘古川唐松’と図々しくも称
     す事としました。
    ・唐松や 風散歩道 枝そよぎ
  大谷
(055)    東山魁夷の有名な白馬が池のほとりにいる絵のモデルにな  橋口
     った八ヶ岳の池を訪れると 季題なし。
    ・ノスリ舞い 空が青くなる 山の池
    ・白犬が 白馬のいない 森におり
  深瀬    八ヶ岳の池の周辺の景色をたいへんリアルに思い浮かべる
    ことができ、旅行しなくてもそこに行ったような感じになり、
    得した気持ちになりました。  
(072)  ・ミンミンと ひぐらし鳴きて せせらぎの音 (ね)       長谷川
  古川
(073)  ・白球や バンカ目指して まっしぐら                    鳥海
  中島  事実&実感です
(074)  ・雷の 過ぎし後には 高い空                鳥海
  古川
(093)  ・雷鳴に しだれ朝顔 首を上げ    長谷川
 大谷
(102)    アサギマダラという滑空する蝶が、ヨツバヒヨドリ花の匂  橋口
     いを好んでとまります 
    ・山越えて アサギマダラの 休みどこ
    ・匂う草 蝶を集めて 奏でたり
  大谷
(106)  ・朝顔や 暑さに耐えて 花咲かす              鳥海
  小幡
(107)  ・堪忍の できる暑さ セミ時雨               橋口
 古川
(108)  ・雷で 甘き香りが よみがえり               鳥海
  古川
  以上

第二回の七句会の選句結果

 七句会  各位
 第二回の七句会の選句結果をご報告いたします。
  下記に、選句の結果表、および、作者名つき選句表、を添付します。
  次回については、追ってご連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
  投句や選句のやり方やまとめ方など、ご意見がありましたら、よろしくお願
いいたします。
  七句会代表  橋口
  事務局      深瀬
1.選句の結果表
 今回は、4 点句 2つ、3 点句 3つ、2 点句 9つ、1 点句 26 でした。
 句の右側に記した名前は作者です。句番の下に記した名前は選んだ人です。
敬称略。
○4 点句
(037)  ・風に舞う 銀杏吹雪 黄金色           古川充
 内野                             
 鳥海  (017)とともに綺麗を狙っている意図に嵌ってみました。  
 中島 黄金色が何に見えますか                 
 橋口                             
(063)  ・連山を おおう紅葉 (こうよう)  夕 (ひ) にのまる 深瀬
 小幡                             
 吉良 紅葉が夕焼けのなかに沈んでいく感じが目の前に浮かべ   
   られる                          
 土川                             
 古川充                            
                                
○3 点句                            
(017)  ・さわさわと 小鳥とお喋り 大銀杏        古川充
 鳥海  (037)とともに綺麗を狙っている意図に嵌ってみました。  
 中島 メルヘンチックです                   
 橋口                             
(018)  ・星空に 凛と天さす 銀杏黄葉           吉良
 橋口                             
 古川充                            
 深瀬 なにかゴッホの絵画作品「糸杉と星の見える道」のよう   
   な情景を連想させられ、色彩的にもすばらしいと感じまし   
   た。                           
(046)  ・懐かしき アイスコーヒー 遠い夏        古川充
 内野                             
 土川                             
 鳥海 これも作者の狙いに嵌ってみました。           
                                
○2 点句                            
(003)  ・銀杏の実  避けつつ歩く朝の道           柳町
          補) 朝の通勤や散歩の時、足元に強いにおいの銀杏   
      があると、皆さんはそれを避けて歩くさまを想いま   
      した                        
 小幡                             
 中島 情景が眼に浮かびます                  
(020)  ・ビル風が  いちょう落ち葉の  山つくる       深瀬
 土川                             
 橋口                             
(041)  ・よみがえる あの珈琲の味 君の笑み       古川充
 内野                             
 吉良 コーヒーの句は皆それぞれに昔の思い出があるのです    
(045)  ・コーヒーで 心静かに 秋暮れる          鳥海
 内野                             
 深瀬 なにかセザンヌの絵画の静謐さを想い起こさせるような   
   雰囲気がありひかれました。                
(047)  ・コーヒーだのみ  期末試験の  冬の夜        深瀬
 吉良                             
 鳥海  情景が目に浮かび、差し迫った自己経験と重なる句で、   
   これも作者の意図に嵌った。                
(048)  ・晩秋や 珈琲の温もり 心地良し         古川充
 内野                             
 鳥海 人は心地よい温もりを求めるものなのでしょう。      
(058)  ・ほろ苦気 珈琲の味 別れの朝          古川充
 吉良                             
 橋口                             
(065)  ・逝く母の我生まれ出でしところ拭く         土川
 中島 自分には到底読めない句です               
 深瀬 つよいインパクトを受けました。「我生まれ出でしとこ   
   ろ」は観察者としてのすごさを感じます。また、命の伝承   
   を実感させられました。                  
(077)  ・日記帳  ともに歩みて  年の暮れ          深瀬
 土川                             
 橋口                             
                                
○1 点句                            
(001)  ・輝ける まつりがおわり 銀杏散り         内野
 深瀬 はなやかな祭りの賑わいと散るいちょうの対比が、やや   
   無常観的でもあり、秋の深まりをいっそう際立たせている   
   ように感じました。                    
(005)  ・空の青 銀杏の黄色 帯の赤            吉良
 古川充                            
(008)  ・いちょう落ち葉  浴びて昼寝す  古老団       深瀬
 吉良                             
(011)  ・国憂い 国会前の 銀杏散る            中島
 鳥海 自民が300議席越え確実で、維新を加えて2/3越え   
   で憲法第9条を改正(?)し、自衛隊を国防軍にすると言   
   われており、この国は何処に行こうとしているのか?とい   
   う状況にピッタリか。                   
(013)  ・銀杏で 飲んだスナック 今は無し         鳥海
 小幡                             
(015)  ・銀杏の匂いなつかし御堂筋             小幡
 深瀬 むかし勤務した場所のことを想いだしている雰囲気が長   
   いサラリーマン人生をしみじみと回想している感じがしま   
   した。御堂筋も効いている感じです。            
(019)  ・銀杏や 母想いだす 茶碗蒸し           鳥海
 小幡                             
(023)  ・さくさくと 銀杏踏んで 冬来る          橋口
 古川充                            
(026)  ・黄葉の とんがり帽子 銀杏道           橋口
 古川充                            
(028)  ・痛いほど 銀杏の吹雪 あたる頬          橋口
 吉良 子供が散りゆく銀杏の木の下を走っている情景がうかび   
   ます                           
(029)  ・かさかさと 揺れる銀杏の 話し声        古川充
 小幡                             
(031)  ・秋深し 銀杏落葉 眺めけり            鳥海
 深瀬 いちょうの黄葉がいっせいに舞い散るのはなにか普通で   
   ない風情がありますから、それを見ながら秋の深まりを実   
   感する作者の気持ちに共感しました。            
(032)  ・腰折りて銀杏拾ふ世捨て人             土川
 吉良 実際に大勢います                    
(033)  ・銀杏の 跳ねて酒飲む 夜寒かな          吉良
 深瀬 秋も深まり、寒さきびしい夜に、銀杏の実を煎りながら   
   酒を飲む情景に、なにかノスタルジー的なものを感じまし   
   た。「跳ねて」も効いている感じです。           
(035)  ・茶碗蒸し底に控える銀杏の実            柳町
            補) 茶碗蒸しの中に、かまぼこや鶏肉、銀杏の実が   
      ありますが、それを想ってつくりました。       
 土川                             
(039)  ・きらきらと 青空に映える 大銀杏        古川充
 古川充                            
(044)  ・蓄音機夜長に珈琲漉す時間             土川
 橋口                             
(049)  ・香り立つ 至福が来たる 珈琲時          橋口
 小幡                             
(051)  ・妻避けて  冬のコーヒー店  昼下がり        深瀬
 鳥海 妻に存在を否定されて、対応に苦慮している皆の気持ち   
   を代弁しているのでしょうか?               
(052)  ・紅葉や 珈琲カップに 枯葉入る         古川充
 小幡                             
(056)  ・珈琲を 仕送り届き 友と飲み           鳥海
 土川                             
(057)  ・コーヒーの香りで起きる冬の朝           小幡
 内野                             
(061)  ・ケータイを  迷子札とす  老いし母         深瀬
 土川                             
(067)  ・翼竜ら  太古の空を  滑空す            深瀬
 古川充                            
(074)  ・おおつなみ 街のみこみて すがたなし       深瀬
 中島 政権代れど忘れてはならない情景です           
(076)  ・雲変化  空を彩る  自在さや            深瀬
 内野                             
                                
番外                              
(075)  ・脚痒く  今年も冬かと  老い自覚          深瀬
 (小幡  なかなか面白く共感した一句を追加)
  付記  選句に当たって、次のようなコメントがありました。
・内野さん ---  句を読んで、深い心象風景が広がる句を選んだつもりです。
・小幡さん ---  みんな良いので選ぶのに苦労しました。
・鳥海さん ---  今回は、選句が結構大変でした。自分の句には素直に共感で
きるのですが・・・。結果的に、身近な人の句を選択してしまった気がします
が・・・。
2.作者名つき選句表
[1] 兼題句 銀杏 (いちょう、いてふ、ぎんなん)
(001)  ・輝ける まつりがおわり 銀杏散り         内野
(002)  ・大銀杏 土俵の世界 成功者            鳥海
(003)  ・銀杏の実  避けつつ歩く朝の道           柳町
          補) 朝の通勤や散歩の時、足元に強いにおいの     
      銀杏があると、皆さんはそれを避けて歩くさま     
      を想いました                    
(004)  ・銀杏を 煎ったあの人 今何処           鳥海
(005)  ・空の青 銀杏の黄色 帯の赤            吉良
(006)  ・銀杏の落ち葉の色が寒さ呼ぶ            小幡
(007)  ・コーヒーの 俳句捻りて 秋過ぎし         鳥海
(008)  ・いちょう落ち葉  浴びて昼寝す  古老団       深瀬
(009)  ・イチョウの木 雌雄なしでは 哀れなり       鳥海
(010)  ・久々に 二人横綱 大銀杏             古川
(011)  ・国憂い 国会前の 銀杏散る            中島
(012)  ・恋人の 香り残してや いちょう舞う        吉良
(013)  ・銀杏で 飲んだスナック 今は無し         鳥海
(014)  ・銀杏並木 落ち葉の絨毯 踏み分けて        古川
(015)  ・銀杏の匂いなつかし御堂筋             小幡
(016)  ・もみじ葉を  一気に落とす  いちょうかな      深瀬
(017)  ・さわさわと 小鳥とお喋り 大銀杏         古川
(018)  ・星空に 凛と天さす 銀杏黄葉           吉良
(019)  ・銀杏や 母想いだす 茶碗蒸し           鳥海
(020)  ・ビル風が  いちょう落ち葉の  山つくる       深瀬
(021)  ・銀杏の 臭いも良かし 議事堂前          中島
(022)  ・銀杏の実 落ちて知る 早足の秋 (とき)       柳町
(023)  ・さくさくと 銀杏踏んで 冬来る          橋口
(024)  ・大銀杏 下で過ごした 日々遠く          鳥海
(025)  ・遊歩道 銀杏蹴散らし ジョギング         吉良
(026)  ・黄葉の とんがり帽子 銀杏道           橋口
(027)  ・銀杏の木 結実遠く 人同じ            鳥海
(028)  ・痛いほど 銀杏の吹雪 あたる頬          橋口
(029)  ・かさかさと 揺れる銀杏の 話し声         古川
(030)  ・いちょう愛で 銀杏臭い 興醒めす         中島
(031)  ・秋深し 銀杏落葉 眺めけり            鳥海
(032)  ・腰折りて銀杏拾ふ世捨て人             土川
(033)  ・銀杏の 跳ねて酒飲む 夜寒かな          吉良
(034)  ・いちょう落ち葉  掃く人気持ち  シーシュポス    深瀬
(035)  ・茶碗蒸し底に控える銀杏の実            柳町
            補) 茶碗蒸しの中に、かまぼこや鶏肉、銀杏の     
      実がありますが、それを想ってつくりました。     
(036)  ・冬迫り カラス持ち去る 黄色玉          中島
(037)  ・風に舞う 銀杏吹雪 黄金色            古川
(038)  ・大銀杏 涙で別れ 新世界             鳥海
(039)  ・きらきらと 青空に映える 大銀杏         古川
                                
[2] 兼題句 コーヒー、珈琲                   
(040)  ・コーヒーを 飲む振りしてた 階段下        鳥海
(041)  ・よみがえる あの珈琲の味 君の笑み        古川
(042)  ・冬の夜  ラジオで聞いた  コーヒールンバ      深瀬
(043)  ・コーヒーの香りが語る過去の秋           小幡
(044)  ・蓄音機夜長に珈琲漉す時間             土川
(045)  ・コーヒーで 心静かに 秋暮れる          鳥海
(046)  ・懐かしき アイスコーヒー 遠い夏         古川
(047)  ・コーヒーだのみ  期末試験の  冬の夜        深瀬
(048)  ・晩秋や 珈琲の温もり 心地良し          古川
(049)  ・香り立つ 至福が来たる 珈琲時          橋口
(050)  ・秋深し 夫婦過ごすは コーヒーで         鳥海
(051)  ・妻避けて  冬のコーヒー店  昼下がり        深瀬
(052)  ・紅葉や 珈琲カップに 枯葉入る          古川
(053)  ・コーヒーが思い出語る薫りかな           小幡
(054)  ・コーヒーで 仕事始まる 朝の部屋         橋口
(055)  ・古色然  コーヒー店ひっそり  冬の暮れ       深瀬
(056)  ・珈琲を 仕送り届き 友と飲み           鳥海
(057)  ・コーヒーの香りで起きる冬の朝           小幡
(058)  ・ほろ苦気 珈琲の味 別れの朝           古川
(059)  ・落ち葉踏み  コーヒー片手に  急ぐ朝        深瀬
                                
[3] 自由題句                          
(060)  ・とりもちの 組織の論理 やっと抜け        深瀬
(061)  ・ケータイを  迷子札とす  老いし母         深瀬
(062)  ・秋蘇州音曲の調 (てう) 移りけり          土川
(063)  ・連山を おおう紅葉 (こうよう)  夕 (ひ) にのまる 深瀬
(064)  ・言いかけて  ぐっと抑える  歳 (とし) の功     深瀬
(065)  ・逝く母の我生まれ出でしところ拭く         土川
(066)  ・おかしいと  思いながらも  なにもせず       深瀬
(067)  ・翼竜ら  太古の空を  滑空す            深瀬
(068)  ・帰り花  同窓会に  花添える            深瀬
(069)  ・地殻割け マグマに消える いのちかな       深瀬
(070)  ・リセットと 叫びたくなる ときもあり       深瀬
(071)  ・漆黒に  蒼き地球の  寂寥感            深瀬
(072)  ・ざる一枚平らげしばし蕎麦湯待つ          土川
(073)  ・秋更けて 栗を思いて チョコレート        中島
(074)  ・おおつなみ 街のみこみて すがたなし       深瀬
(075)  ・脚痒く  今年も冬かと  老い自覚          深瀬
(076)  ・雲変化  空を彩る  自在さや            深瀬
(077)  ・日記帳  ともに歩みて  年の暮れ          深瀬
                                
  以上                             
             

第三回の七句会の選句結果

 七句会  各位
  おはようございます。 (はやすぎで申し訳ありません。)
 第三回の七句会の選句結果をご報告いたします。
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
 点数の多い順に作成する方法は、その意味の受け止め方に疑問を持たれる場
合があること、作成の手間がかかること、等の理由に基づき、やめました。
  次回については、来月中旬~下旬ころにご連絡いたしますので、よろしくお
願いいたします。やり方については、いくつかご意見をいただいていますので
、適宜、修正していく予定です。
  今回から、旧61R の藤本さんが参加されることになりました。
  よろしくお願いいたします。
  2013.03.28
  七句会代表  橋口
  事務局      深瀬
 注。昨日、橋口代表から、「 (仕事が忙しく) 余裕がとれないため、しばら
く、休ませてほしい。」との連絡がありました。次回については、いろいろご
意見をうかがいながら、事務局がメインで進める方向です。経緯は、適宜、ご
報告しますので、よろしくお願いいたします。

1.兼題  寒
    [詞書] 駒東の時、国語の教科書で遭遇した高村光太郎に       
       衝撃を感じました。以下、1 句。                 
(001)  寒さなど 冬よ僕にと 光太郎                   古川08
 1  柳町
(002)  冬寒に冬眠中の忙しさ                       中島06 
 1  鳥海
(003)  寒き夕 蒼くたたずむ 富士の嶺                  深瀬01
 1  柳町
 2  内野
(004)  寒空に臭い屁が暖かい                       中島03
    [詞書] ゴルフ狂の歌、そんなにしてまでなぜ?以下、1
    句。
(005)  なぜ行くの 君はゴルフに 寒い朝                 古川11
 1  中島  奥さんの代弁か、私もそう思います
 2  鳥海
(006)  日の本や腐った政治屋おおお寒                   中島01
 1  鳥海
(007)  寒き夜は 妻と二人で 鍋かこむ                  深瀬03
 1  中島  “寒き夜も”ですとより良かった
    [詞書] 家内の先祖が、書き物を残しており、昔は裏庭の
    竹が寒さで割れたと聞き。以下、1 句。
(008)  寒き夜 竹割れ音の シンフォニー                 古川09
 1  柳町
 2  吉良
(009)  雪寒に重ねた齢 (よわい) 自覚する                 中島04
 1  土川
(010)  冷えきった からだ湯船に ひたすかな               深瀬06
(011)  赤城山 風吹き抜ける 寒空に                   古川10
 1  鳥海
(012)  引退者 寒空のした 義務歩き                   深瀬04
(013)  寒い夜花のゴルフを夢想する                    中島05
 1  鳥海
(014)  寒空に マラソンびとの 息白く                  深瀬05
 1  古川
 2  吉良
 3  内野
(015)  各々方日本のマスコミ極貧寒                    中島02
(016)  気がつけば ユニクロ漬けの 防寒着                深瀬02
 1  中島  同寒 否 同感
 2  内野  ユーモアがあります。 小生も同じ状況にあり、思
     わず笑ってしまいました。
2.兼題  雪
(017)  降り積もる 粉雪のせた 石地蔵                  古川07
 1  小幡  光景が鮮明浮かびます、すこし平凡ですが
(018)   寒い朝、雪化粧したさるすべり                   小幡04
(019)   足跡や 雪散歩道 初孫と                     古川03
 1  吉良
 2  内野  ほほえましい状況が目に浮かびます。
    [詞書] 北海道を思い出しつつ作句しました。以下、3 句。
(020)  大雪に はるか北国 懐かしき                   内野03
 1  古川
(021)  豪雪に 北の大地を 思い出し                   内野04
(022)   みぞれ吹く 北国の冬 あとわずか                 内野05
 1  柳町
 2  吉良
(023)   残雪に、凱歌をあげる寒太郎。                   小幡01
 1  土川
(024)  静寂や 白一色の 雪景色                     古川02
(025)  雪のあと 凍れる道に 足おどる                  深瀬08
 1  古川
 2  内野  「おどる」との表現がすばらしいと思います。
(026)  冬の朝、雨戸あければ銀世界                    小幡05
 1  古川
 2  内野
(027)  しんしんと 静寂の中 雪明り                   古川06
 1  小幡  学生時代に山登り、出逢った時のことを思い出させ
     てくれました。
 2  吉良
 3  内野
(028)  雪の中、真っ赤に咲ける 山茶花の花                内野01
(029)  雪の夜 明日は雪掻き 気は重く                  深瀬11 
(030)  のこり雪、北風小僧の通り道                    小幡02
 1  古川
 2  柳町
(031)  残雪や 置き石のごと 歩道上                   深瀬07
 1  土川
(032)  雪歩き 君の温もり 手のひらに                  古川01
 1  深瀬  冷たい雪のなかで、気持ちを寄せる人と手をとりあ
     っている姿は青春そのものだと思います。こういう句
     がこの歳ででてくるところがすごい。
(033)  大都会 大雪予報に 大騒ぎ                    深瀬09
    [詞書] 視界を全く失う豪雪の中、磁石を頼りに絶望の内
    に仲間と山行を続けました。そして三日目、突然視界が
    ひらけ目的の山小屋を望めたときは、実に感動し安堵し
    たのです。以下、4 句。
(034)   視界なき 吹雪の中の 山スキー                  内野06
 1  深瀬  経験したことのない人には詠めない句だと思います。
     なにか必死さが伝わってくる感じがしました。
(035)   ブリザード、前が見えない、山行だ                 内野07
(036)  山行は 三日三晩のブリザード                   内野08
(037)  吹雪止み、はるかに彼方に、山小屋が                内野09
 1  小幡  学生時代に山登り、出逢った時のことを思い出させ
     てくれました。
 2  古川
(038)  見上げれば 雪の花散る 露天風呂                 古川05
 1  中島  宿入り後の最良の一時
 2  鳥海
(039)  さざんかは 雪にも負けず 赤く咲き                内野02
(040)  都会では 雪ふりつむも 騒がしく                 深瀬10
    [詞書] 誰もいない雪原で、ダイアモンドダストが。少し
       やばいが一度はやってみたい大の字。以下、1 句。
(041)  大の字で 見上げる空に 雪の花                  古川04
 1  小幡  大の字になりたい気持ちよくわかる。
 2  中島  昔、甲斐駒ヶ岳他でやりました
 3  深瀬  雄大な景色の描写と気持ちの若さに惹かれました。
(042)  寒々と、日蔭の道のなごり雪                    小幡03
 1  柳町
 2  深瀬  歳のせいなのか、日陰の残雪にはなにか存在感を感
     じます。
(043)  またはずれ 天気予報 今日は雪                  古川12
 
3.自由題
(044)   死出の旅 無事参らせと 祈るかな             深瀬22 
(045)  おそるべし 孤独とひまに 居場所なく           深瀬27 
 1  小幡  今、現在の感覚、感情。そのとおり〓
(046)  やることは まだまだあると 土建屋さん          深瀬17 
(047)  物質の なかに意識の 不思議かな             深瀬19 
 1  古川
(048)  小春日に横一列の足湯かな                 土川04
 1  中島  熱海梅園にて同感
(049)  間違えて 官僚無謬 罪深し                深瀬15 
(050)  死ぬときは 一人旅立つ 父母のもと            深瀬24 
(051)  菊を置き菊を重ねて逝く人を                土川05
 1  柳町
 2  深瀬  二つの菊の重なりが逝く人への哀惜を深めていると
     感じた。
(052)  歩くわれ ふと気がついて いぶかしく           深瀬29 
(053)  泥葱の皮むけば白凛々 (りり) しかり            土川03
 1  吉良
 2  深瀬  静物画を思い起こさせ、葱の凛々しさに緊張感があ
     る。
(054)  白魚 (しらお) 跳ね 川面に映える スカイツリー      深瀬14 
 1  土川
(055)  さらに生き なにかよきこと あるか問い          深瀬21 
(056)  避け難き 老化といかに 付き合わん            深瀬28 
(057)  突然に かたかた震え 大地震               深瀬25 
(058)  月白く緩和病棟最上階                   土川02
(059)  つくられて おしつけがましい この社会          深瀬26 
(060)  間違えて 後の対処に 人となり              深瀬16 
 1  鳥海
(061)  枯れ木 (ぼく) に仏刻みて春の雪              土川01
 1  小幡
 2  吉良
 3  深瀬  色彩感覚の美しさと彫られた仏の佇まいに惹かれま
     した。
(062)  健康を いつ失うか 定めなく               深瀬23 
(063)  東風 (こち) の鳴る 廃墟の原に 鳥の声          深瀬13 
(064)  古狸 若き官僚の 夢潰す                 深瀬18 
 1  中島  ドラマ通りですか、最近は現実の方が怖いです
(065)  死の床で 雲の流れに 別れ言う              深瀬20 
 1  小幡  死ぬときには、こんな心境になりたいが、無理かな〓
 2  柳町
(066)  大売出し アドバルーンも 東風 (こち) に揺れ       深瀬12 
                                      
以上
                                                                      

第四回の七句会の選句結果

 七句会  各位
 第四回の七句会の選句結果をご報告いたします。
  投句者は、土川さん、古川さん、中島さん、小幡さん、志方さん、鳥海さん
、深瀬の7 名であり、選句者は、投句者に、内野さん、吉良さん、柳町さんが
加わりました。
  下記に、選句表に、各句の右側に作者名、および、その下に選んだ人の名前
とコメント (追番付き、順不同、敬称略。) を付したものを添付します。
  次回については、来月中旬~下旬ころにご連絡いたしますので、よろしくお
願いいたします。やり方については、いくつかご意見をいただいていますので
、適宜、修正していく予定です。
  6 月18日にB型インフルエンザを発症し、昨日、抗生物質ジスロマックSRの
処方を受け、ようやくもとに戻ってきた感じです。ご報告が遅れ、申し訳あり
ませんでした。よろしくお願いいたします。
  2013.06.27
  事務局      深瀬

1.兼題  五月
(001)  鯉泳ぐ 五月の空に 何想う             鳥海02
 1  古川
 2  中島
(002)  暮れなずむ 五月の空の 七変化           古川08
 1  深瀬 雲の形や空の色にはいつも神々しさを感じます。
(003)  5月には 梅雨の足音 忍び寄り           鳥海05
(004)  五月の陽  樹々に魔法の  杖ふるう          深瀬08
 1  古川
 2  吉良
(005)  過ぎし日の 五月の空に 鯉のぼり          鳥海01
 1  柳町
 2  志方
 3  吉良
(006)  風立ちぬ 鯉舞い登る 五月空            古川07
 1  柳町
(007)  寒さ過ぎ 肉湧き踊る 5月なり           鳥海04
(008)  むくむくと 新緑伸びて 五月晴れ          中島03
 1  小幡
(009)  5月には 白球映える グリーンかな         鳥海19
(010)  五月の陽  木立に溢れ  昼ツリー           深瀬07
 1  土川
(011)  五月来て 花粉も終わり さあゴルフ         中島01
 1  鳥海
(012)  5月には 花の誘いに 蝶となり           鳥海07
(013)  [詞書] 群馬の生活が長かったので、赤城山、利根川に愛
    着あります。利根川は自分のイメージでは最上川とはス
    ケールの違う大河です。したがって梅雨程度では、流れ
    は不変でとうとうと流れているイメージ。以下、1 句。
    五月雨や 利根の流れは 不変なり          古川09
 1  土川
(014)  新緑の 季節になりて 五月病            鳥海08
(015)  五月晴れ孫がはじけて背比べ              志方08
 1  吉良
(016)  江田五月 何時の間にやら 影うすく         鳥海18
 1  志方
 2  中島
(017)  みどり日々 深めゆくかな  五月の陽         深瀬09
 1  柳町
(018)  ティーショット お喋り過ぎて 五月蠅いと      鳥海17
(019)  五月晴れ四月の寒さはゆめのまたゆめ         小幡01
(020)  花々の 咲き競いたる 5月かな           鳥海03
(021)  五月空 白球雲間に 霞台              古川01
(022)  5月には 花々咲きて 蝶気分            鳥海06
                                        
2.兼題  新緑、浅緑、                           
(023)  新緑の  机上ひとえだ  茶室まね           深瀬04
 1  土川
 2  古川
 3  内野 季節を楽しむ余裕ある豊かな気持ちが伝わる句です。
(024)  新緑や フェアウエー歩み 軽くなり         鳥海15
(025)  湧き出ずる 新芽の香り 新緑や           古川03
 1  鳥海
 1  小幡
(026)  浅緑の風に向かって孫駆ける             志方04
 1  吉良
(027)  新緑と むくむくむくと むくむくと         中島04
(028)  新緑や 宇宙の息吹 我感ず             古川05
 1  鳥海
 2  内野 緑の美しさは宇宙の神秘に通じるものがあり作者に同感です。
(029)  新緑や 川面に映えて 風薫り            鳥海09
 1  柳町
 2  古川
 3  内野 気持ちがなごむよい句です。
(030)  新緑にカメ虫飛び込み、夏近し            小幡02
(031)  新緑や 春を飛ばして 夏来る            中島02
 1  内野 作者の慌ただしい心境が推察されます。
(032)  新緑に  染まりトンネル  押し出さる         深瀬03
 1  吉良
(033)  唐松の 新緑萌える 佐久平             古川04
 1  土川
 2  中島
(034)  新緑の 公園歩みて 初夏を知り           鳥海12
(035)  鮮緑の武蔵野林に野鳥啼く              志方05
 1  小幡
 2  深瀬 武蔵野の美しさと静寂が眼の前に浮かんできました。
(036)  新緑も ガレキの山には 無関係           中島05
 1  鳥海
(037)  新緑の グリーン映えし 白球よ           鳥海20
 1  中島
(038)  新緑に  白球弧描き  陽に交じる           深瀬02
 1  古川
(039)  目を瞑り 風を感じる 新緑や            古川06
 1  志方
(040)  浅緑の川面になびく鯉幟               志方01
(041)  新緑に  古寺 (こじ) の梵鐘  たおやかに       深瀬05
 1  柳町
 2  志方
 3  古川
(042)  新緑や 育つ力に 生を知り             鳥海10
(043)  青空に  新緑かおり  駅向かう            深瀬06
 1  内野 季節を感じられる郊外に住む良さがわかる句です。
 2  中島
(044)  新緑に 白き腕カバー 君眩し            鳥海13
 1  古川
(045)  新緑の草取りやれば、腰痛し             小幡03
(046)  新緑や 芝生の上で 昼寝かな            鳥海11
 1  小幡
(047)  新緑の緑百色山緑                  土川02
 1  深瀬 宮崎駿アニメの豊かな緑の表現を思い起こさせられました。
(048)  新緑に パワー貰いし 高齢者            鳥海14
(049)  新緑の  芝生横たふ  空と雲             深瀬01
 1  鳥海
                                     
3.雑詠 (川柳も含む)
(050)  チャリンコや 風に吹かれて きまま旅        古川02
 1  鳥海
(051)  地空海  いのち棲み分く  この地球          深瀬17
(052)  阿武隈の山波遠く春哀し                志方07
 1  土川
(053)  つけまつげ  電車のなかも  宝塚           深瀬16
 1  中島
 2  小幡
(054)  どうしたの ある日突然 開花して          鳥海22
(055)  手品師に  拍手がごとき  アベノミクス        深瀬14
 1  鳥海
 2  志方
(056)  陸奥の傷跡癒す山桜                 志方02
 1  土川
 2  柳町
 3  吉良
(057)  鯉のぼり  雲の流れに  競い合い           深瀬10
 1  志方
(058)  満月を 綺麗と見上げ 夫婦かな           鳥海16
(059)  誰が決め  塩基コドンに アミノ酸          深瀬11
(060)  ティーショット 鶯鳴きて 気を取られ        鳥海21
(061)  広き葉の重なりて夏透過光              土川01
 1  志方
(062)   (火葬場にて) 残りしを  掃きて集めし  母の骨    深瀬13
 1  小幡
(063)  夕されば川面に続く菜の花や             志方03
 1  深瀬  斎藤茂吉の「ゆふされば大根の葉にふる時雨いたく寂しく降り
        にけるかも」は有名ですが、夕方の川のほとりに菜の花が一面に
        咲いている情景はなにか神秘的に感じられました。
(064)  このたましい  死して生きるか  別宇宙        深瀬20
(065)  廃線の鉄路の先の夕霞                 志方06
 1  土川
 2 柳町
 3  内野 情景が目に浮かぶ句です。
 4  吉良
 5  小幡
 6  深瀬 廃線という厳しく寂しい現実が、遠近法的に活写されていると
        感じました。
(066)  集めたり  分けている間に  寿命尽き         深瀬15
(067)  共白髪四十年目のボート漕ぐ             土川03
 1  中島
 2  深瀬  作者の運命共同体としての奥様への深い愛情を感じました。
(068)  動物は  他の生 (せい) 食し  生きるかな       深瀬18
(069)  草萌えに白き点描の風来る              土川04
(070)  太古より  生死見届く  地球かな           深瀬19
 1  内野 生命の神秘を感じさせる句です。
(071)  まだ開 (あ) かぬ丸み重たき白き薔薇         土川05
 1  深瀬  これから大輪の花を咲かそうとしているバラの蕾のうちに秘め
        た爆発力のようなものを感じました。
(072)  隣席に 舟を漕ぐのは かわゆい娘・かな       中島06
(073)  ビッグバン  光の届く 内と外            深瀬12
 以上